JPH08226015A - 高分子量ポリオレフィンの延伸方法及び装置 - Google Patents

高分子量ポリオレフィンの延伸方法及び装置

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JPH08226015A
JPH08226015A JP6461192A JP6461192A JPH08226015A JP H08226015 A JPH08226015 A JP H08226015A JP 6461192 A JP6461192 A JP 6461192A JP 6461192 A JP6461192 A JP 6461192A JP H08226015 A JPH08226015 A JP H08226015A
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JP
Japan
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stretching
molecular weight
tank
refrigerant
roll
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JP6461192A
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English (en)
Inventor
Kozo Hirano
孝三 平野
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Publication date
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  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高分子量ポリオレフィンを延伸する際、延伸
域以外における延伸物の変形を抑制し、延伸切れ等のト
ラブルが少なく、安定な延伸物を得るための延伸方法、
および延伸装置を提供する。 【構成】 高分子量ポリオレフィンを溶融混練し、溶融
成形後、延伸する方法において、該延伸が、繰り出しロ
ールと巻き取りロールの間に一つあるいは複数の延伸槽
を直列に配置し、かつ、延伸域の熱媒の直後に、延伸物
を冷媒と接触させ急冷することを特徴とする延伸方法。
前記冷却の冷媒は、液化窒素、液化炭酸ガス、水、セラ
ミックおよびステンレスからなる群から選ばれた100
℃以下の気体、液体または固体の少なくとも一種が用い
られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高分子量ポリオレフィ
ンの延伸方法、及び延伸装置に関するものであり、より
詳しくは、延伸安定性に優れ、かつ、基本物性の安定化
が容易な高分子量ポリオレフィンの延伸方法、及びその
延伸装置に関する。
【0002】
【従来の技術】高分子量ポリオレフィンの延伸物は、機
械的強度、諸物性がとくにすぐれており、そのを活かし
て、糸、補強用繊維、ひも、ロープ、ネット、網などの
素材として従来から利用されている。このように、諸物
性のすぐれた高分子量ポリオレフィンの延伸物を製造す
る方法として、例えば、特開昭55−107506号公
報、特開昭56−15408号公報あるいは特開昭58
−5228号公報の如く、高分子量ポリオレフィンを2
ないし10重量%程度の濃度の希薄溶液とし、紡糸後延
伸し、高強度の繊維を得る方法が提案されている。ま
た、特開昭59−130313号公報、特開昭60−1
98220号公報、特開昭60−240432号公報、
特開昭61−8323号公報などに開示されるように、
常温固体で高温において高分子量ポリオレフィンと均一
系を形成し得る物質を用いて溶融押出後、延伸する方法
も種々提案されている。また、溶媒と、上述したよう
な、常温固体の高温にて高分子量ポリオレフィンと均一
系を形成し得る物質の両者を併用して、溶融押出後、延
伸する方法として、特開昭63−50516号公報も知
