JPH08225850A - 刃物の熱処理方法 - Google Patents

刃物の熱処理方法

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JPH08225850A
JPH08225850A JP3274495A JP3274495A JPH08225850A JP H08225850 A JPH08225850 A JP H08225850A JP 3274495 A JP3274495 A JP 3274495A JP 3274495 A JP3274495 A JP 3274495A JP H08225850 A JPH08225850 A JP H08225850A
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JP
Japan
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blade
cutting
heat treatment
cutting edge
treatment
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Application number
JP3274495A
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English (en)
Inventor
Isao Fuwa
勲 不破
Masahiro Ikegami
正弘 池上
Riyuuji Ootani
隆児 大谷
Hidesumi Okamura
英澄 岡村
Noboru Kusano
昇 草野
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 切刃のみを高硬度で耐磨耗性のある材質とし
て十分長い刃先寿命を付与するとともに、台金などの切
刃を除いた部分を靱性化して切削時の衝撃に十分耐える
ような刃物を、簡単な処理工程によって容易に形成でき
る刃物の熱処理方法の提供。 【構成】 切刃1と台金2とを有する刃物3全体に硬化
処理を行ったのち、局所加熱手段によって、少なくとも
切刃1の刃先1aを除いて、硬化処理よりも低温で加熱し
徐冷する靱性化処理を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は刃物の熱処理方法に関
し、詳しくは、木材、ステンレス鋼などの鉄系材料、非
鉄金属、石膏ボード、サイデングなどの窯業系材料、人
造大理石などの石材または半導体などのような、様々な
材料の切断に用いられる丸鋸刃、往復運動刃または楕円
運動刃などの刃物の熱処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】被削材を切断する切刃と、この切刃を保
持する台金とより成る刃物において、切刃は高硬度で耐
磨耗性のある材質であって、刃先寿命を維持できるもの
である必要があり、台金は靱性のある材質であって、切
断時の衝撃に耐え得るようなものである必要がある。し
かし、これらの高硬度および耐磨耗性と、靱性とは相反
する性質であって、これらの性質を兼ね備えた材料は得
難いものである。
【0003】そこで、従来の刃物では、切刃と台金とを
別種類の材料で形成し、両者を接合して刃物を形成して
いる。この場合、製造工程が複雑になるものである。ま
た、刃物全体を一種類の材質で形成したのち、切刃また
は台金の部分を処理して、要求される靱性または高硬度
などの特性を付与する処理方法も行われている。
【0004】このような処理方法としては、特開平1−
111813号公報に示されるものがあり、この処理方
法では、図12に示すように、やすりの硬化させたい切刃
1先端部1aの一部にのみレーザ光15を照射している。こ
のようなレーザ光15の照射によって、切刃1先端部1aの
みが加熱されるとともに、自然冷却によって急冷され
る。したがって、切刃1の先端部1aにのみ焼き入れされ
て、高硬度であって、耐磨耗性があるという特性が付与
されるのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来例にあっては、レーザ光15の照射方向、照射部位ま
たは走査条件などを機械的、電気的に微妙にコントロー
ルする必要がある。さもないと、不要な部分までをも加
熱したり、または急冷が不十分となったりして、満足な
焼き入れがなされないのである。
