JP3732868B2 - 新規なアスコルビン酸酸化酵素、該酵素をコードする遺伝子及び該酵素の製造法並びにその用途 - Google Patents

新規なアスコルビン酸酸化酵素、該酵素をコードする遺伝子及び該酵素の製造法並びにその用途 Download PDF

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、L−アスコルビン酸の酸化反応を触媒する新しい酵素、より詳細には、L−アスコルビン酸と分子状酸素との反応によってL−デヒドロアスコルビン酸と過酸化水素を生成する反応を触媒し、尚かつ極めて優れた安定性を有する新規なL−アスコルビン酸酸化酵素(以下、ASODという。)を提供する。更に本発明は、微生物を用いた当該ASODの製造法、該ASODをコードする遺伝子、当該遺伝子を含んでなる形質転換体、これを用いたASODの製造法並びに該ASODを含有してなる検査用試薬組成物、食品用添加物、食品或いは臨床検査分野における試薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
L−アスコルビン酸の酸化反応を触媒する酵素としては、アスコルビン酸に作用し、L−デヒドロアスコルビン酸と水を生ずる反応を触媒するアスコルビン酸酸化酵素(以下、ASOという。)やラッカーゼが知られており、国際生化学連合(I.U.B)の分類によれば、それぞれEC 1.10.3.3及びEC 1.10.3.2に分類される。
【0003】
上記のASOは、従来より各種植物に分布することが知られており、カボチャ〔M. H. Lee and C. R. Dawson(1973)J. Biol. Chem., 248, 6596頁〕及びキュウリ〔T. Nakamura, N. Makino and Y. Ogura(1968)J. Biochem., 64, 189頁〕などから単離されている。
【0004】
一方、微生物由来のASOとしてミロセシウム ベルカリア(Myrothecium verrucaria)の菌糸〔G. A. White and R. M. Krupka(1965)Arch. Biochim. Biphys., 110, 448頁 〕や胞子〔舟木ら(1987)日本栄養食糧学会誌, 40, 47頁〕、アエロバクター アエロゲネス(Aerobacter aerogenes)〔W. A. Volk and J. L. Larssen(1963)Biochim. Biophys. Acta., 67, 576頁〕或いはアクレモニウム エスピー(Acremonium sp.)HI-25〔S. Murao et al.(1992)Biosci. Biotechnol. Biochem., 56, 847頁〕由来の報告がある。
【0005】
これらのASOは食品分野や臨床検査分野に広く使用されている。食品分野としては、例えばアスコルビン酸と併用するなどして食品中の脱酸素等や水産練り製品などの品質改良に使用される。
【0006】
また臨床検査分野としては、例えばパーオキシダーゼを利用した過酸化水素と色原体との共役呈色反応を利用する分野において、その呈色反応を強力に妨害するアスコルビン酸の影響回避のために用いられる。通常の血清アスコルビン酸の濃度は1mg/dl以下で有り余り問題とはならないが、例えば尿中アスコルビン酸濃度は高い値となる。また、点滴補液などで大量のアスコルビン酸を投与するときなどは血中濃度も上昇し、共存するアスコルビン酸の影響は非常に大きい。
【0007】
アスコルビン酸の影響を除去するためには、▲1▼アルカリ処理、▲2▼銅イオンや鉄イオンによる処理、▲3▼過ヨウ素酸による処理、▲4▼ASOによる処理が行われるが、通常は▲4▼のASOを臨床検査用試薬に共存させることによって解決している。
【0008】
更に、上記記載のASO以外で、アスコルビン酸に作用する酵素として、Physarum polycephalum(モジホコリカビ)から得られ、アスコルビン酸に作用して過酸化水素を生成する作用を有する酵素も知られている〔Plant physiology, 30, 58頁(1955)〕。しかしながら、本酵素については詳細な性質については検討されていない。
【0009】
また、最近になって、トリコデルマ(Trichoderma)属又はモルティエレラ(Mortierella)属由来で上記と同様の性質、即ちアスコルビン酸に作用して過酸化水素を生成する作用を有するアスコルビン酸酸化酵素も報告されている(特開平6-209770)。
【0010】
これらのアスコルビン酸に作用する酵素のうちで、L−デヒドロアスコルビン酸と水を生じる反応を触媒する上記の植物由来のASO遺伝子はクローニングされている〔J. Ohkawa et. al.,Proc. Natl. Acid. Sci. USA, 86, 1239(1989)〕。
【0011】
しかし微生物由来のASOあるいはL−アスコルビン酸に作用し、L−デヒドロアスコルビン酸と過酸化水素を生じる反応を触媒するASODの遺伝子に関する報告はなされていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
最近、臨床検査用測定試薬の多くが、従来の凍結乾燥品から液状品へとかわりつつある。液状品の品質補償期間は、10℃で1年間と言われているが、液状の測定試薬に配合される各種酵素の安定性の良否が、品質決定の第一要因であり、上記した植物及び微生物由来のASOは、この液状測定試薬への適用という点では、安定性に問題があった。
【0013】
本発明の目的は、安定性に優れた新規なアスコルビン酸酸化酵素を提供することにある。また、当該ASODの製造法及びそれを含有してなる臨床検査組成物、食品添加物、食品或いは臨床分野における試薬組成物を提供するものである。また、本発明のASODは、植物及び微生物由来のASOに比べ極めて優れた保存安定性を有していることが特徴であり、液状測定試薬への配合に非常に有効である。
【0014】
また、モジホコリカビ由来やトリコデルマ属又はモルティエレラ属由来の、アスコルビン酸に作用してL−デヒドロアスコルビン酸と過酸化水素を生ずる反応を触媒するアスコルビン酸酸化酵素は、その溶液中での安定性の点において満足できるものではなく、従来の課題を解決するにはほど遠いものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、新規なアスコルビン酸酸化酵素を得るために広く自然界にその給源を求め、特に各種微生物起源の新規なアスコルビン酸酸化酵素につき鋭意研究を重ねてきた。その過程で新たに土壌から単離したユウペニシリウム(Eupenicillium)属に属する菌株を培養することによって従来のASOとは異なり、アスコルビン酸に作用してL−デヒドロアスコルビン酸と過酸化水素を生ずる反応を触媒し、その安定性が著しく良好な酵素を産生することを見い出すと共に、この新規なASODを工業的に製造する方法を確立し、ASODを単離し、精製し、その性質等の解明に成功し、更に当該酵素を遺伝子工学的手法により大量生産する方法をも確立した。
【0016】
即ち、ユウペニシリウム属由来の染色体DNAよりASODをコードする遺伝子をクローニングし、当該遺伝子と当該遺伝子の発現を促進する機能をコードするDNA配列を有するプラスミドを得、当該プラスミドを有する形質転換体を創製し、当該形質転換体を培養することによってASODを製造する方法を確立した。
【0017】
更にまた、当該酵素はその安定性において非常に優れた性質を持っている為、当該ASODの液状試薬への利用等の応用面について鋭意検討し、本発明を完成した。
【0018】
本発明のASODの触媒するアスコルビン酸の酸化反応は式1で示され、これまで示されている従来の植物由来のASOの反応とは区別され、モジホコリカビ由来やトリコデルマ属又はモルティエレラ属由来の酵素と同じ反応を触媒する。
【0019】
【式1】
Figure 0003732868
【0020】
本発明の第1は、L−アスコルビン酸を基質とし、L−デヒドロアスコルビン酸と過酸化水素を生ずる反応を触媒し、尚かつ安定性に優れた新規なASODを提供する。
【0021】
本発明の第2は、上記のASODの製造法を提供する。
本発明の第3は、上記ASODをコードする遺伝子を提供する。
本発明の第4は、上記ASODをコードする遺伝子及び当該遺伝子の発現を促進するDNA配列を含んでなる組み換え体DNAを有する形質転換体を提供する。
本発明の第5は、上記ASODをコードする遺伝子及び当該遺伝子の発現を促進するDNA配列を含んでなる組み換え体DNAを有する形質転換体を培養し、培養物よりASODを採取することを特徴とするASODの製造法を提供する。
本発明の第6は上記のASODを含有してなる試薬組成物を提供する。
本発明の第7は上記のASODを含有してなる食品添加物を提供する。
本発明の第8は上記のASODを含有してなるL−アスコルビン酸測定用試薬組成物を提供する。
【0022】
即ち、本発明は、L−アスコルビン酸1分子と分子状酸素1分子からL−デヒドロアスコルビン酸1分子と過酸化水素1分子を生成する反応を触媒し、L−アスコルビン酸に作用し、D−アラボアスコルビン酸には実質的には作用せず、至適pHが約6付近にあり、37℃、16時間の処理で約pH3〜8の範囲で安定であり、至適温度が約37℃付近にあり、pH6.8、16時間の処理で約50℃迄安定であり、37℃、1ヶ月における溶液の残存活性が少なくとも50%であり、アジ化ナトリウムで実質的に阻害されない性質を有する新規なアスコルビン酸酸化酵素。
