JPH08243806A - スローアウェイチップのクランプ機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スローアウェイチップの取付精度の向上と共
に位置ずれの防止を図ることができるスローアウェイチ
ップのクランプ機構を提供する。 【構成】 チップ取付座３２に嵌合孔３３を形成し、シ
ート３５に係止孔３５ｃを形成し、内部にねじ孔３６ａ
を有する筒状の係止部材３６を、そのスローアウェイチ
ップ３７側でシート３５を押さえ、チップ取付座３２側
で嵌合孔３３に嵌合するように挿通し、係止部材３６の
外壁面３６ｃに嵌合溝３６ｄを形成し、工具本体３１に
嵌合溝３６ｄに向けてねじ孔（図示せず）を形成し、該
ねじ孔に嵌合溝３６ｄに嵌合する止めねじ（図示せず）
を螺着し、スローアウェイチップ３７を固定するチップ
取付ねじ３８を、係止部材３６のねじ孔３６ａに螺着さ
せることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、スローアウェイ式のバ
イト、ボーリングバー、カッター、エンドミル等の工具
本体のチップ取付座にシートを介してスローアウェイチ
ップを着脱自在に装着するためのスローアウェイチップ
のクランプ機構に係わり、特に、スローアウェイチップ
の取付精度の向上、位置ずれの防止を図ることができる
スローアウェイチップのクランプ機構に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来のスローアウェイチップのクランプ
機構の一つには、図６に示すように、二重ねじを用いた
ものがある。即ち、工具本体１のチップ取付座２に取付
ねじ孔３を設け、チップ取付座２に、中央に係止孔５ａ
を有するシート５を、その係止孔５ａがチップ取付座２
の取付ねじ孔３に一致するように着座させる。そこで、
内部に貫通したねじ孔６ａを有するシート取付ねじ６
を、シート５の係止孔５ａから取付ねじ孔３に挿通螺合
させて、まず、シート５をチップ取付座２にクランプし
て固定する。

【０００３】次に、中央に係止孔７ａを有するスローア
ウェイチップ７を、その係止孔７ａがシート取付ねじ６
のねじ孔６ａに一致するように、シート５上に着座させ
る。そこで、チップ取付ねじ８を、スローアウェイチッ
プ７の係止孔７ａからシート取付ねじ６のねじ孔６ａに
挿通螺合させ、スローアウェイチップ７をシート５上で
クランプして固定する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、そのよ
うなスローアウェイチップのクランプ機構では、工具本
体１の取付ねじ孔３に螺合されたシート取付ねじ６のね
じ孔６ａにチップ取付ねじ８を螺合させる二重ねじとな
っているため、シート取付ねじ６の成形誤差及び取付誤
差と、チップ取付ねじ８の成形誤差及び取付誤差が累積
されることとなる。よって、スローアウェイチップ７の
取付精度を高めることが難しいという不都合がある。ま
た、スローアウェイチップ７の着脱のためにシート取付
ねじ６に対するチップ取付ねじ８の着脱が行なわれる度
に、シート取付ねじ６が取付ねじ孔３に対してゆるんで
くる場合があり、その場合には、特にシート取付ねじ６
の強度が低下するので、スローアウェイチップ７に過大
な切削圧力が加わるとスローアウェイチップ７の位置ず
れが生じてしまうという不都合がある。

【０００５】この問題解決のために、実開昭６４−２３
３０２公報に示されるようなスローアウェイチップのク
ランプ機構が提案されている。このスローアウェイチッ
プのクランプ機構は、図７に示すように、チップ取付座
１２に有底の位置決め孔１３が形成されその位置決め孔
１３の底面１３ａに取付ねじ孔１４が形成された工具本
体１１と、チップ取付座１２に載置され略中央に前記位
置決め孔１３と略同径の係止孔１５ａが形成されたシー
ト１５と、このシート１５の係止孔１５ａ及び位置決め
孔１３に嵌合される筒状の係止部材１６と、スローアウ
ェイチップ１７の係止孔１７ａ及び係止部材１６に挿通
され、頭部がスローアウェイチップ１７の係止孔１７ａ
に係止されるとともに先端部が位置決め孔１３の取付ね
じ孔１４に螺合されてスローアウェイチップ１７をシー
ト１５を挟んでチップ取付座１２に固定するチップ取付
ねじ１８とからなる。