【0006】本発明は、以上のような問題点を解決する
ためになされたものであり、その目的は、切刃のみを高
硬度で耐磨耗性のある材質として十分長い刃先寿命を付
与するとともに、台金などの切刃を除いた部分を靱性化
して切削時の衝撃に十分耐えるような刃物を、簡単な処
理工程によって容易に形成できる刃物の熱処理方法の提
供にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する請求
項1記載の発明は、切刃1と台金2とを有する刃物3全
体に硬化処理を行ったのち、局所加熱手段によって、少
なくとも切刃1の刃先1aを除いて、硬化処理よりも低温
で加熱し徐冷する靱性化処理を施すことを特徴として構
成している。
【0008】なお、硬化処理は高温度に加熱したのち、
急冷するなどしてなされ、靱性化処理は硬化処理より低
い温度で加熱したのち、徐冷するなどして行われる処理
である。一例として温度を例示すれば、硬化処理は約12
50℃程度でなされ、靱性化処理は700 ℃程度でなされ
る。
【0009】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、局所加熱手段として、高周波加熱を行うこ
とを特徴として構成している。
【0010】請求項3記載の発明は、請求項1記載の発
明において、局所加熱手段として、刃物3を通電加圧治
具4によって挟持押圧するとともに、この通電加圧治具
4に通電することを特徴として構成している。
【0011】請求項4記載の発明は、請求項1記載の発
明において、局所加熱手段として、高エネルギービーム
5を照射し、刃物3の厚さ方向全体を加熱することを特
徴として構成している。
【0012】なお、高エネルギービーム5としては、レ
ーザまたは電子ビームなどを用いることができる。そし
て、これらのビームの照射強度を調整することによっ
て、刃物3の厚さ方向全体が加熱される。
【0013】請求項5記載の発明は、請求項1記載の発
明において、局所加熱手段として、高エネルギービーム
5を照射し、刃物3の表面部のみを加熱することを特徴
として構成している。
【0014】なお、高エネルギービーム5としては、レ
ーザまたは電子ビームなどを用いることができる。そし
て、この高エネルギービーム5の照射強度を調整するこ
とによって、刃物3の表面部のみ加熱される。
【0015】請求項6記載の発明は、請求項1ないし5
のいずれかの発明において、台金2に形成された取り付
け孔6周辺の加熱温度を、他の部分より低くして靱性化
処理を施すことを特徴として構成している。
【0016】請求項7記載の発明は、請求項4または5
記載の発明において、高エネルギービーム5の照射を、
均一に一定の間隔を空けて行うことを特徴として構成し
ている。
【0017】請求項8記載の発明は、請求項4または5
記載の発明において、高エネルギービーム5を照射を、
切刃1の根元1bの部分に行うことを特徴として構成して
いる。
【0018】請求項9記載の発明は、請求項1ないし8
記載のいずれかの発明において、刃物3を焼結によって
形成することを特徴として構成している。
【0019】
【作用】請求項1記載の発明では、切削加工に適した硬
度を有する切刃1の、少なくとも刃先1aを除いて刃物3
が加熱され、この加熱された部分に靱性が付与されてい
る。したがって、少なくとも刃先1aは切削加工に適した
硬度を有するとともに、台金2などの部分が靱性を有し
て切削時の衝撃をよく吸収するように熱処理される。
【0020】請求項2記載の発明では、高周波加熱によ
れば、少なくとも刃先1aを除いて限定された部分に高周
波出力を加えて、この高周波出力を加えた部分を加熱
し、靱性を付与することができる。
【0021】請求項3記載の発明では、通電加圧治具4
に通電することによって、この通電加圧治具4に挟持さ
れた刃物3の部分が加熱される。したがって、少なくと
も刃先1aを除いた部分を挟持すれば、刃先1aを除く部分
に靱性を付与することができる。
【0022】また、刃物3が挟持押圧されているので、
硬化処理による刃物3の変形が抑えられる。
【0023】請求項4記載の発明では、高エネルギービ
ーム5は、ビームを細く絞ることができて、限定した部
分のみを加熱することが容易である。
【0024】請求項5記載の発明では、刃物3の表面部
のみの加熱となるので、与える熱エネルギーを少なくし
て、熱処理による刃物3の歪みを小さくおさえることが
できる。高エネルギービーム5は強度の調整が容易なの
