JPH08248309A - 投写レンズおよび投写型表示装置 - Google Patents

投写レンズおよび投写型表示装置

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Publication number
JPH08248309A
JPH08248309A JP7319415A JP31941595A JPH08248309A JP H08248309 A JPH08248309 A JP H08248309A JP 7319415 A JP7319415 A JP 7319415A JP 31941595 A JP31941595 A JP 31941595A JP H08248309 A JPH08248309 A JP H08248309A
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JP
Japan
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lens
lens group
projection
light
polarization
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Application number
JP7319415A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinya Mito
真也 三戸
Yoshito Miyatake
義人 宮武
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 バックフォーカスが長く、色合成光学系及び
偏光ビームスプリッタを配置する空間を有し、歪曲収差
が小さく、かつ十分な解像度を有する投写レンズ、及び
この投写レンズを用いた高画質でコンパクトな投写型表
示装置を提供する。 【解決手段】 スクリーン側から順に、負パワーの第1
レンズ群と、第1レンズ群のパワーよりも弱いパワーの
第2レンズ群と、正パワーの第3レンズ群と、正パワー
の第4レンズ群と、少なくとも1つの透明プリズムと、
を備えた投写レンズであって、第1〜3レンズ群は主レ
ンズ群を構成し、第4レンズ群は補助レンズを構成す
る。第4レンズ群は、透明プリズムの第3レンズ群側の
面に近接または接して配置される。投写型表示装置は、
1つの主レンズ群、3つの補助レンズ、3つの偏光ビー
ムスプリッタ、及び主レンズ群と補助レンズとの間に配
置された色合成光学系を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ライトバルブ上に
形成された光学像をスクリーン上に拡大投写する投写レ
ンズ、およびこの投写レンズを用いた投写型表示装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】大画面映像を得る方法として、ライトバ
ルブに映像信号に応じた光学像を形成し、その光学像に
光を照射し投写レンズによりスクリーン上に拡大投写す
る方法が従来よりよく知られている。最近では、ライト
バルブとして液晶パネルを用いる投写型表示装置が注目
されている。
【0003】また、投写画像の高解像度化を図るため
に、液晶パネルの画素開口率を低下させることなく画素
数の大容量化が可能な反射型のライトバルブを用いる方
法を、Byung S. Hongらが米国特許4,191,456号で提案し
ている。反射型ライトバルブの場合、画素電極の間にス
イッチング素子を配置する必要がないので、画素ピッチ
を小さくでき、高密度化が容易である。従って、反射型
ライトバルブは、透過型に比べて、明るく、かつ高解像
度の投写画像が得られる。
【0004】反射型ライトバルブ100の基本構成例及
びその動作原理を、図1を参照して以下に説明する。反
射型ライトバルブ100は、2つのガラス基板1及び
7、ガラス基板1及び7上に各々形成された透明電極2
及び6、及び透明電極2及び6の間に挟持された「光導
電層3、光反射層4、及び光変調層としての液晶層5」
を有している。2つの透明電極2及び6の間には電圧が
印加されている。
【0005】画像源からの書き込み光8は、ガラス基板
1側から光導電層3に入射する。一方、読み出し光9は
ガラス基板7側から液晶層5に入射する。液晶層5に印
加される電圧は、光導電層3上に形成された書き込み画
像に応じて変化し、そのことにより、読み出し光9が変
調される。変調された読み出し光9は、光反射層4によ
って反射された後、投写画像としてスクリーン(図示せ
ず)上に投写される。なお、光変調層の材料としては、
強誘電性液晶や、ネマティック液晶などを用いることが
できる。
【0006】図2は、反射型ライトバルブ100を用い
た投写型表示装置200の基本構成例を示している。投
写型表示装置200において、光源11から出射する平
行光線に近い光12は、偏光ビームスプリッタ13によ
って、偏光ビームスプリッタ13を反射するS偏光成分
14と透過するP偏光成分15とに分離される。S偏光
成分14は読み出し光として反射型ライトバルブ100
に入射する。反射型ライトバルブ100は、液晶の複屈
折性を利用して読み出し光を変調する。
【0007】CRTなどの画像源17からの書き込み光
16は、書き込みレンズ18によって反射型ライトバル
ブ100の光導電層上に書き込み画像として結像され
る。この書き込み画像に応じた印加電圧によって液晶層
の複屈折性が変化し、所定の偏光方向を有する直線偏光
が読み出し光として入射したときに、反射光は楕円偏光
となる。従って、読み出し光として入射するS偏光成分
14は、反射型ライトバルブ100によってその一部が
P偏光成分に変換されて反射され、再び偏光ビームスプ
リッタ13に入射する。反射光に含まれるP偏光成分は
偏光ビームスプリッタ13を透過して投写レンズ19に
入射する。反射光に含まれるS偏光成分は偏光ビームス
プリッタ13によって反射されて光源11の方に進む。
このようにして、反射型ライトバルブ100の液晶層に
複屈折性の変化として形成された光学像は、投写レンズ
19によりスクリーン(図示せず)上に拡大投写され
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】フルカラーで、高輝
度、高解像度の投写画像を得るためには、赤用、緑用、
青用として3つの反射型ライトバルブを用いるとよい。
図3(a)〜3(c)は、3つの反射型ライトバルブ2
1a、21b、及び21cを用いた場合の、反射型ライ
トバルブから投写レンズまでの従来の基本的な3つの構
成例を示している。図3(a)は、赤用、緑用、及び青
用として、それぞれ3つの投写レンズ23a〜23c及
び偏光ビームスプリッタ22a〜22cを用いた場合の
構成210を示している。構成210においては、反射
型ライトバルブ21a、21b、及び21cと、投写レ
ンズ23a、23b、及び23cと間の空間には、偏光
ビームスプリッタ22a、22b、及び22c以外の光
学要素が介在しないため、コントラスト、明るさなどの
基本的な光学性能に及ぼす悪影響が少ない。さらに、投
写レンズ23a、23b、及び23cのバックフォーカ
スが比較的短いため、投写レンズの設計に有利である。
しかし、投写レンズを3つ用いることによって発生す
る、スクリーン上のカラーシェーディングや、コンバー
ジェンス調整の複雑さ、コスト高などの問題点は避けら
れない。
【0009】次に、図3(b)は、1つの投写レンズ2
7及び1つの偏光ビームスプリッタ26を用いた場合の
構成220を示している。図3(b)に示されるよう
に、実質的に1つの投写レンズ27を用いる場合、投写
レンズ27とライトバルブ21aから21cとの間に、
偏光ビームスプリッタ26だけでなく、更に、ライトバ
ルブからの出力光を1つに合成する色合成光学系(ダイ
クロイックミラー24及び25)が配置される。偏光ビ
ームスプリッタ26には白色光が入射する。この白色光
は、偏光ビームスプリッタ26を出射した後に2つのダ
イクロイックミラー24及び25によって、赤、緑、及
び青の3色光に分解され、各々対応する反射型ライトバ
ルブ21a、21b、及び21cに入射する。構成22
0においては、投写レンズ27及び偏光ビームスプリッ
タ26とも1つであるため、上述の構成210における
問題点は解消されて、部品点数が少なくコンパクトに投
写型表示装置を構成できる。
【0010】しかし、ダイクロイックミラー24及び2
5は、一般に、誘電体多層膜を利用しており、入射光の
位相を変化させる作用を有する。従って、構成220に
おいては、偏光ビームスプリッタ26と反射型ライトバ
ルブ21a、21b、及び21cとの間を進行する光の
偏光状態が、これらの間に配置されるダイクロイックミ
ラー24及び25によって理想的な状態から僅かに変調
されるため、投写画像のコントラスト性能が劣化すると
いう問題点が発生する。
【0011】図3(c)は、1つの投写レンズ28及び
3つの偏光ビームスプリッタ22a〜22cを用いた場
合の構成230を示している。反射型ライトバルブ21
a〜21cと投写レンズ28との間に、偏光ビームスプ
リッタ22a〜22cとダイクロイックミラー24及び
25とが配置されている点では構成220と同じである
が、ダイクロイックミラー24及び25は、反射型ライ
トバルブ21a〜21cと偏光ビームスプリッタ22a
〜22cとの間には介在していないため、構成210及
び220の問題を同時に解消できる。
【0012】しかし、3つの反射型ライトバルブ21a
〜21cの各々の光書き込み側に、CRTなどの画像源
(図示せず)と、その画像を反射型ライトバルブ21a
〜21cに書き込むための光学系(図示せず)とが配置
されるため、構成230の配置では、システム全体とし
て無駄な空間が生じ、コンパクトに投写型表示装置を構
成することが困難である。
【0013】構成230における上記問題を解決するた
めには、ライトバルブ21a〜21cの各光軸を平行に
する必要がある。そのためには、投写レンズ28とライ
トバルブ21a〜21cとの間に、光の進行方向を変化
させる手段を設けることが考えられる。その場合、投写
レンズ28からライトバルブ21a〜21cまでの間
に、偏光ビームスプリッタ22a〜22cとダイクロイ
ックミラー24及び25との他に、更に光の進行方向を
変化させる手段を設けるための空間が必要になり、投写
レンズのバックフォーカスは非常に長いことが要求され
る。
【0014】ところで、バックフォーカスfB が焦点距
離fより長い(即ち、焦点距離fに対するバックフォー
カスfBの比であるバックフォーカス比fB/fが大き
い)レンズ構成として、レトロフォーカス型の広角レン
ズが知られている(例えば、Jacob Moskovichによる米
国特許5,218,480号)。レトロフォーカス型のレンズ構
成においては、スクリーン側から順に、負パワーの前群
及び正パワーの後群が配置される。しかし、レトロフォ
ーカス型のレンズ構成においては、例えばバックフォー
カス比:fB /f≧4.0を実現するレンズ(半画角が
40゜以上の広角レンズ)は、焦点距離fが小さいた
め、2枚のダイクロイックミラーと偏光ビームスプリッ
タ、及び光の進行方向を変化させる平面ミラーなどの光
学素子を配置するのに必要は物理的空間を確保するだけ
のバックフォーカスfBを得ることは困難である。例え
ば、スクリーンの投射サイズ100インチ、投写距離3
mの条件を満たすレンズの半画角は20〜25゜の範囲
内となる。この範囲内の画角でかつバックフォーカス
比:fB /f≧4.0を満たすレンズは、写真レンズに
は例がなく、他の分野のレンズにおいても例がない。
【0015】この問題に対して、ダイクロイックミラー
24及び25などの光学系を配置する空間を全てガラス
または液体で満たしたプリズムにすれば、空気換算した
光路長が短くなるため、投写レンズの設計には多少有利
となる。しかし、プリズムの体積が非常に大きくなるの
で、ガラスプリズムの場合は飛躍的なコスト高となる。
また、液体プリズムの場合、コスト面では問題ないが、
屈折率の温度依存性が大きいため、長い光路長を液体が
占めるほど結像性能に悪影響を及ぼす結果となる。
【0016】さらに、バックフォーカス距離内に配置さ
れる偏光ビームスプリッタは、誘電体多層膜を利用した
タイプのものが一般的である。このタイプの偏光ビーム
スプリッタは、入射光の入射角に依存して光学性能が変
化し、この入射角依存性が投写画像のコントラストを劣
化させる要因となる。従って、画面全体のコントラスト
を良好にするためには、偏光ビームスプリッタ中を通過
する主光線が光軸と平行であること、つまりテレセント
リックであることが必要となる。
【0017】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、(1)バックフォー
カスが十分に長く、実質的なバックフォーカス比が4.