【０００６】従って、このスローアウェイチップのクラ
ンプ機構では、シート１５は係止部材１６によりチップ
取付座１２に固定され、スローアウェイチップ１７はチ
ップ取付ねじ１８によりチップ取付座１２に固定される
ので、図６の二重ねじの場合のスローアウェイチップ７
の取付精度及び位置ずれの問題を解決することができ
る。

【０００７】ところが、このスローアウェイチップのク
ランプ機構では、チップ取付座１２に有底の位置決め孔
１３を形成して係止部材１６を嵌合させるため、チップ
取付座１２より下がった位置決め孔１３の底面１３ａ
に、チップ取付ねじ１８の先端部が螺合する取付ねじ孔
１４が形成されている。そして、チップ取付ねじ１８の
頭部は、係止部材１６及びシート１５の上方に位置する
スローアウェイチップ１７の係止孔１７ａに係止させる
ので、スローアウェイチップ１７の係止孔１７ａと取付
ねじ孔１４との間隔が従来より長くなる。そのため、こ
のスローアウェイチップのクランプ機構では、高いクラ
ンプ強度を発揮することが難しく、スローアウェイチッ
プ１７に過大な切削圧力が加わるとやはりスローアウェ
イチップ１７の位置ずれを生ずるという不都合を有して
いる。

【０００８】本発明は、上記事情に鑑み、スローアウェ
イチップの取付精度の向上と共に位置ずれの防止を図る
ことができるスローアウェイチップのクランプ機構を提
供することを目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】請求項１記載のスローア
ウェイチップのクランプ機構は、工具本体のチップ取付
座にシートを介してスローアウェイチップを着座させ、
スローアウェイチップに形成された係止孔にチップ取付
ねじを挿通して螺着することによりスローアウェイチッ
プを固定するようにしたスローアウェイチップのクラン
プ機構であって、チップ取付座には、嵌合孔が形成さ
れ、シートには、嵌合孔に連通する係止孔が貫通形成さ
れ、シートの係止孔とチップ取付座の嵌合孔には、内部
にねじ孔を有する筒状の係止部材が、そのスローアウェ
イチップ側でシートを押さえると共に係止部材のチップ
取付座側で嵌合孔に嵌合するように挿通され、係止部材
の嵌合孔内の外壁面には、嵌合溝が形成され、工具本体
には、係止部材の外壁面の嵌合溝に向けてねじ孔が形成
され、ねじ孔には、係止部材の嵌合溝に係合する止めね
じが螺着され、スローアウェイチップを固定するチップ
取付ねじは、係止部材のねじ孔に螺着されることを特徴
とする。

【００１０】請求項２記載のスローアウェイチップのク
ランプ機構は、請求項１記載のスローアウェイチップの
クランプ機構であって、嵌合溝が係止部材の嵌合孔内の
外壁面に環状に形成されていることを特徴とする。

【００１１】請求項３記載のスローアウェイチップのク
ランプ機構は、請求項１記載のスローアウェイチップの
クランプ機構であって、工具本体に形成されたねじ孔
は、係止部材の外壁面の嵌合溝を掠めるように形成さ
れ、止めねじの先端部には、テーパー部が形成され、そ
のテーパー部の外周面が嵌合溝に嵌合されていることを
特徴とする。

