JPH08239789A - 水素・酸素発生装置 - Google Patents

水素・酸素発生装置

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JPH08239789A
JPH08239789A JP7042151A JP4215195A JPH08239789A JP H08239789 A JPH08239789 A JP H08239789A JP 7042151 A JP7042151 A JP 7042151A JP 4215195 A JP4215195 A JP 4215195A JP H08239789 A JPH08239789 A JP H08239789A
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oxygen
water
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electrolyte membrane
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清司 平井
Shinichi Yasui
信一 安井
Hiroko Kobayashi
宏子 小林
Mamoru Nagao
衛 長尾
Takashi Sasaki
隆 佐々木
Akira Asari
明 浅利
Michiyuki Harada
宙幸 原田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】水電解セル内と外部とのガス圧差が少なく、シ
ール機能が損なわれず、ガスケットより大気側に酸素、
水素、水などが漏洩することなく、装置の始動時におい
て、陽極側と陰極側との差圧が小さく、固体電解質膜の
破損も少ない高圧で操業可能な水素・酸素発生装置を提
供する。 【構成】固体電解質膜10と、その両面に添設した多孔質
給電体20と、両多孔質給電体の外側に配設した陽極及び
陰極の両作用を行う複極式の電極板30とから構成される
複数個の固体電解質膜ユニット40を積層した構造の複極
式の水電解セル2を、圧力容器90内に配設するととも
に、圧力容器内面と電解セル外周面との間に間隙を設け
て水圧調整室97を形成し、水圧調整室に所定圧力の純水
を供給するように構成して、水電解セル内の圧力と水圧
調整室内の圧力差を、水電解セルのシール構造の圧力許
容範囲内に保持するように構成したことを特徴とする水
素・酸素発生装置1 である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、固体電解質膜を隔膜と
して用い、複極式の電極板の陽極側に純水を供給しなが
ら電気分解して、陽極側から酸素ガスを、陰極側から水
素ガスを発生させるための複極式の水素・酸素発生装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の水素・酸素発生装置
の構造としては、多量の酸素ガス、水素ガスを必要とす
る場合など大規模施設に適用する場合に、図8に示した
ようないわゆる「複極式フィルタープレス型電気分解装
置」が提案されている(「新版電気化学便覧」、(社)
電気化学協会編、丸善(株)発行、第2版第4刷、第73
3 頁参照)。
【0003】この装置は、固体電解質膜210 、例えば、
カチオン交換膜(フッ素樹脂系スルフォン酸カチオン交
換膜、例えば、デュポン社製「ナフィオン117 」)と、
その両面に添設した白金属族金属等からなるメッシュ状
の多孔質給電体211 、 212 と、両多孔質給電体211 、 21
2 の外側に配設した複極式電極板213 とから構成される
複数個の固体電解質膜ユニット220 、 220 を、多数構成
されるように各ユニットを重ね合わせて配置した水電解
セルから構成されるものである。なお、複極式電極板21
3 は、通電した際に電極板の表面と裏面が逆の電位とな
る単一枚の電極板である。
【0004】すなわち、この場合、水を陽極側に供給し
ながら電気分解することにより、陽極側では、2H2 O →
O 2 +4H+ +4e- のような反応が起こり酸素ガスが発生
し、陰極側では、4H+ +4e- →2H 2 の反応が起こり水
素ガスが発生するものである。
【0005】そして、固体電解質膜ユニット220 、 220
の陽極側の多孔質給電体211 、 211に純水を供給するた
めの純水供給経路215 、 215 を配設するとともに、固体
