JPH08254108A - 動弁装置のバルブタイミング可変機構 - Google Patents

動弁装置のバルブタイミング可変機構

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JPH08254108A
JPH08254108A JP8618495A JP8618495A JPH08254108A JP H08254108 A JPH08254108 A JP H08254108A JP 8618495 A JP8618495 A JP 8618495A JP 8618495 A JP8618495 A JP 8618495A JP H08254108 A JPH08254108 A JP H08254108A
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weight
cam
valve
cam plate
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JP8618495A
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Yoshiaki Hidaka
義明 日高
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Hidaka Engineering Co Ltd
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Hidaka Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 構造を簡単にでき、コストを低減できる動弁
装置のバルブタイミング可変機構を提供する。 【構成】 カム軸10と共に回転するカムプレート12
と、該カムプレート12と同軸をなし相対回転可能にか
つカムプレート12に回転力伝達可能に配設されクラン
ク軸6によって回転駆動される駆動プレート9と、該駆
動プレート9に揺動可能に軸支された重りプレート15
と、該重りプレート15を揺動角度を小さくする方向に
付勢するスプリング16と、上記重りプレート15の遠
心力による揺動動作により上記カムプレート12と駆動
プレート9との位相角度を変化させる回転伝達機構31
とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンジン用動弁装置の
バルブタイミング可変機構に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、バルブタイミング可変機構は油圧
駆動方式のものが一般的である。例えば、カム軸にカム
スプロケットを相対回転可能にかつ回転力伝達可能に装
着し、該カムスプロケットとカム軸との間にヘリカルギ
ヤ付きピストンを介設し、該ピストンを油圧により軸方
向に移動させることにより、上記カム軸とカムスプロケ
ットとの位相角を変化させる機構のものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが上記従来装置
では、油圧機構によりピストンを駆動するものであるた
め、それだけ構造が複雑になるとともに、コスト高とな
る問題がある。
【0004】本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなさ
れたもので、構造を簡単にでき、コストを低減できる動
弁装置のバルブタイミング可変機構を提供することを目
的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、図2
に示すように、カム軸10と共に回転するカムプレート
12と、該カムプレート12と同軸をなし相対回転可能
にかつカムプレート12に回転力伝達可能に配設されク
ランク軸6によって回転駆動される駆動プレート(カム
プーリ)9と、該駆動プレート9又は上記カムプレート
12の何れかに揺動可能に軸支された重りプレート15
と、該重りプレート15を揺動角度を小さくする方向に
付勢する重り付勢手段(スプリング)16と、上記重り
プレート15の遠心力による揺動動作により上記カムプ
レート12と駆動プレート9との位相角度を変化させる
