JPH08220030A - 表面分析方法およびその表面分析装置 - Google Patents
表面分析方法およびその表面分析装置Info
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- JPH08220030A JPH08220030A JP7029453A JP2945395A JPH08220030A JP H08220030 A JPH08220030 A JP H08220030A JP 7029453 A JP7029453 A JP 7029453A JP 2945395 A JP2945395 A JP 2945395A JP H08220030 A JPH08220030 A JP H08220030A
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Landscapes
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- Electron Tubes For Measurement (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】試料の表面近傍層に存在する水素などの軽元素
原子の存在分布を、短時間に効率良く、かつ、高精度に
計測する表面分析方法およびその分析装置を実現する。 【構成】試料1の表面に数100keV領域の試料照射
イオンビーム2を照射し、試料照射イオン2によって反
跳された軽元素イオン3のエネルギーを静電型エネルギ
ー分析器6で分析し、分析器6を通過したイオンを極薄
膜フィルタ7により検出対象の軽元素のみを透過させて
位置感応型検出器8により検出し、上記軽元素原子の試
料中の存在分布を高精度に求める。
原子の存在分布を、短時間に効率良く、かつ、高精度に
計測する表面分析方法およびその分析装置を実現する。 【構成】試料1の表面に数100keV領域の試料照射
イオンビーム2を照射し、試料照射イオン2によって反
跳された軽元素イオン3のエネルギーを静電型エネルギ
ー分析器6で分析し、分析器6を通過したイオンを極薄
膜フィルタ7により検出対象の軽元素のみを透過させて
位置感応型検出器8により検出し、上記軽元素原子の試
料中の存在分布を高精度に求める。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、試料表面近傍層に存在
する水素原子をはじめとする軽元素原子の存在分布を求
める表面分析方法およびその表面分析装置に関するもの
である。
する水素原子をはじめとする軽元素原子の存在分布を求
める表面分析方法およびその表面分析装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】試料表面近傍層に存在する軽元素原子、
特に水素原子の分布を分析する方法として、従来、Me
V領域の高速イオンビームをプローブとして用い、それ
による反跳水素を検出するという方法がとられていた。
図6は、この水素検出方法を説明する図であり、試料1
にMeV領域の高速イオンビーム2を照射する。そし
て、表面近傍層で反跳された水素と、散乱されたプロー
ブイオンの一部は、3の方向に飛来する。これらの粒子
を減速する薄膜フィルタ4を通した後、固体素子検出器
5で粒子の検出、およびエネルギーの分析を行なう。こ
のとき、薄膜フィルタ4を透過する際に、水素に比較し
て原子番号の大きい散乱されたプローブイオンは、フィ
ルタの阻止能が大きいために多大のエネルギーを失い、
水素イオンに比較して十分に低いエネルギーになるか、
あるいはフィルタ4内で停止する。このため、プローブ
イオンと水素イオンとの選別が可能となる。
特に水素原子の分布を分析する方法として、従来、Me
V領域の高速イオンビームをプローブとして用い、それ
による反跳水素を検出するという方法がとられていた。
図6は、この水素検出方法を説明する図であり、試料1
にMeV領域の高速イオンビーム2を照射する。そし
て、表面近傍層で反跳された水素と、散乱されたプロー
ブイオンの一部は、3の方向に飛来する。これらの粒子
を減速する薄膜フィルタ4を通した後、固体素子検出器
