JPH08244234A - インクジェット記録ヘッド、及び同表面処理方法 - Google Patents
インクジェット記録ヘッド、及び同表面処理方法Info
- Publication number
- JPH08244234A JPH08244234A JP5574795A JP5574795A JPH08244234A JP H08244234 A JPH08244234 A JP H08244234A JP 5574795 A JP5574795 A JP 5574795A JP 5574795 A JP5574795 A JP 5574795A JP H08244234 A JPH08244234 A JP H08244234A
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- recording head
- orifice
- ink jet
- liquid
- jet recording
- Prior art date
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- Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
- Surface Treatment Of Glass (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 半永久的な撥液処理性をオリフィス周辺部に
有するインクジェット記録ヘッド。 【構成】 ポリマー鎖末端にシランカップリング剤を導
入したパーフルオロヘテロ環構造を持つ非晶質熱可塑性
樹脂でオリフィス面のインク吐出口14周縁部あるいは
該部分とその外側の前面プレート部に撥液処理層20を
形成する。
有するインクジェット記録ヘッド。 【構成】 ポリマー鎖末端にシランカップリング剤を導
入したパーフルオロヘテロ環構造を持つ非晶質熱可塑性
樹脂でオリフィス面のインク吐出口14周縁部あるいは
該部分とその外側の前面プレート部に撥液処理層20を
形成する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般にインクと呼ばれ
る記録液を吐出口から小滴として吐出、飛翔させ、この
小滴の被記録面への付着により記録を行うインクジェッ
ト記録装置の記録ヘッド及び同表面処理方法に関し、特
にインク吐出口が設けられているインク吐出口面の表面
処理に関するものである。
る記録液を吐出口から小滴として吐出、飛翔させ、この
小滴の被記録面への付着により記録を行うインクジェッ
ト記録装置の記録ヘッド及び同表面処理方法に関し、特
にインク吐出口が設けられているインク吐出口面の表面
処理に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、記録ヘッドのオリフィス(吐
出口)から記録液(インク)を吐出することにより情報
記録を行うインクジェット記録装置が、低騒音、高速記
録等の点で優れた記録装置として知られている。
出口)から記録液(インク)を吐出することにより情報
記録を行うインクジェット記録装置が、低騒音、高速記
録等の点で優れた記録装置として知られている。
【0003】図2は、マルチ型式のインクジェット記録
ヘッドの構成を示す斜視図であり、図3は同インクジェ
ット記録ヘッドの模式的説明図である。
ヘッドの構成を示す斜視図であり、図3は同インクジェ
ット記録ヘッドの模式的説明図である。
【0004】この記録ヘッドにおいてはガラスやセラミ
ックス等で形成された基板11の上に、吐出圧発生素子
12が設置され、感光性樹脂硬化膜13をフォトリソグ
ラフィー法でパターニングすることにより吐出圧発生素
子12に対応する液流路15及びオリフィス14、さら
には液室16が形成されている。そして、感光性樹脂硬
化膜13の上には、例えばガラス、セラミックス或は金
属で形成された天板17が、接着剤19により積層固着
されている。また、天板17には記録液供給孔18が形
成されている。
ックス等で形成された基板11の上に、吐出圧発生素子
12が設置され、感光性樹脂硬化膜13をフォトリソグ
ラフィー法でパターニングすることにより吐出圧発生素
子12に対応する液流路15及びオリフィス14、さら
には液室16が形成されている。そして、感光性樹脂硬
化膜13の上には、例えばガラス、セラミックス或は金
属で形成された天板17が、接着剤19により積層固着
されている。また、天板17には記録液供給孔18が形
成されている。
【0005】上記のような構成の記録ヘッドにおいて、
オリフィス14を囲む基板11、感光性樹脂硬化膜13
及び天板17の表面の物理的性質(物理特性)は、オリ
フィス14から記録液を常時安定して吐出させるために
極めて重要である。即ち、オリフィス14の外回り表面
部(オリフィス周縁部)に記録液が回り込んで、その一
部にでも液溜りが生じると、流路15の記録液がオリフ
ィス14から吐出される際に、その飛翔方向が正規の所
定方向から離脱するようになり、さらには、液溜り状態
の不安定さから、吐出されるごとにその飛翔方向が乱れ
るという不都合が生じ、そのため安定した液吐出が行え
ず良好な記録が行えなくなる。
オリフィス14を囲む基板11、感光性樹脂硬化膜13
及び天板17の表面の物理的性質(物理特性)は、オリ
フィス14から記録液を常時安定して吐出させるために
極めて重要である。即ち、オリフィス14の外回り表面
部(オリフィス周縁部)に記録液が回り込んで、その一
部にでも液溜りが生じると、流路15の記録液がオリフ
ィス14から吐出される際に、その飛翔方向が正規の所