0以上と非常に大きく、ライトバルブ側でテレセントリ
ックであり、歪曲収差が小さく、かつ十分な解像度を有
する投写レンズを提供し、(2)この投写レンズを用い
ることにより、色合成光学系及び偏光ビームスプリッタ
を配置できる十分な空間を実現し、大画面、かつ高画質
の投写画像を表示するコンパクトな投写型表示装置を提
供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明による投写レンズ
は、スクリーン側から順に、負パワーの第1レンズ群
と、該第1レンズ群のパワーよりも弱いパワーの第2レ
ンズ群と、正パワーの第3レンズ群と、正パワーの第4
レンズ群と、少なくとも1つの透明プリズムと、を備え
ており、該第4レンズ群は、該透明プリズムの該第3レ
ンズ群側の面に近接または接して配置されており、その
ことにより上記目的が達成される。
【0019】上記投写レンズは、好ましくは、以下の条
件を満足する:
【0020】
【数14】
【0021】
【数15】
【0022】
【数16】
【0023】
【数17】
【0024】ただし、fは全系の合成焦点距離、fG1
は第1レンズ群の合成焦点距離、fG2は第2レンズ群の
合成焦点距離、fG4は第4レンズ群の合成焦点距離、d
G2は前記第2レンズ群と第3レンズ群との間の空気間
隔、dG3は前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間
の空気間隔である。
【0025】1つの実施の形態において、前記第1レン
ズ群は、前記スクリーン側から順に、凸面を該スクリー
ン側に向けた負メニスカスレンズと、凹面を該スクリー
ンの反対側に向けた負レンズとを有している。
【0026】1つの実施の形態において、前記第2レン
ズ群は、正レンズと負レンズとを有し、該負レンズのア
ッベ数よりも該正レンズのアッベ数が小さい。
【0027】1つの実施の形態において、前記第2レン
ズ群は、正レンズと負レンズとを接合した接合レンズで
あり、該負レンズのアッベ数よりも該正レンズのアッベ
数が小さい。
【0028】前記第3レンズ群が接合レンズを含んでい
てもよい。
【0029】前記第3レンズ群は、前記スクリーン側か
ら順に、負レンズ、正レンズ、正レンズ、及び正レンズ
を有していてもよい。
【0030】前記第4レンズ群は、前記スクリーン側に
向いた凸面を有する平凸レンズであってもよい。
【0031】前記平凸レンズの前記凸面は非球面であっ
てもよい。
【0032】前記第4レンズ群は、前記スクリーン側に
向いた凸面と、前記透明プリズムに接合された平面と、
を有する平凸レンズであってもよい。
【0033】1つの実施の形態において、前記第3レン
ズ群及び前記第4レンズ群の位置を固定し、前記第1レ
ンズ群及び前記第2レンズ群を光軸方向に移動すること
によってフォーカスが調整される。
【0034】前記透明プリズム中の主光線は、好ましく
は、前記第4レンズ群の光軸と略平行である。
【0035】1つの実施の形態において、上記投写レン
ズは、以下の条件を満足する:
【0036】
【数18】
【0037】ただし、fは全系の合成焦点距離、dG3
第3レンズ群と第4レンズ群との間の空気間隔、dP
透明プリズムの光軸方向の空気換算光路長である。
【0038】前記透明プリズムは、偏光分離面を備えた
偏光ビームスプリッタであってもよい。
【0039】1つの実施の形態において、前記第2レン
ズ群と前記第3レンズ群との間の空間には1つの平面ミ
ラーが配置されている。
【0040】本発明による投写レンズは、スクリーン側
から順に、負パワーの第1レンズ群、該第1レンズ群の
パワーよりも弱いパワーの第2レンズ群、及び正パワー
の第3レンズ群を有する主レンズ群と、同一の特性を有
する正パワーの3つの補助レンズと、3つの偏光ビーム
スプリッタであって、該3つの補助レンズが該第3レン
ズ群側の面にそれぞれ近接して配置または接合された透
明プリズムである、偏光ビームスプリッタと、2つのダ
イクロイックミラーと、1つまたは2つの平面ミラー
と、を備えている。該3つの偏光ビームスプリッタから
出射する光は、それぞれ対応する該3つの補助レンズに
入射し、該3つ補助レンズから出射する光は、該1つま
たは2つの平面ミラーと該2つのダイクロイックミラー
とによって1つに合成されて該主レンズ群に入射し、該
主レンズ群から該3つの補助レンズまでの3つの系がそ
れぞれ所定の結像特性を有しており、そのことにより上
記目的が達成される。
【0041】前記投写レンズは、好ましくは、上記の式
(1)〜(4)のの条件を満足する。ただし、式(4)
において、fG4は前記補助レンズの合成焦点距離であ
り、dG3は該第3レンズ群と該補助レンズとの間の空気
間隔である。
【0042】1つの実施の形態において、前記主レンズ
群、前記3つの補助レンズ、前記3つの偏光ビームスプ
リッタ、前記2つのダイクロイックミラー、及び前記1
つまたは2つの平面ミラーは、1つの筐体に収納され
る。
【0043】好ましくは、前記2つのダイクロイックミ
ラーの各反射面と、前記1つまたは2つの平面ミラーの
各反射面とは互いに平行である。
【0044】前記3つの補助レンズの各光軸は同一平面
上にあってもよい。
【0045】前記3つの補助レンズの各光軸は互いに平
行であってもよい。
【0046】前記3つの偏光ビームスプリッタの偏光分
離面が互いに平行であってもよい。好ましくは、前記3
つの偏光ビームスプリッタに入射する光はいずれもS偏
光である。
【0047】1つの実施の形態において、前記偏光ビー
ムスプリッタは、枠体と、入射窓または出射窓となる複
数の透明基板と、該枠体と該複数の透明基板とを含んで
構成される容器中に充填された透明液体と、該透明液体
中に配置された偏光分離面と、を有しており、該偏光分
離面は、透明板上に誘電体多層膜が積層されて形成され
ている。
【0048】好ましくは、前記透明液体の主成分はエチ
レングリコールである。
【0049】本発明による投写型表示装置は、3原色の
色成分を含む読み出し光を放射する光源と、該光源の放
射光を3つの原色光に分解する色分解手段と、3つの反
射型ライトバルブと、スクリーン側から順に、負パワー
の第1レンズ群、該第1レンズ群のパワーよりも弱いパ
ワーの第2レンズ群、及び正パワーの第3レンズ群を有
する主レンズ群と、同一の特性を有する正パワーの3つ
の補助レンズと、3つの偏光ビームスプリッタであっ
て、該3つの補助レンズが該第3レンズ群側の面にそれ
ぞれ近接して配置または接合された透明プリズムであ
る、偏光ビームスプリッタと、2つのダイクロイックミ
ラーと、1つまたは2つの平面ミラーと、を有する投写
レンズと、該反射型ライトバルブの各々の上に光学像を
形成する3つの光書き込み手段と、を備えている。該色
分解手段から出力される該3つの原色光は、該投写レン
ズの該3つの偏光ビームスプリッタを介して対応する該
反射型ライトバルブに入射し、該反射型ライトバルブの
各々によって反射される光は、再び対応する該偏光ビー
ムスプリッタを経て対応する該補助レンズに入射し、該
3つ補助レンズから出射する光は、該1つまたは2つの
平面ミラーと該2つのダイクロイックミラーとによって
1つに合成されて該主レンズ群に入射し、このことによ
り、該光書き込み手段によって該反射型ライトバルブ上
に形成される光学像が該スクリーン上に投写され、この
ことにより上記目的が達成される。
【0050】前記投写型表示装置の前記投写レンズは、
好ましくは、上記の式(1)〜(4)の条件を満足す
る。ただし、式(4)において、fG4は前記補助レンズ
の合成焦点距離であり、dG3は該第3レンズ群と該補助
レンズとの間の空気間隔である。
【0051】1つの実施の形態において、前記投写型表
示装置は、前記光源から前記偏光ビームスプリッタまで
の間の光路中に配置された少なくとも1つの前置偏光子
であって、その出射光の照度が、前記反射型ライトバル
ブ上において略最大となるように配置された前置偏光子
を有する。
【0052】もう1つの実施の形態において、前記投写
型表示装置は、前記色分解手段と前記偏光ビームスプリ
ッタとの間の光路中に配置された3つの前置偏光子であ
って、各前置偏光子の出射光の照度が、対応する該反射
型ライトバルブ上において略最大となるように配置され
た前置偏光子を有する。
【0053】前記前置偏光子は、枠体と、入射窓および
出射窓となる2つの透明基板と、該枠体と該2つの透明
基板とを含んで構成される容器中に充填された透明液体
と、該透明液体中に配置され、透明板上に誘電体多層膜
を積層して形成された少なくとも1つの偏光分離面と、
該透明液体中に配置された少なくとも1つの平面ミラー
と、を有する透明プリズムである場合がある。
【0054】前記透明液体の主成分は、好ましくは、エ
チレングリコールである。
【0055】前記前置偏光子は2つの偏光分離面と2つ
の平面ミラーとを備えており、該偏光分離面と該平面ミ
ラーとは、前記光源から出射する光の光軸に対して対称
になるように配置されていてもよい。
【0056】1つの実施の形態によれば、前記前置偏光
子において、前記偏光分離面は入射する光のうち所定の
偏光成分を反射し、前記平面ミラーは該反射された偏光
成分を反射し、該偏光分離面は、更に、該平面ミラーに
よって反射された偏光成分を反射し、そのことにより、
該反射された偏光成分は、該入射光の入射した側に進行
する。
【0057】前記偏光ビームスプリッタは、枠体と、入
射窓または出射窓となる複数の透明基板と、該枠体と該
複数の透明基板とを含んで構成される容器中に充填され
た透明液体と、該透明液体中に配置された偏光分離面
と、を有しており、該偏光分離面は、透明板上に誘電体
多層膜が積層されて形成されている場合がある。
【0058】好ましくは、前記透明液体の主成分はエチ
レングリコールである。
