JPH08219375A - カメラ用ストロボの３次元ホールド型アーム・ジョイ ントとそれを用いたアーム・システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【構成】 端部に球体コア３を有するアーム１，２の相
互接続部位に使用され、アーム端部球体コア３を挟んで
保持する部位となるＵ字型スリット付き凹部４，５を両
末端に有し、その中間部にネジ穴を有する細長い金属プ
レート２枚６，７を本体とし、その２本の金属プレート
のネジ穴を貫通する丸頭付ネジ１２、回転ハンドル付ネ
ジ締め具８を主要構成部品として構成され、球体コアか
ら伸びるアームがＵ字型スリットを通過できることによ
り、アーム相互間の接続角度、位置関係を３次元的な広
い角度範囲、空間関係の中から任意に選択し、固定、保
持できる機能を有している。 【効果】 ストロボを任意の適正な位置に簡単確実に設
定でき、設定位置の変更も容易で、撮影作業中のブレも
なく、微妙なライティングが実現でき、高度な撮影表
現、写真撮影、ビデオ映像記録が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、カメラ用ストロボの
アーム・システムに関するものである。さらに詳しく
は、この発明は、防水ハウジングや交換レンズ群などの
各種周辺機器とともに使用されるカメラ、水中カメラ、
ビデオカメラ、水中ビデオカメラ等と、光量の豊かなス
トロボ、ライト等とを任意の位置関係で結合する堅牢な
アーム・システム、および、その中核機能部品の３次元
ホールド型アーム・ジョイントに関するものである。

【０００２】

【従来の技術とその課題】従来のカメラ用ストロボのア
ーム・システムでは、たとえば図１に示したように、カ
メラ（Ａ）底面にカメラの左右方向に伸びるベースステ
ー（Ｃ）をネジで取り付け固定して、このベースステー
（Ｃ）の端部に、先端にストロボ（Ｂ）を備えたアーム
（Ｄ）の基部を固定する仕組みになっている。

【０００３】この従来の基本的アームでは、グリップを
兼ねた太いアーム（Ｄ）の内部に細い伸長用アームが収
納されており、その伸長用アームの出し入れで、ストロ
ボ（Ｂ）のカメラ（Ａ）上方向への離間距離を変えた
り、また、先端にネジ固定されたストロボ（Ｂ）の上下
方向の角度を変えたりできる。しかし、ストロボ（Ｂ）
のカメラ（Ａ）に対する向きや位置の設定では、制約が
多い。

【０００４】そこで、近年、ユニバーサル・ジョイント
・アームが導入されてきたが、カメラ用ストロボのアー
ム・システムとしては、これまでのところ完成度が低く
問題が多い。すなわち、従来の、たとえば図２に示した
ユニバーサル・ジョイント・アームでは、先端に球体コ
アを備えたアーム（Ｆ）を従来型アーム・ジョイント
（Ｇ）、すなわち、基部側アームの球体コアと先端側ア
ームの球体コアとを挟んで保持する部位となる円形ホー
ルを両端に有する楕円形金属プレート２枚、および、２
枚の金属プレートの真中を貫通する頭付ネジ、プレート
間隔を調節してユニバーサル・ジョイントの固定・解放
をコントロールする回転ハンドル付ネジ締め具からなる
アーム・ジョイント（Ｇ）を介して次のアーム（Ｈ）に
接続・延長していく。

【０００５】しかしながら、このような従来のユニバー
サル・ジョイント・アームでストロボを組んだカメラ・
システムには、以下の通りの問題点がある。 １．従来のアーム・ジョイント（Ｇ）では、図３に示す
ように、アームの球体コアの保持部は、２枚の楕円形金
属プレートのそれぞれの円形ホールで単純に挟むだけの
構造になっているため、真ん中の単一の回転ハンドル付
ネジ締め具で固定する場合、ネジをしっかりきつく締め
ないと確実にロックできない。

【０００６】２．しかも、球体コアと円形ホールとの接
触は、図３に示すように、円形ホールの内側のエッジ部
分のみで、接触面積はごくわずかにすぎないので、ほん
の少しネジを緩めると、とたんに、固定ロック状態から
外れ、アーム間のユニバーサル・ジョイント結合が崩れ
て、ストロボ（Ｂ）をつけた先端側アーム（Ｈ）が落ち
込んでしまうと同時に、アーム・ジョイント（Ｇ）も先
端側アーム（Ｈ）に引きずられて落ち込み、形態を大き
く崩してしまう。

【０００７】３．ストロボ（Ｂ）を任意の適正な位置に
確実に設定するためには、アーム（Ｈ）−ジョイント
（Ｇ）−アーム（Ｈ）−とつながる各部材を順次設定方
向に変位させていく必要があるが、従来型ジョイント
（Ｇ）では、フレキシブルな設定、変位を許容する半ロ
ック状態（ロック固定状態と、フリー自由状態との中間
状態）がないため、妥当な変位で固定する作業が困難で
ある。