5で粒子の検出、およびエネルギーの分析を行なう。こ
のとき、薄膜フィルタ4を透過する際に、水素に比較し
て原子番号の大きい散乱されたプローブイオンは、フィ
ルタの阻止能が大きいために多大のエネルギーを失い、
水素イオンに比較して十分に低いエネルギーになるか、
あるいはフィルタ4内で停止する。このため、プローブ
イオンと水素イオンとの選別が可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この表面分析
方法では、水素イオンがフィルタ4を透過する際にエネ
ルギー分布に拡がりが生じるので、固体素子検出器5に
入射する水素イオンのエネルギーには幅が生じ、さら
に、検出器5そのものにもエネルギー分解能に10ke
V程度の幅があるので、水素イオンのエネルギー分布か
ら水素原子の試料中における深さ分布を求める場合に
は、その深さ分解能は100オングストローム程度に低
くなってしまう。
方法では、水素イオンがフィルタ4を透過する際にエネ
ルギー分布に拡がりが生じるので、固体素子検出器5に
入射する水素イオンのエネルギーには幅が生じ、さら
に、検出器5そのものにもエネルギー分解能に10ke
V程度の幅があるので、水素イオンのエネルギー分布か
ら水素原子の試料中における深さ分布を求める場合に
は、その深さ分解能は100オングストローム程度に低
くなってしまう。
【0004】一方、深さ分布の高分解能化のために、中
エネルギー領域(数100keV)のイオンプローブを
用いた例もある(例えば、レビュ・サイエンティフィッ
ク・インストルーメント、64巻、3147頁(199
3年))。しかし、この場合には、粒子の選別とエネル
ギーの分析のために、静電型のエネルギー分析器と飛行
時間型質量分析法とを併用しており、照射イオンのパル
ス化は避けられず、照射量が制限され、測定に時間が掛
かるという欠点があった。
エネルギー領域(数100keV)のイオンプローブを
用いた例もある(例えば、レビュ・サイエンティフィッ
ク・インストルーメント、64巻、3147頁(199
3年))。しかし、この場合には、粒子の選別とエネル
ギーの分析のために、静電型のエネルギー分析器と飛行
時間型質量分析法とを併用しており、照射イオンのパル
ス化は避けられず、照射量が制限され、測定に時間が掛
かるという欠点があった。
【0005】本発明は、これらの課題を解決するために
なされたもので、水素をはじめとする軽元素原子の試料
表面近傍層に存在する濃度分布を高分解能に測定する表
面分析方法とその分析装置とを提供することを目的とす
る。
なされたもので、水素をはじめとする軽元素原子の試料
表面近傍層に存在する濃度分布を高分解能に測定する表
面分析方法とその分析装置とを提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明においては、イオンビームを試料に照射し、
試料から放出される粒子のうち特定のエネルギーを有す
るイオンを分離し、その分離したイオンの中から、さら
に、検出対象原子を分離して分析する。また、この検出
対象原子のイオンビーム照射による試料表面からの反跳
角度を測定し、その角度分布から試料中における検出対
象原子の存在位置を決定する。
に、本発明においては、イオンビームを試料に照射し、
試料から放出される粒子のうち特定のエネルギーを有す
るイオンを分離し、その分離したイオンの中から、さら
に、検出対象原子を分離して分析する。また、この検出
対象原子のイオンビーム照射による試料表面からの反跳
角度を測定し、その角度分布から試料中における検出対
象原子の存在位置を決定する。
【0007】一方、以上の分析を実施するに当たって、
分析装置としては、特定のエネルギーを有するイオンを
分離するためには、静電型エネルギー分析器を用い、検
出対象のイオンと他元素のイオンとを選別するために
は、極薄膜フィルタを用いる。また、検出対象原子の試
料表面からの反跳角度分布を測定するためには、検出器
として、位置感応型検出器を用いる。
分析装置としては、特定のエネルギーを有するイオンを
分離するためには、静電型エネルギー分析器を用い、検
出対象のイオンと他元素のイオンとを選別するために
