JPH08238091A - 新規カルシウム結合タンパク - Google Patents

新規カルシウム結合タンパク

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JPH08238091A
JPH08238091A JP7070468A JP7046895A JPH08238091A JP H08238091 A JPH08238091 A JP H08238091A JP 7070468 A JP7070468 A JP 7070468A JP 7046895 A JP7046895 A JP 7046895A JP H08238091 A JPH08238091 A JP H08238091A
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protein
calcium
binding protein
antibody
amino acid
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JP7070468A
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Jiro Hitomi
次郎 人見
Ken Yamaguchi
建 山口
Tatsuji Kimura
達治 木村
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 新規なカルシウム結合蛋白を提供する。 【構成】 ウシに由来し、所定のアミノ酸配列を有する
カルシウム結合タンパク、その製造方法該タンパクに対
する抗体及びその利用に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、新規カルシウム結合タ
ンパク、それをコードするDNA、該カルシウム結合タ
ンパクに対する抗体、該抗体を産生するハイブリドー
マ、該抗体を含んで成る診断薬等に関する。
【0001】
【従来の技術】細胞外カルシウムイオン濃度は、細胞増
殖や分化の調節に関与していることが知られている。一
方、細胞内カルシウムイオンは、細胞内情報伝達の鍵と
なる伝達因子の一つである。このカルシウムシグナル
は、各種のカルシウム結合タンパク(CaBP)により
媒介される。カルシウム結合タンパクは、カルモジュリ
ン、トロポニンC、S100タンパクファミリーなどの
EFハンドモチーフを有するものと、アネキシンファミ
リーなどのEFハンドを持たないものとに大別できる。
これらはそれぞれ異なったそれぞれに重要な生理的役割
を担っていると推測されるが、その生理的役割は必ずし
も明らかではない。
【0002】カルモジュリンは、カルシウムイオン依存
的な細胞反応の多くを媒介し、細胞分裂に必要とされる
一般的なCaBPである。これに対し、S100タンパ
クファミリーのCaBPは細胞周期特異的または、細胞
種特異的に発現し、細胞分裂・分化の特定のシグナルの
伝達に係わっていると推測されている。S100タンパ
クファミリーには、S100α、S100β、カルサイ
クリン、MRP8、MRP14などがあり、それぞれ2
つのEFハンドモチーフを有する。このようなことか
ら、CaBPの存在、機能を調べることは細胞増殖、分
化機構の解明に重要であり、それに関連した疾患の解
明、診断及び治療に有用な知見を与えると期待される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、新規
カルシウム結合タンパク及びその製造方法、その製造の
ための遺伝子系、該タンパクに対する抗体、その利用方
法等を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、各種検体
中のカルシウム結合タンパクの検索を行い、ウシ羊水中
に多量のカルシウム結合活性を持つタンパクが存在する
ことを見いだした。さらにそのカルシウム結合タンパク
を単離精製し、実質的に純粋なタンパクを得、その全ア
ミノ酸配列、及びそれをコードするDNA配列を決定し
た。このカルシウム結合タンパクはS100タンパクフ
ァミリーに属するこれまで知られていなかった細胞外液
中に存在する新規タンパクであり、CAAF1 (Calciu
m binding protein in Amniotic Fluidl) と命名した。
【0005】さらに本発明者らは、CAAF1に対する
抗体を作製し、各種組織における該タンパクの存在を調
べ、さらにその定量的測定系を構築し、各種疾患診断薬
としてのその有用性を見いだし、発明を完成させた。従
って本発明は、配列番号:1に示すアミノ酸配列と実質
的に同一のアミノ酸配列を含んで成るカルシウム結合タ
ンパクを提供する。
【0006】本発明はまた、上記タンパクをコードする
DNA、該DNAを含んで成る発現ベクター、及び該発
現ベクターにより形質転換された宿主を提供する。本発
明はまた、ウシの羊水もしくは組織から抽出することに
よる、又は上記の宿主を用いる、前記カルシウム結合タ
ンパクの製造方法を提供する。本発明はさらに、前記カ
ルシウム結合タンパクに対する抗体、該抗体を産生する
ハイブリドーマ及び該抗体の製造方法を提供する。本発
明はさらに、前記抗体を含んで成る診断薬及び分析方法
を提供する。
【0007】
【具体的な説明】本発明のカルシウム結合タンパクは配
列番号:1に示すアミノ酸配列と実質的に同じアミノ酸
配列を含んで成る。実質的に同一とは、完全に同一であ
るか、又は1個もしくは少数個のアミノ酸において修飾
されており、且つカルシウム結合活性を維持しているこ
とを意味する。ここで修飾とは、配列番号:1に示すア
ミノ酸配列に対してアミノ酸が欠失、付加もしくは他の
アミノ酸による置換が行われているか、又はこれらの組
合わせによりアミノ酸配列が変更されていることを意味
する。
【0008】また少数個とは、例えば配列番号:1に示
すアミノ酸配列の全アミノ酸数に対して10%程度以
下、例えば10個以下、好ましくは5個以下を意味す
る。従って、本発明において配列番号:1に示すアミノ
酸配列と実質的に同じアミノ酸配列には、1〜10個、
好ましくは1〜5個のアミノ酸が付加、欠失又は置換さ
れており、なおカルシウム結合活性をもたらすアミノ酸
配列を包含する。本発明はまた、上記のごとき種々のア
ミノ酸配列を有するカルシウム結合タンパクの断片をも
含む。これらの断片は、それがカルシウム結合活性を有
するか否かに拘らず、カルシウム結合タンパクに対する
抗体の製造のための免疫原として有用である。
【0009】本発明はまた、上記のごときカルシウム結
合タンパク又はその断片と、他のタンパクとの融合タン
パクをも包含する。融合タンパクを構成するパートナー
となるタンパクとしては、グルタチオン−S−トランス
フェラーゼ、スーパーオキシドディスムターゼ、lac
Z等、任意のタンパクが挙げられる。この様な融合タン
パクは、本発明のカルシウム結合タンパク又はその断片
を組換え技法により効率よく発現させるために有用であ
る。本発明は、上記カルシウム結合タンパクおよびその
断片の誘導体に関する。
【0010】本明細書に含まれるカルシウム結合タンパ
クの誘導体は、グリコシル化変異体及び他の化学成分と
の共有又は凝集接合体を包含する。共有誘導体は該カル
シウム結合タンパクのアミノ酸側鎖、N−又はC−末端
の官能基を、当業界において良く知られている手段によ
り結合することによって調製され得る。これらの誘導体
は、カルボキシル末端又はカルボキシル基を含む残基の
脂肪族エステル又はアミド、ヒドロキシル基を含む残基
のO−アシル誘導体、及びアミノ末端又はアミノ基含有
残基、たとえばリジン又はアルギニンのN−アシル誘導
体を含有するが、但しこれだけには限定されない。アシ
ル基はアルキル成分、たとえばC3 〜C18の直鎖アルキ
ルの基から選択され、それによって、アルカノイルアロ
イル種を形成する。
【0011】主要誘導体は、他のタンパク質とCAAF
1のごときカルシウム結合タンパク又はそのフラグメン
トとの共有接合体である。これらの誘導体は、組換え培
養、たとえばN−、C−末端融合において、又は反応性
側基をとおしてのタンパク質の架橋において有用な当業
界において知られている物質の使用により合成され得
る。架橋剤とCAAF1のごときカルシウム結合タンパ
クとの好ましい反応部位は、遊離アミノ基、遊離カルボ
キシル基、炭水化物成分及びシステイン残基である。
【0012】本発明はまた、化学成分との共有又は凝集
会合による誘導体の使用にも関する。本発明のカルシウ
ム結合タンパクはまた、たとえば該カルシウム結合タン
パク測定系に利用するため、たとえばクロラミンT方法
により放射性ヨウ素化され、稀土類キレート等の蛍光成
分、又は他の検出可能基に結合、ラベルされ得る。本発
明はさらに、前記のカルシウム結合タンパク質、その断
片又はその融合蛋白質の製造方法をも提供する。
【0013】配列番号:1に示すアミノ酸配列を有する
カルシウム結合タンパクは、例えばウシの羊水又は他の
組織から単離・精製することができる。単離・精製は既
知の様々な精製法を組み合わせることにより、必要とさ
れる純度に精製することができる。精製法には、例え
ば、陽イオン交換、陰イオン交換、ゲル濾過、疎水性、
等電点、免疫アフィニティー、キレートアフィニティ
ー、逆相などの各クロマトグラフィー、塩析などの分別
沈殿等が用いられる。他の方法も可能である。
【0014】充分な純度および量の該カルシウム結合タ
ンパクを得た後、そのままプロテインシークエンサーに
より、N末端からアミノ酸配列を決定することができ
る。N末端付近以外のアミノ酸配列は、たとえばまず適
当なプロテアーゼ等により該カルシウム結合タンパクを
分解し、分解産物である部分ペプチドを、逆相クロマト
グラフィーなどの精製法により精製し、そのアミノ酸配
列をN末端から同様に決定し、その配列を組み合わせる
ことにより全体のアミノ酸配列を決定することができ
る。
【0015】このようにして全アミノ酸配列を決定する
ことができるが、それは必ずしも必要ではない。たとえ
ば下記に示す一般的方法にて、一部のアミノ酸配列から
該カルシウム結合タンパクをコードするDNAをクロー
ニングしてその塩基配列を決定し、その配列から該カル
シウム結合タンパクのアミノ酸配列を導き出すことも可
能である。
【0016】本発明のカルシウム結合タンパク及びその
断片はまた、常法に従って化学合成することもできる。
それらの方法は、Janis D.Young, Solid Phase Peptide
