JPH08224769A - 熱可塑性樹脂押出用フラットダイ及びシート状物製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂押出用フラットダイ及びシート状物製造方法

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JPH08224769A
JPH08224769A JP7347696A JP34769695A JPH08224769A JP H08224769 A JPH08224769 A JP H08224769A JP 7347696 A JP7347696 A JP 7347696A JP 34769695 A JP34769695 A JP 34769695A JP H08224769 A JPH08224769 A JP H08224769A
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flat die
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱可塑性樹脂押出用フラットダイのランド部
で樹脂を溶融終了温度(Tme)未満、降温結晶化開始
温度(Tcb)以上に冷却して溶融押出することで、熱
可塑性樹脂フイルムの厚みむらを減少させる。 【解決手段】 熱可塑性樹脂押出用フラットダイである
ダイ本体1に、熱可塑性樹脂を溶融終了温度(Tme)
以上に保温するダイ保温用ヒータ2と、ダイのランド部
に熱可塑性樹脂をTme未満、降温結晶化開始温度(T
cb)以上に冷却する冷却手段3とを備えた装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂押出
用フラットダイに関する。さらに詳しくは、ダイからの
押出シートをフィルムを成形する際、シートの押出成形
時においてフィルムの厚みむらを小さくすることのでき
る熱可塑性樹脂押出用フラットダイと、それを用いたシ
ート状物製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂フィルムを製造するにあた
り、厚み均一性は重要な基本品質である。例えば熱可塑
性樹脂としてポリエステルを例にとると、ポリエステル
フィルムはその優れた特性のため、磁気記録媒体用ベー
スフィルム、コンデンサなどの電気絶縁用途、プリンタ
ーリボンなどのOA用途など、様々な工業用途で用いら
れているが、これらの用途ではフィルムの厚みについて
高度な寸法精度が要求されている。従って、フィルムの
厚みむらを小さく抑えることは極めて重要なことであ
る。
【0003】図1は、二軸延伸する場合の熱可塑性樹脂
フィルムの製造装置を示している。図において、熱可塑
性樹脂フィルムの製造装置は、樹脂供給装置90と、熱
可塑性樹脂押出用フラットダイのダイ本体1と、キャス
ティングドラム94と、フィルム送り装置95と、フィ
ルム長手方向延伸装置96と、フィルム巾方向延伸装置
97と、フィルム搬送装置98と、フィルム巻取装置9
9とから構成されている。
【0004】厚みむらが生じる原因としては、樹脂供給
装置90から供給された熱可塑性樹脂をダイ本体1から
溶融押出してキャスティングドラム94上にシート状に
押出する際の吐出量の変動、ダイ本体1とキャスティン
グドラム94との間の樹脂の膜振動、キャスティングド
ラム94の回転むら、さらに、フィルム長手方向延伸装
置96での延伸の際のロールの温度むらや回転むら、ま
た、フィルム巾方向延伸装置97での延伸の際の装置内
の温度むらや風速むらなどがある。
【0005】そこで従来から厚みむら改善のために種々
の方法が提案されている。例えば、溶融樹脂シートを冷
却固化するキャスティングドラムの回転むらを抑える方
法(特開昭55−93420号公報)や、溶融樹脂をキ
ャスティングドラム上に静電気力で密着させる際に、静
電気力を受け易いように樹脂を改質する方法(特開昭5
9−91121号公報)が提案されているが、いずれも
効果が十分でない。
【0006】また、ダイ本体1とキャスティングドラム
94との間の樹脂の膜振動を抑えるために、熱可塑性樹
脂の押出粘度を下げて、熱可塑性樹脂の溶融温度を高め
る方法(特願平6−70789号公報)が提案されてい
る。また、厚みむらを低減する目的以外ではあるが、同
様に熱可塑性樹脂を一旦溶融温度以上に加熱してから、
溶融温度以下再結晶温度以上に冷却して押出す方法(特
開平4−347617号公報)が提案されている。しか
し、本発明者らの検討では、熱可塑性樹脂の吐出量が小
さい場合はこれらの方法は有効であるが、実際の生産ラ
インのような高い吐出量に適用した場合、熱可塑性樹脂
内の熱伝導が律則となり十分に熱可塑性樹脂を冷却でき
ないことが明らかになった。なお、後者(特開平4−3
47617号公報)においては、複数の樹脂を積層構成
にする記載があるが、機能性を持たせるために異なる熱
可塑性樹脂を積層するためのものであり、複数の押出機
を必要とする構成である。さらに、本発明者らの検討で
は、熱可塑性樹脂の押出温度を下げることにより、シー
ト状物にすじ状の厚み斑が発生しやすくなり、著しくシ
ート状物の品質を悪化させるという問題点が存在するこ
とが明らかとなった。
【0007】さらに、一般に熱可塑性樹脂を融点以下で
押し出す方法としては、例えば、特公昭53−1198
0号公報、特公昭53−19625号公報、特公平1−
55087号公報を挙げることができる。しかし、これ
らの方法はサーキュラーダイを用いるものであり、サー
キュラダイの場合、円筒状に吐出されるため、端が無く
融点以下に冷却しても流れを乱しにくいが、フラットダ
イを用いた場合、端の方が先に固化しやすく、流れを乱
しやすいという問題がある。また、これらの公報は、ダ
イのランド部以前に熱可塑性樹脂を融点以下に冷却し、
冷却の済んだ樹脂をランド部に供給する構成を取ってお
り、さらに言えば、サーキュラダイ内部で融点以下に冷
却して、熱可塑性樹脂を固化させてから、ランド部に供
給してせん断をかけながら押し出すものである。そのた
め、非常に高い押出圧力を必要とし、通常の押出機では
押出が困難であり、高圧力用の特殊な押出機を必要とす
るものであり、押出安定性に劣るものである。さらに、
フラットダイ本体への負荷が大きく、変形、耐久性低下
の原因になる。また、このように固化した熱可塑性樹脂
を広幅に拡幅することは困難を極め、拡幅できたとして
も、流れのむらから厚み精度の悪いものとなってしま
う。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このようにフィルムの
厚みむらを改善する要求は強く、そのために種々の改善
方法が提案されてきたが、その効果はまだ十分ではな
い。本発明の目的は、このような要求に対し、厚み精度
の優れたフィルムの製造を可能とする押出用フラットダ
イを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的に沿う本発明の
熱可塑性樹脂押出用フラットダイは、溶融した熱可塑性
樹脂をスリット部からシート状に押し出すフラットダイ
であって、前記フラットダイに送られる前に融解終了温
度(Tme)以上に加熱溶融された熱可塑性樹脂を、前
記フラットダイのマニホールド部内でフラットダイ巾方
向に拡幅するまで前記Tme以上の温度に保温する保温
用ヒータと、フラットダイのランド部の少なくとも一方
に設けられ、前記熱可塑性樹脂をTme未満で、かつ、
降温時結晶化開始温度(Tcb)以上の温度に冷却す
る、少なくとも1つの冷却手段と、を備えたことを特徴
とするものからなる。
【0010】上記フラットダイは、上記冷却手段を設け
たスリット部近傍のランド部に、温度を測定するための
少なくとも1つの温度測定センサーを備え、前記冷却手
