JPH08223433A - カラー画像処理方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 色空間系の変換を行う変換回路を付加するこ
となく、忠実に見える色圧縮を容易に行うことができる
カラー画像処理方法を提供すること。 【構成】 本発明は、変換圧縮回路３１にて使用するト
ーンカーブとして、原稿１の白点および黒点の２点の輝
度に基づいて正規化された相対明度と、コピー１０の白
点および黒点の２点の輝度に基づいて正規化された相対
明度とを一致させたものを用いたり、色圧縮用マスキン
グ回路３２で使用するマスキング係数として、原稿１の
白点および黒点の２点の輝度に基づいて正規化された相
対色度と、コピー１０の白点および黒点の２点の輝度に
基づいて正規化された相対色度とを一致させるように決
定してたものを用いるカラー画像処理方法である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、原稿の色域がコピーま
たはプリントの色域より広い場合のカラー画像処理方法
に関する。

【０００２】

【従来の技術】色再現の基本は忠実再現であるが、原稿
の色域がコピーの色域よりも広い場合、その広い部分は
忠実再現できずつぶれてしまうことになる。従来この種
の問題は、主に濃度系における階調圧縮の問題として、
トーンカーブをどのようにすれば良いかという観点から
検討が成されており、経験的に上に凸となるカーブが良
いといわれている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、色再現を考え
た場合、トーンカーブの変更と色との対応は一見してわ
かりずらく、従来はトーンカーブの変更後、色がずれて
いればそのずれに応じた色の補正や調整を行っており、
階調と色との問題を別々に扱わなければならなかった。
近年では、ＢＧＲ（濃度）系を均等色空間（Ｌ^* ａ^* ｂ
^* ，Ｌ^* ｕ^* ｖ^* ）系に変換して色の圧縮を行う方法が
検討されているが、この場合、濃度系から均等色空間系
への新たな変換回路を付加する必要があり、回路の増大
およびコストアップを招くことになる。よって、本発明
は、ＢＧＲ（濃度）系から均等色空間（Ｌ^* ａ^* ｂ^* ，
Ｌ^* ｕ ^* ｖ^* ）系に変換する新たな変換回路を付加する
ことなく、忠実に見える色圧縮を容易に行うことができ
るカラー画像処理方法を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するために成されたカラー画像処理方法である。すな
わち、本発明は、原稿からコピーまたはプリントする場
合、均等色空間系で色相、明度、彩度を色圧縮した再現
ができるよう他の色空間系で色圧縮用のトーンカーブお
よび色圧縮用のマスキング係数を決定するカラー画像処
理方法であって、色圧縮用のトーンカーブとして、原稿
の白点および黒点の２点の輝度に基づいて正規化された
相対明度と、コピーまたはプリントの白点および黒点の
２点の輝度に基づいて正規化された相対明度とを一致さ
せたものを用いている。また、色圧縮用のマスキング係
数を、原稿の白点および黒点の２点の輝度に基づいて正
規化された相対色度と、コピーまたはプリントの白点お
よび黒点の２点の輝度に基づいて正規化された相対色度
とを一致させるように決定している。

【０００５】また、先ず、グレースケールの青、緑、赤
の輝度を、グレースケールの相対視覚明度に斜影変換
し、入力画像がグレーの場合に青（Ｂ）、緑（Ｇ）、赤
（Ｒ）の相対明度の値を等しく調整する等価中性明度変
換を行い、次に、入力系と出力系とのＬ^* ａ^* ｂ^* 色度
が相対色度として数１〜数６を満足する色圧縮用マスキ
ング係数によって、等価中性明度変換後のＢＧＲ信号を
色圧縮して黄（Ｙ）、マゼンダ（Ｍ）、シアン（Ｃ）の
出力色材量に対応する色信号に変換し、次いで、このＹ
ＭＣ信号から出力色材量に対応する網パーセント信号に
変換するカラー画像処理方法である。

【０００６】

【作用】本発明では、均等色空間（Ｌ^* ａ^* ｂ^* ，Ｌ^*
ｕ^* ｖ^* ）系で、原稿とコピーまたはプリントとの各々
の白点および黒点の輝度に基づいて正規化された相対明
度および相対色度を一致させるようなトーンカーブおよ
びマスキング係数を使用して色圧縮を行う。つまり、原
稿における実際の色域での白点および黒点の輝度に基づ
き相対明度および相対色度を求め、一方コピーおよびプ
リントにおける実際の色域での白点および黒点の輝度に
基づき相対明度および相対色度を求め、これらを一致さ
せるようなトーンカーブおよびマスキング係数を使用す
る。これによって、均等色空間（Ｌ^* ａ^* ｂ^* ，Ｌ^* ｕ
^* ｖ^* ）系への変換を行うことなくＢＧＲ（等価中性明
度）系での色圧縮が行われるとともに、実際の色域内で
の違和感のない色再現が行われることになる。