で、表面にのみ加熱を限定するように調整することが容
易になされる。
【0025】請求項6記載の発明では、取り付け孔6周
辺の加熱温度を、他の部分より低くしているので、他の
部分に比較してある程度の硬度を有して靱性化される。
【0026】請求項7記載の発明では、高エネルギービ
ーム5を、均一に一定の間隔を空けて行うことによっ
て、全面に照射することがないので、照射面積を少なく
し、照射時間を短くすることができる。
【0027】請求項8記載の発明では、高エネルギービ
ーム5が、切刃1の根元1bの部分にのみ行われ、この根
元1bの部分に靱性が付与されている。したがって、刃先
1aに加わる切削時の衝撃がこの部分の靱性によって遮断
される。また、照射面積が極めて限定されるので、照射
時間をより短くすることができる。
【0028】請求項9記載の発明では、刃物3を焼結に
よって、所望の切削加工に適した形状に形成される。
【0029】
【実施例】本発明の一実施例を以下に添付図を参照して
説明する。
【0030】図1は同実施例の刃物の熱処理方法におけ
る製造工程を示す説明図であり、(A)〜(E)は各工
程における製品の状態を示している。図2ないし図9
は、靱性化処理の工程を具体的に示した説明図である。
また、図10は靱性の試験方法を示す説明図であり、図11
はこの試験によって得られるグラフ図である。
【0031】以下、図1に基づいて、刃物の熱処理工程
を順に説明する。最初に(A)に示すように、高速度鋼
系の金属粉末11とワックスおよびポリマーなどから成る
バインダー12とを混練し、射出成形して(B)に示すよ
うな刃物3の形状を有する成形品3aを得る。つぎに、こ
の成形品3aを500 ℃で24時間加熱してバインダー12な
どの有機物を除去する。さらに、1250℃で1時間焼結
し、(C)に示す焼結品3bを得る。さらに、この焼結品
3bを硬化処理として1200℃で焼き入れし、全体を高硬度
化させた(D)に示す焼結品3cとする。このような焼き
入れによって、硬度をHV約900 程度とすることができ
る。次いで、(E)に示すように、切刃1と台金2とを
有する刃物3全体に硬化処理を行ったのち、少なくとも
刃先1aを除いて、刃物3を局所加熱手段によって加熱す
る靱性化処理を施すことによって、切刃1の部分が硬
く、台金2が高靱性な刃物3を得ている。このときの靱
性化処理の加熱は650 〜800 ℃程度で行っている。この
ような靱性化処理によって、硬度をHV約600 程度とす
ることができる。
【0032】加熱時間は5〜30秒間が適切であって、こ
れ以上行うと、焼きなまし状態となって強度が低下した
り、または、半焼き入れ状態となって、靱性低下を引き
起こす。また、切刃1の部分に熱の影響が及ぶのを防ぐ
ために、窒素ガスなどを冷却ガスとして切刃1の部分に
吹き付けると、より確実に切刃1の部分の硬度を低下さ
せることがないので好ましい。
【0033】この結果、少なくとも刃先1aは切削加工に
適した硬度を有するとともに、台金2などの部分が靱性
を有するように熱処理される。したがって、切刃1の刃
先1aの硬度が高く、耐磨耗性が向上し、切削性がよく、
刃先寿命が十分長いものであるとともに、台金2の部分
の靱性によって切削時の衝撃に十分耐えて破損しにくい
刃物3を形成できる。また、この熱処理方法は、局所加
熱手段によって、切刃1の少なくとも刃先1aを残して加
熱するだけでよいので、簡単な処理工程であって、刃物
3の熱処理が容易なものである。
【0034】また、この熱処理方法は、切刃1の特定部
位に硬化処理を集中させるものではなく、切刃1の少な
くとも刃先1aを残して加熱するだけで靱性化処理を行う
ものである。したがって、硬化処理をある特定部位に集
中させるための複雑なコントロールを省くことができ
て、簡単な処理工程でありながら、切削性がよく、刃先
寿命が十分長い刃物3の得られる刃物の熱処理方法とな
っている。
【0035】また、切刃1が焼結によって、所望の切削
加工に適した形状に形成され、切削性のよい刃物3が得
られている。
【0036】なお、以上の刃物の熱処理方法の説明は刃
物3として丸鋸刃を示しているが、丸鋸刃に限らず、種
々の形状の刃物3にも適用することができる。たとえ
ば、刃物3が往復運動する往復刃、または楕円運動する
楕円運動刃などのように、異なる形状の刃物3にも適用
することができるのである。
【0037】また、この靱性化処理は、切刃1の刃先1a
のみならず、切刃1全体または台金2の一部も含めた部
分を除く部分に対して行い、種々の切削用途に対応した