電解質膜ユニット220 、 220 の陽極側の多孔質給電体21
1 、 211 から酸素ガス(水を含む)を取り出すための酸
素ガス取り出し経路216,216 を配設し、固体電解質膜ユ
ニット220 、 220 の陰極側の多孔質給電体212 、 212 か
ら水素ガス(水を含む)を取り出すための水素ガス取り
出し経路217,217 を配設した構造である。
【0006】具体的には、このような水素・酸素発生装
置の水の供給経路等の構造としては、水電解セルに長手
(軸)方向に、マニホールド式の水の供給経路を設けて
陽極側に純水を供給するとともに、陽極側より発生した
酸素と水を取り出すために、長手(軸)方向に設けた別
のマニホールド式の取り出し経路を設け、さらに、長手
(軸)方向に設けた別のマニホールド式の取り出し経路
を設け、陰極側から発生した水と水素が取り出されるよ
うに構成したものである。また、この場合、水電解セル
の多孔質給電体の外周には、固体電解質膜を挟んで環状
のガスケットを配設して、水電解セル内部と大気側との
シールを確保した構成としている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
従来の水素・酸素発生装置では、水電解セル内の圧力が
大気圧側よりかなり高い場合には、そのガス圧差によっ
て、シール機能が損なわれて、ガスケットより大気側に
酸素、水素、水などが漏洩する可能性があり、好ましく
なかった。また、装置の始動時において、陽極側と陰極
側との差圧が大きい場合には、固体電解質膜の破損にも
つながり、装置本来の機能が果たせないなどの問題があ
った。
【0008】本発明は、このような実情を考慮して、水
電解セル内の圧力が大気圧よりかなり高い場合、例え
ば、10kg/cm 2 の場合にも、シール機能が損なわれるこ
となく、ガスケットより大気側に酸素、水素、水などが
漏洩しない高圧で操業可能な水素・酸素発生装置を提供
することを目的とする。
【0009】また、本発明は、装置の始動時において、
陽極側と陰極側との差圧が大きくなることなく、固体電
解質膜が破損することなく、円滑に装置本来の機能が果
たせる高圧で操業可能な水素・酸素発生装置を提供する
ことをも目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述したよう
な従来技術における課題及び目的を達成するために発明
なされたものであって、下記の(1)〜(4)を、その
構成要旨とするものである。
【0011】(1)固体電解質膜と、その両面に添設し
た多孔質給電体と、両多孔質給電体の外側に配設した陽
極及び陰極の両作用を行う複極式の電極板とから構成さ
れる複数個の固体電解質膜ユニットを積層した構造の複
極式の水電解セルを、圧力容器内に配設するとともに、
該圧力容器内面と電解セル外周面との間に間隙を設けて
水圧調整室を形成し、該水圧調整室に所定圧力の純水を
供給するように構成して、水電解セル内の圧力と水圧調
整室内の差圧を、水電解セルのシール構造の圧力許容範
囲内に保持するように構成したことを特徴とする水素・
酸素発生装置。
【0012】(2)前記水電解セルの陽極側及び陰極側
へ、前記各固体電解質膜ユニットを長手方向に貫通する
マニホールド式の純水供給経路をそれぞれ設けて、水素
・酸素発生装置の始動時において、水電解セル内の陽極
側及び陰極側の圧力がほぼ等しくなるように構成したこ
とを特徴とする前述の(1)に記載の水素・酸素発生装
置。
【0013】(3)水素・酸素発生装置の始動後通常運
転時において、水電解セル内の陽極側の酸素ガス圧力と
陰極側の水素ガス圧力との差圧が、固体高分子電解質膜
の酸素側と水素側との最大差圧設計基準以下となるよう
に、酸素側及び水素側気液分離タンクに設けられた圧力
調整装置を制御するように構成したことを特徴とする前
述の(1)に記載の水素・酸素発生装置。
【0014】(4)陰極側から水素ガスを取り出すため
の水素ガス取りだし経路、及び陽極側から酸素ガスを取
り出すための酸素ガス取りだし経路を、前記各固体電解
質膜ユニットを長手方向に貫通するマニホールド式に構
成したことを特徴とする前述の(1)から(3)のいず
れかに記載の水素・酸素発生装置。
【0015】(5)前記水圧調整室から水電解セルの陽
極側に至る純水供給経路を設けたことを特徴とする前述
の(1)から(4)のいずれかに記載の水素・酸素発生
装置。
【0016】(6)前記圧力容器内面と電解セル外周面
との間の間隙に、絶縁性の接触防止用スペーサを介装し
たことを特徴とする前述の(1)から(5)のいずれか
