JP2008013802A - 金属製品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 0.3重量%以上のCを含有する金属材料により構成される金属製品(例えば各種金型、工具、刃物、機械・自動車部品など)に対して部分的な焼入硬化を適切に、かつ精密に行うことができる金属製品の製造方法を提供する。
【解決手段】 金属粉末射出成形法によりチップ4を成形しているので、成形されたチップ4内では、炭化物が製品全体に、しかも均一に分散されている。そして、この分散状態でレーザービームLBを用いて部分焼入処理を行っているため、レーザービームLBによる急速加熱によりオーステナイト組織を得るとともに、該オーステナイト母相への炭化物の固溶を短時間に完了させることができる。したがって、レーザー焼入を用いたとしても、チップ4の刃部42に対する部分焼入を完全に行うことができ、該刃部42を選択的に表面硬化させることができる。
【選択図】 図2
【解決手段】 金属粉末射出成形法によりチップ4を成形しているので、成形されたチップ4内では、炭化物が製品全体に、しかも均一に分散されている。そして、この分散状態でレーザービームLBを用いて部分焼入処理を行っているため、レーザービームLBによる急速加熱によりオーステナイト組織を得るとともに、該オーステナイト母相への炭化物の固溶を短時間に完了させることができる。したがって、レーザー焼入を用いたとしても、チップ4の刃部42に対する部分焼入を完全に行うことができ、該刃部42を選択的に表面硬化させることができる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、0.3重量%以上のCを含有する金属材料により構成される金属製品の表面を局部的に硬化させる金属製品の製造方法に関するものである。
金属製品を硬化させる方法として焼入硬化法が従来より多用されている。例えば鋼製の金属製品に対して焼入硬化処理を施すためには、鋼製の金属製品をA1変態点温度以上の高温域に加熱してオーステナイト組織を得る。また、母相に炭化物を固溶させるために鋼成分に対応する時間だけ均熱処理(固溶化熱処理)を施した後、金属製品を急冷して硬いマテンサイト組織を得ることによって金属製品を硬化させる。通常、高温域での温度コントロールが容易な炉の中に金属製品全体を装入する、全体焼入れによって行われている。しかしながら、金属製品によっては、熱処理コストの低減や部分的に異なる所要特性を得る等の目的から、部分焼入れを必要とする場合がある。そこで、このような要望を満足させるために、高周波焼入れ法やレーザー焼入れ法が行われるようになってきている(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載の部分焼入方法は急速加熱を用いており、オーステナイトの高温域における温度コントロールが難しく、十分な均熱時間を取ることができない。そのため、対象となる鋼材は炭化物が固溶しやすく、均熱時間を殆ど必要としない構造用鋼等の低合金鋼が主体となっている。また、高Cかつ合金元素を多く含む合金工具鋼(SKD11等)や高速度工具鋼(SKH51等)などの高合金鋼の焼入れは、炭化物を固溶させるため、1000゜C以上の高温度域で所要時間、均熱する必要がある(通常、インチ当り30分必要と言われている)。また、部分焼入方法の中でも、特にレーザービームを高密度熱源として用いた焼入方法では、超高速加熱のため、高温域での温度コントロールが非常に難しいことから適用対象は低合金鋼に限定されており、高合金鋼での安定的な操業は行われていない。
本発明の目的は、上記課題に鑑み、0.3重量%以上のCを含有する金属材料により構成される金属製品(例えば各種金型、工具、刃物、機械・自動車部品など)に対して部分的な焼入硬化を適切に、かつ精密に行うことができる金属製品の製造方法を提供することにある。
この発明は、上記目的を達成するため、金属粉末を用いた粉末成形法により0.3重量%以上のCを含有するとともに炭化物を全体に分散した金属製品を成形する粉末成形工程と、金属製品の表層部の一部にレーザービームを照射しながら走査して該レーザー走査領域に対して焼入処理を施す部分焼入工程とを備えたことを特徴としている。
このように構成された発明では、粉末成形工程により金属製品全体に炭化物が分散された上で、レーザービームによる部分焼入が実行される。このようにレーザービームの照射前に既に炭化物は分散されているため、レーザービームによる急速加熱により炭化物の固溶が短時間で完了し、優れた部分焼入が実行される。ここで、炭化物の固溶を促進するためには、粉末成形工程において約5μm以下の粒径を有する炭化物を金属製品の全体に均一に形成するのが望ましい。