【0059】前記前置偏光子と前記偏光ビームスプリッ
タとは、該前置偏光子から出射する直線偏光が該偏光ビ
ームスプリッタにS偏光として入射するように配置され
る場合がある。
【0060】1つの実施の形態において、前記反射型ラ
イトバルブは、透明電極と、光導電層と、光反射層と、
光変調層とを備えており、該光変調層は、該光導電層に
書き込まれた画像の照度分布に応じて偏光特性が変化す
る。
【0061】前記光変調層の材料は液晶であり、該光変
調層は入射する光の偏光状態を変調することにより光学
像を形成する場合がある。
【0062】前記光書き込み手段は、画像形成手段と、
該画像形成手段上に形成された光学像を前記反射型ライ
トバルブ上に結像させる画像転写光学手段と、を備えて
いてもよい。
【0063】前記3つの補助レンズ、前記3つの反射型
ライトバルブ、及び前記3つの光書き込み手段の各光軸
は同一平面上にあり、互いに平行であり、かつ前記3つ
の偏光ビームスプリッタの偏光分離面が互いに平行であ
る場合がある。
【0064】
【発明の実施の形態】図4は、本発明による投写レンズ
を用いた、反射型ライトバルブから投写レンズまでの投
写光学系の構成240を示している。構成240は、図
3(c)に示される構成230に、2枚の平面ミラー2
9及び30を追加することにより、反射型ライトバルブ
21a〜21cの光軸が互いに平行になるようにしたも
のである。この構成240によれば、上記3つの従来の
構成210〜230における問題点を全て克服できる。
構成240を実現するためには、投写レンズ31と3つ
のライトバルブ12a〜21cとの間に、偏光ビームス
プリッタ22a〜22cと、3つのライトバルブ12a
〜21cからの出力光を1つに合成するための色合成光
学系とを配置するための十分な空間が必要である。投写
レンズ31は、このような空間を得るための非常に長い
バックフォーカスを有している。
【0065】例えば、反射型ライトバルブの有効表示領
域を2.5インチ(アスペクト比4:3)とした場合、
必要となるバックフォーカスは少なくとも300mm
(空気換算光路長)以上となる。さらに、仮に、スクリ
ーン投写サイズを100インチ、投写距離を3mとした
場合、バックフォーカスの条件は、上記物理的光路長を
満足し、かつ投写レンズの焦点距離fに対するバックフ
ォーカスfBの比(以下、バックフォーカス比とする)
は4.0以上であることが望ましい。しかし、上述のよ
うに、従来の投写レンズにはこのような物理的光路長及
びバックフォーカス比の条件を満足するものがなく、図
4に示されるような好ましい構成240を実現すること
ができなかった。
【0066】以下、本発明を実施の形態に基づいて説明
する。
【0067】(実施の形態1)本発明の実施例につい
て、添付の図面を参照しながら説明する。
【0068】まず、本発明の投写レンズ300の各レン
ズ群を薄肉レンズとして考え、図5(a)及び(b)を
参照してその作用を説明する。図5(a)及び(b)に
示すように、投写レンズ300は、負パワーの第1レン
ズ群G1、弱いパワーの第2レンズ群G2、第2レンズ
群G2から離れた位置にある正パワーの第3レンズ群G
3、第3レンズ群G3から離れた位置にある第4レンズ
群G4、及びプリズムPを備えている。
【0069】まず、図5(a)に示すように、投写レン
ズ300の第1レンズ群G1から第4レンズ群G4まで
の系に、光軸41に平行で光線高h1の光線42がスク
リーン(図示せず)側から入射する軸上光線の場合を考
える。
【0070】光線42は、負パワーの第1レンズ群G1
で発散光線43に変換される。発散光43が弱いパワー
の第2レンズ群G2を通過した後、発散光43の光線高
は高くなり、第3レンズ群G3において光線高h3とな
る。発散光43は、第3レンズ群G3のパワーが正であ
るため、第3レンズ群G3を出射した後、収束光線44
になる。収束光線44は、正パワーの第4レンズ群G4
によってさらに収束する光線45となって第4レンズ群
G4を出射する。
【0071】収束光線45が光軸41と交わる点が焦点
Fであり、光線42と収束光線45との交点46から光
軸41に下した垂線の足が主点Hとなる。主点Hから焦
点Fまでの距離が焦点距離fである。本発明の説明にお
いては、第1レンズ群G1から第3レンズ群G3までの
系を主レンズ群とし、第3レンズ群G3から焦点Fまで
の距離(第4レンズ群の光軸方向の厚さを除く)を主レ
ンズ群のバックフォーカスfBとして定義する。尚、プ
リズムPは、その屈折率によって投写レンズ300のバ
ックフォーカスfBの実質的な値に変化をもたらすた
め、プリズムP中の光路長は、プリズムP中の光軸方向
の物理的長さlPとプリズムPの屈折率nPとを用いて、
空気換算光路長dP=lP/nPによって表す。
【0072】投写レンズ300においては、第1レンズ
群G1と第2レンズ群G2との合成焦点距離が負パワー
であり、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔
が長いので、光線高の比h3/h1が大きくなり、主レン
ズ群のバックフォーカス比fB/fを大きくすることが
できる。
【0073】また、正パワーの第4レンズ群を第3レン
ズ群G3と焦点Fとの間に、しかも両側から離れた位置
に配置しているので、主レンズ群のバックフォーカスf
Bが非常に長い場合でも、第3レンズ群G3の有効径を
あまり大きくすることなく所望の有効口径比を得ること
ができる。
【0074】次に、図5(b)に示すように、スクリー
ン側から軸外主光線47が入射する場合について説明す
る。正パワーの第4レンズ群G4がプリズムPに近接し
ているので、第4レンズ群G4のレンズ面形状を適切に
選ぶことにより、プリズムP中の有効領域内の主光線4
8を光軸41とほぼ平行にすることができる。また、第
4レンズ群G4においては、軸上光線である収束光線4
5の光線高が低く(図5(a))、軸外主光線48の光
線高が高い。従って、第4レンズ群G4は、投写レンズ
300全系の球面収差をあまり変化させることなく、全
系の軸外収差を変化させることができる。特に、第4レ
ンズ群G4に非球面レンズを導入し、この非球面により
正の歪曲収差を発生させることにより、テレセントリッ
ク性を向上させることができるのと同時に、第4レンズ
群G4によって、第1レンズ群G1から第3レンズ群G
3までの系で発生する負の歪曲収差を補正して、全系の
歪曲収差を小さくすることができる。
【0075】また、弱いパワーの第2レンズ群G2は、
第1レンズ群G1との合成焦点距離を負パワーに保ちつ
つ、第1レンズ群G1で発生する歪曲収差、倍率色収差
などを補正し、全系の諸収差をバランス良く補正する役
割を持つ。
【0076】次に、本発明の投写レンズ300が望まし
い特性を実現するための条件について説明する。尚、上
記の説明の中にいくつかの数式が複数回現れているが、
同一の条件を表す数式には同一のかっこ付き番号(n)
を付して示している。
【0077】上記の数式(1)は、第1レンズ群G1の
合成焦点距離fG1を一定範囲に限定することにより、全
系の収差バランスを保ちながら、主レンズ群のバックフ
ォーカスを所望の値とするための条件を示している。第
1レンズ群の合成焦点距離fG1と全系の合成焦点距離f
との比fG1/fが下限値より小さい場合は、所望のバッ
クフォーカスを確保しようとすると、第2レンズ群G2
の負担が大きくなり、第2レンズ群G2で発生する諸収
差を第3レンズ群G3と第4レンズ群G4とで補正する
ことが困難となる。一方、比fG1/fが上限値より大き
い場合には、所望のバックフォーカスが得られるもの
の、第1レンズ群G1で発生する軸外収差を第2レンズ
群G2から第4レンズ群G4で補正することが困難とな
る。
【0078】上記の数式(2)は、数式(1)の条件を
満足させた上で、第1レンズ群G1の合成焦点距離fG1
と第2レンズ群G2の合成焦点距離fG2とのパワー配分
を一定範囲に限定する条件を示している。弱いパワーの
第2レンズ群G2は、第1レンズ群G1で発生する歪曲
収差や、倍率色収差、及びプリズムPで発生する諸収差
を補正する役割を有する。数式(2)の条件を満足させ
ることにより、全系の収差バランスを保ちながら、主レ
ンズ群のバックフォーカスを所望の値とすることができ
る。fG1・fG2/〔f(fG1+fG2)〕の値が下限値より小
さい場合は、全系の収差バランスを保ちながら所望のバ
ックフオーカスを得ることが困難となる。この項の値が
上限値より大きい場合には、第1レンズ群G1及び第2
レンズ群G2で発生する諸収差を第3レンズ群G3及び
第4レンズ群G4によって補正することが困難となる。
【0079】上記の数式(3)は、主レンズ群のバック
フォーカスを所望の値にすると同時に、周辺光量の低下
を防ぐための条件を示している。第2レンズ群と第3レ
ンズ群との間の空気間隔dG2と全系の合成焦点距離との
比dG2/fが下限値より小さい場合には、必要なバック
フォーカスを得ることが困難となる。無理にバックフォ
ーカスを長くしようとすると、第3レンズ群G3の負担
が大きくなり、全系の諸収差をバランス良く補正するこ
とが困難となる。一方、比dG2/fが上限値より大きい
場合には、バックフォーカスを長くする上では有利であ
るが、主レンズ群の全長が長くなるために周辺光量の低
下を避けられない。
【0080】周辺光量を増やすために第1レンズ群G1
の有効径を大きくすることもできるが、大幅なコスト高
を招く。また、周辺光量を増やすために第3レンズ群G
3の有効径を大きくすることもできるが、第3レンズ群
G3と第4レンズ群G4との間に配置する色合成光学系
の有効系も大きくなるため、色合成光学系を配置するこ
とが困難となる。従って、主レンズ群のバックフォーカ
スをさらに長くしなければならず、そうするとレンズ系