ものとすることができる。刃先1aのみが高硬度化してい
るようにすれば、この切刃1は切れ味がよいのみなら
ず、靱性も有して破損しにくいものとなる。また、切刃
1の破損を心配しなくてよいような切削用途には、切刃
1全体を除いて靱性化処理を施す方が、靱性化処理が容
易になるので好ましいのである。
【0038】また、刃物3全体を焼結品3bとしている
が、切刃1のみを焼結品として形成するか、または、刃
物3全体を高硬度な金属で形成し、切刃1の部分を除い
て靱性化させてもよいものである。
【0039】以下に、図2ないし図9を参照して、さら
に詳しく、この実施例の刃物の熱処理方法における局所
加熱手段によって行う靱性化処理を具体的に説明する。
これらの図は、靱性化処理のそれぞれ異なる工程を示す
説明図である。
【0040】図2に示す靱性化処理では、高周波加熱に
よって、靱性化処理を施すようにしている。刃物3とな
る焼結品3cの台金2の部分の両面にリング状の高周波コ
イル4を配して、高周波電力を印加して加熱を行ってい
る。
【0041】このような高周波加熱によれば、切刃1、
この切刃1から台金2へ接続する部分および台金2の取
り付け孔6の周辺部を残して、効率よく焼結品1cの加熱
がなされ、650 〜800 ℃に5〜30秒間加熱する靱性化処
理を迅速に行うことができる。
【0042】なお、刃物3の厚みが薄い場合には高周波
コイル4を片面にのみ配して加熱を行うことができる。
また、焼結品1cを回転させることによって、全体を均一
に加熱することができて、好ましいものである。
【0043】図3の断面図に示す靱性化処理では、図1
に示した状態の焼結品3cを、通電加圧治具4によって挟
持押圧するとともに、この通電加圧治具4に通電して挟
持した部分を加熱し、靱性化処理を施している。通電加
圧治具4としては、挟持押圧に耐えるように十分強度の
大きい金属板などを用い、この通電加圧治具4の中央部
をボルト・ナット13で締結するようにして使用してい
る。
【0044】このような靱性化処理によれば、焼結品3c
の台金2の部分が通電加圧治具4によって挟持押圧して
いるので、靱性化処理による焼結品3cの変形が抑えら
れ、歪みの少ない正確な形状の刃物3を得ることができ
る。
【0045】図4に示す靱性化処理では、図1に示した
状態の焼結品3cに、高エネルギービーム5を照射し、刃
物3の厚さ方向全体を加熱して靱性化処理を施してい
る。また、高エネルギービーム5としては、炭酸ガスレ
ーザまたはYAGレーザなどのレーザまたは電子ビーム
などを用いることができる。そして、これらのビームの
スポット径または高エネルギービーム5の出力を適切に
コントロールし、照射強度を調整することによって、刃
物3の厚さ方向全体が加熱される。
【0046】このような靱性化処理によれば、高エネル
ギービーム5によって限定した部分の加熱が効率よく行
われ、650 〜800 ℃に5〜30秒間加熱する靱性化処理を
迅速に行うことができる。
【0047】図5に示す靱性化処理では、図4のものと
異なり、高エネルギービーム5の照射強度を調整照射
し、加熱を刃物3の表面部のみとしている。
【0048】このような靱性化処理によれば、与える熱
エネルギーを少なくして、刃物3の歪みを小さく抑えて
熱処理することができる。したがって、正確な形状の熱
処理された刃物3を得ることができる。
【0049】図6に示す靱性化処理では、図4のものと
異なり、高エネルギービーム5の照射を、台金2に形成
された取り付け孔6周辺の加熱温度が、他の部分より低
くなるような高エネルギービーム5bとしている。つま
り、他の部分は通常の靱性化処理の加熱温度700 〜800
℃となる高エネルギービーム5aとし、取り付け孔6周辺
の部分は加熱温度500 〜600 ℃となる高エネルギービー
ム5bとしているのである。
【0050】このような靱性化処理によれば、取り付け
孔6周辺が他の部分に比較してある程度の硬度を有して
靱性化されるので、この方法で形成された刃物3を機械
に取り付けた場合、しっかりと取り付けられるととも
に、取り付け孔6周辺に傷がつきにくいものになってい
る。
【0051】なお、上記の図4ないし図6の高エネルギ
ービーム5は、スポット径を絞って特定の部分に限定し
て照射することができるので、靱性化処理を施さずに高
硬度の刃先1aを確実に残すことができる点で、特に好ま
しいものである。
【0052】図7に示す靱性化処理では、図4のものと
異なり、高エネルギービーム5の照射を、均一に一定の