に記載の水素・酸素発生装置。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいてより
詳細に説明する。
【0018】図1は、本発明の水素・酸素発生装置の一
実施例の分解斜視図で、図2 は、図1 のA −A 線につい
ての部分縦断面図で、各構成部材間を理解のために僅か
に距離をおいた状態で示してある、図3 は、図2 の装置
を組み立てた状態を示す部分縦断面図、図4 は、そのC
方向の端面図である。
【0019】図1〜図3 において、1は全体で、本発明
の水素・酸素発生装置を示している。水素・酸素発生装
置1は、基本的には、円盤状の固体電解質膜10と、その
両面に添設した環状の多孔質給電体20、 20と、両多孔質
給電体20、20の外側に配設した環状の陽極及び陰極の両
作用を行う環状の電極板30とから構成される複数個の環
状の固体電解質膜ユニット40,40 を、複数個並設した水
電解セル2 からなる構造のものである。なお、各電極板
30は、複極式電極板であって、通電した際に電極板の表
面と裏面が逆の電位となる単一枚の電極板である。
【0020】具体的には、一端のSUS316などから構成さ
れる角形状のエンドプレート60、円盤状のポリテトラフ
ルオロエチレン(PTFE)、塩化ビニル(PVC) などの樹脂か
らなる端部絶縁板70' 、チタンからなる端部電極板30'
、シリコンゴム、フッ素ゴムなどからなる環状のガス
ケット70、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアル
キルビニルエーテル共重合体(PFA) 製フィルムなどから
構成される環状の保護シート80、固体電解質膜10、保護
シート80、環状のガスケット70、中間部の電極板30……
他端の端部電極板30' 、端部絶縁板70”、エンドプレー
ト60' から構成されている。
【0021】なお、この場合、固体電解質膜10と電極板
30とガスケット70とで構成されるシールされた各室に多
孔質給電体20が収容され、多孔質給電体20の外周部に形
成されたリング状の取着部20a が、ガスケット70と保護
シート80で挟着固定されており、これがそれぞれ陽極室
( 酸素発生室)A、陰極室( 水素発生室)Bを形成してい
る。
【0022】また、この場合、図1 に示したように、両
端部の端部電極板30' には、チタンからなる給電棒30'a
〜30'dが4ヶ所外側に突設されており、端部絶縁板70'
、70”に形設された電極用孔部70'a〜70'd(70”a 〜7
0"d)を貫通して、エンドプレート60,60'の電極用孔部6
0a 〜60d (60'a〜60'd)に嵌合された絶縁ブシュ61a〜
61d を貫通して、別途設けられた電源(図示せず)より
電圧が、両端部の端部電極板30' にそれぞれ印加される
ようになっている。
【0023】そして、各固体電解質膜ユニット40には、
長手( 軸) 方向に連通する純水供給経路52、水素ガス取
出し経路54、酸素ガス取出し経路56、ならびに水抜き用
ドレン経路58がそれぞれマニホールド式に形設されてい
る。なお、このような構成にしたので、水圧調節室と水
電解セル内部と貫通する連通孔は存在していない構成と
なっている。
【0024】すなわち、この純水供給経路52は、エンド
プレート60' に設けられた純水供給用ノズル62から、端
部絶縁板70" の孔部72" 、端部電極板30' の純水供給用
孔部32' 、ガスケット70の孔部72、保護シート80の孔部
82、固体電解質膜10の純水供給用孔部12、保護シート80
の孔部82、ガスケット70の孔部72、中間の電極板30の純
水供給用孔部32、……他端の端部電極板30' の純水供給
用孔部32' に終端するようにマニホールド式に構成され
ている。
【0025】同様に、水素ガス取出し経路54は、エンド
プレート60に設けられた水素ガス取出し用ノズル64か
ら、端部絶縁板70' の孔部74' 、端部電極板30' の水素
ガス取出し用孔部34' 、ガスケット70の孔部74、保護シ
ート80の孔部84、固体電解質膜10の水素ガス取出し用孔
部14、保護シート80の孔部84、ガスケット70の孔部74、
中間の電極板30の水素ガス取出し用孔部34、……他端の
端部電極板30' の水素ガス取出し用孔部34' に終端する
ようにマニホールド式に構成されている。
【0026】また、同様に、酸素ガス取出し経路56は、
エンドプレート60' に設けられた酸素ガス取出し用ノズ