全体の諸収差をバランス良く補正することが困難とな
る。
【0081】数式(4)は、偏光ビームスプリッタであ
るプリズムPを通過する主光線が光軸とほぼ平行になる
ように、つまりテレセントリック性を良好にするための
条件である。一般に、誘電体多層膜を用いた偏光ビーム
スプリッタは光線の入射角により光学的特性が変化する
ので、有効領域内の主光線が同一の入射角で誘電体多層
膜面を通過しない場合には投写画像に画質むらを発生す
る。これを避けるためにはテレセントリック性を良好に
するとよい。fG4/dG3が下限値より小さい場合あるい
は上限値より大きい場合は、いずれもテレセントリック
性が不十分となるために、投写画像に画質のむらが発生
する。
【0082】次に、本発明の投写レンズを、具体的な実
施例に基づいて説明する。
【0083】図6は、第1の実施例による投写レンズ3
10の構成を示している。投写レンズ310の各レンズ
データを表す具体的数値を表1に示す。図6に示すよう
に、投写レンズ310は、第1レンズ群G1、第2レン
ズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、及び
偏光ビームスプリッタPを有している。図6において、
LVは反射型ライトバルブの読み出し側ガラス基板を示
している。投写レンズ310の全レンズ系における第i
レンズをLiで示している。
【0084】表1の中のrjは第j面の曲率半径、dj
は第j面から次の第j+1面までの間隔、nj 及びνj
はそれぞれ第j面から次の第j+1面までのe線におけ
る屈折率及びアッベ数である。ωはスクリーン側の半画
角、mは拡大倍率である。また、アスタリスク「*」を
付したレンズ面は非球面であり、その断面形状は以下の
数式(6)で与えられる。
【0085】
【数19】
【0086】ただし、Sはレンズ面の高さhにおけるサ
グ量、hは光軸からの高さ、κj は円錐定数、αj
βj、γj、及びδjは、それぞれ4次、6次、8次、及
び10次の非球面係数である。
【0087】
【表1】
【0088】図6に示されるように、スクリーン側から
順に、第1レンズL1はスクリーン側に凸面を向けた負
メニスカスレンズ、第2レンズL2はスクリーン側に平
面を向けた平凹レンズ、第3レンズL3は両凸レンズ、
第4レンズL4は両凹レンズ、第5レンズL5は両凹レン
ズ、第6レンズL6は両凸レンズ、第7レンズL7はスク
リーン側に凹面を向けた正メニスカスレンズ、第8レン
ズL8は両凸レンズ、そして第9レンズL9はスクリーン
側に凸面を向けた平凸レンズである。第3レンズL3
第4レンズL4とを接合し、第5レンズL5と第6レンズ
6とを接合している。第9レンズL9の凸面は非球面で
あり、第9レンズL9の平面側はプリズム状の偏光ビー
ムスプリッタPと接合されている。
【0089】偏光ビームスプリッタP(詳細な構成は後
述する)は、第4レンズ群G4と接する厚さ2mmの透
明ガラス基板と反射型ライトバルブ側の厚さ2mmの透
明ガラス基板との間に透明液体を充填したプリズムであ
る。また、反射型ライトバルブの読み出し側ガラス基板
LVは、厚さ2.2mmの透明ガラス基板であり、スク
リーン側の面には反射防止膜が形成されている。偏光ビ
ームスプリッタPの光軸方向の全長は、反射型ライトバ
ルブの読み出し側ガラス基板LVの厚さよりも充分に長
い形状となっている。
【0090】第1レンズL1及び第2レンズL2の2枚で
第1レンズ群G1が構成され、第3レンズL3及び第4
レンズL4の2枚で第2レンズ群G2が構成され、第5
レンズL5から第8レンズL8までの4枚で第3レンズ群
G3が構成され、第9レンズL9で第4レンズ群が構成
されている。各レンズ群の間には比較的長い空気間隔が
設けられている。また、第2レンズ群G2と第3レンズ
群G3との間、および第3レンズ群G3と第4レンズ群
G4との間には、それぞれF値、軸外上光線、及び軸外
下光線を規制するための絞り(図示せず)が設けられて
いる。第1レンズ群G1から第3レンズ群G3までの系
を主レンズ群、第4レンズ群を補助レンズと呼ぶことに
する。
【0091】本発明の投写レンズ310の構成は、長い
バックフォーカスを確保するために、一般に広角レンズ
(一般に半画角が約30゜以上のレンズ)用の構成とし
て用いられるレトロフォーカス型を基本としている。し
かし、表1に示すスクリーン側の半画角ωからもわかる
ように、本発明の投写レンズ310は、広角レンズに比
べて画角が小さく、広角レンズの範疇に属さない。本発
明の投写レンズ310の半画角ωの値は、25°以下、
好ましくは23〜24°、更に好ましくは、23.3〜
23.8°の範囲である。
【0092】レトロフォーカス型レンズ構成は、歪曲収
差と倍率色収差の補正が容易でないことが知られてい
る。本発明の投写レンズ310の構成においては、長い
バックフォーカスを確保するために、第1レンズ群G1
は、2つの負レンズから構成され、強い負パワーを有し
ている。第1レンズ群G1で発生する歪曲収差及び倍率
色収差は、正レンズと負レンズで構成される弱いパワー
の第2レンズ群によって補正される。第2レンズ群G2
は、正レンズと、正レンズのアッベ数より大きいアッベ
数を有する負レンズとで構成される。
【0093】また、第2レンズ群G2及び第3レンズ群
G3に接合レンズを用いて2つの接合面のバランスを調
整することにより、軸上色収差と倍率色収差とをバラン
ス良く補正している。第2レンズ群G2によって第1レ
ンズ群G1で発生する色収差の大半を補正するために、
第2レンズ群G2を正レンズと負レンズの2枚で構成
し、負レンズのアッベ数に比べて正レンズのアッベ数を
小さくしている。また、第1レンズ群G1と第2レンズ
群G2との間の空気間隔は、第1レンズ群G1を構成す
る負レンズL1及びL2の中心厚よりも長くするとよい。
こうすることにより、第1レンズ群G1で発生する軸外
収差を第2レンズ群G2でよりバランスよく補正するこ
とができる。
【0094】第3レンズ群G3は、スクリーン側から順
に、負、正、正、正のパワーのレンズが配置され、全体
として正パワーを有している。第3レンズ群G3は、第
1レンズ群G1によって発散光となった光を収束光に変
換すると共に、第1レンズ群G1及び第2レンズ群G2
で発生する諸収差を補正し、全系の収差バランスを良好
にする機能を有する。しかも、主レンズ群のバックフォ
ーカスを長くするために、第3レンズ群G3の主点をで
きる限りライトバルブ側に位置させる必要がある。そこ
で、第5レンズL5と第6レンズL6とによる接合レンズ
をスクリーン側に凹面を向けた正メニスカスレンズと
し、第8レンズL8の正パワーを強くしている。第3レ
ンズ群G3を4枚構成とすれば、全系の諸収差をバラン
ス良く補正できる。
【0095】本発明のように主レンズ群のバックフォー
カス比を大きくしようとすると、第1レンズ群G1の負
レンズの凹面の曲率半径が小さくなり、そのためにペッ
ツバール和は補正過剰となりやすい。そこで、第1レン
ズ群G1及び第2レンズ群G2においては、負レンズは
低屈折率に、正レンズは高屈折率にするとよい。そうす
ると、有効径の大きい第1レンズ群G1及び第2レンズ
群G2に用いる負レンズとして比較的安価な硝材を選択
できるので、コスト面で有利になる。
【0096】第4レンズ群G4は、第3レンズ群G3と
の間に長い空間を設けて配置される。後に詳述するよう
に、色合成光学系(ダイクロイックミラー及び平面ミラ
ー)は、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間の
空間に配置される。第4レンズ群G4は、第3レンズ群
を通過した収束光を更に収束させ、第3レンズ群の外径
を大きくすることなく、十分なFナンバが得られるよう
にする機能を有する。第4レンズ群G4は、更に、軸外
光の各主光線が、偏光ビームスプリッタP中において光
軸とほぼ平行となるようにして、テレセントリック性を
良好にする機能を有する。
【0097】第4レンズ群G4の全長が長いと色合成用
のダイクロイックミラー2枚及び平面ミラーの配置が困
難となるため、第4レンズ群は、スクリーン側に凸面を
向けた正パワーを有する1枚のレンズで構成し、その外
周を長方形状としている。また、第4レンズ群G4は、
主レンズ群で発生する負の歪曲収差の補正をさらに良好
にし、かつテレセントリック性を向上させるため、スク
リーン側の凸面を非球面としている。第4レンズ群のラ
イトバルブ側の面は平面としているが、これは偏光ビー
ムスプリッタ(プリズム)Pと接合して一体化すること
により、鏡筒への組み込み時の組立容易性と精度を確保
するためである。第4レンズ群のレンズは、量産性を確
保するために、レンズの材料としてアクリル樹脂を用
い、成形加工により製作するとよい。
【0098】図7(a)〜(d)は、表1に示したレン
ズデータを有する投写レンズ310の収差を示し、図7
(e)は、偏光ビームスプリッタP中のテレセントリッ
ク性示している。各収差図は、基準波長がe線(546.07
nm)の光を用いた場合について示している。図7(a)
において、横軸は収差量、縦軸はFナンバであり、実線
が球面収差、破線が正弦条件を示している。図7(b)
において、横軸は像面湾曲量、縦軸は画角であり、実線
がサジタル光線、破線がメリディオナル光線を示してい
る。実線と破線との差が非点収差である。図7(c)に
おいて、横軸は歪曲収差量、縦軸は画角である。図7
(d)において、横軸は球面収差量、縦軸はFナンバで
あり、実線がe線、破線がF(486.13nm)を示してい
る。実線と破線との差が、e線及びF線の軸上色収差で
ある。また、図7(e)においては、横軸は主光線と光
軸とのなす角度、縦軸は画角である。なお、これらの収
差図においては、偏光ビームスプリッタとしてのプリズ
ムP、および反射型ライトバルブの出射側ガラス基板L