定方向から離脱するようになり、さらには、液溜り状態
の不安定さから、吐出されるごとにその飛翔方向が乱れ
るという不都合が生じ、そのため安定した液吐出が行え
ず良好な記録が行えなくなる。
【0006】また更に、オリフィス14の外回り表面全
体が記録液の膜で覆われると、いわゆるスプラッシュ現
象が生じて記録液の散乱が起こり、安定した記録が行え
なくなる。また、オリフィスの外回り表面部を覆う液溜
りが大きくなると、記録ヘッドの液吐出が不能状態に陥
ることすらある。
体が記録液の膜で覆われると、いわゆるスプラッシュ現
象が生じて記録液の散乱が起こり、安定した記録が行え
なくなる。また、オリフィスの外回り表面部を覆う液溜
りが大きくなると、記録ヘッドの液吐出が不能状態に陥
ることすらある。
【0007】また、図2に示したような通常の記録ヘッ
ドでは、シリコン(基板11)、ガラス(天板17)、
樹脂(感光性樹脂硬化膜13)のように異なる材料が使
用されることが多い。そして記録液、オリフィス周縁部
において、それら三種の中で最も漏れやすい材質の部分
から漏れる。通常のインク(記録液)に対しては、上記
の三種の材料のうちガラスが一番インクとの界面張力が
低いので、その部分からインクは漏れる。そのガラス部
分は、ヘッドの製造上の性能が好ましいので通常使用さ
れている材料で有り、インク漏れを防ぐ目的で別の材料
を使用することは製造上、性能上、コスト上望ましくな
い。
ドでは、シリコン(基板11)、ガラス(天板17)、
樹脂(感光性樹脂硬化膜13)のように異なる材料が使
用されることが多い。そして記録液、オリフィス周縁部
において、それら三種の中で最も漏れやすい材質の部分
から漏れる。通常のインク(記録液)に対しては、上記
の三種の材料のうちガラスが一番インクとの界面張力が
低いので、その部分からインクは漏れる。そのガラス部
分は、ヘッドの製造上の性能が好ましいので通常使用さ
れている材料で有り、インク漏れを防ぐ目的で別の材料
を使用することは製造上、性能上、コスト上望ましくな
い。
【0008】以上説明したように、従来の記録ヘッドに
おいては、オリフィスの周縁部に記録液の液溜りが生じ
ると、安定な吐出が行えなくなる。しかも、この傾向は
ノズル密度を上げて、高詳細な記録を行う場合や、高周
波数で駆動する、すなわち高速記録をねらう場合に、非
常に顕著に現れるので、記録ヘッドの性能向上させる上
で大きな問題となっている。
おいては、オリフィスの周縁部に記録液の液溜りが生じ
ると、安定な吐出が行えなくなる。しかも、この傾向は
ノズル密度を上げて、高詳細な記録を行う場合や、高周
波数で駆動する、すなわち高速記録をねらう場合に、非
常に顕著に現れるので、記録ヘッドの性能向上させる上
で大きな問題となっている。
【0009】そこで、図2に示すように、少なくともオ
リフィス14の周縁部にいわゆる撥液処理を施すことに
より、インクをはじく撥液処理層20を形成し、上述の
問題を解決せんとする提案が、従来より数多く公開され
ている。
リフィス14の周縁部にいわゆる撥液処理を施すことに
より、インクをはじく撥液処理層20を形成し、上述の
問題を解決せんとする提案が、従来より数多く公開され
ている。
【0010】これらの問題を解決する方法の1つとし
て、従来から吐出口を囲む外表面をシリコーンオイル等
で処理して撥水または撥油性(撥液性)にする方法が実
公昭48−36188号公報等に記載されている。
て、従来から吐出口を囲む外表面をシリコーンオイル等
で処理して撥水または撥油性(撥液性)にする方法が実
公昭48−36188号公報等に記載されている。
【0011】しかし、これらの方法は記録ヘッドを形成
するガラス、金属、樹脂等の基材との密着性が悪いため
に耐久性がなく、効果は不十分なものに過ぎなかった。
また撥液性も十分ではなく、例えばシリコーン系の物質
では水系のインクに対して撥液性を示しても、アルコー
ル系、ケトン系、エステル系等の有機溶剤系インクに対
しては、ほとんど撥液性を示さなかった。
するガラス、金属、樹脂等の基材との密着性が悪いため
に耐久性がなく、効果は不十分なものに過ぎなかった。
また撥液性も十分ではなく、例えばシリコーン系の物質
では水系のインクに対して撥液性を示しても、アルコー
ル系、ケトン系、エステル系等の有機溶剤系インクに対
しては、ほとんど撥液性を示さなかった。
【0012】さらにフルオロアルキルアルコキシシラン
等でインクジェット記録ヘッドの吐出口周縁部を処理し
て撥液性にした例(特開昭56−895669号公報)
もあるが、処理を完全にするには高温(150℃以上)
で長時間加熱するか、高phの溶液(例えばアミン溶
液)中で加熱する等、吐出口を形成する材料を破壊する
恐れが有る処理が必要であった。また、従来から知られ
ている撥液処理を施したインクジェット記録ヘッドでは
オリフィス材料と撥水樹脂との密着性が十分でなく、オ
リフィス材料の表面を化学改質したり、シランカップリ
ング剤処理層をオリフィス材料、撥水樹脂間に設けなけ
ればならなかったりして非常に処理が煩雑であった。
等でインクジェット記録ヘッドの吐出口周縁部を処理し
て撥液性にした例(特開昭56−895669号公報)
もあるが、処理を完全にするには高温(150℃以上)
で長時間加熱するか、高phの溶液(例えばアミン溶
液)中で加熱する等、吐出口を形成する材料を破壊する
恐れが有る処理が必要であった。また、従来から知られ
ている撥液処理を施したインクジェット記録ヘッドでは
オリフィス材料と撥水樹脂との密着性が十分でなく、オ
リフィス材料の表面を化学改質したり、シランカップリ
ング剤処理層をオリフィス材料、撥水樹脂間に設けなけ