位相可変手段31とを備えたことを特徴としている。
【0006】請求項2の発明は、図11に示すように、
上記重りプレート15の揺動角度を規制するストッパ部
材18bを設け、該ストッパ部材18bを上記規制角度
位置に付勢するストッパ付勢手段(スプリング)18c
を設けたことを特徴としている。
【0007】請求項3の発明は、図2に示すように、請
求項1又は2において、上記位相可変手段31が、上記
カムプレート12,駆動プレート13の何れか一方に軸
支された上記重りプレート15と他方に植設されたピン
17とを半径方向に相対移動可能に連結した構造を備え
ていることを特徴としている。
【0008】請求項4の発明は、図11に示すように、
上記位相可変手段31が、上記カムプレート12,駆動
プレート9の何れか一方に軸支された上記重りプレート
15に駆動歯車19を該軸支点を中心軸としかつ該重り
プレート15と共に回転するように設け、上記駆動歯車
19に噛合する従動歯車20をカム軸10を中心としか
つ上記カムプレート12,駆動プレート9の何れか他方
と共に回転するように設けた構造を備えていることを特
徴としている。
【0009】請求項5の発明は、請求項1ないし4の何
れかにおいて、複数の重りプレート15が等角度間隔毎
に設けられていることを特徴としている。
【0010】請求項6の発明は、請求項1ないし5の何
れかにおいて、上記重り付勢手段16及びストッパ付勢
手段材18cがスプリングで構成されており、かつ少な
くとも一方のスプリングのばね定数が、例えば図9,1
0に示すような非線形特性を有していることを特徴とし
ている。
【0011】
【作用】請求項1の発明の動弁装置のバルブタイミング
可変機構2によれば、エンジン回転速度が低速で遠心力
が付勢手段16の付勢力より小さい運転域では、重りプ
レート15が揺動することはなく、従って駆動プレート
9とカムプレート12との位相角度は零であり、バルブ
タイミングは低速時のタイミングに保持されている。
【0012】一方、エンジン回転速度が上昇して遠心力
が上記付勢力より大きくなると、重りプレート15が揺
動し、該揺動運動によりカムプレート12と駆動プレー
ト9との位相角度が変化し、これに伴ってバルブ開閉タ
イミングも変化する。
【0013】このように、重りプレート15に働く遠心
力によりカムプレート12と駆動プレート9との位相角
度を変化させるように構成したので、上記従来装置のよ
うな油圧機構を要することなく簡単な構造でもってバル
ブの開閉タイミングを変化させることが可能である。
【0014】請求項2の発明によれば、エンジン回転速
度が低い運転域ではバルブ開閉タイミングは低速時のタ
イミングに保持され、エンジン回転速度が上昇するに伴
って、重りプレート15が、先ず、重り付勢手段16の
付勢力に抗して揺動し、これによりバルブ開閉タイミン
グは中速時のタイミングとなり、さらにエンジン回転速
度が上昇してストッパ付勢手段に抗して揺動すると、こ
れによりバルブ開閉タイミングは高速時のタイミングと
なる。
【0015】このように、重りプレート15を付勢する
重り付勢手段16に加えて、ストッパ部材18b、ひい
ては重りプレート15を付勢するストッパ付勢手段18
cを設けたので、バルブタイミングを3段階に変化させ
ることが可能である。
【0016】請求項3の発明によれば、カムプレート1
2,駆動プレート9の一方に軸支された重りプレート1
5と他方に植設されたピン17とを半径方向に相対移動
可能に連結したので、重りプレート15の揺動により位
相角度を変化させる位相可変手段を簡単な構造で実現で
きる。
【0017】請求項4の発明によれば、カムプレート1
2,駆動プレート9の一方に軸支された重りプレート1
5に駆動歯車19を、これに噛合する従動歯車20を他
方に設けたので、重りプレート15の揺動により位相角
度を変化させる位相可変手段を簡単な構造で実現でき
る。
【0018】請求項5の発明によれば、複数の重りプレ
ート15を等角度間隔毎に設けたので、遠心力により発
生する重りプレートの揺動力を増大することができると
ともに、重りプレートのバランスがとれ、重りプレート
の装着によるカム軸の振動を防止できる。
【0019】請求項6の発明によれば、重り付勢手段1
6,ストッパ付勢手段18cの少なくとも一方を非線形
