JPH08242554A - スリップリング装置を機械ケーシングの外部に備えた電気的な同期機とその製法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 ガスタービンと蒸気タービンとが共通し
て１つのターボ発電機を駆動する火力発電所において、
解離可能な第１のカップリング１１を介して電気機械の
固有の軸１０に結合された別個のスリップリング軸１４
にスリップリング８，９が配置されている。スリップリ
ング軸１４は電気機械から遠い方の端部にカップリング
フランジ１５を備えており、このカップリングフランジ
は、スリップリング軸１４にスリップリング８，９を差
しはめた後に初めてスリップリング軸１４に溶接により
結合される。 【効果】 タービン発電機の全長を増大させることな
く、ターボ発電機と蒸気タービンとの間の複雑な焼きば
めカップリングを回避することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、軸に絶縁して固定
されたスリップリングを備えたスリップリング装置を機
械ケーシングの外部に備えた電気的な同期機に関する。

【０００２】本発明はさらに、このスリップリング装置
の製法にも関する。

【０００３】

【従来の技術】同期機のためのスリップリングには直流
が供給される。従って両方の極性に応じて陰極のスリッ
プリングと陽極のスリップリングとが設けられる。多く
の場合、鋼製リングが使用される。この鋼製リングはス
リップリングブッシュに絶縁されて取付けられるか、又
は同期機の駆動される側とは逆の側の軸端に直に絶縁さ
れて焼きばめされる（Ｗｉｅｄｅｍａｎｎ／Ｋｅｌｌｅ
ｎｂｅｒｇｅｒ“Ｋｏｎ−ｓｔｒｕｋｔｉｏｎ ｅｌｅ
ｋｔｒｉｓｃｈｅｒ Ｍａｓｃｈｉｎｅｎ”（電気機械
の設計”），Ｓｐｒｉｎｇｅｒ−Ｖｅｒｌａｇ Ｂｅｒ
ｌｉｎ ，Ｈｅｉｄｅｌｂｅｒｇ，Ｎｅｗ Ｙｏｒｋ
１９９６７，第３９２ページ，第３８６もしくは第３８
７図参照）。この技術は多年来最善とされてきたが、し
かし、両方のスリップリングを差しはめることができる
ようにＮＳ（英語ではＬＶ）軸端を製作することが前提
であった。

【０００４】いわゆる組合せプラントのための最近のタ
ーボ装置団では、ガスタービンの廃熱を蒸気タービンの
運転のために利用するためにガスタービンが蒸気パワー
プラントと組合わされ、ガスタービンと蒸気タービンと
が共通して１つのターボ発電機を駆動するようになって
いる（ＳＳＰＴ−Ｓｉｎｇｌｅ Ｓｈａｆｔ Ｐｏｗｅ
ｒ Ｔｒａｉｎ）。この種の１軸式プラントでは、ガス
タービンと蒸気タービンとの間に配置された発電機は両
方の軸端にカップリングを備えている。スリップリング
に対向して位置する軸端に設けられたカップリングは従
来では一般にフランジカップリングとして形成されてい
る。これに対して、他方の端部には、両方のスリップリ
ングをこの軸端に差しはめることができるようなカップ
リングが使用されなければならない。この場合、熱機関
から発電機へトルクを伝達することができるためには、
楔を備えた複雑な焼きばめカップリングが使用される。
スリップリングをカップリングフランジを越えて差しは
め、次いでカップリングの後方の軸つばに固定すること
ができるようにスリップリングの内径を選択することも
可能でありそうに思われるが、しかし、この可能性は、
スリップリングの内径の増大に伴う外径の増大が過剰な
周速度ひいてはロータダイナミクスへの悪影響を招くた
め除外される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、全長
及び特にオーバハングが大きくならないと共に、従来の
スリップリングを保留することができるような、スリッ
プリングを機械ケーシングの外部に備えた電気的な同期
機を製作することにある。本発明の課題はさらに、この
種の機械の製法を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この課題を解決した本発
明の電気機械の構成は、解離可能な第１のカップリング
を介して電気機械の固有の軸に結合された別個のスリッ
プリング軸にスリップリングが配置されており、このス
リップリング軸が電気機械から遠い方の端部に、第２の
カップリングの一方の半部を成すカップリングフランジ
を備えており、このカップリングフランジが、スリップ
リング軸に溶接により結合されているとを特徴としてい
る。