ればならなかったりして非常に処理が煩雑であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】インクジェット記録ヘ
ッドに形成する撥液処理層20は、単に撥水性のみが良
好で有るだけでなく、通常のインクジェット記録装置で
記録を行う際における撥液処理層の耐久性の点について
も十分でなければ実用的ではない。以下、その耐久性に
ついて説明する。
ッドに形成する撥液処理層20は、単に撥水性のみが良
好で有るだけでなく、通常のインクジェット記録装置で
記録を行う際における撥液処理層の耐久性の点について
も十分でなければ実用的ではない。以下、その耐久性に
ついて説明する。
【0014】インクジェット記録法を実施する場合に
は、たとえオリフィス周縁部に撥液処理が施されていて
も、オリフィス周縁部は常に記録液と接しているので、
ポリウレタンフォーム等の吸収体でオリフィス面を拭
き、付着したインクを吸い取るという回復操作がなされ
るのが通常である。したがって、撥液処理層は、吸収体
によりこすられても剥離しない程度の密着性や層が破壊
しない程度の耐摩耗性が必要とされる。これらの耐久性
が不十分で有ると、初期はともかく、ヘッドを使用して
いるうちに撥液処理層が徐々に剥離したり、抜け落ちた
りして撥液効果を示さなくなり、安定した吐出印字がで
きなくなってしまう。
は、たとえオリフィス周縁部に撥液処理が施されていて
も、オリフィス周縁部は常に記録液と接しているので、
ポリウレタンフォーム等の吸収体でオリフィス面を拭
き、付着したインクを吸い取るという回復操作がなされ
るのが通常である。したがって、撥液処理層は、吸収体
によりこすられても剥離しない程度の密着性や層が破壊
しない程度の耐摩耗性が必要とされる。これらの耐久性
が不十分で有ると、初期はともかく、ヘッドを使用して
いるうちに撥液処理層が徐々に剥離したり、抜け落ちた
りして撥液効果を示さなくなり、安定した吐出印字がで
きなくなってしまう。
【0015】このようなインクジェット記録ヘッドに必
要とされる耐久性において、従来の撥液処理剤にて形成
した撥液処理層では十分ではない場合が有った。
要とされる耐久性において、従来の撥液処理剤にて形成
した撥液処理層では十分ではない場合が有った。
【0016】さらには、図2に示したインクジェット記
録ヘッドのように、オリフィスを取り囲む部材が複数の
異なる材質からなっている場合には、そのどの材質とも
密着性が良い撥液処理剤にて形成した撥液処理層を形成
しなければならない。従来の撥液処理剤にて形成した撥
水処理層は、特に、この点について不十分な場合が有っ
た。
録ヘッドのように、オリフィスを取り囲む部材が複数の
異なる材質からなっている場合には、そのどの材質とも
密着性が良い撥液処理剤にて形成した撥液処理層を形成
しなければならない。従来の撥液処理剤にて形成した撥
水処理層は、特に、この点について不十分な場合が有っ
た。
【0017】本出願人は、そのような課題を解決する撥
液処理剤を先に出願した。その出願明細書には、非晶性
熱可塑性フッ素樹脂撥液処理層を樹脂上にシランカップ
リング剤あるいは有機チタネート化合物を介して被覆し
たインクジェット記録ヘッドが記載されている。
液処理剤を先に出願した。その出願明細書には、非晶性
熱可塑性フッ素樹脂撥液処理層を樹脂上にシランカップ
リング剤あるいは有機チタネート化合物を介して被覆し
たインクジェット記録ヘッドが記載されている。
【0018】例えば前記ヘッド(基板11がシリコン、
天板17がガラス、樹脂硬化膜13)の撥液処理層を上
記の組成物により形成すれば、従来の撥液水処理剤を用
いたよりも撥液持続性および耐摩耗性が向上した撥液処
理層が得られる。
天板17がガラス、樹脂硬化膜13)の撥液処理層を上
記の組成物により形成すれば、従来の撥液水処理剤を用
いたよりも撥液持続性および耐摩耗性が向上した撥液処
理層が得られる。
【0019】しかしながら、上記の組成物は、撥液持続
性、ブレード拭きに対する耐久性は十分であるが、オリ
フィスプレートに対する前処理工程が多く品質管理及び
コスト等の面で改善が必要であり、より簡単で効果的な
撥水方法が求められた。
性、ブレード拭きに対する耐久性は十分であるが、オリ
フィスプレートに対する前処理工程が多く品質管理及び
コスト等の面で改善が必要であり、より簡単で効果的な
撥水方法が求められた。
【0020】本発明では、そのような課題を解決するた
めになされたもので有り、その目的は、複数のオリフィ
ス材料と撥液処理層の間に特別な処理層あるいはオリフ
ィス面に表面処理を施すことなく半永久的な撥液処理層
をオリフィス周縁部に形成することにある。
めになされたもので有り、その目的は、複数のオリフィ
ス材料と撥液処理層の間に特別な処理層あるいはオリフ
ィス面に表面処理を施すことなく半永久的な撥液処理層
をオリフィス周縁部に形成することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】このため、本発明は、ポ
リマー鎖末端にシランカップリング剤を導入したパーフ
ルオロヘテロ環構造を持つ非晶質熱可塑性樹脂でオリフ
ィス面のインク吐出口周縁部あるいは該部分とその外側
の前面プレート部が被覆されていることを特徴とするイ
ンクジェット記録ヘッドの構成によって、前記の目的を
達成しようとするものである。
リマー鎖末端にシランカップリング剤を導入したパーフ
ルオロヘテロ環構造を持つ非晶質熱可塑性樹脂でオリフ
ィス面のインク吐出口周縁部あるいは該部分とその外側
の前面プレート部が被覆されていることを特徴とするイ