は、極薄膜フィルタを用いる。また、検出対象原子の試
料表面からの反跳角度分布を測定するためには、検出器
として、位置感応型検出器を用いる。
【0008】
【作用】上記の表面分析方法およびその分析装置は、試
料表面近傍層に存在する水素などの軽元素原子の存在分
布を分析するものである。
料表面近傍層に存在する水素などの軽元素原子の存在分
布を分析するものである。
【0009】まず、それらの軽元素原子の試料表面から
の深さ分布の測定は、イオンビーム照射による反跳原子
イオンのエネルギーを測定し、その試料中でのエネルギ
ー損失量から求める。したがって、その測定の深さ分解
能は、反跳原子イオンのエネルギー測定精度に依存す
る。ところで、本発明では、この測定のために高分解能
である静電型エネルギー分析器を用いているので、従来
の固体素子によるエネルギー分析に比較して、水素など
の検出対象原子の深さ分布を高い分解能で測定できる。
の深さ分布の測定は、イオンビーム照射による反跳原子
イオンのエネルギーを測定し、その試料中でのエネルギ
ー損失量から求める。したがって、その測定の深さ分解
能は、反跳原子イオンのエネルギー測定精度に依存す
る。ところで、本発明では、この測定のために高分解能
である静電型エネルギー分析器を用いているので、従来
の固体素子によるエネルギー分析に比較して、水素など
の検出対象原子の深さ分布を高い分解能で測定できる。
【0010】また、検出対象原子のイオンとその他の元
素イオンとの選別には極薄膜フィルタを用いている。こ
のフィルタは、水素などの軽元素イオンは透過させる
が、試料照射イオンビームの散乱イオンなどは原子番号
が高いので、極薄膜フィルタの阻止能が高く、極薄膜フ
ィルタ中で停止し、検出対象の軽元素イオンのみを選択
的に検出器に入射させる。この選別方法では、従来の飛
行時間型質量分析法に比較して、短時間で高効率な分析
が可能となる。
素イオンとの選別には極薄膜フィルタを用いている。こ
のフィルタは、水素などの軽元素イオンは透過させる
が、試料照射イオンビームの散乱イオンなどは原子番号
が高いので、極薄膜フィルタの阻止能が高く、極薄膜フ
ィルタ中で停止し、検出対象の軽元素イオンのみを選択
的に検出器に入射させる。この選別方法では、従来の飛
行時間型質量分析法に比較して、短時間で高効率な分析
が可能となる。
【0011】また、エネルギー分析後の検出対象反跳原
子イオンの検出に位置感応型検出器を用いることによ
り、反跳原子イオンの反跳角度分布を一度に測定するこ
とができ、試料表面近傍層に存在する検出対象原子の結
晶格子位置を高精度に決定することができる。
子イオンの検出に位置感応型検出器を用いることによ
り、反跳原子イオンの反跳角度分布を一度に測定するこ
とができ、試料表面近傍層に存在する検出対象原子の結
晶格子位置を高精度に決定することができる。
【0012】
【実施例】図1は、本発明に係る表面分析方法および分
析装置の一実施例を説明する図である。
析装置の一実施例を説明する図である。
【0013】ここで、試料表面近傍層に水素原子を含ん
だ試料1に、数100keVに加速しエネルギーの揃っ
たイオンビーム2を照射する。試料1の表面近傍層にお
いて、照射イオンは水素原子を反跳し、反跳された水素
原子の一部はイオンとなり、表面で散乱された入射イオ
ンとともに3の方向にさまざまなエネルギーを持って向
かう。6は静電型エネルギー分析器であり、3の粒子の
うち一定のエネルギーを持つイオンのみを通過させる。
7は極薄膜フィルタであり、静電型エネルギー分析器6
によってエネルギー分析された水素イオンと散乱イオン
の内、水素イオンのみを選択的に透過させる。8は粒子
検出器であり、極薄膜フィルタ7を通過した水素イオン
の数をカウントする。粒子検出器8に位置感応型の粒子
検出器を用いることにより、反跳水素イオンの角度分布
を求めることができる。
だ試料1に、数100keVに加速しエネルギーの揃っ
たイオンビーム2を照射する。試料1の表面近傍層にお
いて、照射イオンは水素原子を反跳し、反跳された水素
原子の一部はイオンとなり、表面で散乱された入射イオ
ンとともに3の方向にさまざまなエネルギーを持って向
かう。6は静電型エネルギー分析器であり、3の粒子の