また、金属製品としては各種金型、工具、刃物、機械・自動車部品などが含まれ、次のように構成されたチップに対しても上記した製造方法を適用することができる。このチップ(金属製品)は、所定方向を臨む刃面を有する刃部が設けられるとともに該刃部から所定方向と異なる方向に接合部が延設され、該接合部を鋸歯板の取付部に挿脱することにより該鋸歯板に対して着脱自在となっている。このチップ製造方法を構成する部分焼入工程では、刃面上にレーザービームを走査させて刃部を部分的に焼入硬化させることができる。また、刃面の底部から刃先に向けてレーザービームを走査させて刃部に焼入処理を施すように構成してもよい。
粉末成形工程としては、金属粉末射出成形法を用いることができる。また、粉末成形工程後で且つ部分焼入工程前に、金属製品全体に対して焼入処理を施した後に焼戻す全体焼入焼戻工程を実行するのが望ましい。
本発明の製造方法によれば、各種金型、工具、刃物、機械・自動車部品などの金属製品に対して部分的な焼入硬化を適切に、かつ精密に行うことができる。
<金属製品の製造方法>
高密度熱源としてレーザービームを用いて金属製品に対して部分焼入を行うことは上記したように周知の技術であるが、それを実行する上でオーステナイト相に炭化物を如何に固溶させるかが大きなポイントとなっている。特に、レーザービームを用いて加熱した場合、そのレーザービームが照射された領域は短時間で高温に加熱されるものの、該レーザー照射領域の温度を一定に保つことは難しい。そのため、オーステナイト相に炭化物が十分に固溶しないままレーザービームが該領域から移動すると、不完全焼入れとなってしまう。そこで、本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、レーザービームによる部分焼入を実行する前に、予め金属製品全体に炭化物を分散させておくと、レーザービームによる急速加熱によりオーステナイト組織が得られるとともに、該オーステナイト母相への炭化物の固溶が短時間で完了することを見出し、本発明を完成させるに至った。
高密度熱源としてレーザービームを用いて金属製品に対して部分焼入を行うことは上記したように周知の技術であるが、それを実行する上でオーステナイト相に炭化物を如何に固溶させるかが大きなポイントとなっている。特に、レーザービームを用いて加熱した場合、そのレーザービームが照射された領域は短時間で高温に加熱されるものの、該レーザー照射領域の温度を一定に保つことは難しい。そのため、オーステナイト相に炭化物が十分に固溶しないままレーザービームが該領域から移動すると、不完全焼入れとなってしまう。そこで、本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、レーザービームによる部分焼入を実行する前に、予め金属製品全体に炭化物を分散させておくと、レーザービームによる急速加熱によりオーステナイト組織が得られるとともに、該オーステナイト母相への炭化物の固溶が短時間で完了することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、金属粉末を用いた粉末成形法により0.3重量%以上のCを含有するとともに炭化物を全体に分散した金属製品を成形する粉末成形工程と、金属製品の表層部の一部にレーザービームを照射しながら走査して該レーザー走査領域に対して焼入処理を施す部分焼入工程とを備えたことを特徴とする金属製品の製造方法に関するものである。
ここで、本発明では粉末成形法を用いて金属製品全体に炭化物を分散させているが、レーザービームによる加熱によりオーステナイト相への炭化物の固溶を促進するために炭化物の粒径を小さくするのが望ましく、例えば約5μm以下の粒径に仕上げるのが好ましい。また、部分焼入された領域の組織を良好なものとするためには、粉末成形工程により炭化物を金属製品内で均一に分散させるのが望ましい。
また、従来の部分焼入方法では、合金元素の含有量が増大するにしたがって炭化物の固溶が困難となる。例えば0.3%以上のCを含有し、Cr:3%以上、Mo:1%以上、W:1%以上、V:0.5%以上、合金元素合計:5%以上のいずれかを含む高合金鋼で構成された金属製品に対し、従来のレーザービームによる部分焼入方法を適用することは事実上不可能であった。これに対し、本発明では部分焼入工程に先立って炭化物を分散させているため、金属製品が高合金鋼で構成されていたとしても炭化物の固溶が確実に行われて適切な部分焼入が実行される。
また、上記製造方法は0.3重量%以上のCを含有する金属材料により構成される金属製品全般に対して適用することができるが、例えば特開2004−90180号公報や特開2005−1148号公報などに記載されたチップソーに用いるチップに対して本発明を適用することができる。以下、本発明の「金属製品」に相当するチップの製造方法の一実施形態を図1ないし図3を参照しながら説明する。
<チップの構造および製造方法>
図1はこの発明にかかる金属製品の製造方法により製造されるチップ(金属製品)の構成およびチップソーに対するチップの着脱手順を示す模式図である。また、図2はチップ(金属製品)の製造方法を示すフローチャートである。さらに、図3は図2の製造方法により製造されたチップを示す斜視図である。ここでは、チップの構成を説明した上で、そのチップの製造方法の一実施形態について詳述する。
