JPH08225312A - Oh基炭酸水酸アパタイトの製造法 - Google Patents
Oh基炭酸水酸アパタイトの製造法Info
- Publication number
- JPH08225312A JPH08225312A JP575795A JP575795A JPH08225312A JP H08225312 A JPH08225312 A JP H08225312A JP 575795 A JP575795 A JP 575795A JP 575795 A JP575795 A JP 575795A JP H08225312 A JPH08225312 A JP H08225312A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hydroxyapatite
- carbon dioxide
- partial pressure
- carbonic acid
- group
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
- Materials For Medical Uses (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【構成】水酸アパタイトのOH基のみの一部をCO3基
に置換させたOH基炭酸水酸アパタイトの製造法であっ
て、水酸アパタイトを1気圧以上の炭酸ガス分圧下で5
00℃〜1100℃に加熱することを特徴とするOH基
炭酸水酸アパタイトの製造法。特に前記加熱の時間、前
記炭酸ガス分圧、炭酸ガス分圧以上の分圧下における炭
酸ガス分圧等を制御して、得られるOH基炭酸水酸アパ
タイトのCO3含有量を制御するOH基炭酸水酸アパタ
イトの製造法。 【効果】前記製造法では、OH基炭酸水酸アパタイトを
効率良く、且つ容易に製造することができ、しかも加熱
温度及び/又は炭酸雰囲気中等の炭酸ガス分圧を制御す
ることにより、製造物のCO3含有量を制御することが
できると共に、最も効率の良い合成条件を選択して、C
O3含有量を所望量に制御したOH基炭酸水酸アパタイ
トを得ることができる。
に置換させたOH基炭酸水酸アパタイトの製造法であっ
て、水酸アパタイトを1気圧以上の炭酸ガス分圧下で5
00℃〜1100℃に加熱することを特徴とするOH基
炭酸水酸アパタイトの製造法。特に前記加熱の時間、前
記炭酸ガス分圧、炭酸ガス分圧以上の分圧下における炭
酸ガス分圧等を制御して、得られるOH基炭酸水酸アパ
タイトのCO3含有量を制御するOH基炭酸水酸アパタ
イトの製造法。 【効果】前記製造法では、OH基炭酸水酸アパタイトを
効率良く、且つ容易に製造することができ、しかも加熱
温度及び/又は炭酸雰囲気中等の炭酸ガス分圧を制御す
ることにより、製造物のCO3含有量を制御することが
できると共に、最も効率の良い合成条件を選択して、C
O3含有量を所望量に制御したOH基炭酸水酸アパタイ
トを得ることができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水酸アパタイトのOH
基のみの一部をCO3基に置換させたOH基炭酸水酸ア
パタイトの製造法に関し、特に製造物のCO3含有量を
制御することを可能にしたOH基炭酸水酸アパタイトの
製造法に関する。
基のみの一部をCO3基に置換させたOH基炭酸水酸ア
パタイトの製造法に関し、特に製造物のCO3含有量を
制御することを可能にしたOH基炭酸水酸アパタイトの
製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】水酸アパタイトは、Ca10(PO4)6(OH)2の
組成式で表わされる化合物であるが、この(PO4)サイト
及び/又は(OH)サイトの一部が、(CO3)で置換された炭
酸水酸アパタイトの存在が知られている。この炭酸水酸
アパタイトのうち、(OH)サイトのみの一部が(CO3)で置
換されたアパタイト(Ca10(PO4)6(CO3)x(OH)2_2x)を、O
H基炭酸水酸アパタイトといい、(PO4)サイトのみの一
部が(CO3)で置換されたアパタイト(Ca10[(P,C)O4]6(OH)
2)をPO4基炭酸水酸アパタイトという。
組成式で表わされる化合物であるが、この(PO4)サイト
及び/又は(OH)サイトの一部が、(CO3)で置換された炭
酸水酸アパタイトの存在が知られている。この炭酸水酸
アパタイトのうち、(OH)サイトのみの一部が(CO3)で置
換されたアパタイト(Ca10(PO4)6(CO3)x(OH)2_2x)を、O
H基炭酸水酸アパタイトといい、(PO4)サイトのみの一