Vによる収差も含まれている。
【0099】図7(a)〜(e)から分かるように、投
写レンズ310の諸収差はバランス良く補正されてい
る。投写レンズ310の半画角ω=23.3°、F値は
4.0であり、反射型ライトバルブを用いる投写型表示
装置に用いるのに十分なレベルである。また、図7
(e)のテレセントリック性は、反射型ライトバルブ側
の空気中における角度を示しており、偏光ビームスプリ
ッタP中ではさらに小さい角度となる。図7(e)から
わかるように、偏光ビームスプリッタPを通過する主光
線が光軸となす角度は有効表示領域内で±0.3°以下
となっている。また、投写レンズ310の最大画角にお
ける開口効率は90%以上であり、周辺光量も十分に確
保されている。
【0100】第1レンズ群G1から第3レンズ群G3ま
での主レンズ群の実質的なバックフォーカス中に、色合
成光学系のダイクロイックミラー2枚と平面ミラー1
枚、及び偏光ビームスプリッタを配置するためには、
4.0≦(dG3+dP)/f≦5.0(上述の式(5))
で表される条件を満足することが望ましい。尚、この式
において、レンズ全系の合成焦点距離をf、第3レンズ
群G3と第4レンズ群G4との間の空気間隔をdG3、偏
光ビームスプリッタ中の空気換算光路長をdPとしてい
る。
【0101】第1の実施例による投写レンズ310は、
主レンズ群のバックフォーカス中に第4レンズ群G4で
ある補助レンズを挟んで、上記の式(5)の条件を満た
しており、上記の色合成光学系と偏光ビームスプリッタ
とを配置できる充分な空間を有する。
【0102】次に、本発明の投写レンズを他の実施例に
基づいて説明する。
【0103】図8、図9、及び図10は、各々、第2、
第3、および第4の実施例による投写レンズ320、3
30 及び340の構成を示している。投写レンズ32
0、330 及び340の各々における各レンズデータ
を表す具体的数値を表2、表3、及び表4に示す。図1
1、図12、及び図13は、投写レンズ320、330
及び340の収差図である。各図及び表における記号
は第1の実施例と同様である。
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
【0106】
【表4】
【0107】図8に示される第2の実施例による投写レ
ンズ320においては、第1の実施例による投写レンズ
310を基本にして、第2レンズ群G2を負正のレンズ
構成としている。図9に示される第3の実施例による投
写レンズ330は、第1の実施例による投写レンズ31
0を基本にして、第2レンズ群G2の2枚のレンズを分
離した構成を有している。また、投写レンズ320及び
330においては、第2レンズ群G2は弱い正パワーと
なっている。
【0108】図10に示される第4の実施例による投写
レンズ340は、第1の実施例による投写レンズ310
を基本にして、主レンズ群のバックフォーカスをさらに
長くした構成を有している。投写レンズ340は、投写
レンズ310に比べて、第1レンズ群G1の負パワーが
強く、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔d
G1、および第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間
隔dG2がいずれも長くなっている。
【0109】第2、第3、および第4の実施例による投
写レンズは、いずれも第1の実施例と同様に、第2レン
ズ群G2と第3レンズ群G3との間の空気間隔が非常に
長く、図11、図12、及び図13からわかるように諸
収差も良好に補正されている。投写レンズ320〜34
0において、第1レンズ群G1から第3レンズ群G3ま
での主レンズ群の実質的なバックフォーカスは、すべて
数式(5)の条件を満たしている。
【0110】また、偏光ビームスプリッタP中を通過す
る主光線が光軸となす角度も、すべての実施例におい
て、有効表示領域内で±0.5°以下である。従って、
これらの投写レンズを後述の投写型表示装置に用いた場
合には、画質むらの少ない投写画像を表示できる。
【0111】なお、以上の実施例による投写レンズ31
0〜340のフォーカス調整は、第3レンズ群G3、第
4レンズ群G4、及び偏光ビームスプリッタPを固定
し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2とを同時に移
動させるようにすればよい。
【0112】また、以上の実施例の投写レンズ310〜
340は、いずれも第2レンズ群G2と第3レンズ群G
3との間の空気間隔が長いことを特徴としている。従っ
て、図14に示すように、第2レンズ群G2と第3レン
ズ群G3との間の空間に平面ミラーMを配置し、主レン
ズ群全体がL字となるように構成することもできる。本
発明の投写レンズは、主レンズ群が比較的長い構成とな
るため、投写型表示装置に用いる場合、このようなL字
構成とすればセット全体をよりコンパクトにすることが
できる。
【0113】図15は、反射型ライトバルブを用いた投
写型表示装置に用いるため、上記各実施例で説明した投
写レンズに、更に色合成光学系を導入した投写レンズ4
00の構成を示している。図15に示すように、投写レ
ンズ400は、反射型ライトバルブ51a、51b、及
び51c、偏光ビームスプリッタ52a、52b、及び
52c、第4レンズ群G4である補助レンズ53a、5
3b、及び53c、平面ミラー54及び55、ダイクロ
イックミラー56及び57、及び第1レンズ群G1から
第3レンズ群G3までの主レンズ群58を有している。
平面ミラー54及び55、及びダイクロイックミラー5
6及び57の反射面は、すべて互いに平行に配置されて
いる。
【0114】反射型ライトバルブ51a〜51c、偏光
ビームスプリッタ52a〜52c、及び補助レンズ53
a〜53cは、各々、赤、緑、及び青用に3つ配置され
ている。偏光ビームスプリッタ52a〜52cと対応す
る補助レンズ53a〜53cとはそれぞれ接合されてい
る。本発明の投写レンズ400は、長いバックフォーカ
スを実現することにより、色合成光学系のダイクロイッ
クミラー56及び57の他に平面ミラー54及び55を
も配置できるだけの十分な空間を有している。従って、
図15に示すように、3つの補助レンズ53a〜53
c、偏光ビームスプリッタ52a〜52c、及び反射型
ライトバルブ51a〜51cの光軸を同一平面状で互い
に平行になるようにし、偏光ビームスプリッタ52a〜
52cの偏光分離面が互いに平行となるように構成でき
るため、投写型表示装置のセット全体をコンパクトにま
とめることができる。
【0115】図15に示されるように、投写レンズ40
0において、反射型ライトバルブ51a〜51cよって
形成された3つの光学像は、それぞれ偏光ビームスプリ
ッタ52a〜52c、及び補助レンズ53a〜53cを
通過した後、平面ミラー54及び55、及びダイクロイ
ックミラー56及び57によって1つの像に合成され、
主レンズ群58によってスクリーン(図示せず)上に投
写される。
【0116】以下に、本発明の投写型表示装置を実施例
に基づいて説明する。
【0117】図16は、1つの実施例による本発明の投
写型表示装置500の構成を示している。投写型表示装
置500において、反射型ライトバルブ51a、51
b、及び51c、偏光ビームスプリッタ52a、52
b、及び52c、補助レンズ53a、53b、及び53
c、平面ミラー54及び55、ダイクロイックミラー5
6及び57、及び主レンズ群58は、図15に示される
投写レンズ400と同様のものを用いている。
【0118】投写型表示装置500において、光源61
は、3原色の色成分を含む光を放射する。コールドミラ
ー62は可視光を反射し、赤外光を透過させる。光源6
1からの放射光は、コールドミラー62によって可視光
のみが反射され、反射された光は、3枚のダイクロイッ
クミラー63、64、及び65から構成される色分解光
学系によって、赤、緑、及び青の原色光に分解される。
各原色光は、それぞれ前置偏光子66a、66b、及び
66cに入射し、いずれも略直線偏光となって出射す
る。略直線偏光となった原色光は、読み出し光として、
各々ミラー67a、67b、及び67cを経て偏光ビー
ムスプリッタ52a、52b、及び52cに入射し、各
々対応する反射型ライトバルブ51a、51b、及び5
1c側に反射される。反射型ライトバルブ51a〜51
cは、図1で説明した反射型ライトバルブ100と同じ
ような基本構成のものを用いている。
【0119】一方、投写型表示装置500において、C
RT68a、68b、及び68c、及び書き込みレンズ
69a、69b、及び69cは、光書込手段として構成
される。CRT68a〜68c上に形成された画像(書
き込み光)は、書き込みレンズ69a〜69cによっ
て、対応する反射型ライトバルブ51a〜51cの光導
電層上に書き込み画像として結像される。反射型ライト
バルブ51a〜51cの各々は、光導電層上に形成され
た画像に応じて、光変調層である液晶層に入射する直線
偏光の読み出し光を楕円偏光に変調する。変調された読
み出し光は、反射型ライトバルブ51a〜51cの光反
射層によって反射されて、再び偏光ビームスプリッタ5
2a〜52cに入射する。偏光ビームスプリッタ52a
〜52cによって反射される偏光成分は光源61側に進
行し、偏光ビームスプリッタ52a〜52cを透過する
偏光成分は補助レンズ53a〜53cに入射する。
【0120】補助レンズ53a〜53cからの出射光
は、平面ミラー54及び55とダイクロイックミラー5
6及び57とを組み合わせた色合成光学系によって1つ
の光に合成される。合成された光は主レンズ群58に入
射する。主レンズ群58は、スクリーン(図示せず)側
から順に第1レンズ群、第2レンズ群、及び第3レンズ