図1はこの発明にかかる金属製品の製造方法により製造されるチップ(金属製品)の構成およびチップソーに対するチップの着脱手順を示す模式図である。また、図2はチップ(金属製品)の製造方法を示すフローチャートである。さらに、図3は図2の製造方法により製造されたチップを示す斜視図である。ここでは、チップの構成を説明した上で、そのチップの製造方法の一実施形態について詳述する。
図1中の符号1はチップソーの一例として示す製材用の帯鋸である。このチップソー1は、同図に示すように、スチール製の板帯部材を無端帯状に形成した鋸歯板2と、その鋸歯板2の歯形部3に対して着脱自在に構成されたチップ(刃体)4とで構成されている。すなわち、鋸歯板2の上方側縁に所定の歯ピッチで歯形部3が形成されている。一方、チップ4には、図1の矢印で示す切削方向(同図の右手方向)Xを臨む刃面41が設けられており、この刃面41を含む部位が刃部42となっている。この刃部42の先端部は刃先421となっている。つまり、刃先421を刃部前面の平坦な刃面41の上部で先鋭に形成する。一方、刃部42の下部が底部422となっており、後述するようにしてチップ4が鋸歯板2の歯形部3に装着されると、底部422が鋸歯板2の底部受面21で当接して固定される。このように、本実施形態では、歯形部3が本発明の「取付部」に相当している。
また、この刃部42の両側から切削方向Xにおける上流側(同図の左手側)に向け、舌片状の接合片(挟持片)43が平面視でコ字状となるように延設されている。このため、接合片(挟持片)43の間に上流側(図1の左手側)に開放した嵌合溝44が形成されている。そして、嵌合溝44に対して鋸歯板2の歯形部3が相対的に圧入され、一対の接合片43が歯形部3を挟み込む。このように一対の接合片43が鋸歯板2を広い接触面で両側より押圧挟持してチップ4が鋸歯板2に装着固定される。また、チップ4の装着と逆の手順によりチップ4を鋸歯板2から取り外すことも可能となっている。このように、本実施形態では、一対の接合片43が本発明の「接合部」として機能している。このように構成されたチップ4の一例としては、例えば次のような寸法(図3参照)
刃巾L:2.1mm
刃厚H:1mm
接合片43の突出長さ:2.5mm
刃面41の上下高さ:5.0mm
嵌合溝16の幅:板厚が1mmの歯形部3に対し、圧入可能な締まり嵌め嵌合をする公差を有して形成している、
を有するものがある。また、チップ4の寸法などはこれに限定されるものではなく、例えば刃巾L=3.3mmのチップも存在している。なお、接合部の形状や構成などについては、これに限定されるものではない。
刃巾L:2.1mm
刃厚H:1mm
接合片43の突出長さ:2.5mm
刃面41の上下高さ:5.0mm
嵌合溝16の幅:板厚が1mmの歯形部3に対し、圧入可能な締まり嵌め嵌合をする公差を有して形成している、
を有するものがある。また、チップ4の寸法などはこれに限定されるものではなく、例えば刃巾L=3.3mmのチップも存在している。なお、接合部の形状や構成などについては、これに限定されるものではない。
次に、上記のように構成されるチップ4の製造方法について図2を参照しつつ詳述する。この実施形態では、まずチップ4を構成する金属材料の粉末を準備し、該金属粉末を用いて金属粉末射出成形法(MIM)によりチップ4を成形する(ステップS1)。より具体的には、以下の手順でチップ4が成形される。まず、原料の金属粉末にワックスや樹脂等の有機バインダーを150゜Cで混練して、一旦ペレット状にした後、加熱溶融し、チップ4の形状に基づき設計・製造された金型に100〜600気圧で射出成形する。そして、射出成形品(部分焼入前のチップ)を金型から取り出した後、この射出成形品を380゜Cまで昇温して24〜48時間かけて脱脂を行う。さらに、この脱脂処理を受けた射出成形品を焼結炉にて1170゜C前後で約10時間かけて焼結する。こうして、図1や図3に示す形状のチップ4が成形される。
こうして成形されたチップ4に対して焼入・焼戻処理を施してチップ4の組織を調整する(ステップS2)。この実施形態では、焼入・焼戻処理を受けたチップ4のビッカース硬さHvを測定したところ550〜600程度であり、チップ4に対して要求される硬さ(ビッカース硬さHv=800〜900)に対して大幅に低い状態となっている。
これに続いて、チップ4をレーザー照射装置(図示省略)の試料台にセットし、刃部42の底部422がレーザービームの照射位置に一致するように位置決めする。そして、レーザービームLBの射出を開始する(ステップS3)。これにより、まず最初に刃部42の底部422に対し、約6mmのスポット径でレーザービームLBが照射されて底部422の表面が急速加熱される。