部が(CO3)で置換されたアパタイト(Ca10[(P,C)O4]6(OH)
2)をPO4基炭酸水酸アパタイトという。
【0003】水酸アパタイトは、脊椎動物の骨や歯を構
成する主要無機成分であるが、この水酸アパタイトは、
構造中に他のイオンを微量成分として取り込みやすく、
生体のアパタイトでは、CO3 2~、HPO4 2~、F~、C
l~、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウ
ムイオン等のイオンが含まれている。これらの微量成分
は、水酸アパタイトの結晶性、溶解性、硬度等の物理化
学的特性を変化させ、その結果、骨や歯に係わる生理現
象に影響を与える。上記のような不純物イオンのうち、
CO3 2~は含有量が最も多く、生体の水酸アパタイトの
物理化学的特性に強く影響を与えていると考えられてい
る。更にOH基炭酸水酸アパタイトは、歯のエナメル質
に、より近い組成を有するものであるため、歯のう蝕や
自然治癒等のような現象を解明するために、現在までに
様々な方法で合成が試みられている。
成する主要無機成分であるが、この水酸アパタイトは、
構造中に他のイオンを微量成分として取り込みやすく、
生体のアパタイトでは、CO3 2~、HPO4 2~、F~、C
l~、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウ
ムイオン等のイオンが含まれている。これらの微量成分
は、水酸アパタイトの結晶性、溶解性、硬度等の物理化
学的特性を変化させ、その結果、骨や歯に係わる生理現
象に影響を与える。上記のような不純物イオンのうち、
CO3 2~は含有量が最も多く、生体の水酸アパタイトの
物理化学的特性に強く影響を与えていると考えられてい
る。更にOH基炭酸水酸アパタイトは、歯のエナメル質
に、より近い組成を有するものであるため、歯のう蝕や
自然治癒等のような現象を解明するために、現在までに
様々な方法で合成が試みられている。
【0004】例えば1932年 Hendricks et al. は、
幾何学的な観点から、CO3 2~はOHサイトを置換する
と提唱したが、その後McConnel et al.は、水熱法によ
る合成では、PO4基とOH基との両方をCO3基が置換
することを示した。従来OH基炭酸水酸アパタイトは、
脱水した水酸アパタイトを、常圧で炭酸ガス中において
約1000℃に加熱することにより得られることが知ら
れている。一方PO4基炭酸水酸アパタイトは、100
℃以下に保持して湿式法により沈澱させる方法によって
合成できることが知られている。
幾何学的な観点から、CO3 2~はOHサイトを置換する
と提唱したが、その後McConnel et al.は、水熱法によ
る合成では、PO4基とOH基との両方をCO3基が置換
することを示した。従来OH基炭酸水酸アパタイトは、
脱水した水酸アパタイトを、常圧で炭酸ガス中において
約1000℃に加熱することにより得られることが知ら
れている。一方PO4基炭酸水酸アパタイトは、100
℃以下に保持して湿式法により沈澱させる方法によって
合成できることが知られている。
【0005】しかしながら、従来の合成法では、CO3
基の置換サイトと炭酸含有量とを制御することは困難で
あると考えられているのが実状である。
基の置換サイトと炭酸含有量とを制御することは困難で
あると考えられているのが実状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、水酸アパタイトのOH基のみの一部をCO3基で置
換した、OH基炭酸水酸アパタイトを効率良く、且つ容
易に製造することができ、しかもその炭酸含有量をある
程度制御することが可能なOH基炭酸水酸アパタイトの
製造法を提供することにある。
は、水酸アパタイトのOH基のみの一部をCO3基で置
換した、OH基炭酸水酸アパタイトを効率良く、且つ容
易に製造することができ、しかもその炭酸含有量をある
程度制御することが可能なOH基炭酸水酸アパタイトの
製造法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、水酸ア
パタイトのOH基のみの一部をCO3基に置換させたO
H基炭酸水酸アパタイトの製造法であって、水酸アパタ
イトを1気圧以上の炭酸ガス分圧下で500℃〜110
0℃に加熱することを特徴とするOH基炭酸水酸アパタ
イトの製造法が提供される。また本発明によれば、水酸
アパタイトを1気圧以上の炭酸ガス分圧下で500℃〜
1100℃に加熱して、水酸アパタイトのOH基のみの
一部をCO3基に置換させるOH基炭酸水酸アパタイト
