JPH08256787A - 多糖類の製造方法及びクレブシエラ・オキシトカtnm3株 - Google Patents

多糖類の製造方法及びクレブシエラ・オキシトカtnm3株

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JPH08256787A
JPH08256787A JP9310095A JP9310095A JPH08256787A JP H08256787 A JPH08256787 A JP H08256787A JP 9310095 A JP9310095 A JP 9310095A JP 9310095 A JP9310095 A JP 9310095A JP H08256787 A JPH08256787 A JP H08256787A
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polysaccharide
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klebsiella oxytoca
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JP9310095A
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Osamu Nakanishi
收 中西
Yoichi Oiso
洋一 大磯
Takeshi Okumiya
毅 奥宮
Ryosuke Sugihara
良介 杉原
Kaoru Kawashima
薫 川島
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Tayca Corp
Original Assignee
Tayca Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 効率の良い多糖類の製造方法を提供する。 【構成】 多糖類生産性クレブシエラ・オキシトカTN
M3株(FERM BP−4669)又はその変異株を
培養し、培養物から、下記式で表される構造を主要繰り
返し単位として有する多糖類を採取する。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多糖類の製造方法及び
多糖類生産性新菌株に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、微生物を利用して多くの多糖
類、例えば、ヒアルロン酸、プルラン、ザンタンガム、
カードラン、ゲランガム等が生産されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】微生物を利用して多糖
類を生産する場合、多糖類の採取・精製の容易さの点か
ら、菌体外に多糖類を生産する微生物が望まれる。
【0004】本発明者等は、スクリーニングにより、多
糖類を効率良く菌体外に生産する微生物を見出した。
【0005】本発明は、上記の知見を基に完成されたも
のであり、その目的は、多糖類の製造方法を提供するこ
とにある。本発明の他の目的は、クレブシエラ属の新規
な微生物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の要旨は、
多糖類生産性クレブシエラ・オキシトカTNM3株(F
ERM BP−4669)又はその変異株を培養し、培
養物から、下記式で表される構造を繰り返し単位として
有する多糖類を採取することを特徴とする多糖類の製造
方法に存する。
【0007】
【化2】
【0008】本発明の第2の要旨は、多糖類生産性クレ
ブシエラ・オキシトカTNM3株(FERM BP−4
669)又はその変異株に存する。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。先ず、本
発明の製造方法で得られる多糖類について説明する。
【0010】ゲル濾過クロマトグラフィーにて測定した
多糖類の分子量は、通常、約1×103 〜10×106
の範囲である。この分子量は、上記範囲内において、培
養条件の調整や培養後の後処理により、自由に調節可能
である。
【0011】本発明の製造方法によって得られる多糖類
は次の様な物性を有している。 (1)性状:白色繊維状(凍結乾燥物)。