また、レーザービームLBは底部422から刃先421に向けて例えば280(mm/分)で移動する(ステップS4)。このレーザー走査は、ステップS5で「YES」と判定、つまりレーザービームLBの照射位置が刃先位置に達したと判定されるまで実行される。この判定と同時にレーザービームLBの照射が停止されてレーザー走査を完了させる。このように刃面41の各部はレーザービームLBによる急速加熱と急冷とを受けて焼入処理が施され、図3の梨地模様に示すように刃面41の表面から約0.5〜1mmの深さで刃部42は焼入硬化されている。なお、この実施形態では、上記レーザー走査条件(走査速度およびスポット径など)でレーザー部分焼入処理を行っているが、その条件は金属製品の大きさ、材質、組成などに応じて適宜設定することが望ましい。
部分焼入処理が完了した後、必要に応じてサブゼロ処理(ステップS7)と焼戻し処理(ステップS8)を行うことができる。例えば、レーザー焼入処理後に例えば−50゜C以下の温度でサブゼロ処理を行うことによりチップ4に残留しているオーステナイト組織がマルテンサイト変態して硬度をさらに高めるとともに組織の安定化を図ることができる。また、焼戻し処理を行うことでレーザー焼入やサブゼロ処理で得られた組織を安定な組織に近づけて所望の性質および状態を得ることができる。
以上のように、この実施形態によれば、金属粉末射出成形法によりチップ4を成形しているので、成形されたチップ4内では、炭化物が製品全体に、しかも均一に分散されている。そして、この分散状態でレーザービームLBを用いて部分焼入処理を行っているため、レーザービームLBによる急速加熱によりオーステナイト組織を得るとともに、該オーステナイト母相への炭化物の固溶を短時間に完了させることができる。したがって、レーザー焼入を用いたとしても、チップ4の刃部42に対する部分焼入を完全に行うことができ、該刃部42を選択的に表面硬化させることができる。例えば上記のようにして製造されたチップ4の刃先421のビッカース硬さHvを測定したところ、800〜900の硬さが得られた。一方、刃部42以外のビッカース硬さHvは550〜600程度となっている。
また、このようにして形成されたチップ4では、切削性に直接関係する刃部42は焼入硬化される一方、それ以外の部位は硬さは抑制されて優れた靭性に備えている。その結果、(1)刃部42の硬度が高く、優れた切削性を有する、(2)刃部42以外の部位では靭性に優れ、鋸歯板2に対するチップ4の着脱時や操業中の高負荷によりチップ4が割れるなどの破損発生を効果的に抑制する、という複合的な作用効果を得ることができる。
また、この実施形態では、切削性において重要視されるのが刃部42のうち刃先421であることを考慮してレーザービームLBを刃部42の底部422側から刃先421側に走査させている。すなわち、レーザービームLBの照射開始直後では刃部42の温度上昇は若干抑えられる傾向にあり、しかもレーザー出力も安定していないため、図3に示すように底部422では所望の焼入硬化を得ることは難しい。これに対し、レーザー走査の中間および後段においては照射開始直後の現象は解消されて所望の焼入硬化が得られる(焼入硬化領域)。したがって、切削性に優れたチップ4を安定して製造することができる。
<その他>
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態ではチップソーに用いるチップ4を本発明の「金属製品」とし、該製品の製造方法について説明したが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、他の金属製品に対しても適用可能である。例えば、デジタルカメラやビデオカメラ、あるいは携帯電話機等の製品において、液晶表示部や操作スイッチ部を反転させるために、カム機構が作用されている。例えば特開2006−135433号公報に記載の機器では、表示部がカメラ部に対して回動されていない場合には、図4に示すように、回動軸51に設けられているカム52の突起部521がロック部材53を押さえてロック孔54に係合されないようにし、これによってカメラ部を本体部に対して回転可能にしている。また、表示部がカメラ部に対して回動された場合には、カム52の突起部521によるロック部材53の押圧が解除され、これによってロック部材53がカメラ部のベースのロック孔54内に侵入し、このロック部材53によってカメラ部が本体部に対して回動しないように構成している。このようにカム52の突起部521は回動動作に応じてロック部材53と当接して摩耗する。そこで、カム52を本発明の「金属製品」として粉末成形法により成形した後、突起部521に対してレーザービームLBによる部分焼入処理を行うことができる。これによって、突起部521を選択的に焼入硬化させて耐摩耗性を向上させることができる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態ではチップソーに用いるチップ4を本発明の「金属製品」とし、該製品の製造方法について説明したが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、他の金属製品に対しても適用可能である。