【０００７】

【実施例】以下に、本発明のカラー画像処理方法におけ
る実施例を図に基づいて説明する。図１は、本発明のカ
ラー画像処理方法を実現するための処理装置の一例を説
明するブロック図である。この処理装置は、カラーの原
稿１を読み取ってカラーのコピー１０を得る主として複
写機から成る装置であり、原稿１を読み取って青
（Ｂ）、緑（Ｇ）、赤（Ｒ）の３原色の色分解信号を出
力する入力装置２と、原稿１とコピー１０との相対明度
および相対色度を一致させる色圧縮を行うとともにＢＧ
Ｒ濃度信号を黄（Ｙ）、マゼンダ（Ｍ）、シアン（Ｃ）
の色材量に相当するビットマップデータＹＭＣに変換す
る画像処理部３と、これらの色材信号に基づいてレーザ
ーゼログラフィー、インクジェット、熱転写等を用いて
カラーのコピー１０を出力する出力装置４とを備える構
成となっている。

【０００８】また、画像処理部３は、ＥＮＬ^* （Equiva
lent Neutral L^* ）変換およびトーン圧縮を行う変換圧
縮回路３１と、色圧縮用マスキング回路３２と、ＴＲＣ
（Tone Reproduction Curve ）回路３３とから構成され
ている。変換圧縮回路３１では、ＥＮＬ^* 変換によって
入力装置２から入力された原稿１のＢＧＲ信号に対し
て、等価中性明度処理が行われる。この等価中性明度処
理は、グレースケールの青、緑および赤の輝度をグレー
スケールの相対視感明度に斜影変換し、入力画像がグレ
ーの場合に青（Ｂ）、緑（Ｇ）および赤（Ｒ）の相対明
度の値が等しくなるよう調整するものである。

【０００９】また、変換圧縮回路３１でのトーン圧縮
は、原稿１の白点および黒点の２点の輝度に基づいて正
規化された相対明度と、コピー１０の白点および黒点の
２点の輝度に基づいて正規化された相対明度とを一致さ
せるトーンカーブに従ってＢＧＲ濃度信号を色圧縮する
ものである。この色圧縮用のトーンカーブは、グレー
（Ｌ^* ）軸での相対明度が原稿１とコピー１０とで等し
くなるようなものであり、図２に示すトーン圧縮カーブ
における第１象限として求められる。なお、色圧縮用の
トーンカーブは、ＲＯＭを用いたルックアップテーブル
とすることで簡単に構成できる。また、図１に示す処理
装置では、変換圧縮回路３１としてＥＮＬ^* 変換とトー
ン圧縮との両方を行うものを用いているが、これらの処
理を個別に行うような回路構成となっていても同様であ
る。

【００１０】色圧縮用マスキング回路３２は、変換圧縮
回路３１により供給された相対明度による圧縮が成され
た信号に対してマスキング処理を行うものである。マス
キング処理としては、出力装置４において使用される出
力色材の不要吸収濃度等の影響により発生する色濁りを
補正する通常のマスキング処理、例えば３×３あるいは
３×９のマトリクス演算により色濁りを補正し、入力信
号を、黄（Ｙ）、マゼンダ（Ｍ）、シアン（Ｃ）の出力
色材に相当する信号量に変換する処理を行うとともに、
本発明の特徴である相対色度による色圧縮もあわせて行
うものである。

【００１１】色圧縮用のマスキング係数は、図３に示す
フローチャートに沿った手順で求める。すなわち、先ず
ステップＳ１に示すように、実測により原稿の色度デー
タをＬ^* ａ^* ｂ^* 均等ステップデータ群として作成す
る。次いで、ステップＳ２に示すように、実測データで
の原稿の白点および黒点の輝度に基づく相対色度Ｌ^*
_WKI 、ａ^* _WKI 、ｂ^* _WKI を基にして補間によりＢＧＲ
値を算出する。また、次のステップＳ３に示すように、
算出したＢＧＲ値を等価中性明度変換（ＥＮＬ^* 変換）
するとともに、図２に示すトーン圧縮カーブによるトー
ン圧縮を行う。

【００１２】次に、ステップＳ４に示すように、実測デ
ータでのコピーの白点および黒点の輝度に基づく相対色
度Ｌ^* _WKO 、ａ^* _WKO 、ｂ^* _WKO を基にして補間により
ＹＭＣ網％（ＹＭＣの網点面積率）を算出する。次い
で、ステップＳ５に示すように、逆ＴＲＣ変換により、
ＹＭＣ網％をＹＭＣ等価中性明度量に変換する。そし
て、ステップＳ６に示すように、ステップＳ３とステッ
プＳ５とで求めた値に基づいて最小２乗法により色圧縮
用のマスキング係数を決定する。