ル66から、端部絶縁板70”の孔部76" 、端部電極板30'
の酸素ガス取出し用孔部36' 、ガスケット70の孔部76、
保護シート80の孔部86、固体電解質膜10の酸素ガス取出
し用孔部16、保護シート80の孔部86、ガスケット70の孔
部76、中間の電極板30の酸素ガス取出し用孔部36、……
他端の端部電極板30'の酸素ガス取出し用孔部36' に終
端するようにマニホールド式に構成されている。
【0027】さらに、同様に、水抜き用ドレン経路58
は、エンドプレート60に設けられた水抜き用ノズル68か
ら、端部絶縁板70' の孔部78' 、端部電極板30' の水抜
き用孔部38' 、ガスケット70の孔部78、保護シート80の
孔部88、固体電解質膜10の水抜き用孔部18、保護シート
80の孔部88、ガスケット70の孔部78、中間の電極板30の
水抜き用孔部38、……他端の端部電極板30' の水抜き用
孔部38' に終端するようにマニホールド式に構成されて
いる。
【0028】なお、本実施例の場合、図4 に示したよう
に、エンドプレート60側に、水素ガス取出し用ノズル6
4、水抜き用ノズル68を設け、エンドプレート60' 側
に、純水供給用ノズル62、酸素ガス取出し用ノズル66を
設けているが、これらのノズルの配置は、例えば、全て
のノズルを片方のエンドプレート側に配設するなど、適
宜変更可能である。
【0029】図6 は、電極板30の拡大斜視図であり、図
7(a)は、その正面図、図7(b)は、図7(a)のB −B 線につ
いての断面図である。
【0030】ところで、これらの図に示したように、電
極板30の陽極面側表面には、純水供給経路52から純水を
陽極室A に供給するために、純水供給用孔部32に至る略
逆L字形状の溝形状の純水供給凹部32a が凹設されてい
る。一方、電極板30の陽極面側表面には、純水供給経路
52と中心軸に対して点対象の位置に、陽極室A で発生し
た酸素ガス及び純水を酸素ガス取出し経路56を介して捕
集するために、酸素ガス取出し用孔部36に至る略逆L 字
形状の溝形状の酸素ガス捕集凹部36a が凹設されてい
る。また、電極板30の陰極面側表面には、陰極室B で発
生した水素ガスを水素ガス取出し経路54を介して捕集す
るために、水素ガス取出し用孔部34に至る略逆L 字形状
の溝形状の水素ガス捕集凹部34a が凹設されている。さ
らに、電極板30の陰極面側表面には、水素ガス取出し経
路54と中心軸に対して点対象の位置に、陰極室B に溜ま
った純水を水抜き用ドレン経路58を介して排出するため
に、水抜き用孔部38に至る略逆L 字形状の溝形状の水抜
き捕集凹部38a が凹設されている。
【0031】しかしながら、電極板30の構成としては、
この構造に限定されるものではなく、効率的に陽極室A
に純水を供給し、発生した酸素ガスを捕集でき、陰極室
より水素ガス、水を取り出せる構造のものであればいず
れも使用可能である。
【0032】さらに、固体電解質膜10としては、固体高
分子電解質を膜状に成形したもの、例えば、カチオン交
換膜(フッ素樹脂系スルフォン酸カチオン交換膜、例え
ば、デュポン社製「ナフィオン117 」)の両面に、貴金
属、特に、白金族金属からなる多孔質の陽極及び陰極
を、化学的に無電解メッキで接合した構造の「固体高分
子電解質膜」を使用するのが好適である。また、この場
合、両電極としては、白金であるのが好ましく、特に、
白金とイリジウムの2層の構造とした場合には、高電流
密度、例えば、従来の物理的に電極をイオン交換膜に接
触させた構造の固体電解質では、50〜70A/dm2 であるの
に対して、80℃、200A/dm 2 において約4年間の長期間
電気分解することが可能となる。なお、この場合、前記
イリジウムの他にも、2種類以上の白金族金属をメッキ
した多層構造の固体高分子電解質膜も使用可能であり、
より高電流密度化が可能となる。
【0033】また、本願の固体電解質膜10では、固体高
分子電解質の両面に貴金属からなる電極を化学的に無電
解メッキで接合した構造であるので、固体高分子電解質
と両電極の間に水が存在しないので、溶液抵抗、ガス抵
抗がないので、固体高分子電解質と両電極の間の接触抵
抗が低く、電圧が低く、電流分布が均一となり、高電流
密度化、高温水電解、高圧水電解が可能となり、高純度
の酸素、水素ガスを効率良く得ることが可能である。
【0034】一方、多孔質給電体20としては、通気性を
確保するために、チタン製のメッシュ、例えば、エキス
パンドメタル3 層重ねで、厚さ数mmとするのが好まし
い。なお、この多孔質給電体を用いることによって、電