【０００８】４．従来のアーム・ジョイント（Ｇ）で
は、図４に示すように、２枚の楕円形金属プレートに挟
まれた球体コアから伸びるアームは、２枚の金属プレー
トの間のｘｙ平面上では自由に回転できるものの、その
直角方向のｚ軸方向には、金属プレートの円形ホールの
周りの環状部に規制されて、殆ど動けない。どうしても
その方向に大きく回転させてストロボなどの位置を設定
したい場合には、アーム・ジョイント（Ｇ）全体を９０
度近く回転させてから、アームの位置や角度を設定しな
おす必要がある。

【０００９】これまでのユニバーサル・ジョイント形式
のカメラ用ストロボのアーム・システムには、ジョイン
ト部材等に起因する以上の通りの問題点があった。そこ
で、この発明は、これらの問題を解決して、アーム相互
間の接続角度、位置関係を３次元的な広い角度範囲、空
間関係の中から任意に選択し、固定、保持できる機能を
有するとともに、ストロボを任意の適正な位置に簡単確
実に設定でき、設定位置の変更も容易で、撮影作業中の
ブレもなく、微妙なライティングが実現でき、高度な撮
影表現を可能とするアーム・システムを提供することを
目的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】この発明は、以上の通り
の課題を解決するものとして、端部に球体コアを有する
アームの相互接続部位に使用され、アーム端部球体コア
を挟んで保持する部位となるＵ字型スリット付き略半球
状凹部を両末端に有し、その中間部にネジ穴を有する細
長い金属プレート２枚を本体とし、その２枚の金属プレ
ートのネジ穴を貫通する丸頭付ネジ、回転ハンドル付ネ
ジ締め具を主要構成部品として構成され、アーム相互間
の接続角度、位置関係を３次元的な広い角度範囲、空間
関係の中から任意に選択し、固定、保持できる機能を有
するカメラ用ストロボの３次元ホールド型アーム・ジョ
イント（請求項１）を提供する。

【００１１】また、この発明は、上記システムについ
て、防水ハウジング収納カメラ、水中カメラのみなら
ず、水中ビデオカメラ、防塵ハウジング収納カメラ等の
重装備カメラに、ストロボ、ビデオライト等の光量の大
きな発光体を取り付けるためにも好適に使用できる。

【００１２】

【作用】この発明のカメラ用ストロボのアーム・システ
ムでは、アーム・ジョイントを中心に改良を加えてい
る。図５および図６に示した説明図に沿ってこの発明の
主な改良点を中心に列記する。 １．図５、図６に示したように、この発明の３次元ホー
ルド型アーム・ジョイント（Ｊ）は、従来のもの（Ｇ）
よりもやや厚手の金属板を本体のプレートの素材とし
て、より高い剛性を確保している。

【００１３】２．その上で、従来環状であった球体コア
保持部（図３の２３の部材を参照）にアームのすり抜け
を許容するスリット（５）を設けている。このＵ字型ス
リット（５）の付加により、この発明の３次元ホールド
型アーム・ジョイント（Ｊ）では、２枚の楕円形金属プ
レートに挟まれた球体コアから伸びるアームは、２枚の
金属プレートの間のｘｙ平面上のみならず、その直角の
ｚ軸方向にも、金属プレートに規制されないで自由に動
くことができ、アーム相互間の接続角度、位置関係を３
次元的な広い角度範囲、空間関係の中から任意に選択
し、固定、保持できる。

【００１４】３．厚手の金属板を本体プレートの素材に
使用していることから、球体コア保持部となる箇所を掘
り下げて略半球状凹部を形成することができた。球体コ
ア保持部と球体コアとの接触面積は、従来の円形ホール
の内側エッジ部分のみの保持部のものから比べると飛躍
的に増大した。このため、回転ハンドル付ネジ締め具で
簡単にネジを締めれば、確実にロック固定できるように
なった。

【００１５】４．さらに、この３次元ホールド型アーム
・ジョイント（Ｊ）では、球体コアと保持部との接触面
積が大きく、その接触部位の形状が単純な平面ではなく
球面であるため、ロック固定状態から少しネジを緩める
と、ロック状態から外れ、フレキシブルな設定、変位を
許容する半ロック状体（ロック固定状態と、フリー自由
状態との中間状態）が容易に得られる。また、逆に、フ
リー自由状態から少しネジを締めても、やはり、フレキ
シブルな設定、変位を許容する半ロック状態が容易に得
られる。

【００１６】５．したがって、この半ロック状態を利用
すれば、水中撮影などの現場で、右手でカメラ本体を保
持しつつ、左手でストロボ（Ｂ）に手をかけて３次元ホ
ールド型アーム・ジョイント（Ｊ）を従属的に変位させ
てアーム・システムの形態を設定し、しかるのち、回転
ハンドル付ネジ締め具で簡単にネジを締めれば、確実に
目的の状態にロック固定できる。調整中に、ストロボ
（Ｂ）をつけた先端側アーム（Ｈ）が自重で落ち込んで
しまうと同時に、アーム・ジョイント（Ｇ）も先端側ア
ーム（Ｈ）に引きずられて落ち込み、形態を大きく崩し
てしまうことはなくなった。