【０００７】本発明に基づく電気機械の製法は、片側に
第１のカップリングフランジを備えたスリップリング軸
に、両方のスリップリングを差しはめ、次いでスリップ
リング軸の自由端に、過剰寸法を有する第２のカップリ
ングフランジを溶接し、しかる後に、第２のカップリン
グフランジから熱処理により応力を除去し、かつ目標寸
法まで旋削し、次いで両方のスリップリングをスリップ
リング軸に絶縁して固定し、かつ同時に目標寸法まで旋
削することを特徴としている。

【０００８】

【発明の効果】本発明の効果は次に記載する通りであ
る。すなわち、 −スリップリング軸のカップリングフランジまでの全長
が短い。

【０００９】−短絡トルクを焼きばめカップリング及び
付加的な楔を通して伝達する必要がない。

【００１０】−質量が小さく、組込み長さが短くかつオ
ーバハングがわずかであるために、ロータダイナミクス
的な利点がえられる。

【００１１】−フランジカップリングを保留することが
できるため、スリップリング軸を含むスリップリング装
置又は発電機全体を、必要な場合、例えば修理又は保守
作業の際に、側方へ走出させることができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】次に、図示の実施例を詳しく説明
する。

【００１３】図１において、ガスタービン１と蒸気ター
ビン２とがターボ発電機３の両方の軸端にカップリング
４，５を介して結合されている。ターボ発電機３の機械
ケーシングの外部に配置されたスリップリング装置が符
号６で示されている。完全を期するべく、蒸気タービン
３と蒸気タービン側のカップリング５との間にオーバラ
ンニングクラッチ７が図示されている。この種の形態は
１軸式プラントとも呼ばれる。

【００１４】冒頭に記載したように、両側から駆動され
るターボ発電機を備えたこの種のプラントでは、（スリ
ップリング装置６）のスリップリングがカップリングフ
ランジを越えて差しはめられなければならないという問
題が生じる。本発明はこの問題の解決のためになされた
ものである。本発明によれば、スリップリング装置６が
別個のスリップリング軸に配置されている。

【００１５】この目的のために、図２から判るように、
カップリングフランジ１２，１３を備えた第１の解離可
能なカップリング１１を介して電気機械の固有の軸１０
に結合された中空のスリップリング軸１４にスリップリ
ング８，９が配置されている。このスリップリング軸１
４は、電気機械から遠い方の端部に、別のカップリング
フランジ１５を備えており、このカップリングフランジ
１５はスリップリング軸１４に溶接により結合されてい
る。溶接継目は図２に符号１６で示されている。その他
の点ではスリップリング装置の構成は従来のものに対応
している。

【００１６】スリップリング８，９は絶縁層１７，１８
を介して絶縁されてスリップリング軸１４に固定されて
いる（焼きばめ）。半径方向の電流供給ボルト１９，２
０がスリップリング８，９からスリップリング軸１４の
軸孔２１内の電流レールへ、かつそこから発電機の励磁
コイルへ通じており、電流レールのうち、左のスリップ
リング８に付属する電流レール２２だけが図示されてい
る。

【００１７】スリップリング装置の製作のために、発電
機側の端部にカップリングフランジ１２を有していて電
流供給ボルト１９，２０などの収容のためのすべての孔
を予め備えた中空軸が出発材料として使用される。次い
で、この軸に両方のスリップリング８，９が固定される
ことなく差しはめられる。次いで、蒸気タービン側のカ
ップリングフランジ１５が蒸気タービン側の軸端に溶接
される。この場合、過剰寸法を備えたカップリングフラ
ンジが使用される。溶接プロセスで発生した応力を除去
するための熱処理（例えば応力除去焼きなまし）を施し
た後に、良好な真円回転を保証するためにカップリング
フランジ１５が目標寸法まで旋削される。次いで、スリ
ップリングが脇へ移動され、絶縁層１７，１８、例えば
適当厚さのポリイミドシートが軸に取付けられ、スリッ
プリング８，９が誘導加熱されて、スリップリング軸の
絶縁層を備えた軸部分へ移動される。スリップリング
８，９の冷却の後、スリップリングは軸に運転確実に固
定されている。次の作業過程で、最適な真円回転を得る
ために両方のスリップリング８，９の摺動面が旋削され
る。その後、予め軸孔２１内に挿入されて固定されてい
た電流レールへ電流供給ボルト１９，２０を介してスリ
ップリング８，９が電気的に接続され、軸孔２１がカバ
ー２３により閉鎖される。