られている。さらに、高分子量ポリオレフィンのパウダ
ーを融点未満で固相押出し、次いで延伸する方法とし
て、特開昭63−41512号公報が知られている。
【0003】これらの高分子量ポリオレフィンの高強度
配向物は、従来のポリエチレンモノフィラメントと比較
して、工業化レベルでも3ないし5倍程度の強度を持
ち、従来の用途として知られている汎用工業繊維材料分
野に加えて、従来ポリエチレンモノフィラメントでは供
することができなかった、過酷な条件・環境下での応用
が期待されている。この高分子量ポリオレフィンの高強
度配向物は、例えば、ガラス繊維や炭素繊維、ボロン繊
維、芳香族ポリアミド繊維、芳香族ポリイミド繊維など
の高性能繊維を用いた成形体より軽量化が図れるため、
各種抗張力材料、動索、トロール用漁網などの素材や、
UD積層板、SMC、BMC等の成形材料に極めて有用
であり、自動車部品、ボートやヨットの構造体、電子回
路用基板等の軽量で高強度の複合材の用途に対応し得る
素材として期待される。
【0004】このように、数多くの高分子量ポリオレフ
ィンを延伸し優れた諸物性を得る方法が提案されてい
る。しかし、これらの延伸方法では、延伸域の熱媒を出
た延伸物は加熱された状態のままなので、分子配向は緩
和されやすく延伸物が変形しやすい上に、諸物性の低下
及び延伸切れを招きやすくなる。そのため、延伸物の基
本物性は不安定となり、延伸切れによる生産効率も低下
してくるという問題が生じており、延伸物の変形や諸物
性の低下及び延伸切れを防ぐ有効な方法の提案が待たれ
ている。
【0005】
【発明の目的】そこで、本発明の目的は、延伸域の熱媒
から出てくる高温の延伸物から強制的に熱を奪うことに
より、分子配向の緩和を抑え、結晶化を促進し、その後
の延伸物に変形が発生しないようにし、それによって、
基本物性の安定化及び安定して延伸物の製造を行うため
の方法を提供することにある。
【0006】
【問題点を解決するための手段】本発明は、前記目的を
達成するために提案されたものであって、高分子量ポリ
オレフィンの延伸物を延伸する際に、延伸域の熱媒から
出てくる高温の延伸物を100℃以下の冷媒と接触さ
せ、延伸物を急冷させる点に重要な技術的特徴を有する
ものであり、空気中で徐々に放冷するような態様とは明
確に区別されるものである。
【0007】通常の延伸においては、延伸域の熱媒から
延伸物が出てくる部分の温度は、100℃以上の高温状
態を保っており、このままの状態で、高温の空気中で徐
々に放冷した場合には、延伸物の表面は100度以下に
なったとしても、延伸物の中心部はゆっくりとしか冷却
されず、結晶化及び配向にムラが生じやすくなり、本発
明が目的とする基本物性の安定な延伸物は得られない。
したがって、本発明における100℃以下に急冷すると
いうことは、延伸物の表面だけでなく、中心部までも素
早く冷却することを意味するものであり、100℃以下
の冷媒に接触させ、必要があれば冷媒の量を増やすなど
して強制的に冷却するもので、空気中の徐冷とは明確に
区別されるものである。
【0008】すなわち、本発明によれば、高分子量ポリ
オレフィンを溶融混練し、溶融成形後、延伸する方法に
おいて、該延伸が、繰り出しロールと巻き取りロールの
間に一つあるいは複数の延伸槽を直列に配置し、かつ、
延伸域の熱媒から出た直後の延伸物を冷媒と接触させ、
延伸物を急冷することを特徴とする高分子量ポリオレフ
ィンの延伸方法が提供される。
【0009】また、本発明によれば、前記冷媒が、液化
窒素、液化炭酸ガス、水、セラミック、およびステンレ
スからなる群より選ばれた100℃以下の気体、液体、
または固体の少なくとも一種のもの、つまり、1種類の
冷媒ばかりでなく、これらを適宜組み合わせた冷媒を用
いた冷却工程を組込んだ延伸物の延伸方法が提供され
る。
【0010】
【発明の具体的な説明】本発明の延伸方法ならびに延伸
装置の好適な一例を工程図で示す。図1において、1は
繰り出しロール、2は巻き取りロールであり、その間に
一つまたは複数の延伸槽3が配置されている。各延伸槽
には熱源がセットされるようになっており、この例で