段には、前記温度測定センサーの測定結果に基づき前記
熱可塑性樹脂の温度を制御するための温度コントローラ
ユニットを接続することが好ましい。上記冷却手段は、
前記ランド部の熱可塑性樹脂接触面から50mm以内に
設けることが好ましく、より好ましくは20mm以内で
ある。
【0011】さらに、本発明に係る熱可塑性樹脂押出用
フラットダイは、溶融した熱可塑性樹脂をスリット部か
らシート状に押し出すフラットダイであって、熱可塑性
樹脂をフラットダイ巾方向に拡幅するための少なくとも
2つのマニホールド部と、前記フラットダイに送られる
前に融解終了温度(Tme)以上に加熱溶融された熱可
塑性樹脂を、前記各マニホールド部内でフラットダイ巾
方向に拡幅するまで前記Tme以上の温度に保温する保
温用ヒータと、前記各マニホールド部に接続された分岐
スリット部と、該分岐スリット部が合流し前記熱可塑性
樹脂をフラットダイから最終的に押し出すための合流ス
リット部からなるスリット部と、前記スリット部を構成
するフラットダイのランド部の少なくとも一方に設けら
れ、前記熱可塑性樹脂の温度をTme未満で、かつ、降
温時結晶化開始温度(Tcb)以上に冷却する、少なく
とも1つの冷却手段と、を備えたことを特徴とするもの
からなる。
【0012】上記フラットダイでは、前記合流スリット
部に、前記熱可塑性樹脂をフラットダイ巾方向に流し得
るサブマニホールド部を備えると好ましい。さらに、前
記フラットダイの巾方向に対する前記サブマニホールド
部の断面積が、前記マニホールド部の断面積の総和の5
0%より小さいことと好ましい。さらに、フラットダイ
から押し出した熱可塑性樹脂のシート状物のフラットダ
イ巾方向における厚み斑を修正するために、前記熱可塑
性樹脂をフラットダイから押し出すためのスリット部の
出口部の間隙を変化させ得るリップ可撓部高さをSと
し、該出口部に至るスリット部のランド部長さをL2
すると、L2 <3×Sを満たすことが好ましい。
【0013】さらに、前記スリット部を流れる熱可塑性
樹脂をフラットダイ巾方向にn等分した場合の区分巾当
たりの各流量をqi (i=1,‥,n)とし、n等分の
区分巾当たりの平均流量をq0 とすると、均一指数U
を、 で定義し、前記サブマニホールド部に流入する前のスリ
ット部のそれぞれを流れる熱可塑性樹脂の均一指数をU
1 で示し、さらに、前記熱可塑性樹脂をフラットダイか
ら最終的に押し出す部分に位置するスリット部を流れる
熱可塑性樹脂の均一指数をU2 で示すと、前記均一指数
1 が0.30以下であり、かつ、前記均一指数U2
0.05以下を満たす前記マニホールド部の形状、前記
サブマニホールド部の形状、および、前記スリット部の
形状を有することが好ましい。
【0014】さらに、前記熱可塑性樹脂のフラットダイ
入口部の圧力が、25N/mm2 以下であることが好ま
しい。上記フラットダイでも、上記冷却手段を設けたス
リット部近傍のランド部に、温度を測定するための少な
くとも1つの温度測定センサーを備え、前記冷却手段に
は、前記温度測定センサーの測定結果に基づき前記熱可
塑性樹脂の温度を制御するための温度コントローラユニ
ットを接続することが好ましい。上記冷却手段は、前記
ランド部の熱可塑性樹脂接触面から50mm以内に設け
ることが好ましく、より好ましくは20mm以内であ
る。
【0015】さらに、本発明に係る熱可塑性樹脂押出用
フラットダイは、溶融した熱可塑性樹脂をスリット部か
らシート状に押し出すフラットダイであって、前記フラ
ットダイに送られる前に融解終了温度(Tme)以上に
加熱溶融された熱可塑性樹脂を、前記フラットダイのマ
ニホールド部内でフラットダイ巾方向に拡幅するまで前
記Tme以上の温度に保温する保温用ヒータと、前記熱
可塑性樹脂をTme未満、降温時結晶化開始温度(Tc
b)以上の温度に冷却する冷却手段を内部に有し、ラン
ド部を構成するダイの部材に接するように設けられた冷
却アダプターと、を備えたことを特徴とするものからな
る。
【0016】このフラットダイにおいても、上記スリッ
ト部近傍のランド部に、温度を測定するための少なくと
も1つの温度測定センサーを備え、前記冷却手段には、
前記温度測定センサーの測定結果に基づき前記熱可塑性
樹脂の温度を制御するための温度コントロールユニット
を接続することが好ましい。
【0017】ここで、上記冷却手段は、たとえば、ダイ
巾方向に熱媒体が通過し得る少なくとも1つの孔から構
成され、また、上記ランド部を構成するダイの部材に
は、少なくとも1本のヒートパイプを設けることが好ま
しく、さらに、前記ヒートパイプの少なくとも一端に、
冷却手段を連結すればより好ましいものとなる。
【0018】また、前記押出用フラットダイには、前記
温度測定センサーと、前記温度コントロールユニットを
接続した前記冷却手段とを一対にして、ダイ巾方向に少
なくとも2つ配置されており、該温度コントロールユニ
ットには、フラットダイ巾方向についてフラットダイか
ら押し出した熱可塑性樹脂のシート状物の厚みを測定す
る厚さ計と、該厚さ計より得られたシート状物の厚みデ
ータを基にシート状物の厚みむらに対応する位置の該温
度コントロールユニットを制御するための制御信号を演
算する演算部とを接続することが好ましい。
【0019】上記冷却手段としては、例えば、前記熱可
塑性樹脂が前記ランド部を流れる方向と実質的に同じ方
向に熱媒体が通過可能な少なくとも1つの孔から構成さ
れる。
【0020】さらに、本発明に係るフラットダイでは、
前記マニホールド部を構成するダイ部材と、ランド部を
構成するダイ部材との間に断熱部を設けることが好まし
い。
【0021】さらに、本発明に係る熱可塑性樹脂押出用
フラットダイは、前記熱可塑性樹脂をフラットダイから
最終的に押し出す部分に位置するスリット部の出口部近
傍に、前記フラットダイから押し出した熱可塑性樹脂の
厚み方向に表面から全厚みの30%以内において、より
好ましくは10%以内において、融解終了温度(Tm
e)以上に熱可塑性樹脂を加熱するための加熱用ヒータ
を設けることが好ましい。より好ましい温度は、Tme
+10℃以内である。
【0022】また、本発明に係る熱可塑性樹脂押出用フ
ラットダイは、熱可塑性樹脂と接する部分の表面粗さ
が、JIS規格(B−0601)で1S以下であること
が好ましく、さらに、0.2S以下であればより好まし
いものとなる。
【0023】さらに、本発明に係る熱可塑性樹脂押出用
フラットダイは、前記熱可塑性樹脂をフラットダイから
最終的に押し出す部分に位置するスリット部出口部の稜
線部の断面形状が、曲率半径50μm以下の丸みを有す
る形状に形成されていることが好ましく、さらに、曲率
半径10μm以下であればより好ましいものとなる。
【0024】また、本発明に係るシート状物製造方法で
は、前記フラットダイから熱可塑性樹脂を押出開始前
は、前記温度センサーにより測定された温度が溶融終了
温度(Tme)以上になるように温度設定しており、前
記フラットダイから熱可塑性樹脂を押出開始後は、前記
温度測定センサーにより測定された温度がTme未満
で、かつ、降温時結晶化開始温度(Tcb)以上の温度
に熱可塑性樹脂を冷却することを特徴とする方法からな
る。
【0025】さらに、本発明に係るシート状物製造方法
では、前記フラットダイからの熱可塑性樹脂の押出量が
所定の運転条件時は、つまり、押出量が予め定められた
範囲内にあるときは、前記温度測定センサーにより測定
された熱可塑性樹脂の温度がTme未満で、かつ、降温
時結晶化開始温度(Tcb)以上になるように熱可塑性
樹脂を冷却し、一方、前記熱可塑性樹脂の押出量が所定
の運転条件以下(上記範囲未満)の場合には、前記温度
センサーにより測定された熱可塑性樹脂の温度が溶融終
了温度(Tme)以上になるように熱可塑性樹脂を加熱
することを特徴とする方法からなる。