Synthesis. (Pierce Chemical Co., Rockford, IL, 19
84); M.Bondanszky 及びA.Bondanszky. The Practice o
f Peptide Synthesis. (Springer-Verlag. New York.19
84)並びにM.Bondanszky. The Principles of Peptide S
ynthesis. (Springer-Verlag. New York. 1984)に記載
されているような方法を包含する。
【0017】それらの全てが本明細書中に参考として含
まれる。例えば、アジド法、酸クロリド法、酸無水物
法、混合酸無水物法、活性エステル(例えば、p−ニト
ロフェニルエステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエ
ステルまたはシアノメチルエステル)法、カルボジイミ
ダゾール法、酸化−還元法、またはDCC/添加剤法を
使用することができる。固相及び溶液相合成の両方が前
記方法に適用可能である。
【0018】本発明のカルシウム結合タンパクは、ペプ
チド合成において典型的に使用されるような上記方法に
従って、通常はアミノ酸を末端アミノ酸に1つずつ順番
に縮合させることを含んで成るいわゆる段階法により、
またはペプチド断片を末端アミノ酸にカップリングさせ
ることにより、適当に調製される。正しくない位置にお
けるカップリングを防ぐために、カップリング反応で使
われないアミノ基を保護しなければならない。
【0019】固相合成を採用する場合、C末端アミノ酸
がそのカルボキシル基を通して不溶性担体または支持体
に結合される。不溶性担体はそれが反応性カルボキシル
基への結合能力を有する限り特に限定されない。そのよ
うな不溶性担体の例としては、ハロメチル樹脂、例えば
クロロメチル樹脂またはブロモメチル樹脂、ヒドロキシ
メチル樹脂、フェノール樹脂、tert−アルキルオキ
シカルボニルヒドラジド化樹脂等が挙げられる。
【0020】アミノ基が保護されたアミノ酸は、その活
性化カルボキシル基と予め形成されたペプチド鎖の反応
性アミノ基との縮合を介して順次結合され、段階的にペ
プチドが合成される。完全な配列が合成された後、不溶
性担体からペプチドが切断され、ペプチドが得られる。
この固相アプローチは、Merrifieldらにより
J.Am.Chem.Soc, 85:2149-2156 (1963)中に一般的に記載
されている。この記載は参考として本明細書中に組み込
まれる。
【0021】一般的なペプチド分離の手段、例えば抽
出、沈殿、電気泳動および様々な形態のクロマトグラフ
ィー等により、調製した該カルシウム結合タンパク又は
その断片を反応混合物から単離精製することができる。
また、遺伝子工学的方法により本発明のカルシウム結合
タンパク、その断片又はその融合タンパクを製造する事
ができる。この方法においては、所望のタンパク又はポ
リペプチドをコードするDNAを含んで成る発現ベクタ
ーにより形質転換された宿主を培養し、該培養物から目
的とするタンパク又はポリペプチドを採取する。このた
めの宿主としては、原核細胞でも真核細胞でもよい。原
核細胞は例えば細菌であり、これはグラム陽性菌でもグ
ラム陰性菌でもよい。
【0022】グラム陰性菌の例としては大腸菌(Esc
herichia coli)が挙げられ、グラム陽性
菌としては例えばバシルス・サブチリス(Bacill
ussubtilis)、バシルス・リクウエホルミス
(Bacillus liqueformis)等、宿
主として常用されているものを有利に用いることができ
る。原核性宿主としてはさらに、放細菌、例えばストレ
プトマイセス(Streptomyces)属微生物を
用いることもできる。
【0023】真核性宿主としては、下等真核細胞でも高
等真核細胞でもよい。下等真核細胞としては、例えば扱
子菌、真菌等が挙げられる。真菌としては、単細胞真菌
である酵母、又は糸状真菌が好ましい。酵母としては、
例えばサッカロミセス(Saccharomyces)
属酵母、例えばサッカロミセス・セレビシエー(Sac
charomyces cerevisiae)等が挙
げられ、糸状真菌としてアスペルギルス(Asperg
illus)属糸状菌、例えばアスペルギルス・ニガー
(Aspergillus niger)、アスペルギ
ルス・オリゼー(Aspergillus oriza
e)等、さらにはペニシリウム(Penicillu
s)属糸状菌等が用いられる。
【0024】高等真核生物宿主としては、動物でも植物
でもよい。動物性宿主としては昆虫又はその培養細胞、
哺乳類又はその培養細胞等が挙げられる。昆虫としては
典型的にはカイコ及びその培養細胞が使用され、哺乳類
としては、マウス、ラット、ハムスター、ウシ、ブタ等
又はその培養細胞、あるいはヒトの培養細胞が使用でき
る。動物細胞の具体例としては、例えばチャイニーズ・
ハムスター・卵巣細胞(CHO)、HeLa細胞、小ラ
ット腎臓細胞(BRK)、サル細胞(COS)等が挙げ
られる。
【0025】宿主が細胞である場合には、それを培養す
ることにより、宿主が動・植物の場合にはそれらを飼育
又は栽培することにより行われる。培養、飼育、栽培は
すでに確立されている常法に従って行うことができる。
培養物から、本発明のタンパクを単離・精製するには、
タンパクの単離・精製に用いられる常法を用いればよ
く、例えばウシの羊水から単離・精製する方法として前
に列挙した単離操作を適宜組合わせて行うことができ
る。
【0026】本発明のカルシウム結合タンパク又はその
断片は、それの所望の用途に依存して様々な純度におい
て得ることができる。本明細書中に開示されるタンパク
質精製技術を使って、または本明細書に記載される抗体
による免疫アフィニティークロマトグラフィーにおいて
精製を行うことができる。この免疫アフィニティークロ
マトグラフィーの概要は、本明細書中に示されている。
【0027】本発明は、例えば上記のタンパクの製造に
使用するため、本発明のタンパクをコードする遺伝子、
典型的にはDNAを提供する。このDNAは、典型的に
は配列番号:1に示す塩基配列を有するものが挙げられ
るが、それに限定されるものではなく、配列番号:1に
記載するアミノ酸配列をコードするコドンの縮重に基づ
く種々の塩基配列を有するDNAも本発明に含まれる。
さらに、上に記載した意味において、配列番号:1に記
載するアミノ酸配列と実質的に同じアミノ酸配列を含ん
で成るタンパクをコードするDNAも本発明に含まれ
る。さらには、前記のタンパク断片又は融合タンパクを
コードするDNAも本発明に含まれる。
【0028】本発明はさらに、上記の種々のDNAとハ
イブリダイズすることができる程度に相同性を有し、な
おカルシウム結合活性を有するタンパクをコードしてい
るDNAをも包含する。ハイブリダイゼーション(ある
いは相補的DNA鎖の2本鎖形成過程であるリアソシエ
ーション)に及ぼす因子は、温度、塩濃度、塩基対形成
の誤り、DNA断片の長さ、多様性、などがある。また
形成された2本鎖核酸の安定性は、融解温度(Tm,5
0%融解を起こす温度)で表わされるが、一般にプロー
ブDNAが150塩基対以上の場合、最も高いハイブリ
ダイゼーション速度が得られるTm−25℃の温度でハ
イブリダイゼーションを行うのが一般的である。
【0029】TmはプローブとDNAの塩基配列の相同
性に影響をうけるが、ハイブリダイゼーションを行う温
度として、通常68℃、50%ホルムアルデヒド存在下
では42℃が用いられることが多い。この場合のハイブ
リダイゼーションの条件としては、例えば、6XSS
C,50%ホルムアミド、5Xデンハルツ溶液、20m
M Tris−HCl,0.5%SDS,100μg/
ml変性サケ精子DNA,pH7.5溶液中、42℃、1昼
夜が用いられる。相同性の程度は好ましくは60%以
上、さらに好ましくは70%以上である。
【0030】上記のDNAを得るには、典型的には、ウ
シの組織、例えばウシの胎児食道から作製したcDNA
ライブラリーを、ウシ該カルシウム結合タンパクの部分
アミノ酸配列から設計したプローブによりスクリーニン
グすることにより得られる。こうして得られたDNA
は、例えば配列番号:1に示す塩基配列を有する。この
場合、例えば、精製した該カルシウム結合タンパクから
得られたアミノ酸配列を用いて、既知の方法により該カ
ルシウム結合タンパクをコードするDNAを単離し、そ
の塩基配列を決定することが可能である。
【0031】たとえば該カルシウム結合タンパクから得
られたアミノ酸配列を使ってPCRプライマーを推定
し、RT−PCRによりDNAプローブを合成し、次い
で該DNAプローブを用いて該カルシウム結合タンパク
のcDNAを単離できる。幾つかの標準法はMania
tisら、Molecular Cloning, A Laboratory Manual
(Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor
NY) またはF.M.Ausubelら、Biology (Gree
ne Publishing Associates. Brooklyn, NY)に記載され
ているかまたは参照されている。
【0032】cDNAが単離されれば、既知の方法によ
りその塩基配列を決定する事ができる。該塩基配列か
ら、CAAF1の一次翻訳産物のアミノ酸配列、即ち、
起こりうる翻訳後修飾前のアミノ酸配列が導き出され
る。配列番号:1に示すアミノ酸配列と同一ではないが
実質的に同じアミノ酸配列、すなわち、1〜少数個のア
ミノ酸の付加、欠失、置換等の修飾を有するアミノ酸配
列をコードするDNAは、例えば配列番号:1に示す塩
基配列を有するDNAを鋳型として用い、変異原プライ
マーにより部位特定変異誘発を生じさせることにより作
製することができる。
【0033】変異部位は予め決められているが、それは
必要条件ではない。例えば、特定の残基位置における変
異体の性質を最適化するために、標的コドンにおいてラ
ンダム突然変異誘発を行い、次いで発現されたCAAF
1変異体を所望の性質についてスクリーニングすること
ができる。既知配列を有するDNA中の予め決められた
部位に置換変異を作製する方法は当業界で公知であり、
例えばM13プライマー突然変異誘発がある。
【0034】また、前記タンパクの断片をコードするD
NAは、目的とする断片より長いタンパクをコードする
DNAを制限酵素で切断することにより、もしくはエキ
ソヌクレアーゼにより任意の長さに短縮することによ
り、または、目的とする断片より長いタンパクをコード
