JPH08253318A - 透明導電材の形成方法 - Google Patents

透明導電材の形成方法

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JPH08253318A
JPH08253318A JP8336695A JP8336695A JPH08253318A JP H08253318 A JPH08253318 A JP H08253318A JP 8336695 A JP8336695 A JP 8336695A JP 8336695 A JP8336695 A JP 8336695A JP H08253318 A JPH08253318 A JP H08253318A
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Motoyuki Toki
元幸 土岐
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KANSAI SHIN GIJUTSU KENKYUSHO KK
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KANSAI SHIN GIJUTSU KENKYUSHO
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 液晶表示装置の透明電極ITO膜を、スパッ
タ法や蒸着法によった場合よりも低い温度で形成できる
方法を提供する。 【構成】 インジウムアルコキシドとスズアルコキシド
とを原料として非晶質のITOゾルを調製し、それに結
晶性ITO粉末を種結晶として添加し、ゾル−ゲル法を
応用してゲル化したITOゲルを加熱して結晶化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、液晶表示装置(LC
D)の透明電極膜などとして使用される透明導電材IT
O(In2O−SnO2(10%))を形成するための方
法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】液晶表
示装置の透明電極膜は、従来、スパッタ法や蒸着法を利
用し、ガラス基板上に結晶性ITOを薄膜状に付着させ
ることにより形成されている。このスパッタ法や蒸着法
による成膜では、基板が300〜500℃程度の温度に
加熱されている。これらの真空成膜方法では、装置コス
トが高くなることから、低コスト化の要望が強く、ゾル
−ゲル法のような湿式プロセスへの期待が大きい。
【0003】さらに、基板上には、配向膜やカラーフィ
ルタ膜のように有機系材料からなる膜が形成されてお
り、それらの耐熱性からの制約により、ITO成膜時の
温度を400℃以下、最も好ましくは250℃以下にす
ることができるような成膜方法が望まれている。
【0004】この発明は、上記要望に応えるためになさ
れたものであり、従来のスパッタ法や蒸着法によった場
合よりも低い温度でITO膜を形成することができる透
明導電材の形成方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明では、非晶質の
ITOゾルを調製し、それに結晶性のITOを種結晶と
して添加し、ゾル−ゲル法を応用してゲル化したITO
ゲルを加熱結晶化するようにした。すなわち、この発明
に係る透明導電材の形成方法は、インジウムアルコキシ
ドIn(OR)3とスズアルコキシドSn(OR’)
4(R、R’はいずれも炭素数1〜10のアルキル基で
ある)とを原料として調製されたITOゾル又はそれを
加水分解したITOゾルにITO種結晶を添加し、その
混合物を加熱してITOゲルを結晶化させることを要旨
とする。
【0006】上記方法において、ITO種結晶の添加割
合は、ITOゾルの10〜90%とすればよい。また、
ITOゾルにITO種結晶が添加された混合物を加熱す
る温度は、350℃以下とすればよい。
【0007】
【作用】上記した方法によると、ゾル−ゲル法によって
ITOゾルがゲル化され、そのITOゲルが加熱されて
結晶化されることにより、非晶質のITOゾル(非導電
性)から導電性を有する結晶性のITOが形成される。
この場合において、ITOゾルに結晶性ITOが種結晶
として添加されることにより、ITOゲルの結晶化が促
進され、結晶化温度が低下することとなる。
【0008】そして、ITO種結晶の添加割合をITO
ゾルの10〜90重量%とすれば、上記した結晶化の促
進に実効がある。また、ITOゾルにITO種結晶が添
加された混合物を加熱する温度を350℃程度にすれ
ば、ITOゲルから結晶性ITOが得られることとな
る。
【0009】
【実施例】以下、実験例を示しながら、この発明の好適
な実施例について説明する。
【0010】〔製法例〕エタノールアミンを添加して安
定化させたインジウムアルコキシドIn(OR)3とス
ズアルコキシドSn(OR’)4(R、R’は、炭素数
1〜10のアルキル基である)とを、例えばイソプロピ
ルアルコールを溶媒として混合する。インジウムアルコ
キシドとスズアルコキシドとしては、例えばインジウム
ブトキシドIn(OC493とスズブトキシドSn
(OC494とを使用する。インジウムブトキシドを
安定化させるために添加するエタノールアミンの量は、
インジウムブトキシドと等モルとする。また、インジウ
ムブトキシドとスズブトキシドとの混合割合は、モル比
でIn(OC493:Sn(OC494=10〜2
0:1とする。そして、インジウムブトキシドとスズブ