【００１３】本実施例では、このマスキング係数の決定
の際に使用する原稿１およびコピー１０の相対色度すな
わち白点および黒点の輝度に基づいた相対色度（一般式
におけるＬ^* _WK、ａ^* _WK、ｂ^* _WK）を数１〜数３によっ
て求めている。この数１〜数３の具体例としては数７〜
数１０が用いられる。

【００１４】

【数７】Ｌ^* _WK＝１１６｛Ｙ／（Ｙ_W −Ｙ_K ）｝−１６

【００１５】ただし、数７は、Ｙ／（Ｙ_W −Ｙ_K ）≧
０．００８８５６の場合であり、Ｙ／（Ｙ_W −Ｙ_K ）≦
０．００８８５６の場合には数８となる。

【００１６】

【数８】Ｌ^* _WK＝９０３．２９Ｙ／（Ｙ_W −Ｙ_K ）とな
る。

【００１７】

【数９】ａ^* _WK＝５００〔｛Ｘ／（Ｘ_W −Ｘ_K ）｝^1/3
−｛Ｙ／（Ｙ_W −Ｙ_K ）｝^{1/ 3} 〕

【００１８】

【数１０】ｂ^* _WK＝２００〔｛Ｙ／（Ｙ_W −Ｙ_K ）｝
^1/3 −｛Ｚ／（Ｚ_W −Ｚ_K ）｝^{1/ 3} 〕

【００１９】ただし、数９は、Ｘ／（Ｘ_W −Ｘ_K ）≧
０．００８８５６、数１０は、Ｙ／（Ｙ_W −Ｙ_K ）≧
０．００８８５６、Ｚ／（Ｚ_W −Ｚ_K ）≧０．００８８
５６の場合であり、Ｘ／（Ｘ_W −Ｘ_K ）、Ｙ／（Ｙ_W −
Ｙ_K ）、Ｚ／（Ｚ_W −Ｚ_K ）に０．００８８５６以下の
値がある場合は、数９、数１０における立方根の項を各
々｛７．７８７Ｘ／（Ｘ_W −Ｘ_K ）｝^1/3 ＋１６／１１
６、｛７．７８７Ｙ／（Ｙ _W −Ｙ_K ）｝^1/3 ＋１６／１
１６、｛７．７８７Ｚ／（Ｚ_W −Ｚ_K ）｝^1/3 ＋１６／
１１６とする。

【００２０】そして、この数７〜数１０により求められ
る原稿の相対色度を Ｌ^* _WKI 、ａ ^* _WKI 、ｂ^* _WKI 、
コピーの相対色度をＬ^* _WKO 、ａ^* _WKO 、ｂ^* _WKO とし
た場合に、数４〜数６を満足する色圧縮用のマスキング
係数を用いている。

【００２１】つまり、原稿１における実際の色域での白
点および黒点の輝度に基づき相対明度および相対色度を
求め、一方コピー１０における実際の色域での白点およ
び黒点の輝度に基づき相対明度および相対色度を求め、
これらを一致させるようなトーン圧縮カーブおよびマス
キング係数を使用している。また、図１に示すＴＲＣ回
路３３は、色圧縮用マスキング回路３２の出力するＹＭ
Ｃ信号を網点面積率に相当する信号量に変換する回路で
あり、色圧縮用マスキング回路３２の出力するＹＭＣ信
号により対応する網点面積率に相当する信号を読み取る
ＲＯＭに格納されたルックアップテーブルとして構成さ
れている。

【００２２】出力装置４は、ＴＲＣ回路３３からの出力
であるＹＭＣ各網％データを受けて、所定の用紙等への
カラー印刷を行うことになる。このような処理装置にて
本実施例におけるカラー画像処理を行うことで、原稿１
のデータを均等色空間（Ｌ^* ａ^* ｂ^* ，Ｌ^* ｕ^* ｖ^* ）
系に変換することなくＢＧＲ（濃度）系での色圧縮を行
うことができるようになるとともに、実際の色域内での
違和感のない色再現を行うことができるようになる。

【００２３】本実施例は、特にカラー写真やカラースラ
イド等から成る原稿１を、カラーレーザーゼログラフィ
ー、カラーインクジェット、カラー静電プリンター等に
よる出力装置４にて出力しコピー１０を得る場合に有効
である。また、図４に示すように、ＣＲＴ画面１’のカ
ラー画像データからプリント１０’を得るような処理装
置であっても同様な色圧縮によってＢＧＲ（濃度）系で
の色圧縮および違和感のない忠実な色再現を行うことが
できる。