群を有している。これらのレンズ群は、図6などで説明
した示した本発明の投写レンズ310〜340における
第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、及び第3レンズ
群G3に対応する。補助レンズ53a、53b、及び5
3cは、同一であり、投写レンズ310〜340におけ
る第4レンズ群G4に対応する。3つの反射型ライトバ
ルブ51a〜51c上の光学像は、主レンズ群58と補
助レンズ53a〜5cとによって、離れた位置にあるス
クリーン(図示せず)上に拡大投写される。
【0121】主レンズ群58、色合成用の平面ミラー5
4及び55、ダイクロイックミラー56及び57、及び
互いに接合している3つの補助レンズ53a〜53c及
び偏光ビームスプリッタ52a〜52cを1つの鏡筒に
収納するとよい。このことにより、補助レンズ53a〜
53cから主レンズ群58までの光学系を精度良く組み
立てることができる。ミラー54及び55と、ダイクロ
イックミラー56及び57とは、本発明の投写レンズの
構成に含まれる。
【0122】次に、図17を参照して、照明光学系51
0の構成を説明する。図16には示されていないが、好
ましくは、光源61からの放射光が反射型ライトバルブ
51を照明するまでの光路中に、図17に示すようにリ
レーレンズ74及び75が配置される。反射型ライトバ
ルブ51は、図15に示される反射型ライトバルブ51
a〜51cと同じものである。
【0123】図17には示していないが、第1のリレー
レンズ74と第2のリレーレンズ75との間には、図1
5に示すダイクロイックミラー63〜65(色分解光学
系)、前置偏光子66a〜66c、及びミラー67a〜
67cが配置され、第2のリレーレンズ75と反射型ラ
イトバルブ51との間には、偏光ビームスプリッタ52
a〜52cが配置される。光源61はランプ71と楕円
面鏡72とで構成される。ランプ71はキセノンランプ
であり、3原色の色成分を含む光を放射する。楕円面鏡
72はガラス製であり、反射面にアルミニウム薄膜層が
コーティングされている。なお、楕円面鏡72の光反射
面には、赤外光を透過させ可視光を反射する多層膜が蒸
着されていてもよい。
【0124】図17に示すように、ランプ71の放射光
511は、楕円面鏡72で反射され、コールドミラー6
2によって赤外光が除去されてから、楕円面鏡72の第
2焦点73に集光する。集光した光512は、第2焦点
73を通過した後発散光513となり、さらに第1のリ
レーレンズ74によって平行に近い光514に変換され
る。誘電体多層膜を用いたダイクッロイックミラーは光
線の入射角依存性によって分光性能が変化する特性を持
つので、ダイクロイックミラーを通過する光はできるだ
け平行光であることが望ましい。平行に近い光514
は、第2のリレーレンズ75によって再び集光され(光
515)、反射型ライトバルブ51を照明する。リレー
レンズ74及び75は、楕円面鏡72の第2焦点73に
結像されたランプ71の像を、反射型ライトバルブ51
の有効表示用域に対応する拡大倍率で効率よく照明する
役割を有する。
【0125】なお、図17では第1のリレーレンズ74
を2枚のレンズで構成しているが、1枚、または3枚以
上のレンズを用いてもよい。また、第2のリレーレンズ
75は、図16に示される、色分解光学系(ダイクロイ
ックミラー63〜65)と前置偏光子66a〜66cと
の間、または前置偏光子66a〜66cと光線を偏光ビ
ームスプリッタ52a〜52cに導くためのミラー67
a〜67cとの間に配置しても良い。さらに、本実施例
では、ランプとしてキセノンランプを用いたが、他にメ
タルハライドランプやハロゲンランプなどを用いてもよ
い。
【0126】以下に、前置偏光子66の詳細な構成を図
18を参照して説明する。前置偏光子66は、図16に
示す前置偏光子66a、66b、及び66cと同じもの
である。図18に示されるように、前置偏光子66にお
いては、ガラス基板で形成された入射窓82及び出射窓
83を有する枠体81に、液体86、87、及び88が
封入されている。
【0127】枠体81の内側にはジグザクの溝が形成さ
れ、その溝に偏光選択性を有する偏光分離ミラー84a
及び84bと、ミラー85a及び85bの各々の端部が
挿入され、これらのミラー84a〜85bの断面がジグ
ザグになるように配置されている。枠体81、入射窓8
2、出射窓83、偏光分離ミラー84a及び84b、お
よびミラー85a及び85bによって構成される容器の
空間に、液体86〜88が充填されている。偏光分離ミ
ラー84a及び84bは、誘電体多層膜をガラス基板上
に蒸着して形成されている。偏光分離ミラー84a及び
84bの偏光分離面となる誘電体多層膜面は、周囲に封
入された液体86、87、及び88と密着することによ
り偏光分離性能を示す。
【0128】前置偏光子66に用いる液体86〜88
は、透明であること、光学特性が均一であること、凝固
点が低いこと、沸点が高いこと、安価であることなどが
要求される。上記条件をほぼ満足する液体として、本実
施例ではエチレングリコール55重量%、ジエチレング
リコール30重量%、グリセリン15重量%の3種混合
液を用いている。この3種混合液は、光学性能が良好で
あり、しかも凝固点が−52゜C、沸点が+198゜C
と、本実施例の投写型表示装置の使用環境では問題なく
使用できる。また、コストも安価であり、ガラスプリズ
ムを用いた場合に比べて、重量、コストともに圧倒的に
有利である。
【0129】前置偏光子66に用いる液体としては、こ
の他に、エチレングリコールを主成分として上記3種類
液体の混合比を変えたものや、純エチレングリコール、
またはエチレングリコール水溶液などを用いてもよい。
但し、水溶液は枠体81の材質がアルミニウムの場合、
アルミニウムと水との反応により酸化アルミニウムが析
出し、液体が次第に白濁する場合があるので注意を要す
る。また、組立時には液体であるが組み立て完了後は固
体またはゲル状となる材料(例えば信越化学工業(株)
ゲル状透明シリコーン樹脂KE1051)などを用いて
もよい。
【0130】偏光分離ミラー84a及び84bは、ガラ
ス基板上に低屈折率膜層と高屈折率膜層とを交互が積層
された誘電体多層膜を蒸着して形成されており、P偏光
の透過率が最大となるブリュースタ角と誘電体多層膜の
干渉効果とを利用したタイプを採用している。このタイ
プの偏光分離ミラーは、外部媒質の屈折率をnM、低屈折
率層の屈折率をnL、高屈折率層の屈折率をnHとして、
光線の最適入射角θMは次式(7)で求められる。
【0131】
【数20】
【0132】式(7)の条件を満足させながら誘電体多
層膜の層数を増やすことによって、P偏光の透過率を1
00%に保ちながらS偏光の反射率を高くすることがで
きる。
【0133】本実施例の偏光分離ミラー84a及び84
bは、低屈折率膜としてフッ化マグネシウム(屈折率
1.39)、高屈折率膜として二酸化チタン(屈折率
2.30)を用いている。液体86〜88の屈折率は
1.4415であるので、上式(7)より、最適な光線
入射角は、55.6゜となる。従って、偏光選択性ミラ
ー84a及び84bは、光軸89となす角度が34.4
゜となるように傾けて配置されている。誘電体多層膜は
13層構成である。誘電体多層膜の膜厚は、S偏光の反
射率ピークが入射する3原色光のそれぞれの中心波長と
なるように設定している。
【0134】また、偏光分離ミラー84a及び84bの
ガラス基板の両面に、S偏光成分の反射波長帯域が異な
る誘電体多層膜(例えば、一方の面に第1の誘電体多層
膜、他方に第2の誘電体多層膜)を形成することによ
り、全体としてS偏光の反射波長帯域をより広帯域化で
きる。こうすることにより、広帯域の波長を有する光が
入射した場合でも、前置偏光子66を良好に機能させる
ことができる。従って、図16に示すような3つの前置
偏光子66a〜66の代わりに、コールドミラー62と
ダイクロイックミラー57との間の光路に1つの前置偏
光子を配置して用いることもできる。
【0135】上記タイプの偏光分離ミラーは、誘電体多
層膜を構成する低屈折率層と高屈折率層との屈折率差が
大きいほど、S偏光を反射する波長帯域を広くすること
ができる。本実施例の偏光分離ミラー84a及び84b
においては、できるだけS偏光成分の反射波長帯域を広
げるために、透明で耐久性に優れた材料のうちで最も低
い屈折率を有するフッ化マグネシウムと、最も高い屈折
率を有する二酸化チタンとを用いているが、他の屈折率
の薄膜材料を用いてもよい。例えば、低屈折率層として
は、二酸化珪素(屈折率1.46)、三酸化二アルミニ
ウム(屈折率1.62)など、また、高屈折率層として
は、硫化亜鉛(屈折率2.30)、二酸化セリウム(屈
折率2.30)、二酸化ジルコニウム(屈折率2.0
5)、五酸化二タンタル(屈折率2.10)、二酸化ハ
フニウム(屈折率2.00)などを用いることができ
る。但し、その場合も、偏光分離ミラーの配置角度は上
式(7)の条件を満足するように設定する必要がある。
【0136】図18に示すように、前置偏光子66に垂
直に入射する自然光90a及び90bは、それぞれ、入
射窓82と、液体86及び88とを透過し、偏光分離ミ
ラー84a及び84bに、55.6゜の角度で入射す
る。偏光分離ミラー84a及び84bによって、自然光
90a及び90bは、それぞれP偏光成分91a及び9
1bとS偏光成分92a及び92bとに分離される、P
偏光成分91a及び91bは、液体87を透過した後、
出射窓83より出射する。S偏光成分92a及び92b
は、ミラー85a及び85bにそれぞれ入射する。
【0137】ミラー85a及び85bは、S偏光成分9
2a及び92bが0゜で入射するように、隣合う偏光分
離ミラー84a及び84bとなす角度がそれぞれ55.