の製造法であって、前記加熱の時間及び/又は炭酸ガス
分圧を制御して、得られるOH基炭酸水酸アパタイトの
CO3含有量を制御することを特徴とするOH基炭酸水
酸アパタイトの製造法が提供される。更に本発明によれ
ば、水酸アパタイトを大気中の炭酸ガス分圧以上の分圧
下で500℃〜1100℃に加熱して、水酸アパタイト
のOH基のみの一部をCO3基に置換させるOH基炭酸
水酸アパタイトの製造法であって、炭酸ガス分圧を制御
して、得られるOH基炭酸水酸アパタイトのCO3含有
量を制御することを特徴とするOH基炭酸水酸アパタイ
トの製造法が提供される。
パタイトのOH基のみの一部をCO3基に置換させたO
H基炭酸水酸アパタイトの製造法であって、水酸アパタ
イトを1気圧以上の炭酸ガス分圧下で500℃〜110
0℃に加熱することを特徴とするOH基炭酸水酸アパタ
イトの製造法が提供される。また本発明によれば、水酸
アパタイトを1気圧以上の炭酸ガス分圧下で500℃〜
1100℃に加熱して、水酸アパタイトのOH基のみの
一部をCO3基に置換させるOH基炭酸水酸アパタイト
の製造法であって、前記加熱の時間及び/又は炭酸ガス
分圧を制御して、得られるOH基炭酸水酸アパタイトの
CO3含有量を制御することを特徴とするOH基炭酸水
酸アパタイトの製造法が提供される。更に本発明によれ
ば、水酸アパタイトを大気中の炭酸ガス分圧以上の分圧
下で500℃〜1100℃に加熱して、水酸アパタイト
のOH基のみの一部をCO3基に置換させるOH基炭酸
水酸アパタイトの製造法であって、炭酸ガス分圧を制御
して、得られるOH基炭酸水酸アパタイトのCO3含有
量を制御することを特徴とするOH基炭酸水酸アパタイ
トの製造法が提供される。
【0008】以下本発明を更に詳細に説明する。本発明
の製造法では、水酸アパタイトを炭酸ガス分圧下、特に
1気圧以上の炭酸ガス分圧下で、若しくは大気中の炭酸
ガス分圧以上の分圧下で500℃〜1100℃、好まし
くは700℃〜1000℃に加熱する。加熱温度が50
0℃〜1100℃の範囲外の場合には、所望のOH基炭
酸水酸アパタイトが得られない。このような加熱は、電
気炉等の炉を利用して行うことができる。前記炭酸ガス
分圧下とは、炭酸雰囲気中又は炭酸ガスと、空気、水蒸
気等との混合ガス雰囲気中のいずれであっても良く、炭
酸ガス流量は、好ましくは20ml/分となるように反応
系に炭酸ガスを流通させる方法等により作り出すことが
できる。また炭酸ガス分圧下の圧力は、好ましくは2k
g/cm2以上であるのが望ましい。この炭酸ガス分圧
下で合成反応させることにより、得られるOH基炭酸水
酸アパタイトのCO3含有量を高くすることができる。
また同じCO3含有量のOH基炭酸水酸アパタイトを調
製する場合には、加圧下とすることにより合成時間を短
縮させることができる。また前記加熱の時間は、2〜2
4時間が望ましい。
の製造法では、水酸アパタイトを炭酸ガス分圧下、特に
1気圧以上の炭酸ガス分圧下で、若しくは大気中の炭酸
ガス分圧以上の分圧下で500℃〜1100℃、好まし
くは700℃〜1000℃に加熱する。加熱温度が50
0℃〜1100℃の範囲外の場合には、所望のOH基炭
酸水酸アパタイトが得られない。このような加熱は、電
気炉等の炉を利用して行うことができる。前記炭酸ガス
分圧下とは、炭酸雰囲気中又は炭酸ガスと、空気、水蒸
気等との混合ガス雰囲気中のいずれであっても良く、炭
酸ガス流量は、好ましくは20ml/分となるように反応
系に炭酸ガスを流通させる方法等により作り出すことが
できる。また炭酸ガス分圧下の圧力は、好ましくは2k
g/cm2以上であるのが望ましい。この炭酸ガス分圧
下で合成反応させることにより、得られるOH基炭酸水
酸アパタイトのCO3含有量を高くすることができる。
また同じCO3含有量のOH基炭酸水酸アパタイトを調
製する場合には、加圧下とすることにより合成時間を短
縮させることができる。また前記加熱の時間は、2〜2
4時間が望ましい。
【0009】本発明の製造法に用いる原料としての水酸
アパタイトは、水熱法、湿式法等の公知の方法で合成さ
れたものを使用することができる。この水酸アパタイト
の形状は、前記炭酸ガスとの接触が良好となる形状であ
れば特に限定されるものではないが、粉体で結晶性の良
くない、未仮焼のものが好ましい。
アパタイトは、水熱法、湿式法等の公知の方法で合成さ
れたものを使用することができる。この水酸アパタイト
の形状は、前記炭酸ガスとの接触が良好となる形状であ
れば特に限定されるものではないが、粉体で結晶性の良
くない、未仮焼のものが好ましい。
【0010】本発明の製造法では、前記各条件を適宜設