例えば、デジタルカメラやビデオカメラ、あるいは携帯電話機等の製品において、液晶表示部や操作スイッチ部を反転させるために、カム機構が作用されている。例えば特開2006−135433号公報に記載の機器では、表示部がカメラ部に対して回動されていない場合には、図4に示すように、回動軸51に設けられているカム52の突起部521がロック部材53を押さえてロック孔54に係合されないようにし、これによってカメラ部を本体部に対して回転可能にしている。また、表示部がカメラ部に対して回動された場合には、カム52の突起部521によるロック部材53の押圧が解除され、これによってロック部材53がカメラ部のベースのロック孔54内に侵入し、このロック部材53によってカメラ部が本体部に対して回動しないように構成している。このようにカム52の突起部521は回動動作に応じてロック部材53と当接して摩耗する。そこで、カム52を本発明の「金属製品」として粉末成形法により成形した後、突起部521に対してレーザービームLBによる部分焼入処理を行うことができる。これによって、突起部521を選択的に焼入硬化させて耐摩耗性を向上させることができる。
また、上記実施形態では、1本のレーザービームLBを用いて部分焼入処理を行っているが、複数本のレーザビームを用いてもよい。
また、上記実施形態では、本発明の「粉末成形法」として金属粉末射出成形法により金属製品を成形しているが、これ以外に粉末成形法を用いて金属製品を成形してもよい。例えば、チップ4などの金属製品を熱間等方圧プレス法(HIP)により成形してもよい。
この発明は、0.3重量%以上のCを含有する金属材料により構成される金属製品(例えば各種金型、工具、刃物、機械・自動車部品など)の製造全般に適用することができる。
2…鋸歯板
3…歯形部(取付部)
4…チップ(金属製品)
41…刃面
42…刃部
43…接合片(接合部)
44…嵌合溝(接合部)
52…カム(金属製品)
421…(刃面の)刃先
422…(刃面の)底部
521…突起部
LB…レーザービーム
3…歯形部(取付部)
4…チップ(金属製品)
41…刃面
42…刃部
43…接合片(接合部)
44…嵌合溝(接合部)
52…カム(金属製品)
421…(刃面の)刃先
422…(刃面の)底部
521…突起部
LB…レーザービーム
Claims (6)
- 金属粉末を用いた粉末成形法により0.3重量%以上のCを含有するとともに炭化物を全体に分散した金属製品を成形する粉末成形工程と、
前記金属製品の表層部の一部にレーザービームを照射しながら走査して該レーザー走査領域に対して焼入処理を施す部分焼入工程と
を備えたことを特徴とする金属製品の製造方法。 - 前記粉末成形工程は約5μm以下の粒径を有する炭化物を前記金属製品の全体に均一に形成する工程である請求項1記載の金属製品の製造方法。
- 前記金属製品が、所定方向を臨む刃面を有する刃部が設けられるとともに該刃部から前記所定方向と異なる方向に接合部が延設され、該接合部を鋸歯板の取付部に挿脱することにより該鋸歯板に対して着脱自在となっているチップである請求項1または2記載の金属製品の製造方法であって、
前記部分焼入工程は前記刃面上にレーザービームを走査させて前記刃部を部分的に焼入硬化させる工程である金属製品の製造方法。 - 前記部分焼入工程は前記刃面の底部から刃先に向けて前記レーザービームを走査させて前記刃部に焼入処理を施す工程である請求項3記載の金属製品の製造方法。
- 前記粉末成形工程は金属粉末射出成形法である請求項1ないし4のいずれかに記載の金属製品の製造方法。
- 前記粉末成形工程後で且つ前記部分焼入工程前に、前記金属製品全体に対して焼入処理を施した後に焼戻す全体焼入焼戻工程をさらに備えた請求項5記載の金属製品の製造方法。
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DE102013221693A1 (de) | 2013-03-21 | 2014-09-25 | Hyundai Motor Company | Schallabsorbierendes Material für ein Fahrzeug, bei welchem schäumende Urethanschaum verwendet wird, bei dem Kohlenstoff-Nanoröhrchen verwendet werden, und Verfahren zur Herstellung desselben |
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2006
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