6゜となるように配置される。ミラー85a及び85b
によって反射されたS偏光成分92a及び92bは、再
び55.6゜の入射角で偏光分離ミラー84a及び84
bに入射し、入射窓82側へ反射される。こうすること
により、S偏光成分92a及び92bは、入射した自然
光90a及び90bと同じ光路をたどって入射窓82側
へ戻るので、出射窓83側からP偏光成分91a及び9
1bのみを良好に取り出すことができる。また、自然光
が前置偏光子66に対して斜めに入射した場合でも、斜
めに入射した光のS偏光成分は、偏光分離ミラー84a
及び84bとミラー85a及び85bとによって反射さ
れて入射窓82側へ戻るため、出射窓83から出射する
ことはない。
【0138】前置偏光子66のコンパクト性を確保する
ために、偏光選択性ミラー84a及び84b、及びミラ
ー85a及び85bは、その枚数をそれぞれ2枚とし、
光軸89に対して対称に配置することが望ましい。1枚
の偏光選択性ミラー及び1枚のミラーを用いた場合に
は、光軸方向の寸法が大きくなるだけでなく、前置偏光
子66に光が斜めに入射した場合の入射角依存性が非対
称になるため、投写画像が好ましくない影響を受けやす
いなどの問題が生じる。また、3枚以上のミラーを用い
た場合には、ミラーの一部が入射光を遮ることなく、効
率よくミラーを配置することが困難となる。このよう
に、図18に示した構成の前置偏光子66は、直線偏光
に近い光を効率良く取り出せることがわかる。
【0139】次に、偏光ビームスプリッタ52の詳細な
構成を図19を参照して説明する。偏光ビームスプリッ
タ52及び補助レンズ53は、各々、図16に示す偏光
ビームスプリッタ52a〜52c、及び補助レンズ53
a〜53cと同じものである。図19において、101
は枠体、102、103、及び104は入射窓または出
射窓となるガラス基板、105は偏光分離ミラー、10
6及び107は液体を示している。また、ガラス基板1
04は補助レンズ53と接合されている。
【0140】枠体101、ガラス基板102〜104、
及び偏光分離ミラー105で構成される容器の空間に
は、液体106及び107が充填されている。液体10
6及び107と、偏光分離ミラー105の多層膜の構成
は、図18によって説明した前置偏光子66と同じもの
を用いている。偏光ビームスプリッタ52の場合も、偏
光分離ミラー105のガラス基板の両面にS偏光成分の
反射波長帯域が異なる第1の誘電体多層膜と第2の誘電
体多層膜をそれぞれ形成して構成することにより、全体
としてS偏光の反射波長帯域をより広帯域化できる。こ
うすることにより、偏光ビームスプリッタ52に入射す
る光の波長帯域が広帯域の場合や、入射光線の入射角に
多少の変化がある場合でも、良好な偏光分離性能を実現
できる。
【0141】次に、前置偏光子66と偏光ビームスプリ
ッタ52との配置について説明する。前置偏光子66及
び偏光ビームスプリッタ52は、前置偏光子66から出
射するP偏光が偏光ビームスプリッタ52でS偏光とし
て反射されるように配置される。その理由は以下の通り
である。
【0142】一般に、入射光は光軸を中心にある角度範
囲に広がっており、入射する光の波長も単一波長ではな
いため、S偏光の反射率を上述の入射光の使用条件にお
いて100%に近づけることは比較的容易であるが、P
偏光の透過率を100%に近づけることは困難である
(特に入射角依存性が大きい)。従って、反射されるS
偏光成分には若干のP偏光成分も含まれるため、不要な
偏光成分をカットする必要がある前置偏光子66におい
ては、S偏光成分がほとんど含まれないP偏光成分を取
り出すことが好ましい。また、偏光ビームスプリッタ5
2に入射する偏光成分は効率よく反射型ライトバルブ5
1側へ導かれる必要があり、また、黒表示の場合には、
反射型ライトバルブ51によって反射された読み出し光
を偏光ビームスプリッタ52でカットする必要があるた
めに、偏光ビームスプリッタ52に入射する偏光成分
は、反射率が100%に近いS偏光であることが好まし
い。このようにすることにより、高コントラストの投写
画像を表示できる。
【0143】図19に示すように、偏光ビームスプリッ
タ52のガラス基板102に垂直に入射するS偏光10
8は、液体106を透過して偏光分離ミラー105に5
5.6゜の角度で入射する。偏光分離ミラー105によ
り反射されたS偏光109は、液体106を通過して、
ガラス基板103から反射型ライトバルブ側に出射す
る。反射型ライトバルブ(図19には示さず)によって
反射された光は、再びガラス基板103及び液体106
を透過して偏光分離ミラー105に入射する。反射型ラ
イトバルブによって反射された光のうち、反射型ライト
バルブによって変調されたP偏光110は、偏光分離ミ
ラー105、液体107、ガラス基板104、及び補助
レンズ53を順次透過して、主レンズ群(図19には示
さず)によって投写画像としてスクリーン上に投写され
る。反射型ライトバルブによって変調されないS偏光
は、再び偏光分離ミラー105によってガラス基板10
2側に反射される。
【0144】また、図16に示すように、ダイクロイッ
クミラー56及び57及び偏光ビームスプリッタ52a
〜52cは、ダイクロイックミラー56及び57の入射
面(光線の進行方向とダイクロイックミラー56及び5
7の反射面の法線とを含む面)と、偏光ビームスプリッ
タ52a〜52cの入射面(光線の進行方向と偏光ビー
ムスプリッタ52a〜52cの偏光分離面の法線とを含
む面)とが垂直となるように配置されている。従って、
図19に示す偏光ビームスプリッタ52の偏光分離ミラ
ー105で発生する非点収差は、ダイクロイックミラー
56及び57で発生する非点収差と打ち消し合う方向に
作用する。
【0145】本発明の投写レンズは、テレセントリック
性が良好であり、偏光ビームスプリッタの偏光分離面に
入射する主光線は光軸にほぼ平行である。従って、偏光
分離面に入射する光線の入射角依存性による偏光分離性
能の劣化がほとんど発生しないため、偏光分離性能の劣
化による投写画像のコントラスト低下や不均一性を引き
起こすことがなく、高画質な投写画像を表示できる。
【0146】また、図16に示すように、投写型表示装
置500においては、投写レンズが実質的に1本である
ので、カラーシェーディングは発生しない。また、光源
61から3色に対応する反射型ライトバルブ51a、5
1b、及び51cの各々までの照明光路長が等しく、反
射型ライトバルブ51a、51b、及び51cの各々の
画面中心が投写レンズの光軸上に位置するので、色むら
の発生は少ない。
【0147】投写画像のフォーカス調整は、主レンズ群
58の第1レンズ群G1と第2レンズ群G2とを一体に
して光軸方向に微小移動するとよい。なお、第3レンズ
群G3の微小移動によるフォーカス調整は、レンズ群の
移動量に対してガウス像面の移動量が小さいのでレンズ
群を大きく移動する必要があり、そうすると収差バラン
スが劣化するので望ましくない。
【0148】なお、図15及び図16に示す投写レンズ
400及び投写型表示装置500においては、3つの補
助レンズ53a、53b、及び53cから出射する3原
色光を1つに合成する色合成光学系を、2枚のミラー5
4及び55と2枚のダイクロイックミラー56及び57
とを用いて構成しているが、色合成光学系の構成はこれ
に限られるものではない。例えば、図20に示すよう
に、1枚のミラー111と2枚のダイクロイックミラー
112及び113とを用いる構成としてもよい。以上の
実施例では、3つのCRT、書き込みレンズ、反射型ラ
イトバルブ、偏光ビームスプリッタ、及び補助レンズ
を、CRTの画面に水平な方向に配列しているが、CR
Tの画面に垂直な方向に配列してもよい。
【0149】また、以上の実施例では、画像源としてC
RTを用いたが、例えば透過型のTFT液晶パネルを用
いることもできる。その場合、透過型液晶パネルの後方
からメタルハライドランプなどの光源で照明し、映像信
号に応じて液晶パネル上に形成された光学像を、書き込
みレンズにより反射型ライトバルブの光導電層上に結像
させる構成としてもよい。また、書き込み光学系とし
て、書き込みレンズの他にイメージガイドとして用いら
れる光ファイバーなどを用いてもよい。
【0150】また、本実施例ではライトバルブとして、
光導電層に書き込まれた画像に応じて読み出し光の偏光
状態を液晶層で変調する反射型ライトバルブを用いてい
るが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、
他の方式の液晶パネルや電気光学結晶を用いるものな
ど、光学的特性の変化として光学像を形成する反射型の
光学素子であれば、ライトバルブとして用いることがで
きる。
【0151】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、焦点距
離に比べて実質的なバックフォーカスが非常に長く、収
差補正の良好な高解像度の投写レンズを提供できる。ま
た、この投写レンズを用いることにより、高画質な投写
画像を表示でき、かつセットをコンパクトに構成できる
投写型表示装置を提供できる。
【0152】本発明による投写レンズは、色合成光学系
(2つのダイクロイックミラー及び1つまたは2つの平
面ミラー)及び偏光ビームスプリッタを配置できる十分
な空間(主レンズ群のバックフォーカス)を有する。従
って、この投写レンズを用いた投写型表示装置は、実質
的に1つの投写レンズによりスクリーン上に拡大投写す
ることができ、コンバージェンス調整が容易で、セット
もコンパクトに構成でき、しかも高輝度、高画質の投写
画像を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】反射型ライトバルブの基本構成を示す概略断面
図である。
【図2】反射型ライトバルブを用いた投写型表示装置の
基本構成を示す斜視図である。
【図3】(a)〜(c)は、従来の投写光学系の構成例
を説明する概略構成図である。
【図4】本発明による投写レンズを用いた投写光学系の
構成例を示す図である。
【図5】(a)及び(b)は、本発明の投写レンズの原
理を説明する図である。
【図6】第1の実施例による本発明の投写レンズの断面
構成図である。
【図7】(a)〜(e)は、第1の実施例による本発明
の投写レンズの収差図である。
【図8】第2の実施例による本発明の投写レンズの断面
構成図である。
【図9】第3の実施例による本発明の投写レンズの断面
構成図である。
【図10】第4の実施例による本発明の投写レンズの断
面構成図である。
【図11】(a)〜(e)は、第2の実施例による本発
明の投写レンズの収差図である。
【図12】(a)〜(e)は、第3の実施例による本発
明の投写レンズの収差図である。
【図13】(a)〜(e)は、第4の実施例による本発
明の投写レンズの収差図である。
【図14】第4の実施例によるもう1つの投写レンズの
断面構成図である。
【図15】1つの実施例による本発明の投写型表示装置
の投写光学系の構成を示す斜視図である。
【図16】1つの実施例による本発明の投写型表示装置
の構成を示す斜視図である。
【図17】1つの実施例による本発明の投写型表示装置
の照明光学系の概略構成である。
【図18】1つの実施例による本発明の投写型表示装置
の前置偏光子の構成を示す断面図である。
【図19】1つの実施例による本発明の投写型表示装置
の偏光ビームスプリッタの構成を示す断面図である。
【図20】もう1つの実施例による本発明の投写型表示
装置の投写光学系の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1〜L9 レンズ G1 第1レンズ群 G2 第2レンズ群 G3 第3レンズ群 G4 第4レンズ群 P 偏光ビームスプリッタ LV ライトバルブの読み出し側ガラス基板
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H04N 9/31 H04N 9/31 C

Claims (40)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スクリーン側から順に、 負パワーの第1レンズ群と、 該第1レンズ群のパワーよりも弱いパワーの第2レンズ
    群と、 正パワーの第3レンズ群と、 正パワーの第4レンズ群と、 少なくとも1つの透明プリズムと、 を備えており、該第4レンズ群は、該透明プリズムの該
    第3レンズ群側の面に近接または接して配置されてい
    る、投写レンズ。
  2. 【請求項2】 以下の条件を満足する請求項1に記載の
