JPH08257068A

JPH08257068A - 車いすの重心移動装置

Info

Publication number: JPH08257068A
Application number: JP7090246A
Authority: JP
Inventors: Kazunari Yamakawa; 和成山川; Masahiro Hoshikawa; 雅宥星川; Natsuo Sato; 夏夫佐藤; Shingo Kato; 信吾加藤; Kikuo Mochizuki; 菊夫望月; Tsuyoshi Abe; 強阿部; Shinji Sato; 伸二佐藤
Original assignee: SHIN NIPPON HOIILE KOGYO KK; Shizuoka Prefecture
Current assignee: SHIN NIPPON HOIILE KOGYO KK; Shizuoka Prefecture
Priority date: 1995-03-22
Filing date: 1995-03-22
Publication date: 1996-10-08
Anticipated expiration: 2013-04-22
Also published as: JP2742772B2

Abstract

(57)【要約】【目的】車いすに被介護者を載せて段差を昇る操作を軽
快かつ安全に行うため、被介護者の座る上部枠を、車輪
を有する支持枠に対して前後方向に移動できるように
し、さらに、車いすが昇段姿勢にあるとき前記支持枠を
前方へ押しだす構造簡単な装置を得ることである。【構成】車輪を有する支持枠にシートを有する上部枠を
前後方向へ移動可能に支持し、前記支持枠と上部枠との
間に上部枠を前方へ弾発する伸長ばねを介在させる一
方、両者の間を引き寄せるための巻上げ手段を設け、そ
の巻上げ手段には前記伸長ばねを圧縮した状態で保持す
るための係止手段を設けたものである。具体的には、前
記巻上げ手段はラチェット車と、ラチェット車に係合係
脱可能な爪部材、および、ラチェット車を巻上げる巻上
げペダルとを有し、前記爪部材はボーデンワイヤを介し
て操作ハンドルに設けた解除レバーへ連結してある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は車いすに関するもの
で、特に、これに被介護者を乗せた状態で階段や床面の
凸部を容易に通過できるようにしたものに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、車いすには被介護者を乗せ、後
方に設けられた操作ハンドルを介護者が押して床面を進
行させるようになっている。そして、床面に階段や車い
すの進行を妨げるような凸部（以下、単に段差という）
がある場合、介護者が操作ハンドルを下方へ押して前輪
を持ち上げたり、操作ハンドルを持ち上げて後輪を持ち
上げたりして車いすの前後輪を交互に持ち上げて通過さ
せている。

【０００３】このような使用方法は介護者に相当な腕力
を必要とし、その労力は大変なものであった。そこで出
願人はシートを有する上部枠を車輪を有する支持枠に対
して前後方向に移動可能に支持し、前輪を持ち上げると
きは上部枠を後方へ移動させ、後輪を持ち上げるときは
上部枠を前方へ移動させることを考案した。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、そのよ
うに構成した車いすは、段差を通過するべく前輪を段差
の上に乗せた状態、すなわち、前側が上がった姿勢で上
部枠を被介護者もろ共に前方へ移動させるのに大きな労
力を必要とし、看護婦のような女性介護者の場合には段
差を通過できないこもあった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明はそのような課
題を解消するためなされたもので、車輪を有する支持枠
にシートを有する上部枠を前後方向へ移動可能に支持
し、前記支持枠と上部枠との間に上部枠を前方へ弾発す
る伸長ばねを介在させる一方、両者の間を引き寄せるた
めの巻上げ手段を設け、その巻上げ手段には前記伸長ば
ねを圧縮した状態で保持するための係止手段を設けたも
のである。具体的には、前記巻上げ手段はラチェット車
と、ラチェット車に係合係脱可能な爪部材、および、ラ
チェット車を巻上げる巻上げペダルとを有し、前記爪部
材はボーデンワイヤを介して操作ハンドルに設けた解除
レバーへ連結してある。

【０００６】

【作用】段差を昇降するに際し、車いすの前輪を持ち上
げるときは、被介護者が着座した上部枠を支持枠上で後
退させれば、被介護者を含む車いすの重心が後方へ移動
し、前輪を持ち上げるため操作ハンドルを押し下げる力
を少なくできる。次に、被介護者と共に後輪を持ち上げ
るときは、上部枠を前進させておけば、重心が前方へ移
動し、後輪を持ち上げる力を少くできる。