【００１２】

【作用】請求項１記載のスローアウェイチップのクラン
プ機構では、まず、シートをチップ取付座に着座させ、
シートの係止孔からチップ取付座の嵌合孔に、筒状の係
止部材を挿通嵌合させると、その係止部材は、スローア
ウェイチップ側でシートを押さえると共にチップ取付座
側で嵌合孔に嵌合する。これにより、シートをチップ取
付座に正確に位置決めすることができる。

【００１３】次に、係止部材の外壁面の嵌合溝に向けて
貫通形成されたねじ孔に、止めねじを係止部材の嵌合溝
に嵌合させるように螺着させると、係止部材が嵌合孔に
固定される。これにより、係止部材により押さえられた
シートも固定することができる。

【００１４】そして、スローアウェイチップをシートに
着座させ、チップ取付ねじをスローアウェイチップの係
止孔から係止部材のねじ孔に螺着させる。すると、スロ
ーアウェイチップは、チップ取付ねじ及び係止部材を介
してチップ取付座側に固定されることとなる。このよう
にして、スローアウェイチップを工具本体のチップ取付
座にシートを介して着脱自在に装着することができる。

【００１５】請求項２記載のスローアウェイチップのク
ランプ機構は、嵌合溝が係止部材の嵌合孔内の外壁面に
環状に形成されているので、係止部材を嵌合溝に嵌合さ
せる際に、嵌合溝と工具本体に貫通形成されたねじ孔と
の位置合せを行なわずとも、常に、その嵌合溝はねじ孔
に一致することとなる。

【００１６】請求項３記載のスローアウェイチップのク
ランプ機構は、止めねじを締め付けていくと、そのテー
パー部の外周面の、係止部材の嵌合溝に嵌合する部分が
徐々に拡径して係止部材を嵌合孔の壁面に押し付けてい
くこととなるので、その押し付けを強く行なうことがで
きる。よって、係止部材の固定を強固にすることができ
る。

【００１７】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づき説明
する。図３は、本発明のスローアウェイチップのクラン
プ機構が適用されたスローアウェイ式のエンドミル１０
０を示す図であり、エンドミル１００の工具本体３１
は、鋼材等から形成されて柱状をなしている。工具本体
３１の基端部は図示しない工作機械のスピンドル側に取
り付けられるシャンク３１ａを形成しており、工具本体
３１の先端部３１ｂの外縁側には、チップ取付座３２が
形成されている。チップ取付座３２は、エンドミル１０
０の回転軸心ＣＴに平行な平坦面をなす図１に示す取付
座底面３２ａと、この取付座底面３２ａから屹立して、
工具本体３１の先端側及び外周側に向く取付座壁面３２
ｂ、３２ｂとからなっている。また、取付座底面３２ａ
の中央部には、取付座底面３２ａに直交する嵌合孔３３
が形成されている。

【００１８】チップ取付座３２の取付座底面３２ａには
シート３５が着座されており、このシート３５は、超硬
合金やハイス等の硬質材料から形成されて、正方形の平
板状をなし、その下面がチップ取付座３２の取付座底面
３２ａに着座される着座面３５ａとされ、その上面がス
ローアウェイチップ３７を着座させるチップ着座面３５
ｂとされている。また、シート３５の側面はチップ取付
座３２の取付座壁面３２ｂ、３２ｂに当接しており、シ
ート３５の中央部には、チップ取付座３２の嵌合孔３３
に連通し、この嵌合孔３３と略同径の係止孔３５ｃが貫
通形成されている。シート３５の係止孔３５ｃのスロー
アウェイチップ３７側は、拡径され、環状凹部３５ｅを
形成している。

【００１９】シート３５の係止孔３５ｃからチップ取付
座３２の嵌合孔３３に渡る部分には、円筒状に形成され
た係止部材３６が挿通嵌合されており、係止部材３６の
内部は、ねじ孔３６ａになっている。また、係止部材３
６のシート３５側の端縁は拡径され、拡径部３６ｂを形
成しており、その拡径部３６ｂは、シート３５の係止孔
３５ｃの環状凹部３５ｅに係合している。この係止部材
３６の拡径部３６ｂにより、シート３５はチップ取付座
３２側に押圧されて係止されている。