ンクジェット記録ヘッドの構成によって、前記の目的を
達成しようとするものである。
【0022】また、前記の樹脂の被覆方法として、キャ
スト法、あるいはディップ法あるいは転写法によってイ
ンクジェット記録ヘッドオリフィス面のインク吐出口周
辺部あるいは該部分とその外側の前面プレート部に被覆
することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの表面
処理方法によって、更に、前記のパーフルオロヘテロ環
構造を持つ非晶質熱可塑性樹脂をインクジェット記録ヘ
ッドオリフィス面に塗布後、前記樹脂のガラス転移点プ
ラス20〜80℃かつ基材の熱変形温度以下で熱乾燥
し、撥液処理剤中の溶媒を蒸発させると共にシランカッ
プリング剤の熱処理を同時に行い、基材との密着性を向
上させ半永久的撥液処理層を形成したことを特徴とする
インクジェット記録ヘッドの表面処理方法によって、前
記の目的を達成しようとするものである。
スト法、あるいはディップ法あるいは転写法によってイ
ンクジェット記録ヘッドオリフィス面のインク吐出口周
辺部あるいは該部分とその外側の前面プレート部に被覆
することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの表面
処理方法によって、更に、前記のパーフルオロヘテロ環
構造を持つ非晶質熱可塑性樹脂をインクジェット記録ヘ
ッドオリフィス面に塗布後、前記樹脂のガラス転移点プ
ラス20〜80℃かつ基材の熱変形温度以下で熱乾燥
し、撥液処理剤中の溶媒を蒸発させると共にシランカッ
プリング剤の熱処理を同時に行い、基材との密着性を向
上させ半永久的撥液処理層を形成したことを特徴とする
インクジェット記録ヘッドの表面処理方法によって、前
記の目的を達成しようとするものである。
【0023】
【作用】上記の構成・方法により、インクジェット記録
ヘッドのオリフィス面の表面処理はオリフィス基材と親
和性のあるシランカップリング剤を末端に含んだパーフ
ルオロヘテロ環構造非晶質熱可塑性樹脂を用いているた
めインクジェット基材を表面改質したり、基材上に密着
力向上層を設けることなく、オリフィス基材上に半永久
的撥液処理層が形成できる。
ヘッドのオリフィス面の表面処理はオリフィス基材と親
和性のあるシランカップリング剤を末端に含んだパーフ
ルオロヘテロ環構造非晶質熱可塑性樹脂を用いているた
めインクジェット基材を表面改質したり、基材上に密着
力向上層を設けることなく、オリフィス基材上に半永久
的撥液処理層が形成できる。
【0024】
【実施例】本発明の実施例は、ポリマー鎖末端にシラン
カップリング剤を導入したパーフルオロヘテロ環構造を
持つ非晶質熱可塑性樹脂、例えばCTL−807M(旭
硝子(株)社製)をインクジェット記録ヘッドオリフィ
ス面に塗布し、熱乾燥することで溶媒を蒸発させると共
に、末端のシランカップリング剤部分の熱処理も同時に
行え、インクジェット記録ヘッドオリフィス面に、半永
久的撥液処理層を容易に設けることが可能となる。
カップリング剤を導入したパーフルオロヘテロ環構造を
持つ非晶質熱可塑性樹脂、例えばCTL−807M(旭
硝子(株)社製)をインクジェット記録ヘッドオリフィ
ス面に塗布し、熱乾燥することで溶媒を蒸発させると共
に、末端のシランカップリング剤部分の熱処理も同時に
行え、インクジェット記録ヘッドオリフィス面に、半永
久的撥液処理層を容易に設けることが可能となる。
【0025】本発明実施例では、少なくとも吐出オリフ
ィス付近に問題の解決が絞られるもので有るから、以降
においては記録ヘッドの吐出オリフィスを含む部分のみ
を抽出して詳述するが、本発明の趣旨に添うもので有れ
ば、例えば図2に示した如き記録ヘッドに限定されるこ
とはなく、いかなるタイプの記録ヘッドでも、吐出オリ
フィスより液体を吐出させるもので有れば本実施例に適
用されるもので有る。
ィス付近に問題の解決が絞られるもので有るから、以降
においては記録ヘッドの吐出オリフィスを含む部分のみ
を抽出して詳述するが、本発明の趣旨に添うもので有れ
ば、例えば図2に示した如き記録ヘッドに限定されるこ
とはなく、いかなるタイプの記録ヘッドでも、吐出オリ
フィスより液体を吐出させるもので有れば本実施例に適
用されるもので有る。
【0026】そして、実施例では、表面処理はオリフィ
ス基材と親和性のあるシランカップリング剤を末端に含
んだパーフルオロヘテロ環構造非晶質熱可塑性樹脂を用
いているためインクジェット基材を表面改質したり、基
材上に密着力向上層を設けることなく、オリフィス基材
上に半永久的撥液処理層を形成できる。以下、実施例を
詳細に説明する。
ス基材と親和性のあるシランカップリング剤を末端に含
んだパーフルオロヘテロ環構造非晶質熱可塑性樹脂を用
いているためインクジェット基材を表面改質したり、基
材上に密着力向上層を設けることなく、オリフィス基材
上に半永久的撥液処理層を形成できる。以下、実施例を
詳細に説明する。
【0027】(実施例1)図1は、実施例1のオリフィ
ス面の撥液処理説明図であり、1はオリフィス面、2は
インク供給口、3は溝付天板、4は吐出口、5はベース
プレートを示す。
ス面の撥液処理説明図であり、1はオリフィス面、2は
インク供給口、3は溝付天板、4は吐出口、5はベース
プレートを示す。
【0028】実施例1では、吸収体のベルイーター(カ
ネボウ製)を所定の大きさにカットし、その吸収体を撥
水剤に浸漬し、引き上げたものを溝付天板のオリフィス
面に押しつけながら移動させることにより塗布を行なっ
た。
ネボウ製)を所定の大きさにカットし、その吸収体を撥
水剤に浸漬し、引き上げたものを溝付天板のオリフィス