【0012】(2)溶解性:水、希酸、希アルカリに対
して可溶であり、メタノール、エタノール、アセトンに
対して不溶である。
【0013】(3)赤外吸収スペクトル:KBr錠剤法
による測定結果を図1に示す。図1から明らかな通り、
3400cm-1付近に水酸基の吸収が、1620cm-1付近
にウロン酸のカルボキシル基の吸収が、1100及び1
250cm-1付近にエーテル結合の吸収が、2950cm-1
付近にアルカン基の吸収がそれぞれ認められる。
【0014】(4)呈色反応:フェノール硫酸法及びカ
ルバゾール硫酸法において陽性であった。この結果、本
発明の多糖類は、ウロン酸を含む酸性多糖類であること
が判明した。
【0015】(5)構成糖分析:本発明の製造方法によ
って得られる多糖類、及び、その多糖類中のウロン酸残
基のカルボキシル基を還元した多糖類について、2Mト
リフルオロ酢酸(TFA)を使用し、100℃で6時間
酸加水分解を行った後、アルジトールアセテートに誘導
した。得られた各誘導体について、3%ECNSS−M
をコートした「Gaschrom Q」(和光純薬社
製)をカラムとするガスクロマトグラフィー分析を行っ
た。その結果、L−ラムノース、D−グルコース及びD
−ガラクトースから得られる誘導体と同一の保持時間を
有するピークが検出された。
【0016】L−ラムノース(L−Rha)、D−グル
コース(D−Glc)及びD−ガラクトース(D−Ga
l)から得られる誘導体を用いて作成した検量線から、
上記二種の多糖類の各構成糖の組成比(モル比)を、最
も近い整数比として算出した結果を表1に示す。
【0017】
【表1】 L−Rha D−Glc D−Gal ウロン酸残基のカルボキシル基を 還元しない多糖類 2 1 1 ウロン酸残基のカルボキシル基を還元した多糖類 3 2 1
【0018】表1において、ウロン酸残基のカルボキシ
ル基を還元した多糖類の方が、非還元の多糖類よりも、
L−ラムノース及びD−グルコースのD−ガラクトース
に対するモル比が高くなっていることから、ラムノース
にはそれに相当するウロン酸が存在しないので、本発明
の製造方法で得られる多糖類の構成糖として含まれるウ
ロン酸はD−グルクロン酸であることが判明した。ま
た、L−ラムノースのモル比の増加から、L−ラムノー
ス残基の一部は比較的酸加水分解に強いアルドビオウロ
ン酸単位として存在することが判明した。したがって、
本発明の製造方法で得られる多糖類の構成糖は、L−ラ
ムノース(L−Rha)、D−グルコース(D−Gl
c)、D−ガラクトース(D−Gal)及びD−グルク
ロン酸(D−GlcUA)であり、その組成比(モル
比)がL−Rha:D−Glc:D−Gal:D−Gl
cUA=3:1:1:1であることと、D−GlcUA
−L−Rha単位を部分構造として有することが判明し
た。
【0019】また、本発明の製造方法で製造される多糖
類について、0.2M TFAを用いた以外は上記と同
条件で酸加水分解を行った後、上記と同様にガスクロマ
トグラフィー分析を行った結果、L−ラムノースに対す
るD−グルコース及びD−ガラクトースのモル比が、2
M TFAを用いた場合よりも低い値を示した。このこ
とから、比較的酸加水分解を受けやすい、L−ラムノー
ス残基が連続している、あるいは、L−ラムノース残基
が末端に位置する部分構造が存在する、と推測される。
【0020】(6−1)構成糖残基の結合様式分析(メ
チル化分析):本発明の製造方法によって得られる多糖
類、及び、その多糖類中のウロン酸残基のカルボキシル
基を還元した多糖類について、箱守法によってメチル化
を行った後、88%のギ酸を用いて、100℃で16時
間酸加水分解を行い、ギ酸を留去し、2M TFAを用
いて、100℃で6時間酸加水分解を行った後、アルジ
トールアセテートに誘導し、3%ECNSS−Mをコー
トした「Gaschrom Q」(和光純薬社製)をカ
ラムとするガスクロマトグラフィー分析を行った。
【0021】その結果、ウロン酸残基のカルボキシル基
を還元していない多糖類からは、2,3,4−トリ−O
−メチル−L−ラムノース、3,4−ジ−O−メチル−
L−ラムノース、3,4,6−トリ−O−メチル−D−
グルコース及び2,4,6−トリ−O−メチル−D−ガ
ラクトースから得られる誘導体と同じ保持時間を有する