のばね定数を有するものとしたので、バルブタイミング
を、ばね定数の特性に応じて段階的に変化させることが
できる。
【0020】ここで本発明において、バルブ開閉タイミ
ングの進角量,遅角量の制御は、重りプレートの最大揺
動角度,位相可変手段における伝達比等によって行われ
る。また作動回転数の制御は、付勢手段のセット荷重,
ばね定数,重りプレートの重心位置,軸支点,材質(比
重)等によって行われる。さらにまた作動開始から終了
までの過渡特性の制御は、付勢手段のばね定数の大き
さ,特性等によって行われる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を図に基づいて説明す
る。図1〜図10は請求項1,3,5,6の発明の一実
施例(第1実施例)による動弁装置のバルブタイミング
可変機構を説明するための図であり、図1は本実施例機
構が採用されたエンジンを模式的に示す構成図、図2は
本実施例機構の一部破断平面図、図3は図2の III−II
I 線断面図、図4,5は本実施例機構の動作を説明する
ための要部模式図、図6は本実施例機構に用いられるス
プリングの特性を示す図、図7,8は上記エンジンの吸
排気弁の開閉タイミングを説明するための図、図9はエ
ンジン回転数とトルクとの関係を示す特性図、図10は
上記スプリングの特性の例を示す図である。
【0022】図1において、1は本実施例のバルブタイ
ミング可変機構2が採用されたエンジンを示し、該エン
ジン1は、シリンダボア3内に摺動自在に挿入されたピ
ストン4をコンロッド5を介してクランク軸6に連結
し、該クランク軸6に設けられたクランクプーリ8と、
該エンジン1の頭上に配置された排気カム軸10,吸気
カム軸(図示せず)のそれぞれに装着され上記バルブタ
イミング可変機構2の一部を構成するカムプーリ9とを
タイミングベルト7で連結し、上記排気カム軸10によ
り排気弁11を、図示しない吸気カム軸により吸気弁
(図示せず)を開閉駆動するように構成されている。
【0023】上記吸気弁用,排気弁用バルブタイミング
可変機構は、バルブタイミングをエンジン回転数の増加
に伴ってそれぞれ遅角側,進角側に変化させるように構
成されている点で逆方向の動作を行うものの、基本的構
造は同じであるので、以下、排気弁用のバルブタイミン
グ可変機構2の構造を説明する。
【0024】上記排気弁用バルブタイミング可変機構2
は、図2,図3に示すように、カム軸10と共に回転す
るカムプレート12と、該カムプレート12と同軸をな
し相対回転可能にかつカムプレート12に回転力伝達可
能に配設されクランク軸によって回転駆動されるカムプ
ーリ9と、該カムプーリ9に揺動可能に軸支された重り
プレート15と、該重りプレート15を揺動角度を小さ
くする方向に付勢する重り付勢スプリング16と、上記
重りプレート15の遠心力による揺動動作により上記カ
ムプレート12とカムプーリ9との位相角度を変化させ
る位相可変手段としての回転伝達機構31とを備えてい
る。
【0025】上記カムプレート12は、円盤状のもので
上記カム軸10の外端面に、角度位置の位置決め及び回
り止めを行うピン22及びボルト21により固定装着さ
れている。
【0026】上記カムプーリ9は、外周面に上記タイミ
ングベルト7が噛合するベルト歯9cを有する有する円
環状のものであり、該カムプーリ9と上記カムプレート
12との間にはブッシュ23が介設されている。上記カ
ムプレート12はカムプーリ9に対して図2に示す角度
位置から矢印a方向(カム軸回転方向と同じ)に相対回
転可能になっており、該矢印a方向に回転するほどバル
ブの開閉タイミングが進角することなる。
【0027】また上記カムプレート12とカムプーリ9
との間には、カムプレート12のセット位置、つまり初
期タイミングを設定する初期タイミングセット機構32
が設けられている。該機構32は、図2に示すように、
カムプレート12の外周縁に突設したボス部12aをカ
ムプーリ9の内周縁に凹設された逃げ溝9a内に位置さ
せるとともに、上記ボス部12aに紙面裏側に向けて植
設されたピン12bを上記逃げ溝9aに形成されたガイ
ド長孔9b内で摺動するように構成されている。上記カ
ムプレート12は、付勢スプリング16の付勢力によっ
て重りプレート15,回転伝達機構31を介して矢印b
方向に付勢されているが、上記ピン12bとガイド長孔
9bとの係止によって矢印b方向の位置が規制される。
【0028】上記重りプレート15,重り付勢スプリン
グ16及び回転伝達機構31は、120度の等角度間隔
毎に3組設けられている。該各重りプレート15は、上
記カムプーリ9に植設されたピボットピン(揺動軸)1
4により揺動可能に軸支されており、該ピボットピン1
4と重りプレート15との間にはブッシュ15aが介挿
されている。上記付勢スプリング16の一端は上記重り
プレート15の先端に形成されたピン15cに掛止さ
れ、他端は上記カムプレート12に植設されたピン30
に掛止されており、上記重りプレート15の揺動角度を
小さくするよう付勢している。
【0029】上記回転伝達機構31は、重りプレート1
5に連結溝15bを形成し、該連結溝15b内にカムプ
レート12に植設された伝達ピン17を位置させ、該伝
達ピン17にスライダ13を回転可能に装着し、該スラ
イダ13の側面を上記連結溝15bの内面に摺接させた
構造となっている。
【0030】また、25は上記カムプーリ9にボルト2
6により着脱可能に取り付けられたアウタカバーであ
り、該アウタカバー25は、上記重りプレート15,重
り付勢スプリング16及び回転伝達機構31の外側面を
覆っている。
【0031】次に、本実施例の作用効果を説明する。ま
ず、エンジン停止中及び低速回転時には、図4に示すよ
うに、上記重りプレート15は上記スプリング16に付
勢されて揺動角零の位置に位置しており、その結果、カ
ムプレート12とカムプーリ9との位相差は零であり、
バルブ開閉タイミングは低速運転時のタイミングとなっ
ている。
【0032】上記低速時のタイミングでは、図6に示す
ように、排気弁11は下死点前θ2ex で開き、上死点後
θ1ex で閉じる。また吸気弁は上死点前θ1in で開き、
下死点後θ2in で閉じる。従って吸気弁,排気弁のオー
バーラップはθ1 であり、従来のバルブタイミング可変
機構を備えていない場合のオーバーラップθ0 より大き
くなっている。
【0033】次に、上記エンジン1の回転速度が図8
(b)のaより上昇し上記重りプレート15に作用する
遠心力が大きくなるに伴って、該重りプレート15は上
記スプリング16の付勢力に抗して、ピボットピン14
を中心に図示反時計回りに回動し、該重りプレート15
の回動が回転伝達機構31を介してカムプレート12に
伝達され、カムプレート12がカムプーリ9に対して相
対的に図示時計回り(図示矢印a)に回動する。
【0034】そして上記エンジン回転数が図8(b)の
bに達すると、図5に示すように、重りプレート15の
揺動角度は、その外周の先端部が上記アウタカバー25
の内面に当接する最大揺動角度βとなり、カムプレート
12とカムプーリ9との位相角はβ′となり、バルブタ
イミングは、排気弁11の開閉タイミングが進角する
(図8(b)参照)とともに吸気弁の開閉タイミングが
遅角する高速運転時のタイミングとなる。
【0035】上記高速運転時におけるバルブタイミング
では、図7に示すように、排気弁11はθ0ex 進角して
下死点前θ2ex ′で開き、上死点後θ1ex ′で閉じる。
また吸気弁はθ0in 遅角して上死点前θ1in ′で開き、
下死点後θ2in ′で閉じる。従って吸気弁開時のオーバ
ーラップはθ1 ′であり、これにより吸気弁開時のオー
バーラップ量は低速運転時のθ1から高速運転時のθ
1′に減少する。このθ1 ´は上記従来エンジンにおけ
るオーバラップθ0 より小さい。
【0036】このように本実施例では、エンジン回転数
の増加に伴ってバルブタイミングを2段階に変化させる
ようにしたので、低速時には可変装置なしの場合よりオ
ーバーラップ量を大きくするとともに、吸気弁の閉タイ
ミングを早くし、また高速時には可変装置なしの場合よ
りオーバーラップ量を小さくするとともに、吸気弁の閉
タイミングを遅くすることができ、その結果、図8
(a)に示すように、エンジンの低速運転域及び高速運
転域の両方においてトルクを増大できる。図8における
実線Dはバルブタイミングを変化させない場合のトルク
を示し、破線C1,C2は本実施例における低速運転
域,高速運転域のトルクを示し、両運転域においてトル