面に押しつけながら移動させることにより塗布を行なっ
た。
【0029】撥液処理剤としては、サイトップCTL−
807M(旭硝子製)の7%溶液をCT−solv.1
00(沸点100℃、旭硝子製)で0.5%まで希釈し
たものを使用した。撥液処理剤の塗布範囲(図1に示す
L×M)は吸収体の幅と移動距離で決定される。この時
吸収体の幅は必要な撥液処理剤の幅(図1のL)よりも
0.2mm短い寸法で切断した。これは、塗布時に撥液処
理剤自身の広がり(両方向約0.1mm図示)が存在する
ためである。移動距離は吸収体により塗布しない部分
(図1のc)を残した寸法(図1のM)となる。
807M(旭硝子製)の7%溶液をCT−solv.1
00(沸点100℃、旭硝子製)で0.5%まで希釈し
たものを使用した。撥液処理剤の塗布範囲(図1に示す
L×M)は吸収体の幅と移動距離で決定される。この時
吸収体の幅は必要な撥液処理剤の幅(図1のL)よりも
0.2mm短い寸法で切断した。これは、塗布時に撥液処
理剤自身の広がり(両方向約0.1mm図示)が存在する
ためである。移動距離は吸収体により塗布しない部分
(図1のc)を残した寸法(図1のM)となる。
【0030】ここで、塗布範囲がオリフィス面全面では
なく、ある塗布範囲を指定したのは塗布時、及び熱乾燥
時に裏回りするのを防ぐためである。図1に示すA、
B、Cとも0.5mmで行なった。しかし、裏回りの心配
がなければA、B、Cとも0であってもよい。
なく、ある塗布範囲を指定したのは塗布時、及び熱乾燥
時に裏回りするのを防ぐためである。図1に示すA、
B、Cとも0.5mmで行なった。しかし、裏回りの心配
がなければA、B、Cとも0であってもよい。
【0031】塗布が完了した溝付天板をトレーに入れ、
150℃のオーブン中に2時間半投入し、熱乾燥させ
た。この時投入後30分間は溝付天板及びトレーの温度
が所定の150度に上昇するのに使われるので、実際の
熱乾燥時間は2時間である。
150℃のオーブン中に2時間半投入し、熱乾燥させ
た。この時投入後30分間は溝付天板及びトレーの温度
が所定の150度に上昇するのに使われるので、実際の
熱乾燥時間は2時間である。
【0032】2時間半後徐冷し、80度以下になったと
ころでオーブンより取り出した。撥液処理が終了した溝
付天板に対し、エキシマレーザー等により、吐出オリフ
ィス4を形成し、吐出圧発生素子を有する基板と貼り合
せを行なった。
ころでオーブンより取り出した。撥液処理が終了した溝
付天板に対し、エキシマレーザー等により、吐出オリフ
ィス4を形成し、吐出圧発生素子を有する基板と貼り合
せを行なった。
【0033】上記の工程により、前記の効果を有する実
施例を得ることができる。
施例を得ることができる。
【0034】(実施例2)実施例2では、実施例1と同
じ吸収体を用い、同じ方法で溝付天板に塗布を行なっ
た。撥液処理剤としては、サイトップCTX−805A
(旭硝子製)の5wt%溶液をCT−solv.180
(沸点180℃、旭硝子製)で0.5wt%まで希釈し
たものを使用した。
じ吸収体を用い、同じ方法で溝付天板に塗布を行なっ
た。撥液処理剤としては、サイトップCTX−805A
(旭硝子製)の5wt%溶液をCT−solv.180
(沸点180℃、旭硝子製)で0.5wt%まで希釈し
たものを使用した。
【0035】この溶媒は沸点180℃であるが、溝付天
板の材料であるポリサルフォン等は耐熱温度が173℃
付近のため熱乾燥温度は150℃に、時間は2時間半に
設定した。
板の材料であるポリサルフォン等は耐熱温度が173℃
付近のため熱乾燥温度は150℃に、時間は2時間半に
設定した。
【0036】2時間半後、徐冷し、80度以下になった
ところでオーブンより取り出した。撥液処理が終了した
溝付天板に対し、エキシマレーザー等により吐出オリフ
ィスを形成し、吐出圧発生素子を有する基板と貼り合せ
を行なった。
ところでオーブンより取り出した。撥液処理が終了した
溝付天板に対し、エキシマレーザー等により吐出オリフ
ィスを形成し、吐出圧発生素子を有する基板と貼り合せ
を行なった。
【0037】(実施例3)実施例3は、実施例1と同じ
吸収体を用い、同じ方法で溝付天板に塗布を行なった。
撥液処理剤としては、AF1600(テフロンAF、商
品名 デュポン社製)をフロリナートFC−75(商品
名 3M社製)で0.5wt%に希釈したものを使用し
た。AF1600のガラス転移点は160℃なので乾燥
条件は、165℃、2時間半で行なった。
吸収体を用い、同じ方法で溝付天板に塗布を行なった。
撥液処理剤としては、AF1600(テフロンAF、商
品名 デュポン社製)をフロリナートFC−75(商品
名 3M社製)で0.5wt%に希釈したものを使用し
た。AF1600のガラス転移点は160℃なので乾燥
条件は、165℃、2時間半で行なった。
【0038】2時間半後、徐冷し、80度以下になった
ところでオーブンより取り出した。撥液処理が終了した
溝付天板に対し、エキシマレーザー等により吐出オリフ
ィスを形成し、吐出圧発生素子を有する基板と貼り合せ
を行なった。
ところでオーブンより取り出した。撥液処理が終了した
溝付天板に対し、エキシマレーザー等により吐出オリフ
ィスを形成し、吐出圧発生素子を有する基板と貼り合せ
を行なった。
【0039】撥液処理剤として上記AF1600の代わ
りに、硝子転移点の更に高いAF2400(テフロンA
F、商品名 デュポン社製)をフロリナートFC−75
で希釈したものを使用しても同じ性能を得ることができ
る。熱乾燥条件も上記と同様である。
りに、硝子転移点の更に高いAF2400(テフロンA
F、商品名 デュポン社製)をフロリナートFC−75