ピークが、また、ウロン酸残基のカルボキシル基を還元
した多糖類からは、2,3,4−トリ−O−メチル−L
−ラムノース、3,4−ジ−O−メチル−L−ラムノー
ス、3,4,6−トリ−O−メチル−D−グルコース、
2,6−ジ−O−メチル−D−グルコース及び2,4,
6−トリ−O−メチル−D−ガラクトースから得られる
誘導体と同じ保持時間を有するピークが検出された。
【0022】これらのことから、本発明の製造方法で得
られる構成糖残基の結合様式は、L−ラムノース残基が
Rha(1→及び→2)Rha(1→、D−グルコース
残基が→2)Glc(1→、D−ガラクトース残基が→
3)Gal(1→、D−グルクロン酸残基が下記の通り
であることが判明した。
【0023】
【化3】
【0024】また、2,3,4−トリ−O−メチル−L
−ラムノース、3,4−ジ−O−メチル−L−ラムノー
ス、3,4,6−トリ−O−メチル−D−グルコース、
2,6−ジ−O−メチル−D−グルコース及び2,4,
6−トリ−O−メチル−D−ガラクトースから得られる
誘導体を用いて作成した検量線から、本発明の製造方法
で得られる多糖類の各構成糖残基の存在比(モル比)
を、その結合様式においても区別して、最も近い整数比
で示すと下記の通りであることが判明した。
【0025】
【化4】
【0026】本発明の製造方法で得られる多糖類の酸加
水分解物から得られる誘導体について、さらに、DB1
(J&W SCIENTIFIC社製)をカラムとした
ガスクロマトグラフィー−マススペクトル分析(GC−
MS)を行ったところ、1,5−ジ−O−アセチル−6
−デオキシ−2,3,4−トリ−O−メチルヘキシトー
ル、1,2,5−トリ−O−アセチル−6−デオキシ−
3,4−ジ−O−メチルヘキシトール、1,2,5−ト
リ−O−アセチル−3,4,6−トリ−O−メチルヘキ
シトール及び1,3,5−トリ−O−アセチル−2,
4,6−トリ−O−メチルヘキシトールを分析をした場
合に得られる開裂パターンと各々一致する結果が得られ
た。また、ウロン酸残基のカルボキシル基を還元した多
糖類を用いた場合には、1,5−ジ−O−アセチル−6
−デオキシ−2,3,4−トリ−O−メチルヘキシトー
ル、1,2,5−トリ−O−アセチル−6−デオキシ−
3,4−ジ−O−メチルヘキシトール、1,2,5−ト
リ−O−アセチル−3,4,6−トリ−O−メチルヘキ
シトール、1,3,5−トリ−O−アセチル−2,4,
6−トリ−O−メチルヘキシトール及び1,3,4,5
−テトラ−O−アセチル−2,6−ジ−O−メチルヘキ
シトールを分析した場合に得られる開裂パターンと各々
一致する結果が得られた。これらのGC−MS分析の結
果は上述の分析結果を支持する。
【0027】(6−2)構成糖残基の結合様式分析(完
全スミス分解):本発明の製造方法で得られる本発明の
製造方法によって得られる多糖類、及び、その多糖類中
のウロン酸残基のカルボキシル基を還元した多糖類につ
いて、0.03M過ヨウ素酸ナトリウムを用いて、室温
で8日間過ヨウ素酸酸化を行った後、2M TFAを用
いて、100℃で6時間酸加水分解を行い、水素化ホウ
素ナトリウムを用いて還元してから、アセテートへ誘導
した。
【0028】上述(6−1)のメチル化分析の際と同様
にガスクロマトグラフィー分析を行った結果、ウロン酸
残基のカルボキシル基を還元していない多糖類の場合に
は、D−グリセロール及びD−ガラクトースから得られ
る誘導体のピークと同じ保持時間を有するピークと、L
−ラムノース残基の完全スミス分解産物と考えられる未
同定のピークが検出され、また、ウロン酸残基のカルボ
キシル基を還元した多糖類の場合には、D−グリセロー
ル、D−グルコース及びD−ガラクトースから得られる
誘導体のピークと同じ保持時間を有するピークが検出さ
れた。
【0029】本発明の製造方法によって得られる多糖
類、及び、その多糖類中のウロン酸残基のカルボキシル
基を還元した多糖類の両方について、L−ラムノースが
検出されなかったことから、L−ラムノース残基の結合
様式は過ヨウ素酸酸化を受けるRha(1→、→2)R
ha(1→又は→4)Rha(1→であると判断でき、
両方で検出されたD−ガラクトース残基の結合様式は過
ヨウ素酸酸化を受けない→3)Gal(1→又は下記の
ような分岐であると判断できる。
【0030】
【化5】
【0031】D−グルコース残基の結合様式について
は、ウロン酸残基のカルボキシル基を還元していない多
糖類について、D−グリセロールが検出されたことか
ら、過ヨウ素酸酸化を受けるGlc(1→、→2)Gl
c(1→又は→6)Glc(1→と判断でき、また、D
−グルクロン酸残基の結合様式については、ウロン酸残
基のカルボキシル基を還元していない多糖類では検出さ
れなかったD−グルコースが、ウロン酸残基のカルボキ
シル基を還元した多糖類で検出されたことから、過ヨウ
素酸酸化を受けない→3)GlcUA(1→又は下記の
ような分岐であると判断できる。
【0032】
【化6】
【0033】これらの結果は、上述のメチル化分析によ
る結果を支持する。
【0034】(7)比旋光度: 〔α〕25 D =+55°(c=0.5、水溶液) 比旋光度と構成糖分析の結果から、本発明の製造方法で
得られる多糖類の各構成糖残基のアノマーは、L−ラム
ノースがα、D−グルコースがα、D−ガラクトースが
β、D−グルクロン酸がαであると考えられる。
【0035】上述した分析結果は、カーボハイドレイト
・リサーチ(Carbohydrate Resear
ch)第157巻13〜25頁(1986年)に記載さ
れている、クレブシエラ(Klebsiella)K1
9株の莢膜多糖類に関する分析結果と相違することがな
く、また、 1H−及び13C−NMRスペクトル測定の結
果、本発明の製造方法で得られる多糖類について検出さ
れた各ピークの化学シフトは、上記文献に記載されてい
るデータと一致していたことから、本発明の製造方法で
得られる多糖類は、主要繰り返し単位が下記式で表され
る構造であると判断される。尚、このような繰り返し単
位を有する多糖類を、クレブシエラK19株以外の微生
物が生産することは知られていない。
【0036】
【化7】
【0037】そして、本発明の製造方法においては、微
生物として、多糖類生産性クレブシエラ・オキシトカT
NM3株(FERM BP−4669)又はその変異株
が使用される。この様な変異株は、紫外線、X線等の放
射線、または、エチルメタンスルホン酸(EMS)、N
−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(M
NNG)等の化学的突然変異誘発物質の様な公知の突然
変異誘発手段により発生させることが出来る。上記多糖
類の生産性の有無は菌株を培養した培養液を分析するこ
とにより容易に判別できる。
【0038】表2〜4にクレブシエラ・オキシトカTN
M3株の菌学的性質を示す。
【0039】
【表2】 菌学的性質 諸 性 質 形態 桿菌、コロニーはややムコイド状 グラム染色 − ブドウ糖OF F型 運動性 − カタラーゼ + オキシターゼ − グルコースからのガス産生 + KCN培地での生育 + クエン酸塩の利用 + メチルレッド − VP +
【0040】
【表3】炭水化物からの酸の生成 グルコース + アドニット + アラビノース + ズルシット + ラクトース + マルトース + マンニット + ラムノース + サリシン + ソルビット + スクロース + トレハロース + キシロース + グリセロール + イノシトール + ラフィノース +
【0041】
【表4】 ゼラチン加水分解 − マロン酸塩 + グルコン酸塩 + 硝酸塩還元 + 硝酸塩からのガス産生 − ウレアーゼ + リジン デカルボキシラーゼ + アルギニン ジヒドロラーゼ − オルニチン カルボキシラーゼ − PAA − ONPG + 硫化水素 + エスクリン加水分解 + インドール + 菌体外特定多糖生産能 + (上記の特定の繰り返し単位を有する多糖類の生成能)
【0042】上記に示す菌学的性質から、本発明の菌株
は、クレブシエラ属に属していることが判明し、バージ
ーズ・マニュアル・オブ・システマチック・バクテリオ
ロジー第1巻(BERGEY’S MANUAL OF
Systematic Bacteriology
Volume 1、1984年) 464頁に記載のデー
タとの対比から、タイプカルチャーのクレブシエラ・オ
キシトカ(Klebsiella oxytoca)に
ついて菌体外特定多糖生成能に関する記載は認められな
いものの、他の性質は本発明の菌株の性質と一致してい
た。クレブシエラ・オキシトカ種において、特定多糖類
を産生する菌株は知られていないことから、本発明の菌
株は、クレブシエラ・オキシトカの、特定多糖類生産能
を有することを特徴とする新菌株であると考えられ、こ
の菌株をクレブシエラ・オキシトカ(Klebsiel
la oxytoca)TNM3株と命名した。尚、上
記カーボハイドレイト・リサーチに記載のクレブシエラ
K19株はクレブシエラ・ニューモニア種に属する。
【0043】本発明の菌株は、通商産業省工業技術院生
命工学工業技術研究所において、受託番号「FERM
BP−4669」として、平成6年5月18日から国際
寄託され保管されている。
【0044】本発明の製造方法において、前記微生物を
培養するための培地としては、クレブシエラ(Kleb
siella) 属に属する微生物が生育でき、多糖類を
生産する、炭素源、窒素源、無機塩類及び微量栄養源を
適量含有するものであれば特に制限されない。そして、
炭素源としては、グルコース、ラクトース、マルトー
ス、キシロース、マンニット、スクロース、ラムノー
ス、アラビノース、トレハロース、ラフィノースなどが
使用される。窒素源としては、硝酸塩、アンモニウム
塩、尿素などの合成化合物、ポリペプトン、コーンステ
ィープリカー、酵母エキス、肉エキス、脱脂大豆抽出
物、ペプチド、アミノ酸などの天然有機物が使用され
る。無機塩類としては、リン酸塩、カリウム塩、硫酸
塩、マグネシウム塩などが使用される。培地には、必要
に応じ、鉄塩、カルシウム塩、マンガン塩などを添加す
ることが出来る。また、微量栄養源としては、酵母エキ
ス、各種ビタミン類などが使用される。
【0045】培地の状態は、固体でも液体でも構わな
い。液体培地を使用する場合には、静置培養でもよい
が、振盪培養、通気撹拌培養の方がより高収量に多糖類
を得ることが出来る。培養時のpHは、微生物が生育で
きて多糖類を生産し得るpHであれば特に制限されない
が、通常は4〜8のpHが適切である。培養温度につい
ても、特に制限されないが、通常は20〜35℃が適切
である。培養時間は、多糖類の生産量が最大に達する期
間が選ばれるが、通常は1〜7日が適切である。
【0046】上記の培養方法で得られた培養物から、多
糖類を採取する方法としては、通常の多糖類に適用され
る従来公知の方法を採用することが出来る。例えば、先
ず、遠心分離や濾過などにより、培養物から菌体を除去
した後、得られた培養液にメタノール、エタノール、イ
ソプロパノール、アセトン等の有機溶媒を加えて沈澱を
生じさせる。次いで、沈澱物を水に溶解させた後、水に
対して透析を行ない、通風乾燥、熱風乾燥、噴霧乾燥、
ドラム乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥などの方法により、透
析内液を乾燥して多糖類を回収する。
【0047】上記の採取方法の他に、限外濾過により、
上記の培養液から多糖類以外の成分を除去し、得られた
濃縮液を上述の乾燥工程に供する方法を採用してもよ
い。更に、必要に応じ、通常の多糖類の精製法に従って
精製することにより、高純度精製品を得ることも出来
る。精製法としては、イオン交換、ゲル濾過、アフィニ
ティー等の各種のカラムクロマトグラフィー、四級アン
モニウム塩による沈澱や塩析、有機溶媒による沈澱など
が採用される。
【0048】本発明の製造方法で得られる多糖類の重合
度は、製造時の培地組成、採取法などの条件を調節する
ことによって変化させることが出来る。また、TFA、
ギ酸、塩酸などを使用し且つ条件を調節することによ
り、採取品や精製品を加水分解することが出来る。従っ
て、多糖類の分子量は、約1×103 〜10×106
範囲で自由に調節することが可能である。
【0049】本発明の製造方法で得られる多糖類は、保
湿性及びフィルム形成性をはじめ、分散性やその他の有
用な特性を有している。特に、保湿性に関しては、保湿
剤の代表的存在であるヒアルロン酸ナトリウムに比べ、
保湿能が湿度条件によって影響を受け難いという特性を
示す。そして、保湿性の点では、特に、分子量が約10
5 〜106 の多糖類が好適に使用される。
【0050】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。
【0051】実施例1 500ml容の坂口フラスコ4本のそれぞれに表5に示
す組成の培地を100ml入れ、121℃で20分間湿
熱滅菌後、表5に示す組成の培地を用いて試験管で2日
間液体振盪培養していたクレブシエラ・オキシトカ(K
lebsiella oxytoca)TNM3株(F
ERM BP−4669)を一白金耳分植菌し、振盪数
毎分110ストローク、28℃で1日間レシプロ振盪培
養を行った。
【0052】
【表5】 培地組成(重量%) グルコース 1 % ポリペプトン 0.1 % リン酸一二水素カリウム 0.15 % 硫酸マグネシウム・7水和物 0.05 % ビタミンB1 0.0005 % ビオチン 0.000006% パントテン酸カルシウム 0.001 % ニコチンアミド 0.0005 % pH 6.5
【0053】下記の表6に示す組成の培地8リットルを
入れて前記と同様の滅菌を行った15リットル容のジャ
ーファーメンターに前記で得られた培養液400mlを
接種し、温度28℃、通気量8リットル/分の条件下
で、5M水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7に保
ちながら、86時間通気攪拌培養を行った。なお、回転
数は、培養14時間目までは200rpm、それ以降2
1時間目までは300rpm、それ以降62時間目まで
550rpm、それ以降86時間目までは650rpm
とした。
【0054】
【表6】 培地組成(重量%) グルコース 4 % ポリペプトン 0.2 % リン酸一水素二カリウム 0.15 % 硫酸マグネシウム・7水和物 0.01 % ビタミンB1 0.00009 % ビタミンB2 0.000046 % ビタミンB6 0.000022 % ビタミンB12 0.00000016% ビオチン 0.0000009 % パントテン酸カルシウム 0.000120 % ニコチンアミド 0.000336 % 葉酸 0.00000114%
【0055】得られた培養物を水で5倍に希釈し、12
1℃で20分間湿熱滅菌後、遠心分離により菌体を除去
した。得られた培養上清分について、本発明の多糖類以
外の成分(残留培地成分など)が除去される迄、クロス
フロー方式の限外濾過を繰り返した。限外濾過には、東
ソー社製、限外濾過システム「UF−LMSII」(分画
分子量:3×106 )を使用した。限外濾過膜を透過し
なかった濃縮液を凍結乾燥し、培地1リットル当たり、
15.0gの単一な多糖類を得た。なお、多糖類の単一
性の確認は、GPCモードの高速液体クロマトグラフィ
ーを使用して行った。
【0056】旭化成社製「Asahipak GFA−
7MF」をカラムとし、0.1MNaNO3 水溶液を移
動相とした高速液体クロマトグラフィーを使用し、上記
の多糖類の分子量を測定した結果、多糖類のクロマトグ
ラムのピークトップの保持時間は、分子量既知のプルラ
ンを標準サンプルとして作成した分子量−保持時間標準
曲線において、分子量約2.7×106 に相当する値を
示した。
【0057】実施例2 500ml容の坂口フラスコに表7に示す組成の培地を
100ml入れ、121℃で20分間湿熱滅菌後、上記
の表5に示す組成の培地を用いて、試験管で2日間液体
振盪培養していたクレブシエラ・オキシトカTNM3株
を一白金耳分植菌し、振盪数毎分110ストローク、2
8℃で1日間レシプロ振盪培養を行った。
【0058】
【表7】 培地組成(重量%) グルコース 2 % ポリペプトン 0.1 % リン酸一水素二カリウム 0.15 % 硫酸マグネシウム・7水和物 0.05 % ビタミンB1 0.0005 % ビオチン 0.000006% パントテン酸カルシウム 0.001 % ニコチンアミド 0.0005 % pH 6.5
【0059】下記表8に示す組成の培地8リットルを入
れて前記と同様の滅菌を行った15リットル容のジャー
ファーメンターに前記で得られた培養液400mlを接
種し、温度28℃、通気量5リットル/分の条件下で、
5M水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に保ちながら、
95時間通気攪拌培養を行った。なお、回転数は、培養
24時間目までは200rpm、それ以降33時間目ま
では400rpm、それ以降95時間目までは700r
pmとした。
【0060】
【表8】 培地組成(重量%) グルコース 4 % ポリペプトン 0.2 % リン酸一水素二カリウム 0.15 % 硫酸マグネシウム・7水和物 0.01 % ビタミンB1 0.0005 % ビオチン 0.000006 % パントテン酸カルシウム 0.001 % ニコチンアミド 0.0005 %
【0061】得られた培養物を10%硫酸で4.5に調
整し、121℃で20分間湿熱滅菌後、遠心分離により
菌体を除去した。以下、実施例1と同様に処理した結
果、培地1リットル当たり、21.0gの単一な多糖類
が得られた。実施例1と同様に分子量を求めたところ、
約1.5×106であった。
【0062】実施例3 実施例1で得られた多糖類を、精製水に溶解して1%
(w/v)水溶液を調製し、その60mlを小型圧力容
器に入れて、10気圧下で180℃、10分間処理し
た。処理後の分子量を実施例1と同様に測定したとこ
ろ、約1.2×104であった。
【0063】
【発明の効果】以上に説明した本発明によれば、多糖類
を効率良く製造することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法で得られる多糖類の赤外吸収
スペクトルを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:22)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多糖類生産性クレブシエラ・オキシトカ
    TNM3株(FERM BP−4669)又はその変異
    株を培養し、培養物から、下記式で表される構造を主要
    繰り返し単位として有する多糖類を採取することを特徴
    とする多糖類の製造方法。 【化1】
  2. 【請求項2】 多糖類生産性クレブシエラ・オキシトカ
    TNM3株(FERM BP−4669)又はその変異
    株。
JP9310095A 1995-03-27 1995-03-27 多糖類の製造方法及びクレブシエラ・オキシトカtnm3株 Pending JPH08256787A (ja)

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US08/620,285 US5989874A (en) 1995-03-27 1996-03-22 Humectant, antistatic agent, dispersant and film-forming agent having polysaccharide as active principle, preparation process of polysaccharides, and Kliebsiella ocytoca TNM-3 strain
EP96104795A EP0735049B1 (en) 1995-03-27 1996-03-26 Humectant, antistatic agent, dispersant and film-forming agent having polysaccharide as active principle, preparation process of polysaccharides, and Klebsiella strain
DE69616852T DE69616852D1 (de) 1995-03-27 1996-03-26 Feuchthaltemittel, antistatisches Mittel, Dispergiermittel und filmbildendes Mittel mit Polysaccharid als wirksames Prinzip; Verfahren zur Herstellung von Polysacchariden und Klebsiella Stamm

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0775490A4 (en) * 1995-06-05 1998-06-03 Tayca Corp IMMUNOSTIMULANT

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EP0775490A4 (en) * 1995-06-05 1998-06-03 Tayca Corp IMMUNOSTIMULANT

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