極板30から固体電解質膜10の表面の白金メッキ部へ、電
気分解に必要な電気を供給するとともに、原料である純
水及び発生する酸素、水素ガスを通過させることができ
る。また、多孔質給電体20は、要するに、導電性の通気
性を有する多孔質体であれば良く、上記のもの以外に
も、カーボン多孔質体、金属多孔質体、多孔質導電セラ
ミック等が適用可能である。
【0035】また、電極板30としては、耐食性の理由か
ら、チタン製とし、本実施例では、5mm 〜6mm の厚さの
ものを使用した。
【0036】さらに、図3 に示したように、両端の固体
電解質膜ユニット40、 40の外側には、ステンレス鋼製、
例えば、SUS304、SUS316などから構成される円盤状のエ
ンドプレート60、 60' が設けられており、固体電解質膜
ユニット40,40 を並設するに際しては、固体電解質膜ユ
ニット40,40 からなる水電解セルを、略円筒状のSUS30
4、SUS316などの金属製の圧力容器90内に配設する。な
お、この圧力容器90は、樹脂製でもよい。
【0037】さらに、圧力容器90には、吸水入口90a と
吸水出口90b を設けるとともに、水電解セルの外周面と
圧力容器90内面との間に間隙が設けられており、これが
水圧調整室97を形成している。また、水圧調整室97に
は、その長手方向に下方となる側に、絶縁性のPTFE( ポ
リテトラフルオロエチレン) 、PVDF( ポリフッ化ビニリ
デン) 、 PFA (テトラフルオロエチレン−パーフルオロ
アルキルビニルエーテル共重合体) などのプラスチック
から構成される水電解セル2 と圧力容器90との接触を防
止するために受台形状の接触防止用スペーサー98が介装
されている。
【0038】また、圧力容器90のエンドプレート60側に
形成された顎部90' に形成された複数のボルト孔93、エ
ンドプレート60に穿設されたボルト取着孔62にボルト
(図示せず)により、圧力容器90とエンドプレート60を
固着した後、両端のエンドプレート60、 60' に複数(本
実施例の場合4つ)の貫通孔94、 94' を穿設し、該貫通
孔94、 94' に貫通ボルト92、 92を装着し、圧力容器90の
外側を貫通ボルト92,92が通るようにして、ナット96に
よって締結することにより行う構造となっている。
【0039】また、水素・酸素発生装置1は、図5 に示
したように、純水装置100 から純水供給ライン101 を介
して、圧力容器90の吸水入口90a に接続されており、吸
水出口90b と純水供給用ノズル62とがライン102 を介し
て接続されている。また、酸素ガス取出し用ノズル66
は、ライン103 を介して酸素側気液分離タンク110 に接
続されるとともに、酸素側気液分離タンク110 で気液分
離された酸素ガスは、貯蔵タンクなど(図示せず)のユ
ースポイントに接続されている。一方、水素ガス取出し
用ノズル64も同様に、ライン104 を介して水素側気液分
離タンク120 に接続されるとともに、水素側気液分離タ
ンク120 で気液分離された水素ガスは、貯蔵タンクなど
(図示せず)のユースポイントに接続されている。さら
に、水抜き用ノズル68は、ライン105 を介して純水供給
ライン101 に接続されるとともに、ライン106 を介し
て、純水装置100 に接続されている。
【0040】また、酸素側気液分離タンク110 、水素側
気液分離タンク120 で気液分離された純水は、それぞれ
ライン107 、 108 を介して純水装置100 に接続されてい
る。
【0041】このように構成される水素・酸素発生装置
1を始動する際には、先ず、酸素側気液分離タンク110
及び水素側気液分離タンク120 のユースポイント側の自
動弁a 、 b を閉止した状態で、ガス抜き弁c,d を開く。
次に、ライン106 に設けられたドレン弁e を閉じた状態
で、ライン105 に設けられた弁f を開け、その後、純水
供給ライン101 に設けられた弁g を徐々に開けて、9kg/
cm2 程度の圧力で、圧力容器90の吸水入口90a を介し
て、水圧調整室97に純水を供給する。この場合、供給水
の圧力は9.0 〜9.9kg/cm2 であるが、ライン101 に設け
られた圧力逃し弁h が、その設定圧力が9kg/cm2 程に設
定されているので、水圧調整室97には、9kg/cm2 程度の
圧力で吸水が維持されるようになっている。
【0042】そして、圧力容器90の吸水出口90b より純
水が、ライン102 、純水供給用ノズル62を介して、純水