間隔を空けて台金2の部分に行うようにしている。
【0053】図8は、このような一定の間隔を空けた高
エネルギービーム5の照射パターンを示し、(A)は、
格子状のもの、(B)は放射状のもの、(C)は同心円
状のものを示している。このように、様々な形状に、均
一に一定の間隔を空けて照射パターンを形成するとよい
ものである。
【0054】このような靱性化処理によれば、高エネル
ギービーム5を照射する部分を減らすことができるの
で、照射時間を短くして処理時間を短縮することができ
る。
【0055】図9に示す靱性化処理では、図4のものと
異なり、高エネルギービーム5の照射を、切刃1の根元
1bの部分にのみ行っている。この図の(A)は靱性化処
理を行っている状態の断面図、(B)はこの処理工程で
得られた丸鋸刃3を平面図に示しているこのような靱性
化処理によれば、(B)に示すように、切刃1の根元の
部分に靱性が付与されて、切削時に刃先1aに加わる切削
時の衝撃がこの部分の靱性によって遮断されるので、切
削性がよいとともに破損しにくい刃物3となる。また、
高エネルギービーム5の照射部分が、図8のものよりさ
らに少ないので、処理時間をさらに短縮することができ
る。
【0056】以上の靱性化処理によって得られた台金2
の部分について、靱性を評価した結果、十分に靱性が付
与されていることが確認できた。
【0057】図10は靱性の評価試験を示す断面図であっ
て、この図に示すように試験片を二点A、Bで支持し、
この二点間の中間Cに荷重Fを加えて三点曲げ試験を行
ったものである。
【0058】図11はこの試験結果を示すグラフ図であっ
て、横軸に変移としてたわみ量を、縦軸に荷重Fをとっ
ている。この図において、試験片が破断する点Gまでの
荷重−変移曲線fと横軸とで囲まれる部分の面積を、試
験片の断面積で割った数値が靱性を表している。この具
体的な数値を具体的に示すと、この実施例の靱性化処理
によって得られた台金2の部分は、10〜20kgf/mmなのに
対して、硬化処理のみでは8kgf/mm以下の数値となって
いる。
【0059】
【発明の効果】請求項1記載の発明では、切刃の部分の
硬度を残したまま、少なくとも切刃の刃先を除いた部分
を靱性化することによって、切刃のみを高硬度で耐磨耗
性のある材質として十分長い刃先寿命を付与するととも
に、切削時の衝撃に十分耐えて破損しにくいとともに、
切削時の振動および騒音を抑えることのできる刃物を形
成できる。
【0060】この熱処理方法は、切刃の少なくとも刃先
を除いて加熱するだけでよいので、簡単な処理工程であ
って、刃物の熱処理が容易である。
【0061】請求項2記載の発明では、高周波加熱によ
って、限定された部分を加熱することが効率よく行わ
れ、迅速に靱性化処理を行うことができる。
【0062】請求項3記載の発明では、通電加圧治具に
よる刃物の挟持押圧によって、硬化処理による刃物の変
形が抑えられるので、歪みの少ない正確な形状の刃物を
得ることができる。
【0063】請求項4記載の発明では、高エネルギービ
ームによって、限定した部分を加熱することが効率よく
行われ、迅速に靱性化処理を行うことができる。
【0064】請求項5記載の発明では、与える熱エネル
ギーを少なくして、刃物の歪みを小さくおさえて熱処理
することができる。したがって、正確な形状の刃物を得
ることができる。
【0065】請求項6記載の発明では、取り付け孔周辺
が他の部分に比較してある程度の硬度を有して靱性化さ
れるので、この方法で形成された刃物を機械に取り付け
た場合、しっかりと取り付けられるとともに、取り付け
孔周辺に傷がつきにくいものになっている。
【0066】請求項7記載の発明では、高エネルギービ
ームの照射部分が少ないので、照射時間を短くし、処理
時間を短縮することができる。
【0067】請求項8記載の発明では、切刃の根元の部
分に靱性が付与されて、切削時に刃先に加わる切削時の
衝撃がこの部分の靱性によって遮断されるので、切削性
が酔いとともに破損しにくい刃物となる。
【0068】また、高エネルギービームの照射部分がさ
らに少ないので、処理時間をさらに短縮することができ
る。
【0069】請求項9記載の発明では、刃先が焼結によ
って、所望の切削加工に適した形状に形成され、切削性
のよい刃物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における刃物の製造工程を示
す説明図であり、(A)〜(E)は示している。
