JPH08232576A - トンネルの接続工法及びトンネル接続用セグメント - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単に大規模のトンネルを形成できるトンネ
ルの接続工法及びトンネル接続用セグメントを提供する
ことを目的とする。 【解決手段】 所定の間隔をおいて隣接して掘削したト
ンネル７０間の地山７２を掘削して拡幅し、トンネル７
０同士を接続する。この場合、少なくとも一方のトンネ
ル７０を構成するセグメント本体１２からトンネル７０
間の地山７２に山留板１４を圧入して、トンネル７０間
の地山７２を覆い、止水及び山留を行なう。次いで、山
留板１４に囲まれた地山７２を掘削してトンネル７０を
拡幅し、接続する。山留板１４は梁材１４ａにて補強さ
れて片持梁を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、トンネルの接続工
法及びトンネル接続用セグメントに関し、特に所定の間
隔をおいて隣接して掘削したトンネル間の地山を掘削し
て拡幅し、トンネル同士を接続するためのトンネルの接
続工法及びトンネル接続用セグメントに関する。

【０００２】

【背景技術】一般に、都市トンネルは地上構造物に比べ
て建設コストが高く、維持費も地上部の道路に比べて不
経済なことが多い。このため、やむを得ない箇所に地下
道路が建設されることが多く、トンネル区間はなるべく
短く、なるべく浅く設置してアプローチ部分を短くする
のが普通である。

【０００３】また、地下トンネルの施工にあたっては、
一般に開削工法が採用されることが多いが、最近の工事
では沿道の環境から開削工法が採用できない場合が増加
する傾向にある。

【０００４】このように開削工法が採用できない場合、
シールド工法を採用して対処することが一般的である。
現在のシールド工法では、円形断面が基本断面であり、
その最大直径は１４ｍに達し、更には直径１９ｍ程度の
大口径シールドの計画もなされているのが現状である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】前述の大口径の円形シ
ールドを採用する場合には、機械製作費が巨大となり、
機械重量の増加、セグメント重量の増加や立坑用地の確
保等大都市内での工事環境に対して適応し難いという問
題があった。

【０００６】また、大口径のシールドの場合、土被りが
大きく必要となってアプローチ部分が長くなるので、比
較的土被りの小さなトンネルを設置するような場合には
採用し難いものである。

【０００７】更に、トンネル断面の拡大、縮小が自由に
できないという問題があった。

【０００８】また、数百ｍ程度の中距離や短距離の大断
面トンネルに対しては、シールド機及び地上設備が過大
となってしまうという問題があった。

【０００９】そこで、矩形断面かつ比較的小型のシール
ド機を用いて、トンネルを隣接させて掘削し、この隣接
するトンネル同士を接続することにより、前述の問題に
対処することが考えられる。

【００１０】この場合、トンネル同士を接続する際に、
トンネル間の地山を掘削しなければならず、そのために
は、土圧対策や止水対策を行わなければならないという
問題があった。

【００１１】本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされ
たものであって、その目的は、機械製作費を抑え、機械
重量やセグメント重量を抑え、立坑用地の確保等大都市
内での工事環境に対して容易に適応し得、土被りも小さ
くて済み、トンネル断面の拡大、縮小、分岐や合流など
の施設の設置、非常駐車帯等の一定間隔毎の設置に容易
に対処でき、数百ｍ程度の中距離、短距離のトンネルに
対してもシールド機が過大となることがなく、しかも土
圧対策や止水対策を行いつつトンネル間の地山の掘削を
おこなうことのできるトンネルの接続工法及びトンネル
接続用セグメントを提供することにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項１記載の発明は、所定の間隔をおいて隣接し
て掘削した矩形断面トンネル間の地山を掘削して拡幅
し、トンネル同士を接続するトンネルの接続工法であっ
て、少なくとも一方のトンネルを構成するセグメントか
らトンネル間の地山に山留板を圧入して、トンネル間の
地山を覆い、止水及び山留を行なう工程と、前記山留板
に囲まれた地山を掘削してトンネルを拡幅し、接続する
工程と、を含み、前記山留板は、梁材にて補強されて片
持梁を構成することを特徴とする。