【0026】本発明者らは鋭意研究の結果、キャストフ
ィルム(キャストシート)の厚みむらの原因は、ほとん
どが熱可塑性樹脂樹脂をシート状に押し出す際のダイと
冷却ドラム間の膜振動であるということを突き止めた。
本発明は、熱可塑性樹脂を適切に低温化することにより
高剛性化して膜振動を抑え、厚みむらを顕著に改善した
フィルムを得るためのフラットダイを提供するものであ
る。
【0027】本発明における融解終了温度(Tme)、
降温時結晶化開始温度(Tcb)はDSCによって決定
することができる。DSCとは熱分析で通常用いられる
示差走査熱量測定法のことであり、物質の融解、結晶
化、相転移、熱分解等の状態変化を伴う吸熱、発熱を測
定する方法である。DSCにて熱可塑性樹脂の昇温時の
融解温度、降温時の結晶化温度を測定する場合、公知の
方法を用いることができるが、ここで注意する点は測定
時の昇温、冷却速度である。例えば、融解温度を測定す
る場合、昇温速度が高すぎると融解温度は高温側にずれ
てしまう。逆に昇温速度が低すぎると、融解温度は低温
側にずれてしまう。実際の押出条件を選定する上で、好
適な昇温温速度としては、通常10〜30℃/分であ
る。
【0028】本発明においては、熱可塑性樹脂はDSC
における融解時の吸熱ピークの終了温度(Tme)以上
に加熱して溶融状態にする必要がある。この工程は通
常、押出機内で行われる。樹脂温度が融解時の吸熱ピー
クの開始温度(Tmb)以下であれば樹脂は流動性がほ
とんどなく、押出できない。また、樹脂温度がTmbよ
り高くてもTme未満であれば未溶融物が残るため、そ
のままではフィルタの目詰まり、成形後のフィルムの異
物欠点等が生じるため好ましくない。従って樹脂の加熱
溶融は未溶融物のない完全な溶融状態にするためにTm
e以上、好ましくは(Tme+10℃)以上の温度で行
う必要がある。
【0029】本発明におけるフラットダイとしては、特
に限定はされないが、例えば、澤田慶司著「プラスチッ
クの押出成形とその応用」(誠文堂新光社)に説明され
ているような、内部に円筒状の溝(マニホールド)を有
するマニホールドダイ、魚の尾のような形状をしたフィ
ッシュテールダイ、その中間の形状をしたコートハンガ
ーダイのいずれでもよい。フラットダイは、通常、溶融
樹脂を巾方向に拡げるダイホッパーと呼ばれる部分と、
樹脂を巾方向に拡げた後、目的の形状に整形する最終部
分であり、かつ、一定のスリット間隙を有する平行部分
であるスリット部を形成するランド部と呼ばれる部分か
ら構成される。樹脂はこのスリット部を通過した直後に
冷却ドラム上に押し出される。この際、シート状の溶融
樹脂を、静電気を印加することによりドラム上に密着さ
せて急冷固化する方法が好ましく用いられる。
【0030】従来の熱可塑性樹脂の押出成形によるシー
ト状物の製造方法では、押出機内において、融点以上に
加熱溶融された樹脂は、フィルター、ギヤポンプ等を連
結するパイプ中を通りフラットダイに送られる。フラッ
トダイに送られた樹脂は、フラットダイ内で目的の形状
に形成された後、押し出される。この押出の際の樹脂温
度は、通常、融解終了温度(Tme)以上である。これ
に対し本発明では、樹脂は融解終了温度(Tme)未
満、降温時結晶化開始温度(Tcb)以上の温度にまで
冷却される。そして、この冷却はフラットダイ内部のラ
ンド部で行われることが必要である。もし、冷却が、熱
可塑性樹脂がフラットダイに入る以前に行われると、粘
度の上昇、流動性の悪化が生じてしまい、その結果、押
出異常や流れ異常が生じたり、押出機、フィルター、ギ
アポンプに負荷をかけすぎ、変形または寿命の低下を引
き起こすので好ましくない。また、フラットダイ中で
も、熱可塑性樹脂をフラットダイ巾方向に拡幅するマニ
ホールド部で冷却を行うことは、樹脂が目的の形に成形
される過程であり、温度むら、流れ異常を生じる原因と
なるため、好ましくない。特に、フラットダイでは樹脂
の流路長が巾方向において異なるため、冷却時間の違い
から熱履歴が均一でなくなり、巾方向の温度むらが生じ
たりするため、成形性が悪化したり、十分な厚みむら改
善効果が得られないばかりか、逆に厚みむらが悪くなる
場合もあるため、上記のような熱可塑性樹脂をフラット
ダイ巾方向に拡幅するマニホールド部での冷却は好まし
くない。これに対し、冷却をフラットダイのランド部で
行うことは、樹脂が巾方向に拡大され、押し出される形
状に成形された後での冷却となり、均一な冷却が可能と
なる。ランド部はダイ中で最も間隙の狭い部分であり、
熱交換率が高く、効果的な冷却を行うために好適な部位
である。また、樹脂は、冷却後すぐに押し出されるた
め、粘度上昇に伴う濾圧上昇や押出異常も最小限に抑え
ることができる。
【0031】本発明において、スリット部での樹脂の冷
却はTme未満、Tcb以上で行う必要がある。溶融状
態にある樹脂をTme未満に冷却しても短時間では固化
しない、いわゆる過冷却の液相状態を保つことができ
る。この状態の樹脂は粘度が高く、ランド部から押し出
された後のダイと冷却ドラム間の膜振動や外乱に対して
安定であり、長手方向の厚みむらの小さなシートやフィ
ルムを得ることができる。樹脂を高粘度化するために
は、高分子量化する方法、増粘剤を添加する方法も考え
られる。しかしながら、これらの方法はもはや違う樹脂
となってしまうため好ましくない。これに対し、本発明
のダイを用いることは、現行のフィルムの製造に用いて
いる樹脂、装置がそのまま使え、しかも厚みむらの少な
いフィルムが得られるという点で優れている。また、冷
却は樹脂の降温時結晶化開始温度(Tcb)以上の温度
までにとどめる必要がある。Tcbよりも低い温度にな
ると樹脂は結晶化し始め、押し出されたフィルムの表面
荒れ、押出異常、流れむらを生じたり、経時で固化し、
押出不可能となるおそれがあるため好ましくない。ダイ
のランド部を上記所定範囲内の温度に設定することで、
製品の品質を低下させることなく、厚み均一性に優れた
フィルムを得ることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の望ましい実施の
形態を、図面を参照して説明する。図2に、本発明の一
実施態様に係る熱可塑性樹脂押出用フラットダイを示
す。図において、熱可塑性樹脂押出用フラットダイは、
主に、ダイ本体1と、ダイ保温用ヒータ2と、冷却手段
3とから構成されている。ダイ本体1は、図1に示した
樹脂供給装置90に連結されており、この樹脂供給装置
90には、押出機91、フィルター92a、92b、ギ
アポンプ93、および、それぞれを連結するパイプが必
要に応じて適宜配備される。樹脂供給装置90内の熱可
塑性樹脂は、押出異常や流れ異常を防ぐため、ヒーター
等により温度をTme以上に昇温する必要がある。
【0033】そして、樹脂供給装置90から供給された
熱可塑性樹脂は、まずダイ本体1の内部に設けられたマ
ニホールド部10に流入する。そして、マニホールド部
10内でダイ本体1の巾方向に拡幅後、スリット部11
を通過することでフィルム状(シート状)に成形され、
押し出される。その際、マニホールド部10内を流動す
る熱可塑性樹脂は、ダイ保温用ヒータ2により温度をT
me以上に保温する。ダイ保温用ヒータ2の設置場所と
しては、スリット部11の樹脂は温度をTme未満、T
cb以上まで冷却させる必要があるため、マニホールド
部10近傍のみを保温する位置が好ましい。
【0034】次に、温度がTme以上の熱可塑性樹脂
は、スリット部11を通過する際に冷却手段3により温
度がTme未満、Tcb以上まで冷却される。この場
合、熱可塑性樹脂の供給量、温度が既知であり、また、
ダイ本体1の設定温度も既知であれば、冷却手段3は、
経験的、または、計算値に基づき予め定められた冷却能
力に設定すればよい。しかしながら、より高精度に熱可
塑性樹脂の温度をTme未満、Tcb以上まで冷却する