で希釈したものを使用しても同じ性能を得ることができ
る。熱乾燥条件も上記と同様である。
【0040】(実施例4)実施例1〜3と異なり吐出オ
リフィスが先に形成されているものに撥液する実施例4
について以下説明する。
リフィスが先に形成されているものに撥液する実施例4
について以下説明する。
【0041】撥液処理剤としては、サイトップCTL−
805M(商品名 旭硝子製)を、CT−Solv.1
00(旭硝子製)とCT−Solv.180(旭硝子
製)とを1:1〜2:1で混合した液で0.5wt%に
希釈した液を使用した。そして、スピンナー上にシリコ
ンゴムを載せ、この液を2ccシリコンゴムに滴下す
る。滴下後スピンナー上で回転させ均一な膜を作る。回
転数は1st:500rpm,5秒、2nd:3000
rpm,15秒に設定した。
805M(商品名 旭硝子製)を、CT−Solv.1
00(旭硝子製)とCT−Solv.180(旭硝子
製)とを1:1〜2:1で混合した液で0.5wt%に
希釈した液を使用した。そして、スピンナー上にシリコ
ンゴムを載せ、この液を2ccシリコンゴムに滴下す
る。滴下後スピンナー上で回転させ均一な膜を作る。回
転数は1st:500rpm,5秒、2nd:3000
rpm,15秒に設定した。
【0042】このシリコンゴム上に上記マルチノズルヘ
ッドのオリフィス面を押しつけながら転写を行なった。
回数は3回、押しつけ圧は2Kg/ヘッドで行なった。
転写終了後にヘッドを、150℃のオーブン中に2時間
半投入し熱乾燥させた。撥液処理剤としてCTX−80
5A(商品名 旭硝子社製)とKP=801M(商品名
信越化学社製)を重量比1:1〜5:3に混合しCT
−Solv.100(旭硝子社製)で0.5wt%に希
釈したものについても同様な条件で転写可能であった。
ッドのオリフィス面を押しつけながら転写を行なった。
回数は3回、押しつけ圧は2Kg/ヘッドで行なった。
転写終了後にヘッドを、150℃のオーブン中に2時間
半投入し熱乾燥させた。撥液処理剤としてCTX−80
5A(商品名 旭硝子社製)とKP=801M(商品名
信越化学社製)を重量比1:1〜5:3に混合しCT
−Solv.100(旭硝子社製)で0.5wt%に希
釈したものについても同様な条件で転写可能であった。
【0043】(比較例1)実施例1と同じ溝付天板を成
形後UV/O3 処理10分したのちアミン系シランカッ
プリング剤、あるいはエポキシ系シランカプリング剤、
好ましくはアミン系シランカップリング剤を水/エタノ
ール水溶液5〜0.05wt%に希釈した溶液中に1分
間浸漬後、大容量の純水中で2回洗浄した。その後風燥
し、その後実施例1と同様に、同じ吸収体を用い、同じ
方法で溝付天板に塗布した。撥液処理剤としては、サイ
トップCTX−805A(旭硝子製)またはCTL−8
05M(旭硝子製)をCT−solv.100(沸点1
00℃ 旭硝子製)で0.5wt%に希釈したものを使
用した。塗布が完了した溝付天板をトレーに入れ、15
0℃のオーブン中に2時間半投入し、熱乾燥させた。
形後UV/O3 処理10分したのちアミン系シランカッ
プリング剤、あるいはエポキシ系シランカプリング剤、
好ましくはアミン系シランカップリング剤を水/エタノ
ール水溶液5〜0.05wt%に希釈した溶液中に1分
間浸漬後、大容量の純水中で2回洗浄した。その後風燥
し、その後実施例1と同様に、同じ吸収体を用い、同じ
方法で溝付天板に塗布した。撥液処理剤としては、サイ
トップCTX−805A(旭硝子製)またはCTL−8
05M(旭硝子製)をCT−solv.100(沸点1
00℃ 旭硝子製)で0.5wt%に希釈したものを使
用した。塗布が完了した溝付天板をトレーに入れ、15
0℃のオーブン中に2時間半投入し、熱乾燥させた。
【0044】この時投入後30分間は溝付天板及びトレ
ーの温度が所定の150℃に上昇するのに使われるの
で、実際の熱乾燥時間は2時間である。2時間半後徐冷
し、80度以下になったところでオーブンより取り出し
た。撥水処理が終了した溝付天板に対し、エキシマレー
ザー等により、吐出オリフィスを形成し、吐出圧発生素
子を有する基板と貼り合せを行なった。
ーの温度が所定の150℃に上昇するのに使われるの
で、実際の熱乾燥時間は2時間である。2時間半後徐冷
し、80度以下になったところでオーブンより取り出し
た。撥水処理が終了した溝付天板に対し、エキシマレー
ザー等により、吐出オリフィスを形成し、吐出圧発生素
子を有する基板と貼り合せを行なった。
【0045】次に本発明の特定のポリマーで処理したイ
ンクジェット記録ヘッドの撥液性の性能を調べるため
に、基材への塗布性、初期特性、撥液持続性等の評価を
行なった。その内容を以下に示す。
ンクジェット記録ヘッドの撥液性の性能を調べるため
に、基材への塗布性、初期特性、撥液持続性等の評価を
行なった。その内容を以下に示す。
【0046】[評価内容] (1)基材への塗布性能 塗布性→塗布ムラの有無 基材との密着性→溶剤クラック、剥れ (溝天、あるいは吐出エレメント60℃インク中に保存
しチェック プレッシャークッカーテスト20時間後チェック) (2)初期特性 初期接触角→接触角(前進及び後退) (3)撥液持続性 撥液持続性→試験前後の接触角の変化 (60℃インク浸漬) 耐摩耗性 →試験前後の接触角の変化 (こすり耐久試験機を使用、150000回) PCT →試験前後の接触角の変化 (インク浸漬のまま120℃、2atm、20時間後チ
ェック) 上記による評価結果を以下に示す。