【０００７】こゝで、車いすの前輪が段差を上る状態、
すなわち、前方が上向きになった状態で解除レバーを操
作すれば、伸長ばねの弾力が上部枠を前方へ押し出す方
向へ作用する。伸長ばねを元の圧縮状態へ復帰させる操
作は、介護者が操作ペダルを踏むことにより、巻上げ手
段を作動させて行う。この操作は介護者が自分の体重を
利用して行えるから大きな腕力は必要としない。

【０００８】

【実施例】以下、図示の実施例によってこの発明を説明
する。図１において、１０は車いすである。車いす１０
は鋼管によって作られ前側のキャスタ車輪１１、１１と
後側の大車輪１２、１２によって支持された支持枠２０
と、それに支持された上部枠３０を有する。上部枠３０
は前記支持枠２０の内側に配置して、その上に前後方向
に移動可能に支持され、そこには被介護者が乗るシート
１３が設けられている。

【０００９】前記支持枠２０は鋼管を溶接組立して四角
形に構成されている。すなわち、側面視で上下方向に配
された前縦杆２１と後縦杆２２、およびそれらを連結す
る下杆２３と軽量形鋼からなるリップ溝鋼を利用したレ
ール２４を有し、それらは前クロスメンバ２５と後クロ
スメンバ２６とで連結されている。前記キャスタ車輪１
１と大車輪１２とは下杆２３と各クロスメンバ２５、２
６との連結部近傍に支持されている。

【００１０】前記上部枠３０は同様に鋼管を溶接組立し
て構成され、上端に操作ハンドル３１を有する主部材３
２と、肘掛３３を有する肘掛枠３４、および前端部に足
載板３５を有する足載枠３６などを有し、支持枠２０の
場合と同様に前クロスメンバ１５と後クロスメンバ１６
とによって左右が連結されている。３７はコロ支持枠で
あり、そこに回動可能に支持したコロ３８が前記レール
２４上を転動する。このようにして、上部枠３０は支持
枠２０上に前後方向に移動可能に支持されている。３９
は解除レバーであり、解除レバー３９は前記操作ハンド
ル３１に取り付けられたブラケット３９ａと、それに回
動可能に枢着されたレバー３９ｂとで構成され、それら
にはボーデンワイヤからなる操作ワイヤ１４の一端が連
結されている。

【００１１】支持枠２０と上部枠３０との間には伸長ば
ねである伸長シリンダ４０によって連結されている。伸
長シリンダ４０は圧縮空気を封入した市販のピストンシ
リンダユニットであり、シリンダ側の一端が上部枠３０
に、また、ピストンロッドの端部が支持枠２０にそれぞ
れ連結されている。なお、この実施例では伸長シリンダ
４０の２本を用いているが、適当にものが入手できれ
ば、１本でもよいことはもちろんである。

【００１２】この伸長シリンダ４０を元の位置まで押し
込むには、すなわち、上部枠２０を後退させるには巻上
げ手段５０が使用される。巻上げ手段５０は前記後クロ
スメンバ２６上に回動自在に支持された巻上げプーリ５
１と、その巻上げプーリ５１上に捲き付けられた引張り
ワイヤ５２を備えている。なお、前記巻上げプーリ５１
上に捲き付けられた引張りワイヤ５２の他端は前方へ伸
び、上部枠３０の前方のクロスメンバ１５に連結されて
いる。

【００１３】巻上げプーリ５１にはラチェット車５３が
連結され、ラチェット車５３は図６で示すように、対称
位置に配置された２個一対の爪部材５５が設けられ、爪
部材５５は図示してないバネにより、常にラチェット車
５３の外周面へ押圧されている。なお、両爪部材５５、
５５は前記ボーデンワイヤからなる操作ワイヤ１４の他
端が連結されている。かくて、上記ラチェット車５３と
爪部材５５は巻上げプーリ５１を介して伸長ばね（伸長
シリンダ）４０を圧縮した状態で保持するための係止手
段を構成する。

【００１４】５６は巻上げペダルであり、支持枠２０の
後クロスメンバ２６上に回動自在に支持されると共に、
一方向クラッチ５７を介して前記ラチェット車５３に連
結されている。５８は巻上げペダル５６を踏み下げ位置
から、元の位置へ復帰させるための戻しばねである。よ
って、巻上げペダル５６を踏み下げれば、一方向クラッ
チ５７が係合しラチェット車５３と共に巻上げプーリ５
１が巻上げられる。次に、巻上げペダル５６から足を放
せば、戻しばね５８の弾力によって一方向クラッチ５７
が外れ、巻上げペダル５６は元位置へ復帰すが、このと
き、ラチェット車５３は爪部材５５によって逆転を阻止
されるので、巻上げプーリ５１も巻き上げ位置に保持さ
れる。