うち一定のエネルギーを持つイオンのみを通過させる。
7は極薄膜フィルタであり、静電型エネルギー分析器6
によってエネルギー分析された水素イオンと散乱イオン
の内、水素イオンのみを選択的に透過させる。8は粒子
検出器であり、極薄膜フィルタ7を通過した水素イオン
の数をカウントする。粒子検出器8に位置感応型の粒子
検出器を用いることにより、反跳水素イオンの角度分布
を求めることができる。
【0014】図2は、粒子選別の薄膜フィルタ7の条件
を説明する図であり、薄膜の材質にアルミニウムを、測
定に用いるイオン種をヘリウムとした場合のイオンエネ
ルギーと膜厚の関係を示している。曲線21は反跳され
た水素イオンの内90%が透過しうる膜厚を示してお
り、これより薄い膜厚のアルミニウム膜を用いれば、反
跳水素の大部分を検出しうる。曲線22は99.999
%の散乱ヘリウムイオンを遮蔽しうる膜厚を示してお
り、散乱ヘリウムイオンと反跳水素イオンとを有効に選
別するためには、曲線21と曲線22の間となる膜厚を
選べばよい。例えば、1.5ミクロン程度の膜厚のアル
ミニウム薄膜を用いれば、150keV前後のイオンに
対して、有効な選別が可能である。
を説明する図であり、薄膜の材質にアルミニウムを、測
定に用いるイオン種をヘリウムとした場合のイオンエネ
ルギーと膜厚の関係を示している。曲線21は反跳され
た水素イオンの内90%が透過しうる膜厚を示してお
り、これより薄い膜厚のアルミニウム膜を用いれば、反
跳水素の大部分を検出しうる。曲線22は99.999
%の散乱ヘリウムイオンを遮蔽しうる膜厚を示してお
り、散乱ヘリウムイオンと反跳水素イオンとを有効に選
別するためには、曲線21と曲線22の間となる膜厚を
選べばよい。例えば、1.5ミクロン程度の膜厚のアル
ミニウム薄膜を用いれば、150keV前後のイオンに
対して、有効な選別が可能である。
【0015】図3は、300keVのヘリウムイオンを
プローブとした場合の、反跳水素イオンの反跳角と反跳
水素イオンのエネルギーとの関係を示す図である。反跳
角10度から30度の間で、図2で示した1.5ミクロ
ン厚さのアルミニウム薄膜により、有効に選別できるエ
ネルギーとなる。1.5ミクロンのアルミニウム薄膜を
用いた場合、エネルギー分析の後にアルミニウム薄膜を
通過した粒子は、7〜50keVのエネルギーを持つ。
このエネルギーは、表面下数100オングストローム内
部まで表面近傍層の水素分析を可能にするエネルギーで
ある。
プローブとした場合の、反跳水素イオンの反跳角と反跳
水素イオンのエネルギーとの関係を示す図である。反跳
角10度から30度の間で、図2で示した1.5ミクロ
ン厚さのアルミニウム薄膜により、有効に選別できるエ
ネルギーとなる。1.5ミクロンのアルミニウム薄膜を
用いた場合、エネルギー分析の後にアルミニウム薄膜を
通過した粒子は、7〜50keVのエネルギーを持つ。
このエネルギーは、表面下数100オングストローム内
部まで表面近傍層の水素分析を可能にするエネルギーで
ある。
【0016】次に、実現しうる深さ分解能について理論
的に検討する。深さ分解能は、検出した水素イオンをエ
ネルギー分析する際のエネルギー分解能により決まる
が、エネルギー分解能を決定する主たる要因として、
〔1〕照射イオンのビームサイズによるもの、〔2〕粒
子検出器の位置分解能によるもの、〔3〕静電型エネル
ギー分析器のエネルギー分解能によるもの、〔4〕試料
表面に位置する水素原子の振動によるもの、〔5〕照射
イオンが試料内部に進入する際、また、反跳水素が試料
内部から出てくる際のエネルギーの拡がりによるものが
ある。
的に検討する。深さ分解能は、検出した水素イオンをエ
ネルギー分析する際のエネルギー分解能により決まる
が、エネルギー分解能を決定する主たる要因として、
〔1〕照射イオンのビームサイズによるもの、〔2〕粒
子検出器の位置分解能によるもの、〔3〕静電型エネル
ギー分析器のエネルギー分解能によるもの、〔4〕試料
表面に位置する水素原子の振動によるもの、〔5〕照射
イオンが試料内部に進入する際、また、反跳水素が試料
内部から出てくる際のエネルギーの拡がりによるものが
ある。
【0017】まず、〔1〕の照射ビームの大きさを0.