には、図3に示すように、温度測定センサー4をスリッ
ト部11近傍のランド部13に設け、温度測定センサー
4により得られた温度測定結果を温度コントロールユニ
ット5に伝送し、温度コントロールユニット5内で変換
した制御信号を基に、熱可塑性樹脂の温度が所定のTm
e未満、Tcb以上になるように冷却手段3をコントロ
ールする。熱可塑性樹脂の温度の測定については、直接
樹脂を測定できれば好ましいが、一般には品質を悪化さ
せるため、温度測定センサー4はスリット部11近傍の
ランド部13内に備える。また、冷却手段3は、ランド
部のポリマ接触面から50mm以内、より好ましくは2
0mm以内であれば効率よく樹脂を冷却することができ
る。また、ダイ巾方向の厚みむらを調整するフィルム厚
み調整手段14を併設すれば、より厚み精度の良好なフ
ィルムを得ることができる。
【0035】図2、図3では、スリット部11を形成す
るランド部12、13について、ランド部13に冷却手
段3を、また、ランド部12にフィルム厚み調整手段1
4を設けたが、これらは特に限定するものではなく、冷
却手段3は、ランド部12、13の両方に設けてもよ
く、またランド部12のみに設けてもよい。フィルム厚
み調整手段14を配置する場合は、公知の調整方法、例
えば、ボルトを回転させることでスリット間隙を変化さ
せる方式、また、スリット間隙調整ボルト等の熱膨張を
利用してスリット間隙を調整する方式、さらに、ヒータ
で熱可塑性樹脂を加熱し、樹脂粘度を変化させる方式を
用いることができる。
【0036】図15に、本発明の別の実施態様を示す。
図15は、厚みの厚いシート状物の生産、または、製膜
速度の高速化に対応するため、熱可塑性樹脂の吐出量を
増加させても、樹脂温度を効率良くTme未満、Tcb
以上まで冷却できるフラットダイを提供するものであ
る。
【0037】例えば図2のフラットダイで、熱可塑性樹
脂の温度を効率良くTme未満、Tcb以上まで冷却す
るには、冷却手段3と熱可塑性樹脂接液部までのダイ内
部の熱伝導と、熱可塑性樹脂接液部での熱伝達と、熱可
塑性樹脂間の熱伝導とを充分に行う必要がある。本発明
者らによる鋭意検討の結果、そのうち特に熱可塑性樹脂
間の熱伝導の効率化、高速化がポイントであり、そのた
め、熱可塑性樹脂の吐出量を増加させても効率よく樹脂
温度を所定の温度まで冷却させるには、スリット部の間
隙を狭くし、スリット部のランド長を長くする必要があ
る。しかしながら、本発明のフラットダイでは、熱可塑
性樹脂の温度をTme未満、Tcb以上まで冷却するた
め、樹脂粘度が本来大幅に増加し、その結果、フラット
ダイ内部の圧力も大幅に増加する。そのため、スリット
部の間隙を狭くし、ランド長を長くすれば、さらに、フ
ラットダイ内部の圧力が増加し、実際の生産条件におけ
る許容範囲を越え、実際の生産に使用できないものとな
る。
【0038】そこで、図15のフラットダイは、これら
の問題を解消するためのものであり、マニホールド部1
0a、10bを少なくとも2つ設けることで、スリット
部11a、11b(分岐スリット部)での樹脂の流速を
低下させ、かつ、冷却手段3を複数(図15では、3
c,3d,3e,3f,3g)設けることで効率よく冷
却することができ、さらに、フラットダイ内部の圧力も
実際の生産条件における許容範囲内にすることができ
る。フラットダイ内部の許容圧力としては、フラットダ
イ入口部で、25N/mm2 以下が好ましく、この25
N/mm2 以下を満たすマニホールド部の形状、マニホ
ールド部の数、スリット部の間隙、スリット部のランド
長さを決定すればよい。ここで、マニホールド部10
a、10bに熱可塑性樹脂を供給する方法としては、フ
ラットダイに熱可塑性樹脂を流入させ、その後流路を分
岐することで各マニホールド部10a、10bに熱可塑
性樹脂を供給してもよいし、また、フラットダイに熱可
塑性樹脂を流入させる前に流路を分岐し、各マニホール
ド部10a、10bに熱可塑性樹脂を供給してもよい。
図15における11aaは、分岐スリット部11a、1
1bが合流した合流スリット部であり、ここから最終的
に熱可塑性樹脂が押し出される。
【0039】さらに、図16に本発明の別の実施態様を
示す。図2と図15において、フィルム厚み調整手段1
4が同一仕様で、同一の操作方法で同一の操作量を行っ
た場合、マニホールド部からスリット部出口までのラン
ド長が長い図15のフラットダイの方が、スリット部で
の圧力変化の割合が小さくなるため、その結果、熱可塑
性樹脂の押出量の変化の割合も小さく、すなわち、シー
ト状物の厚み調整がしにくいフラットダイと言える。そ
こで、図16に示すように、複数のスリット部11a、
11b、11cが合流した後のスリット部11aaに、
サブマニホールド部10aaを設けることで、前記熱可
塑性樹脂はフラットダイ巾方向に容易に流れ得るものと
なる。その結果、図16のフラットダイは、実質図2の
マニホールド部とスリット部と同様に前記熱可塑性樹脂
がフラットダイ巾方向に容易に流れ得るため、図16の
フラットダイは、フラットダイ巾方向においても図2の
フラットダイと同様な厚み調整が可能となる。なお、サ
ブマニホールド部10aa内の熱可塑性樹脂は、事前に
スリット部11a、11b、11cで、略均一に温度を
Tme未満、Tcb以上まで冷却しているため、サブマ
ニホールド部10aa内をフラットダイ巾方向に流れて
も、実質熱可塑性樹脂の温度差を招くこと無く、即ち製
品の品質を低下させることなくシート状物の成形が可能
となる。つまり、図16のフラットダイでは、熱可塑性
樹脂を効率良く冷却できるため、シート状物の長手方向
の厚みむらの原因となる熱可塑性樹脂の膜振動を防止で
き、かつ、フラットダイ巾方向の厚み調整も容易なた
め、優れた厚み精度のシート状物が得られるフラットダ
イと言える。
【0040】ここで、図16のフラットダイの巾方向の
垂直断面において、サブマニホールド部10aaの断面
積が、マニホールド部10a、10b、10cの断面積
の総和に比べ、50%より小さく、より好ましくは30
%より小さければ、サブマニホールド部10aaで熱可
塑性樹脂の必要以上の滞留を招くこと無くシート状物を
得ることが可能となる。さらに、合流スリット部のラン
ド長さをL2 とし、サブスリット部の間隙を変化させる
リップ可撓部高さをSとすると、L2 <3×Sであれ
ば、シート状物の厚み調整が容易であり、さらに好まし
い。
【0041】図16では、さらにスリット部、および、
合流スリット部を流れる熱可塑性樹脂をダイ巾方向に等
分にn等分した場合の区分巾当たりの各流量をqi (i
=1,‥,n)とし、n等分した場合の区分巾当たりの
平均流量をq0 とすると、均一指数Uを下記式で定義
し、 スリット部11a、11b、11cのそれぞれを流れる
熱可塑性樹脂の均一指数U1 が、0.30以下を満たす
マニホールド部10a、10b、10cの形状と前記ス
リット部11a、11b、11cの形状であり、かつ、
熱可塑性樹脂をフラットダイから押し出すためのスリッ
ト部11aaを流れる熱可塑性樹脂の均一指数U2 が、
0.05以下を満たす前記サブマニホールド部10aa
の形状と熱可塑性樹脂をフラットダイから押し出すため
のスリット部11aaの形状であることが好ましい。
【0042】本発明のフラットダイでは、複数のマニホ
ールド部を有するものの熱可塑性樹脂は1種類であり、
最終的には熱可塑性樹脂はサブマニホールド部で合流す
るため、合流前のスリット部では概略の均一性とし、サ
ブマニホールド部を流れることで合流後は所定の均一性
を保つことが可能となる。
【0043】一方で、高度な厚み精度のシート状物が必
要な場合には、複数のスリット部出口までに熱可塑性樹
脂の温度をそれぞれTme未満、Tcb以上まで冷却を
完了し、複数のスリット部からサブマニホールド部に流