は、延伸槽内に熱媒7が入れられている。さらに、各延
伸槽内には、延伸物が槽内を通過するのをガイドするよ
うに、複数のターンロール4が設けられている。このタ
ーンロールは、ロール表面をセラミックコーティング、
鏡面仕上げ、あるいは梨地仕上げにすることができ、各
々がフリーの状態に配置されていてもよいし、固定され
た駆動ロールとして配置されていてもよい。そして、延
伸域から出た直後の延伸物を冷却するために、この例で
は、液体あるいは気体の冷媒を吹き付けるためのノズル
5、及びその冷媒を受けるための受け皿8が配置されて
いる。
【0011】繰り出しロール1を経て延伸槽に導かれた
未延伸物9は、延伸槽内をターンロール4にガイドされ
て進むと同時に延伸域の熱媒を出て、延伸工程を終わ
り、その直後ノズル5より冷媒を吹き付けて延伸物から
熱を奪い、ニップロール10を介して巻き取りロール
2、または複数の延伸槽を用いる場合は次の延伸槽に導
かれ、同様の操作を受ける。
【0012】図1に示した延伸方法の例では、延伸槽
に、熱媒をリサイクルするための熱交換器11が付設さ
れている。この熱交換器は槽に1個または2個以上が任
意に設けられ、延伸槽内の熱媒の温度低下を防止し、正
確な延伸倍率での延伸を可能にする。
【0013】本発明の延伸方法の他の好適な実施の一例
を工程図で示す。図2において、繰り出しロール、巻き
取りロール、延伸槽の配置、およびターンロールの構成
は、図1に示した方法と本質的に変化はないが、この例
では、冷却が固体によって行われる。図1の例では、冷
却は液体あるいは気体によって行われるものであるが、
この例の場合は、冷却は中に液体等の冷媒を流し固体表
面の温度を低下させた固体を延伸物と接触させることに
よって延伸物から熱を奪う。
【0014】この方法によれば、冷媒が外部に流出しな
いために効率的な運転を行うことができる。その上、液
体あるいは気体による冷却と同様に延伸物から均一に熱
を奪うことができるのはもちろんである。
【0015】ちなみに、従来の延伸工程の一例を図3に
示した。この例では、繰り出しロール、巻き取りロー
ル、ターンロール、及びニップロール等の主だった装置
は、冷却装置を除き、図1及び図2に示した例と変わら
ない。しかし、この冷却装置が無いために、延伸域の熱
媒から出る延伸物は熱を持ったまま槽外に出るために変
形したり傷がつきやすく、安定した延伸物の製造が困難
になる上に、延伸物の結晶化が不均一になりやすく、基
本物性も不安定となるため製品の安定化が図れなくな
る。
【0016】本発明に係る高分子量ポリオレフィンは、
135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が、
少なくとも5dl/g、好ましくは7ないし30dl/
gの重合体である。
【0017】高分子量ポリオレフィンとしては、高分子
量ポリエチレンや高分子量ポリプロピレンばかりでな
く、前記の極限粘度を有するエチレンと、炭素数が3個
以上、好ましくは4ないし10個のα−オレフィン、た
とえばプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メ
チルペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オク
テン−1、デセン−1の1種または2種以上との共重合
体が挙げられるが、なかでも、エチレンと、ブテン−
1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン
−1およびデセン−1からなる群より選ばれた1種また
は2種以上のα−オレフィンとの共重合体が、高い強度
を有しており、また耐摩耗性、耐クリープ性にすぐれて
いる。さらに、前記高分子量ポリオレフィンが、エチレ
ンとα−オレフィンとの共重合体である場合には、α−
オレフィンコモノマーは、炭素数1000個あたり平均
0.1ないし20個、好ましくは平均0.5ないし10
個含有されていることが望ましい。
【0018】本発明の高分子量ポリオレフィンは、エチ
レン、プロピレン、またはこれらのオレフィンと前記α
−オレフィンコモノマーとを、周期律表第IVb、 Vb、
VIb、VIII族の遷移金属化合物および周期律表第Iない
しIII 族の金属水素化物または有機金属よりなる触媒の
存在下に、たとえば有機溶媒中でスラリー重合すること
により得ることができる。
【0019】かくして得られた高分子量ポリオレフィン
は、例えば、溶融混練、溶融成形や延伸を可能にするた
めの稀釈剤を配合し、例えば、常温固体のパラフィン系
ワックスを混合することができる。
【0020】稀釈剤としては、高分子量ポリオレフィン
に対する溶剤や、高分子量ポリオレフィンに対して分散
性を有する各種ワックス状物が使用される。
【0021】溶剤は、好ましくは前記重合体の融点以
上、さらに好ましくは融点+20℃以上の沸点を有する
溶剤である。
【0022】かかる溶剤としては、具体的にはn−ノナ
ン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、n−
テトラデカン、n−オクタデカンあるいは流動パラフィ
ン、灯油等の脂肪族炭化水素系溶媒、キシレン、ナフタ
リン、テトラリン、ブチルベンゼン、p−シメン、シク
ロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、ベンチルベン
ゼン、ドデシルベンゼン、ビシクロヘキシル、デカリ
ン、メチルナフタリン、エチルナフタリン等の芳香族炭
化水素系溶媒あるいはその水素化誘導体、1,1,2,
2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサ
クロロエタン、1,2,3,−トリクロロプロパン、ジ
クロロベンゼン、1,2,4,−トリクロロベンゼン、
ブロモベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒、パラフィ
ン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香
族系プロセスオイル等の鉱油が挙げられる。
【0023】ワックス類としては、脂肪族炭化水素化合
物あるいはその誘導体が使用される。脂肪族炭化水素化
合物としては、飽和脂肪族炭化水素化合物を主体とする
もので、通常分子量が2000以下、好ましくは100
0以下、さらに好ましくは800以下のパラフィン系ワ
ックスと呼ばれるものが挙げられる。これら脂肪族炭化
水素化合物としては、具体的にはドコサン、トリコサ
ン、テトラコサン、トリアコンタン等の炭素数22以上
のn−アルカンあるいはこれらを主成分とした低級n−
アルカンとの混合物、石油から分離精製された所謂パラ
フィンワックス、エチレンあるいはエチレンと他のα−
オレフィンとを共重合して得られる低分子量重合体であ
る中・低圧法ポリエチレンワックス、高圧法ポリエチレ
ンワックス、エチレン共重合ワックスあるいは中・低圧
法ポリエチレン、高圧法ポリエチレン等のポリエチレン
を熱減成等により分子量を低下させたワックスおよびそ
れらのワックスの酸化物あるいはマレイン酸変性等の酸
化ワックス、マレイン酸変性ワックス等が挙げられる。
【0024】脂肪族炭化水素化合物誘導体としては、た
とえば、脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニル
基)の末端もしくは内部に1個またはそれ以上、好まし
くは1ないし2個、特に好ましくは1個のカルボキシル
基、水酸基、カルバモイル基、エステル基、メルカプト
基、カルボニル基等の官能基を有する化合物である炭素
数8以上、好ましくは炭素数12ないし50、または分
子量130ないし2000、好ましくは200ないし8
00の脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸アミド、脂肪
酸エステル、脂肪族メルカプタン、脂肪族アルデヒド、
脂肪族ケトン等を挙げることができる。具体的には、脂
肪酸としてカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パ
ルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、脂肪族アルコ
ールとしてラウリルアルコール、ミリスチルアルコー
ル、セチルアルコール、ステアリルアルコール、脂肪族
アミドとしてカプリンアミド、ラウリンアミド、パルミ
チンアミド、ステアリルアミド、脂肪族エステルとして
ステアリン酸エステル等を例示することができる。
【0025】高分子量ポリオレフィンと希釈剤との比率
は、これらの種類によっても相違するが、一般的にいっ
て3:97ないし80:20、特に15:85ないし6
0:40の重量比で用いるのがよい。希釈剤の量が上記
範囲よりも低い場合には、溶融粘度が高くなりすぎ、溶
融混練や溶融成形が困難となると共に、成形物の肌荒れ
が著しい。一方、希釈剤の量が上記範囲よりも多いと、
やはり溶融混練が困難となり、また成形品の延伸性が劣
るようになる。
【0026】溶融混練は、一般に150ないし300
℃、特に170ないし270℃の温度で行うのが望まし
く、上記範囲よりも低い温度では、溶融粘度が高すぎ
て、次の工程の溶融成形が困難となり、また上記範囲よ
りも高い場合には、熱減成により高分子量ポリオレフィ
ンの分子量が低下して高弾性率および高強度の成形体を
得る事が困難となる。なお、配合はヘンシェルミキサ
ー、V型ブレンダー等による乾式ブレンドで行ってもよ
いし、単軸あるいは多軸押出機を用いる溶融混合で行っ
てもよい。
【0027】溶融成形は、一般に溶融押出成形により行
われる。たとえば、紡糸口金を通して溶融押出すること
により、延伸用フィラメントが得られ、またフラットダ
イあるいはリングダイを通して押し出すことにより延伸
用テープが得られる。この際、紡糸口金より押し出され
た溶融物にドラフト、すなわち溶融状態での引き伸ばし
を加えることもできる。溶融樹脂のダイ・オリフィス内
での押出速度V0 と冷却固化した未延伸物の巻き取り速
度Vとの比をドラフト比として次式で定義することがで
きる。 ドラフト比=V/V0 このようなドラフト比は、混合物の温度及び高分子量エ
チレン系重合体の分子量等により変化するが、通常は3
以上、好ましくは6以上とすることができる。
【0028】このようにして得られた高分子量ポリオレ
フィンの未延伸成形体を延伸処理する。本発明において
は、延伸操作は一段あるいは二段以上の多段で行う。延
伸倍率は、2ないし10倍、特に3ないし8倍の延伸倍
率となるように延伸操作を行うことが可能である。ま
た、本発明における冷却は各段に備え付けており、延伸
物の表面温度を140℃未満、好ましくは50℃未満、
さらに好ましくは20℃未満にすることができる。本発
明によれば、延伸物は延伸域の熱媒を出た直後に冷媒に
より冷却されるために分子配向の緩和が抑えられ、結晶
化が促進されるために延伸物に傷がつきにくく、延伸切
れが少なくなる上に、基本物性等も安定する。本発明に
おいては、延伸物を構成する結晶性分子を均一に結晶化
させるために、延伸物を瞬時に140℃未満、好ましく
は50℃未満、さらに好ましくは20℃未満に冷却する
ことが重要である。そのために冷煤は100℃以下のも
のを使用するものであるが、この際、冷煤の温度が高か
ったり、量が不十分で延伸物から目的の温度まで熱を奪
うことができない場合には、延伸物中の結晶は不均一と
なり、安定した延伸物が得られない。なお、延伸槽の温
度は一段で行う場合は、105ないし147℃とし、二
段以上で行う場合は、第一延伸槽の温度を105ないし
145℃とし、隣接する後段の延伸槽の温度を順次1℃
以上、好ましくは2ないし10℃高温になるように設定
することが望ましい。
【0029】冷却操作は、前述したように、液化窒素、
液化炭酸、水、セラミックおよびステンレスからなる群
より選ばれた100℃以下の気体、液体または固体の少
なくとも一種の冷媒を利用して行われるが、特に、水等
の液体を用いて行う方法が冷却効果を効率よく行う点で
好ましく推奨される。前記液体としては、水の他に、n
−デカン、トリエチレングリコール、デカリン等が例示
できる。延伸操作は、前述したように、熱媒、オーブン
内、熱板、遠赤外線、あるいはマイクロ波の照射等の熱
源を利用して行われるが、特に、熱媒を用いて行う方法
が正確に安定した温度制御ができる点で好ましく推奨さ
れる。前記熱媒としては、たとえば、n−デカン、トリ
エチレングリコール、パラフィン系プロセスオイル、シ
リコンオイル等が例示できる。
【0030】かくして得られる高分子量ポリオレフィン
の延伸物は、所望により拘束条件下に熱処理する事がで
きる。この熱処理は、一般に140ないし180℃、特
に150ないし175℃の温度で、1ないし20分間、
特に3ないし10分間行うことができる。熱処理によ
り、配向結晶部の結晶化が一層進行し、結晶融解温度の
高温側移行、強度及び弾性率の向上及び高温での耐クリ
ープ性の向上がもたらされる。
【0031】成形体における分子配向の過程は、X線回
折法、複屈折法、蛍光偏光法等で知ることができる。本
発明の高分子量エチレン系重合体の延伸フィラメントの
場合、たとえば呉祐吉、久保揮一郎:工業化学雑誌第3
9巻、992頁(1939)に詳しく述べられている半
値巾による配向度、すなわち、式 [式中、H゜は赤道線上最強のパラトロープ面のデバイ
環に沿っての強度分布曲線の半値巾(゜)である。]で
定義される配向度(F)が0.90以上、特に0.95
以上となるように分子配向されていることが、機械的性
質の点で望ましい。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、延伸域の熱媒を出た直
後の延伸物を急冷することによって安定した高分子量ポ
リオレフィンの延伸物が製造され、かつ、基本物性の安
定化も可能となる長所を持つものである。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。 実施例1 <紡糸−延伸工程>溶融後、90℃に保ったパラフィン
ワックス(商品名:ルバックス、日本精蝋製、融点=6
9℃)210重量部中に、高分子量ポリエチレン
([η]=8.20dl/g、平均粒径=150μm)
粉末90重量部を投入した後、15分間撹拌混合して高
分子量ポリエチレンの濃度が30重量%の分散体を調整
した。次いで、該分散体を同方向回転二軸スクリュー式
押出機(プラスチック工学研究所製:スクリュー径=3
9mm、L/D=42)を用いて、設定温度を供給部9
0℃、その他の部分で180℃とし、スクリュー回転数
を100r.p.m.、滞留時間を5分として、溶融混
練をおこなった。引続き、得られた混合溶融物をオリフ
ィス2.0mm、100穴のダイより押し出し紡糸し
た。紡糸繊維は150cmのエアーギャップで室温の空
気にて冷却固化し、650デニールの高分子量ポリエチ
レンの紡糸原糸を得た。こうして得られた紡糸原糸10
0本を巻き取ることなく下記の条件で延伸して延伸繊維
を得た。
【0034】すなわち、4台のゴデットロールを用いて
n−デカンを熱媒とした延伸槽にて二段延伸を行った。
第1延伸槽の温度は108℃であり、第2延伸槽の温度
は119℃であった。この時の延伸比は、第1延伸槽で
6.0倍で、第2延伸槽で1.17倍であり、槽の有効
長は第1延伸槽および第2延伸槽のいずれも6mであっ
た。延伸に際しては、第1ゴデットロールの回転速度を
10m/分として、第2および第3ゴデットロールの回
転速度を適宜変更することにより、所望の延伸比の延伸
繊維を得た。また、第3ゴデットロールと第4ゴデット
ロールの間に、温度110℃、有効長50mの乾燥ゾー
ンを設け、繊維中のn−デカンの量を高分子量ポリエチ
レン繊維に対して1重量%とした後、巻き取った。
【0035】<再延伸工程>上記のようにして巻き取ら
れた延伸繊維を2台のゴデットロールを用いて、トリエ
チレングリコールを熱媒として用いた延伸槽にて延伸を
行った。この際、延伸槽の温度は146℃であり、延伸
倍率は2.2倍であった。槽の有効長は2.5mであっ
た。冷却は、−10℃の液化炭酸ガスを冷媒として用い
て行った。上記の条件により、給糸速度を徐々に上げて
延伸を行った。延伸の結果、上記延伸条件では、35.