5×1.0mm2とした場合、検出器に対する反跳角の拡
がりθBは、0.3度になる。ただし、これはスリット幅
を小さくすれば、さらに向上することができる。しか
し、あまりスリット幅を小さくすると照射イオン量に制
限が加わり、分析時間が現実的でなくなる。次に、
〔2〕の検出器固有の角度分解能θDは、0.15〜0.
18度である。ここまでで、〔1〕と〔2〕から、検出
粒子の角度分解能はθ=0.35度程度となり、この値
はエネルギーの拡がりEAng=770〜1000eVに
相当する。次に、〔3〕の静電型のエネルギー分析器固
有の分解能は、EAna=500eVである。この値もア
ナライザーのスリット幅を小さくすることなどで改善は
可能である。また、〔4〕の水素原子の振動に伴うドッ
プラー効果による寄与は、このエネルギー領域で、E
Dop=400eV程度である。〔5〕の試料内部を通過
することに起因するエルギーの拡がりについては、試料
表面の水素については考慮の必要がない。以上から、試
料表面の水素についてのエネルギー分解能は、E=1.
0〜1.2keVが実現可能である。照射ビームの入射角
(試料表面から測った角度)を10度、反跳角を20度
にした場合、このエネルギー分解能は、約5オングスト
ロームの深さ分解能に相当する。ただし、試料内部の水
素原子に対しては、その深さ分解能は、深さの2分の1
乗に比例して劣化する。
5×1.0mm2とした場合、検出器に対する反跳角の拡
がりθBは、0.3度になる。ただし、これはスリット幅
を小さくすれば、さらに向上することができる。しか
し、あまりスリット幅を小さくすると照射イオン量に制
限が加わり、分析時間が現実的でなくなる。次に、
〔2〕の検出器固有の角度分解能θDは、0.15〜0.
18度である。ここまでで、〔1〕と〔2〕から、検出
粒子の角度分解能はθ=0.35度程度となり、この値
はエネルギーの拡がりEAng=770〜1000eVに
相当する。次に、〔3〕の静電型のエネルギー分析器固
有の分解能は、EAna=500eVである。この値もア
ナライザーのスリット幅を小さくすることなどで改善は
可能である。また、〔4〕の水素原子の振動に伴うドッ
プラー効果による寄与は、このエネルギー領域で、E
Dop=400eV程度である。〔5〕の試料内部を通過
することに起因するエルギーの拡がりについては、試料
表面の水素については考慮の必要がない。以上から、試
料表面の水素についてのエネルギー分解能は、E=1.