定することにより、水酸アパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)
の(OH)サイトのみの一部が(CO3)で置換されたOH基炭
酸水酸アパタイト(Ca10(PO4)6(CO3)x(OH)2_2x)を得るこ
とができる。この際得られるOH基炭酸水酸アパタイト
のCO3含有量は、OH基炭酸水酸アパタイト全量に対
して、0.5〜5.0重量%のものが好ましく得られ
る。
定することにより、水酸アパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)
の(OH)サイトのみの一部が(CO3)で置換されたOH基炭
酸水酸アパタイト(Ca10(PO4)6(CO3)x(OH)2_2x)を得るこ
とができる。この際得られるOH基炭酸水酸アパタイト
のCO3含有量は、OH基炭酸水酸アパタイト全量に対
して、0.5〜5.0重量%のものが好ましく得られ
る。
【0011】本発明の製造法では、前記加熱の時間、前
記炭酸雰囲気等の炭酸ガス分圧、又はこれらの条件を組
み合わせて、好ましくは前述の範囲内で制御することに
より、所望のCO3含有量であるOH基炭酸水酸アパタ
イトを調製することができる。更に前記加熱温度をコン
トロールすることによってもCO3含有量を制御するこ
とができるが、CO3含有量の微調整には、前記加熱時
間及び/又は前記炭酸雰囲気等の炭酸ガス分圧を制御す
るのが好ましい。
記炭酸雰囲気等の炭酸ガス分圧、又はこれらの条件を組
み合わせて、好ましくは前述の範囲内で制御することに
より、所望のCO3含有量であるOH基炭酸水酸アパタ
イトを調製することができる。更に前記加熱温度をコン
トロールすることによってもCO3含有量を制御するこ
とができるが、CO3含有量の微調整には、前記加熱時
間及び/又は前記炭酸雰囲気等の炭酸ガス分圧を制御す
るのが好ましい。
【0012】
【発明の効果】本発明の製造法では、OH基炭酸水酸ア
パタイトを効率良く、且つ容易に製造することができ、
しかも加熱温度及び/又は炭酸雰囲気中等の炭酸ガス分
圧を制御することにより、製造物のCO3含有量を制御
することができると共に、最も効率の良い合成条件を選
択して、CO3含有量を所望量に制御したOH基炭酸水
酸アパタイトを得ることができる。
パタイトを効率良く、且つ容易に製造することができ、
しかも加熱温度及び/又は炭酸雰囲気中等の炭酸ガス分
圧を制御することにより、製造物のCO3含有量を制御
することができると共に、最も効率の良い合成条件を選
択して、CO3含有量を所望量に制御したOH基炭酸水
酸アパタイトを得ることができる。
【0013】
【実施例】以下実施例及び比較例により更に詳細に説明
するが本発明はこれらに限定されるものではない。
するが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0014】
【実施例1】湿式法により合成し、乾燥させた水酸アパ
タイト粉末2〜5gを、白金板又は白金箔を敷設したア
ルミナ板上に、炭酸ガスとの接触が良好となるように満
遍なく敷いた。続いて予め900℃の温度に熱し、炭酸
ガスを流通しておいた電気炉(西村工業株式会社、商品
名「AT−5型雰囲気横型管状炉」)中に、前記調製し
た白金板上水酸アパタイト粉末を導入した。炭酸ガスを
流通させたままで、まず前記白金板上の水酸アパタイト
粉末を、炉芯管の端から10cm(約300℃)の位置
に載置して10分間乾燥させてから、炉芯管中央部の目
的合成加熱温度(900℃)の位置まで押し込み、24
時間静置加熱させた。静置中は、中央に穴を設けたふた
で炉にふたをして、このふたの穴から炭酸ガスを流通さ
せて系の圧力を2kg/cm2に保持した。この際合成
加熱温度は、電気炉に接続した関熱器材株式会社製のコ
ントローラーを用いて制御した。
タイト粉末2〜5gを、白金板又は白金箔を敷設したア
ルミナ板上に、炭酸ガスとの接触が良好となるように満
遍なく敷いた。続いて予め900℃の温度に熱し、炭酸
ガスを流通しておいた電気炉(西村工業株式会社、商品
名「AT−5型雰囲気横型管状炉」)中に、前記調製し
た白金板上水酸アパタイト粉末を導入した。炭酸ガスを
流通させたままで、まず前記白金板上の水酸アパタイト
粉末を、炉芯管の端から10cm(約300℃)の位置
に載置して10分間乾燥させてから、炉芯管中央部の目
的合成加熱温度(900℃)の位置まで押し込み、24
時間静置加熱させた。静置中は、中央に穴を設けたふた
で炉にふたをして、このふたの穴から炭酸ガスを流通さ
せて系の圧力を2kg/cm2に保持した。この際合成