入した熱可塑性樹脂の温度を均一にすれば、すなわち、
樹脂粘度も均一となり、シート状物の厚み調整も容易に
行うことが可能となる。
【0044】図4に、本発明の別の実施態様を示す。冷
却手段3を内部に設けた冷却アダプター63をスリット
部11近傍のランド部12に接触させ冷却する。この方
法では、既存のダイをほとんど改造すること無しに厚み
精度の優れたフィルムを得ることができる。冷却手段3
は、経験的に、または計算値に基づき予め定められた冷
却能力に設定すればよいが、より高精度に熱可塑性樹脂
の温度をTme未満、Tcb以上まで冷却するには、図
5に示すように、ランド部12のスリット部近傍に設け
た温度測定センサー4により測定された温度データを、
温度コントロールユニット5に伝送し、温度コントロー
ルユニット5で変換した制御信号により、冷却手段3を
コントロールする。冷却アダプター63の材質は熱伝導
性のよいアルミニウム、銅等が好ましく、また、形状も
ダイ本体と接触面積が大きい方が効果的であり、さら
に、接触面の密着性も、冷却アダプター63とランド部
12の間に、公知の高伝熱性の物質を塗布すれば、より
冷却性を向上できる。また、ダイ巾方向の厚みむらを調
整するフィルム厚み調整手段14を併設すれば、より厚
み精度の良好なフィルムを得ることができる。
【0045】図5では、冷却アダプター63をランド部
12のみに設置する例を示したが、さらに、ランド部1
3もランド部12と同様な形状にし、冷却アダプターを
設ければ、より効率よく冷却できる。フィルム厚み調整
手段14は、公知の調整方式を適宜備えればよい。ま
た、冷却アダプター63は、図6に示すようにランド部
13に冷却手段3bを備えた方式(図2または図3に示
した方式)と併用でき、熱可塑性樹脂の押出量が多い
時、さらに、樹脂温度が高い時に効率よく冷却できる。
つまり、冷却アダプター63内の冷却手段3aと、ラン
ド部13内に埋設した冷却手段3bを併用し、それらを
温度測定センサー4a、4bを介して温度コントロール
ユニット5a、5bで制御する。
【0046】冷却手段3の一実施態様として、図7にダ
イ巾方向に熱媒体を通過し得る少なくとも1つ以上の孔
20a、20bを配置したものを示す。孔20a、20
bは、ランド部12、13の少なくとも一方に、スリッ
ト部11の近傍に配置している。孔20a、20bに
は、図8に示すようにダイの一端から熱媒体を流入し、
孔20a、20bを通過する熱媒体により樹脂を冷却す
る。図8の例では、温度測定センサー4により測定され
た温度データを温度コントロールユニット5に伝送し、
温度コントロールユニット5で変換した制御信号を用い
てコントロールバルブ21により通過する熱媒体の流量
をコントロールする。その結果、スリット部の樹脂を所
定の温度まで冷却できる。また、図9に示すように少な
くとも1本以上のヒートパイプ61a、61bを併設す
れば、ランド部12、13を均一に冷却でき、その結
果、樹脂も均一冷却できるので好ましい。さらに、図1
0に示すようにヒートパイプ61a、61bの一端に、
それぞれ冷却手段62a、62bを併設すればさらに効
果的である。熱媒体としては、空気、水等各種の気体、
液体を使用条件に合わせて用いることができる。
【0047】なお、図8では熱媒体をダイの一端から流
入する例を示したが、熱媒体の流入位置は、ダイ巾方向
の任意の位置から流入してもよく、例えば、ダイの巾が
広く、ダイ巾方向で温度むらが生じる場合には、図7に
示す孔20aと孔20bへの熱媒体の流入位置を、ダイ
の互いに異なる一端よりそれぞれ流入させれば温度むら
を減少できる。さらに、孔20a、20bのそれぞれの
孔について、ダイの両端より相互に流入させればさらに
均温化が図れる。また、図8では、熱媒体の流量をコン
トロールする例を示したが、熱媒体の温度をコントロー
ルしてスリット部の樹脂を所定の温度まで冷却してもよ
い。
【0048】図11に示す例では、さらに、図8に示し
た熱媒体を通過し得る少なくとも1つ以上の孔20a、
20bがダイ巾方向に少なくとも2分割以上に分割され
た構成とされ(孔20c、20d)、それぞれの孔20
c、20dを通過される熱媒体について、温度測定セン
サー4c、4dにより測定された温度データを温度コン
トロールユニット5c、5dに伝送し、温度コントロー
ルユニット5c、5dで変換した制御信号により、コン
トロールバルブ21c、21dで通過する熱媒体の流量
をそれぞれコントロールする。
【0049】また、図11では、熱媒体が通過し得る孔
20c、20dがダイ巾方向に2分割(以上)とされ、
それぞれの孔に対応する位置の樹脂温度を測定し、個別
に熱媒体の流量を制御できるため、スリット部を冷却す
る際、ダイの巾方向の温度むらが抑制でき、その結果、
とくに巾方向に均質なフィルムを得ることができる。な
お、図11は、ダイ巾方向に2分割の例を示したが、さ
らに分割数を増やせば効果的である。
【0050】図12は、本発明の別の実施態様を示して
いる。冷却手段をダイ巾方向に5つ配置した例であり、
冷却手段31、32、33、34、35にはそれぞれ温
度測定センサー41、42、43、44、45を配置
し、温度コントロールユニット51、52、53、5
4、55を接続している。さらに、温度コントロールユ
ニットには、ダイ1から押し出されたシートから後の工
程によって成形されたフィルムの巾方向の厚みを測定す
るフィルム厚さ計7と、フィルム厚さ計7により得られ
たデータを基にフィルム厚みむらに対応する位置の温度
コントロールユニットを制御するための計算機である演
算部6を接続している。
【0051】また、図12では、樹脂温度をTme未
満、Tcb以上の範囲内に冷却することで、フィルム長
手方向の厚みむらの小さなフィルムを得ることができる
ことに加え、樹脂温度をダイ巾方向においてTmeとT
cbの間で変化させることで樹脂に粘度差を発生させ、
その粘度差を利用して樹脂の押出量を調整し、フィルム
巾方向の厚みむらの小さいフィルムをも得ることができ
るものである。具体的には、まず、樹脂温度がTme未
満、Tcb以上の範囲内となるように、温度測定センサ
ー41〜45により測定された温度データを温度コント
ロールユニット51〜55に伝送し、温度コントロール
ユニット51〜55で変換した制御信号により冷却手段
31〜35をコントロールする。一方、フィルム厚さ計
7で測定したフィルム巾方向の厚みむら測定結果に基づ
き、例えば、フィルム厚みが厚いところは、対応する位
置の温度コントロールユニットに、現行の制御信号に加
え樹脂温度がTme未満、Tcb以上の範囲内で冷却手
段の冷却能力をさらに増大させるように演算部6により
制御信号を伝送し、その結果、樹脂の粘度を大きくする
ことでスリット部を通過する流量を減少させ、フィルム
厚みを薄くする。逆に、フィルム厚みが薄いところは冷
却手段の冷却能力を減少させ、フィルム厚みを厚くする
ものである。
【0052】図13は、図12の冷却手段の一実施態様
を示している。冷却手段として、熱媒体が通過し得る孔
22a、22bを熱可塑性樹脂がランド部を流れる方向
と実質的に同じ方向に設けており、それぞれの孔22
a、22bには、温度測定センサー4a、4bにより測
定された温度データを温度コントロールユニット5a、
5bに伝送し、温度コントロールユニット5a、5bで
変換した制御信号により、コントロールバルブ21a、
21bを通過する熱媒体の流量をコントロールする。
【0053】ここで、孔22a、22bを樹脂がランド
部を流れる方向と同様の向きに設ける理由は、孔22
a、22bは前述の通りフィルム巾方向の厚みむらを調
整する機能が必要なため、当然ながら巾方向の孔の設置
数は密であるほど厚みむら調整は高精度にできる。その
ため、図8、図11に示した様にダイ巾方向に熱媒体を
通過し得る孔に比べ、図13の示す様に樹脂がランド部