供給経路52より、電極板30の純水供給用孔部32を介し
て、電極板30の陽極面側表面に形成され溝形状の純水供
給凹部32a の純水供給口32b から、純水が陽極室A に収
容された多孔質給電体20に供給される。その後、純水
は、電極板30の陽極面側表面に、純水供給経路52と中心
軸に対して点対象の位置に形成された溝形状の酸素ガス
捕集凹部36a を介して補集され、電極板30の酸素ガス取
出し用孔部36より酸素ガス取出し経路56を介して、エン
ドプレート60' に設けられた酸素ガス取出し用ノズル66
から、ライン103 を介して、酸素側気液分離タンク110
のガス抜き弁c を介して排出される。
【0043】一方、純水装置100 より、ライン101 、 10
5 を介して、水抜き用ノズル68に純水が供給されて、電
極板30の水抜き用ドレン経路58を介して、電極板30の陰
極面側表面に、水素ガス取出し経路54と中心軸に対して
点対象の位置に形成された、溝形状の水抜き捕集凹部38
a を介して、陰極室B に純水が供給される。
【0044】そして、この陰極室に供給された純水は、
電極板30の陰極面側表面に形成された溝形状の水素ガス
捕集凹部34a を介して補集され、電極板30の水素ガス取
出し用孔部34より水素ガス取出し経路54を介して、エン
ドプレート60' に設けられた水素ガス取出し用ノズル64
から、ライン104 を介して、水素側気液分離タンク120
のガス抜き弁d を介して排出される。
【0045】このように両気液分離タンク110 、120 の
ガス抜き弁c,d より純水が排出されてきたら、ガス抜き
弁c,d を閉じるが、その際には、水電解セルの水圧は、
水圧調整室内の水圧とほぼ同じ9kg/cm2 程度となってい
る。その後、ライン105 の弁f を閉じて、酸素側のみ純
水が供給されるようにして、電気を通じて電解を開始す
る。なお、この場合、ガス抜き弁c,d を閉じた後、ライ
ン105 の弁f を閉じる間に、装置内の水圧が、9kg/cm2
程度の圧力に保持されるため、水電解セルの圧力も、9k
g/cm2 程度に保持される。従って、始動時及び運転中の
いずれも水電解セルの圧力と水圧調整室内の差圧を、水
電解セルのシール構造の圧力許容範囲内に保持できる。
【0046】このように電解を開始した後には、酸素ガ
ス圧力と水素ガス圧力が、固体電解質膜10の酸素側と水
素側との最大差圧設計基準である4kg/cm2 以下となるよ
うに、両気液分離タンク110 、 120 に設けられた自動弁
a 、 b を制御するようになっている。
【0047】なお、電解の際には、純水供給用ノズル62
から純水供給経路52より、電極板30の純水供給用孔部32
を介して、電極板30の陽極面側表面に形成され溝形状の
純水供給凹部32a の純水供給口32b から、純水が陽極室
A に収容された多孔質給電体20に供給される。そして、
この陽極室A に供給された純水が、陽極側の多孔質給電
体20において電気分解されて、2H2 O →O 2 +4H+ +4e
- のような反応が起こり、酸素ガスが発生し、発生した
酸素ガスと純水は、電極板30の陽極面側表面に形成され
た酸素ガス捕集凹部36a を介して補集され、電極板30の
酸素ガス取出し用孔部36より酸素ガス取出し経路56を介
して、酸素ガス取出し用ノズル66から、水と発生酸素ガ
スが取り出され、酸素ガス取り出し経路56に接続された
気液分離装置110 において酸素ガスが水と分離される。
【0048】一方、陰極側においては、固体電解質膜10
をH + が通過して、陰極側の多孔質給電体20において電
気分解されて、4H+ +4e- →2H2 の反応が起こり水素ガ
スが発生し、電極板30の陰極面側表面に形成された溝形
状の水素ガス捕集凹部34a を介して水素ガスが補集さ
れ、電極板30の水素ガス取出し用孔部34より水素ガス取
出し経路54を介して、水素ガス取出し用ノズル64から、
水と水素ガスが取り出され、水素ガス取り出し経路54に
接続された気液分離装置120 において水素ガスが水と分
離される。
【0049】さらに、電極板30の陰極面側表面に形成さ
れた、溝形状の水抜き捕集凹部38aを介して、陰極室B
に溜まった純水が、電極板30の水抜き用ドレン経路58を
介して排出するために、水抜き用ノズル68から、純水が
取り出されるようになっている。
【0050】図9 は、本発明の水素・酸素発生装置の別
の実施例の組み立てた状態を示す部分縦断面図である。
【0051】電解セルの構造については図1 、図2 の第