【図2】同上実施例における硬化処理工程を示す平面図
である。
【図3】同上実施例における別の硬化処理工程を示す断
面図である。
【図4】同上実施例におけるさらに別の硬化処理工程を
示す断面図である。
【図5】同上実施例におけるさらに別の硬化処理工程を
示す断面図である。
【図6】同上実施例におけるさらに別の硬化処理工程を
示す断面図である。
【図7】同上実施例におけるさらに別の硬化処理工程を
示す断面図である。
【図8】同上の硬化処理工程における照射パターンを示
す平面図であって、(A)、(B)、(C)はそれぞれ
異なるパターンを示している。
【図9】同上実施例におけるさらに別の硬化処理工程を
示す説明図であって、(A)は断面図、(B)は平面図
を示している。
【図10】同上実施例における靱性の評価方法を示す断面
図である。
【図11】同上の評価方法におけるグラフ図である。
【図12】従来例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 切刃 2 台金 3 刃物 4 通電加圧治具 5 高エネルギービーム 6 取り付け孔 11 金属粉末 12 バインダー 13 ボルト・ナット 15 レーザー光 20 試験片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡村 英澄 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 草野 昇 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 切刃と台金とを有する刃物全体に硬化処
    理を行ったのち、局所加熱手段によって、少なくとも切
    刃の刃先を除いて、硬化処理よりも低温で加熱し徐冷す
    る靱性化処理を施すことを特徴とする刃物の熱処理方
    法。
  2. 【請求項2】 局所加熱手段として、高周波加熱を行う
    ことを特徴とする請求項1記載の刃物の熱処理方法。
  3. 【請求項3】 局所加熱手段として、刃物を通電加圧治
    具によって挟持押圧するとともに、この通電加圧治具に
    通電することを特徴とする請求項1記載の刃物の熱処理
    方法。
  4. 【請求項4】 局所加熱手段として、高エネルギービー
    ムを照射し、刃物の厚さ方向全体を加熱することを特徴
    とする請求項1記載の刃物の熱処理方法。
  5. 【請求項5】 局所加熱手段として、高エネルギービー
    ムを照射し、刃物の表面部のみを加熱することを特徴と
    する請求項1記載の刃物の熱処理方法。
  6. 【請求項6】 台金に形成された取り付け孔周辺の加熱
    温度を、他の部分より低くして靱性化処理を施すことを
    特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の刃物の
    熱処理方法。
  7. 【請求項7】 高エネルギービームの照射を、均一に一
    定の間隔を空けて行うことを特徴とする請求項4または
    5記載の刃物の熱処理方法。
  8. 【請求項8】 高エネルギービームを照射を、切刃の根
    元部分に行うことを特徴とする請求項4または5記載の
    刃物の熱処理方法。
  9. 【請求項9】 刃物を焼結によって形成することを特徴
    とする請求項1ないし8のいずれかのに記載の刃物の熱
    処理方法。
JP3274495A 1995-02-22 1995-02-22 刃物の熱処理方法 Pending JPH08225850A (ja)

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JP3274495A JPH08225850A (ja) 1995-02-22 1995-02-22 刃物の熱処理方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2009009723A3 (en) * 2007-07-11 2009-02-26 Gkn Sinter Metals Inc Functionally graded powder metal components
JP2014173148A (ja) * 2013-03-08 2014-09-22 Neturen Co Ltd 薄肉立体形状体の製造方法

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