【0023】
ユウペニシリウム(Eupenicillium)属に属する菌株より得ることができ、L−アスコルビン酸の酸化反応を触媒する新規なアスコルビン酸酸化酵素。
【0024】
ユウペニシリウム(Eupenicillium)属に属する菌株より得ることができ、L−アスコルビン酸に作用しL−デヒドロアスコルビン酸と過酸化水素を生成する反応を触媒し、D−アラボアスコルビン酸には実質的には作用せず、至適pHが約6付近にあり、37℃、16時間の処理で約pH3〜8の範囲で安定であり、至適温度が約37℃付近にあり、pH6.8、16時間の処理で約50℃迄安定であり、37℃、1ヶ月における溶液の残存活性が少なくとも50%であり、アジ化ナトリウムで実質的に阻害されない性質を有する新規なアスコルビン酸酸化酵素。
【0025】
ユウペニシリウム(Eupenicillium)属に属する菌株を培養し、アスコルビン酸酸化酵素を生産せしめ、これを採取することを特徴とするアスコルビン酸酸化酵素の製造法。
【0026】
図面の図6の制限酵素地図において矢印で示した部分に含まれるDNA断片であり、配列番号:1で示されるN末端アミノ酸配列をコードする塩基配列を有するアスコルビン酸酸化酵素遺伝子。
【0027】
図面の図6の制限酵素地図において矢印で示した部分に含まれるDNA断片であり、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むアスコルビン酸酸化酵素遺伝子。
【0028】
図面の図6の制限酵素地図において矢印で示した部分に含まれるDNA断片であり、そのN末端アミノ酸配列が配列番号:1で示されるアスコルビン酸酸化酵素をコードする遺伝子と、当該遺伝子の発現を促進する機能を有するDNA配列を含んでなる組換えDNAを有する形質転換体を培養し、当該培養物よりアスコルビン酸酸化酵素を採取することを特徴とするアスコルビン酸酸化酵素の製造法。
【0029】
図面の図6の制限酵素地図において矢印で示した部分に含まれるDNA断片であり、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4で示されるアミノ酸配列を含むアスコルビン酸酸化酵素をコードする遺伝子と、当該遺伝子の発現を促進する機能を有するDNA配列を含んでなる組換えDNAを有する形質転換体を培養し、当該培養物よりアスコルビン酸酸化酵素を採取することを特徴とするアスコルビン酸酸化酵素の製造法。
【0030】
図面の図7の制限酵素地図に示されるcDNA断片で、配列番号:1で示されるN末端アミノ酸をコードする塩基配列を有するアスコルビン酸酸化酵素遺伝子。
【0031】
図面の図7の制限酵素地図に示されるcDNA断片で、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4で示されるアミノ酸をコードする塩基配列を有するアスコルビン酸酸化酵素遺伝子。
【0032】
図面の図7の制限酵素地図に示されるcDNA断片で、配列番号:1で示されるN末端アミノ酸をコードする塩基配列を有するアスコルビン酸酸化酵素遺伝子と当該遺伝子の発現を促進する機能を有するDNA配列を含んでなる組換えDNAを有する形質転換体を培養し、当該培養物よりアスコルビン酸酸化酵素を採取することを特徴とするアスコルビン酸酸化酵素の製造法。
【0033】
図面の図7の制限酵素地図に示されるcDNA断片で、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4で示されるアミノ酸をコードする塩基配列を有するアスコルビン酸酸化酵素遺伝子と当該遺伝子の発現を促進する機能を有するDNA配列を含んでなる組換えDNAを有する形質転換体を培養し、当該培養物よりアスコルビン酸酸化酵素を採取することを特徴とするアスコルビン酸酸化酵素の製造法。
【0034】
37℃、1ヶ月における溶液の残存活性が少なくとも50%であり、L−アスコルビン酸と分子状酸素からL−デヒドロアスコルビン酸と過酸化水素を生ずる反応を触媒するアスコルビン酸酸化酵素を配合してなる試薬組成物。
【0035】
37℃、1ヶ月における溶液の残存活性が少なくとも50%であり、ユウペニシリウム(Eupenicillium)属由来のアスコルビン酸酸化酵素を含有してなる試薬組成物。
【0036】
37℃、1ヶ月における溶液の残存活性が少なくとも50%であり、L−アスコルビン酸と分子状酸素からL−デヒドロアスコルビン酸と過酸化水素を生ずる反応を触媒するアスコルビン酸酸化酵素を含有して成る食品用添加剤。
【0037】
37℃、1ヶ月における溶液の残存活性が少なくとも50%であり、ユウペニシリウム(Eupenicillium)属由来のアスコルビン酸酸化酵素を含有してなる食品用添加剤。
【0038】
37℃、1ヶ月における溶液の残存活性が少なくとも50%であり、L−アスコルビン酸と分子状酸素からL−デヒドロアスコルビン酸と過酸化水素を生ずる反応を触媒するアスコルビン酸酸化酵素を含有してなるL−アスコルビン酸測定用試薬組成物。
【0039】
本発明はこれらを提供するものである。次いでこれらの発明について詳細に説明する。
【0040】
本発明者らは、新規なアスコルビン酸酸化酵素を生産する微生物を得るため、広く自然界に給源を求め土壌から分離した菌株が新規なアスコルビン酸酸化酵素を生産することを見いだした。
【0041】
本発明者らが分離した菌株について、その菌学的性質を、K. B. Raper & C. Thomの"A manual of the Penicillia"に基づいて同定した結果、本菌はユウペニシリウム ブレフェルディアム(Eupenicillium brefeldianum)と同定され、ユウペニシリウム ブレフェルディアム APC-9315と命名した。
【0042】
以下、本菌の菌学的性質を記載する。
▲1▼生育
麦芽寒天上での生育は比較的速く、1〜2mm菌高の白色羊毛状菌糸は粗い。やがて菌糸は肉眼的に薄れ、基質表面に密着して多量の子嚢果を形成する。集落は平坦で黄色〜黄土色となる。集落裏面は淡褐色、Czapek寒天培地での生育は遅く、集落は放射状に発展し、表面は白色菌叢が密で、やがてフエルト状となる。集落の周辺は波状で、茶褐色の子嚢が密集する。集落裏面は濃褐色で発育根状菌糸が明確となり、40℃でさらにこれが顕著となる。MY40寒天培地では菌叢は重厚でジュウタン状、裏面は濃褐色、オートミール寒天培地では粉状に多量の子嚢果が形成し、集落の周辺は赤色を呈する。
【0043】
Figure 0003732868
【0044】
Figure 0003732868
【0045】
尚、ユウペニシリウム ブレフェルディアム APC-9315は、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM BP-5053として寄託されている。
【0046】
本菌株以外のユウペニシリウム属に属する菌株について、検討した結果、その他のユウペニシリウムに属する菌株も本発明のASODを生産することを確認した。その他のユウペニシリウム属に属する菌株としては例えば、Eupenicillium javanicum IFO-31735、Eupenicillium alutaceum IFO-31728、Eupenicillium erubescens IFO-31734等が挙げられる。
【0047】
【表1】
Figure 0003732868
【0048】
特に、本発明者らが土壌から新たにスクリーニングしたユウペニシリウム ブレフェルディアム APC-9315から著量の本発明のASODが生産される。
【0049】
ユウペニシリウム属に属する菌株を用いて新規なASODを製造するための菌株の培養法としては、液体培養、固体培養のいずれでも良いが、より好ましくは液体培養が利用できる。液体培養法としては例えば、以下のようにして行うことができる。
【0050】
使用できる培地としては、新規なASODを生産する微生物が生育可能な培地であれば、如何なるものでも良い。例えば、グルコース、シュクロース、グリセリン、デキストリン、糖蜜、有機酸等の炭素源、更に硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、或いは、ペプトン、酵母エキス、コーンスティープリカー、カゼイン加水分解物、肉エキス等の窒素源、更にカリウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、リン酸塩、マンガン塩、鉄塩、亜鉛塩等の無機塩を添加したものを用いることができる。
【0051】
培地のpHは例えば約3〜9、好ましくは約5.5〜6.5程度に調製し、培養温度は通常約10〜50℃、好ましくは約25〜37℃程度で、1〜20日間、好ましくは3〜12日間程度好気的条件下で培養する。例えば振盪培養法、ジャーファーメンターによる好気的深部培養法が利用できる。
【0052】
また、固体培養法としては例えば、以下のように行うことができる。固体培養の培地としては、新規なASODを生産する微生物が生育可能な培地であればいかなるものでも良い。例えば、小麦ふすま、米、大豆、とうもろこし、稲わら、麦わら等を単独或いは2種以上混合して使用することができる。また、カリウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、リン酸塩、マンガン塩、鉄塩、亜鉛塩等の無機塩類を添加することができる。