を流れる方向と同様の向きに設ける方が、冷却手段をダ
イ巾方向において構造上密に配置でき、また、熱可塑性
樹脂がスリット部を流れる際に効率よく冷却できる。
【0054】図13には、熱媒体を通過し得る孔をラン
ド部12、13の両方に設ける例を示したが、冷却能力
に余裕がある場合にはどちらか一方でもよく、また、ダ
イ巾方向の厚みむらを調整する公知のフィルム厚み調整
手段14を併設すれば、より厚み精度の良好なフィルム
を得ることができる。なお、図示していないが、孔22
a、22bのそれぞれをダイ巾方向に多数設けた際、孔
と孔の間に、例えば、スリットの様な断熱部を設けれ
ば、ダイ巾方向について樹脂の温度差をつけやすくな
り、さらに効果的にダイ巾方向の厚みむらを小さくする
ことができる。
【0055】図14に、本発明の別の実施態様を示す。
本発明では前述の通り、マニホールド部を流動する熱可
塑性樹脂温度はTme以上に保つ必要があり、一方、ス
リット部に流入した樹脂は、温度をTme未満、Tcb
以上まで冷却する必要がある。そのため、ダイ本体のマ
ニホールド部とスリット部の間で温度差を設けることは
極めて重要となる。そこで、図14に示すようにマニホ
ールド部10を構成する部材とランド部12、13を構
成する部材との間に断熱部60a、60bをダイ全巾に
渡って設けると、マニホールド部近傍とスリット部近傍
との間で熱流を遮断できるため、マニホールド部の熱可
塑性樹脂の温度を容易にTme以上に保温できると共
に、スリット部の熱可塑性樹脂の温度をTme未満、T
cb以上に容易に冷却することができる。
【0056】断熱部60a、60bは、ダイ本体部材を
切削することでスリット部を形成するものや、該スリッ
ト部に外部よりエア等の冷媒を流し、強制冷却しても効
果的である。また、公知のガラスウール、ロックウール
等の断熱材をスリット部に組み込んでもよい。
【0057】図17に、本発明の別の実施態様を示す。
本発明の熱可塑性樹脂は、温度をTme未満、Tcb以
上に冷却するため、熱可塑性樹脂の種類によっては、シ
ート状物にすじ状の厚み斑が発生しやすくなる。この場
合の対策としては、前記フラットダイから熱可塑性樹脂
を押し出すスリット部出口近傍に、前記フラットダイか
ら押し出した熱可塑性樹脂の厚み方向で、表面からの厚
みが全厚みの30%以内において、より好ましくは10
%以内において、融解終了温度(Tme)以上に熱可塑
性樹脂を加熱するための加熱用ヒータ80を設けると好
ましい。この場合、熱可塑性樹脂表面の温度はTme以
上になるため、膜振動は全厚みをTme以下にする場合
に比べ多少大きくなるが、シート状物の製品品質を低下
させることなく生産が可能となる。
【0058】また、シート状物のすじ状の厚み斑対策と
して、さらに鋭意検討した結果、前記フラットダイの熱
可塑性樹脂と接する部分の表面粗さを、JIS規格(B
−0601)で1S以下、より好ましくは、0.2S以
下にするとシート状物のすじ状の厚み斑が激減し、その
結果、生産性が大巾に向上することが可能となった。
【0059】さらに、図18に本発明の別の実施態様を
示す。図18に示すように、熱可塑性樹脂を押し出すた
めのスリット部出口部の稜線部(ランド部12、13の
断面における下端角部)の断面形状を示すR寸法を、曲
率半径で50μm以下、より好ましくは半径で10μm
以下にするとシート状物のすじ状の厚み斑がさらに減少
し、シート状物の品質、生産性がさらに向上することが
判明した。
【0060】また、本発明のシート状物の製造方法とし
ては、実際に熱可塑性樹脂をフラットダイから押し出し
を開始する際には、熱可塑性樹脂の押出量は生産安定時
に比べ少ないため、冷却手段の運転条件が生産安定時の
運転条件時と同一設定では、熱可塑性樹脂はTcb以下
となり固化する場合がある。そこで、固化を防止するた
め、溶融した熱可塑性樹脂を前記フラットダイから押し
出しを開始する前までは、前記温度センサーにより測定
された温度がTme以上になるように温度設定してお
り、一方、熱可塑性樹脂が前記フラットダイから押し出
しを開始した後には、熱可塑性樹脂の温度をTme未
満、Tcb以上に冷却すれば、熱可塑性樹脂が固化する
こと無く安定してシート状物を得ることができるという
知見を得た。
【0061】さらに、実際の生産において、シート状物
の破れ等で前記フラットダイからの熱可塑性樹脂の押出
量が生産安定時の運転条件(つまり、予め定められた所
定の範囲)より低下することがあるが、この場合に冷却
手段の運転条件が生産安定時の運転条件と同一設定で
は、熱可塑性樹脂はTcb以下となり、固化する場合が
ある。そこで、熱可塑性樹脂の押出量が、生産安定時の
運転条件以下の場合は、冷却手段を調整し、熱可塑性樹
脂の温度をTme以上にすれば、安定して生産を継続す
ることができる。
【0062】なお、本発明における熱可塑性樹脂として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテ
ンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン6
6などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,
6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメ
チレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、その
他、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレスルファイド樹
脂などを用いることができる。また、これらの樹脂はホ
モポリマーの樹脂であってもよく、結晶性が損なわれな
い範囲で共重合またはブレンドであってもよい。また、
これらの樹脂の中に、公知の各種添加剤、例えば、酸化
防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子が添付されて
もよい。
【0063】
【実施例】以下に、本発明の具体的な実施例について説
明する。なお、本発明による効果を評価するための、各
種物性値は以下の評価方法により求めた。 (1)熱特性 マックサイエンス社製示差走査熱量計DSC3100を
用いて、サンプルを5mgを300℃で5分間溶融保持
し、液体窒素で急冷固化した後、室温から昇温速度20
℃/分で昇温した。その時観測される融解吸熱ピークの
開始温度をTmb、ピーク温度をTm、ピーク終了温度
をTmeとした。また、サンプル5mgを300℃で5
分間溶融保持した後、降温速度20℃/分で降温した。
この際観測される降温時結晶化発熱ピークの開始温度を
Tcb、ピーク温度をTc、ピーク終了温度をTceと
した。
【0064】(2)フィルム厚みむら アンリツ社製フィルムシックネステスタKG601Aお
よび電子マイクロメータK306Cを用い、縦方向に3
0mm巾、10m長にサンプリングしたフィルムを連続
的に厚みを測定する。10m長での厚み最大値Tmax
(μm)、最小値Tmin(μm)から、 R=Tmax−Tmin を求め、Rと10m長の平均厚みTave(μm)から 厚みむら(%)=(R/Tave)×100 として求めた。
【0065】実施例1、2、比較例1、2 熱可塑性樹脂として、ポリエチレンテレフタレートを使
用して、ダイ巾150mm、ランド長100mm、スリ
ット間隙1mmの熱可塑性樹脂用ダイを用いて冷却テス
トした。DSCを用いてこのポリエチレンテレフタレー
トの熱特性を測定したところ、Tmb:240℃、T
m:255℃、Tme:268℃、Tcb:203℃、
Tc:188℃、Tce:174℃であった。冷却手段
としては、スリット部から10mmのところに直径7m
mの空孔を計18個ダイ巾方向にあけ、熱媒体としては