【００１５】この実施例は以上のように構成されている
から、車いす１０が段差に差しかゝったときは、図５
（ａ）で示すように、まず、巻上げペダル５６を操作し
て上部枠３０を後方へ移動させた後、操作ハンドル３１
を押し下げて前側のキャスタ車輪１１を段差の上へ持ち
上げる。前側のキャスタ車輪１１が上の段へ乗った処
で、係止手段たる解除レバー３９を操作すると爪部材５
５がラチェット車５３から外れ、伸長シリンダ４０は係
止を解かれるから、図５（ｂ）で示すように、支持枠２
０と上部枠３０との間を引き離す。すなわち、上部枠３
０を支持枠２０の前方へ移動させる。

【００１６】

【発明の効果】この発明によれば、上部枠３０を前方へ
移動させるとき、伸長ばねたる伸長シリンダ４０は係止
手段によって圧縮した状態で保持されているので、係止
手段を操作するだけで、伸長シリンダ４０の弾力を利用
し軽快に移動操作を行うことができる。また、伸長シリ
ンダ４０の弾力に抗して行わねばならない上部枠３０を
後方へ復帰させる操作は、巻上げペダル５６を足で踏む
ことにより行うから大きな腕力を要することなしに操作
が可能となるなどの効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例である車いすの平面図であ
る。

【図２】前面と後面とを左右に表した前面後面図であ
る。

【図３】車いすの右側面図である。

【図４】車いすの左側面図である。

【図５】車いすの作動状態を示す左側面図であり、
（ａ）は上部枠を後方へ移動させた状態、（ｂ）はそれ
を前方へ移動させた状態をそれぞれ示す。

【図６】図４の要部の拡大側面図である。

【図７】図２の要部の拡大後面図であり、図６中の後面
図に相当する。

【符号の説明】

１０・・・・車いす１１・・・・前側
のキャスタ車輪１２・・・・後側の大車輪１３・・・・シー
ト１４・・・・ボーデンワイヤからなる操作ワイヤ１５・・・・前クロスメンバ１６・・・・後ク
ロスメンバ２０・・・・支持枠２１・・・・前縦
杆２２・・・・後縦杆２３・・・・下杆２４・・・・レール２５・・・・前ク
ロスメンバ２６・・・・後クロスメンバ３０・・・・上部
枠３１・・・・操作ハンドル３２・・・・主部
材３３・・・・肘掛３４・・・・肘掛
枠３５・・・・足載板３６・・・・足載
枠３７・・・・コロ支持枠３８・・・・コロ３９・・・・解除レバー３９ａ・・・ブラ
ケット３９ｂ・・・レバー４０・・・・伸長ばね（伸長シリンダ）５０・・・・巻上げ手段５１・・・・巻上
げプーリ５２・・・・引張りワイヤ５３・・・・ラチェット車（係止手段）５５・・・・爪部材（係止手段）５６・・・・巻上
げペダル５７・・・・一方向クラッチ５８・・・・戻し
ばね

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者佐藤夏夫静岡県浜松市新都田１丁目３番３号静岡県浜松工業技術センター内 (72)発明者加藤信吾静岡県浜松市新都田１丁目３番３号静岡県浜松工業技術センター内 (72)発明者望月菊夫静岡県浜松市新都田４丁目１番２号新日本ホイール工業株式会社内 (72)発明者阿部強静岡県浜松市新都田４丁目１番２号新日本ホイール工業株式会社内 (72)発明者佐藤伸二静岡県浜松市新都田４丁目１番２号新日本ホイール工業株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】車輪を有する支持枠にシートを有する上部
枠を前後方向へ移動可能に支持し、前記支持枠と上部枠
との間に上部枠を前方へ弾発する伸長ばねを介在させる
一方、両者の間を引き寄せるための巻上げ手段を設け、
その巻上げ手段には前記伸長ばねを圧縮した状態で保持
するための係止手段を設けてなる車いすの重心移動装
置。
【請求項２】請求項１において、前記巻上げ手段は巻上
げプーリに連結されたラチェット車と、ラチェット車に
係合係脱可能な爪部材、および、ラチェット車を巻上げ
る巻上げペダルとを有し、前記爪部材はボーデンワイヤ
を介して操作ハンドルに設けた解除レバーへ連結してな
る車いすの重心移動装置。
【請求項３】請求項１において、上部枠は支持枠の内側
に配して前後方向に移動可能に支持されている車いすの
重心移動装置。