加熱温度は、電気炉に接続した関熱器材株式会社製のコ
ントローラーを用いて制御した。
【0015】前記加熱後、炉芯管の出口から10cm
(約300℃)の位置まで白金板上のアパタイト粉末反
応物を引出し、炭酸ガスを流通させた状態で、10分間
冷却させた後に取り出した。得られた合成物の赤外線吸
収スペクトルを測定したところ、1550cm~1、14
62cm~1、882cm~1付近に炭酸の吸収ピークが観
察され、3576cm~1、637cm~1付近の水の吸収
帯が水酸アパタイトのものに比べて小さくなっているこ
とが判る。更にMontel et al.(1964)のOH基炭
酸水酸アパタイトの文献値と比較したところ、得られた
合成物は、OH基炭酸水酸アパタイトであることが確認
できた。この赤外線吸収スペクトルを水酸アパタイトの
赤外線吸収スペクトルと共に図1に示す。
(約300℃)の位置まで白金板上のアパタイト粉末反
応物を引出し、炭酸ガスを流通させた状態で、10分間
冷却させた後に取り出した。得られた合成物の赤外線吸
収スペクトルを測定したところ、1550cm~1、14
62cm~1、882cm~1付近に炭酸の吸収ピークが観
察され、3576cm~1、637cm~1付近の水の吸収
帯が水酸アパタイトのものに比べて小さくなっているこ
とが判る。更にMontel et al.(1964)のOH基炭
酸水酸アパタイトの文献値と比較したところ、得られた
合成物は、OH基炭酸水酸アパタイトであることが確認
できた。この赤外線吸収スペクトルを水酸アパタイトの
赤外線吸収スペクトルと共に図1に示す。
【0016】
【実施例2】合成加熱温度を、600℃、650℃、7
00℃、800℃及び850℃に変えた以外は、実施例
1と同様にOH基炭酸水酸アパタイトを調製した。得ら
れたそれぞれのOH基炭酸水酸アパタイト及び実施例1
で得られた(合成加熱温度900℃)OH基炭酸水酸ア
パタイトのCO3含有量を、X線回折により求められた
格子定数(a軸、c軸)を用いて計算した。その結果を
図2に示す。
00℃、800℃及び850℃に変えた以外は、実施例
1と同様にOH基炭酸水酸アパタイトを調製した。得ら
れたそれぞれのOH基炭酸水酸アパタイト及び実施例1
で得られた(合成加熱温度900℃)OH基炭酸水酸ア
パタイトのCO3含有量を、X線回折により求められた
格子定数(a軸、c軸)を用いて計算した。その結果を
図2に示す。
【0017】2kg/cm2、24時間加熱の条件のも
と、合成温度を600℃、650℃、700℃、800
℃、850℃及び900℃にした場合の合成物のCO3
含有量は、図2に示す通りであり、合成温度を調整する
ことによって、0.5重量%〜4.9重量%のCO3含
有量のOH基炭酸水酸アパタイトが得られていることが
判る。
と、合成温度を600℃、650℃、700℃、800
℃、850℃及び900℃にした場合の合成物のCO3
含有量は、図2に示す通りであり、合成温度を調整する
ことによって、0.5重量%〜4.9重量%のCO3含
有量のOH基炭酸水酸アパタイトが得られていることが
判る。
【0018】
【実施例3】合成時間を2〜24時間の間で変化させ、
実施例1と同様にOH基炭酸水酸アパタイトを調製し
た。得られたそれぞれのOH基炭酸水酸アパタイト及び
実施例1で得られた(合成時間24時間)OH基炭酸水
酸アパタイトのCO3含有量を、X線回折により求めら
れた格子定数(a軸、c軸)を用いて計算した。その結
果を図3に示す。
実施例1と同様にOH基炭酸水酸アパタイトを調製し
た。得られたそれぞれのOH基炭酸水酸アパタイト及び
実施例1で得られた(合成時間24時間)OH基炭酸水
酸アパタイトのCO3含有量を、X線回折により求めら
れた格子定数(a軸、c軸)を用いて計算した。その結
果を図3に示す。
【0019】図3より、OH基炭酸水酸アパタイトのC
O3含有量は、合成時間の増加に伴い、直線的に増加し
ていることが判る。また図2に示す合成加熱温度を制御
した場合に比して、合成時間を制御した図3の結果で
は、CO3含有量の変化量が小さいことが判る。従っ
て、OH基炭酸水酸アパタイトのCO3含有量の粗調整
には、合成加熱温度の制御が向いており、CO3含有量
の微調整には合成時間の制御が向いていることが判る。
O3含有量は、合成時間の増加に伴い、直線的に増加し
ていることが判る。また図2に示す合成加熱温度を制御
した場合に比して、合成時間を制御した図3の結果で
は、CO3含有量の変化量が小さいことが判る。従っ
て、OH基炭酸水酸アパタイトのCO3含有量の粗調整
には、合成加熱温度の制御が向いており、CO3含有量