1 の実施例の電解セルの構造と同様である。本実施例で
は、水電解セルをドーム形状の圧力容器91内に配設する
とともに、電解セルの一端のエンドプレート61をこの圧
力容器91の蓋となるようにしてある。そして、圧力容器
91のフランジ部91a に設けたシール部材91b でシールす
るとともに、フランジ部91a に設けた取付孔部91c とエ
ンドプレート61に設けた取付孔部61a に貫通ボルト92'
とナット96' にて、圧力容器91とエンドプレート61を締
結してある。なお、圧力容器91には、第1 の実施例と同
様に給水入口と給水出口とが設けられている他、点検口
91c が設けられており、通常は長手方向を水平に置くい
わゆる「よこ置き」であるが、「たて置き」の場合にお
いてこの点検口91c が給水出口として、90b が給水入口
として、90a が点検口として利用できるものである。
【0052】また、水電解セルの組立は、圧力容器91外
に配設したエンドプレート61に、水電解セル組立用の螺
子孔61d が穿設されており、他端のエンドプレート61'
に設けた取付孔61a'に貫通ボルト92" とナット96" にて
締結することによって行うものである。
【0053】このように、第1 の実施例では、1種類の
ボルトで、水電解セルの締結とエンドプレートの締結と
を兼ねていたが、本実施例では、両方のボルトを別々に
したので、ボルトの選択、設計の自由度が増大するとと
もに、シール面が一箇所で済むので水などの漏洩の可能
性が半減する。
【0054】
【発明の効果】本発明の水素・酸素発生装置によれば、
下記に示したような顕著で特有な作用効果を奏する極め
て優れた発明である。
【0055】(1)水電解セルを配設した圧力容器の内
面と電解セル外周面との間に間隙を設けて水圧調整室を
形成し、該水圧調整室に所定圧力の純水を供給するよう
に構成し、装置の始動時において、この水圧調整室から
の純水を酸素側の純水供給経路に導入するとともに、水
素側にも前記所定圧力と同じ圧力の純水を供給するよう
にしたので、水電解セルの内部と外部の圧力がほぼ等し
くなるため、その差圧を水電解セルのシール構造の圧力
許容範囲内に保持することができるので、シール構造が
破損することなく、酸素ガス、水素ガスなどが水電解セ
ル外部に漏洩することがない。
【0056】(2)また、装置の始動時において、酸素
側、水素側ともに、同等の圧力の純水が供給されるの
で、その差圧を固体高分子膜の圧力許容範囲内に抑える
ことができるので、固体高分子膜の破損をきたすことも
ない。
【0057】(3)装置の作動中(電解中)において
も、水圧調整室と水電解セル内部の差圧を、水電解セル
のシール構造の圧力許容範囲内に保持することができる
ので、シール構造が破損することなく、酸素ガス、水素
ガスなどが水電解セル外部に漏洩することがない。
【0058】(4)さらに、固体高分子電解質膜の酸素
側と水素側の差圧を設計基準内に制御できるので、固体
高分子電解質膜の破損をきたすこともない。
【0059】(4)従って、本装置によれば、従来と比
較して、高圧で運転可能な水素・酸素発生装置を提供で
きる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の水素・酸素発生装置の一実施例の分解
斜視図で、図2 は、図1 のA −A 線についての部分縦断
面図で、各構成部材間を理解のために僅かに距離をおい
た状態で示してある、図3 は、、図4 は、そのC方向の
端面図である。
【図1】図1は、本発明の水素・酸素発生装置の一実施
例の分解斜視図である。
【図2】図1 のA −A 線についての部分縦断面図で、各
構成部材間を理解のために僅かに距離をおいた状態で示
してある。
【図3】図3 は、図2 の装置を組み立てた状態を示す部
分縦断面図である。
【図4】図4 は、図3 のC 方向の端面図である。
【図5】図5 は、本発明の水素・酸素発生装置の全体の
構造を示す概略図である。
【図6】図6 は、電極板30の拡大斜視図である。
【図7】図7(a)は、その正面図、図7(b)は、図7(a)のB
−B 線についての断面図である。
【図8】図8 は、従来の複極式フィルタープレス型の水
素・酸素発生装置の概略を示す断面図である。
【図9】図9 は、本発明の水素・酸素発生装置の別の実
施例の組み立てた状態を示す部分縦断面図である。
【符号の説明】