【0053】
培地の水分含量は例えば50〜300%、好ましくは80〜120%程度に調整し、培養温度は通常10〜50℃、好ましくは25〜40℃で1〜30日間、好ましくは3〜12日間程度培養する
【0054】
得られた培養物より菌体を除去した培養ろ液又は固体培養抽出液からASODを通常の手段で単離し、本発明の新規なASODを得ことができる。
【0055】
例えば培養ろ液から、ASODを単離精製するには、硫安塩析、アルコール沈降、イオン交換樹脂を用いるクロマトグラフィー、ゲルろ過法、ヒドロキシルアパタイト吸着樹脂を用いるクロマトグラフィー等を用い常法により処理して、精製ASODを得ることができる。
【0056】
更に、より具体的に本発明を詳述する。即ち、新規なASODを生産する菌株としてユウペニシリウム ブレフェルディアム APC-9315を使用し、液体培地で培養して得られた精製した新規なASODの諸性質について以下に詳述する。
【0057】
(1) 至適pH:pH3.0〜8.0の範囲でブリトン−ロビンソン(Britton-Robinson's )緩衝液を使用し、30℃にて10分間反応させた場合の相対活性の結果を図1に示す。本酵素は、約pH6付近に至適pHを有する。
【0058】
(2) 至適温度:本酵素を100mM リン酸カリウム緩衝液(pH5.5)中で種々の温度で10分間反応させた場合の相対活性の結果を図2に示す。本酵素は、pH5.5において約37℃付近に至適温度を有する。
【0059】
(3) pH安定性:本酵素を種々のpHのブリトン−ロビンソン緩衝液中で37℃、16時間インキュベートした後の残存活性を測定した結果を図3に示す。本酵素は上記条件下で約pH3〜8の範囲で安定である。
【0060】
(4) 温度安定性:本酵素を100mM PIPES緩衝液(pH6.8)中で種々の温度で16時間インキュベートした後の残存相対活性を図4に示す。本酵素は、上記条件下で約50℃以下で安定である。
【0061】
(5) 分子量:約135,000(Sephadex G-200によるゲルろ過法)
【0062】
(6) 阻害剤:各種阻害剤と共に37℃、2時間インキュベートした後の残存相対活性を表2に示す。本酵素は、アジ化ナトリウム、ジチオスレイトール、キレート剤のジエチルジチオカルバメートで実質的に阻害されずヨード酢酸により阻害される。
【0063】
【表2】
Figure 0003732868
【0064】
(7) 金属イオンの影響:各種金属イオンの活性に及ぼす影響を表3に示す。
【0065】
【表3】
Figure 0003732868
【0066】
(8) L−アスコルビン酸に対するミハエリス定数(Km値):4.9×10-4M(分光光度法)
【0067】
(9) 基質特異性:L−アスコルビン酸を特異的に酸化し、D−アラボアスコルビン酸には実質的に作用せず、L−アスコルビン酸リン酸エステル−マグネシウム塩、L−アスコルビン酸−6−パルミテート、L−アスコルビン酸−2,6−ジパルミテート等のアスコルビン酸誘導体にも実質的に作用しない。又、ヒドロキノン、ピロガロールは基質としない。
【0068】
(10)保存安定性:50mM PIPES緩衝液(pH6.5)[0.02% デヒドロ酢酸、1mM EDT A含有]にASODを溶解し、37℃で保存し、残存相対活性を測定した。
【0069】
対照として、アクレモニウム(Acremonium)sp. HI-25由来(旭化成工業製)、キュウリ由来(天野製薬製)のASOを使用した。その結果を図5に示す。
【0070】
その結果、本発明のASODを上記条件下で保存した場合の保存安定性は極めて良好で、例えば上記条件下での1ヶ月における残存活性は少なくとも 50%であり、対照として用いた他のASOと比べ際だった特徴を有している。
【0071】
例えば、アクレモニウム sp. HI-25由来のASOは1ヶ月後の残存活性は僅か5%程度とほとんど失活している。また、キュウリ由来のASOは数日でほとんど活性を示さないほどに失活している。
【0072】
このように本願発明のASODの溶液での安定性は、特別な安定化剤を加えることなく、単独で極めて優れた安定性を有している。
【0073】
以上の結果をまとめ、更に既知酵素(アクレモニウム エスピー HI-25由来、ミロセシウム ベルカリアの胞子由来、特開平6-209770記載の酵素、キュウリ由来)と比較した結果を表4に示す。
【0074】
【表4】
Figure 0003732868
【0075】
尚、ユウペニシリウム ブレフェルディアム APC-9315以外の菌株からもASODが精製できる。得られたこれらのASODについても上記と同様にしてその性質を測定した結果、例えばEupenicillium javanicum IFO 31735、Eupenicillium alutaceum IFO 31728、Eupenicillium erubescens IFO 31734から上述と同様に培養して得られた酵素は、至適pH、至適温度、pH安定性、温度安定性、分子量、阻害剤、金属イオンの影響、L−アスコルビン酸に対するミハエリス定数(Km値)、基質特異性、保存安定性などの点で同様の性質を有していた。
【0076】
更に本発明のASODをコードする遺伝子について詳述する。目的とする遺伝子をクローニングするためには、部分アミノ酸配列により推定したオリゴヌクレオチドをプローブとして用いるハイブリダイゼーションスクリーニングや抗体を用いたイムノスクリーニングなどの通常用いられてる方法が使用できる。
【0077】
あるいはまた、精製した蛋白質、或いは酵素法・化学法による蛋白質の切断によって生じた内部ペプチドのN末端アミノ酸配列のうち、異なる2ケ所のアミノ酸配列をもとにオリゴヌクレオチドをデザインし、合成する。これらオリゴヌクレオチドをセンスプライマー、アンチセンスプライマーとしたPCR(Polymerase Chain Reaction)法により、DNA断片を得ることができる。合成オリゴヌクレオチドとしては混合物或いはイノシンを含んだものも使用できる[S.Yamaguchi et al,Gene,103巻,61頁(1991)]。得られたDNA断片をプローブとして、例えばユウペニシリウム ブレフェルディアムAPC−9315のゲノムDNAライブラリーからASOD遺伝子をDNA断片として得ることができる。
【0078】
同様にしてユウペニシリウム属の他の菌株からもASOD遺伝子を含むDNA断片を得ることができる。ユウペニシリウム属の他の菌株としては例えば表1に挙げた菌株が挙げられる。
【0079】
更に上記遺伝子をクローニングした後、イントロンを含まないcDNAを、例えばPCR法により得ることができる。PCRのプライマーには例えば、ASOD遺伝子のコード領域の開始コドンの直上流と終止コドンの直下流の塩基配列をもとにデザインし、合成したオリゴヌクレオチドを用いることができる。これらのイントロンの有無、配列及び挿入位置は、遺伝子発現系の諸要素、例えば宿主細胞の種類等に応じて当業者か容易に選択し得るものである。
【0080】
また、ASODをコードする遺伝子と当該遺伝子の発現を促進する機能を有するDNA配列を含んでなる組換えDNAを有するプラスミドは、例えば上記DNA断片を当該遺伝子の発現を促進する機能を有するDNA配列を含むプラスミドに連結することにより得ることができる。ここで、当該遺伝子の発現を促進する機能をコードするDNA配列は、使用する宿主微生物内で機能するものであれば如何なるものでも使用できる。
【0081】
本発明の上記プラスミドを有する形質転換体は、例えば当該プラスミドを糸状菌、酵母などの宿主微生物へ導入することにより、菌体内及び菌体外にASODを生産する形質転換体として得ることができる。宿主微生物としては、組み換えASODを生産する能力を有するものであればいずれでも良いが、例えばユウペニシリウム属、ペニシリウム属、アスペルギルス属、サッカロマイセス属、大腸菌、バチルス属、動物細胞などが挙げられる。
【0082】
本発明のASODをコードする遺伝子と当該遺伝子の発現を促進する機能を有するDNA配列を含んでなる組換えDNAを有する上記形質転換体の培養及び培養物からのASODの製造法としては、例えばユウペニシリウム属からのASODの製造法と同一の方法が適用できる。
【0083】
即ち、本発明によりASODをコードする遺伝子と当該遺伝子の発現を促進する機能を有するDNA配列を含んでなる組換えDNAを有する微生物を培養することにより培養物よりASODを採取することが可能となる。
【0084】
本発明において臨床検査用試薬組成物とはパーオキシダーゼを用いた過酸化水素と色原体との共役反応を用いて生体成分の測定を行う臨床検査用試薬組成物をいう。当該試薬組成物において、本発明のASODを用い、試料中のL−アスコルビン酸の影響を回避することができる。本発明のASODは各種の臨床検査用試薬に適用できるが、特に本発明のASODが至適pHが中性付近に有することより、中性付近で多く行われる各種生体成分の測定に好適に利用できる。
【0085】
例えばコレステロール、中性脂肪、遊離脂肪酸、リン脂質、尿酸、クレアチニン、無機リン、シアル酸の測定など、パーオキシダーゼの存在下で過酸化水素と色原体との酸化縮合反応を利用する測定系にはすべてに適用できる。その場合、本発明のASODの使用量は対象とする試料中のL−アスコルビン酸の濃度及び測定系のスケールにもよるが、通常0.1〜100単位/assay使用される。例えば、0.4ml系での反応では0.5〜10単位/assay、好ましくは1〜5単位/assayが使用される。