の微調整には合成時間の制御が向いていることが判る。
【0020】
【実施例4】合成加熱温度を800℃とし、炭酸ガス分
圧を常気圧から2.5kg/cm2まで変化させて合成
した以外は、実施例1と同様にOH基炭酸水酸アパタイ
トを調製した。得られたそれぞれのOH基炭酸水酸アパ
タイトのCO3含有量を、X線回折により求められた格
子定数(a軸、c軸)を用いて計算した。その結果を図
4に示す。
圧を常気圧から2.5kg/cm2まで変化させて合成
した以外は、実施例1と同様にOH基炭酸水酸アパタイ
トを調製した。得られたそれぞれのOH基炭酸水酸アパ
タイトのCO3含有量を、X線回折により求められた格
子定数(a軸、c軸)を用いて計算した。その結果を図
4に示す。
【0021】図4より、炭酸ガス分圧を上げることで、
得られるOH基炭酸水酸アパタイトのCO3含有量を増
加させることができ、しかも合成時間を短縮できること
が判る。
得られるOH基炭酸水酸アパタイトのCO3含有量を増
加させることができ、しかも合成時間を短縮できること
が判る。
【0022】
【実施例5】合成加熱温度を900℃とし、炭酸ガスと
空気との全圧1気圧の混合ガスを、炭酸ガスの比を0〜
100%に変化させて合成した以外は、実施例1と同様
にOH基炭酸水酸アパタイトを調製した。得られたOH
基炭酸水酸アパタイトのCO3含有量を電量滴定によっ
て求めた。その結果を図5に示す。
空気との全圧1気圧の混合ガスを、炭酸ガスの比を0〜
100%に変化させて合成した以外は、実施例1と同様
にOH基炭酸水酸アパタイトを調製した。得られたOH
基炭酸水酸アパタイトのCO3含有量を電量滴定によっ
て求めた。その結果を図5に示す。
【0023】図5より、混合ガス中においても炭酸ガス
分圧を上げることで、得られるOH基炭酸水酸アパタイ
トのCO3含有量を増加させることができることが判
る。
分圧を上げることで、得られるOH基炭酸水酸アパタイ
トのCO3含有量を増加させることができることが判
る。
【図1】図1(a)は水酸アパタイトの赤外線吸収スペ
クトルを示すチャートであり、図1(b)は実施例1で
得られたOH基炭酸水酸アパタイトの赤外線吸収スペク
トルを示すチャートである。
クトルを示すチャートであり、図1(b)は実施例1で
得られたOH基炭酸水酸アパタイトの赤外線吸収スペク
トルを示すチャートである。
【図2】実施例2で調整した合成加熱温度とOH基炭酸
水酸アパタイトのCO3含有量との関係を示すグラフで
ある。
水酸アパタイトのCO3含有量との関係を示すグラフで
ある。
【図3】実施例3で調整した合成時間とOH基炭酸水酸
アパタイトのCO3含有量との関係を示すグラフであ
る。
アパタイトのCO3含有量との関係を示すグラフであ
る。
【図4】実施例4で調整した炭酸ガス圧とOH基炭酸水
酸アパタイトのCO3含有量との関係を示すグラフであ
る。
酸アパタイトのCO3含有量との関係を示すグラフであ
る。
【図5】実施例5で調整した混合ガス中の炭酸ガスの比
と、OH基炭酸水酸アパタイトのCO3含有量との関係
を示すグラフである。
と、OH基炭酸水酸アパタイトのCO3含有量との関係
を示すグラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年1月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】水酸アパタイトの赤外線吸収スペクトル(a)
と、実施例1で得られたOH基炭酸水酸アパタイトの赤
外線吸収スペクトル(b)とを示すチャートである。
と、実施例1で得られたOH基炭酸水酸アパタイトの赤
外線吸収スペクトル(b)とを示すチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堤 貞夫 千葉県市川市中国分4丁目10番6号 (72)発明者 渡辺 悦子 埼玉県大宮市北袋町1−297 三菱マテリ アル株式会社中央研究所内
Claims (4)
- 【請求項1】 水酸アパタイトのOH基のみの一部をC
O3基に置換させたOH基炭酸水酸アパタイトの製造法
であって、水酸アパタイトを1気圧以上の炭酸ガス分圧
下で500℃〜1100℃に加熱することを特徴とする
OH基炭酸水酸アパタイトの製造法。 - 【請求項2】 水酸アパタイトを1気圧以上の炭酸ガス
分圧下で500℃〜1100℃に加熱して、水酸アパタ
イトのOH基のみの一部をCO3基に置換させるOH基
炭酸水酸アパタイトの製造法であって、前記加熱の時間
を制御して、得られるOH基炭酸水酸アパタイトのCO
3含有量を制御することを特徴とするOH基炭酸水酸ア