【００１８】以上説明した方法を使用するための前提条
件は、絶縁層１７，１８を取付けるべく両方のスリップ
リング８，９を遠くまで脇へ移動させることができるよ
うに、スリップリング軸１４に充分な軸方向のスペース
が存在しなければならないことである。拡大図示された
図２から判るように、カップリングフランジ１２と左の
スリップリング８との間隔並びに両方スリップリング
８，９の間隔が、スリップリング８の軸方向の幅にほぼ
相応していれば充分である。両方のスリップリングの間
隔は、いずれにせよスリップリングの焼きばめの後に電
流供給ボルト１９，２０が位置するために設けられる間
隔である。同様にカップリングフランジ１２と左のスリ
ップリング８との間隔は、いずれにせよこのスリップリ
ングに付属する（図示されていない）ブラシ装置がその
ケーシングと一緒に軸方向の位置を占めるために必要な
間隔である。このことの意味することは、本発明により
電気機械の軸方向の全長が増大しないということであ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】ガスタービンと蒸気タービンとにより駆動され
るターボ発電機を備えた１軸式パワープラントとして形
成された公知の熱的な組合せプラントの略示図である。

【図２】本発明に基づくターボ発電機のスリップリング
装置を部分的に縦断面した側面図である。

【符号の説明】

１ ガスタービン、 ２ 蒸気タービン、 ３ 発電
機、 ４ ガスタービン側のカップリング、 ５ 蒸気
タービン側のカップリング、 ６ スリップリング装
置、 ７ オーバランニングクラッチ、 ８，９ スリ
ップリング、 １０発電機の軸、 １１ 第１（発電機
側）のカップリング、 １２，１３ 第１のカップリン
グのカップリングフランジ、 １４ 中空のスリップリ
ング軸、１５ 蒸気タービン側のカップリングのスリッ
プリング側のカップリングフランジ、 １６ 溶接継
目、 １７，１８ 絶縁層、 電流供給ボルト、 ２１
スリップリング軸の軸孔、 ２２ 電流レール、 ２
３ カバー

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸に絶縁されて固定されたスリップリン
   グ（８，９）を備えたスリップリング装置（６）を機械
   ケーシングの外部に備えた電気機械において、解離可能
   な第１のカップリング（１１）を介して電気機械の固有
   の軸（１０）に結合された別個のスリップリング軸（１
   ４）にスリップリング（８，９）が配置されており、こ
   のスリップリング軸（１４）が電気機械から遠い方の端
   部にカップリングフランジ（１５）を備えており、この
   カップリングフランジ（１５）が、スリップリング軸
   （１４）に溶接により結合されていることを特徴とする
   スリップリング装置を機械ケーシングの外部に備えた電
   気的な同期機。
2. 【請求項２】 第１のカップリング（１１）のスリップ
   リング側のカップリングフランジ（１２）と電気機械に
   付属するスリップリング（８）との間に、このスリップ
   リングの軸方向の幅と同じ大きさの間隔が設けられてお
   り、かつ、両方のスリップリング（８，９）の間の軸方
   向の間隔が、少なくとも他方のスリップリング（９）の
   軸方向の幅と同じ寸法の長さに相応している請求項１記
   載の同期機。
3. 【請求項３】 請求項１記載の同期機のためのスリップ
   リング装置の製法において、片側に第１のカップリング
   フランジ（１２）を備えたスリップリング軸（１４）
   に、両方のスリップリング（８，９）を差しはめ、次い
   でスリップリング軸（１４）の自由端に、過剰寸法を有
   する第２のカップリングフランジ（１５）を溶接し、し
   かる後に、第２のカップリングフランジから熱処理によ
   り応力を除去し、かつ目標寸法まで旋削し、次いで両方
   のスリップリング（８，９）をスリップリング軸（１
   ４）に絶縁して固定し、かつ同時に目標寸法まで旋削す
   ることを特徴とするスリップリング装置を機械ケーシン
   グの外部に備えた電気的な同期機のためのスリップリン
   グ装置の製法。