するDNAに翻訳開始コドン又は翻訳終止コドンを導入
することにより作製することができる。
【0035】あるいは、本発明のDNAは、常法によ
り、例えば固相合成法、例えばホスホアミダイト法、等
により化学合成することもできる。融合タンパクをコー
ドするDNAは、本発明のカルシウム結合タンパク又は
その断片をコードするDNAと、融合タンパクを構成す
るパートナータンパクをコードするDNAとを連結する
ことにより作製される。
【0036】本発明の目的上、DNA配列は互いに機能
的に関連する時それらは作用可能に連結される。例え
ば、ポリペプチドがプレタンパク質として発現されるか
または膜への該ポリペプチドの局在化もしくは該ポリペ
プチド分泌に関係するならば、プレ配列または分泌リー
ダーのDNA該ポリペプチドに作用可能に連結される。
ポリペプチドの転写を調節する場合、プロモーターがコ
ード配列に作用可能に連結される。翻訳を可能にするよ
うにコード配列が置かれる場合、リボゾーム結合部位が
コード配列に作用可能に連結される。一般に、作用可能
に連結されるとは、連続しており且つ読み枠内であるこ
とを意味する。しかしながら、或は遺伝的要素例えばリ
プレッサー遺伝子は連続的には連結されないが、発現を
調節するオペレーター配列に結合している。
【0037】本発明は、該カルシウム結合タンパクまた
はその断片をコードするDNAを発現するベクターを提
供する。発現ベクターは、通常は適当な宿主細胞中で認
識される適当な遺伝的調節要素に、作用可能に連結され
た目的遺伝子を含有する自己複製性DNAまたはRNA
構成物である。それらの調節要素は適当な宿主内での発
現に作用することができる。発現に必要な調節要素の特
定の型は、使用する最後の宿主細胞に依存するだろう。
【0038】一般に、遺伝子調節要素は原核プロモータ
ー系または真核プロモーター発現調節系であることがで
き、そのようなものとしては、転写プロモーター、転写
の開始を調節する任意のオペレーター、mRNA発現レ
ベルを高める転写エンハンサー、適当なリボソーム結合
部位をコードする配列、並びに転写および翻訳を終結さ
せる配列が挙げられる。発現ベクターは通常該ベクター
を宿主細胞と独立に複製させる複製開始点も含む。
【0039】本発明のベクターは、本発明のタンパクを
コードするDNAを含む。該DNAはウイルス性プロモ
ーターの調節下にあることができ、そして選択マーカー
をコードすることができる。本発明は、原核または真核
宿主中で、本発明のタンパクをコードするDNAを発現
することができる発現ベクターの利用も包含する。個々
で、該ベクターは宿主と適合性であり、本発明のタンパ
クをコードするDNAは、該ベクターを含む宿主に発現
されるようにベクター中に挿入される。
【0040】一般に発現ベクターは、それらの宿主細胞
中で安定な発現のため、または細胞あたりの所望の遺伝
子のコピー数を大きく増やす増幅のためにデザインされ
る。しかしながら、常に発現ベクターが宿主細胞中で増
殖することを要求する必要はない。宿主細胞により認識
される複製開始点を含まないベクターを使って様々な宿
主中で本発明のタンパクの一時的発現を行うことが可能
である。組み換えによって宿主DNA中への本発明のタ
ンパクをコードするDNAの組み込みを引き起こすベク
ターを用いることも可能である。
【0041】ベクターは、プラスミド、ウイルス、バク
テリオファージ、組み込み可能なDNA断片、および宿
主のゲノム中へのDNAの組み込みが可能である他のビ
ヒクルを含んで成る。発現ベクターは、作用可能に連結
された遺伝子の発現を行う遺伝的調節配列を含む特殊化
されたベクターである。プラスミドが最もよく使われて
いるベクターの形態であるが、同等な機能を供給しそし
て当業界で既知であるかまたは既知になる他のあらゆる
形態のベクターも本明細書中での使用に適当である。
【0042】適当な宿主としては、前記のごとく、原核
生物、下等真核生物および酵母または高等真核生物が挙
げられる。原核生物としては、グラム陰性およびグラム
陽性生物、例えば大腸菌(E.coli)およびB.サ
ブチルス(B.subtilis)が挙げられる。下等
真核生物としては、酵母、例えばS.セレビシェー
(S.cerevisiae)およびピチア(Pich
ia)並びにタマホコリカビ(Dictyosteli
um)といった種が挙げられる。高等真核生物として
は、昆虫細胞のような非哺乳類起源と、ヒト、霊長類お
よびげっ歯類のような哺乳類起源の両方の動物細胞から
の確立された組織培養細胞系が挙げられる。
【0043】原核宿主−ベクター系は、多数の様々な種
のための広範なベクターを含む。本明細書で使用する
時、大腸菌とそのベクターなる語は、他の原核生物用の
同等なベクターを包含するように包括的に用いられるだ
ろう。DNAを増幅させるための代表的なベクターはp
BR322または任意のその誘導体である。カルシウム
結合タンパク質またはその断片を発現させるのに使われ
るベクターとしては、lacプロモーターを含むもの
(pUCシリーズ);trpプロモーターを含むもの
(pBR322−trp);Ippプロモーターを含む
もの(pINシリーズ):λ−pPまたはpRプロモー
ターを含むもの(pOTS);またはptacといった
ハイブリッドプロモーターを含むもの(pDR540)
といったベクターが挙げられるがそれに限定されない。
【0044】Brosiusら、 "Expression Vector
Employing Lambda-, trp-, lac-, and Ipp-derived Pro
moters", Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vec
torsand Their Uses (Raymond L.RodriguezおよびDavid
T.Denhardt編)中、Buttersworth. Boston. 1988. 10
章、205-236 を参照のこと。
【0045】酵母およびタマホコリカビ(Dictyo
stelium)といった下等真核生物を、本発明のタ
ンパクコード配列含有ベクターを使って形質転換するこ
とができる。本発明の目的上、多数の他の株および種も
利用できるけれども、最もよく使われる下等真核宿主は
パン酵母のサッカロミセス・セレビシェー(Sacch
aromycec cervisiae)であり、それ
は下等真核生物を包括的に表わすのに用いられるだろ
う。酵母ベクターは、複製開始点(組み込み型のもので
ない限り)、選択遺伝子、プロモーター、本発明のタン
パクをコードするDNA、翻訳終結、ポリアデニル化お
よび転写終結のための配列から成る。
【0046】適当な酵母用発現ベクターは、3−ホスホ
グリセレートキナーゼのような構成的プロモーターおよ
び種々の他の解糖酵素遺伝子プロモーターまたはアルコ
ールデヒドロゲナーゼ2プロモーターもしくはメタロチ
オネインプロモーターのような誘導性プロモーターを含
む。適当なベクターは、次の型の誘導体を含む:自己複
製性低コピー数型(例えばYRpシリーズ):組み込み
型(例えばYIpシリーズ)、またはミニクロモソーム
型(例えばYCpシリーズ)。
【0047】高等真核生物組織培養細胞は、機能的に活
性な該カルシウム結合タンパクの発現に好ましい宿主細
胞である。理論的には、無脊椎動物源からであろうと任
意の真核生物組織培養細胞系が利用できる。しかしなが
ら哺乳類細胞が好ましい。そのような細胞の形質転換ま
たはトランスフェクションおよび増殖は日常的技術とな
っている。有用な細胞系の例としては、HeLa細胞、
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系、子ラッ
ト腎臓(BRK)細胞系、昆虫細胞系およびサル(CO
S)細胞系が挙げられる。
【0048】そのような細胞系のための発現ベクター
は、通常、複製開始点、プロモーター、リボソーム結合
部位、RNAスプライス部位(ゲノムDNAを使用する
場合)、ポリアデニル化部位および転写終結部位を含
む。それらのベクターは通常は選択遺伝子または増幅遺
伝子も含有する。適当な発現ベクターは、アデノウイル
ス、SV40、パルボウイルス、ワクシニアウイルスま
たはシトメガロウイルスのように起源に由来するプロモ
ーターを担持しているプラスミド、ウイルスまたはレト
ロウイルスであることができる。適当な発現ベクターの
代表例としては、pCDNA1;pCD(Okayam
aら、Mol. Cell Biol.5:1136-1142. 1985):pMClneo Po
ly A(Thomasら、Cell 51:503-512. 1987):およ
びpAC373またはpAC610といったバキュロウ
イルスベクターが挙げられる。
【0049】本発明は、カルシウム結合タンパクまたは
その断片をコードするDNAを含むベクターにより、形
質転換された細胞を提供する。形質転換された細胞は、
組み換えDNA技術を使って作製されたカルシウム結合
タンパク発現ベクターにより形質転換またはトランスフ
ェクトされている細胞である。形質転換された宿主細胞
はカルシウム結合蛋白質またはその断片を発現するが、
そのDNAのクローニング、増幅および操作の目的では
カルシウム結合タンパクを発現する必要はない。
【0050】本発明のタンパク及びそれをコードするD
NAは、種々の用途を有する。すなわちDNAは、それ
がコードしているタンパクの製造のために使用されるほ
か、関連のもしくは相同のカルシウム結合タンパクをコ
ードする遺伝子、カルシウム結合タンパクサブタイプを
コードする遺伝子および異なる種の該カルシウム結合タ
ンパクをコードする遺伝子を検出又は同定するのに特に
有用である。本発明はまた、該カルシウム結合タンパク
の存在を検出又は定量するための種々の測定系及び診断
薬における、該カルシウム結合タンパク、その断片、ペ
プチド及びそれらの融合生成物の使用にも関する。
【0051】本発明のカルシウム結合タンパク又はその
断片は、上記測定系における、標準物質としても利用可
能である。本発明のカルシウム結合タンパクおよびその
断片は、該カルシウム結合タンパク又はその断片に特異
的な抗血清又は抗体産生のための免疫原として使用され
得る。精製された該カルシウム結合タンパクは、純度の
高くない該カルシウム結合タンパク調製物の免疫により
調製されるモノクローナル抗体をスクリーニングするた
めにも使用され得る。さらに、該カルシウム結合タンパ
ク断片はまた、本発明の抗体を産生するための免疫原と
しても利用することができる。
【0052】本発明は、該カルシウム結合タンパクと親
和性を有する抗体を提供する。たとえば、本発明は、配
列番号:1に示されるアミノ酸配列を持つカルシウム結
合タンパクへの親和性を有する、又はそれに対して作製
された抗体、およびその抗体のフラグメントに関する。
抗体は、その天然に存在する型及びその組換え体型の該
カルシウム結合タンパク及びその断片に対し、作製する
ことができる。本発明のカルシウム結合タンパクの断片
に対する抗体は、免疫原性タンパク質と該断片との接合
体により動物を免疫する事により作製することができ
る。モノクローナル抗体は、所望する抗体を分泌する細
胞から調製される。これらの抗体は、該カルシウム結合
タンパクに対する結合についてスクリーンされ得る。
【0053】本発明のカルシウム結合タンパク及びその
断片は、免疫原として使用されるべきポリペプチドに融
合、または共有結合して、免疫する事ができる。カルシ
ウム結合タンパク質及びそのフラグメントは、種々の免
疫原、たとえばキーホールリンペットヘモシアニン、ウ
シ血清アルブミン、破傷風トキソイド等に融合、又は共
有結合して免疫する事ができる。免疫する動物は、ウ
シ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ウサギ、ニワトリ、モルモッ
ト、ラット、マウス等、免疫し目的の抗体を得る事がで
きる動物であればその種を選ばない。
【0054】ポリクローナル抗血清を調製するための方
法の説明には、たとえば、Microbiology, Hoeber Medic
al Division (Harper and Row. 1969), Landsteiner, S
pecificity of Serological Reactions (Dover Publica
tions. New York. 1962)及びWilliamsなど、Me
thods in Immunology and Immunochemistry 、第1巻
(Academic. Press. New York. 1967)(これらすべて
は、引用により本発明書に組込まれる)を参照のこと。
典型的な方法は、抗原による動物の過剰免疫を包含す
る。
【0055】本発明のポリクローナル抗体は、常法に従
って得ることができる。ウマ、ヤギ、ヒツジ、ウサギ、
ニワトリ、モルモット等の動物に上記抗原ペプチドを単
独で、あるいはアジュバントと混合して定期的に免疫す
る。望ましくは3回以上の免疫の後、免疫した動物の血
液、卵等を採取し、ポリクローナル抗体を回収すること
ができる。本発明はまた、カルシウム結合タンパクと結
合性を有するモノクローナル抗体を提供する。本発明は
さらに、前記のモノクローナル抗体を産生するハイブリ
ドーマを提供する。
【0056】多くの場合、種々の哺乳類宿主、たとえば
マウス、ラットなどのゲッ歯類、霊長類、ヒト等からモ
ノクローナル抗体を調製することが所望される。そのよ
うなモノクローナル抗体を調製するための技法の説明
は、Stitesなど、Basicand Clinical Immunolog
y. (Lang Medical Publications. Los Altos. CA. 第4
版)及びこの中の引例、及び特に、Kohler and Milstei
n. Nature 256:495 〜497 (1975)(モノクローナル抗体
の1つの作製方法を論じる)に見出され得る。
【0057】簡単に要約すれば、マウス、ラット等に上
記抗原を単独で、あるいはアジュバントと混合して定期
的に免疫する。望ましくは3回以上の免疫の後、例えば
脾臓、リンパ節を摘出し、そのB細胞を適当な骨髄腫細
胞と細胞融合させる。その融合細胞は、インビトロで培
養できる「ハイブリドーマ」である。得られたハイブリ
ドーマ細胞を、例えば10%ウシ胎児血清を含むHAT
−RPMI1640培地等の適当な培養液中で培養す
る。
【0058】培養上清中に産生された抗体を例えばRI
A,ELISA等で検出することにより、該カルシウム
結合タンパクに対し特異的に反応する抗体を産生するハ
イブリドーマ細胞株を選択し、クローン化する。各クロ
ーンは、免疫原に対する1つの抗体種を分泌する。得ら
れる個々の抗体種は、免疫原性物質上に認識される特異
的部位(エピトープ)に応答して生成される、免疫動物
からの単一のB細胞の生成物である。
【0059】本発明のカルシウム結合タンパクと反応す
るモノクローナル抗体は、例えばマウスまたはラット腹
腔にハイブリドーマ細胞を移植し、得られた腹水から回
収することができる。また、ハイブリドーマ細胞の培養
上清から回収することもできる。回収したモノクローナ
ル抗体およびポリクローナル抗体は、硫安沈殿、クロマ
トグラフィーなどの公知の方法により分離精製すること
ができる。
【0060】本発明の抗体はまた、アフィニティークロ
マトグラフィーのために使用され得る。このアフィニテ
ィークロマトグラフィーは、該カルシウム結合タンパク
の精製に用いることができる。抗体が固体支持体、たと
えば粒子、たとえばアガロース、セファロース又は同様
のものに結合されているカラムを調製し、ここで該カル
シウム結合タンパクを含む試料をカラムにとおし、カラ
ムが洗浄され、続いて弱い変性剤を流すことにより、精
製された該カルシウム結合タンパクが溶出される。
【0061】本発明はまた、前記抗体を含んで成る、該
カルシウム結合タンパクの測定方法およびその断片の検
出法および測定方法を提供する。該カルシウム結合タン
パクの検出系、測定系は、均質(遊離試薬と該カルシウ
ム結合タンパク−抗体複合体との間で分離段階を含まな
い)又は不均質(分離段階を含む)であり得る。本発明
のカルシウム結合タンパクの検出系、測定系は典型的に
は、該カルシウム結合タンパクに結合親和性を有する標
識された抗体、該カルシウム結合タンパク源(天然に存
在するもの又は組換えのもの)及びラベルされた遊離化
合物から結合体を分離するための手段、たとえば該カル
シウム結合タンパクを固定するための固相化した該カル
シウム結合タンパクに結合親和性を有する抗体を含んで
成る。
【0062】これらの測定系において、抗体、又は該カ
ルシウム結合タンパクおよびその断片を、共有結合又は
非共有結合により直接的又は間接的に標識することによ
って、検出可能なシグナルを直接的又は間接的に得るこ
とができる。直接的な標識には、たとえば放射性ラベ
ル、たとえば 125I、酵素(アメリカ特許第3,64
5,090号)、たとえばペルオキシダーゼ及びアルカ
リフォスファターゼ、及び蛍光ラベル(アメリカ特許第
3,940,475号)をなどがある。また、たとえば
ビオチニル化と、ビオチンへの上記標識群の1つで標識
したアビジン、ストレプトアビジンの結合を包含する。
たとえば、標識されていない抗体は、その抗体を認識す
る標識された第2抗体を用いることによって使用され得
る。
【0063】得られた該カルシウム結合タンパクに対す
る抗体を用い、放射免疫測定法(RIA)、酵素免疫測
定法(EIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、などの公
知の免疫測定法を構築することにより、該カルシウム結
合タンパクまたはその断片を検出又は測定することがで
きる。公知の免疫測定法の一つの例として、いわゆる競
合免疫測定法の応用が考えられる。例えば、検体に放射
性同位元素等で標識した該カルシウム結合タンパクを一
定量混合し、さらに抗該カルシウム結合タンパク抗体を
混合し検体中の該カルシウム結合タンパクおよび標識該
カルシウム結合タンパクと反応させる。
【0064】検体中の該カルシウム結合タンパクは、標
識該カルシウム結合タンパクと競合して抗該カルシウム
結合タンパク抗体と反応するため、検体中に該カルシウ
ム結合タンパクが存在する分、標識該カルシウム結合タ
ンパクとの反応が減少する。反応後、抗該カルシウム結
合タンパク抗体をあらかじめ固相担体に結合させておく
か、抗イムノグロブリン抗体、プロテインAと抗該カル
シウム結合タンパク抗体を反応させること等により、結
合、非結合標識該カルシウム結合タンパクを分離する。
一般に用いられる方法により結合していない分画を除
き、結合した放射性同位元素等の標識を検出する事によ
り該カルシウム結合タンパクを測定することが可能とな
る。
【0065】公知の免疫測定法のもう一つの例として、
いわゆる2抗体サンドイッチ系の応用が考えられる。例
えば、抗該カルシウム結合タンパク抗体をマイクロタイ
タープレート、ビーズ、ニトロセルロース膜、ナイロン
膜等の免疫測定法に一般に用いられる固相担体に結合さ
せ、これを検体と接触させる事により、検体中の該カル
シウム結合タンパクを固相担体上にある抗該カルシウム
結合タンパク抗体と反応させる。一般に用いられる方法
により結合していない分画を洗い、放射性同位元素、酵
素、蛍光物質、ビオチン等で標識した抗該カルシウム結
合タンパク抗体と接触させ、担体上にある抗該カルシウ
ム結合タンパク抗体と結合した該カルシウム結合タンパ
クと反応させる。
【0066】一般に用いられる方法により結合していな
い分画を洗い、標識されている放射性同位元素、酵素、
蛍光物質、ビオチン等を検出する事により該カルシウム
結合タンパクを測定することが可能となる。この測定系
に用いる抗該カルシウム結合タンパク抗体、標識抗カル
シウム結合タンパク質抗体は、モノクローナル抗体、ポ
リクローナル抗体、またはその組み合わせ何れを用いる
事も可能である。ここで肝要なことは、担体に結合する
抗体と該カルシウム結合タンパクとの複合体が標識抗体
と結合できるよう、抗体を組み合わせることであり、こ
のような抗体の組み合わせは、前述の系を組み立て、そ
の系に適用してみることにより選択することができる。
【0067】また免疫組織染色により、組織中のカルシ
ウム結合タンパク質またはその断片を検出することがで
き、さらにその、組織および細胞内での局在様式を知る
ことができる。免疫組織染色に用いる抗体の標識の例と
しては、光学顕微鏡用には蛍光色素と酵素、電子顕微鏡
用にはフェリチンと金コロイドなどがある。免疫組織染
色のためには、例えば典型的には組織切片または細胞を
アルコール、アセトン、パラホルムアルデヒドなどの適
当な固定剤により固定し、抗カルシウム結合タンパク質
抗体をこれに反応させる。洗浄後、直接標識の場合はそ
のまま、間接標識の場合はさらに標識体と反応させ洗浄
した後、蛍光標識の場合は蛍光顕微鏡により、酵素標識
の場合は適当な基質との反応後光学顕微鏡により、金属
粒子標識の場合は電子顕微鏡により標識の検出を行う。
【0068】これらの免疫測定法は、文献においても集
約的に論ぜられて来た。本発明の抗体はまた、診断のた
めにも有用である。上記免疫組織染色や免疫測定法によ
って得られた結果から、カルシウム結合タンパク質の組
織内および細胞内における存在様式、局在様式を知るこ
とができる。それによりカルシウム結合タンパク質の生
理的役割に関する知見が得られると共に、各種疾患との
関連性も明らかにできる。疾患との関連は、その疾患に
おける診断薬としての有用性を示唆するものである。
【0069】例えば、癌細胞特異的に存在する抗原であ
れば、癌マーカーとして診断に有用であり得る。また、
例えば、好中球などの炎症に関与する細胞群に多量に存
在する抗原であれば、それは炎症の進行と共に血中に漏
れ出し、その血中濃度が炎症マーカーとして診断に有用
であり得る。また、例えば、ある皮膚疾患に関連して、
異常発現する抗原であればその疾患のマーカーになり得
る。
【0070】従って上記該カルシウム結合タンパク又は
その断片の測定系を診断薬として用いることにより、炎
症性疾患マーカーとして、腫瘍性疾患(特に皮膚、食
道、呼吸器、子宮頚部等の扁平上皮癌)マーカーとし
て、皮膚疾患マーカーとして、あるいは血液疾患マーカ
ーとして検診時等での患者のスクリーニング、疾患の性
質の特定、および治療時の治療効果モニタリング等に有
用な情報が得られる。測定対照は例えば、患者の血液、
唾液等の体液、尿、便等の排出物、採取した組織、細胞
などである。
【0071】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。実施例1CAAF1の検出 CAAF1の検出は下記の方法により行った。サンプル
を、2−メルカプトエタノールの存在下又は非存在下
で、Analytical Biochemistry 166, 368-379 (1987) に
記載の方法に従い、Tricine−SDS−PAGE
を行った。このゲルを、銀染色キットワコー(和光純
薬)により銀染色し、タンパクを検出した。妊娠4ヶ月
目のウシ羊水をサンプルに用いた場合、他の多くのタン
パクバンドと共に、ウシ羊水由来カルシウム結合タンパ
クCAAF1に相当する約7KDaの位置のバンドが認
められた(図3)。
【0072】また、以下に示す45Caオーバーレイ−オ
ートラジオグラフィーにより、カルシウム結合タンパク
を検出した。Tricine−SDS−PAGE後のゲ
ル中のタンパクを、セミドライ法によりImmobil
onP(ミリポア)膜に転写(エレクトロブロット)し
た。転写膜をオーバーレイ緩衝液(60mMKCl,5mM
MgCl2 ,10mMイミダゾール−HCl,pH6.8)
中で15分間振とうを3回行った後、3.7MBq/l
45Ca2+を含むオーバーレイ緩衝液中で37℃、30
分振とうし、45Ca2+を結合させた。オーバーレイ緩衝
液で10分間洗浄を3回繰り返し、さらに50%エタノ
ール中で10分間振とうさせた後、転写膜を乾燥させ、
オートラジオグラフィーを行った。妊娠4ヶ月目のウシ
羊水をサンプルに用いた場合、他の少数の薄いバンドと
共に、CAAF1に相当する約7KDa見かけ分子量の
濃いバンドを示した(図3)。これによって、ウシ羊水
中に多量のカルシウム結合タンパクが存在することが明
らかになった。
【0073】実施例2CAAF1の精製 ウシの妊娠4ヶ月の羊水、3リットルに酢酸を加え、pH
3.0とした。生じた沈殿を9000xG40分間の遠
心分離により除き、さらに上清を濾過した後、陽イオン
交換クロマトグラフィーを行った。1M酢酸で平衡化し
たS-Sepharosefast flow (ファルマシア) カラムに上
記上清を通し、吸着したタンパクを酢酸アンモニウム濃
度勾配により溶出した。各フラクションについて、45
aオーバーレイ−オートラジオグラフィーを行ったとこ
ろ、CAAF1は、酢酸アンモニウム0.5−1Mのフ
ラクションに幅広く検出された(図4)。
【0074】CAAF1を含む画分を集め、凍結乾燥
し、5mlの1M酢酸に溶解した。これを1M酢酸で平衡
化した16/90 Sephadex−G75 fin
eカラム(ファルマシア)にとおし、1M酢酸によりゲ
ル濾過した。各フラクションについて、同様にTric
ine−SDS−PAGE後45Ca2+オーバーレイオー
トラジオグラフィーを行い、CAAF1を含む画分を、
さらに2回逆相クロマトグラフィーにかけた。すなわ
ち、0.1%トリフルオロ酢酸で平衡化したTSKOD
S−120T(東ソー)カラムにとおし、吸着タンパク
をアセトニトリル濃度勾配により溶出した。CAAF1
はアセトニトリル濃度約40%付近に溶出した。この目
的画分を0.1%トリフルオロ酢酸で平衡化したTSK
Phenyl−5PW(東ソー)カラムにとおし、吸
着タンパクをアセトニトリル濃度勾配により溶出した。
CAAF1はアセトニトリル濃度約30%付近に溶出し
た。
【0075】一連の精製操作により、Tricine−
SDS−PAGE後の銀染色で約7KDaの見かけ分子
量の単一バンドを示す、実質的に単一なカルシウム結合
タンパク、CAAF1を150μg得ることができた
(図5)。16/60 Superdex 75pg
(ファルマシア)を用いたゲル濾過により、このタンパ
クの分子量の推定を行ったところ、CAAF1は約30
KDaの位置に溶出ピークを示した(図6)。このこと
から、CAAF1は、溶液中でホモ3量体又は4量体で
存在することが推測される。
【0076】実施例3CAAF1のアミノ酸配列の決
精製したCAAF1をプロテインシークエンサー(アプ
ライドバイオシステムズmodel477A)により、
N末端から51アミノ酸残基目までそのアミノ酸配列を
決定した。その配列は以下の通りであった。 Thr Lys Leu Glu Asp His Leu Glu Gly Ile Ile Asn Ile Phe His Gln Tyr Ser Val Arg Val Gly His Phe Asp Thr Leu Asn Lys Arg Glu Leu Lys Gln Leu Ile Thr Lys Glu Leu Pro Lys Thr Leu Gln Asn Thr Lys Asp Gln Pro (配列番号:2)
【0077】5μgのCAAF1をリシルエンドペプチ
ダーゼ(EC3.4.21.50和光純薬)またはS.
アウレウス(S.aureus)V8プロテイナーゼ
(エンドプロテイナーゼGlu−C,EC3,4,2
1,19 ベーリンガーマンハイム)により37℃一夜
消化し、それぞれの分解産物(L1,L2,L3,およ
びV1,V2)を逆相クロマトグラフィーにより精製し
た。このアミノ酸配列をプロテインシークエンサーにて
決定した。リシルエンドペプチダーゼ各フラグメントの
配列は以下の通りであった。
【0078】L1 :Ile Phe Gln Asp Leu Asp Ala Asp (配列番号:3)L2 :Asp Gly Ala Val Ser Phe Glu Glu Phe Val Val Leu (配列番号:4)L3 :Thr Ala His Ile Asp Ile His Lys Glu (配列番号:5) また、V8プロテイナーゼの各フラグメントの配列は以
下の通りであった。V1 :Leu Pro Lys Thr Leu Gln Asn Thr Lys Asp Gln Pro Thr Ile Asp Lys Ile Phe Gln Asp Leu Asp Ala Asp Lys Asp Gly Ala Val Ser Phe (配列番号:6)
【0079】V2 :Glu Phe Val Val Leu Val Ser Arg Val Leu Lys Thr Ala His Ile Asp Ile His Lys Glu (配列番号:7) N末端アミノ酸配列、及び部分ペプチドのアミノ酸配列
を照合し、つなぎ合わせることにより、CAAF1の全
アミノ酸配列を決定した(図1及び図2下線部分)。そ
の配列は、配列番号:1(図1及び図2)に示したアミ
ノ酸配列から、N末端のメチオニンを除いたものであ
る。
【0080】実施例4ウシ胎児食道組織からのcDN
Aライブラリーの作製 ウシ胎児食道組織2.5gから、AGPC法によりRN
Aを抽出し、トータルRNA約15mgを得た。このトー
タルRNAより、Oligotex-dT30 <Super> (日本ロシ
ュ)を用いメーカーの推奨する方法に従ってPoly
A RNAを調製し、約150μgのPoly A R
NAを得た。次にこのPoly A RNA 5μgよ
り、逆転写を行い、cDNAを合成した。第一鎖cDNAの
合成は、Oligo(dT)12-18をプライマーとし、TimeSaver
cDNASynthesis Kit(ファルマシア)を用いて、メーカ
ーの推奨する方法に従い行った。合成したcDNAの両
端にEcoRIアダプターを結合させた。
【0081】得られたcDNA溶液25μlにEcoR
Iを加えて消化し、脱燐酸化処理をしたλgt11(La
mbda gt11 /EcoRI /CIAP-Treated:Stratagene )を4
μl(0.5μg/μl)加え、1/20量の3M酢酸
ナトリウム緩衝液(pH5.2)及び2.5倍量のエタノ
ールを加え、−20℃に1時間放置し、DNAを沈殿さ
せた。微量小型冷却遠心機で15000rpm ,4℃,1
0分遠心し、上清を捨ててペレットを回収した。
【0082】DNAを洗浄するため、75%エタノール
を加え15000rpm ,4℃,3分遠心し、上清を捨て
てペレットを風乾した。このDNAペレットを8μlの
滅菌蒸留水に溶解し、10×T4 DNAリガーゼ緩衝
液(300mM Tris−HCl,pH7.8,100mM
MgCl2 ,100mM DTT,10mM ATP)を
1μl、T4 DNAリガーゼ(ファルマシア)を1μ
l加え、16℃で3時間ライゲーション反応させ、cD
NAをλgt11に組み込んだ。次にin vitroパッケー
ジング反応を行い、ファージを作製した。反応は、Giga
pack II Gold Kit (Stratagene) を用いメーカーの推奨
する方法に従って、ライゲーション反応液4μlから行
った。
【0083】反応終了後、ファージの力価を測定した。
パッケージング反応液の一部をマルトース添加NZY培
地(10g/l NZ amine, 5g/l Yeast extrac
t, 5g/l NaCl,2g/l MgSO4 ・7H
2 O)で培養し、10mM MgSO4 にOD600=
1.0となるように再懸濁させた大腸菌Y1090株に
感染させた。その結果パッケージング反応液中には9.