【0086】
更に、本発明のASODは保存安定性の項で示したように既存のASOと比較して溶液の安定性の点で非常に優れている。よって、臨床検査用試薬が液状化試薬として使用される場合には安定性の面で非常に有利である。即ち、従来のASOは安定性が劣っているため、試薬の保存期間中の失活のため、大過剰の添加が必要となるために、結果としてコストが高くつき、さらには夾雑する物質の影響を受けやすくなるという欠点を有することとなる。
【0087】
また、上記臨床検査用測定試薬は、保存中の腐敗防止のためアジ化ナトリウムを使用することが多い。植物由来或いは、Acremonium sp. HI-25由来のASOはアジ化ナトリウムにより活性が阻害されるため、防腐剤の使用法に工夫を必要とする。
【0088】
本発明の新規ASODは、アジ化ナトリウムによる活性阻害は認められず、この点においても優位性を示す。
【0089】
本発明のASODの触媒する反応は過酸化水素を生ずるが、これは、例えばパーオキシダーゼ存在下、4-アミノアンチピリン又はその誘導体或いはフェノール系化合物又はN,N-ジ置換アニリン系化合物の縮合反応により、或いはカタラーゼを共存させることにより消去することができる。
【0090】
現在多くの臨床検査試薬は、例えば2試薬系の第1試薬で内在生の妨害物質消去のため、過酸化水素の消去系を備えており、ASODの酸化反応により生ずる過酸化水素は各種生体成分の測定値に影響はない。
【0091】
このように、本発明の新規なASODは従来のASOと比較して、保存安定性が非常に優れていること、アジ化ナトリウムによって阻害されないこと、中性付近に至適pHを有していること等より臨床検査用試薬への添加量を少なくすることができ、その結果としてコストの削減や夾雑物質の影響を回避することも容易となる。
【0092】
更に従来のASOは4−アミノアンチピリンとフェノールに代表される水素供与体の縮合反応の触媒能を有しており、生体成分を酸化酵素/パーオキシダーゼ系で測定する際、試薬ブランクが上昇するという問題があった。
【0093】
本発明のASODは既存の植物、或いは微生物由来のASOと比較してこの試薬ブランクが低値を示すことにより、生体成分の酸化酵素/パーオキシダーゼ系での測定により好適に利用できる。
【0094】
また、本発明のASODは食品用にも使用される。例えば、食品にL−アスコルビン酸が十分に含まれる場合には、本発明のASODを添加する。また、十分に含まれない又は含まれない食品に対してはL−アスコルビン酸若しくはその塩などと本発明のASODを添加する。このことによってASODによってL−アスコルビン酸が酸化され食品中の酸素が消費され、食品の劣化を防ぐことができる。
【0095】
また、同じように食品中にL−アスコルビン酸とASODを共存させることにより食品中にデヒドロアスコルビン酸を生成させ、魚畜肉製品、水産練り製品の品質を高めることができる。即ち、これらの製品の品質を決定する重要な因子である粘着性やあし(のび)と呼ばれる弾力性を蛋白質中のSH基をS−S結合させることにより改善することができる。
【0096】
上記のような食品に対する使用量としてはg当たり0.001単位以上であり、好ましくは0.01単位が使用されうる。また、食品中のL−アスコルビン酸が不足する場合にはL−アスコルビン酸又はその塩を添加することもできその場合には食品に対して0.01〜1.0重量%程度が添加される。
【0097】
上記のように食品に対して本発明のASODを使用すると食品中に過酸化水素が生成するが、この過酸化水素は加熱工程を含む食品製造においては分解され、必要に応じてカタラーゼ等を用いて分解することも可能であり、食品安全面でも使用に問題はない。
【0098】
本発明のASODは、従来のASOと異なり、L−アスコルビン酸に作用してL−アスコルビン酸1モルから過酸化水素1モルを生成する反応を触媒する。この性質を利用して生成する過酸化水素を測定することにより食品中或いは生体成分中のL−アスコルビン酸濃度を測定することができる。
【0099】
過酸化水素の測定にはパーオキシダーゼ存在下、4−アミノアンチピリンとフェノール等の水素供与体との縮合反応の利用、又はメタノール存在下、カタラーゼを作用させ生成するホルムアルデヒドをホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼを用いて測定する方法、過酸化水素電極を用いて測定する方法等が挙げられる。
【0100】
又、アスコルビン酸の還元力を利用したアスコルビン酸測定系において既存のASOと同様にブランク側の反応に利用することもできる。
【0101】
尚、本発明においてASOD活性の測定方法は以下に示す通りである。
10mM Na2HPO4 0.5ml,1mM EDTAを含む0.2M KH2PO4 0.45ml、試料 0.1mlを混合し、30℃,5分間プレインキュベートする。1mM EDTAを含む0.001N HClにL−アスコルビン酸を10mMになるように溶解した基質 0.05mlを添加し、30℃,10分間インキュベーションを行った。0.2N HCl 3.0mlの添加で反応を停止し、245nmにおける吸光度の減少を測定する。
【0102】
ASODの1単位は、1分間にL−アスコルビン酸を1μmol分解する酵素量である。
【0103】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明する。実施例に使用したプラスミドなどは一例として挙げたものであり、本発明に使用できるものであればこれらに限定されるものではない。また本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術分野における通常の変更をすることができる。
【0104】
【実施例】
実施例1 ユウペニシリウム ブレフェルディアム APC-9315 の培養
グリセロール 2%(W/V)、ポリペプトン 1%(W/V)、魚肉エキス(和光純薬工業社製)2%(W/V)、K2HPO4 0.2%(W/V)、MgSO4・7H2O 0.01%(W/V)、アデカノール(旭電化工業社製)0.001%(W/V)、pH6.0よりなる培地20Lを30L容のジャーファメンターに仕込み、121℃で30分間殺菌した。他方、同組成培地を用い、500ml容坂口フラスコで37℃,3日間予め振盪培養しておいたユウペニシリウム ブレフェルディアム APC-9315(FERM BP-5053)の培養液100mlを前記培地に無菌的に植菌し、37℃で6日間通気攪拌培養(200rpm、ジャー培養の通気量:1vvm)した。培養ろ液のASOD活性は0.15unit/mlであった。
【0105】
実施例2 ASODの精製
実施例1で得られた培養物を東洋ろ紙 No.2を用いてろ別し、培養ろ液12Lを得た。限外ろ過のモジュールを用いて1L迄濃縮し、この濃縮液に1.5倍量の冷エタノールを添加し、冷蔵室で一晩攪拌した。遠心分離により、沈殿を回収し、10mM酢酸緩衝液(pH5.0)で溶解した。
【0106】
予め、同緩衝液で平衡化させたDEAE-Sepharoseに沈殿溶解液を供し、同緩衝液で洗浄して、DEAE-Sepharose未吸着画分を回収した。この画分を予め20mM酢酸緩衝液(pH4.4)で平衡化させたS-Sepharoseに供し、同緩衝液で十分洗浄した後、0〜200mM食塩のリニアグラジェントにて溶出させる。活性画分を回収後、限外ろ過のモジュールを用いて脱塩、濃縮する。更にこの濃縮液を同緩衝液にて平衡化させたSephacryl S-200に供し、ゲルろ過を行う。溶出してくる活性画分を回収後、限外ろ過のモジュールにて脱塩、濃縮し、凍結乾燥により粉末を得た。得られたASOD粉末の比活性は1,495unit/mgタンパク質であった。
【0107】
実施例3 酵素反応生成物の同定と化学量論
20mM酢酸緩衝液(pH5.0)中に実施例2で得られたASOD標品10UとL−アスコルビン酸(終濃度0−50mM)を混合し、攪拌しながら充分に反応させる。得られた反応液50μlと4−アミノアンチピリン(終濃度3mM)、フェノール(同1.1mM)、パーオキシダーゼ(西洋ワサビ由来:同24U)、トリトンX−100(同0.02%)を含む100mMリン酸緩衝液(pH7.0)2.95mlを混合し、37℃にて反応させたところ、501μmoleのL−アスコルビン酸の消費に伴い、516μmoleの過酸化水素の生成が認められた。
【0108】
又、メタノール存在下、生成する過酸化水素にカタラーゼを作用させ、生じたホルムアルデヒドをホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼで定量し、L−アスコルビン酸消費量と過酸化水素生成量に定量性が認められた。
【0109】
更に、同反応液中の生成物をHPLC法、ジニトロフェニルヒドロラジン比色法、o−フェニレンジアミン蛍光法によりデヒドロアスコルビン酸と同定した。蛍光法による測定の結果、61.0μmoleのL−アスコルビン酸の消費に伴い、生成するデヒドロアスコルビン酸は60.0μmoleであった。
【0110】
又、反応中の酸素消費量を酸素電極にて測定したところ10μmoleのL−アスコルビン酸の消費に伴い、9.5μmoleの酸素が消費された。
【0111】
以上の結果より、本発明のASODはL−アスコルビン酸1モルを1モルの酸素を水素受容体として酸化し、1モルのデヒドロアスコルビン酸と1モルの過酸化水素を生成する反応を触媒することが明らかとなった。
【0112】
実施例4 Eupenicillium javanicum IFO 31735 Eupenicillium alutaceum IFO 31728 及び Eupenicillium erubescens IFO 31734 の培養
これらの菌株を実施例1に従って培養し、更に実施例2に従って精製して得られたASODの比活性は各々1,356unit/mgタンパク質、1,631unit/mgタンパク質及び1,567unit/mgタンパク質であり、これらの酵素は何れもL−アスコルビン酸1モルを1モルの酸素を水素受容体として酸化し、1モルのデヒドロアスコルビン酸と1モルの過酸化水素を生成する反応を触媒する。
【0113】
実施例5 ASOD遺伝子のクローニング
(1) 菌体の取得
グリセロール−ポリペプトン培地[2%グリセロール,3%ポリペプトン,0.2% KH2PO4,0.01% MgSO4・7H2O,0.001% アデカノール (pH6.0)]にユウペニシリウム ブレフェルディアムAPC-9315(FERM BPー5053)を接種し、37℃において48時間通気攪拌培養し、培養物をろ過して菌体を得た。
【0114】
(2) 染色体DNAの調製
得られた湿菌体4gを液体窒素中で凍結し、そのまま、液体窒素及び海砂を入れた乳鉢に移し、乳棒で微細な粉末とした。
【0115】
得られた粉末を、3mgプロテイナーゼKを含む6mlのLysis緩衝液〔150mM EDTA・2Na,50mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0),1%ザルコシン〕に懸濁後、65℃,5分間処理し、遠心分離により上清を得た。
【0116】
これに30μlのRNase A(10mg/ml)を加え、37℃、20分処理してRNAを分解した後、1倍量のフェノール、1倍量のフェノール:クロロホルム(1:1)及び1倍量のクロロホルム:イソアミルアルコール(24:1)でそれぞれ1回ずつ抽出した後、エタノール沈降により得た沈殿を2mlのTE〔150mM EDTA・2Na,50mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)〕に溶解した。更に2.2mlの20%ポリエチレングリコール8000-2.5M NaClを加え、混合後、生じた沈殿物を遠心により集め、0.2mgの染色体DNAを得、TEに溶解した。
【0117】
(3) mRNAの調製
シグイン(Chigwin)等の方法〔Biochemistry、18巻、5294頁(1979)〕に従って全RNAを得た。即ち(2)で得た粉末の半分量を20mlのGTC液(6Mグアニジンチオイソシアネイト、5mMクエン酸ナトリウム、8.5%ザルコシン、0.1M β−メルカプトエタノールを含有)に懸濁し、10,000×g、15分の遠心分離により、菌体破片及び海砂を除いた。
【0118】
得られた上清を、超遠心分離用チューブ中、5.7Mの塩化セシウム溶液上に重層し、33,000rpm、25℃、18時間の条件で超遠心分離して、沈澱物を得た。この沈澱物を水に溶解し、0.025倍量の1N−酢酸及び0.5倍量の冷エタノールを加え、混合後、生じた沈澱物を遠心により集め、水に溶解し、不純物を遠心により除去して全RNAを得た(約10mg)。この内の4mgをmRNAを選択するために、オリゴ(dT)セルロース−スパン−カラムキット(ファルマシア社製)に供し、mRNA画分(80μg)を得た。
【0119】
(4)遺伝子ライブラリーの作成
(2)で得られた全DNAをBglIIで分解する。分解されたDNAを子牛の腸由来のアルカリフォスファターゼ(ベーリンガー社製)を用いて脱リン酸し、Fricshaufらの方法〔J.Mol.Biol.170巻、827−842頁(1987)〕に従って、λDASHII(Stratagene社製)のBam HIサイトにライゲートした。
【0120】
ライゲーション混合物はインビトロでパッケージし、E.Coli XL1−Blue MRA(P2)(Stratagene社製)にトランスフェクションした。その結果、3.8×10のインデペンデントクローンよりなるライブラリーが作成できた。
【0121】
(5) ASODの部分アミノ酸配列の決定
実施例2で得られた精製ASODタンパク質をエンドグリコシダーゼH処理し糖鎖を除去した。糖鎖除去ASODをSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した後、PVDF(Polyvinylidene difluoride)膜(MILLIPORE社製)に電気的にブロッティングした。クマシーブリリアントブルー R-250で染色されたASODのバンドを切り出し、エドマン法によるアミノ酸配列自動分析装置(アプライド バイオシステムズ社製)を用いてN末端からのアミノ酸配列(配列番号:1)を決定した。
【0122】
次いで、糖鎖除去ASODを公知の方法〔タンパク質 一次構造(新生化学実験講座 第一巻)、92頁、日本生化学会編 (1990)〕に従って、N−ヒドロキシルアミンにより分解した。ペプチド断片混合液を上述したと同様の方法でPVDF膜にブロッティングし、クマシーブリリアントブルー R-250で染色された一つのペプチド(ペプチドD)のバンドを切り出し、同様の方法でペプチドDのN末端アミノ酸配列(配列番号:2)を決定した。
【0123】
次いで得られた糖鎖除去ASOD[3mg/ml,100mM リン酸緩衝液(pH8.0)]にリジルエンドペプチターゼ(Takara社製)を添加し、37℃,18時間反応させて分解した。分解物をピュアシル(Puresil)C18カラム(商品名:Waters Chromatography社製)を用いて逆相HPLC法により精製した。ペプチド流量は1.0ml/分,0.05%トリフルオロ酢酸中で0〜80%アセトニトリルの直線勾配により溶出した。
【0124】
約34分のリテンション時間に溶出するペプチド(ペプチドL-34)と約39分に溶出するペプチド(ペプチドL-39)を分離し、エドマン法によりそれぞれのN末端からのアミノ酸配列(配列番号:3及び配列番号:4)を決定した。
【0125】
(6) PCR法に用いたプライマーDNAの合成
(5)で決定されたASODタンパク質のN末端部位のアミノ酸配列の3番目のプロリンから10番目のグリシンに対応する塩基配列を予想し、オリゴヌクレオチドを合成した。このオリゴヌクレオチドをPCRのセンスプライマーとした。センスプライマーの配列を以下に示す。
【0126】
Figure 0003732868
【0127】
同様にして、(5)で決定されたペプチドDのN末端からのアミノ酸配列の6番目のプロリンから13番目のアスパラギン酸に対応する塩基配列を予想し、オリゴヌクレオチドを合成した。このオロゴヌクレオチドをPCRのアンチセンスプライマーとした。アンチセンスプライマーの配列を以下に示す。
【0128】
Figure 0003732868
【0129】
合成したDNAはそれぞれ20μMの濃度になるようにTEに溶解した。
【0130】
(7) ASOD遺伝子を含有する部分DNA断片の取得
ASODを含む特定のDNA領域を、PCR法によって、単離増幅した〔Saiki, R. F. et al., Science、230巻、1350−1354頁(1985)〕、Mullia, K. B. 及びFaloona,F. A., Methods in Enzymology、155巻、335−350頁(1987)〕。
【0131】
(a) PCR法によるDNA断片の増幅
反応は、Gene AmpTM kit(パーキンエルマージャパン社製)を用い、同社のDNA Thermal Cycler(DNA増幅装置)により行った。反応溶液の組成は以下の通りである。
【0132】
Figure 0003732868
Figure 0003732868
【0133】
上記の反応液100μlを混合し、ミネラルオイル(Sigma社製)100μlを加えた。次に反応液の入ったチューブをDNA Thermal Cyclerにセットし、以下の条件で反応を行った。
【0134】
94℃ 45秒
45℃ 1分
72℃ 2分
【0135】
この条件下で反応を30サイクル行った後、更に72℃で5分間インキュベートした。
【0136】
(b) 増幅されたDNAの回収
反応後、ミネラルオイルを除き、100μlのクロロホルムを加え、混合し、 15,000回転/分、2分間の遠心分離(トミー精工社製)を行い、上清を100μl回収した。このうち5μlを用い、1%アガロース電気泳動で回収されたDNAのサイズと量を確認した。その結果約400bpのDNA断片が約2μg増幅されていることが判った。
【0137】
残りの95μlを1%低融点アガロース電気泳動にかけ、約400bpに相当するバンドを切り出し、65℃で溶かした後、1倍量のフェノールを加え混合し、遠心後、水層部分をさらにフェノール/クロロホルム及びクロロホルムで順次処理した後、水層に3M酢酸ナトリウムを0.1倍量、エタノールを2倍量添加し、−80℃で15分間置いた。次に15,000回転/分、10分間、4℃の遠心後、沈澱を20μlのTEに溶かした。この操作で約1μgのDNA断片が回収された。
【0138】
このDNA断片にT4DNAポリメラーゼを作用させて両末端を平滑化し、pUC19のSmaIサイトにサブクローニングし、プラスミドpAS01を得た。このプラスミドを2本鎖のままポリエチレングリコールにより精製し、アルカリで変性させた後、シーケナーゼシステム(USB社製)を用いて、デオキシヌクレオチドチェーンターミネーション法により5’−及び3’−部位の塩基配列を決定した。
【0139】
その結果、5'-及び3'-部位の塩基配列は部分ASODのN末端の4位〜 20位のアミノ酸配列及びペプチドDの1位〜13位のアミノ酸配列をコードする塩基配列とそれぞれ完全に一致した。
【0140】
このフラグメントは全長のゲノムDNAクローンを分離するための遺伝子ライブラリーのスクリーニングにおいてプローブとして使用した。
【0141】
(8) ASOD遺伝子を含有するファージの分離
(7)(b)で得られた400bpのPCRによる生産物をマルチプライムDNAラベリングシステム(アマシャム社製)を用いて[α-32P]dCTPでラベルし、これをプローブとしてユウペニシリウム ブレフェエルディアムAPC-9315からの7.5×104のインデペンデントファージからなる遺伝子ライブラリーからASOD遺伝子を有するファージをスクリーニングした。
【0142】
即ち、プラークをナイロン膜Hybond N+(アマシャム社製)にリフティングし、アルカリ固定した後、このフィルターと上記のラベルした400bpのDNA断片をハイブリダイズさせた。
【0143】
その結果、14個のプラークがプローブにハイブリダイズした。それらのプラークから分離した14個の組換え体ファージを制限酵素地図とサザンブロッティングによって分析した。
【0144】
これらのファージにはすべてに共通して、400bpのPCR生成物と強くハイブリダイズする18kbp BglII及び4.2kbp EcoRIの各フラグメントを有していた。
【0145】
(9) ASOD遺伝子を含有するDNA断片の塩基配列の決定
4.2kbp EcoRI断片をpUC19のEcoRIサイトにサブクローニングし、4.2kbp EcoRI断片が互いに逆方向に挿入されたプラスミドpASO3およびpASOR3を作成した。この4.2kbp EcoRI断片の制限酵素地図を図6に示す。
【0146】
この両プラスミドをエキソヌクレアーゼIII、なた豆のヌクレアーゼを用いていくつかの欠失プラスミドを作成し、それらのプラスミドについて、(7)(b)に記載の方法で塩基配列を決定した。決定した塩基配列から予測されるアミノ酸配列には、精製したASODのN末端から決定した20残基のアミノ酸配列、ペプチドDの20残基のアミノ酸配列、及びペプチドL-34,L-39の各12残基のアミノ酸配列が完全に含まれていた。ここで、図6中の*印をつけたSalI切断部位から下流のの塩基配列は配列番号:5に示すとおりであった。
【0147】
成熟ASODのN末端アミノ酸は*印をつけたSalI切断部位の塩基配列がコードするValであった。この成熟ASODのN末端アミノ酸であるValの上流に、プレプロ領域と推定されるMetから始まる18アミノ酸残基が見られた。図6の矢印はこのMetからASODのC末端アミノ酸までをコードするDNA領域を示す。
【0148】
(10) cDNA断片の単離
(a) PCRのための鋳型1本鎖cDNAの合成
(3)で得られたmRNA(1μg)から下記の組成液20μl中で1本鎖cD
NAを調製した。
【0149】
Figure 0003732868
【0150】
(b) PCR法によるcDNAの増幅
(10)(a)で得られた1本鎖cDNAを鋳型として、(7)(a)で述べたPCR法により増幅した。尚、センスプライマーとして、
【0151】
EX-1: 5'-ATT CTA GAC ATC ATG CGT TCC TAT ACT TTG-3'
【0152】
アンチセンスプライマーとして、
【0153】
B-1 : 3'-CGT TGG CTC ACA ACA ACT ATC CTA GGT G-5'
【0154】
の各オリゴヌクレオチドをDNA合成機を利用して合成した。これらの塩基配列は4.2kbp EcoRI断片中のASOD遺伝子のコード領域の開始コドンの直上流と終始コドンの直下流の塩基配列を部分的に決定し、これらの配列情報をもとにデザインした。
【0155】
PCRの結果、約1.0kbpのcDNA断片が得られた。この断片をXbaI/BamHI消化後、pUC19のXbaI/BamHIサイトにサブクローニングしてpAXB1を得た。この約1.0kbpのXbaI/BamHI断片の制限酵素地図を図7に示す。ここで両端のXbaI,BamHI両サイトはcDNAのクローニングに用いたPCRプライマーの塩基配列由来である。このDNA断片について(5)に従い塩基配列を決定した。開始コドンから終始コドンまでの塩基配列は、例えばEco47III部位近傍に見られたイントロンの配列以外は、ゲノム遺伝子の塩基配列と一致した。
【0156】
(11) ASOD発現カセットの構築
(10)で得たpAXB1を制限酵素XbaIおよびBamHIで処理後、分解混合物を1%低融点アガロース電気泳動に供し、約1.0kbpのDNA断片を単離、精製した。このDNA断片をpY1(特開平6-245777)のXbaI/BamHIサイトにクローニングし、pAC1を得た。(図8)
【0157】
実施例6 ASOD遺伝子の酵母サッカロマイセス セレビシエでの発現
実施例5の(11)で得られたpAC1をHindIIIで部分消化後、分解混合物を1%低融点アガロース電気泳動に供し、ASODの発現カセットである約2.1kbpのDNA断片を単離、精製した。このDNA断片をサッカロマイセス セレビシエの選択マーカーとなるLeu2遺伝子を有する形質転換プラスミドpL1(Biosci. Biotech. Biochem., 56, 315-319 (1992))のHindIIIサイトに連結し、pLAC1を得た(図9)。
【0158】
このpLAC1を用いて、サッカロマイセス セレビシエSHY2株(ATCC 44770)を、伊藤らの方法〔J. Bacteriol.,153巻、163-168頁(1983)〕により形質転換した。得られた形質転換体をPYGal培地(2%ガラクトース、2%ポリペプトン、1%酵母エキス)50mlにて30℃、3日間振とう培養した。
【0159】
得られた培養上清液について、ASOD活性を測定したところ、ASOD活性はプラスミドpLAC1を有する形質転換体の場合、0.3U/mlであった。対照として選択マーカー遺伝子を有するプラスミドpL1のみによる形質転換株を用い、上記と同様にして培養し、ASOD活性の測定を行ったところ、活性は検出されなかった。
【0160】
また、これらの形質転換体の培養ろ液について、実施例5の(6)に従って糖鎖除去後、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びウエスタンブロッティング解析を行った。ウエスタンブロッティング解析には、精製ASODを用いてウサギで作製した抗ASOD抗体を用いた。その結果、pLAC1による形質転換体の場合にのみ、ASODと同様の分子量のタンパク質のバンドが検出され、このタンパク質がASODに対する抗体と反応することを確認した。
【0161】
実施例7 ASOD遺伝子のペニシリウム カマンベルチィーでの発現
ペニシリウム カマンベルチィーの選択マーカーとなるハイグロマイシンB耐性遺伝子を有する形質転換プラスミドpH1(特開平6-245776記載の方法で製する)を制限酵素HindIIIで処理後、分解混合液を1% 低融点アガロース電気泳動に供し、ハイグロマイシンB耐性遺伝子を含む約2.2kbp DNA断片を単離、精製した。このDNA断片の両末端をT4DNAポリメラーゼにより平滑化した後、実施例5の(11)で得た組換えプラスミドpAC1の制限酵素SspIサイトにクローニングし、pHAC1を得た(図10)。
【0162】
次にこのpHAC1を用いて、ペニシリウム カマンベルチィーを、特開平6-245776に記載の方法に準じて形質転換した。選択培地に生育してきた形質転換体を大豆油培地(3%大豆油、0.5%酵母エキス、0.3%NaNO3、0.1%K2HPO4、0.05%KCl、0.05%MgSO4・7H2O、0.001%FeSO4・12H2O)100mlにて30℃、7日間振とう培養した。
【0163】
得られた培養液について、ASOD活性を測定したところ、ASOD活性はpHAC1による形質転換株の場合14.9U/mlであった。選択マーカー遺伝子を有するプラスミドpH1のみによる形質転換株を用い、上記と同様にして培養及びASOD活性の測定を行ったところ、活性は検出されなかった。
【0164】
また、これらの形質転換体の培養ろ液について、実施例5の(6)に従って糖鎖除去後、実施例6と同様にSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びウエスタンブロッティング解析を行ったところ、pHAC1による形質転換体の場合にのみ、ASODと同様の分子量のタンパク質のバンドが検出され、このタンパク質がASODに対する抗体と反応することを確認した。
【0165】
実施例8 ASOD遺伝子のアスペルギルス オリゼでの発現
アスペルギルス オリゼの選択マーカーとなるniaD遺伝子を有する形質転換プラスミドpSTA14(Mol. Gen. Genet.,218巻、99-104頁(1989))を制限酵素HindIII処理後、分解混合液を1% 低融点アガロース電気泳動に供し、niaD遺伝子を含む約5.5kb DNA断片を単離、精製した。このDNA断片の両末端をT4DNAポリメラーゼにより平滑化した後、実施例5の(11)で得た組換えプラスミドpAC1の制限酵素SspIサイトにクローニングし、プラスミドpNAC1を得た(図11)。
【0166】
このpNAC1を用いて、アスペルギルス オリゼA01.1株(Mol. Gen. Genet.、218巻、99-104頁(1989))を、Unklesらの方法(Mol. Gen. Genet.、218巻、99-104頁 (1989))に準じて形質転換した。選択培地に生育してきた形質転換体を実施例7と同様の方法で培養した。
【0167】
得られた培養ろ液について、ASOD活性を測定したところ、ASOD活性はpNAC1による形質転換株の場合2.0U/mlであった。選択マーカー遺伝子を有するプラスミドpSTA14のみによる形質転換株を用い、上記と同様にして培養及びASOD活性の測定を行ったところ、活性は検出されなかった。
【0168】
また、これらの形質転換体の培養ろ液について、実施例5の(6)に従い糖鎖除去後、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びウエスタンブロッティング解析を行ったところ、pNAC1による形質転換体の場合にのみ、ASODと同様の分子量のタンパク質のバンドが検出され、このタンパク質がASODに対する抗体と反応することを確認した。
【0169】
実施例9 ASOD遺伝子のアスペルギルス ニガーでの発現
実施例7に記載したpHAC1を用いて、アスペルギルス ニガーを特開平6-245776に記載の方法に準じて形質転換した。ただし重層するソフトアガー中のハイグロマイシンB濃度は307.5μg/mlとした。選択培地に生育してきた形質転換体を実施例7と同様の方法で培養した。
【0170】
得られた培養ろ液について、ASOD活性を測定したところ、ASOD活性はpHAC1による形質転換株の場合0.2U/mlであった。選択マーカー遺伝子を有するプラスミドpH1のみによる形質転換株を用い、上記と同様にして培養及びASOD活性の測定を行ったところ、活性は検出されなかった。
【0171】
また、これらの形質転換体の培養ろ液について、実施例5の(6)に従って糖鎖除去後、実施例6と同様にSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びウエスタンブロッティング解析を行ったところ、pHAC1による形質転換体の場合にのみ、ASODと同様の分子量のタンパク質のバンドが検出され、このタンパク質がASODに対する抗体と反応することを確認した。
【0172】
実施例10 ASOD遺伝子のユウペニシリウム ブレフェルディアムでの発現
ユウペニシリウム ブレフェルディアムの選択マーカーとなるフレオマイシン耐性遺伝子を有する形質転換プラスミドpUT720を制限酵素EcoRI及びXbaIで処理後、分解混合液を1% 低融点アガロース電気泳動に供し、フレオマイシン耐性遺伝子を含む約3.1kbp DNA断片を単離、精製した。このDNA断片の両末端をT4DNAポリメラーゼにて平滑化し、実施例5の(11)で得た組換えプラスミドpAC1の制限酵素SspIサイトにクローニングし、プラスミドpPAC1を得た(図12)。
【0173】
次にこのpPAC1を用いて、ユウペニシリウム ブレフェルディアムAPC-9315株(FERM BP-5053)を以下の方法で形質転換した。
【0174】
ユウペニシリウム ブレフェルディアムの胞子懸濁液(2×108)100μlを100mlのぶどう糖−ペプトン培地(栄研化学社製)に接種し37℃、48時間振とう培養後、培養物をろ過し菌体を集めた。この菌体を10mlのプロトプラスト化緩衝液[1.2Mソルビトール,10mM リン酸緩衝液(pH6.0)]に懸濁し、ろ過することにより洗浄菌体を集めた。
【0175】
この洗浄菌体を5mg/mlのライジング エンザイム(Sigma Product number L-2265,Sigma社製)を含むプロトプラスト化緩衝液に懸濁し、30℃で2時間振とう後、ガラスフィルター3G2でろ過し、ろ液を2000rpm,5分間の遠心分離に供し沈澱物を得た。この沈澱物をソルビトール溶液[1.2Mソルビトール,50mM CaCl2,10mM トリス塩酸緩衝液(pH7.5)]に懸濁し、沈澱物を回収した。この操作を再度繰り返し、プロトプラストを沈澱物として回収した。
【0176】
沈澱物にプロトプラスト濃度が2×108/mlとなるようにソルビトール溶液を加え、懸濁し、プロトプラスト溶液を得た。プロトプラスト溶液50μlに、4μlのpPAC1溶液(1μg/μl)、6.25μlのPEG溶液[50% PEG4000,50mM CaCl2,10mM トリス塩酸緩衝液,(pH7.5)]を加え混合後、氷上に30分間静置した。次に0.5mlのPEG溶液を加え、更に1mlのソルビトール溶液を加え混合した。
【0177】
この混合液300μlを17mlの1.5%アガロースを含むPD[2.4%ポテト−デキストロース−ブロス(Difco社製)]からなるプレートにのせ、更に予め48℃に保温しておいた0.7%アガロースを含むPD3mlを重層し、30℃、24時間放置後、1.54mg/mlのフレオマイシン(CAYLA社製)、0.7%アガロースを含むPD3mlを重層し、30℃、4日間放置し、プレート上に出現したコロニーを1.5%アガロースを含むPDスラント培地に植え継ぎ、形質転換株として保存した。
【0178】
選択培地に生育してきた形質転換株を2×グリセロール−ポリペプトン培地[4%グリセロール,6%ポリペプトン,0.4% KH2PO4,0.02% MgSO4・7H2O,0.001% アデカノール (pH6.0)]100mlに接種し、37℃、6日間振とう培養した。
【0179】
得られた培養液について、ASOD活性を測定したところ、ASOD活性はpPAC1による形質転換株の場合18.5U/mlであった。選択マーカー遺伝子を有するプラスミドpUT720のみによる形質転換株を用い、上記と同様にして培養及びASOD活性の測定を行ったところ、活性は1.8u/mlであった。
【0180】
また、これらの形質転換体の培養ろ液について、実施例5の(6)に従って糖鎖除去後、実施例6と同様にSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びウエスタンブロッティング解析を行ったところ、pPAC1による形質転換体、対照のpUT720による形質転換体ともに、ASODと同様の分子量のタンパク質のバンドが検出され、このタンパク質がASODに対する抗体と反応することを確認した。また、pPAC1による形質転換体のシグナルはpUT720による形質転換体に比べ約10倍強いシグナルが得られた。
【0181】
実施例11 ASOD遺伝子のユウペニシリウム ブレフェルディアムでの発現
実施例5の(9)で得られたpASO3をEcoRIで消化後、分解混合物を1%低融点アガロース電気泳動に供し、ASOD遺伝子を含む約4.2kbpのDNA断片を単離、精製した。このDNA断片をユウペニシリウム ブレフェルディアムの選択マーカーとなるフレオマイシン耐性遺伝子を有するpUT720(CAYLA社製)のEcoRIサイトにクローニングしpASOE1を得た(図13)。
【0182】
このpASOE1を用いて、ユウペニシリウム ブレフェルディアムAPC-9315株を実施例10に従って形質転換した。
【0183】
形質転換株はいずれも、300μg/mlのフレオマイシンを含む培地においても良好に生育したのに対し元株であるユウペニシリウム ブレフェルディアムAPC-9315は40μg/ml以上のフレオマイシンを含む培地では生育不能であった。この形質転換株が獲得したフレオマイシン耐性の性質は2回の単胞子分離後も安定に保持されていた。
【0184】
形質転換株を実施例10記載の方法で培養した。得られた培養ろ液について、ASOD活性を測定したところ、ASOD活性は、プラスミドpASOE1を有する形質転換体の場合、25.8U/mlであった。また、選択マーカー遺伝子を有するプラスミドpUT720のみによる形質転換株を用い、上記と同様にして培養及びASOD活性の測定を行ったところ、活性は1.4U/mlであった。
【0185】
また、これらの形質転換体の培養ろ液について、実施例5の(6)に従って糖鎖除去後、実施例6と同様にSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びウエスタンブロッティング解析を行ったところ、pASOE1による形質転換体、対照のpUT720による形質転換体ともに、ASODと同様の分子量のタンパク質のバンドが検出され、このタンパク質がASODに対する抗体と反応することを確認した。また、pASOE1による形質転換体のシグナルはpUT720による形質転換体に比べ約18倍強いシグナルが得られた。
【0186】
実施例12 血中のコレステロールの測定
血清中の全コレステロールの測定の際のアスコルビン酸による干渉作用を除去するために実施例2で得られたASOD、実施例11で得られたASOD及びキュウリ由来のASOを添加し、その効果を測定した。
【0187】
Figure 0003732868
【0188】
Figure 0003732868
【0189】
ヒト管理血清(リピッドセーラムII,栄研化学製)10μlに(試薬−1)2.25mlを添加し、37℃,5分間インキュベーションした後、(試薬−2)0.75mlを添加し、更に37℃,5分間インキュベーションを行った。その後、500nmにおけるの吸光度を測定した。盲検としてヒト血清の代わりに精製水を使用した。
【0190】
【表5】
Figure 0003732868
【0191】
表5から明らかな様に、本発明のASODの添加により、キュウリ由来ASOと同様に、L−アスコルビン酸による発色阻害を防止できる。形質転換体により生産されたASODを用いても同様の結果が得られることが判る。
【0192】
実施例13 ASOD配合試薬の安定性
実施例12で調製した(試薬−1)を37℃で20日間保存し、用時調製した(試薬−2)を用いて実施例4と同様にしてコレステロールの定量を行った。その結果、キュウリ由来のASOを用いた場合と比べ明らかに本発明のASODを用いた試薬は安定性に優れている。同様に実施例11により得られたASODを用いて調製した試薬についてもその安定性は優れている。
【0193】
【表6】
Figure 0003732868
【0194】
実施例14 血中のトリグリセライドの測定
血清中のトリグリセライド測定の際のアスコルビン酸による干渉作用を除去するために実施例2で得られたASODを添加し、その結果を測定した。
【0195】
Figure 0003732868
【0196】
Figure 0003732868
【0197】
ヒト管理血清(リピッドセーラムII,栄研化学)27μl、L−アスコルビン酸(50mg/ml)3μlに試薬1(2.25ml)を添加し、37℃、5分間インキュベーションした後、試薬−2(0.75ml)を添加し、更に37℃、5分間インキュベーションを行った。その後、555nmにおける吸光度を測定した。L−アスコルビン酸の代わりに精製水を使用し、対照とした。
【0198】
【表7】
Figure 0003732868
【0199】
表7の結果から明らかなように本発明のASODにより、アスコルビン酸による発色阻害を防止できる。又、本発明のASODによるL−アスコルビン酸酸化に伴って生成する過酸化水素は測定値に影響しないことがわかる。同様に実施例11により得られたASODを用いて調製した試薬を用いても測定値には影響しないことを確認した。
【0200】
実施例15 L−アスコルビン酸の定量
種々の濃度のL−アスコルビン酸を含む20mM酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)10μlに本発明のASOD 40μl(0.5U)を添加し、37℃、10分間反応し、L−アスコルビン酸を完全にデヒドロアスコルビン酸に変換する。
【0201】
次いで、3mM 4−アミノアンチピリン、1mM フェノール、8U/ml パーオキシダーゼを含む100mM リン酸緩衝液(pH7.0)2.95mlを添加し、37℃、5分間反応させ、L−アスコルビン酸の酸化反応の際に生じる過酸化水素量を4−アミノアンチピリンとフェノールの酸化縮合色素の505nmにおける吸光度にて測定した。その結果を図14に示す。
【0202】
図において横軸はL−アスコルビン酸濃度(mM)を縦軸は505nmにおける吸光度値を示す。図14より被検液のL−アスコルビン酸含有量と吸光度の比例関係を利用して被検液中のL−アスコルビン酸量を良好に測定できることが明らかである。また、実施例11で得られた酵素を用いても同様の結果が得られた。
【0203】
実施例16 食品中のアスコルビン酸の定量
実施例15に基づき、レモン果汁中のL−アスコルビン酸量を測定した。同時にヒドラジン比色法による測定を行い、測定対照とした。
【0204】
その結果、レモン果汁100ml中に含まれるアスコルビン酸量は本発明の方法では37.0mg(実施例15の検量線より算出)、ヒドラジン比色法[(総アスコルビン酸量)−(デヒドロアスコルビン酸量)]では35.9mgであった。
【0205】
上記結果より本発明ASODを用いて食品中のL−アスコルビン酸量は良好に測定できることが明らかである。また、実施例11で得られた酵素を用いても同様の結果が得られた。
【0206】
実施例17
他のユウペニシリウム属(表1)の菌株について、及び実施例4及び実施例5〜実施例11で得られた酵素について実施例12〜実施例16と同様にして、各種測定を行った結果、同様の結果が得られた。
【発明の効果】
本発明によれば、新規なASOD及び該ASODをコードする遺伝子が提供され、該遺伝子を組み込んだ形質転換体を培養することによりASODを大量かつ安価に製造することもできる。本発明のASODを用いることによって、臨床検査試薬、特に液状試薬の製造において、干渉物質除去の目的で添加されていた既知のASOの不安定性に起因する種々の安定化剤の添加、保存期間中の失活に対する過剰添加が不要となる。即ち、更に本発明のASODは従来のASOと比較して、保存安定性が非常に優れていること、アジ化ナトリウムによって阻害されないこと、中性付近に至適pHを有していること等より臨床検査用試薬への添加量を少なくすることができ、その結果としてコストの削減や夾雑物質の影響を回避することも容易となる。
【0207】
【配列表】
配列番号:1
配列の長さ:20
配列の型:アミノ酸
配列
Val Asp Pro Ala Ala Val Tyr Asn Gly Gly Tyr Asn Ser Thr Lys 15
Asn Val Ala Leu Arg 20
【0208】
配列番号:2
配列の長さ:20
配列の型:アミノ酸
配列
Gly Ile Ala Lys Ser Pro Ala Trp Tyr Thr Trp Arg Asp His Phe 15
Leu Leu Val Gly Pro 20
【0209】
配列番号:3
配列の長さ:12
配列の型:アミノ酸
配列
Phe Thr Gln Trp Ala Ile Ser Ala Glu Gly Gln Lys 12
【0210】
配列番号:4
配列の長さ:12
配列の型:アミノ酸
配列
Asn Gly Ser Asp Pro Phe Glu Val Ala Trp Tyr Lys 12
【0211】
配列番号:5
配列の長さ:30
配列の型:核酸
配列
GTC GAC CCT GCT GCC GTC TAC AAT GGA GGG 30
Val Asp Pro Ala Ala Val Tyr Asn Gly Gly 10
【図面の簡単な説明】
【図1】ASODの至適pHを示す。
【図2】ASODの至適温度を示す。
【図3】ASODのpH安定性を示す。
【図4】ASODの温度安定性を示す。
【図5】アスコルビン酸酸化酵素の保存安定性を示すグラフである。
【符号の説明】
図中で黒丸は本願発明のASODの結果を示し、白丸はアクレモニウムsp. HI-25由来のASOを示し、白三角はキュウリ由来のASOを示す。
【図6】ASOD遺伝子を含有するDNA断片の制限酵素地図を示す。
【図7】ASODをコードするcDNAの制限酵素地図を示す。
【図8】組換えプラスミドpAC1の構築手順を示す。
【図9】組換えプラスミドpLAC1の構築手順を示す。
【図10】組換えプラスミドpHAC1の構築手順を示す。
【図11】組換えプラスミドpNAC1の構築手順を示す。
【図12】組換えプラスミドpPAC1の構築手順を示す。
【図13】組換えプラスミドpASOE1の構築手順を示す。
【図14】実施例15のL−アスコルビン酸の検量線を示す。

Claims (5)

  1. 以下の酵素化学的性質を有するユウペニシリウム(Eupenicillium)属に属する菌株より得ることができるアスコルビン酸酸化酵素。
    a. 作用、基質特異性 L−アスコルビン酸1分子と分子状酸素1分子からL−デヒドロアスコルビン酸1分子と過酸化水素1分子を生成する反応を触媒する。
    b. 分子量 135,000 (ゲルろ過)
    c. 至適pH 6.0
    d. 至適温度 40℃
    e. pH安定性 pH 3-8で90%以上残存 (37℃、16時間)
    f. 温度安定性 50℃以下で90%以上残存 (pH 6.8、16時間)
  2. ユウペニシリウム(Eupenicillium)属に属する菌株を培養し、培養物から請求項1記載のアスコルビン酸酸化酵素を採取することを特徴とするアスコルビン酸酸化酵素の製造法。
  3. 37℃、1ヶ月における溶液の残存活性が少なくとも50%であり、L−アスコルビン酸と分子状酸素からL−デヒドロアスコルビン酸と過酸化水素を生ずる反応を触媒する請求項1記載のアスコルビン酸酸化酵素を配合してなる試薬組成物。
  4. 37℃、1ヶ月における溶液の残存活性が少なくとも50%であり、L−アスコルビン酸と分子状酸素からL−デヒドロアスコルビン酸と過酸化水素を生ずる反応を触媒する請求項1記載のアスコルビン酸酸化酵素を含有して成る食品用添加剤。
  5. 37℃、1ヶ月における溶液の残存活性が少なくとも50%であり、L−アスコルビン酸と分子状酸素からL−デヒドロアスコルビン酸と過酸化水素を生ずる反応を触媒する請求項1記載のアスコルビン酸酸化酵素を含有してなるL−アスコルビン酸測定用試薬組成物。
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