クを向上できることが判る。
【0037】そして本実施例では、バルブタイミングを
変化させる機構として、重りプレート15に作用する遠
心力により該重りプレート15を回動させるとともに、
該回動によってカム軸10に固定されたカムプレート1
2を相対回転させ、もってバルブタイミングを変化させ
るようにしたので、従来の油圧機構を用いたバルブタイ
ミング可変装置に比較して構造が極めて簡単であり、ま
た低コストである。
【0038】ここで本実施例における付勢スプリング1
6は、図9に実線Aで示すように、引張荷重とばね伸び
量とが比例するばね定数一定(直線特性)のものを採用
したが、この付勢スプリングとして、図9,図10に破
線B1〜B4で示すように、非直線特性のばね定数を備
えたものを採用することができる。このばね定数を適宜
選択することにより、所望のバルブ開閉タイミングの変
化特性を得ることができる。
【0039】例えば、破線B1,B3の特性を有する付
勢スプリングを選択した場合には、比較的低速回転側で
バルブタイミングが進角又は遅角側に変化し、破線B
2,B4の特性を有する付勢スプリングを選択した場合
には比較的高速回転側でバルブタイミングが進角又は遅
角側に変化することとなる。
【0040】次に、図11〜図14に基づいて請求項
2,4の発明の一実施例(第2実施例)の動弁装置のバ
ルブタイミング可変機構を説明する。図11は本実施例
機構の要部を模式的に示す一部断面正面図、図12は図
11のXII −XII 線断面図、図13はエンジン回転数と
位相角度との関係を示す特性図、図14はエンジン回転
数とトルクとの関係を示す特性図である。なお、図1〜
10と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0041】本実施例では、上記位相可変手段としての
回転伝達機構31を、上記カムプーリ9にピボット軸1
4によって軸支された上記重りプレート15に駆動歯車
19を該ピボット軸14を回転中心としかつ該重りプレ
ート15と共に回転するように設け、上記駆動歯車19
に噛合する従動歯車20をカム軸10を回転中心としか
つ上記カムプレート12共に回転するように設けた構造
としている。なお、27は上記従動歯車20の角度位置
の位置決め及び回り止め用のピンであり、該従動歯車2
0及び上記カムプレート12の両方に嵌合している。
【0042】また本実施例では、上記重りプレート15
の揺動角度を規制するストッパ18が設けられている。
このストッパ18は、アウタプレート25に形成された
取付ボス25aにケース18aを螺挿固定し、該ケース
18a内にストッパピン(ストッパ部材)18bを出没
可能に挿入配置するとともに、該ストッパピン18bを
ケース18a内に配設されたスプリング(ストッパ付勢
手段)18cにより、常にカム軸10方向に付勢した構
造のものである。これにより所定のエンジン回転数以下
の場合には上記重りプレート15の揺動角度を所定の角
度位置に規制するようになっている。
【0043】次に、本第2実施例機構の動作を説明す
る。図13に示すように、上記エンジン回転数が所定値
c以下の低速運転域では、重りプレート15の揺動角度
は零であり、バルブタイミングは低速運転時のタイミン
グである。エンジン回転数の増加に伴って上記重りプレ
ート15が上記スプリング16のばね力に抗して揺動
し、該重りプレート15とともに駆動歯車19が回転し
て上記従動歯車20を回転させ、これにより上記カムプ
レート12が相対的に回転し位相角度が変化する。
【0044】そしてエンジン回転数がdに達すると、上
記重りプレート15が上記ストッパピン18bに当接
し、バルブタイミングは中速運転時のタイミングとな
る。さらにエンジン回転数が増加し、所定値eに達する
と上記重りプレート15が上記スプリング18cのばね
力に抗して揺動し、さらに位相角度が変化し、エンジン
回転数f以上においてはバルブタイミングは高速運転時
のタイミングとなる。
【0045】このように本実施例では、ストッパ18の
ストッパピン18bをスプリング18cで付勢し、上記
重りプレート15の揺動角度を2段階で規制するように
したので、バルブ開閉タイミングを3段階に変化させる
ことができる。
【0046】このように本実施例では、エンジン回転数