【００２４】特に、ＣＲＴ画面１’で基準となる白はや
や青味がかった白（例えば、色温度９３００Ｋ）が使用
され、プリント１０’で基準となる白はやや黄味がかっ
た白（例えば、色温度５０００Ｋや６５００Ｋの照明）
が使用されている。このため、本実施例における相対明
度および相対色度による色圧縮を行うことにより実際の
色域での相対的な色圧縮を行うことができ、ＣＲＴ画面
１’からプリント１０’へのカラー画像全体の違和感の
ない色再現を行うことができるようになる。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のカラー画
像処理方法によれば次のような効果がある。すなわち、
本発明では、原稿の白点および黒点の２点の輝度に基づ
いて正規化された相対明度と、コピーまたはプリントの
白点および黒点の２点の輝度に基づいて正規化された相
対明度とを一致させた色圧縮用のトーンカーブを用いる
とともに、原稿の白点および黒点の２点の輝度に基づい
て正規化された相対色度と、コピーまたはプリントの白
点および黒点の２点の輝度に基づいて正規化された相対
色度とを一致させるように決定した色圧縮用のマスキン
グ係数を用いているため、ＢＧＲ系から均等色空間系に
変換する新たな変換回路を付加することなく、簡単な構
成で忠実に見える色圧縮を容易に行うことが可能とな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 処理装置の一例を説明するブロック図であ
る。

【図２】 トーン圧縮カーブの例を示す図である。

【図３】 色圧縮用マスキング係数の決定のフローチャ
ートである。

【図４】 他の処理装置を説明するブロック図である。

【符号の説明】

１ 原稿 ２ 入力装置 ３ 画像処理部 ４ 出力装置 １０ コピー ３１ 変換圧縮回路 ３２ 色圧縮用マスキング回路 ３３ ＴＲＣ回路

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 原稿からコピーまたはプリントする場
   合、均等色空間系で色相、明度、彩度を色圧縮した再現
   ができるよう他の色空間系で色圧縮用のトーンカーブお
   よび色圧縮用のマスキング係数を決定するカラー画像処
   理方法であって、 前記色圧縮用のトーンカーブは、原稿の白点および黒点
   の２点の輝度に基づいて正規化された相対明度と、コピ
   ーまたはプリントの白点および黒点の２点の輝度に基づ
   いて正規化された相対明度とを一致させるトーンカーブ
   であることを特徴とするカラー画像処理方法。
2. 【請求項２】 前記色圧縮用のマスキング係数は、原稿
   の白点および黒点の２点の輝度に基づいて正規化された
   相対色度と、コピーまたはプリントの白点および黒点の
   ２点の輝度に基づいて正規化された相対色度とを一致さ
   せるように決定することを特徴とする請求項１記載のカ
   ラー画像処理方法。
3. 【請求項３】 先ず、グレースケールの青、緑、赤の輝
   度を、グレースケールの相対視覚明度に斜影変換し、入
   力画像がグレーの場合に青（Ｂ）、緑（Ｇ）、赤（Ｒ）
   の相対明度の値を等しく調整する等価中性明度変換を行
   い、 次に、入力系と出力系とのＬ^* ａ^* ｂ^* 色度が相対色度
   として数１〜数３、すなわち、 【数１】Ｌ^* _WK＝ｆ（Ｙ_W −Ｙ_K ） 【数２】ａ^* _WK＝ｆ（Ｘ_W −Ｘ_K ，Ｙ_W −Ｙ_K ） 【数３】ｂ^* _WK＝ｆ（Ｙ_W −Ｙ_K ，Ｚ_W −Ｚ_K ） ただし、Ｘ_W 、Ｙ_W 、Ｚ_W は白部の３刺激値、Ｘ_K 、Ｙ
   _K 、Ｚ_K は黒部の３刺激値を示す。によって求められた
   原稿の相対色度をＬ^* _WKI 、ａ^* _WKI 、ｂ^* _WKI 、コピ
   ーまたはプリントの相対色度をＬ^* _WKO 、ａ^* _WKO 、ｂ
   ^* _WKO とした場合、数４〜数５、すなわち 【数４】Ｌ^* _WKI ＝Ｌ^* _WKO 【数５】ａ^* _WKI ＝ａ^* _WKO 【数６】ｂ^* _WKI ＝ｂ^* _WKO を満足する色圧縮用マスキング係数によって、等価中性
   明度変換後のＢＧＲ信号を色圧縮して黄（Ｙ）、マゼン
   ダ（Ｍ）、シアン（Ｃ）の出力色材量に対応する色信号
   に変換し、 次いで、このＹＭＣ信号から出力色材量に対応する網パ
   ーセント信号に変換することを特徴とするカラー画像処
   理方法。