0〜1.2keVが実現可能である。照射ビームの入射角
(試料表面から測った角度)を10度、反跳角を20度
にした場合、このエネルギー分解能は、約5オングスト
ロームの深さ分解能に相当する。ただし、試料内部の水
素原子に対しては、その深さ分解能は、深さの2分の1
乗に比例して劣化する。
【0018】ところで、上記の各数値は、本発明に係る
実施例に対するものであり、したがって、試料表面近傍
層に水素原子に対して、その深さ分解能は、従来の方法
に較べて、極めて高い分解能が得られている。
実施例に対するものであり、したがって、試料表面近傍
層に水素原子に対して、その深さ分解能は、従来の方法
に較べて、極めて高い分解能が得られている。
【0019】次に、図4は、試料表面近傍に存在する水
素原子の配置位置を求める方法を説明する図である。試
料照射イオンビーム41によって反跳された水素イオン
42は、43や44の方向に進む。43の方向に進んだ
水素イオンは、上述したような方法でエネルギー分析さ
れ検出されるが、44の方向に進んだイオンは、表面原
子45と再度衝突するために、検出器の方に飛んでこな
い。すなわち、反跳水素原子の角度分布を求めることに
より、水素原子の原子配列を求めることが可能になる。
従来の様に、MeV領域の高エネルギー粒子を用いた場
合には、反跳した水素原子と表面の他の原子との相互作
用が小さく、このような原子配列を求めることは困難で
あった。しかし、本発明のように、数100keVの照
射イオンを用いることにより、表面での相互作用は大き
くなり、原子配列の決定が可能になる。さらに、本発明
では、図1の粒子検出器8に、位置感応型の検出器を用
いることにより、一度の測定で高精度に反跳角度分布を
求めることができ、水素原子配列の測定を迅速に可能に
している。
素原子の配置位置を求める方法を説明する図である。試
料照射イオンビーム41によって反跳された水素イオン
42は、43や44の方向に進む。43の方向に進んだ
水素イオンは、上述したような方法でエネルギー分析さ
れ検出されるが、44の方向に進んだイオンは、表面原
子45と再度衝突するために、検出器の方に飛んでこな
い。すなわち、反跳水素原子の角度分布を求めることに
より、水素原子の原子配列を求めることが可能になる。
従来の様に、MeV領域の高エネルギー粒子を用いた場
合には、反跳した水素原子と表面の他の原子との相互作
用が小さく、このような原子配列を求めることは困難で
あった。しかし、本発明のように、数100keVの照
射イオンを用いることにより、表面での相互作用は大き
くなり、原子配列の決定が可能になる。さらに、本発明
では、図1の粒子検出器8に、位置感応型の検出器を用
いることにより、一度の測定で高精度に反跳角度分布を
求めることができ、水素原子配列の測定を迅速に可能に
している。
【0020】さらに、図5は、本発明に係る第2の実施
例を説明する図である。ここで、試料表面近傍層で反跳
された軽元素イオンや散乱された照射イオン3から、静
電型エネルギー分析器6で特定のエネルギーを持つイオ
ンを分離した後、磁気型質量分析器51において、検出
対象となる軽元素のみを分離し、粒子検出器52で検出
しカウントする。静電型エネルギー分析器6を通過しう
るエネルギーをスキャンすることによって、反跳軽元素
のエネルギー分布を求めることができ、試料中における
深さ分布を求めることができる。
例を説明する図である。ここで、試料表面近傍層で反跳
された軽元素イオンや散乱された照射イオン3から、静
電型エネルギー分析器6で特定のエネルギーを持つイオ
ンを分離した後、磁気型質量分析器51において、検出
対象となる軽元素のみを分離し、粒子検出器52で検出
しカウントする。静電型エネルギー分析器6を通過しう
るエネルギーをスキャンすることによって、反跳軽元素
のエネルギー分布を求めることができ、試料中における
深さ分布を求めることができる。
【0021】なお、上記の各実施例では、照射イオンと
してヘリウムを用いたが、これに限るものではなく、要
は検出原子よりも重い元素であればよく、検出原子が水
素の場合には、イオンビームの得やすさまで考慮する
と、リチウム、窒素、ネオン等を照射イオンとして用い
ることができる。
してヘリウムを用いたが、これに限るものではなく、要
は検出原子よりも重い元素であればよく、検出原子が水
素の場合には、イオンビームの得やすさまで考慮する
と、リチウム、窒素、ネオン等を照射イオンとして用い
ることができる。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る表面
分析方法およびその表面分析装置においては、試料表面
近傍層からの反跳軽元素原子を静電型エネルギー分析器
でエネルギー分析し、また、極薄膜フィルタにより反跳
軽元素原子のみを透過させて検出するから、短時間で高
効率な分析が可能となる。
分析方法およびその表面分析装置においては、試料表面
近傍層からの反跳軽元素原子を静電型エネルギー分析器
でエネルギー分析し、また、極薄膜フィルタにより反跳
軽元素原子のみを透過させて検出するから、短時間で高
効率な分析が可能となる。
【0023】また、位置感応型検出器により反跳原子の
反跳角度分布を求めることにより、試料の表面近傍層に
おける軽元素原子の存在位置を、短時間で高効率に、し