1…水素・酸素発生装置 2…水電解セル 10…固体電解質膜 12、32、32' …純水供給用孔部 14、34、34' …水素ガス取出し用孔部 16、36、36' …酸素ガス取出し用孔部 18、38、38' …水抜き用孔部 20…多孔質給電体 20a …取着部 30…電極板 30' …端部電極板 32a …純水供給凹部 32b …純水供給口 32' …純水供給用孔部 34a …水素ガス捕集凹部 34b …水素ガス取出し口 36a …酸素ガス捕集凹部 38a …水抜き捕集凹部 40…固体電解質膜ユニット 52…純水供給経路 54…水素ガス取出し経路 56…酸素ガス取出し経路 58…水抜き用ドレン経路 60…エンドプレート 62…純水供給用ノズル 64…水素ガス取出し用ノズル 66…酸素ガス取出し用ノズル 68…水抜き用ノズル 70…ガスケット 70' …端部ガスケット 72、72' 、74、74' 、76、76' 、78、78' 、82、84、8
6、88、 …孔部 80…保護シート 90…圧力容器 90a …吸水入口 90b …吸水出口 94…貫通孔 92…貫通ボルト 96…ナット 97…水圧調整室 98…接触防止用スペーサー 100 …純水装置 110 …酸素側気液分離タンク 120 …水素側気液分離タンク 210 …固体電解質膜 211,212 …多孔質給電体 213 …複極式電極板 215 …純水供給経路 216 …酸素ガス取り出し経路 217 …水素ガス取り出し経路 220 …固体電解質膜ユニット A …陽極室 B …陰極室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長尾 衛 大阪府大阪市東淀川区井高野2丁目7番18 −102号 (72)発明者 佐々木 隆 兵庫県三木市志染町東自由が丘3丁目310 (72)発明者 浅利 明 兵庫県神戸市東灘区本山中町4丁目10の20 (72)発明者 原田 宙幸 東京都練馬区西大泉2−25−43

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体電解質膜と、その両面に添設した多
    孔質給電体と、両多孔質給電体の外側に配設した陽極及
    び陰極の両作用を行う複極式の電極板とから構成される
    複数個の固体電解質膜ユニットを積層した構造の複極式
    の水電解セルを、圧力容器内に配設するとともに、 該圧力容器内面と電解セル外周面との間に間隙を設けて
    水圧調整室を形成し、該水圧調整室に所定圧力の純水を
    供給するように構成して、水電解セル内の圧力と水圧調
    整室内の差圧を、水電解セルのシール構造の圧力許容範
    囲内に保持するように構成したことを特徴とする水素・
    酸素発生装置。
  2. 【請求項2】 前記水電解セルの陽極側及び陰極側へ、
    前記各固体電解質膜ユニットを長手方向に貫通するマニ
    ホールド式の純水供給経路をそれぞれ設けて、水素・酸
    素発生装置の始動時において、水電解セル内の陽極側及
    び陰極側の圧力がほぼ等しくなるように構成したことを
    特徴とする請求項1に記載の水素・酸素発生装置。
  3. 【請求項3】 水素・酸素発生装置の始動後通常運転時
    において、水電解セル内の陽極側の酸素ガス圧力と陰極
    側の水素ガス圧力との差圧が、固体高分子電解質膜の酸
    素側と水素側との最大差圧設計基準以下となるように、
    酸素側及び水素側気液分離タンクに設けられた圧力調整
    装置を制御するように構成したことを特徴とする請求項
    1に記載の水素・酸素発生装置。
  4. 【請求項4】 陰極側から水素ガスを取り出すための水
    素ガス取りだし経路、及び陽極側から酸素ガスを取り出
    すための酸素ガス取りだし経路を、前記各固体電解質膜
    ユニットを長手方向に貫通するマニホールド式に構成し
    たことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の
    水素・酸素発生装置。
  5. 【請求項5】 前記水圧調整室から水電解セルの陽極側
    に至る純水供給経路を設けたことを特徴とする請求項1
    から4のいずれかに記載の水素・酸素発生装置。
  6. 【請求項6】 前記圧力容器内面と電解セル外周面との
    間の間隙に、絶縁性の接触防止用スペーサを介装したこ
    とを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の水素
    ・酸素発生装置。
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