しチェック プレッシャークッカーテスト20時間後チェック) (2)初期特性 初期接触角→接触角(前進及び後退) (3)撥液持続性 撥液持続性→試験前後の接触角の変化 (60℃インク浸漬) 耐摩耗性 →試験前後の接触角の変化 (こすり耐久試験機を使用、150000回) PCT →試験前後の接触角の変化 (インク浸漬のまま120℃、2atm、20時間後チ
ェック) 上記による評価結果を以下に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】表1に示すように、実施例4では塗布時に
転写特有の干渉縞状のムラが生じる。しかし耐久性に関
して問題は無い。また実施例2では60℃インク浸漬1
か月後にわずかにエッジ部に剥れが生じた。更にPCT
20時間後では天板全体に剥れが生じてしまった。実施
例1、3、比較例については初期とほとんど変化が無か
った。
転写特有の干渉縞状のムラが生じる。しかし耐久性に関
して問題は無い。また実施例2では60℃インク浸漬1
か月後にわずかにエッジ部に剥れが生じた。更にPCT
20時間後では天板全体に剥れが生じてしまった。実施
例1、3、比較例については初期とほとんど変化が無か
った。
【0053】次に表2の初期特性の接触角の測定結果を
乗せたが、ここでの接触角の測定方法に関して説明す
る。通常カタログ等に記載されている接触角は前進接触
角といわれるものである。測定は図4ののようにイン
クを滴下させた後、ステージを下げ、離れた液滴の角度
を読む。
乗せたが、ここでの接触角の測定方法に関して説明す
る。通常カタログ等に記載されている接触角は前進接触
角といわれるものである。測定は図4ののようにイン
クを滴下させた後、ステージを下げ、離れた液滴の角度
を読む。
【0054】これに対し、インクジェットの撥水性評価
では、後退接触角を用いた。これは図4の、の様
に、1度インクを滴下し、漏らした後にインクを吸い取
り、その時残った液滴の角度を測定するものである。こ
こで初めに出すインクの量により後退接触角θR1と後退
接触角θR2に分けて測定を行なった。従来の接触角はθ
R1で示すものである。θR1とθR2とを比較した場合、当
然θR2の方が厳しい条件となるため、撥水性の差は出や
すくなり評価には有効である。
では、後退接触角を用いた。これは図4の、の様
に、1度インクを滴下し、漏らした後にインクを吸い取
り、その時残った液滴の角度を測定するものである。こ
こで初めに出すインクの量により後退接触角θR1と後退
接触角θR2に分けて測定を行なった。従来の接触角はθ
R1で示すものである。θR1とθR2とを比較した場合、当
然θR2の方が厳しい条件となるため、撥水性の差は出や
すくなり評価には有効である。
【0055】表2を見るかぎりでは、初期撥液性能に関
しては各実施例、比較例ともほとんど差がない。またイ
ンクジェットヘッドオリフィス表面のθR2≧70度とい
う一様の基準もクリヤーしている表3では60℃インク
浸漬試験前後の接触角の変化を示してある。浸漬1週間
まではどの例もθR2の低下は少なかった。しかし1か月
後では実施例2では70度を切る程度に低下した。他の
例はいずれもθR2は80度以上の値となった。
しては各実施例、比較例ともほとんど差がない。またイ
ンクジェットヘッドオリフィス表面のθR2≧70度とい
う一様の基準もクリヤーしている表3では60℃インク
浸漬試験前後の接触角の変化を示してある。浸漬1週間
まではどの例もθR2の低下は少なかった。しかし1か月
後では実施例2では70度を切る程度に低下した。他の
例はいずれもθR2は80度以上の値となった。
【0056】表4は擦り試験前後の接触角の変化を示し
ているが、ここでも実施例2以外はθR2≧70度を満足
している。
ているが、ここでも実施例2以外はθR2≧70度を満足
している。
【0057】表5はPCT前後の接触角変化を示してい
るが試験条件が一番厳しいために20時間後の接触角の
低下は一番大きい。実施例1と比較例はθR2≧70度を
維持できたがそれ以外はだめであった。
るが試験条件が一番厳しいために20時間後の接触角の
低下は一番大きい。実施例1と比較例はθR2≧70度を
維持できたがそれ以外はだめであった。
【0058】以上まとめると、実施例1と比較例が最も
撥液持続性と機械的耐久性が優れていることがわかっ
た。また実施例3、4についてもやや劣るながらも実用
使用レベルにはある。実施例1については比較例に比べ
工程数も簡略化され実用に最も優れている。実施例2は
インクが介在した時の密着性に期待がもてる。
撥液持続性と機械的耐久性が優れていることがわかっ
た。また実施例3、4についてもやや劣るながらも実用
使用レベルにはある。実施例1については比較例に比べ
工程数も簡略化され実用に最も優れている。実施例2は
インクが介在した時の密着性に期待がもてる。
【0059】以上のように優れた性能を持つ、本発明実
施例の撥液処理を施したインクジェット記録ヘッドの吐
出観察印字試験を行なったところ、吐出信号印加周波数
2〜10KHz全ノズル同時駆動でも、常に所定の方向
に安定した吐出が行なえた。また印字物も縦線のヨレや
ベタ印字のしろ抜け等の問題も発生することなく良好で
あった。
施例の撥液処理を施したインクジェット記録ヘッドの吐
出観察印字試験を行なったところ、吐出信号印加周波数
2〜10KHz全ノズル同時駆動でも、常に所定の方向
に安定した吐出が行なえた。また印字物も縦線のヨレや
ベタ印字のしろ抜け等の問題も発生することなく良好で
あった。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
非晶質熱可塑性樹脂の化合物はオリフィス表面に半永久
的撥液処理層を従来よりも遥かに容易な処理で形成で