    投写レンズ: 【数1】 【数2】 【数3】 【数4】 ただし、fは全系の合成焦点距離、fG1は前記第1レン
    ズ群の合成焦点距離、fG2は前記第2レンズ群の合成焦
    点距離、fG4は前記第4レンズ群の合成焦点距離、dG2
    は該第2レンズ群と前記第3レンズ群との間の空気間
    隔、dG3は該第3レンズ群と該第4レンズ群との間の空
    気間隔である。
  3. 【請求項3】 前記第1レンズ群は、前記スクリーン側
    から順に、 凸面を該スクリーン側に向けた負メニスカスレンズと、
    凹面を該スクリーンの反対側に向けた負レンズとを有す
    る、請求項1に記載の投写レンズ。
  4. 【請求項4】 前記第2レンズ群は、正レンズと負レン
    ズとを有し、該負レンズのアッベ数よりも該正レンズの
    アッベ数が小さい、請求項1に記載の投写レンズ。
  5. 【請求項5】 前記第2レンズ群は、正レンズと負レン
    ズとを接合した接合レンズであり、該負レンズのアッベ
    数よりも該正レンズのアッベ数が小さい、請求項1に記
    載の投写レンズ。
  6. 【請求項6】 前記第3レンズ群が接合レンズを含んで
    いる、請求項1に記載の投写レンズ。
  7. 【請求項7】 前記第3レンズ群は、前記スクリーン側
    から順に、負レンズ、正レンズ、正レンズ、及び正レン
    ズを有する、請求項1に記載の投写レンズ。
  8. 【請求項8】 前記第4レンズ群は、前記スクリーン側
    に向いた凸面を有する平凸レンズである、請求項1に記
    載の投写レンズ。
  9. 【請求項9】 前記平凸レンズの前記凸面は非球面であ
    る、請求項8に記載の投写レンズ。
  10. 【請求項10】 前記第4レンズ群は、前記スクリーン
    側に向いた凸面と、前記透明プリズムに接合された平面
    と、を有する平凸レンズである、請求項1に記載の投写
    レンズ。
  11. 【請求項11】 前記第3レンズ群及び前記第4レンズ
    群の位置を固定し、前記第1レンズ群及び前記第2レン
    ズ群を光軸方向に移動することによってフォーカスが調
    整される、請求項1に記載の投写レンズ。
  12. 【請求項12】 前記透明プリズム中の主光線は、前記
    第4レンズ群の光軸と略平行である、請求項1に記載の
    投写レンズ。
  13. 【請求項13】 以下の条件を満足する請求項1記載の
    投写レンズ: 【数5】 ただし、fは全系の合成焦点距離、dG3は前記第3レン
    ズ群と前記第4レンズ群との間の空気間隔、dPは前記
    透明プリズムの光軸方向の空気換算光路長である。
  14. 【請求項14】 前記透明プリズムは、偏光分離面を備
    えた偏光ビームスプリッタである、請求項1に記載の投
    写レンズ。
  15. 【請求項15】 前記第2レンズ群と前記第3レンズ群
    との間の空間に1つの平面ミラーが配置されている、請
    求項1に記載の投写レンズ。
  16. 【請求項16】 スクリーン側から順に、負パワーの第
    1レンズ群、該第1レンズ群のパワーよりも弱いパワー
    の第2レンズ群、及び正パワーの第3レンズ群を有する
    主レンズ群と、 同一の特性を有する正パワーの3つの補助レンズと、 3つの偏光ビームスプリッタであって、該3つの補助レ
    ンズが該第3レンズ群側の面にそれぞれ近接して配置ま
    たは接合された透明プリズムである、偏光ビームスプリ
    ッタと、 2つのダイクロイックミラーと、 1つまたは2つの平面ミラーと、を備えた投写レンズで
    あって、 該3つの偏光ビームスプリッタから出射する光は、それ
    ぞれ対応する該3つの補助レンズに入射し、 該3つ補助レンズから出射する光は、該1つまたは2つ
    の平面ミラーと該2つのダイクロイックミラーとによっ
    て1つに合成されて該主レンズ群に入射し、 該主レンズ群から該3つの補助レンズまでの3つの系が
    それぞれ所定の結像特性を有する、投写レンズ。
  17. 【請求項17】 以下の条件を満足する、請求項16に
    記載の投写レンズ: 【数6】 【数7】 【数8】 【数9】 ただし、fは全系の合成焦点距離、fG1は前記第1レ
    ンズ群の合成焦点距離、 fG2は前記第2レンズ群の合成焦点距離、fG4は前記補
    助レンズの合成焦点距離、dG2は該第2レンズ群と前記
    第3レンズ群との間の空気間隔、dG3は該第3レンズ群
    と該補助レンズとの間の空気間隔である。
  18. 【請求項18】 前記主レンズ群、前記3つの補助レン
    ズ、前記3つの偏光ビームスプリッタ、前記2つのダイ
    クロイックミラー、及び前記1つまたは2つの平面ミラ
    ーを1つの筐体に収納した、請求項16に記載の投写レ
    ンズ。
  19. 【請求項19】 前記2つのダイクロイックミラーの各
    反射面と、前記1つまたは2つの平面ミラーの各反射面
    とが互いに平行である、請求項16記載の投写レンズ。
  20. 【請求項20】 前記3つの補助レンズの各光軸は同一
    平面上にある、請求項16に記載の投写ンズ。
  21. 【請求項21】 前記3つの補助レンズの各光軸は互い
    に平行である、請求項20に記載の投写レンズ。
  22. 【請求項22】 前記3つの偏光ビームスプリッタの偏
    光分離面が互いに平行である、請求項16に記載の投写
    レンズ。
  23. 【請求項23】 前記3つの偏光ビームスプリッタに入
    射する光はいずれもS偏光である、請求項16に記載の
    投写レンズ。
  24. 【請求項24】 前記偏光ビームスプリッタは、 枠体と、 入射窓または出射窓となる複数の透明基板と、 該枠体と該複数の透明基板とを含んで構成される容器中
    に充填された透明液体と、 該透明液体中に配置された偏光分離面と、を有してお
    り、 該偏光分離面は、透明板上に誘電体多層膜が積層されて
    形成されている、請求項16に記載の投写レンズ。
  25. 【請求項25】 前記透明液体の主成分はエチレングリ
    コールである、請求項24に記載の投写レンズ。
  26. 【請求項26】 3原色の色成分を含む読み出し光を放
    射する光源と、 該光源の放射光を3つの原色光に分解する色分解手段
    と、 3つの反射型ライトバルブと、 スクリーン側から順に、負パワーの第1レンズ群、該第
    1レンズ群のパワーよりも弱いパワーの第2レンズ群、
    及び正パワーの第3レンズ群を有する主レンズ群と、同
    一の特性を有する正パワーの3つの補助レンズと、3つ
    の偏光ビームスプリッタであって、該3つの補助レンズ
    が該第3レンズ群側の面にそれぞれ近接して配置または
    接合された透明プリズムである、偏光ビームスプリッタ
    と、2つのダイクロイックミラーと、1つまたは2つの
    平面ミラーと、を有する投写レンズと、 該反射型ライトバルブの各々の上に光学像を形成する3
    つの光書き込み手段と、を備えた投写型表示装置であっ
    て、 該色分解手段から出力される該3つの原色光は、該投写
    レンズの該3つの偏光ビームスプリッタを介して対応す
    る該反射型ライトバルブに入射し、 該反射型ライトバルブの各々によって反射される光は、
    再び対応する該偏光ビームスプリッタを経て対応する該
    補助レンズに入射し、 該3つ補助レンズから出射する光は、該1つまたは2つ
    の平面ミラーと該2つのダイクロイックミラーとによっ
    て1つに合成されて該主レンズ群に入射し、 このことにより、該光書き込み手段によって該反射型ラ
    イトバルブ上に形成される光学像が該スクリーン上に投
    写される、投写型表示装置。
  27. 【請求項27】 前記投写レンズが以下の条件を満足す
    る請求項26に記載の投写型表示装置: 【数10】 【数11】 【数12】 【数13】 ただし、fは全系の合成焦点距離、fG1は前記第1レ
    ンズ群の合成焦点距離、fG2は前記第2レンズ群の合成
    焦点距離、fG4は前記補助レンズの合成焦点距離、dG2
    は該第2レンズ群と前記第3レンズ群との間の空気間
    隔、dG3は該第3レンズ群と該補助レンズとの間の空気
    間隔である。
  28. 【請求項28】 前記光源から前記偏光ビームスプリッ
    タまでの間の光路中に配置された少なくとも1つの前置
    偏光子であって、その出射光の照度が、前記反射型ライ
    トバルブ上において略最大となるように配置された前置
    偏光子を有する、請求項26に記載の投写型表示装置。
  29. 【請求項29】 前記色分解手段と前記偏光ビームスプ
    リッタとの間の光路中に配置された3つの前置偏光子で
    あって、各前置偏光子の出射光の照度が、対応する該反
    射型ライトバルブ上において略最大となるように配置さ
    れた前置偏光子を有する、請求項26に記載の投写型表
    示装置。
  30. 【請求項30】 前記前置偏光子は、 枠体と、 入射窓および出射窓となる2つの透明基板と、 該枠体と該2つの透明基板とを含んで構成される容器中
    に充填された透明液体と、 該透明液体中に配置され、透明板上に誘電体多層膜を積
    層して形成された少なくとも1つの偏光分離面と、 該透明液体中に配置された少なくとも1つの平面ミラー
    と、を有する透明プリズムである、請求項28及び29
    のいずれかに記載の投写型表示装置。
  31. 【請求項31】 前記透明液体の主成分は、エチレング
    リコールである、請求項30に記載の投写型表示装置。
  32. 【請求項32】 前記前置偏光子は2つの偏光分離面と
    2つの平面ミラーとを備えており、該偏光分離面と該平
    面ミラーとは、前記光源から出射する光の光軸に対して
    対称になるように配置されている、請求項30に記載の
    投写型表示装置。
  33. 【請求項33】 前記前置偏光子において、 前記偏光分離面は入射する光のうち所定の偏光成分を反
    射し、 前記平面ミラーは該反射された偏光成分を反射し、 該偏光分離面は、更に、該平面ミラーによって反射され
    た偏光成分を反射し、 そのことにより、該反射された偏光成分は、該入射光の
    入射した側に進行する、請求項30に記載の投写型表示
    装置。
  34. 【請求項34】 前記偏光ビームスプリッタは、枠体
    と、 入射窓または出射窓となる複数の透明基板と、 該枠体と該複数の透明基板とを含んで構成される容器中
    に充填された透明液体と、 該透明液体中に配置された偏光分離面と、を有してお
    り、 該偏光分離面は、透明板上に誘電体多層膜が積層されて
    形成されている、請求項26に記載の投写型表示装置。
  35. 【請求項35】 前記透明液体の主成分はエチレングリ
    コールである、請求項34に記載の投写型表示装置。
  36. 【請求項36】 前記前置偏光子と前記偏光ビームスプ
    リッタとは、該前置偏光子から出射する直線偏光が該偏
    光ビームスプリッタにS偏光として入射するように配置
    される、請求項26に記載の投写型表示装置。
  37. 【請求項37】 前記反射型ライトバルブは、透明電極
    と、光導電層と、光反射層と、光変調層とを備えてお
    り、 該光変調層は、該光導電層に書き込まれた画像の照度分
    布に応じて偏光特性が変化する、請求項26に記載の投
    写型表示装置。
  38. 【請求項38】 前記光変調層の材料は液晶であり、該
    光変調層は入射する光の偏光状態を変調することにより
    光学像を形成する、請求項37に記載の投写型表示装
    置。
  39. 【請求項39】 前記光書き込み手段は、 画像形成手段と、 該画像形成手段上に形成された光学像を前記反射型ライ
    トバルブ上に結像させる画像転写光学手段と、 を備えている、請求項26に記載の投写型表示装置。
  40. 【請求項40】 前記3つの補助レンズ、前記3つの反
    射型ライトバルブ、及び前記3つの光書き込み手段の各
    光軸は同一平面上にあり、互いに平行であり、 かつ前記3つの偏光ビームスプリッタの偏光分離面が互
    いに平行である、請求項26に記載の投写型表示装置。
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