かも高精度に計測することができる。
反跳角度分布を求めることにより、試料の表面近傍層に
おける軽元素原子の存在位置を、短時間で高効率に、し
かも高精度に計測することができる。
【図1】本発明に係る表面分析方法の一実施例の説明図
である。
である。
【図2】図1中の極薄膜フィルタ7にアルミニウムを用
いた場合の膜厚とイオンエネルギーとによる粒子選別条
件を示す図である。
いた場合の膜厚とイオンエネルギーとによる粒子選別条
件を示す図である。
【図3】試料照射イオンビームに300keVのヘリウ
ムイオンを用いた場合の反跳水素原子の反跳角とエネル
ギーとの関係を示す図である。
ムイオンを用いた場合の反跳水素原子の反跳角とエネル
ギーとの関係を示す図である。
【図4】試料中における水素原子の位置決定方法の説明
図である。
図である。
【図5】磁気型質量分析器により粒子選別を行う実施例
の説明図である。
の説明図である。
【図6】MeV級の高速イオンビームを用いた従来の反
跳粒子検出法の説明図である。
跳粒子検出法の説明図である。
1…試料 2…試料照射イオンビーム 3…散乱イオンと反跳イオン 4…薄膜フィルタ 5…固体素子検出器 6…静電型エネルギー分析器 7…極薄膜フィルタ 8…位置感応型検出器 41…試料照射イオン 42…水素原子 43,44…反跳水素原子の反跳方向 45…表面原子 51…磁気型質量分析器 52…検出器
Claims (4)
- 【請求項1】イオンビームを試料に照射し、該試料から
放出される粒子のうち特定のエネルギーを有するイオン
を分離した後、該分離されたイオンから検出対象原子を
分離して分析することを特徴とする表面分析方法。 - 【請求項2】上記検出対象原子の上記イオンビーム照射
による上記試料表面からの反跳角度を測定し、該角度分
布から上記試料における上記検出対象原子の存在位置を
決定することを特徴とする請求項1に記載の表面分析方
法。 - 【請求項3】試料にイオンビームを照射する手段と、該
試料から放出される粒子から特定のエネルギーを有する
イオンを分離する静電型エネルギー分析器と、該静電型
エネルギー分析器により分離されたイオンから検出対象
のイオン以外の粒子を除去するための極薄膜フィルタ
と、該フィルタを通過した粒子を検出する検出器とを有
することを特徴とする表面分析装置。 - 【請求項4】上記検出器が位置感応型検出器であること
を特徴とする請求項3に記載の表面分析装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7029453A JPH08220030A (ja) | 1995-02-17 | 1995-02-17 | 表面分析方法およびその表面分析装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7029453A JPH08220030A (ja) | 1995-02-17 | 1995-02-17 | 表面分析方法およびその表面分析装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08220030A true JPH08220030A (ja) | 1996-08-30 |
Family
ID=12276538
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7029453A Pending JPH08220030A (ja) | 1995-02-17 | 1995-02-17 | 表面分析方法およびその表面分析装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08220030A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004075240A1 (ja) * | 2003-02-18 | 2004-09-02 | Sii Nanotechnology Inc. | イオンビーム加工方法 |
JP2009517844A (ja) * | 2005-12-02 | 2009-04-30 | アリス コーポレーション | イオン源、システム及び方法 |
JP2010071873A (ja) * | 2008-09-19 | 2010-04-02 | Kobe Steel Ltd | イオンエネルギーの分光方法および分光装置 |
-
1995
- 1995-02-17 JP JP7029453A patent/JPH08220030A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004075240A1 (ja) * | 2003-02-18 | 2004-09-02 | Sii Nanotechnology Inc. | イオンビーム加工方法 |
JP2009517844A (ja) * | 2005-12-02 | 2009-04-30 | アリス コーポレーション | イオン源、システム及び方法 |
JP2010071873A (ja) * | 2008-09-19 | 2010-04-02 | Kobe Steel Ltd | イオンエネルギーの分光方法および分光装置 |
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