トキシドとを、その合計含有量が3重量%となるように
イソプロピルアルコールを溶媒として混合する。この混
合溶液を、窒素気流中において80℃の温度に3時間保
持して還流させる。これにより、複合アルコキシドIn
−O−Sn(OC49)xを成分として含有するITO
ゾルが調製される。
【0011】また、上記したようにイソプロピルアルコ
ールを溶媒としてインジウムブトキシドとスズブトキシ
ドとを混合した後、その混合溶液に等量の水を添加し、
上記と同様の操作を行なって加水分解することにより、
ITOゾルを調製するようにしてもよい。
【0012】次に、ITOゾルに結晶性ITO粉末を添
加し、コーティング溶液を調製する。結晶性ITO粉末
としては、市販品を使用すればよく、実験では、圧粉体
積抵抗値0.045Ωcm、粒径0.034μmのものを
用いた。また、結晶性ITO粉末の添加割合は、ITO
ゾルの10〜90重量%とすればよい。そして、調製し
たコーティング溶液を石英ガラス基板上にディプコート
(浸漬塗布)し、その石英ガラス基板を加熱してITO
を結晶化した。これにより、石英ガラス基板上にITO
薄膜が形成された。
【0013】〔試験例1〕上記製法例において、ITO
ゾルに対する結晶性ITO粉末の添加割合を20重量%
と50重量%とに変化させて2種類のコーティング溶液
を調製し、また、比較例として、ITOゾルに結晶性I
TO粉末を添加しないでコーティング溶液を調製し、そ
れぞれのコーティング溶液を別々に石英ガラス基板上に
ディップコートし、それぞれの石英ガラス基板を400
℃の温度に加熱した。そして、石英ガラス基板上に形成
されたITO薄膜の体積抵抗値をそれぞれ測定した。
【0014】測定の結果、結晶性ITO粉末の添加割合
を20重量%としたコーティング溶液をディップコート
して形成されたITO薄膜の体積抵抗値は0.5Ωcmで
あり、前記添加割合を50重量%としたときのITO薄
膜の体積抵抗値は0.3Ωcmであった。これに対し、結
晶性ITO粉末を添加しないときは、形成された薄膜の
体積抵抗値が10Ωcmであった。この結果から、ITO
ゾルに結晶性ITO粉末を添加してコーティング溶液を
調製することにより、ITOゲルの結晶化が明らかに促
進されることが分かった。また、結晶性ITO粉末の添
加割合と形成されたITO薄膜の体積抵抗値との間には
相関関係があり、結晶性ITO粉末の添加割合を大きく
する程、ITOゲルの結晶化が促進されることが分かっ
た。
【0015】〔試験例2〕上記製法例において、ITO
ゾルに対する結晶性ITO粉末の添加割合を50重量%
としたコーティング溶液を調製し、また、比較例とし
て、ITOゾルに結晶性ITO粉末を添加しないでコー
ティング溶液を調製し、それぞれのコーティング溶液を
別々に石英ガラス基板上にディップコートした。そし
て、石英ガラス基板の温度を室温から20℃/分の速度
で上昇させ、それぞれの薄膜について差動熱量測定(D
SC)した。
【0016】測定の結果、結晶性ITO粉末を添加した
コーティング溶液をディップコートして形成された薄膜
では、DSCサーモグラムに327℃の温度においてI
TOゲルの結晶転移を示すピークが認められた。これに
対し、結晶性ITO粉末を添加しないコーティング溶液
をディップコートして形成された薄膜では、360℃の
温度においてITOゲルの結晶転移を示すピークが認め
られた。この結果から、ITOゾルに結晶性ITO粉末
を添加してコーティング溶液を調製することにより、I
TOゲルの結晶化温度が引き下げられることが分かっ
た。
【0017】
【発明の効果】この発明は以上説明したように構成され
かつ作用するので、この発明に係る方法によれば、従来
から行なわれているスパッタ法や蒸着法による場合に比
べて、より低い温度で透明導電材ITO膜を形成するこ
とができる。このように、この発明は、ITO膜の低温
形成の可能性を示すものであり、液晶表示装置の製造分
野などにおいてその品質向上に寄与し得るものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インジウムアルコキシドIn(OR)3
    (R:炭素数1〜10のアルキル基)とスズアルコキシ
    ドSn(OR’)4(R’:炭素数1〜10のアルキル
    基)とを原料として調製されたITOゾルにITO種結
    晶を添加し、その混合物を加熱してITOゲルを結晶化
    させることを特徴とする透明導電材の形成方法。
  2. 【請求項2】 インジウムアルコキシドIn(OR)3
    (R:炭素数1〜10のアルキル基)とスズアルコキシ
    ドSn(OR’)4(R’:炭素数1〜10のアルキル
    基)とを原料として調製されたITOゾルを加水分解し
    てITO種結晶を添加し、その混合物を加熱してITO
    ゲルを結晶化させることを特徴とする透明導電材の形成
    方法。
  3. 【請求項3】 ITO種結晶の添加割合をITOゾルの
    10〜90重量%とした請求項1又は請求項2記載の透
    明導電材の形成方法。
  4. 【請求項4】 ITOゾルにITO種結晶が添加された
    混合物を加熱する温度が350℃以下である請求項1な
    いし請求項3のいずれかに記載の透明導電材の形成方
    法。
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Cited By (5)

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