パタイトの製造法。 - 【請求項3】 水酸アパタイトを1気圧以上の炭酸ガス
分圧下で500℃〜1100℃に加熱して、水酸アパタ
イトのOH基のみの一部をCO3基に置換させるOH基
炭酸水酸アパタイトの製造法であって、炭酸ガス分圧を
制御して、得られるOH基炭酸水酸アパタイトのCO3
含有量を制御することを特徴とするOH基炭酸水酸アパ
タイトの製造法。 - 【請求項4】 水酸アパタイトを大気中の炭酸ガス分圧
以上の分圧下で500℃〜1100℃に加熱して、水酸
アパタイトのOH基のみの一部をCO3基に置換させる
OH基炭酸水酸アパタイトの製造法であって、炭酸ガス
分圧を制御して、得られるOH基炭酸水酸アパタイトの
CO3含有量を制御することを特徴とするOH基炭酸水
酸アパタイトの製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP575795A JPH08225312A (ja) | 1995-01-18 | 1995-01-18 | Oh基炭酸水酸アパタイトの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP575795A JPH08225312A (ja) | 1995-01-18 | 1995-01-18 | Oh基炭酸水酸アパタイトの製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08225312A true JPH08225312A (ja) | 1996-09-03 |
Family
ID=11619999
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP575795A Pending JPH08225312A (ja) | 1995-01-18 | 1995-01-18 | Oh基炭酸水酸アパタイトの製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08225312A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2349877A (en) * | 1999-05-10 | 2000-11-15 | Abonetics Ltd | Preparing carbonated hydroxyapatite |
JP2010100521A (ja) * | 1997-12-22 | 2010-05-06 | Apatech Ltd | 単相カーボネート置換ヒドロキシアパタイト組成物 |
-
1995
- 1995-01-18 JP JP575795A patent/JPH08225312A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010100521A (ja) * | 1997-12-22 | 2010-05-06 | Apatech Ltd | 単相カーボネート置換ヒドロキシアパタイト組成物 |
GB2349877A (en) * | 1999-05-10 | 2000-11-15 | Abonetics Ltd | Preparing carbonated hydroxyapatite |
WO2000068144A1 (en) * | 1999-05-10 | 2000-11-16 | Abonetics Limited | Method for the preparation of carbonated hydroxyapatite compositions |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Kannan et al. | Synthesis and characterization of magnesium substituted biphasic mixtures of controlled hydroxyapatite/β-tricalcium phosphate ratios | |
US9040156B2 (en) | Whitlockite and method for manufacturing the same | |
Manjubala et al. | In-situ synthesis of biphasic calcium phosphate ceramics using microwave irradiation | |