25℃の空気を使用した。そして、スリット部近傍のラ
ンド部に測定抵抗体を埋設し、温度コントロールユニッ
トを介して、空気の流量をコントロールバルブで制御し
た。結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】表1に示す通り、ポリエチレンテレフタレ
ートの温度を比較例1のTme以上に対し、実施例1、
2のTme未満、Tcb以上にすれば、得られたフィル
ムの厚みむらが顕著に改善した。なお、Tcb以下の温
度では、経時で樹脂が固化し、フィルムを得ることがで
きなかった。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の熱可塑性
樹脂押出用フラットダイによれば、ダイのマニホールド
部では熱可塑性樹脂の温度をTme以上に保温してお
き、ダイのスリット部に流入後、熱可塑性樹脂の温度を
Tme未満、Tcb以上に冷却して押し出すため、厚み
むらが顕著に改善された熱可塑性樹脂フィルムを得るこ
とができる。しかも、樹脂の冷却は、押出機からダイ出
口までの長いメルトラインの中で、ダイのランド部のみ
で行うため、既存ダイの小改造で済み、また、押出機や
フィルターなどに必要以上の負荷をかけずに済むという
利点や、さらにシート状物のすじ状の厚み斑や、また、
オリゴマーが発生しにくいという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱可塑性樹脂フィルム製造装置の概略構成図で
ある。
【図2】本発明の一実施例に係る熱可塑性樹脂押出用フ
ラットダイの概略縦断面図である。
【図3】冷却手段の別の実施態様を示す熱可塑性樹脂押
出用フラットダイの概略縦断面図である。
【図4】冷却手段のさらに別の実施態様を示す熱可塑性
樹脂押出用フラットダイの概略縦断面図である。
【図5】冷却手段のさらに別の実施態様を示す熱可塑性
樹脂押出用フラットダイの概略縦断面図である。
【図6】冷却手段のさらに別の実施態様を示す熱可塑性
樹脂押出用フラットダイの概略縦断面図である。
【図7】冷却手段のさらに別の実施態様を示す熱可塑性
樹脂押出用フラットダイの概略縦断面図である。
【図8】図7の熱可塑性樹脂押出用フラットダイの概略
正面図である。
【図9】冷却手段のさらに別の実施態様を示す熱可塑性
樹脂押出用フラットダイの概略縦断面図である。
【図10】冷却手段のさらに別の実施態様を示す熱可塑
性樹脂押出用フラットダイの概略正面図である。
【図11】冷却手段のさらに別の実施態様を示す熱可塑
性樹脂押出用フラットダイの概略正面図である。
【図12】冷却手段のさらに別の実施態様を示す熱可塑
性樹脂押出用フラットダイの概略正面図である。
【図13】冷却手段のさらに別の実施態様を示す熱可塑
性樹脂押出用フラットダイの概略縦断面図である。
【図14】冷却手段のさらに別の実施態様を示す熱可塑
性樹脂押出用フラットダイの概略縦断面図である。
【図15】本発明の別の実施態様を示す熱可塑性樹脂押
出用フラットダイの概略縦断面図である。
【図16】本発明のさらに別の実施態様を示す熱可塑性
樹脂押出用フラットダイの概略縦断面図である。
【図17】本発明のさらに別の実施態様を示す熱可塑性
樹脂押出用フラットダイの概略縦断面図である。
【図18】本発明のさらに別の実施態様を示す熱可塑性
樹脂押出用フラットダイの部分概略縦断面図である。
【符号の説明】
1 ダイ本体 2 ダイ保温用ヒータ 3 冷却手段 4 温度測定センサー 5 温度コントロールユニット 6 演算部 7 フィルム厚さ計 10 マニホールド部 10a、10b、10c マニホールド部 10aa サブマニホールド部 11 スリット部 11a、11b、11c スリット部(分岐スリット
部) 11aa 合流スリット部 12、13 ランド部 14 フィルム厚み調整手段 20 孔 21 コントロールバルブ 60a、60b 断熱部 61 ヒートパイプ 62 冷却手段 63 冷却アダプター 80a、80b 加熱用ヒータ 90 樹脂供給装置 94 キャスティングドラム 95 フィルム送り装置 96 フィルム長手方向延伸装置 97 フィルム巾方向延伸装置 98 フィルム搬送装置 99 フィルム巻取装置

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融した熱可塑性樹脂をスリット部から
    シート状に押し出すフラットダイであって、 前記フラットダイに送られる前に融解終了温度(Tm
    e)以上に加熱溶融された熱可塑性樹脂を、前記フラッ
    トダイのマニホールド部内でフラットダイ巾方向に拡幅
    するまで前記Tme以上の温度に保温する保温用ヒータ
    と、 フラットダイのランド部の少なくとも一方に設けられ、
    前記熱可塑性樹脂をTme未満で、かつ、降温時結晶化
    開始温度(Tcb)以上の温度に冷却する、少なくとも
    1つの冷却手段と、を備えたことを特徴とする熱可塑性
    樹脂押出用フラットダイ。
  2. 【請求項2】 溶融した熱可塑性樹脂をスリット部から
    シート状に押し出すフラットダイであって、 熱可塑性樹脂をフラットダイ巾方向に拡幅するための少
    なくとも2つのマニホールド部と、 前記フラットダイに送られる前に融解終了温度(Tm
    e)以上に加熱溶融された熱可塑性樹脂を、前記各マニ
    ホールド部内でフラットダイ巾方向に拡幅するまで前記
    Tme以上の温度に保温する保温用ヒータと、 前記各マニホールド部に接続された分岐スリット部と、
    該分岐スリット部が合流し前記熱可塑性樹脂をフラット
    ダイから最終的に押し出すための合流スリット部からな
    るスリット部と、 前記スリット部を構成するフラットダイのランド部の少
    なくとも一方に設けられ、前記熱可塑性樹脂の温度をT
    me未満で、かつ、降温時結晶化開始温度(Tcb)以
    上に冷却する、少なくとも1つの冷却手段と、を備えた
    ことを特徴とする熱可塑性樹脂押出用フラットダイ。
  3. 【請求項3】 前記合流スリット部に、前記熱可塑性樹
    脂をフラットダイ巾方向に流し得るサブマニホールド部
    を備えたことを特徴とする請求項2に記載の熱可塑性樹
    脂押出用フラットダイ。
  4. 【請求項4】 前記サブマニホールド部の断面積が、前
    記マニホールド部の断面積の総和の50%より小さいこ
    とを特徴とする請求項3に記載の熱可塑性樹脂押出用フ
    ラットダイ。
  5. 【請求項5】 フラットダイから押し出した熱可塑性樹
    脂のシート状物のフラットダイ巾方向における厚み斑を
    修正するために、前記熱可塑性樹脂をフラットダイから
    押し出すためのスリット部の出口部の間隙を変化させ得
    るリップ可撓部高さをSとし、該出口部に至るスリット
    部のランド部長さをL2 とすると、 L2 <3×S を満たす請求項2ないし4のいずれかに記載の熱可塑性
    樹脂押出用フラットダイ。
  6. 【請求項6】 前記スリット部を流れる熱可塑性樹脂を
    フラットダイ巾方向にn等分した場合の区分巾当たりの
    各流量をqi (i=1,‥,n)とし、n等分の区分巾
    当たりの平均流量をq0 とすると、均一指数Uを、 で定義し、前記サブマニホールド部に流入する前のスリ
    ット部のそれぞれを流れる熱可塑性樹脂の均一指数をU
    1 で示し、さらに、前記熱可塑性樹脂をフラットダイか
    ら最終的に押し出す部分に位置するスリット部を流れる
    熱可塑性樹脂の均一指数をU2 で示すと、 前記均一指数U1 が0.30以下であり、かつ、前記均
    一指数U2 が0.05以下を満たす前記マニホールド部