5m/分の給糸速度までは安定して延伸することができ
た。この延伸繊維は、毛羽立ち、糸切れが全くなかっ
た。得られた延伸繊維の引張強度、引張弾性率及び破断
点伸びをインテスコ万能試験機2005型(インテスコ
社製)を用いて室温(23℃)にて測定した。クランプ
間の試料長は254mmとし、引張速度254mm/分
とした。ただし、引張弾性率は初期弾性率である。計算
に必要な繊維断面積は、ポリエチレンの密度を0.96
g/cm3 として繊維の重量と長さを測定して求めた。
このようにして得られた高分子量ポリエチレンの物性を
表1に示す。
【0036】
【0037】実施例2 <紡糸−延伸工程>実施例1の方法と同様にして、高分
子量ポリエチレン繊維の紡糸・延伸を行った。 <再延伸工程>巻き取られた延伸繊維を3台の延伸ロー
ルを用いて、トリエチレングリコールを熱媒として用い
た2台の延伸槽にて延伸を行った。この際、延伸槽の温
度は145℃と147.8℃であり、延伸倍率は2倍と
1.62倍であった。槽の有効長は5mと8mであっ
た。冷却は−10℃の液化炭酸ガスを冷媒として用い
て、1段目延伸槽の冷却域の出側で行った。給糸速度は
46m/分とした。延伸の結果、上記延伸条件にて延伸
された延伸繊維は、毛羽立ち、糸切れが全く無かった。
【0038】比較例1 <紡糸−延伸工程>実施例1の方法と同様にして、高分
子量ポリエチレン繊維の紡糸・延伸を行った。 <再延伸工程>巻き取られた延伸繊維を2台のゴデット
ロールを用いて、トリエチレングリコールを熱媒として
用いた延伸槽にて延伸を行った。延伸後の強制冷却を行
わない以外は実施例1と同じ温度条件及び倍率条件で延
伸を行った。延伸の結果、上記延伸条件では30.0m
/分の給糸速度まで延伸することができたが、張力が不
安定で糸切れが度々あった。得られた糸の物性を表2に
示す。
【0039】
【0040】比較例2 <紡糸−延伸工程>実施例1の方法と同様にして、高分
子量ポリエチレン繊維の紡糸・延伸を行った。 <再延伸工程>巻き取られた延伸繊維を3台の延伸ロー
ルを用いて、トリエチレングリコールを熱媒として用い
た2台の延伸槽にて延伸を行った。延伸後の強制冷却を
行わない以外は実施例2と同じ温度条件、倍率条件及び
給糸条件で延伸を行った。延伸の結果、上記延伸条件で
は、糸に割れや毛羽立ちが発生し、延伸繊維を安定して
得ることができなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の延伸方法の一例を示す工程図である。
【図2】本発明の延伸方法の他の一例を示す工程図であ
る。
【図3】従来の延伸方法の一例を示す工程図である。
【符号の説明】
1 繰り出しロール 2 巻き取りロール 3 延伸槽 4 ターンロール 5 冷媒の吹き付けノズル 6 冷媒タンクまたはボンベ 7 熱媒 8 受け皿 9 延伸物 10 ニップロール 11 熱交換器 12 固体冷却装置 13 導管 14 冷却装置

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子量ポリオレフィンを溶融混練し、
    溶融成形後、延伸する方法において、該延伸が、繰り出
    しロールと巻き取りロールの間に一つまたは複数の延伸
    槽を配置し、各延伸槽の延伸域を通過した直後の延伸物
    を冷媒と接触させ、急冷することを特徴とする高分子量
    ポリオレフィンの延伸方法。
  2. 【請求項2】 前記冷媒が、液化窒素、液化炭酸、水、
    セラミックおよびステンレスからなる群より選ばれた1
    00℃以下の気体、液体または固体の少なくとも一種の
    ものである請求項1記載の延伸方法。
  3. 【請求項3】 前記延伸槽の熱源が、熱媒、熱板、オー
    ブン、遠赤外線、およびマイクロ波からなる群より選ば
    れた少なくとも1種のものである請求項1記載の延伸方
    法。
  4. 【請求項4】 繰り出しロールと巻き取りロールの間に
    設置された一つまたは複数の延伸槽の延伸域出側に冷媒
    を接触させる冷却装置あるいは冷却槽が設置されたこと
    を特徴とする延伸装置。
  5. 【請求項5】 前記延伸槽に、熱媒をリサイクルするた
    めの少なくとも一個の熱交換器が付設されている請求項
    4記載の延伸装置。
  6. 【請求項6】 前記延伸槽内に、複数のターンロールが
    付設されている請求項4記載の延伸装置。
  7. 【請求項7】 前記延伸槽の出口側に、ニップロールが
    設けられている請求項4記載の延伸装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012000944A (ja) * 2010-06-21 2012-01-05 Gunze Ltd 樹脂棒引張装置、及び熱固定方法
JP2018100885A (ja) * 2016-12-20 2018-06-28 国立大学法人岐阜大学 再生炭素繊維の強度測定方法

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