0×106pfu/mlの感染能力のあるファージが存在し
た。
【0084】実施例5プローブの調製 ウシ胎児食道組織より分離したPoly A RNA
200ngより、RNA PCR Kit (宝酒造)を用い、メーカ
ーの推奨する方法に従ってランダムヘキサマーでcDN
A合成を行った。この第一鎖cDNAを用い、ポリメラ
ーゼ連鎖反応(PCR)によりプローブを調製した。P
CRプライマーは、CAAF1のアミノ酸配列から設計
し、下記の縮重プライマー、P7S1(センスプライマ
ー:LEDHLEGに相当)およびP7A1(アンチセンスプラ
イマー:AHIDIHKに相当)を合成した。
【0085】P7S1:5′TT(A/C/G/T)GA(A/G)GA(C/
T)CA(C/T)(C/T)T(A/C/G/T)GA(A/G)GG3′(配列番号:
8) P7A1:5′TT(A/G)TG(A/G/T)AT(A/G)TC(A/G/T)AT(A
/G)TG(A/C/G/T)GC3′(配列番号:9)である。 第一鎖cDNAから、プライマーそれぞれ1nmole を用
いてPCRを行った。PCR反応はDNA Thermal Cycler
(Perkin-Elmer/Cetus)を用い、94℃1分、48℃で
2分、72℃2分の反応を30サイクル行った。
【0086】増幅されたPCR産物を、4%のアガロー
スゲル(FMC Bioproducts :NuSieveGTG 3:1) で電気泳
動し、予測された263bpのDNA断片をゲルから切り
出した。このDNA断片をGene Cleanキット(Bio 101
)を用いて精製し、10μlのTE溶液(10mM T
ris−HCl(pH7.5),1mM EDTA)に回収
した。このDNA断片溶液5μlと、制限酵素SmaI
で消化したpTZ18Rベクター(ファルマシア、50
ng/μl)1μlを、DNA ligation Kit (宝酒造)
を用い、メーカーの推奨する方法に従ってライゲーショ
ン反応させ、cDNAをpTZ18Rベクターに組み込
んだ。
【0087】このベクター液5μlにより、大腸菌JM
109(東洋紡)をHanahanの方法(DNA clonin
g:A practical approach (ed.D.M.Glover), vol.1,p109
-,IRC press,(1985)) に従って形質転換させた。X−g
alを含むL−ampプレートに蒔き、白色のコロニー
を選択する事により、アンピシリン耐性でβガラクトシ
ダーゼ欠損のコロニーを選択した。
【0088】選択したクローンを、2×YT−amp培
地(1.6%バクト−トリプトン、1%酵母エキス、
0.5% NaCl、100μg/mlアンピシリン)で
培養し、Magic Prep DNA miniprep kit (Promega)を用
いてメーカーの推奨する方法に従ってDNAを調製し
た。調製したDNAを、USB Sequnase version 2.0(US
biochemicals) により、M13M4プライマー(宝酒
造)を用いて、メーカーの推奨する条件に従って反応さ
せた。反応産物を電気泳動し、ベクターに組み込まれた
DNAの塩基配列を決定し、CAAF1の塩基配列を持
つことを確認した。
【0089】得られたクローンのDNA 5μl(1μ
g/μl)に、10×Tバッファー(330mM Tri
s−酢酸(pH7.9)、100mM 酢酸マグネシウム、
5mMDTT、660mM 酢酸カリウム)2μl、0.1
% BSA 2μl、SacI(10U/μl:宝酒
造)1μl、XbaI(10U/μl:宝酒造)1μ
l、を加え、滅菌蒸留水で20μlに調製し、37℃で
1時間反応させ、切断した。このDNA断片を含む反応
液全量を4%のアガロースゲル(FMC Bioproducts :NuS
ieve GTG 3:1)で電気泳動し、約280bpのDNA断片
をゲルから切り出した。このDNA断片をGene Cleanキ
ット(Bio 101 )を用いて精製し、10μlのTE溶液
(10mM Tris−HCl(pH7.5),1mM ED
TA)に回収した。
【0090】このDNA断片溶液3μl(約25ng)を
鋳型DNAとして、メガプライムDNA標識システム
(アマシャム)を用い、メーカーの推奨する方法に従っ
て、〔α−32P〕dCTP(アマシャム)で標識した。
標識終了後、Nickカラム(ファルマシア)を用いて
標識DNAを精製した。これを32P標識プローブとし
て、CAAF1 cDNAの単離に用いた。
【0091】実施例6CAAF1 cDNAの単離と
塩基配列決定 作製したウシ胎児食道由来cDNAライブラリーを、大
腸菌Y1090株に感染させ、90mmディシュあたり1
×104 プラークとなるように蒔いた。この90mmディ
シュを20枚作成し、約2.0×105 のプラークを形
成させた。形成したプラークをHybond−N膜(アマシャ
ム)に転写し、膜を0.5M NaOH,0.5M N
aCl溶液で2分、0.5M Tris−HCl(pH
7.5),0.5M NaCl溶液で5分処理し、さら
に0.1×SSC,0.1M酢酸アンモニウムでよく洗
浄後、濾紙上で風乾させた。
【0092】プラークDNAの結合した膜面をUV処理
し、DNAを膜にクロスリンキングさせ、プレハイブリ
ダイゼーション溶液(6×SSC、5×Denhalt's 溶
液、20mM Tris−HCl(pH7.5)、50%ホ
ルムアミド、0.5% SDS、100μg/ml変成サ
ケ精子DNA)中で、42℃2時間保温し、ブロッキン
グした。プレハイブリダイゼーション溶液を捨て、新し
いプレハイブリダイゼーション溶液に、96℃5分処理
後の急冷により1本鎖に変成させた32P標識プローブを
加え、膜を浸し、42℃で1晩保温し、ハイブリダイズ
させた。
【0093】膜を2×SSC,0.5% SDS溶液で
室温15分、42℃15分、続いて0.5×SSC,
0.1% SDS溶液で42℃15分、さらに同じ組成
の溶液で42℃15分、洗浄した。これを露光フィルム
とカセットに入れ、−80℃で1昼夜露光させ、現像し
た。ハイブリダイズシグナルが検出された領域のプラー
クを回収し、さらに同様の方法でプラークを形成させ、
プラークの単離を行った。
【0094】このようにして目的のDNA断片を含む1
2個のファージクローンを得た。そのうち3個のファー
ジクローンλP7/32,λP7/34,λP7/51
を大腸菌Y1090株に感染させ、プレートライセート
法により高タイターのファージ液を得た。ファージ液1
0mlより、Lambda TRAPPLUS DNA Isolation Kit (CLONT
EC) を用いてメーカーの推奨する方法に従い、ファージ
DNA約10μgを分離精製した。
【0095】このファージDNAから、λgt11プラ
イマーによりPCRを行い、組み込まれたDNAを増幅
した。ファージDNA 1μl(1ng/μl)に、下記
のλgt11プライマー(forward)とλgt11プライ
マー(reverse)(宝酒造)をそれぞれ1μl(1nmole
/μl)ずつ加え、10×PCRバッファー(100mM
Tris−HCl(pH8.3),500mM KCl,
15mM MgCl2 ,0.01%ゼラチン)10μl、
2mM dNTP 10μl、Taq DNAポリメラー
ゼ0.5μl(5U/μl:宝酒造)に滅菌蒸留水を加
え100μlにした。PCR反応はDNA Thermal Cycler
(Perkin-Elmer/Cetus)を用い、94℃で1分、55℃
で2分、72℃で2分の反応を30サイクル行った。
【0096】λgt11プライマー(forward):5'-GGTG
GCGACGACTCCTGGAGCCCG-3'(配列番号:10) λgt11プライマー(reverse):5'-TTGACACCAGACCAAC
TGGTAATG-3'(配列番号:11) 増幅されたPCR産物を4%のアガロースゲル(FMC Bi
oproducts :NuSieve GTG 3:1) で電気泳動し、ファージ
クローンλP7/32,λP7/34,λP7/51由
来のそれぞれのDNA断片(約600bp,550b
p,450bp)をゲルから切り出した。このDNA断
片をGene Cleanキット(Bio 101 )を用いて精製し、1
0μlのTE溶液(10mM Tris−HCl(pH7.
5),1mMEDTA)に回収した。これらのDNA断片
を、DNA ligation Kit(宝酒造)を用い、メーカの推奨
する方法に従って、制限酵素SmaIで消化したpTZ
18Rベクター(ファルマシア)にライゲーション反応
を行い、ベクターに組み込んだ。
【0097】これらのベクター液5μlを用い、大腸菌
JM109(東洋紡)をHanahanの方法(DNA cl
oning:A practical approach (ed.D.M.Glover), vol.1,
p109-,IRC press,(1985)) に従って形質転換させた。X
−galを含むL−ampプレートに蒔き、白色のコロ
ニーを選択する事によりアンピシリン耐性で、βガラク
トシダーゼ欠損のコロニーを選択した。
【0098】選択したコロニーを2×YT−amp培地
(1.6%バクト−トリプトン、1%酵母エキス、0.
5% NaCl、アンピシリン100μg/ml)で培養
し、Magic Prep DNA miniprep kit (Promega)を用いて
メーカーの推奨する方法に従ってDNAの調製を行っ
た。このプラスミドDNAをそれぞれpTZ/BP7−
32,pTZ/BP7−34,pTZ/BP7−51と
名付けた。pTZ/BP7−32,pTZ/BP7−3
4、及びpTZ/BP7−51のプラスミドDNA各5
μgを、M13M4プライマーおよびM13MRVプラ
イマー(宝酒造)を用い、USB Sequnase version 2.0(U
S biochemicals) でメーカーの推奨する方法にしたがっ
て反応させた。この反応物をシークエンス用のアクリル
アミドゲルで電気泳動し、塩基配列を決定した。
【0099】pTZ/BP7−32,pTZ/BP7−
34,pTZ/BP7−51からの塩基配列はそれぞれ
602bp,562bp,448bpであり、その重複
部分が一致した。決定された重複部分の全塩基配列42
9bpを配列番号:1及び図1に示す。この塩基配列か
ら、CAAF1の一次翻訳産物のアミノ酸配列、即ち、
起こりうる翻訳後修飾前のアミノ酸配列が導き出され
る。このアミノ酸配列から、N末端のメチオニン残基を
除いたものが、ウシ羊水から単離精製されたCAAF1
のアミノ酸配列であった。
【0100】実施例7CAAF1に結合親和性を有す
るモノクローナル抗体の作製 精製CAAF1各1〜2μgをフロイント完全アジュバ
ントと共に、雌BALB/cマウス腹くうに免疫した。
その後3週間おきに2回、1μgのCAAF1をフロイ
ント不完全アジュバントと共に腹くう免疫した。最終免
疫の1週間後、尾静脈から血液を採取し、下記RIAに
てCAAF1に対する血中抗体価を見積った。最も血中
抗体価の高いマウスを選び、1μgのCAAF1を静脈
注射した。
【0101】3日後、脾臓を取り出し、脾細胞をRPM
I1640培地にて洗浄後、同様に洗浄したマウスミエ
ローマ細胞SP2/OAg14と5:1の割合で混合し
た。遠心分離により培地を除去し、細胞ペレットに50
%ポリエチレングリコール1mlを穏やかに混合しながら
加え、ゆっくりとRPMI1640培地にて希釈し、細
胞融合させた。細胞を洗浄後、10%ウシ胎児血清及び
ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン(HAT)
を含むRPMI1640培地に懸濁し、96穴マイクロ
プレートに200μl/ウェルまきこんだ。
【0102】5%炭酸ガス存在下37℃10日間培養
後、培養上清中の抗CAAF1抗体の有無を下記RIA
にて調べた。抗CAAF1抗体を産生するハイブリドー
マ細胞を限界希釈法にてクローニングし、抗CAAF1
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞株を樹立し
た。こうして得たモノクローナル抗体のうち、CAAF
1−16−5,CAAF1−22−5,CAAF1−2
5−25,CAAF1−31−5の4クローンを以下の
実験に用いた。
【0103】マウスモノクローナル抗体アイソタイピン
グキット(アマシャム)により、これらの抗体のサブタ
イプを調べた。CAAF1−16−5,CAAF1−2
2−5,CAAF1−31−5はIgG1 であり、CA
AF1−25−25はIgG2aであることが明らかとな
った。これらのハイブリドーマ細胞を1匹あたり約10
7 細胞BALB/cマウス腹腔に移植し、1−2週間後
産生された腹水を採取した。
【0104】腹水中に含まれるモノクローナル抗体は、
プロテインA結合セファロース(ファルマシア)カラム
を用いたアフィニティークロマトグラフィーにより精製
した。腹水を3MNaCl、1.5Mグリシン−HCl
(pH8.9)の緩衝液にて3倍に希釈し、濾過後、同じ
緩衝液で平衡化したProtein A-Sepharoce CL-4B (ファ
ルマシア)カラムにとおし、抗体を結合させた。次に、
IgG1 モノクローナル抗体に対しては0.1Mクエン
酸緩衝液(pH6.0)、IgG2bモノクローナル抗体に
対しては0.1Mクエン酸(pH5.0)を流すことによ
り、モノクローナル抗体を溶出した。この画分には、抗
体がSDS−PAGEで見積もって、およそ90%以上
の純度で含まれる。
【0105】なお、CAAF1に結合親和性を有する抗
体は、精製CAAF1を用いたラジオイムノアッセイ
(RIA)にて検出した。このRIAは以下のようにし
て行った。96ウエル−マイクロプレート(Xenob
ind)のウエルに、PBSにより10μg/mlに希釈
したウサギ抗マウスIgG抗体(免疫生物研究所)を、
50μl/ウエル加えて結合させた。0.05% Tw
een20を含むPBS(T−PBS)で洗浄後、ウエ
ルを3%ウシ血清アルブミン(BSA)を含む溶液でブ
ロッキングを行った。同様に3回洗浄した後、マウス抗
血清またはハイブリドーマ培養上清等のサンプルを50
μl加え、1時間室温で反応させた。
【0106】3回洗浄後、約5000cpm の 125I標識
CAAF1(125I−CAAF1)および3%BSAを含
むPBSをウエルに加え、室温にて1時間反応させた。
4回の洗浄の後、サンプルに含まれていた抗体に結合し
125I−CAAF1を10%酢酸にて解離させ、溶液
中の放射活性をガンマカウンターで測定した。125I−
CAAF1は、精製CAAF1をヨードゲン(ピアス)
により〔 125I〕−NaIと反応させ、Sephadex-G25
(ファルマシア) カラムによるゲル濾過にて未反応物と
分離することにより作製した。方法は、ピアス社の説明
書に従った。
【0107】実施例8免疫組織染色による組織中CA
AF1の検出 ウシ胎児の組織および、ヒト切除組織中のCAAF1タ
ンパクの検出を目的に、HISTOFINE免疫組織化
学染色システム(ニチレイ)を用いてCAAF1タンパ
クの免疫染色を行った。ウシ胎児の表1及び2に示す組
織及び、ヒト切除組織を用い、各組織を15%ホルマリ
ン緩衝液にて固定し、パラフィンで包埋した。切片をパ
ラフィン除去後、3%過酸化水素を含むメタノールで2
0分処理し内因性ペルオキシダーゼ活性を除去した。
【0108】さらにブロッキング試薬II(10%ウサ
ギ正常血清)にてブロッキング後、1次抗体として3%
BSAを含むPBSにて1000倍希釈したCAAF1
−22−5ハイブリドーマ腹水を使用し、各切片と室温
2時間反応させた。PBSで5分間3回洗浄後、次に2
次抗体(ビオチン標識ウサギ抗マウスIgM+IgA+
IgG抗体、10μg/ml)を室温1時間反応させた。
PBSで5分間3回洗浄後、酵素試薬(ペルオキシダー
ゼ標識ストレプトアビジン、100μg/ml)を室温3
0分間反応させた。PBSで5分間3回洗浄後、最後に
ペルオキシダーゼ基質であるジアミノベンチジンと反応
させ、CAAF1の存在を可視化した。
【0109】結果を示す写真を図8−図10に示す。反
応の有無を表1及び2に示した。ウシ胎児では、食道、
皮膚、角膜などの上皮組織、脾臓、胸腺などのリンパ組
織などに、CAAF1タンパクの発現が認められた。上
皮組織では基底細胞を除く扁平上皮細胞が、血液および
リンパ組織では、好中球およびマクロファージが陽性で
あった。
【0110】
【表1】
【0111】
【表2】
【0112】ヒトでは、正常組織中、食道、子宮頚部等
の粘膜上皮組織にCAAF1タンパク免疫活性を認め、
扁平上皮細胞が陽性であった。また血液およびリンパ組
織において、好中球およびマクロファージが陽性であっ
た。一方、ヒト正常組織中、CAAF1タンパク免疫活
性を認めた食道、子宮頚部の粘膜上皮組織において異型
上皮細胞では陰性であった。これら組織の癌部において
は、角化傾向の認められるものに過剰発現が認められ
た。また、正常ではCAAF1タンパク免疫活性が認め
られなかった肺および皮膚では、癌部で発現が認めら
れ、角化傾向の強い肺扁平上皮癌、および皮膚の扁平上
皮癌、ボーエン病(上皮内癌)、老人性角化腫(上皮内
癌)で過剰発現が認められた。さらにこれらの病変部に
浸潤している好中球、マクロファージは強いCAAF1
タンパク免疫活性を示した。
【0113】ヒト組織中に、CAAF1 22−5モノ
クローナル抗体と反応する抗原の存在が認められたこと
は、ヒト組織における、ウシCAAF1と相同のタンパ
ク(ヒトCAAF1)の存在を強く示唆する。また、癌
細胞と正常細胞との、抗CAAF1抗体に対する免疫反
応性の差異は、抗CAAF1抗体の癌(特に皮膚、口
腔、食道、呼吸器、子宮頚部等の扁平上皮癌)の診断薬
としての有用性を示唆する。更に、好中球、マクロファ
ージにおける抗CAAF1抗体に対する免疫反応性の存
在は、抗CAAF1抗体の各種炎症疾患診断薬としての
有用性を示唆する。
【0114】実施例9羊水中および血清中CAAF1
の測定 CAAF1に対するモノクローナル抗体CAAF1−2
2−5を50mM重炭酸ナトリウム緩衝液pH9.6に溶解
し、濃度を10μg/mlとした。これをELISAプレ
ート(NUNC)に100μl/ウエル加え、4℃にて
一夜放置し、モノクローナル抗体をコーティングした。
1%オボアルブミンを含むHBS(0.15M NaC
l,20mM HEPES−Na pH7.4)でブロッキ
ングした後、標準物質又は検体を0.5% OVA,
0.05% Tween20を含むHBS(OVA−T
−HBS)で適当に希釈して100μl添加し、室温1
時間反応させた。
【0115】プレートウォッシャー(バイオテック)を
用い、0.05% Tween20を含むHBSにてウ
エルを洗浄後、1μg/mlのビオチン標識CAAF1−
22−5モノクローナル抗体またはビオチン標識CAA
F1−25−25モノクローナル抗体を含有するOVA
−T−HBSを100μl加え、室温1時間反応させ
た。ウエルを洗浄後、西洋ワサビペルオキシダーゼ標識
アビジンD(ベクター)溶液をOVA−T−HBSで5
000倍に希釈して100μl加え、室温1時間反応さ
せた。ウエルを洗浄後、オルトフェニレンジアミンおよ
び過酸化水素を含む溶液100μlを加え、室温30分
発色反応させた。2N硫酸100μlで反応を停止した
後、各ウエルの492nmにおける吸光度をマイクロプレ
ートリーダーにて測定した。
【0116】なお、前記ビオチン標識モノクローナル抗
体は次のようにして調製した。精製したCAAF1−1
6−5,CAAF1−22−5,CAAF1−25−2
5,CAAF1−31−5の4クローンのモノクローナ
ル抗体各2mgを、2mlの0.1Mほう酸緩衝液(pH8.
8)に溶解し、同じ緩衝液で透析後、NHS−LC−B
iotin(ピアス)450μgを加え、4℃1夜反応
させた。これをPBSに対し透析し、未反応の試薬を除
いた。標準物質には、ウシ羊水から精製したCAAF1
を用い、その検量線(図6)から検体中のCAAF1濃
度を求めた。
【0117】この測定系にて、ビオチン標識CAAF1
−25−25モノクローナル抗体を用いた場合、約10
pg/ml、ビオチン標識CAAF1−22−5モノクロー
ナル抗体を用いた場合は、約500pg/mlの最小検出限
界でCAAF1を測定することができた。妊娠4ヶ月目
のウシ羊水中には、約1μg/ml、ウシ血清中には20
−60ng/mlのCAAF1が含まれていた。ヒトの検体
に対しては、ビオチン標識CAAF1−25−25モノ
クローナル抗体を用いた場合、有意な反応は認められな
かった。ビオチン標識CAAF1−22−5モノクロー
ナル抗体を用いた場合は、正常ヒト血清中に20−20
0ng/ml、ヒト羊水中に2〜5ng/mlのCAAF1
が測定された。
【0118】この結果から、本発明により、ウシおよび
ヒト体液中のCAAF1免疫活性の測定が可能であるこ
とが示された。ヒト血液および羊水中に、CAAF1
22−5モノクローナル抗体と反応する抗原の存在が認
められたとは、ヒト血液および羊水中における、ウシC
AAF1と相同のタンパク(ヒトCAAF1)の存在を
強く示唆する。
【0119】上記免疫組織染色の結果等から、正常細胞
と比較して癌細胞(特に皮膚、食道、呼吸器、子宮頚部
等の扁平上皮癌)において強いCAAF1免疫活性が認
められ、また抗CAAF1抗体によるヒト体液中のCA
AF1免疫活性の測定が可能であることから、この測定
系の癌(特に皮膚、食道、呼吸器、子宮頚部等の扁平上
皮癌)診断薬としての有用性が示唆された。更に、上記
免疫組織染色の結果、好中球、マクロファージにおいて
強いCAAF1免疫活性が存在することは、このCAA
F1測定系の各種炎症疾患診断薬としての有用性を示唆
する。
【0120】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:429 配列の型: 鎖の数:二本鎖 配列の種類:cDNA 配列の特徴:ウシ羊水由来のカルシウム結合タンパクの
アミノ酸配列及びそれをコードする塩基配列。 配列 CTGGCATTCC ACACTTCTGT GCAGAGGGGT GAACGTAGTT TGGTAAA ATG 50 Met 1 ACT AAG CTG GAA GAT CAC CTG GAG GGA ATC ATC AAC ATC TTC CAC 95 Thr Lys Leu Glu Asp His Leu Glu Gly Ile Ile Asn Ile Phe His 5 10 15 CAG TAC TCC GTT CGG GTG GGG CAT TTC GAC ACC CTC AAC AAG CGT 140 Gln Tyr Ser Val Arg Val Gly His Phe Asp Thr Leu Asn Lys Arg 20 25 30 GAG CTG AAG CAG CTG ATC ACA AAG GAA CTT CCC AAA ACC CTC CAG 185 Glu Leu Lys Gln Leu Ile Thr Lys Glu Leu Pro Lys Thr Leu Gln 35 40 45 AAC ACC AAA GAT CAA CCT ACC ATT GAC AAA ATA TTC CAA GAC CTG 230 Asn Thr Lys Asp Gln Pro Thr Ile Asp Lys Ile Phe Gln Asp Leu 50 55 60 GAT GCC GAT AAA GAC GGA GCC GTC AGC TTT GAG GAA TTC GTA GTC 275 Asp Ala Asp Lys Asp Gly Ala Val Ser Phe Glu Glu Phe Val Val 65 70 75 CTG GTG TCC AGG GTG CTG AAA ACA GCC CAC ATA GAT ATC CAC AAA 320 Leu Val Ser Arg Val Leu Lys Thr Ala His Ile Asp Ile His Lys 80 85 90 GAG TAGGAA GCTCTTTCCA GCAATGTCCC CAAGAAGACT TACCCTTCTC 369 Glu CTCCCTGAGG CTGCCTTACC CGAGGGAAGA GAGAATTAAT AAACGTACTT 419 TGGCAAAGTT 429
【0121】配列番号:2 配列の長さ:51 配列の型:アミノ酸 配列 Thr Lys Leu Glu Asp His Leu Glu Gly Ile Ile Asn Ile Phe His 1 5 10 15 Gln Tyr Ser Val Arg Val Gly His Phe Asp Thr Leu Asn Lys Arg 20 25 30 Glu Leu Lys Gln Leu Ile Thr Lys Glu Leu Pro Lys Thr Leu Gln 35 40 45 Asn Thr Lys Asp Gln Pro 50
【0122】配列番号:3 配列の長さ:8 配列の型:アミノ酸
【0123】配列番号:4 配列の長さ:12 配列の型:アミノ酸
【0124】配列番号:5 配列の長さ:9 配列の型:アミノ酸
【0125】配列番号:6 配列の長さ:31 配列の型:アミノ酸 配列 Leu Pro Lys Thr Leu Gln Asn Thr Lys Asp Gln Pro Thr Ile Asp 1 5 10 15 Lys Ile Phe Gln Asp Leu Asp Ala Asp Lys Asp Gly Ala Val Ser 20 25 30 Phe
【0126】配列番号:7 配列の長さ:20 配列の型:アミノ酸 配列 Glu Phe Val Val Leu Val Ser Arg Val Leu Lys Thr Ala His Ile 1 5 10 15 Asp Ile His Lys Glu 20
【0127】配列番号:8 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:合成 配列 TTNGARGAYC AYYTNGARGG 20
【0128】配列番号:9 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:合成 配列 TTRTGDATRT CDATRTGNGC 20
【0129】配列番号:10 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:合成 配列 GGTGGCGACG ACTCCTGGAG CCCG 24
【0130】配列番号:11 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:合成 配列 TTGACACCAG ACCAACTGGT AATG 24
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はウシ由来のカルシウム結合タンパクのア
ミノ酸配列及びそれをコードするDNAの塩基配列を示
す。図中Nで示す実線は、該タンパクのN−末端アミノ
酸配列決定の結果を示し、そしてV8−Pで示す点線
は、該タンパクをS.アレニウムV8プロテイナーゼで
切断した場合に生ずる2つのペプチド断片のアミノ酸配
列を示す。
【図2】図2はウシ由来のカルシウム結合タンパクのア
ミノ酸配列及びそれをコードするDNAの塩基配列を示
す。図中Nで示す実線は、該タンパクのN−末端アミノ
酸配列決定の結果を示し、V8−Pで示す点線は、該タ
ンパクをS.アレニウムV8プロテイナーゼで切断した
場合に生ずる2つのペプチド断片のアミノ酸配列を示
し、そしてLysy1−Pで示す破線は、該タンパクを
リシルエンドペプチダーゼで切断した場合に生ずる断片
のアミノ酸配列を示す。
【図3】図3は、ウシ羊水のTricine-SDS-PAGE銀染色ゲ
ル(A)、およびTricine-SDS-PAGE後の45Ca2+オーバ
ーレイオートラジオグラム(B)を示す電気泳動図であ
る。図中、レーン1はメルカプトエタノールの存在下、
レーン2は非存在下に電気泳動したものである。
【図4】図4は、ウシ羊水の陽イオン交換クロマトグラ
ム(A)、およびその各分画のTricine-SDS-PAGE銀染色
ゲル(B)、およびTricine-SDS-PAGE後の45Ca2+オー
バーレイオートラジオグラム(C)を示す電気泳動図で
ある。図中*1に示す部分にCAAF1が含まれる。
【図5】図5は、精製CAAF1のSDS−PAGE分
析の銀染色ゲルを示す電気泳動図である。
【図6】図6は、ゲル濾過クロマトグラフィーにおける
CAAF1の見掛け分子量を示すグラフである。
【図7】図7はビオチン−標識抗−カルシウム結合タン
パク抗体を用いてカルシウム結合タンパクを測定する場
合のカルシウム結合タンパク濃度と吸光度との関係(検
量線)の一例を示す図である。
【図8】図8は、各組織切片のCAAF1−22−5モ
ノクローナル抗体を用いた免疫組織染色(A:ウシ胎仔
皮膚(表皮)、B:ウシ胎仔食道(粘膜))の結果を示
す生物の形態を表わす図面代用写真である。
【図9】図9は、各組織切片のCAAF1−22−5モ
ノクローナル抗体を用いた免疫組織染色(C:ウシ胎仔
羊膜、D:ウシ胎仔胸腺)の結果を示す生物の形態を表
わす図面代用写真である。
【図10】図10は、各組織切片のCAAF1−22−
5モノクローナル抗体を用いた免疫組織染色(E:ヒト
成人食道(正常粘膜)、F:ヒト成人食道(癌細胞およ
び浸潤細胞))の結果を示す生物の形態を表わす図面代
用写真である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07K 16/18 8517−4H C07K 16/18 C12N 1/21 8828−4B C12N 1/21 C12P 21/02 C12P 21/02 C 21/08 21/08 G01N 33/53 G01N 33/53 D S 33/577 33/577 B // A61K 39/395 A61K 39/395 D N C12N 5/10 9281−4B C12N 5/00 B (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:19) (C12P 21/08 C12R 1:91) (C12N 5/10 C12R 1:91) (72)発明者 山口 建 東京都中央区築地5丁目1番1号 国立が んセンター内 (72)発明者 木村 達治 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡1丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号:1に示すアミノ酸配列と実質
    的に同一のアミノ酸配列を含んで成るカルシウム結合タ
    ンパク。
  2. 【請求項2】 配列番号:1に示すアミノ酸配列から成
    るカルシウム結合タンパクCAAF1。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のタンパクの部分
    であるタンパク又はペプチド。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のタ
    ンパク又はペプチドと他のタンパク又はペプチドとから
    成る融合タンパク。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載のタ
    ンパクをコードするDNA。
  6. 【請求項6】 配列番号:1に示すヌクレオチド配列を
    有するDNAとハイブリダイズすることができ、且つカ
    ルシウム結合活性を有するタンパクをコードしているD
    NA。
  7. 【請求項7】 請求項5又は6に記載のDNAに遺伝的
    制御要素が結合して成る組換えDNA分子。
  8. 【請求項8】 前記遺伝的制御要素が原核性プロモータ
    ー系又は真核性発現制御系である請求項7に記載の組換
    えDNA分子。
  9. 【請求項9】 請求項7又は8に記載の組換えDNA分
    子を含んで成る発現ベクター。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の発現ベクターにより
    形質転換された組換え宿主。
  11. 【請求項11】 宿主が原核細胞又は真核細胞である請
    求項10に記載の組換え宿主。
  12. 【請求項12】 原核細胞が細菌である、請求項11に
    記載の組換え宿主。
  13. 【請求項13】 前記細菌が大腸菌(Escheric
    hia coli)である、請求項12に記載の組換え
    宿主。
  14. 【請求項14】 前記真核細胞が酵母又は糸状菌であ
    る、請求項11に記載の組換え宿主。
  15. 【請求項15】 前記真核細胞が植物細胞又は動物細胞
    である請求項11に記載の組換え宿主。
  16. 【請求項16】 請求項2に記載のカルシウム結合タン
    パクの製造方法であって、ウシの羊水又はウシの組織か
    ら該タンパクを単離することを特徴とする方法。
  17. 【請求項17】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の
    タンパクの製造方法であって、該タンパクをコードする
    DNAを含んで成る発現ベクターにより形質転換された
    宿主を培養し、培養物から該タンパクを採取することを
    特徴とする方法。
  18. 【請求項18】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の
    タンパクに対して結合親和性を有する抗体。
  19. 【請求項19】 ポリクローナル抗体又はモノクローナ
    ル抗体である、請求項18に記載の抗体。
  20. 【請求項20】 請求項19に記載のモノクローナル抗
    体を産生するハイブリドーマ。
  21. 【請求項21】 請求項20に記載のハイブリドーマを
    培養することを特徴とする、請求項19に記載のモノク
    ローナル抗体の製造方法。
  22. 【請求項22】 請求項18又は19に記載の抗体を含
    んで成る、炎症性疾患、腫瘍性疾患(特に扁平上皮
    癌)、皮膚疾患又は血液疾患の診断薬。
  23. 【請求項23】 請求項18又は19に記載の抗体を含
    んで成るカルシウム結合タンパク測定用試薬。
  24. 【請求項24】 請求項23に記載の試薬を使用するこ
    とを特徴とする、カルシウム結合タンパクの測定方法。
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US08/568,310 US5976832A (en) 1995-03-06 1995-12-06 DNA encoding novel calcium-binding proteins
US09/270,455 US6313267B1 (en) 1995-03-06 1999-03-17 Calcium-binding proteins
US09/910,208 US20030055215A1 (en) 1995-03-06 2001-07-20 Novel calcium-binding proteins
US13/027,983 US20120164660A1 (en) 1995-03-06 2011-02-15 Method for using a diagnostic agent which includes a calcium binding protein assay reagent and assay method for calcium binding protein

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011053222A (ja) * 2002-02-15 2011-03-17 Clemens Sorg カルグラヌリンcを用いた炎症性疾患の診断方法

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