【００１３】請求項１の発明にあっては、少なくとも一
方のセグメントからトンネル間の地山に山留板を圧入し
てトンネル間の地山を覆い、止水及び山留を行うことに
より、容易かつ確実に止水及び山留を行うことが可能と
なり、従って前記山留板に囲まれた地山の拡幅を確実な
止水及び山留の状態のもとで容易に行うことが可能とな
る。

【００１４】そして、山留板に梁材を設けて補強し片持
梁を構成させることで、地山に山留板を安定して差込む
ことが可能となり、しかも山留板の差込み時に地山の土
水圧が高くても、梁材にて山留板のたわみを防止して止
水材による長孔の止水性を維持することができる。

【００１５】請求項２記載の発明は、所定の間隔をおい
て隣接して掘削したトンネル間の地山を掘削して拡幅
し、トンネル同士を接続する際に用いるトンネル接続用
セグメントであって、矩形断面のセグメント本体と、こ
のセグメント本体の矩形断面対向位置のスキンプレート
外面にスライド可能に設けられた山留板と、前記セグメ
ント本体内に配設されて前記山留板を地山内に圧入する
スライド駆動手段と、を備え、前記スキンプレートに
は、セグメント本体の軸方向と直交する方向にわたる長
孔が形成されると共に、スキンプレートを貫通する長孔
の周囲外面には前記山留板との間の止水を行なう止水材
が配設され、前記山留板は、前記スキンプレートの長孔
に臨み前記長孔を介してスライド駆動手段と接続される
接続部を有し、かつ、梁材にて補強されて片持梁を構成
することを特徴とする。

【００１６】請求項２の発明にあっては、スキンプレー
トに形成した山留板スライド用の長孔の周囲外面に止水
材を配設することにより、長孔の存在に拘らず、確実な
止水を行うことが可能となり、しかも山留板に形成した
長孔に臨むねじ穴にスライド駆動手段を接続することに
より、容易に山留板のスライドを行うことが可能とな
る。

【００１７】そして、山留板に梁材を設けて補強し片持
梁を構成させることで、地山に山留板を安定して差込む
ことが可能となり、しかも山留板の差込み時に地山の土
水圧が高くても、梁材にて山留板のたわみを防止して止
水材による長孔の止水性を維持することができる。

【００１８】請求項３記載の発明は、請求項１におい
て、隣接するトンネルを構成する相互のセグメントから
山留板をトンネル間の地山に圧入して、各梁材の先端部
分を重合させ、前記梁材に横方向に形成されたボルト螺
合部にボルトを挿通して、隣接する前記梁材同士を連結
することを特徴とする。

【００１９】また、請求項４記載の発明は、請求項２に
おいて、前記梁材は、横方向にボルト螺合部が形成さ
れ、隣接するトンネルを構成する他のセグメントの梁材
と重合させて連結できることを特徴とする。

【００２０】請求項３及び請求項４の発明によれば、梁
材に横方向にボルト螺合部が形成されている。このボル
ト螺合部は、ボルトを挿通する穴やめねじを含むもので
あり、重合した梁材をボルトにて連結することができ
る。しかも、ボルト螺合部は、横方向に形成されるもの
なので、上下方向に形成される場合と比べて漏水が少な
くて済む。

【００２１】請求項５記載の発明は、請求項２または請
求項４において、前記セグメント本体は、上下部および
両側部の４つの板状のセグメントピースと、コーナー部
に配設される４つの隅角部ピースとを有し、前記隅角部
ピースは、前記上下部のセグメントピースと同一平面上
に配設される板状に形成されると共に、外面に設けられ
るスキンプレートは前記側部のセグメントピース側の端
部を前記側部のセグメントピース側に所定の曲率で曲折
させた曲折部を有することを特徴とする。

【００２２】請求項５の発明によれば、隅角部ピースが
上下部のセグメントピースと同一平面上に配設される板
状となっているため、Ｌ字状等に屈曲している等の複雑
な形状である場合に比し、組立施工時に容易に組み込み
を行うことができ、しかも、スキンプレートの端部に所
定曲率の曲折部を形成するだけで、複雑な加工を必要と
せず、加工費を削減することができる。

【００２３】請求項６記載の発明は、請求項５におい
て、前記上下部の同一平面上に配設される一対の隅角部
ピースは、一方が幅広、他方が幅狭とされ、掘進方向に
隣接する前記セグメント本体同士の隣接する隅角部ピー
スが、一方のセグメント本体側が幅広、他方のセグメン
ト本体側が幅狭とされることを特徴とする。

【００２４】請求項６の発明によれば、掘進方向に隣接
するセグメント本体の隅角部ピースの接合部分が一直線
にならず、互い違いになるため、連結した状態のセグメ
ントの強度を向上させることができる。

【００２５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
について、図面を参照しつつ詳細に説明する。

【００２６】図１〜図１０は、本発明の一実施の形態に
係るトンネル接続用セグメントを示す図である。このト
ンネル接続用セグメント１０は、セグメント本体１２
と、山留板１４とを備えている。

【００２７】そして、本発明の特徴は、山留板１４が梁
材１４ａによってたわみにくい構造になった点にある
（図７参照）。

【００２８】セグメント本体１２は、断面略矩形の角を
面取りした形状をなす鋼製のもので、上下部及び両側部
の４つの板状のセグメントピース１６、１７と、コーナ
ー部に配設される４つの隅角部ピース１８とから構成さ
れている。

【００２９】上下部の板状のセグメントピース１６は、
型鋼材からなる主桁２０ａ及び継手板２０ｂを矩形に枠
組みし、その片側面に鋼板製のスキンプレート２２を取
付け、主桁２０ａ間に複数のリブ２４を設けて形成され
ている。

【００３０】両側部の板状のセグメントピース１７は、
型鋼材からなる主桁２０ａ及び継手板２０ｂを矩形に枠
組みし、対向する一対の主桁２０ａ間に複数のチャンネ
ル状の型鋼材２１を取外し可能に取付けて形成されるよ
うになっている。このように、取り外し可能に形成した
のは、後述するように、隣接するセグメント本体１２同
士を連結するためであって、連結する必要がない箇所に
おいては取り外せるようにする必要はない。

【００３１】隅角部ピース１８は、曲折部分を面取りし
た状態の略Ｌ字状の鋼板２６と、この鋼板２６の周囲に
取付けられた主桁２８ａ及び継手板２８ｂと、この主桁
２８ａ間に取付けられた複数のリブ３０とから構成さ
れ、長手辺に位置する継手板２８ｂと隣接するセグメン
トピース１６の主桁２０とを連結することにより、セグ
メント本体１２が形成されるようになっている。

【００３２】また、セグメントピース１６、１７の継手
板２０ｂ及び隅角部ピース１８の継手板２８ａには、隣
接する部材同士を連結するための鉄筋又はＰＣ鋼棒等の
応力材を挿通させる貫通孔（図示せず）が形成され、隅
角部ピース１８の鋼板２６にも、貫通孔３６が所定間隔
で形成されている。

【００３３】なお、鋼板２６に形成される貫通孔３６に
は、蓋が取付けられ、トンネルの拡幅時に蓋を取り外し
て、トンネル接続部分の地盤改良を行うための注入孔と
して利用できるようになっている。

【００３４】山留板１４は、セグメント本体１２の対向
するスキンプレート２２、２２外側にスライド可能に設
けられるもので、この実施例においては、セグメント本
体１２の上下面に位置するスキンプレート２２の外面に
鋼板製の山留板１４をスライド可能に設け、トンネルを
横方向に拡幅し得るようにしている。

【００３５】なお、トンネルを上下方向に拡幅する場合
には、セグメント本体１２の側面で対向するスキンプレ
ート２２、２２の外側に山留板１４をスライド可能に設
け、山留板１４を上下方向にスライドさせることによ
り、トンネル上下の拡幅を行うことが可能となる。

【００３６】本実施例の特徴として、山留板１４に梁材
１４ａが設けられた点がある。この梁材１４ａは、図７
に示すように、隅角部ピース２６及びセグメントピース
１６（図８参照）を両側から挟むようにして山留板１４
の両端に固定されるもので、山留板１４と梁材１４ａと
で左に９０度回転させたコ字状をなしている。なお、隅
角部ピース２６及びセグメントピース１６には梁材１４
ａの厚さに応じた案内板１４ｂを設けておくことによ
り、山留板１４をスライドさせるときのガイドとするこ
とができる。

【００３７】このスライドガイドの存在によって、山留
板１４が移動にともなって前下がり状態になるのを防止
することができ、山留板１４とスキンプレート２２との
密着状態を維持して、止水材４２による止水効果を一層
高めることができる。そして、前下がり状態が防止され
ることで、山留板１４は、片持梁としての効果を一層高
めることができる。

【００３８】そして、この梁材１４ａは、詳しくは厚板
などの鋼材からなるもので、この梁材１４ａを設けるこ
とで山留板１４がたわまないように支持され、片持梁と
しての機能を果たすようになる。したがって、別に山留
板１４を支持する手段を設けなくても、地山７２（図１
４参照）の重さを支持することができる。もっとも、こ
れに加えて山留板１４を支持する手段を設ければ一層強
度が増すことになる。また、山留板１４を設けたスキン
プレート２２には、図２に示すように、セグメント本体
１２の軸方向と直交する方向にわたる一対の長孔３８が
形成され、山留板１４にはスキンプレート２２の長孔３
８に臨むスライド駆動手段の接続部としてのねじ穴４０
が所定間隔で複数形成されている。そして、この長孔３
８の周囲外面には止水材４２が配設され、山留板１４と
の間の止水を行うようにされている。この止水材４２
は、図４に示すように、接合板４４を溝底として長孔３
８の外周に形成された取付溝４６内に一部突出状態では
め込まれたもので、止水材４２としては例えばゴムリン
グが用いられる。

【００３９】更に、山留板１４のねじ穴４０は、図２に
示すように、スキンプレート２２の長孔３８の長さＬ1
よりも短い間隔Ｌ2 で形成され、かつ前記長孔３８の形
成領域をこえた位置にも形成されている。

【００４０】そして、スキンプレート２２には、長孔３
８の形成領域をこえた位置のねじ穴４０に対応して、図
５に示すように、山留板１４固定用の接合ボルト取付孔
４８が形成され、この接合ボルト取付孔４８より接合ボ
ルト５０を差込んでねじ穴４０に螺合させることによ
り、山留板１４をスキンプレート２２に固定できるよう
になっている。

【００４１】また、接合ボルト５０を取り外した後は、
図６に示すように、蓋５２を螺合させて閉塞し得るよう
になっており、しかも必要時には蓋５２を取外して裏込
め剤注入孔として利用できるようになっている。

【００４２】スライド駆動手段としては、図９及び図１
０に示すように、油圧ジャッキ５４を用いることとして
ある。油圧ジャッキ５４は、上下に位置するセグメント
ピース１６、１６の内側に取り付けられ、先端に山留板
接続治具５６を備え、この山留板接続治具５６に設けた
ボルト５８を山留板１４のねじ穴４０に螺合できるよう
になっている。こうして、油圧ジャッキ５４を作動させ
ることにより、山留板１４をスライドさせることができ
る。

【００４３】そして、長孔３８の長さＬ1 の範囲で山留
板１４をスライドさせた後、次に長孔３８内に臨んだね
じ穴４０にボルト５８を付け替え、順次スライドさせて
いくことにより、短い長孔３８でも山留板１４の充分な
スライド量を確保し得るようにしている。

【００４４】また、長孔３８を短くすることにより、止
水区域を少なくして止水性を向上させることが可能とな
る。また、油圧ジャッキ５４の後端には、図９に示すよ
うに、耐力部材としての継手板２０ｂに当接する反力受
け材５９が取付けられ、この反力受け材５９を介して継
手板２０ｂに山留板１４圧入時の反力を持たせるように
している。耐力部材としては継手板２０ｂのほかに、リ
ブを補強して用いることも可能である。

【００４５】図１７および図１８には、セグメント本体
の変形例を示す。

【００４６】このセグメント本体１１０は、上下部およ
び両側部の４つの板状のセグメントピース１１２、１１
４と、コーナー部に配設される４つの隅角部ピース１１
６、１１８とから構成され、この隅角部ピース１１６、
１１８の加工および組立施工を容易にし、かつ、接合時
の強度を向上させるようにしたところに特徴を有してい
る。

【００４７】上下部および両側部のセグメントピース１
１２、１１４は、前述のセグメントピース１６、１７と
ほぼ同様の構造となっており、両側部のセグメントピー
ス１１４が上下部のセグメントピース１１２の配設位置
に達する長さとされている点で相違するだけとなってい
る。

【００４８】隅角部ピース１１６、１１８は、主桁１２
０、リブ１２２および継手板１２４を枠組みし、その外
面にスキンプレート１２６を設けた板状のものとして形
成され、上下部のセグメントピース１１２と同一平面上
に配設されるようになっている。

【００４９】また、スキンプレート１２６は、側部のセ
グメントピース１１４側に、その端部を側部のセグメン
トピース１１４側に所定の曲率で曲折させた曲折部１２
８が形成された状態となっている。

【００５０】このように、スキンプレート１２６を所定
の曲率で曲折させるだけで済むため、加工が容易で、加
工費を削減することができ、しかも、隅角部ピース１１
６、１１８を板状にして上下部のセグメントピース１１
４と同一平面上に配設するようにすることで、組立施工
時に組み込みを容易に行うことができる。

【００５１】また、上下部に配設される一対の隅角部ピ
ース１１６、１１８は、一方の隅角部ピース１１６が幅
Ｗ₁と幅狭に形成され、他方の隅角部ピース１１８が幅
Ｗ₂と幅広に形成されている。

【００５２】そして、図１８に示すように、掘進方向
（図中矢印方向）に隣接するセグメント本体１１０同士
の隣接する隅角部ピースを一方のセグメント本体１１０
側が幅狭の隅角部ピース１１６、他方のセグメント本体
１１０が幅広の隅角部ピース１１８となるように配設す
るようにしている。

【００５３】このような配設とすることにより、隣接す
るセグメント本体１１０同士の隅角部ピース１１６、１
１８の接合部分が一直線にならずに、互い違いになるた
め、接合状態での強度を向上させることができる。

【００５４】なお、上下部に配設される上下対向位置の
隅角部ピースも、幅狭の隅角部ピース１１６と幅広の隅
角部ピース１１８とが対向配置されるようになってい
る。

【００５５】図１９および図２０には、トンネル接続用
セグメントの変形例を示す。

【００５６】このトンネル接続用セグメント１０は、山
留板１４の両端に梁材１４ａが固定され、セグメント本
体１２側には、隅角部ピース２６およびセグメントピー
ス１６に梁材１４ａの厚さに応じた案内板１４ｂが設け
られ、案内板１４ｂに沿って山留板１４をスライドさせ
るようになっている。

【００５７】また、案内板１４ｂと隅角部ピース２６お
よびセグメントピース１６には、掘進方向でセグメント
本体１２同士を連結するためのボルト孔１３０が形成さ
れており、このボルト孔１３０の外側に位置する案内板
１４ｂ上にシール材１３２をその幅方向全体にわたって
取り付けることにより、ボルト孔１３０位置でのボルト
による固定時に、同時にシール材１３２を締め付けて、
ボルト孔１３０側に対しシールを行えるようにしてい
る。

【００５８】なお、山留板１４を図中矢印方向にスライ
ドさせて横方向に拡幅する場合、掘進方向に隣接するセ
グメント本体１２間の案内板１４ｂ上方に空隙１３４が
生じることとなり、この空隙１３４は、充填材によって
閉塞するようにしている。

【００５９】次に、本発明の一実施の形態に係るトンネ
ルの接続工法について、図１１〜図１６を参照しつつ説
明する。

【００６０】まず、矩形のシールド機を用いて、図１１
に示すように、所定間隔を置いて隣接する２本のトンネ
ル７０を掘削しつつ、トンネル接続用セグメント１０を
組み立てて連結し、トンネル７０、７０を構築する。

【００６１】次に、必要に応じて図１２に示すように、
トンネル７０の内部からトンネル７０の拡幅部分上下の
地山７２の地盤改良を行う。この場合、セグメント本体
１２を構成する隅角部ピース１８の鋼板２６に形成した
貫通孔３６より注入管７４を地山７２内に差込み、地盤
改良用の薬液を地山７２内に注入して地盤改良を行う。

【００６２】次いで、図１３に示すように、接合ボルト
取付穴４８（図５参照）を貫通して山留板１４のねじ穴
４０に螺合する接合ボルト５０を取外した状態で山留板
１４を圧入し、各トンネル接続用セグメント１０の上下
から、山留板１４を前記地盤改良した地山７２に対して
圧入し、山留板１４の先端部同士が重合する状態とす
る。また、必要に応じて、接合ボルト取付穴４８より周
囲の地山７２に裏込め剤を注入する。裏込め剤注入後
は、接合ボルト取付穴４８に蓋５２を取付けて、止水し
ておけばよい。

【００６３】また、油圧ジャッキ５４（図９参照）先端
の山留板接続治具５６に設けたボルト５８をスキンプレ
ート２２の長孔３８（図３参照）より臨むねじ穴４０に
螺合させて油圧ジャッキ５４を作動させ、順次長孔３８
に臨むねじ穴４０に山留板接続治具５６を付け替えつ
つ、油圧ジャッキ５４を作動させていくことにより、所
定距離の山留板１４の圧入を行うようにしている。

【００６４】この場合、長孔３８が短くて済むため、止
水区域が少なく、止水性が向上することとなる。更に、
油圧ジャッキ５４による山留板１４の圧入時における反
力は、反力受け部材５９（図９参照）を介して継手板２
０ｂが受けるようになっているため、充分な圧入力を得
ることが可能である。

【００６５】そして、山留板１４の地山７２への圧入時
には、山留板１４に固定された梁材１４ａが山留板１４
の剛性を高めるとともに、案内板１４ｂがガイドとなっ
て、山留板１４ａが前下がりや前上がりになるのを防止
することができ、山留板１４とスキンプレート２２との
密着状態を維持して、止水材４２による止水効果を確実
に維持することが可能となる。

【００６６】また、山留板１４同士の重合部分におい
て、止水が必要な場合には、鋼板２６の貫通孔３６を開
け、注入管を差込んで止水剤を注入し確実な止水を行う
ようにしている。

【００６７】次いで、図１４に示すように、山留板１４
によって囲まれたトンネル７０間の地山７２を拡幅掘削
する。この場合、各セグメント本体１２の拡幅する地山
７２に面した側の側部の板状のセグメントピース１７か
らチャンネル型鋼板２１を取外して、側部を開放する。
そして、この開放した側部からミニバックホー等の掘削
機を用いてトンネル７０間の地山を拡幅掘削するように
している。

【００６８】次に、地山７２を完全に掘削した状態にお
いて、図１６に示すように、隣接する山留板１４の梁材
１４ａ同士をボルト接合し、一例として図１５に示すよ
うにチャンネル状の鋼板２１を用いて、隣同士の接続用
セグメント１０におけるセグメントピース１７の主桁２
０ａ同士を連結すると共に、隅角部ピース１８の貫通孔
３６にＰＣ鋼棒（図示せず）を挿通して締めつけ、この
ＰＣ鋼棒に必要な軸力を加えて定着する。

【００６９】そして、このような工程を、繰り返すこと
により、任意の幅の、しかも拡張、縮小のあるトンネル
を容易に形成することができ、このようにして形成した
トンネルを例えば大断面のトンネルの壁面として形成す
るような場合には、トンネル７０の内部及び拡幅部分に
高流動のコンクリートを打設し、更に上部の空隙に２次
注入することにより、完成されることとなる。

【００７０】このようなトンネルの接続工法を用いるこ
とにより、例えば、矩形のシールド機を用いてトンネル
の輪郭に沿って所定間隔を置きながら小断面の矩形の複
数のトンネル７０を掘削し、このトンネル７０間の地山
を拡幅掘削して、トンネル７０同士を連結し、内部にコ
ンクリート７８を打設して壁８０を構築した後、壁８０
に囲まれた地山を掘削して大断面の矩形のトンネル８２
を構築することが可能となる。また、このトンネル８２
の断面形状は、凸型、凹型、Ｌ型、Ｔ型等種々の形状と
することが可能である。

【００７１】本発明は、前記実施の形態に限定されるも
のではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の実施
の形態に変形可能である。

【００７２】例えば、前記実施の形態においては、山留
板のスライド駆動手段として油圧ジャッキを用いた場合
について説明したが、この例に限らず、例えば、パイル
打ち機をセグメント本体に固定し、その先端を山留板に
連結してスライドさせる他、種々のスライド駆動手段を
用いることが可能である。

【００７３】また、山留板を隣接する双方のトンネル接
続用セグメントから突出させるようにしているが、これ
に限らず、拡幅幅が小さいような場合には一方のトンネ
ル接続用セグメントのみから山留板を突出させるように
することも可能である。

【００７４】更に、上下のトンネル間の地山を拡幅掘削
する場合には、セグメント本体の両側部から山留板を地
山に差し込んでから、側部の土留材を取外して山留板に
囲まれた地山を掘削することも可能である。

【００７５】また、上記実施の形態においては、山留板
１４と梁材１４ａとで、図７に示すようにコ字状をなす
ようにしたが、これに限定されるものではなく、山留板
１４の多少内側に梁材１４ａを設けても良い。さらに、
梁材１４ａは、２つ設けるものに限らず、３つ以上設け
ることとしても良い。

【００７６】更に、山留板１４と梁材１４ａとを、断面
コ字状の一体的なものとして製造しても良い。

【００７７】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係るトンネル接続用セグメ
ントの概略断面図である。

【図２】図１の平面図である。

【図３】図２の山留板を取り外した状態における部分拡
大図である。

【図４】図３のIV−IV線に沿う拡大断面図である。

【図５】セグメント本体の接合ボルト取付穴位置におけ
る接合ボルト取付状態の拡大断面図である。

【図６】図３の状態から接合ボルトを取り外し、止水キ
ャップを取り付けた状態を示す拡大断面図である。

【図７】セグメント本体のスライドガイドの状態を示す
側面図である。

【図８】セグメント本体のスライドガイドの状態を示す
正面図である。

【図９】セグメント本体に対する油圧ジャッキの取付状
態を示す断面図である。

【図１０】図９のＸ−Ｘ線に沿う断面図である。

【図１１】所定の間隔をおいてトンネルを隣接して掘削
した状態を示す断面図である。

【図１２】接続部分の地山の地盤改良を行った状態を示
す断面図である。

【図１３】山留板を地山に差込んだ状態を示す断面図で
ある。

【図１４】トンネル間の地山の掘削を行った状態を示す
断面図である。

【図１５】セグメント同士を接続した状態を示す断面図
である。

【図１６】隣接するセグメント同士を接合した状態を示
す図であり、（Ａ）は平面図、（Ｂ）は（Ａ）における
Ａ−Ａ線断面図である。

【図１７】セグメント本体の変形例を示す断面図であ
る。

【図１８】図１７のセグメント本体の連結状態を示す平
面図である。

【図１９】トンネル接続用セグメントの他の変形例を示
す部分斜視図である。

【図２０】図１９のＸＸ−ＸＸ線に沿う拡大断面図であ
る。

【符号の説明】

１０ トンネル接続用セグメント １２、１１０ セグメント本体 １４ 山留板 １４ａ 梁材 １６、１１２ セグメントピース １８、１１６、１１８ 隅角部ピース ２０ａ、２８ａ、１２０ 主桁 ２２、１２６ スキンプレート ２４、３０、１２２ リブ ３８ 長孔 ４０ ねじ穴 ４２ 止水材 ４８ 接合ボルト取付孔 ５６ 山留板接続治具 ５８ ボルト １２８ 曲折部 １３０ シール材 １３４ 空隙

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 請川 誠 東京都中央区京橋１丁目７番１号 戸田建 設株式会社内 (72)発明者 高橋 潤 東京都中央区京橋１丁目７番１号 戸田建 設株式会社内 (72)発明者 元木 実 東京都中央区京橋１丁目７番１号 戸田建 設株式会社内

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定の間隔をおいて隣接して掘削した矩
   形断面トンネル間の地山を掘削して拡幅し、トンネル同
   士を接続するトンネルの接続工法であって、 少なくとも一方のトンネルを構成するセグメントからト
   ンネル間の地山に山留板を圧入して、トンネル間の地山
   を覆い、止水及び山留を行なう工程と、 前記山留板に囲まれた地山を掘削してトンネルを拡幅
   し、接続する工程と、 を含み、 前記山留板は、梁材にて補強されて片持梁を構成するこ
   とを特徴とするトンネルの接続工法。
2. 【請求項２】 所定の間隔をおいて隣接して掘削したト
   ンネル間の地山を掘削して拡幅し、トンネル同士を接続
   する際に用いるトンネル接続用セグメントであって、 矩形断面のセグメント本体と、このセグメント本体の矩
   形断面対向位置のスキンプレート外面にスライド可能に
   設けられた山留板と、前記セグメント本体内に配設され
   て前記山留板を地山内に圧入するスライド駆動手段と、
   を備え、 前記スキンプレートには、セグメント本体の軸方向と直
   交する方向にわたる長孔が形成されると共に、スキンプ
   レートを貫通する長孔の周囲外面には前記山留板との間
   の止水を行なう止水材が配設され、 前記山留板は、前記スキンプレートの長孔に臨み前記長
   孔を介してスライド駆動手段と接続される接続部を有
   し、かつ、梁材にて補強されて片持梁を構成することを
   特徴とするトンネル接続用セグメント。
3. 【請求項３】 請求項１において、 隣接するトンネルを構成する相互のセグメントから山留
   板をトンネル間の地山に圧入して、各梁材の先端部分を
   重合させ、前記梁材に横方向に形成されたボルト螺合部
   にボルトを挿通して、隣接する前記梁材同士を連結する
   ことを特徴とするトンネルの接続工法。
4. 【請求項４】 請求項２において、 前記梁材は、横方向にボルト螺合部が形成され、隣接す
   るトンネルを構成する他のセグメントの梁材と重合させ
   て連結できることを特徴とするトンネル接続用セグメン
   ト。
5. 【請求項５】 請求項２または請求項４において、 前記セグメント本体は、上下部および両側部の４つの板
   状のセグメントピースと、コーナー部に配設される４つ
   の隅角部ピースとを有し、 前記隅角部ピースは、前記上下部のセグメントピースと
   同一平面上に配設される板状に形成されると共に、外面
   に設けられるスキンプレートは前記側部のセグメントピ
   ース側の端部を前記側部のセグメントピース側に所定の
   曲率で曲折させた曲折部を有することを特徴とするトン
   ネル接続用セグメント。
6. 【請求項６】 請求項５において、 前記上下部の同一平面上に配設される一対の隅角部ピー
   スは、一方が幅広、他方が幅狭とされ、 掘進方向に隣接する前記セグメント本体同士の隣接する
   隅角部ピースが、一方のセグメント本体側が幅広、他方
   のセグメント本体側が幅狭とされることを特徴とするト
   ンネル接続用セグメント。