    の形状、前記サブマニホールド部の形状、および、前記
    スリット部の形状を有することを特徴とする請求項3な
    いし5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出用フラット
    ダイ。
  7. 【請求項7】 前記熱可塑性樹脂のフラットダイ入口部
    の圧力が、25N/mm2 以下であることを特徴とする
    請求項1ないし6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出
    用フラットダイ。
  8. 【請求項8】 前記冷却手段が、前記ランド部の熱可塑
    性樹脂接触面から50mm以内の位置に設けられてい
    る、請求項1ないし7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂
    押出用フラットダイ。
  9. 【請求項9】 溶融した熱可塑性樹脂をスリット部から
    シート状に押し出すフラットダイであって、 前記フラットダイに送られる前に融解終了温度(Tm
    e)以上に加熱溶融された熱可塑性樹脂を、前記フラッ
    トダイのマニホールド部内でフラットダイ巾方向に拡幅
    するまで前記Tme以上の温度に保温する保温用ヒータ
    と、 前記熱可塑性樹脂をTme未満、降温時結晶化開始温度
    (Tcb)以上の温度に冷却する冷却手段を内部に有
    し、ランド部を構成するフラットダイの部材に接するよ
    うに設けられた冷却アダプターと、を備えたことを特徴
    とする熱可塑性樹脂押出用フラットダイ。
  10. 【請求項10】 融解終了温度(Tme)未満、降温時
    結晶化開始温度(Tcb)以上の冷却された前記熱可塑
    性樹脂の温度を測定するための少なくとも1つの温度測
    定センサーを前記フラットダイ内部に備えており、前記
    冷却手段には、前記温度測定センサーの測定結果に基づ
    き前記熱可塑性樹脂の温度を制御するための温度コント
    ロールユニットが接続されている、請求項1ないし9の
    いずれかに記載の熱可塑性樹脂押出用フラットダイ。
  11. 【請求項11】 前記冷却手段が、フラットダイ巾方向
    に熱媒体が通過可能な少なくとも1つの孔からなる、請
    求項1ないし10のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出
    用フラットダイ。
  12. 【請求項12】 フラットダイ内部に少なくとも1本の
    ヒートパイプが設けられている、請求項1ないし11の
    いずれかに記載の熱可塑性樹脂押出用フラットダイ。
  13. 【請求項13】 前記ヒートパイプの少なくとも一端に
    冷却手段が連結されている、請求項12に記載の熱可塑
    性樹脂押出用フラットダイ。
  14. 【請求項14】 前記フラットダイには、前記温度測定
    センサーと、前記温度コントロールユニットが接続され
    た前記冷却手段とを一対にして、フラットダイ巾方向に
    少なくとも2つ配置されており、 該温度コントロールユニットには、フラットダイ巾方向
    についてフラットダイから押し出した熱可塑性樹脂のシ
    ート状物の厚みを測定する厚さ計と、該厚さ計より得ら
    れたシート状物の厚みデータを基にシート状物の厚みむ
    らに対応する位置の該温度コントロールユニットを制御
    するための制御信号を演算する演算部とが接続されてい
    る、請求項10ないし13のいずれかに記載の熱可塑性
    樹脂押出用フラットダイ。
  15. 【請求項15】 前記冷却手段が、前記熱可塑性樹脂が
    前記ランド部を流れる方向と実質的に同じ方向に熱媒体
    が通過可能な少なくとも1つの孔である、請求項14に
    記載の熱可塑性樹脂押出用フラットダイ。
  16. 【請求項16】 前記マニホールド部を構成するフラッ
    トダイ部材と、前記ランド部を構成するフラットダイ部
    材との間に断熱部が設けられている、請求項1ないし1
    5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出用フラットダ
    イ。
  17. 【請求項17】 前記熱可塑性樹脂をフラットダイから
    押し出すスリット部の出口部近傍に、前記フラットダイ
    から押し出した熱可塑性樹脂の厚み方向に表面から全厚
    みの30%以内において、融解終了温度(Tme)以上
    に熱可塑性樹脂を加熱するための加熱用ヒータを設けた
    ことを特徴とする、請求項1ないし16のいずれかに記
    載の熱可塑性樹脂押出用フラットダイ。
  18. 【請求項18】 前記フラットダイにおいて、熱可塑性
    樹脂と接する部分の表面粗さが、JIS規格(B−06
    01)で1S以下であることを特徴とする、請求項1な
    いし17のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出用フラッ
    トダイ。
  19. 【請求項19】 前記フラットダイにおいて、前記熱可
    塑性樹脂をフラットダイから最終的に押し出す部分に位
    置するスリット部出口部の稜線部の断面形状が、曲率半
    径50μm以下の丸みを有する形状に形成されているこ
    とを特徴とする請求項1ないし18のいずれかに記載の
    熱可塑性樹脂押出用フラットダイ。
  20. 【請求項20】 請求項10ないし19のいずれかに記
    載のフラットダイを用いて熱可塑性樹脂を押し出すに際
    し、フラットダイから熱可塑性樹脂を押出開始前は、前
    記温度センサーにより測定された温度が溶融終了温度
    (Tme)以上になるように温度設定しており、前記フ
    ラットダイから熱可塑性樹脂を押出開始後は、前記温度
    測定センサーにより測定された温度がTme未満で、か
    つ、降温時結晶化開始温度(Tcb)以上の温度になる
    ように熱可塑性樹脂を冷却することを特徴とするシート
    状物製造方法。
  21. 【請求項21】 請求項10ないし19のいずれかに記
    載のフラットダイを用いて熱可塑性樹脂を押し出すに際
    し、フラットダイからの熱可塑性樹脂の押出量が予め定
    められた範囲内にあるときは、前記温度測定センサーに
    より測定された熱可塑性樹脂の温度が溶融終了温度(T
    me)未満で、かつ、降温時結晶化開始温度(Tcb)
    以上になるように熱可塑性樹脂を冷却し、 前記熱可塑性樹脂の押出量が前記範囲未満の場合には、
    前記温度センサーにより測定された熱可塑性樹脂の温度
    がTme以上になるように熱可塑性樹脂を加熱すること
    を特徴とするシート状物製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013202794A (ja) * 2012-03-27 2013-10-07 Sekisui Chem Co Ltd 押出成形用ダイ及びこのダイによるシート状物の製造方法
JP2016050280A (ja) * 2014-09-01 2016-04-11 積水化学工業株式会社 水溶性ポリビニルアルコール系フィルム
JP7142972B1 (ja) * 2021-07-27 2022-09-28 株式会社城北精工所 押出成形用ダイ
WO2024004018A1 (ja) * 2022-06-28 2024-01-04 日本たばこ産業株式会社 再構成たばこシートの製造装置及び製造方法

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