【００２０】係止部材３６の嵌合孔３３内の外壁面３６
ｃには、嵌合溝３６ｄが形成されており、嵌合溝３６ｃ
は、係止部材３６の中心軸ＣＴ１回りに環状に形成され
ている。

【００２１】図３に示す工具本体３１の先端部３１ｂの
端縁３１ｃには、図２に示すように係止部材３６の外壁
面３６ｃの嵌合溝３６ｄに向けてねじ孔４１が貫通形成
されており、ねじ孔４１には、係止部材３６の嵌合溝３
６ｄに嵌合する止めねじ４２が螺着されている。

【００２２】図１に示すシート３５には、スローアウェ
イチップ３７が着座されている。スローアウェイチップ
３７は、本実施例では超硬合金等の硬質材料から形成さ
れて、シート３５よりも一回り大きな略正方形の平板状
をなすものであり、この正方形をなす上面がすくい面３
７ａとされるとともに、このすくい面３７ａの反対側の
下面が着座面３７ｂとされ、さらに四つの側面がそれぞ
れ逃げ面３７ｃとされていて、これらの逃げ面３７ｃに
逃げ角が付されたポジティブチップとされている。そし
て、上記すくい面３７ａと各逃げ面３７ｃとの交差稜線
部に切削に供される切刃３７ｄが形成されている。ま
た、スローアウェイチップ３７の四つの逃げ面３７ｃの
内二つは、チップ取付座３２の取付座壁面３２ｂ、３２
ｂに当接している。

【００２３】スローアウェイチップ３７の中央部には、
係止部材３６のねじ孔３６ａに連通する係止孔３７ｅが
貫通形成されており、係止孔３７ｅの孔壁は、シート３
５側に向けて徐々に縮径するテーパー面状に形成されて
いる。また、係止孔３７ｅは、チップ取付座３２の嵌合
孔３３に対して、取付座壁面３２ｂ、３２ｂから離間す
る方向に僅かに偏心している。

【００２４】スローアウェイチップ３７の係止孔３７ｅ
には、チップ取付ねじ３８が挿通されており、その頭部
３８ａは係止孔３７ｅの孔壁に係合させており、チップ
取付ねじ３８の先端部３８ｂは、係止部材３６のねじ孔
３６ａに螺合されている。この係止部材３６のねじ孔３
６ａは、螺合されたチップ取付ねじ３８の中心が嵌合孔
３３の中心に位置するように、チップ取付座３２の嵌合
孔３３に対して同心状に形成されている。

【００２５】本実施例のスローアウェイチップのクラン
プ機構は、以上のような構成を有するので、以下のよう
にして工具本体３１へのスローアウェイチップ３７の装
着固定を行なうことができる。

【００２６】即ち、まず、工具本体３１のチップ取付座
３２に、シート３５を、その係止孔３５ｃをチップ取付
座３２の嵌合孔３３に同心状に一致させて着座させる。
次に、シート３５の係止孔３５ｃからチップ取付座３２
の嵌合孔３３に渡って、係止部材３６を挿通嵌合させ
る。すると、その係止部材３６のチップ取付座底面３２
ａ側は、嵌合孔３３に嵌合し、係止部材３６の拡径部３
６ｂは、シート３５の係止孔３５ｃに環状凹部３５ｅに
係合して、シート３５をチップ取付座底面３２ａ側に係
止する。また、このとき、シート３５の側面は、チップ
取付座３２の壁面３２ｂ、３２ｂに当接される。これに
より、シート３５をチップ取付座３２に正確に位置決め
することができる。

【００２７】次に、図２に示すように、係止部材３６の
外壁面３６ｃの嵌合溝３６ｄに向けて貫通形成されたね
じ孔４１に、止めねじ４２をねじ込み、その先端を係止
部材３６の嵌合溝３６ｄに嵌合させる。すると、係止部
材３６が嵌合孔３３に固定されるので、図１に示すよう
に係止部材３６の拡径部３６ｂにより係止されたシート
３５も固定することができる。これにより、チップ取付
座３２へのシート３５の固定を正確且つ確実且つ強固に
行なうことができる。

【００２８】また、この係止部材３６と嵌合孔３３を螺
合させた形の図６の従来例に比して、嵌合孔３３に対す
る係止部材３６のガタつきをなくすことができる。

【００２９】更に、この際、嵌合溝３６ｄが係止部材３
６の嵌合孔３３内の外壁面３６ｃに環状に形成されてい
るので、係止部材３６を嵌合孔３３に嵌合させる際に、
係止部材３６を回転させるなどして嵌合溝３６ｄと工具
本体３１に貫通形成されたねじ孔４１との位置合せを行
なわずとも、常に、その嵌合溝３６ｄはねじ孔４１に一
致することとなる。従って、その取付を簡便に行なうこ
とができる。

【００３０】そして、シート３５に、スローアウェイチ
ップ３７を、その係止孔３７ｅが係止部材３６の係止孔
３６ａに連通するように且つ四つの逃げ面３７ｃの内二
つをチップ取付座３２の取付座壁面３２ｂ、３２ｂに当
接させるように着座させる。そこで、チップ取付ねじ３
８を係止孔３７ｅに連通して、その頭部３８ａを係止孔
３７ｅの孔壁に係合させ、チップ取付ねじ３８の先端部
３８ｂを係止部材３６のねじ孔３６ａに螺着させる。す
ると、スローアウェイチップ３７は、チップ取付ねじ３
８及び係止部材３６を介してチップ取付座３２側に固定
されることとなる。このようにして、スローアウェイチ
ップ３７を工具本体３１のチップ取付座３２にシート３
５を介して着脱自在に装着することができる。

【００３１】尚、この際、スローアウェイチップ３７の
係止孔３７ｅは、チップ取付座３２の取付座底面３２ａ
の取付ねじ孔３３に対して取付座壁面３２ｂ、３２ｂか
ら離間する方向に僅かに偏心しており、そのため、スロ
ーアウェイチップ３７の係止孔３７ｅを通じて取付ねじ
孔３３に螺着されたチップ取付ねじ３８を締め付けてい
くと、チップ取付ねじ３８の頭部３８ａの取付座壁面３
２ｂ、３２ｂ側が、スローアウェイチップ３７の係止孔
３７ｅの取付座壁面３２ｂ、３２ｂ側を押圧することと
なる。これにより、スローアウェイチップ３７の四つの
逃げ面３７ｃの内二つを、チップ取付座３２の取付座壁
面３２ｂ、３２ｂに押し付けることができるので、チッ
プ取付座３２へのスローアウェイチップ３７の固定を強
固にすることができる。よって、スローアウェイチップ
３７の位置ずれは防止される。

【００３２】従って、上記実施例によれば、係止部材３
６と嵌合孔３３を嵌合させることにより、係止部材３６
と嵌合孔３３を螺合させた形の図６の従来例に比して、
嵌合孔３３に対する係止部材３６のガタつきをなくすこ
とができるので、スローアウェイチップ３７の取付精度
を高めることができると共にその位置ずれを防止するこ
とができる。

【００３３】また、スローアウェイチップ３７を固定す
るチップ取付ねじ３８は、チップ取付座３２の嵌合孔３
３に嵌合した係止部材３６に螺合されるので、図７の従
来例のように、チップ取付座１２に係止部材１６を装着
する位置決め孔１３を形成し、その位置決め孔１３の底
面１３ａに取付ねじ孔１４を形成し、その取付ねじ孔１
４に、スローアウェイチップ１７を固定するチップ取付
ねじ１８が螺合される場合に比して、スローアウェイチ
ップ３７の係止孔３７ｅと、その係止孔３７ｅに挿通さ
れた取付ねじ３８が螺着されるねじ孔３６ａとの間隔を
短くすることができる。これにより、チップ取付ねじ３
８のクランプ強度を高くすることができるので、スロー
アウェイチップ３７の位置ずれの防止効果の向上を図る
ことができる。

【００３４】従って、上記実施例によれば、スローアウ
ェイチップ３７の取付精度の向上と共に位置ずれの防止
を図ることができる。

【００３５】また、チップ取付座３２は平坦面をなして
いるため、加工精度が高い。よって、スローアウェイチ
ップ３７の取付精度を一層向上することができる。

【００３６】尚、上記実施例においては、係止部材３６
の外周面３６ｃに環状の嵌合溝３６ｄを形成したが、必
ずしも、環状である必要はなく、係止部材３６の中心軸
ＣＴ１回りの外周の一部に形成されたものであってもよ
い。

【００３７】また、図４に示すように、工具本体３１に
貫通形成されたねじ孔５１が、嵌合孔３３に嵌合された
係止部材３６の外周面３６ｃの嵌合溝３６ｄを掠める位
置であって、係止部材３６の中心軸ＣＴ１に対して直角
なねじれの位置に形成され、止めねじ５２の先端部に図
５に示すようにテーパー部５２ａが形成され、そのテー
パー部５２ａの外周面５２ｂが嵌合溝３６ｄに嵌合され
る構成としてもよい。すると、止めねじ５２を図中矢印
Ａ方向に捩じ込むにつれて、嵌合溝３６ｄに嵌合するテ
ーパー部５２ａの外周面５２ｂが拡径されてゆき、係止
部材３６を、徐々に図中矢印Ｂ方向に押圧し、嵌合孔３
３の壁面に押し付ける。従って、係止部材３６が嵌合孔
３３内でガタつかないように強く固定することができ
る。よって、図４に示すスローアウェイチップ３７の固
定を強固にすることができるので、その位置ずれの防止
効果を高めることができる。

【００３８】また、上記実施例においては、本発明のス
ローアウェイチップのクランプ機構をエンドミルに適用
した場合を示したが、本発明のスローアウェイチップの
クランプ機構は、スローアウェイ式のバイト、ボーリン
グバー、カッター等にも適用することができることは勿
論である。

【００３９】

【発明の効果】請求項１記載のスローアウェイチップの
クランプ機構によれば、スローアウェイチップを固定す
るチップ取付ねじは係止部材に螺着される。そして、そ
の係止部材は、チップ取付座の嵌合孔に嵌合することに
より位置決めされ、止めねじを係止部材の嵌合溝に嵌合
させることにより固定されるので、この係止部材と嵌合
孔を螺合させた形の図６の従来例に比して、嵌合孔に対
する係止部材のガタつきをなくすことができる。よっ
て、スローアウェイチップの取付精度を高めることがで
きると共にその位置ずれの防止を図ることができる。

【００４０】また、スローアウェイチップを固定するチ
ップ取付ねじは、チップ取付座の嵌合孔に嵌合した係止
部材に螺合されるので、図７の従来例のように、チップ
取付座に係止部材を装着する位置決め孔を形成し、その
位置決め孔の底面に取付ねじ孔を形成し、その取付ねじ
孔に、スローアウェイチップを固定するチップ取付ねじ
が螺合される場合に比して、スローアウェイチップの係
止孔とチップ取付ねじが螺着されるねじ孔との間隔を短
くすることができる。すると、チップ取付ねじのクラン
プ強度が高くなるので、スローアウェイチップの位置ず
れの防止効果の向上を図ることができる。

【００４１】従って、本発明によれば、スローアウェイ
チップの取付精度の向上と共に位置ずれの防止を図るこ
とができる。

【００４２】請求項２記載のスローアウェイチップのク
ランプ機構は、上記効果に加えて、係止部材を嵌合孔に
嵌合させる際に、係止部材の嵌合溝と工具本体に貫通形
成されたねじ孔との位置合せを行なわずとも、常にその
嵌合溝をねじ孔に一致させることができるので、その取
付を簡便にすることができる。

【００４３】請求項３記載のスローアウェイチップのク
ランプ機構によれば、請求項１記載のスローアウェイチ
ップのクランプ機構において示した効果に加えて、嵌合
孔に対する係止部材の固定を強固にすることができ、引
いてはスローアウェイチップの固定を強固にすることが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明のスローアウェイチップのクランプ機
構の一実施例を示す正面断面図である。

【図２】 図１の係止部材の外壁面の嵌合溝に向けて形
成されたねじ孔及びそのねじ孔に螺着され係止部材の嵌
合溝に嵌合する止めねじを示す側面断面図である。

【図３】 図１のスローアウェイチップのクランプ機構
を適用したエンドミルを示す図である。

【図４】 本発明のスローアウェイチップのクランプ機
構の別の実施例を示す正面断面図である。

【図５】 図４の係止部材の外壁面の嵌合溝に向けて形
成されたねじ孔及びそのねじ孔に螺着され係止部材の嵌
合溝に嵌合する止めねじを示す平面断面図である。

【図６】 従来の二重ねじ機構を用いたスローアウェイ
チップのクランプ機構を示す図である。

【図７】 二重ねじ機構を用いない従来のスローアウェ
イチップのクランプ機構の一例を示す図である。

【符号の説明】

３１…工具本体 ３２…チップ取付座 ３３…嵌合孔 ３５…シート ３５ｃ…係止孔 ３６…係止部材 ３６ａ…ねじ孔 ３６ｃ…外壁面 ３６ｄ…嵌合溝 ３７…スローアウェイチップ ３７ｅ…係止孔 ３８…チップ取付ねじ ４１…ねじ孔 ４２…止めねじ ５１…ねじ孔 ５２…止めねじ ５２ａ…テーパー部 ５２ｂ…外周面

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 工具本体のチップ取付座にシートを介し
   てスローアウェイチップを着座させ、前記スローアウェ
   イチップに形成された係止孔にチップ取付ねじを挿通し
   て螺着することにより該スローアウェイチップを固定す
   るようにしたスローアウェイチップのクランプ機構であ
   って、 前記チップ取付座には、嵌合孔が形成され、 前記シートには、前記嵌合孔に連通する係止孔が貫通形
   成され、 該シートの係止孔と前記チップ取付座の嵌合孔には、内
   部にねじ孔を有する筒状の係止部材が、該係止部材のス
   ローアウェイチップ側で前記シートを押さえると共に該
   係止部材のチップ取付座側で前記嵌合孔に嵌合するよう
   に挿通され、 前記係止部材の嵌合孔内の外壁面には、嵌合溝が形成さ
   れ、 前記工具本体には、前記係止部材の外壁面の嵌合溝に向
   けてねじ孔が形成され、 前記ねじ孔には、前記係止部材の嵌合溝に嵌合する止め
   ねじが螺着され、 前記スローアウェイチップを固定する前記チップ取付ね
   じは、前記係止部材のねじ孔に螺着されることを特徴と
   するスローアウェイチップのクランプ機構。
2. 【請求項２】 前記嵌合溝が前記係止部材の嵌合孔内の
   外壁面に環状に形成されていることを特徴とする請求項
   １記載のスローアウェイチップのクランプ機構。
3. 【請求項３】 前記工具本体に形成された前記ねじ孔
   は、前記係止部材の外壁面の嵌合溝を掠めるように形成
   され、 前記止めねじの先端部には、テーパー部が形成され、 該テーパー部の外周面が前記嵌合溝に嵌合されているこ
   とを特徴とする請求項１記載のスローアウェイチップの
   クランプ機構。