き、また常時所定の方向に実質的に均一液体量を持って
安定した吐出が行なえ、高速記録に十分使用され得るイ
ンクジェット記録ヘッドの形成ができ、記録性能が長期
間安定して優れているインクジェット記録ヘッドを提供
することができる。
非晶質熱可塑性樹脂の化合物はオリフィス表面に半永久
的撥液処理層を従来よりも遥かに容易な処理で形成で
き、また常時所定の方向に実質的に均一液体量を持って
安定した吐出が行なえ、高速記録に十分使用され得るイ
ンクジェット記録ヘッドの形成ができ、記録性能が長期
間安定して優れているインクジェット記録ヘッドを提供
することができる。
【図1】 一実施例の撥液処理の説明図である。
【図2】 マルチ型式のインクジェット記録ヘッドの外
観斜視図である。
観斜視図である。
【図3】 インクジェット記録ヘッドの例を示す模式的
説明図である。
説明図である。
【図4】 接触角の測定方法を説明する工程図である。
1 オリフィス面 2 インク供給口 3 溝付天板 4 吐出口 5 ベースプレート 11 基板 12 吐出圧発生素子 13 感光性樹脂硬化膜 14 オリフィス 15 流路 16 液室 17 天板 19 接着剤 20 撥液処理層
Claims (3)
- 【請求項1】 ポリマー鎖末端にシランカップリング剤
を導入したパーフルオロヘテロ環構造を持つ非晶質熱可
塑性樹脂でオリフィス面のインク吐出口周縁部あるいは
該部分とその外側の前面プレート部が被覆されているこ
とを特徴とするインクジェット記録ヘッド。 - 【請求項2】 請求項1記載の樹脂の被覆方法として、
キャスト法、あるいはディップ法あるいは転写法によっ
てインクジェット記録ヘッドオリフィス面のインク吐出
口周辺部あるいは該部分とその外側の前面プレート部に
被覆することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの
表面処理方法。 - 【請求項3】 請求項1記載のパーフルオロヘテロ環構
造を持つ非晶質熱可塑性樹脂をインクジェット記録ヘッ
ドオリフィス面に塗布後、前記樹脂のガラス転移点プラ
ス20〜80℃かつ基材の熱変形温度以下で熱乾燥し、
撥液処理剤中の溶媒を蒸発させると共にシランカップリ
ング剤の熱処理を同時に行い、基材との密着性を向上さ
せ半永久的撥液処理層を形成したことを特徴とするイン
クジェット記録ヘッドの表面処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5574795A JPH08244234A (ja) | 1995-03-15 | 1995-03-15 | インクジェット記録ヘッド、及び同表面処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5574795A JPH08244234A (ja) | 1995-03-15 | 1995-03-15 | インクジェット記録ヘッド、及び同表面処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08244234A true JPH08244234A (ja) | 1996-09-24 |
Family
ID=13007456
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5574795A Withdrawn JPH08244234A (ja) | 1995-03-15 | 1995-03-15 | インクジェット記録ヘッド、及び同表面処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08244234A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007038670A (ja) * | 2005-07-08 | 2007-02-15 | Canon Inc | インクジェット記録ヘッド用シールテープ及びシールテープを具備するインクジェット記録ヘッド |
US8157347B2 (en) | 2005-07-08 | 2012-04-17 | Canon Kabushiki Kaisha | Ink jet recording head and ink jet recording head cartridge |
JP2018039946A (ja) * | 2016-09-09 | 2018-03-15 | 株式会社リコー | インク、液体を吐出する装置、及び液体を吐出する方法 |
-
1995
- 1995-03-15 JP JP5574795A patent/JPH08244234A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007038670A (ja) * | 2005-07-08 | 2007-02-15 | Canon Inc | インクジェット記録ヘッド用シールテープ及びシールテープを具備するインクジェット記録ヘッド |
US8157347B2 (en) | 2005-07-08 | 2012-04-17 | Canon Kabushiki Kaisha | Ink jet recording head and ink jet recording head cartridge |
JP2018039946A (ja) * | 2016-09-09 | 2018-03-15 | 株式会社リコー | インク、液体を吐出する装置、及び液体を吐出する方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20020604 |