EP1948561B1 (en) | A plurisubstituted hydroxyapatite and the composite thereof with a natural and/or synthetic polymer, their preparation and uses thereof | |
Chaudhry et al. | Synthesis and characterisation of magnesium substituted calcium phosphate bioceramic nanoparticles made via continuous hydrothermal flow synthesis | |
JP2000517281A (ja) | 珪素置換アパタイトおよびその製法 | |
Fleet et al. | Orientation of channel carbonate ions in apatite: Effect of pressure and composition | |
Kim et al. | Sol–Gel Preparation and Properties of Fluoride‐Substituted Hydroxyapatite Powders | |
JPH0369844B2 (ja) | ||
Tardei et al. | The study of Mg 2/Ca 2 substitution of-tricalcium phosphate | |
KR102416302B1 (ko) | 휘트록카이트 또는 하이드록시아파타이트를 포함하는 무기소재의 제조방법 및 이에 따라 제조된 무기소재 | |
JP2001526170A (ja) | カーボネート化ヒドロキシアパタイト組成物の製造方法 | |
JPH08225312A (ja) | Oh基炭酸水酸アパタイトの製造法 | |
Apfelbaum et al. | The role of HPO42− and CO32− ions in the transformation of synthetic apatites to β-Ca3 (PO4) 2 | |
Barinov et al. | Carbonate loss from two magnesium-substituted carbonated apatites prepared by different synthesis techniques | |
JPS5951485B2 (ja) | CaO−P↓2O↓5系アパタイトの製造法 | |
JP3880090B2 (ja) | 液相反応による非化学量論組成ウイットロッカイトの調整法 | |
Joshi et al. | Synthesis and characterization of pure and strontium doped hydroxyapatite by sono-chemical assisted hydrothermal technique | |
JPS5913443B2 (ja) | CaO−P↓2O↓5系アパタイトの製造法 | |
Nakagawa et al. | Synthesis of hydroxyapatites via wet mechanochemical process for enhanced catalytic decomposition of volatile organic compounds | |
JP3668530B2 (ja) | リン酸四カルシウムの製造方法 | |
KR102265683B1 (ko) | 휘트록카이트의 제조방법 및 이에 따라 제조된 휘트록카이트 | |
Shishido et al. | TEM Observation of Heat-Treated β-Tricalcium Phosphate Powder and its Precursor Obtained by Mechanochemical Reaction | |
JPS5911845A (ja) | 人工歯または人工骨用インプラント材の製造法 | |
GB2349877A (en) | Preparing carbonated hydroxyapatite |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040823 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20041109 |
|
A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20050308 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |