JPH0823971A - 新規なアスコルビン酸酸化酵素、該酵素をコードする遺伝子及び該酵素の製造法並びにその用途 - Google Patents
新規なアスコルビン酸酸化酵素、該酵素をコードする遺伝子及び該酵素の製造法並びにその用途Info
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Abstract
い酵素、該酵素をコードする遺伝子、当該酵素の製造法
及びそれを含有してなる検査用試薬組成物、食品用添加
物、食品或いは臨床分野における試薬組成物を提供す
る。 【構成】L−アスコルビン酸と分子状酸素との反応によ
ってL−デヒドロアスコルビン酸と過酸化水素を生成す
る反応を触媒し、尚かつ極めて優れた安定性を有する新
規なアスコルビン酸酸化酵素であり、ユウペニシリウム
(Eupenicillium)属に属する菌株を培養して当該酵素
を生産せしめ、これを採取することができる。該酵素
は、植物及び微生物由来のASOに比べ極めて優れた保
存安定性を有していることが特徴であり、液状測定試薬
への配合に非常に有効である。
Description
酸化反応を触媒する新しい酵素、より詳細には、L−ア
スコルビン酸と分子状酸素との反応によってL−デヒド
ロアスコルビン酸と過酸化水素を生成する反応を触媒
し、尚かつ極めて優れた安定性を有する新規なL−アス
コルビン酸酸化酵素(以下、ASODという。)を提供
する。更に本発明は、微生物を用いた当該ASODの製
造法、該ASODをコードする遺伝子、当該遺伝子を含
んでなる形質転換体、これを用いたASODの製造法並
びに該ASODを含有してなる検査用試薬組成物、食品
用添加物、食品或いは臨床検査分野における試薬組成物
に関する。
る酵素としては、アスコルビン酸に作用し、L−デヒド
ロアスコルビン酸と水を生ずる反応を触媒するアスコル
ビン酸酸化酵素(以下、ASOという。)やラッカーゼ
が知られており、国際生化学連合(I.U.B)の分類によ
れば、それぞれEC 1.10.3.3及びEC 1.10.3.2に分類され
る。
することが知られており、カボチャ〔M. H. Lee and C.
R. Dawson(1973)J. Biol. Chem., 248, 6596頁〕及
びキュウリ〔T. Nakamura, N. Makino and Y. Ogura(1
968)J. Biochem., 64, 189頁〕などから単離されてい
る。
ウム ベルカリア(Myrothecium verrucaria)の菌糸
〔G. A. White and R. M. Krupka(1965)Arch. Biochi
m. Biphys., 110, 448頁 〕や胞子〔舟木ら(1987)日
本栄養食糧学会誌, 40, 47頁〕、アエロバクター アエ
ロゲネス(Aerobacter aerogenes)〔W. A. Volk and
J. L. Larssen(1963)Biochim. Biophys. Acta., 67,
576頁〕或いはアクレモニウム エスピー(Acremonium
sp.)HI-25〔S. Murao et al.(1992)Biosci. Biotech
nol. Biochem., 56, 847頁〕由来の報告がある。
に広く使用されている。食品分野としては、例えばアス
コルビン酸と併用するなどして食品中の脱酸素等や水産
練り製品などの品質改良に使用される。
キシダーゼを利用した過酸化水素と色原体との共役呈色
反応を利用する分野において、その呈色反応を強力に妨
害するアスコルビン酸の影響回避のために用いられる。
通常の血清アスコルビン酸の濃度は1mg/dl以下で有り
余り問題とはならないが、例えば尿中アスコルビン酸濃
度は高い値となる。また、点滴補液などで大量のアスコ
ルビン酸を投与するときなどは血中濃度も上昇し、共存
するアスコルビン酸の影響は非常に大きい。
は、アルカリ処理、銅イオンや鉄イオンによる処
理、過ヨウ素酸による処理、ASOによる処理が行
われるが、通常はのASOを臨床検査用試薬に共存さ
せることによって解決している。
ビン酸に作用する酵素として、Physarum polycephalum
(モジホコリカビ)から得られ、アスコルビン酸に作用
して過酸化水素を生成する作用を有する酵素も知られて
いる〔Plant physiology, 30, 58頁(1955)〕。しかしな
がら、本酵素については詳細な性質については検討され
ていない。
hoderma)属又はモルティエレラ(Mortierella)属由来
で上記と同様の性質、即ちアスコルビン酸に作用して過
酸化水素を生成する作用を有するアスコルビン酸酸化酵
素も報告されている(特開平6-209770)。
うちで、L−デヒドロアスコルビン酸と水を生じる反応
を触媒する上記の植物由来のASO遺伝子はクローニン
グされている〔J. Ohkawa et. al.,Proc. Natl. Acid.
Sci. USA, 86, 1239(1989)〕。
スコルビン酸に作用し、L−デヒドロアスコルビン酸と
過酸化水素を生じる反応を触媒するASODの遺伝子に
関する報告はなされていない。
試薬の多くが、従来の凍結乾燥品から液状品へとかわり
つつある。液状品の品質補償期間は、10℃で1年間と言
われているが、液状の測定試薬に配合される各種酵素の
安定性の良否が、品質決定の第一要因であり、上記した
植物及び微生物由来のASOは、この液状測定試薬への
適用という点では、安定性に問題があった。
スコルビン酸酸化酵素を提供することにある。また、当
該ASODの製造法及びそれを含有してなる臨床検査組
成物、食品添加物、食品或いは臨床分野における試薬組
成物を提供するものである。また、本発明のASOD
は、植物及び微生物由来のASOに比べ極めて優れた保
存安定性を有していることが特徴であり、液状測定試薬
への配合に非常に有効である。
属又はモルティエレラ属由来の、アスコルビン酸に作用
してL−デヒドロアスコルビン酸と過酸化水素を生ずる
反応を触媒するアスコルビン酸酸化酵素は、その溶液中
での安定性の点において満足できるものではなく、従来
の課題を解決するにはほど遠いものである。
スコルビン酸酸化酵素を得るために広く自然界にその給
源を求め、特に各種微生物起源の新規なアスコルビン酸
酸化酵素につき鋭意研究を重ねてきた。その過程で新た
に土壌から単離したユウペニシリウム(Eupenicilliu
m)属に属する菌株を培養することによって従来のAS
Oとは異なり、アスコルビン酸に作用してL−デヒドロ
アスコルビン酸と過酸化水素を生ずる反応を触媒し、そ
の安定性が著しく良好な酵素を産生することを見い出す
と共に、この新規なASODを工業的に製造する方法を
確立し、ASODを単離し、精製し、その性質等の解明
に成功し、更に当該酵素を遺伝子工学的手法により大量
生産する方法をも確立した。
NAよりASODをコードする遺伝子をクローニング
し、当該遺伝子と当該遺伝子の発現を促進する機能をコ
ードするDNA配列を有するプラスミドを得、当該プラ
スミドを有する形質転換体を創製し、当該形質転換体を
培養することによってASODを製造する方法を確立し
た。
非常に優れた性質を持っている為、当該ASODの液状
試薬への利用等の応用面について鋭意検討し、本発明を
完成した。
酸の酸化反応は式1で示され、これまで示されている従
来の植物由来のASOの反応とは区別され、モジホコリ
カビ由来やトリコデルマ属又はモルティエレラ属由来の
酵素と同じ反応を触媒する。
質とし、L−デヒドロアスコルビン酸と過酸化水素を生
ずる反応を触媒し、尚かつ安定性に優れた新規なASO
Dを提供する。
を提供する。本発明の第3は、上記ASODをコードす
る遺伝子を提供する。本発明の第4は、上記ASODを
コードする遺伝子及び当該遺伝子の発現を促進するDN
A配列を含んでなる組み換え体DNAを有する形質転換
体を提供する。本発明の第5は、上記ASODをコード
する遺伝子及び当該遺伝子の発現を促進するDNA配列
を含んでなる組み換え体DNAを有する形質転換体を培
養し、培養物よりASODを採取することを特徴とする
ASODの製造法を提供する。本発明の第6は上記のA
SODを含有してなる試薬組成物を提供する。本発明の
第7は上記のASODを含有してなる食品添加物を提供
する。本発明の第8は上記のASODを含有してなるL
−アスコルビン酸測定用試薬組成物を提供する。
子と分子状酸素1分子からL−デヒドロアスコルビン酸
1分子と過酸化水素1分子を生成する反応を触媒し、L
−アスコルビン酸に作用し、D−アラボアスコルビン酸
には実質的には作用せず、至適pHが約6付近にあり、37
℃、16時間の処理で約pH3〜8の範囲で安定であり、至
適温度が約37℃付近にあり、pH6.8、16時間の処理で約5
0℃迄安定であり、37℃、1ヶ月における溶液の残存活
性が少なくとも50%であり、アジ化ナトリウムで実質的
に阻害されない性質を有する新規なアスコルビン酸酸化
酵素。
属する菌株より得ることができ、L−アスコルビン酸の
酸化反応を触媒する新規なアスコルビン酸酸化酵素。
属する菌株より得ることができ、L−アスコルビン酸に
作用しL−デヒドロアスコルビン酸と過酸化水素を生成
する反応を触媒し、D−アラボアスコルビン酸には実質
的には作用せず、至適pHが約6付近にあり、37℃、16時
間の処理で約pH3〜8の範囲で安定であり、至適温度が
約37℃付近にあり、pH6.8、16時間の処理で約50℃迄安
定であり、37℃、1ヶ月における溶液の残存活性が少な
くとも50%であり、アジ化ナトリウムで実質的に阻害さ
れない性質を有する新規なアスコルビン酸酸化酵素。
属する菌株を培養し、アスコルビン酸酸化酵素を生産せ
しめ、これを採取することを特徴とするアスコルビン酸
酸化酵素の製造法。
示した部分に含まれるDNA断片であり、配列番号:1
で示されるN末端アミノ酸配列をコードする塩基配列を
有するアスコルビン酸酸化酵素遺伝子。
示した部分に含まれるDNA断片であり、配列番号:
1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4で示
されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むアスコ
ルビン酸酸化酵素遺伝子。
示した部分に含まれるDNA断片であり、そのN末端ア
ミノ酸配列が配列番号:1で示されるアスコルビン酸酸
化酵素をコードする遺伝子と、当該遺伝子の発現を促進
する機能を有するDNA配列を含んでなる組換えDNA
を有する形質転換体を培養し、当該培養物よりアスコル
ビン酸酸化酵素を採取することを特徴とするアスコルビ
ン酸酸化酵素の製造法。
示した部分に含まれるDNA断片であり、配列番号:
1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4で示
されるアミノ酸配列を含むアスコルビン酸酸化酵素をコ
ードする遺伝子と、当該遺伝子の発現を促進する機能を
有するDNA配列を含んでなる組換えDNAを有する形
質転換体を培養し、当該培養物よりアスコルビン酸酸化
酵素を採取することを特徴とするアスコルビン酸酸化酵
素の製造法。
NA断片で、配列番号:1で示されるN末端アミノ酸を
コードする塩基配列を有するアスコルビン酸酸化酵素遺
伝子。
NA断片で、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:
3及び配列番号:4で示されるアミノ酸をコードする塩
基配列を有するアスコルビン酸酸化酵素遺伝子。
NA断片で、配列番号:1で示されるN末端アミノ酸を
コードする塩基配列を有するアスコルビン酸酸化酵素遺
伝子と当該遺伝子の発現を促進する機能を有するDNA
配列を含んでなる組換えDNAを有する形質転換体を培
養し、当該培養物よりアスコルビン酸酸化酵素を採取す
ることを特徴とするアスコルビン酸酸化酵素の製造法。
NA断片で、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:
3及び配列番号:4で示されるアミノ酸をコードする塩
基配列を有するアスコルビン酸酸化酵素遺伝子と当該遺
伝子の発現を促進する機能を有するDNA配列を含んで
なる組換えDNAを有する形質転換体を培養し、当該培
養物よりアスコルビン酸酸化酵素を採取することを特徴
とするアスコルビン酸酸化酵素の製造法。
なくとも50%であり、L−アスコルビン酸と分子状酸素
からL−デヒドロアスコルビン酸と過酸化水素を生ずる
反応を触媒するアスコルビン酸酸化酵素を配合してなる
試薬組成物。
なくとも50%であり、ユウペニシリウム(Eupenicilliu
m)属由来のアスコルビン酸酸化酵素を含有してなる試
薬組成物。
なくとも50%であり、L−アスコルビン酸と分子状酸素
からL−デヒドロアスコルビン酸と過酸化水素を生ずる
反応を触媒するアスコルビン酸酸化酵素を含有して成る
食品用添加剤。
なくとも50%であり、ユウペニシリウム(Eupenicilliu
m)属由来のアスコルビン酸酸化酵素を含有してなる食
品用添加剤。
なくとも50%であり、L−アスコルビン酸と分子状酸素
からL−デヒドロアスコルビン酸と過酸化水素を生ずる
反応を触媒するアスコルビン酸酸化酵素を含有してなる
L−アスコルビン酸測定用試薬組成物。
いでこれらの発明について詳細に説明する。
酵素を生産する微生物を得るため、広く自然界に給源を
求め土壌から分離した菌株が新規なアスコルビン酸酸化
酵素を生産することを見いだした。
菌学的性質を、K. B. Raper & C. Thomの"A manual of
the Penicillia"に基づいて同定した結果、本菌はユウ
ペニシリウム ブレフェルディアム(Eupenicillium br
efeldianum)と同定され、ユウペニシリウム ブレフェ
ルディアム APC-9315と命名した。
羊毛状菌糸は粗い。やがて菌糸は肉眼的に薄れ、基質表
面に密着して多量の子嚢果を形成する。集落は平坦で黄
色〜黄土色となる。集落裏面は淡褐色、Czapek寒天培地
での生育は遅く、集落は放射状に発展し、表面は白色菌
叢が密で、やがてフエルト状となる。集落の周辺は波状
で、茶褐色の子嚢が密集する。集落裏面は濃褐色で発育
根状菌糸が明確となり、40℃でさらにこれが顕著とな
る。MY40寒天培地では菌叢は重厚でジュウタン状、裏面
は濃褐色、オートミール寒天培地では粉状に多量の子嚢
果が形成し、集落の周辺は赤色を呈する。
径 80〜150(200)μm、殻壁、編み目様で堅い。 子嚢 :直径6〜8μm、亜球〜卵型、8胞子、
消失性。 子嚢胞子 :無色、球〜卵形、全面に短い刺状突起。 厚膜胞子 :球形〜楕円形、直径4〜6μm。 分生子柄 :10〜100 × 2〜3μm。 ペニシリ :単輪生体だがその数はきわめて少ない。 フィアライド:8×3μm、殆ど1〜2本。 分生子 :球形〜亜球形、2〜3μm、滑面、連鎖
はゆるく、もつれる。長さ50〜150μm。
ナトリウム、クエン酸アンモンを良く利用する。硫酸ア
ンモン、塩化アンモンを利用する。 炭素の利用 :グルコース、澱粉、サリシンをはじめ多
くの糖をよく利用する。マンニット、イヌリンはやや劣
る。
ム APC-9315は、通商産業省工業技術院生命工学工業技
術研究所にFERM BP-5053として寄託されている。
菌株について、検討した結果、その他のユウペニシリウ
ムに属する菌株も本発明のASODを生産することを確
認した。その他のユウペニシリウム属に属する菌株とし
ては例えば、Eupenicilliumjavanicum IFO-31735、Eupe
nicillium alutaceum IFO-31728、Eupenicillium erube
scens IFO-31734等が挙げられる。
ーニングしたユウペニシリウム ブレフェルディアム A
PC-9315から著量の本発明のASODが生産される。
新規なASODを製造するための菌株の培養法として
は、液体培養、固体培養のいずれでも良いが、より好ま
しくは液体培養が利用できる。液体培養法としては例え
ば、以下のようにして行うことができる。
を生産する微生物が生育可能な培地であれば、如何なる
ものでも良い。例えば、グルコース、シュクロース、グ
リセリン、デキストリン、糖蜜、有機酸等の炭素源、更
に硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、リン酸アンモ
ニウム、酢酸アンモニウム、或いは、ペプトン、酵母エ
キス、コーンスティープリカー、カゼイン加水分解物、
肉エキス等の窒素源、更にカリウム塩、マグネシウム
塩、ナトリウム塩、リン酸塩、マンガン塩、鉄塩、亜鉛
塩等の無機塩を添加したものを用いることができる。
5.5〜6.5程度に調製し、培養温度は通常約10〜50℃、好
ましくは約25〜37℃程度で、1〜20日間、好ましくは3
〜12日間程度好気的条件下で培養する。例えば振盪培養
法、ジャーファーメンターによる好気的深部培養法が利
用できる。
ように行うことができる。固体培養の培地としては、新
規なASODを生産する微生物が生育可能な培地であれ
ばいかなるものでも良い。例えば、小麦ふすま、米、大
豆、とうもろこし、稲わら、麦わら等を単独或いは2種
以上混合して使用することができる。また、カリウム
塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、リン酸塩、マンガ
ン塩、鉄塩、亜鉛塩等の無機塩類を添加することができ
る。
しくは80〜120%程度に調整し、培養温度は通常10〜50
℃、好ましくは25〜40℃で1〜30日間、好ましくは3〜
12日間程度培養する
液又は固体培養抽出液からASODを通常の手段で単離
し、本発明の新規なASODを得ことができる。
するには、硫安塩析、アルコール沈降、イオン交換樹脂
を用いるクロマトグラフィー、ゲルろ過法、ヒドロキシ
ルアパタイト吸着樹脂を用いるクロマトグラフィー等を
用い常法により処理して、精製ASODを得ることがで
きる。
ち、新規なASODを生産する菌株としてユウペニシリ
ウム ブレフェルディアム APC-9315を使用し、液体培
地で培養して得られた精製した新規なASODの諸性質
について以下に詳述する。
−ロビンソン(Britton-Robinson's)緩衝液を使用し、
30℃にて10分間反応させた場合の相対活性の結果を図1
に示す。本酵素は、約pH6付近に至適pHを有する。
ウム緩衝液(pH5.5)中で種々の温度で10分間反応させ
た場合の相対活性の結果を図2に示す。本酵素は、pH5.
5において約37℃付近に至適温度を有する。
ン−ロビンソン緩衝液中で37℃、16時間インキュベート
した後の残存活性を測定した結果を図3に示す。本酵素
は上記条件下で約pH3〜8の範囲で安定である。
衝液(pH6.8)中で種々の温度で16時間インキュベート
した後の残存相対活性を図4に示す。本酵素は、上記条
件下で約50℃以下で安定である。
によるゲルろ過法)
間インキュベートした後の残存相対活性を表2に示す。
本酵素は、アジ化ナトリウム、ジチオスレイトール、キ
レート剤のジエチルジチオカルバメートで実質的に阻害
されずヨード酢酸により阻害される。
活性に及ぼす影響を表3に示す。
ス定数(Km値):4.9×10-4M(分光光度法)
異的に酸化し、D−アラボアスコルビン酸には実質的に
作用せず、L−アスコルビン酸リン酸エステル−マグネ
シウム塩、L−アスコルビン酸−6−パルミテート、L
−アスコルビン酸−2,6−ジパルミテート等のアスコ
ルビン酸誘導体にも実質的に作用しない。又、ヒドロキ
ノン、ピロガロールは基質としない。
5)[0.02% デヒドロ酢酸、1mM EDTA含有]にASOD
を溶解し、37℃で保存し、残存相対活性を測定した。
m)sp. HI-25由来(旭化成工業製)、キュウリ由来(天
野製薬製)のASOを使用した。その結果を図5に示
す。
で保存した場合の保存安定性は極めて良好で、例えば上
記条件下での1ヶ月における残存活性は少なくとも50%
であり、対照として用いた他のASOと比べ際だった特
徴を有している。
ASOは1ヶ月後の残存活性は僅か5%程度とほとんど
失活している。また、キュウリ由来のASOは数日でほ
とんど活性を示さないほどに失活している。
安定性は、特別な安定化剤を加えることなく、単独で極
めて優れた安定性を有している。
レモニウム エスピー HI-25由来、ミロセシウム ベ
ルカリアの胞子由来、特開平6-209770記載の酵素、キュ
ウリ由来)と比較した結果を表4に示す。
ム APC-9315以外の菌株からもASODが精製できる。
得られたこれらのASODについても上記と同様にして
その性質を測定した結果、例えばEupenicillium javani
cum IFO 31735、Eupenicillium alutaceum IFO 31728、
Eupenicillium erubescens IFO 31734から上述と同様に
培養して得られた酵素は、至適pH、至適温度、pH安定
性、温度安定性、分子量、阻害剤、金属イオンの影響、
L−アスコルビン酸に対するミハエリス定数(Km値)、
基質特異性、保存安定性などの点で同様の性質を有して
いた。
について詳述する。目的とする遺伝子をクローニングす
るためには、部分アミノ酸配列により推定したオリゴヌ
クレオチドをプローブとして用いるハイブリダイゼーシ
ョンスクリーニングや抗体を用いたイムノスクリーニン
グなどの通常用いられてる方法が使用できる。あるいは
また、精製した蛋白質、或いは酵素法・化学法による蛋
白質の切断によって生じた内部ペプチドのN末端アミノ
酸配列のうち、異なる2ヶ所のアミノ酸配列をもとにオ
リゴヌクレオチドをデザインし、合成する。
マー、アンチセンスプライマーとしたPCR(Polymera
se Chain Reaction)法により、DNA断片を得ること
ができる。合成オリゴヌクレオチドとしては混合物或い
はイノシンを含んだものも使用できる[S. Ymaguchi, G
ene, 103巻, 61頁(1991)]。
えばユウペニシリウム ブレフェルディアム APC-9315
のゲノムDNAライブラリーからASOD遺伝子をDN
A断片として得ることができる。同様にしてユウペニシ
リウム属の他の菌株からもASOD遺伝子を含むDNA
断片を得ることができる。ユウペニシリウム属の他の菌
株としては例えば表1に挙げた菌株が挙げられる。
ントロンを含まないcDNAを、例えばPCR法により
得ることができる。PCRのプライマーには例えば、A
SOD遺伝子のコード領域の開始コドンの直下流の塩基
配列をもとにデザインし、合成したオリゴヌクレオチド
を用いることができる。かかるDNAは、イントロン
(介在配列)を有する種々の塩基配列をも包含し得るも
のである。これらのイントロンの有無、配列及び挿入位
置は、遺伝子発現系の諸要素、例えば宿主細胞の種類等
に応じて当業者が容易に選択し得るものである。
遺伝子の発現を促進する機能を有するDNA配列を含ん
でなる組換えDNAを有するプラスミドは、例えば上記
DNA断片を当該遺伝子の発現を促進する機能を有する
DNA配列を含むプラスミドに連結することにより得る
ことができる。ここで、当該遺伝子の発現を促進する機
能をコードするDNA配列は、使用する宿主微生物内で
機能するものであれば如何なるものでも使用できる。
体は、例えば当該プラスミドを糸状菌、酵母などの宿主
微生物へ導入することにより、菌体内及び菌体外にAS
ODを生産する形質転換体として得ることができる。宿
主微生物としては、組み換えASODを生産する能力を
有するものであればいずれでも良いが、例えばユウペニ
シリウム属、ペニシリウム属、アスペルギルス属、サッ
カロマイセス属、大腸菌、バチルス属、動物細胞などが
挙げられる。
該遺伝子の発現を促進する機能を有するDNA配列を含
んでなる組換えDNAを有する上記形質転換体の培養及
び培養物からのASODの製造法としては、例えばユウ
ペニシリウム属からのASODの製造法と同一の方法が
適用できる。
遺伝子と当該遺伝子の発現を促進する機能を有するDN
A配列を含んでなる組換えDNAを有する微生物を培養
することにより培養物よりASODを採取することが可
能となる。
パーオキシダーゼを用いた過酸化水素と色原体との共役
反応を用いて生体成分の測定を行う臨床検査用試薬組成
物をいう。当該試薬組成物において、本発明のASOD
を用い、試料中のL−アスコルビン酸の影響を回避する
ことができる。本発明のASODは各種の臨床検査用試
薬に適用できるが、特に本発明のASODが至適pHが中
性付近に有することより、中性付近で多く行われる各種
生体成分の測定に好適に利用できる。
肪酸、リン脂質、尿酸、クレアチニン、無機リン、シア
ル酸の測定など、パーオキシダーゼの存在下で過酸化水
素と色原体との酸化縮合反応を利用する測定系にはすべ
てに適用できる。その場合、本発明のASODの使用量
は対象とする試料中のL−アスコルビン酸の濃度及び測
定系のスケールにもよるが、通常0.1〜100単位/assay
使用される。例えば、0.4ml系での反応では0.5〜10単位
/assay、好ましくは1〜5単位/assayが使用される。
で示したように既存のASOと比較して溶液の安定性の
点で非常に優れている。よって、臨床検査用試薬が液状
化試薬として使用される場合には安定性の面で非常に有
利である。即ち、従来のASOは安定性が劣っているた
め、試薬の保存期間中の失活のため、大過剰の添加が必
要となるために、結果としてコストが高くつき、さらに
は夾雑する物質の影響を受けやすくなるという欠点を有
することとなる。
の腐敗防止のためアジ化ナトリウムを使用することが多
い。植物由来或いは、Acremonium sp. HI-25由来のAS
Oはアジ化ナトリウムにより活性が阻害されるため、防
腐剤の使用法に工夫を必要とする。
ムによる活性阻害は認められず、この点においても優位
性を示す。
水素を生ずるが、これは、例えばパーオキシダーゼ存在
下、4-アミノアンチピリン又はその誘導体或いはフェノ
ール系化合物又はN,N-ジ置換アニリン系化合物の縮合反
応により、或いはカタラーゼを共存させることにより消
去することができる。
系の第1試薬で内在生の妨害物質消去のため、過酸化水
素の消去系を備えており、ASODの酸化反応により生
ずる過酸化水素は各種生体成分の測定値に影響はない。
来のASOと比較して、保存安定性が非常に優れている
こと、アジ化ナトリウムによって阻害されないこと、中
性付近に至適pHを有していること等より臨床検査用試薬
への添加量を少なくすることができ、その結果としてコ
ストの削減や夾雑物質の影響を回避することも容易とな
る。
ンとフェノールに代表される水素供与体の縮合反応の触
媒能を有しており、生体成分を酸化酵素/パーオキシダ
ーゼ系で測定する際、試薬ブランクが上昇するという問
題があった。
生物由来のASOと比較してこの試薬ブランクが低値を
示すことにより、生体成分の酸化酵素/パーオキシダー
ゼ系での測定により好適に利用できる。
される。例えば、食品にL−アスコルビン酸が十分に含
まれる場合には、本発明のASODを添加する。また、
十分に含まれない又は含まれない食品に対してはL−ア
スコルビン酸若しくはその塩などと本発明のASODを
添加する。このことによってASODによってL−アス
コルビン酸が酸化され食品中の酸素が消費され、食品の
劣化を防ぐことができる。
ン酸とASODを共存させることにより食品中にデヒド
ロアスコルビン酸を生成させ、魚畜肉製品、水産練り製
品の品質を高めることができる。即ち、これらの製品の
品質を決定する重要な因子である粘着性やあし(のび)
と呼ばれる弾力性を蛋白質中のSH基をS−S結合させ
ることにより改善することができる。
g当たり0.001単位以上であり、好ましくは0.01単位が
使用されうる。また、食品中のL−アスコルビン酸が不
足する場合にはL−アスコルビン酸又はその塩を添加す
ることもできその場合には食品に対して0.01〜1.0重量
%程度が添加される。
Dを使用すると食品中に過酸化水素が生成するが、この
過酸化水素は加熱工程を含む食品製造においては分解さ
れ、必要に応じてカタラーゼ等を用いて分解することも
可能であり、食品安全面でも使用に問題はない。
り、L−アスコルビン酸に作用してL−アスコルビン酸
1モルから過酸化水素1モルを生成する反応を触媒す
る。この性質を利用して生成する過酸化水素を測定する
ことにより食品中或いは生体成分中のL−アスコルビン
酸濃度を測定することができる。
在下、4−アミノアンチピリンとフェノール等の水素供
与体との縮合反応の利用、又はメタノール存在下、カタ
ラーゼを作用させ生成するホルムアルデヒドをホルムア
ルデヒドデヒドロゲナーゼを用いて測定する方法、過酸
化水素電極を用いて測定する方法等が挙げられる。
スコルビン酸測定系において既存のASOと同様にブラ
ンク側の反応に利用することもできる。
法は以下に示す通りである。10mM Na2HPO4 0.5ml,1mM
EDTAを含む0.2M KH2PO4 0.45ml、試料 0.1mlを混合
し、30℃,5分間プレインキュベートする。1mM EDTA
を含む0.001N HClにL−アスコルビン酸を10mMになるよ
うに溶解した基質 0.05mlを添加し、30℃,10分間イン
キュベーションを行った。0.2N HCl 3.0mlの添加で反
応を停止し、245nmにおける吸光度の減少を測定する。
ルビン酸を1μmol分解する酵素量である。
する。実施例に使用したプラスミドなどは一例として挙
げたものであり、本発明に使用できるものであればこれ
らに限定されるものではない。また本発明は以下の実施
例に限定されるものではなく、本発明の技術分野におけ
る通常の変更をすることができる。
-9315の培養 グリセロール 2%(W/V)、ポリペプトン 1%(W/
V)、魚肉エキス(和光純薬工業社製)2%(W/V)、K2
HPO4 0.2%(W/V)、MgSO4・7H2O 0.01%(W/V)、アデ
カノール(旭電化工業社製)0.001%(W/V)、pH6.0よ
りなる培地20Lを30L容のジャーファメンターに仕込
み、121℃で30分間殺菌した。他方、同組成培地を用
い、500ml容坂口フラスコで37℃,3日間予め振盪培養
しておいたユウペニシリウム ブレフェルディアム APC
-9315(FERM BP-5053)の培養液100mlを前記培地に無菌
的に植菌し、37℃で6日間通気攪拌培養(200rpm、ジャ
ー培養の通気量:1vvm)した。培養ろ液のASOD活
性は0.15unit/mlであった。
別し、培養ろ液12Lを得た。限外ろ過のモジュールを用
いて1L迄濃縮し、この濃縮液に1.5倍量の冷エタノー
ルを添加し、冷蔵室で一晩攪拌した。遠心分離により、
沈殿を回収し、10mM酢酸緩衝液(pH5.0)で溶解した。
roseに沈殿溶解液を供し、同緩衝液で洗浄して、DEAE-S
epharose未吸着画分を回収した。この画分を予め20mM酢
酸緩衝液(pH4.4)で平衡化させたS-Sepharoseに供し、
同緩衝液で十分洗浄した後、0〜200mM食塩のリニアグ
ラジェントにて溶出させる。活性画分を回収後、限外ろ
過のモジュールを用いて脱塩、濃縮する。更にこの濃縮
液を同緩衝液にて平衡化させたSephacryl S-200に供
し、ゲルろ過を行う。溶出してくる活性画分を回収後、
限外ろ過のモジュールにて脱塩、濃縮し、凍結乾燥によ
り粉末を得た。得られたASOD粉末の比活性は1,495u
nit/mgタンパク質であった。
論 20mM酢酸緩衝液(pH5.0)中に実施例2で得られたAS
OD標品10UとL−アスコルビン酸(終濃度0−50mM)
を混合し、攪拌しながら充分に反応させる。得られた反
応液50μlと4−アミノアンチピリン(終濃度3mM)、
フェノール(同1.1mM)、パーオキシダーゼ(西洋ワサ
ビ由来:同24U)、トリトンX−100(同0.02%)を含む
100mMリン酸緩衝液(pH7.0)2.95mlを混合し、37℃にて
反応させたところ、501μmoleのL−アスコルビン酸の
消費に伴い、516μmoleの過酸化水素の生成が認められ
た。
素にカタラーゼを作用させ、生じたホルムアルデヒドを
ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼで定量し、L−アス
コルビン酸消費量と過酸化水素生成量に定量性が認めら
れた。
トロフェニルヒドロラジン比色法、o−フェニレンジア
ミン蛍光法によりデヒドロアスコルビン酸と同定した。
蛍光法による測定の結果、61.0μmoleのL−アスコルビ
ン酸の消費に伴い、生成するデヒドロアスコルビン酸は
60.0μmoleであった。
定したところ10μmoleのL−アスコルビン酸の消費に伴
い、9.5μmoleの酸素が消費された。
アスコルビン酸1モルを1モルの酸素を水素受容体とし
て酸化し、1モルのデヒドロアスコルビン酸と1モルの
過酸化水素を生成する反応を触媒することが明らかとな
った。
31735、Eupenicillium alutaceum IF O 31728及びEupeni
cillium erubescens IFO 31734の培養 これらの菌株を実施例1に従って培養し、更に実施例2
に従って精製して得られたASODの比活性は各々1,35
6unit/mgタンパク質、1,631unit/mgタンパク質及び1,
567unit/mgタンパク質であり、これらの酵素は何れも
L−アスコルビン酸1モルを1モルの酸素を水素受容体
として酸化し、1モルのデヒドロアスコルビン酸と1モ
ルの過酸化水素を生成する反応を触媒する。
3%ポリペプトン,0.2% KH2PO4,0.01% MgSO4・7H2O,0.0
01% アデカノール (pH6.0)]にユウペニシリウム ブ
レフェルディアムAPC-9315(FERM BPー5053)を接種し、
37℃において48時間通気攪拌培養し、培養物をろ過して
菌体を得た。
液体窒素及び海砂を入れた乳鉢に移し、乳棒で微細な粉
末とした。
含む6mlのLysis緩衝液〔150mM EDTA・2Na,50mM トリス
−塩酸緩衝液(pH8.0),1%ザルコシン〕に懸濁後、6
5℃,5分間処理し、遠心分離により上清を得た。
え、37℃、20分処理してRNAを分解した後、1倍量の
フェノール、1倍量のフェノール:クロロホルム(1:
1)及び1倍量のクロロホルム:イソアミルアルコール
(24:1)でそれぞれ1回ずつ抽出した後、エタノール
沈降により得た沈殿を2mlのTE〔150mM EDTA・2Na,50
mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)〕に溶解した。更に2.
2mlの20%ポリエチレングリコール8000-2.5M NaClを加
え、混合後、生じた沈殿物を遠心により集め、0.2mgの
染色体DNAを得、TEに溶解した。
294頁(1979)〕に従って全RNAを得た。即ち(2)で得
た粉末の半分量を20mlのGTC液(6Mグアニジンチオ
イソシアネイト、5mMクエン酸ナトリウム、8.5%ザル
コシン、0.1Mβ−メルカプトエタノールを含有)に懸濁
し、10,000×g、15分の遠心分離により、菌体破片及び
海砂を除いた。
中、5.7Mの塩化セシウム溶液上に重層し、33,000rpm、
25℃、18時間の条件で超遠心分離して、沈澱物を得た。
この沈澱物を水に溶解し、0.025倍量の1N−酢酸及び
0.5倍量の冷エタノールを加え、混合後、生じた沈澱物
を遠心により集め、水に溶解し、不純物を遠心により除
去して全RNAを得た(約10mg)。この内の4mgをmR
NAを選択するために、オリゴ(dT)セルロース−スパ
ン−カラムキット(ファルマシア社製)に供し、mRN
A画分(80μg)を得た。
DNAを子牛の腸由来のアルカリフォスファターゼ(ベ
ーリンガー社製)を用いて脱リン酸し、Fricshaufらの
方法〔J. Mol. Biol.170巻、827-842頁(1987)〕に従
って、λDASHII(Strataene社製)のBam HIサイトにラ
イゲートした。
ケージし、E. Coli XL1-Blue MRA(P2)(Strataene社
製)にトランスフェクションした。その結果、3.8×105
のインデペンデントクローンよりなるライブラリーが作
成できた。
リコシダーゼH処理し糖鎖を除去した。糖鎖除去ASO
DをSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した
後、PVDF(Polyvinylidene difluoride)膜(MILLI
PORE社製)に電気的にブロッティングした。クマシーブ
リリアントブルー R-250で染色されたASODのバンド
を切り出し、エドマン法によるアミノ酸配列自動分析装
置(アプライド バイオシステムズ社製)を用いてN末
端からのアミノ酸配列(配列番号:1)を決定した。
〔タンパク質 一次構造(新生化学実験講座 第一
巻)、92頁、日本生化学会編 (1990)〕に従って、N
−ヒドロキシルアミンにより分解した。ペプチド断片混
合液を上述したと同様の方法でPVDF膜にブロッティ
ングし、クマシーブリリアントブルー R-250で染色され
た一つのペプチド(ペプチドD)のバンドを切り出し、
同様の方法でペプチドDのN末端アミノ酸配列(配列番
号:2)を決定した。
l,100mM リン酸緩衝液(pH8.0)]にリジルエンドペプ
チターゼ(Takara社製)を添加し、37℃,18時間反応さ
せて分解した。分解物をピュアシル(Puresil)C18カラ
ム(商品名:Waters Chromatography社製)を用いて逆
相HPLC法により精製した。ペプチド流量は1.0ml/
分,0.05%トリフルオロ酢酸中で0〜80%アセトニトリ
ルの直線勾配により溶出した。
チド(ペプチドL-34)と約39分に溶出するペプチド(ペ
プチドL-39)を分離し、エドマン法によりそれぞれのN
末端からのアミノ酸配列(配列番号:3及び配列番号:
4)を決定した。
合成 (5)で決定されたASODタンパク質のN末端部位のア
ミノ酸配列の3番目のプロリンから10番目のグリシンに
対応する塩基配列を予想し、オリゴヌクレオチドを合成
した。このオリゴヌクレオチドをPCRのセンスプライ
マーとした。センスプライマーの配列を以下に示す。
のN末端からのアミノ酸配列の6番目のプロリンから13
番目のアスパラギン酸に対応する塩基配列を予想し、オ
リゴヌクレオチドを合成した。このオロゴヌクレオチド
をPCRのアンチセンスプライマーとした。アンチセン
スプライマーの配列を以下に示す。
なるようにTEに溶解した。
断片の取得 ASODを含む特定のDNA領域を、PCR法によっ
て、単離増幅した〔Saiki, R. F. et al., Science、23
0巻、1350−1354頁(1985)〕、Mullia, K. B.及びFalo
ona,F. A., Methods in Enzymology、155巻、335−350
頁(1987)〕。
製)を用い、同社のDNA Thermal Cycler(DNA増
幅装置)により行った。反応溶液の組成は以下の通りで
ある。
イル(Sigma社製)100μlを加えた。次に反応液の入っ
たチューブをDNA Thermal Cyclerにセットし、以下
の条件で反応を行った。
更に72℃で5分間インキュベートした。
を加え、混合し、15,000回転/分、2分間の遠心分離
(トミー精工社製)を行い、上清を100μl回収した。こ
のうち5μlを用い、1%アガロース電気泳動で回収さ
れたDNAのサイズと量を確認した。その結果約400bp
のDNA断片が約2μg増幅されていることが判った。
泳動にかけ、約400bpに相当するバンドを切り出し、65
℃で溶かした後、1倍量のフェノールを加え混合し、遠
心後、水層部分をさらにフェノール/クロロホルム及び
クロロホルムで順次処理した後、水層に3M酢酸ナトリ
ウムを0.1倍量、エタノールを2倍量添加し、−80℃で1
5分間置いた。次に15,000回転/分、10分間、4℃の遠心
後、沈澱を20μlのTEに溶かした。この操作で約1μg
のDNA断片が回収された。
作用させて両末端を平滑化し、pUC19のSmaIサイトにサ
ブクローニングし、プラスミドpASO3を得た。このプラ
スミドを2本鎖のままポリエチレングリコールにより精
製し、アルカリで変性させた後、シーケナーゼシステム
(USB社製)を用いて、デオキシヌクレオチドチェー
ンターミネーション法により5'-及び3'-部位の塩基配列
を決定した。
分ASODのN末端の4位〜20位のアミノ酸配列及びペ
プチドDの1位〜13位のアミノ酸配列をコードする塩基
配列とそれぞれ完全に一致した。
ローンを分離するための遺伝子ライブラリーのスクリー
ニングにおいてプローブとして使用した。
分離 (7)(b)で得られた400bpのPCRによる生産物をマルチ
プライムDNAラベリングシステム(アマシャム社製)
を用いて[α-32P]dCTPでラベルし、これをプローブとし
てユウペニシリウム ブレフェエルディアムAPC-9315か
らの7.5×104のインデペンデントファージからなる遺伝
子ライブラリーからASOD遺伝子を有するファージを
スクリーニングした。
+(アマシャム社製)にリフティングし、アルカリ固定
した後、このフィルターと上記のラベルした400bpのD
NA断片をハイブリダイズさせた。
イブリダイズした。それらのプラークから分離した14個
の組換え体ファージを制限酵素地図とサザンブロッティ
ングによって分析した。
400bpのPCR生成物と強くハイブリダイズする18kbp B
glII及び4.2kbp EcoRIの各フラグメントを有していた。
の塩基配列の決定 4.2kbp EcoRI断片をpUC19のEcoRIサイトにサブクローニ
ングし、4.2kbp EcoRI断片が互いに逆方向に挿入された
プラスミドpASO3およびpASOR3を作成した。この4.2kbp
EcoRI断片の制限酵素地図を図6に示す。
I、なた豆のヌクレアーゼを用いていくつかの欠失プラ
スミドを作成し、それらのプラスミドについて、(7)(b)
に記載の方法で塩基配列を決定した。決定した塩基配列
から予測されるアミノ酸配列には、精製したASODの
N末端から決定した20残基のアミノ酸配列、ペプチドD
の20残基のアミノ酸配列、及びペプチドL-34,L-39の各
12残基のアミノ酸配列が完全に含まれていた。ここで、
図6中の*印をつけたSalI切断部位から下流のの塩基配
列は配列番号:5に示すとおりであった。
けたSalI切断部位の塩基配列がコードするValであっ
た。この成熟ASODのN末端アミノ酸であるValの上
流に、プレプロ領域と推定されるMetから始まる18アミ
ノ酸残基が見られた。図6の矢印はこのMetからASO
DのC末端アミノ酸までをコードするDNA領域を示
す。
l中で1本鎖cDNAを調製した。
criptTM、BRL社製)
(a)で述べたPCR法により増幅した。尚、センスプラ
イマーとして、
利用して合成した。これらの塩基配列は4.2kbp EcoRI断
片中のASOD遺伝子のコード領域の開始コドンの直上
流と終始コドンの直下流の塩基配列を部分的に決定し、
これらの配列情報をもとにデザインした。
得られた。この断片をXbaI/BamHI消化後、pUC19のXbaI/
BamHIサイトにサブクローニングしてpAXB1を得た。この
約1.0kbpのXbaI/BamHI断片の制限酵素地図を図7に示
す。ここで両端のXbaI,BamHI両サイトはcDNAのク
ローニングに用いたPCRプライマーの塩基配列由来で
ある。このDNA断片について(5)に従い塩基配列を決
定した。開始コドンから終始コドンまでの塩基配列は、
例えばEco47III部位近傍に見られたイントロンの配列以
外は、ゲノム遺伝子の塩基配列と一致した。
分解混合物を1%低融点アガロース電気泳動に供し、約
1.0kbpのDNA断片を単離、精製した。このDNA断片
をpY1(特開平6-245777)のXbaI/BamHIサイトにクロー
ニングし、pAC1を得た。(図8)
マイセス セレビシエでの発現 実施例5の(11)で得られたpAC1をHindIIIで部分消化
後、分解混合物を1%低融点アガロース電気泳動に供
し、ASODの発現カセットである約2.1kbpのDNA断
片を単離、精製した。このDNA断片をサッカロマイセ
ス セレビシエの選択マーカーとなるLeu2遺伝子を有す
る形質転換プラスミドpL1(Biosci. Biotech. Bioche
m., 56, 315-319 (1992))のHindIIIサイトに連結し、p
LAC1を得た(図9)。
セレビシエSHY2株(ATCC 44770)を、伊藤らの方法〔J.
Bacteriol.,153巻、163-168頁(1983)〕により形質
転換した。得られた形質転換体をPYGal培地(2%ガラ
クトース、2%ポリペプトン、1%酵母エキス)50mlに
て30℃、3日間振とう培養した。
性を測定したところ、ASOD活性はプラスミドpLAC1
を有する形質転換体の場合、0.3U/mlであった。対照と
して選択マーカー遺伝子を有するプラスミドpL1のみに
よる形質転換株を用い、上記と同様にして培養し、AS
OD活性の測定を行ったところ、活性は検出されなかっ
た。
いて、実施例5の(6)に従って糖鎖除去後、SDS−ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動及びウエスタンブロッテ
ィング解析を行った。ウエスタンブロッティング解析に
は、精製ASODを用いてウサギで作製した抗ASOD
抗体を用いた。その結果、pLAC1による形質転換体の場
合にのみ、ASODと同様の分子量のタンパク質のバン
ドが検出され、このタンパク質がASODに対する抗体
と反応することを確認した。
カマンベルチィーでの発現 ペニシリウム カマンベルチィーの選択マーカーとなる
ハイグロマイシンB耐性遺伝子を有する形質転換プラス
ミドpH1(特開平6-245776記載の方法で製する)を制限
酵素HindIIIで処理後、分解混合液を1% 低融点アガロ
ース電気泳動に供し、ハイグロマイシンB耐性遺伝子を
含む約2.2kbp DNA断片を単離、精製した。このDN
A断片の両末端をT4DNAポリメラーゼにより平滑化し
た後、実施例5の(11)で得た組換えプラスミドpAC1の制
限酵素SspIサイトにクローニングし、pHAC1を得た(図
10)。
カマンベルチィーを、特開平6-245776に記載の方法に準
じて形質転換した。選択培地に生育してきた形質転換体
を大豆油培地(3%大豆油、0.5%酵母エキス、0.3%NaN
O3、0.1%K2HPO4、0.05%KCl、0.05%MgSO4・7H2O、0.001%FeS
O4・12H2O)100mlにて30℃、7日間振とう培養した。
測定したところ、ASOD活性はpHAC1による形質転換
株の場合14.9U/mlであった。選択マーカー遺伝子を有す
るプラスミドpH1のみによる形質転換株を用い、上記と
同様にして培養及びASOD活性の測定を行ったとこ
ろ、活性は検出されなかった。
いて、実施例5の(6)に従って糖鎖除去後、実施例6と
同様にSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びウ
エスタンブロッティング解析を行ったところ、pHAC1に
よる形質転換体の場合にのみ、ASODと同様の分子量
のタンパク質のバンドが検出され、このタンパク質がA
SODに対する抗体と反応することを確認した。
ス オリゼでの発現 アスペルギルス オリゼの選択マーカーとなるniaD遺伝
子を有する形質転換プラスミドpSTA14(Mol. Gen. Gene
t.,218巻、99-104頁(1989))を制限酵素HindIII処理
後、分解混合液を1% 低融点アガロース電気泳動に供
し、niaD遺伝子を含む約5.5kb DNA断片を単離、精製
した。このDNA断片の両末端をT4DNAポリメラーゼ
により平滑化した後、実施例5の(11)で得た組換えプラ
スミドpAC1の制限酵素SspIサイトにクローニングし、プ
ラスミドpNAC1を得た(図11)。
リゼA01.1株(Mol. Gen. Genet.、218巻、99-104頁(198
9))を、Unklesらの方法(Mol. Gen. Genet.、218巻、9
9-104頁 (1989))に準じて形質転換した。選択培地に生
育してきた形質転換体を実施例7と同様の方法で培養し
た。
を測定したところ、ASOD活性はpNAC1による形質転
換株の場合2.0U/mlであった。選択マーカー遺伝子を有
するプラスミドpSTA14のみによる形質転換株を用い、上
記と同様にして培養及びASOD活性の測定を行ったと
ころ、活性は検出されなかった。
いて、実施例5の(6)に従い糖鎖除去後、SDS−ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動及びウエスタンブロッティ
ング解析を行ったところ、pNAC1による形質転換体の場
合にのみ、ASODと同様の分子量のタンパク質のバン
ドが検出され、このタンパク質がASODに対する抗体
と反応することを確認した。
ス ニガーでの発現 実施例7に記載したpHAC1を用いて、アスペルギルス
ニガーを特開平6-245776に記載の方法に準じて形質転換
した。ただし重層するソフトアガー中のハイグロマイシ
ンB濃度は307.5μg/mlとした。選択培地に生育してき
た形質転換体を実施例7と同様の方法で培養した。
を測定したところ、ASOD活性はpHAC1による形質転
換株の場合0.2U/mlであった。選択マーカー遺伝子を有
するプラスミドpH1のみによる形質転換株を用い、上記
と同様にして培養及びASOD活性の測定を行ったとこ
ろ、活性は検出されなかった。
いて、実施例5の(6)に従って糖鎖除去後、実施例6と
同様にSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びウ
エスタンブロッティング解析を行ったところ、pHAC1に
よる形質転換体の場合にのみ、ASODと同様の分子量
のタンパク質のバンドが検出され、このタンパク質がA
SODに対する抗体と反応することを確認した。
リウム ブレフェルディアムでの発現 ユウペニシリウム ブレフェルディアムの選択マーカー
となるフレオマイシン耐性遺伝子を有する形質転換プラ
スミドpUT720を制限酵素EcoRI及びXbaIで処理後、分解
混合液を1% 低融点アガロース電気泳動に供し、フレ
オマイシン耐性遺伝子を含む約3.1kbp DNA断片を単
離、精製した。このDNA断片の両末端をT4DNAポリ
メラーゼにて平滑化し、実施例5の(11)で得た組換えプ
ラスミドpAC1の制限酵素SspIサイトにクローニングし、
プラスミドpPAC1を得た(図12)。
ム ブレフェルディアムAPC-9315株(FERM BP-5053)を
以下の方法で形質転換した。
胞子懸濁液(2×108)100μlを100mlのぶどう糖−ペプ
トン培地(栄研化学社製)に接種し37℃、48時間振とう
培養後、培養物をろ過し菌体を集めた。この菌体を10ml
のプロトプラスト化緩衝液[1.2Mソルヒ゛トール,10mM リン酸
緩衝液(pH6.0)]に懸濁し、ろ過することにより洗浄菌
体を集めた。
ンザイム(Sigma Product number L-2265,Sigma社製)
を含むプロトプラスト化緩衝液に懸濁し、30℃で2時間
振とう後、ガラスフィルター3G2でろ過し、ろ液を20
00rpm,5分間の遠心分離に供し沈澱物を得た。この沈
澱物をソルビトール溶液[1.2Mソルヒ゛トール,50mM CaCl2,10m
M トリス塩酸緩衝液(pH7.5)]に懸濁し、沈澱物を回収し
た。この操作を再度繰り返し、プロトプラストを沈澱物
として回収した。
lとなるようにソルビトール溶液を加え、懸濁し、プロ
トプラスト溶液を得た。プロトプラスト溶液50μlに、
4μlのpPAC1溶液(1μg/μl)、6.25μlのPEG溶液
[50% PEG4000,50mM CaCl2,10mM トリス塩酸緩衝液,(pH7.