の増加に伴ってバルブタイミングを3段階に変化させる
ようにしたので、図14に示すように、エンジンの低速
運転域,中速運転域及び高速運転域においてトルクを増
大できる。図14における実線Dはバルブタイミングを
変化させない場合のトルクを示し、破線E1,E2,E
3はそれぞれ本実施例における低速運転域,中速運転
域,高速運転域のトルクを示し、全ての運転域において
トルクを向上できることが判る。
【0047】なお、上記第2実施例では上記駆動歯車1
9,従動歯車20として全周に歯を有するものを示した
が、これらは図15に示すように、重りプレート15の
揺動角度に応じた範囲で歯を形成した駆動歯車33,従
動歯車34を採用することも勿論可能である。さらにま
た、図16に示すように非円形の駆動歯車35,従動歯
車36を採用することも可能である。これらはバルブタ
イミング変化特性に応じて適宜選択することとなる。
【0048】また重りプレート15の揺動角度を規制す
る構造としては、図15に示すように、アウタカバー2
5の端面25bに長孔25cを形成し、該長孔25c内
に重りプレート15に植設されたガイドピン15dを挿
入し、該ガイドピン15dと上記長孔25cの端部との
係止によって揺動角度を規制する。
【0049】
【発明の効果】以上のように請求項1の発明に係る動弁
装置のバルブタイミング可変機構によれば、重りプレー
トに働く遠心力によりカムプレートと駆動プレートとの
位相角度を変化させたので、油圧機構を不要にでき、構
造が簡単であるとともにコストを低減できる効果があ
る。
【0050】請求項2の発明によれば、重りプレート1
5を付勢する重り付勢手段16に加えて、ストッパ部材
18b、ひいては重りプレート15を付勢するストッパ
付勢手段18cを設けたので、バルブタイミングを3段
階に変化できる効果がある。
【0051】請求項3の発明によれば、カムプレート1
2,駆動プレート9の一方に軸支された重りプレート1
5と他方に植設されたピン17とを半径方向に相対移動
可能に連結したので、重りプレート15の揺動により位
相角度を変化させる位相可変手段を簡単な構造で実現で
きる効果がある。
【0052】請求項4の発明によれば、カムプレート1
2,駆動プレート9の一方に軸支された重りプレート1
5に駆動歯車19を、これに噛合する従動歯車20を他
方に設けたので、重りプレート15の揺動により位相角
度を変化させる位相可変手段を簡単な構造で実現できる
効果がある。
【0053】請求項5の発明によれば、複数の重りプレ
ート15を等角度間隔毎に設けたので、遠心力により発
生する重りプレートの揺動力を増大することができると
ともに、重りプレートのバランスがとれ、重りプレート
の装着によるカム軸の振動を防止できる効果がある。
【0054】請求項6の発明によれば、重り付勢手段1
6,ストッパ付勢手段18cの少なくとも一方を非線形
のばね定数を有するものとしたので、バルブタイミング
を、ばね定数の特性に応じて段階的に変化させることが
できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1,3,5,6の発明の一実施例(第1
実施例)機構が採用されたエンジンを模式的に示す構成
図である。
【図2】上記第1実施例機構の一部断面正面図である。
【図3】図2の III−III 線断面図である。
【図4】上記第1実施例機構の動作を説明するための正
面図である。
【図5】上記第1実施例機構の動作を説明するための正
面図である。
【図6】上記第1実施例機構による吸排気弁の開閉タイ
ミングを説明するための図である。
【図7】上記第1実施例機構による吸排気弁の開閉タイ
ミングを説明するための図である。
【図8】上記第1実施例機構によるトルク向上効果を説
明するための特性図である。
【図9】上記第1実施例機構のスプリング特性の変形例
を示す図である。
【図10】上記第1実施例機構のスプリング特性の変形
例を示す図である。
【図11】請求項2,4の発明の一実施例(第2実施
例)機構の要部を模式的に示す正面図である。
【図12】図11のXII −XII 線断面図である。
【図13】上記第2実施例機構によるエンジン回転数と
位相角度との関係を示す特性図である。
【図14】上記第2実施例機構によるトルク向上効果を
説明するためのエンジン回転数−トルク特性図である。
【図15】上記第2実施例機構の変形例の要部を模式的
に示す正面図である。
【図16】上記2実施例機構の他の変形例を示す正面図
である。
【符号の説明】
1 エンジン 2 バルブタイミング可変機構 6 クランク軸 9 カムプーリ(駆動プレート) 10 カム軸 12 カムプレート 15 重りプレート 16 スプリング(重り付勢手段) 18b ストッパピン(ストッパ部材) 18c スプリング(ストッパ付勢手段) 19 駆動歯車 20 従動歯車 31 回転伝達機構(位相可変手段)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カム軸と共に回転するカムプレートと、
    該カムプレートと同軸をなし相対回転可能にかつカムプ
    レートに回転力伝達可能に配設されクランク軸によって
    回転駆動される駆動プレートと、該駆動プレート又は上
    記カムプレートの何れかに揺動可能に軸支された重りプ
    レートと、該重りプレートを揺動角度を小さくする方向
    に付勢する重り付勢手段と、上記重りプレートの遠心力
    による揺動動作により上記カムプレートと駆動プレート
    との位相角度を変化させる位相可変手段とを備えたこと
    を特徴とする動弁装置のバルブタイミング可変機構。
  2. 【請求項2】 請求項1において、上記重りプレートの
    揺動角度を規制するストッパ部材を設け、該ストッパ部
    材を上記規制角度位置に付勢するストッパ付勢手段を設
    けたことを特徴とする動弁装置のバルブタイミング可変
    機構。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、上記位相可変
    手段が、上記カムプレート,駆動プレートの何れか一方
    に軸支された重りプレートと他方に植設されたピンとを
    半径方向に相対移動可能に連結した構造を備えているこ
    とを特徴とする動弁装置のバルブタイミング可変機構。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2において、上記位相可変
    手段が、上記カムプレート,駆動プレートの何れか一方
    に軸支された上記重りプレートに駆動歯車を該軸支点を
    中心軸としかつ該重りプレートと共に回転するように設
    け、上記駆動歯車に噛合する従動歯車をカム軸を中心と
    しかつ上記カムプレートと駆動プレートとの何れか他方
    と共に回転するように設けた構造を備えていることを特
    徴とする動弁装置のバルブタイミング可変機構。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4の何れかにおいて、複
    数の重りプレートが等角度間隔毎に設けられていること
    を特徴とする動弁装置のバルブタイミング可変機構。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5の何れかにおいて、上
    記重り付勢手段及びストッパ付勢手段がスプリングで構
    成されており、かつ少なくとも一方のばね定数が非線形
    特性を有していることを特徴とする動弁装置のバルブタ
    イミング可変機構。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018162776A (ja) * 2017-03-27 2018-10-18 本田技研工業株式会社 バルブタイミング制御装置
RU204898U1 (ru) * 2020-12-25 2021-06-17 Николай Иванович Хабрат Механизм, управляющий фазами газораспределения ДВС
RU205259U1 (ru) * 2021-02-16 2021-07-06 Николай Иванович Хабрат Механизм, управляющий фазами газораспределения ДВС

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