5)]を加え混合後、氷上に30分間静置した。次に0.5ml
のPEG溶液を加え、更に1mlのソルビトール溶液を加
え混合した。
スを含むPD[2.4%ポテト−デキストロース−ブロス
(Difco社製)]からなるプレートにのせ、更に予め48
℃に保温しておいた0.7%アガロースを含むPD3mlを
重層し、30℃、24時間放置後、1.54mg/mlのフレオマイ
シン(CAYLA社製)、0.7%アガロースを含むPD3mlを
重層し、30℃、4日間放置し、プレート上に出現したコ
ロニーを1.5%アガロースを含むPDスラント培地に植
え継ぎ、形質転換株として保存した。
グリセロール−ポリペプトン培地[4%グリセロール,
6%ポリペプトン,0.4% KH2PO4,0.02% MgSO4・7H2O,0.0
01%アデカノール (pH6.0)]100mlに接種し、37℃、6
日間振とう培養した。
測定したところ、ASOD活性はpPAC1による形質転換
株の場合18.5U/mlであった。選択マーカー遺伝子を有す
るプラスミドpUT720のみによる形質転換株を用い、上記
と同様にして培養及びASOD活性の測定を行ったとこ
ろ、活性は1.8u/mlであった。
いて、実施例5の(6)に従って糖鎖除去後、実施例6と
同様にSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びウ
エスタンブロッティング解析を行ったところ、pPAC1に
よる形質転換体、対照のpUT720による形質転換体とも
に、ASODと同様の分子量のタンパク質のバンドが検
出され、このタンパク質がASODに対する抗体と反応
することを確認した。また、pPAC1による形質転換体の
シグナルはpUT720による形質転換体に比べ約10倍強いシ
グナルが得られた。
リウム ブレフェルディアムでの発現 実施例5の(9)で得られたpASO3をEcoRIで消化後、分解
混合物を1%低融点アガロース電気泳動に供し、ASO
D遺伝子を含む約4.2kbpのDNA断片を単離、精製し
た。このDNA断片をユウペニシリウム ブレフェルデ
ィアムの選択マーカーとなるフレオマイシン耐性遺伝子
を有するpUT720(CAYLA社製)のEcoRIサイトにクローニ
ングしpASOE1を得た(図13)。
ブレフェルディアムAPC-9315株を実施例10に従って形
質転換した。
オマイシンを含む培地においても良好に生育したのに対
し元株であるユウペニシリウム ブレフェルディアムAP
C-9315は40μg/ml以上のフレオマイシンを含む培地では
生育不能であった。この形質転換株が獲得したフレオマ
イシン耐性の性質は2回の単胞子分離後も安定に保持さ
れていた。
した。得られた培養ろ液について、ASOD活性を測定
したところ、ASOD活性は、プラスミドpASOE1を有す
る形質転換体の場合、25.8U/mlであった。また、選択マ
ーカー遺伝子を有するプラスミドpUT720のみによる形質
転換株を用い、上記と同様にして培養及びASOD活性
の測定を行ったところ、活性は1.4U/mlであった。
いて、実施例5の(6)に従って糖鎖除去後、実施例6と
同様にSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びウ
エスタンブロッティング解析を行ったところ、pASOE1に
よる形質転換体、対照のpUT720による形質転換体とも
に、ASODと同様の分子量のタンパク質のバンドが検
出され、このタンパク質がASODに対する抗体と反応
することを確認した。また、pASOE1による形質転換体の
シグナルはpUT720による形質転換体に比べ約18倍強いシ
グナルが得られた。
による干渉作用を除去するために実施例2で得られたA
SOD、実施例11で得られたASOD及びキュウリ由
来のASOを添加し、その効果を測定した。
化学製)10μlに(試薬−1)2.25mlを添加し、37℃,
5分間インキュベーションした後、(試薬−2)0.75ml
を添加し、更に37℃,5分間インキュベーションを行っ
た。その後、500nmにおけるの吸光度を測定した。盲検
としてヒト血清の代わりに精製水を使用した。
の添加により、キュウリ由来ASOと同様に、L−アス
コルビン酸による発色阻害を防止できる。形質転換体に
より生産されたASODを用いても同様の結果が得られ
ることが判る。
し、用時調製した(試薬−2)を用いて実施例4と同様
にしてコレステロールの定量を行った。その結果、キュ
ウリ由来のASOを用いた場合と比べ明らかに本発明の
ASODを用いた試薬は安定性に優れている。同様に実
施例11により得られたASODを用いて調製した試薬
についてもその安定性は優れている。
定 血清中のトリグリセライド測定の際のアスコルビン酸に
よる干渉作用を除去するために実施例2で得られたAS
ODを添加し、その結果を測定した。
化学)27μl、L−アスコルビン酸(50mg/ml)3μlに
試薬1(2.25ml)を添加し、37℃、5分間インキュベー
ションした後、試薬−2(0.75ml)を添加し、更に37
℃、5分間インキュベーションを行った。その後、555n
mにおける吸光度を測定した。L−アスコルビン酸の代
わりに精製水を使用し、対照とした。
SODにより、アスコルビン酸による発色阻害を防止で
きる。又、本発明のASODによるL−アスコルビン酸
酸化に伴って生成する過酸化水素は測定値に影響しない
ことがわかる。同様に実施例11により得られたASO
Dを用いて調製した試薬を用いても測定値には影響しな
いことを確認した。
ナトリウム緩衝液(pH4.0)10μlに本発明のASOD 4
0μl(0.5U)を添加し、37℃、10分間反応し、L−アス
コルビン酸を完全にデヒドロアスコルビン酸に変換す
る。
1mM フェノール、8U/ml パーオキシダーゼを含む100
mM リン酸緩衝液(pH7.0)2.95mlを添加し、37℃、5分
間反応させ、L−アスコルビン酸の酸化反応の際に生じ
る過酸化水素量を4−アミノアンチピリンとフェノール
の酸化縮合色素の505nmにおける吸光度にて測定した。
その結果を図14に示す。
(mM)を縦軸は505nmにおける吸光度値を示す。図14
より被検液のL−アスコルビン酸含有量と吸光度の比例
関係を利用して被検液中のL−アスコルビン酸量を良好
に測定できることが明らかである。また、実施例11で
得られた酵素を用いても同様の結果が得られた。
量 実施例15に基づき、レモン果汁中のL−アスコルビン
酸量を測定した。同時にヒドラジン比色法による測定を
行い、測定対照とした。
アスコルビン酸量は本発明の方法では37.0mg(実施例1
5の検量線より算出)、ヒドラジン比色法[(総アスコ
ルビン酸量)−(デヒドロアスコルビン酸量)]では3
5.9mgであった。
中のL−アスコルビン酸量は良好に測定できることが明
らかである。また、実施例11で得られた酵素を用いて
も同様の結果が得られた。
実施例4及び実施例5〜実施例11で得られた酵素につ
いて実施例12〜実施例16と同様にして、各種測定を
行った結果、同様の結果が得られた。
ASODをコードする遺伝子が提供され、該遺伝子を組
み込んだ形質転換体を培養することによりASODを大
量かつ安価に製造することもできる。本発明のASOD
を用いることによって、臨床検査試薬、特に液状試薬の
製造において、干渉物質除去の目的で添加されていた既
知のASOの不安定性に起因する種々の安定化剤の添
加、保存期間中の失活に対する過剰添加が不要となる。
即ち、更に本発明のASODは従来のASOと比較し
て、保存安定性が非常に優れていること、アジ化ナトリ
ウムによって阻害されないこと、中性付近に至適pHを有
していること等より臨床検査用試薬への添加量を少なく
することができ、その結果としてコストの削減や夾雑物
質の影響を回避することも容易となる。
ラフである。
アクレモニウムsp. HI-25由来のASOを示し、白三角
はキュウリ由来のASOを示す。
素地図を示す。
を示す。
示す。
について詳述する。目的とする遺伝子をクローニングす
るためには、部分アミノ酸配列により推定したオリゴヌ
クレオチドをプローブとして用いるハイブリダイゼーシ
ョンスクリーニングや抗体を用いたイムノスクリーニン
グなどの通常用いられてる方法が使用できる。
素法・化学法による蛋白質の切断によって生じた内部ペ
プチドのN末端アミノ酸配列のうち、異なる2ケ所のア
ミノ酸配列をもとにオリゴヌクレオチドをデザインし、
合成する。これらオリゴヌクレオチドをセンスプライマ
ー、アンチセンスプライマーとしたPCR(Polym
erase Chain Reaction)法によ
り、DNA断片を得ることができる。合成オリゴヌクレ
オチドとしては混合物或いはイノシンを含んだものも使
用できる[S.Yamaguchi et al,Ge
ne,103巻,61頁(1991)]。得られたDN
A断片をプローブとして、例えばユウペニシリウム ブ
レフェルディアムAPC−9315のゲノムDNAライ
ブラリーからASOD遺伝子をDNA断片として得るこ
とができる。
からもASOD遺伝子を含むDNA断片を得ることがで
きる。ユウペニシリウム属の他の菌株としては例えば表
1に挙げた菌株が挙げられる。
ントロンを含まないcDNAを、例えばPCR法により
得ることができる。PCRのプライマーには例えば、A
SOD遺伝子のコード領域の開始コドンの直上流と終止
コドンの直下流の塩基配列をもとにデザインし、合成し
たオリゴヌクレオチドを用いることができる。これらの
イントロンの有無、配列及び挿入位置は、遺伝子発現系
の諸要素、例えば宿主細胞の種類等に応じて当業者か容
易に選択し得るものである。
解されたDNAを子牛の腸由来のアルカリフォスファタ
ーゼ(ベーリンガー社製)を用いて脱リン酸し、Fri
cshaufらの方法〔J.Mol.Biol.170
巻、827−842頁(1987)〕に従って、λDA
SHII(Stratagene社製)のBam HI
サイトにライゲートした。
ケージし、E.Coli XL1−Blue MRA
(P2)(Stratagene社製)にトランスフェ
クションした。その結果、3.8×105のインデペン
デントクローンよりなるライブラリーが作成できた。
を作用させて両末端を平滑化し、pUC19のSmaI
サイトにサブクローニングし、プラスミドpAS01を
得た。このプラスミドを2本鎖のままポリエチレングリ
コールにより精製し、アルカリで変性させた後、シーケ
ナーゼシステム(USB社製)を用いて、デオキシヌク
レオチドチェーンターミネーション法により5’−及び
3’−部位の塩基配列を決定した。
Claims (13)
- 【請求項1】37℃、1ヶ月における溶液の残存活性が少
なくとも50%であり、L−アスコルビン酸1分子と分子
状酸素1分子からL−デヒドロアスコルビン酸1分子と
過酸化水素1分子を生成する反応を触媒する新規なアス
コルビン酸酸化酵素。 - 【請求項2】ユウペニシリウム(Eupenicillium)属に
属する菌株より得ることができ、L−アスコルビン酸の
酸化反応を触媒する新規なアスコルビン酸酸化酵素。 - 【請求項3】ユウペニシリウム(Eupenicillium)属に
属する菌株を培養し、アスコルビン酸酸化酵素を生産せ
しめ、これを採取することを特徴とするアスコルビン酸
酸化酵素の製造法。 - 【請求項4】図面の図6の制限酵素地図を有するDNA
断片中に含まれるアスコルビン酸酸化酵素遺伝子。 - 【請求項5】図面の図6の制限酵素地図を有するDNA
断片中に含まれるアスコルビン酸酸化酵素をコードする
遺伝子と、当該遺伝子の発現を促進する機能を有するD
NA配列を含んでなる組換えDNAを有する形質転換
体。 - 【請求項6】図面の図6の制限酵素地図を有するDNA
断片中に含まれるアスコルビン酸酸化酵素をコードする
遺伝子と、当該遺伝子の発現を促進する機能を有するD
NA配列を含んでなる組換えDNAを有する形質転換体
を培養し、当該培養物よりアスコルビン酸酸化酵素を採
取することを特徴とするアスコルビン酸酸化酵素の製造
法。 - 【請求項7】図面の図7の制限酵素地図を有するアスコ
ルビン酸酸化酵素をコードするcDNA。 - 【請求項8】図面の図7の制限酵素地図を有するアスコ
ルビン酸酸化酵素をコードするcDNAと、当該遺伝子
の発現を促進する機能を有するDNA配列を含んでなる
組換えDNAを有する形質転換体。 - 【請求項9】図面の図7の制限酵素地図を有するアスコ
ルビン酸酸化酵素をコードするcDNAと、当該遺伝子
の発現を促進する機能を有するDNA配列を含んでなる
組換えDNAを有する形質転換体を培養し、当該培養物
よりアスコルビン酸酸化酵素を採取することを特徴とす
るアスコルビン酸酸化酵素の製造法。 - 【請求項10】形質転換体がサッカロマイセス(Saccha
romyces)属、ペニシリウム(Penicillium)属、アスペ
ルギルス(Aspergillus)属或いはユウペニシリウム(E
upenicillium)属に属する微生物である請求項6或いは
請求項9記載のアスコルビン酸酸化酵素の製造法。 - 【請求項11】37℃、1ヶ月における溶液の残存活性が
少なくとも50%であり、L−アスコルビン酸と分子状酸
素からL−デヒドロアスコルビン酸と過酸化水素を生ず
る反応を触媒するアスコルビン酸酸化酵素を配合してな
る試薬組成物。 - 【請求項12】37℃、1ヶ月における溶液の残存活性が
少なくとも50%であり、L−アスコルビン酸と分子状酸
素からL−デヒドロアスコルビン酸と過酸化水素を生ず
る反応を触媒するアスコルビン酸酸化酵素を含有して成
る食品用添加剤。 - 【請求項13】37℃、1ヶ月における溶液の残存活性が
少なくとも50%であり、L−アスコルビン酸と分子状酸
素からL−デヒドロアスコルビン酸と過酸化水素を生ず
る反応を触媒するアスコルビン酸酸化酵素を含有してな
るL−アスコルビン酸測定用試薬組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13583395A JP3732868B2 (ja) | 1994-05-11 | 1995-05-08 | 新規なアスコルビン酸酸化酵素、該酵素をコードする遺伝子及び該酵素の製造法並びにその用途 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12311394 | 1994-05-11 | ||
JP6-123113 | 1994-05-11 | ||
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JPH0823971A true JPH0823971A (ja) | 1996-01-30 |
JP3732868B2 JP3732868B2 (ja) | 2006-01-11 |
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JP (1) | JP3732868B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1998031829A1 (fr) * | 1997-01-20 | 1998-07-23 | Kyowa Medex Co., Ltd. | Procedes et reactifs permettant d'evaluer la teneur en acide ascorbique |
JP2015136320A (ja) * | 2014-01-22 | 2015-07-30 | 本田技研工業株式会社 | 麹菌変異株 |
-
1995
- 1995-05-08 JP JP13583395A patent/JP3732868B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO1998031829A1 (fr) * | 1997-01-20 | 1998-07-23 | Kyowa Medex Co., Ltd. | Procedes et reactifs permettant d'evaluer la teneur en acide ascorbique |
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