【００１７】６．この発明の３次元ホールド型アーム・
ジョイントを用いたアーム・システムは、アーム相互間
の接続角度、位置関係を３次元的な広い角度範囲、空間
関係の中から任意に選択し、固定、保持できるので、そ
の派生的機能として、収納時のコンパクト性も進歩して
いる。その収納性について従来型との対比を図８に示
す。図８右側の３次元ホールド型アーム・ジョイント
（Ｊ）では、図８左側の従来型アーム・ジョイント
（Ｇ）と異なり、回転ハンドル付ネジ締め具（８）の軸
方向がアーム類の軸方向と一致させることができるの
で、アーム・システム全体をフラットな塊としてまとめ
ることができて壊れにくく、収納のコンパクト性と同時
に、携行時の破損防止性でも優れている。

【００１８】以上のような優れた作用を有するこの発明
のアーム・システムについて、図５を中心に補足説明を
加えながら、この発明の実施例としてその構成と作用効
果について説明する。

【００１９】

【実施例】図５は、カメラ（Ａ）およびストロボ（Ｂ）
を取り付けた状態のアーム・システムにおいて、３次元
ホールド型アーム・ジョイント（Ｊ）の部分を拡大し
て、その部材構成、および、全体構造を示した分解・組
立の斜視図である。ここで、図５に沿ってジョイント
（Ｊ）の全体構造、部材構成をまとめると、以下の通り
である。本体を構成する２枚の金属プレート（６）、
（７）は、ネジ穴の構造を除いて、すべて同じ形状で、
向かい合わせに組み合わされている。下側の金属プレー
ト（６）にはネジ溝を切ったネジ穴（１０）が設けら
れ、直径数ミリの丸頭付ネジ（１２）が螺合、固定され
ている。上側の金属プレート（７）にはネジの直径より
やや大きな内径の貫通穴（１１）が設けられている。

【００２０】丸頭付ネジ（１２）は、その基部が下側の
金属プレート（６）に螺合、固定され、その先端は、上
側の金属プレート（７）をも貫通して、その上に位置す
る回転ハンドル付ネジ締め具（８）の筒状ナット部に受
け止められている。上側の金属プレート（７）と回転ハ
ンドル付ネジ締め具（８）の筒状ナット部との間には、
樹脂製のワッシャ（１３）等を挿入しておくことが、摺
動性の向上に望ましい。

【００２１】また、上下の金属プレート（６）、（７）
の間にコイルスプリング（１４）を挟んでネジ（１２）
を貫通させておくと、ネジ締め具の回転によるジョイン
ト結合の解除がスムーズになり、操作性の向上に望まし
い。本体を構成する２枚の金属プレート（６）、（７）
のそれぞれの両端部には、球体コア保持のための略半球
状凹部が掘り下げて設けられ、それぞれにアームのすり
抜けを許容するＵ字型スリット（５）付加されている。

【００２２】この発明の３次元ホールド型アーム・ジョ
イント（Ｊ）は、従来のもの（Ｇ）よりもやや厚手の金
属板を本体のプレートの素材として、より高い剛性を確
保している。このため、スリット（５）付加にもかかわ
らず、ジョイントをロック固定するために必要十分な剛
性、強度が確保されている。なお、上記のような構成の
金属プレート（６）、（７）は、金属板素材を打ち抜い
てから、切削加工などを施して作成されるが、強力なプ
レス加工機などがあれば、打ち抜きと同時にプレス加工
などして一工程で作成することもできる。

【００２３】また、これらの金属プレート（６）（７）
や、アームの金属球体コア（４）の表面は、すべて、硬
質のアルマイト被覆で着色しつつ保護強化することが望
ましい。こうすると、ジョイント結合の締め付け・解除
を繰り返しても、各部材の接触摩擦部分は、磨耗するこ
とがなく望ましい。この発明のカメラ用ストロボのアー
ム・システムは、位置設定の自由度が大きく、堅牢なユ
ニバーサル・ジョイント形式のアーム・システムについ
て、ジョイント部材を中心に改良をすすめたものであっ
て、もちろん、従来のユニバーサル・ジョイント形式ア
ームの各種部材も自由に組み合わせ可能である。

【００２４】防水ハウジングや交換レンズ群などの各種
周辺機器とともに使用される本格的カメラ、水中カメ
ラ、ビデオカメラ、水中ビデオカメラ等と、光量の豊か
なストロボ、あるいは図６にも示したライト（Ｌ）等を
任意の位置関係で結合することができる。

【００２５】

【発明の効果】この発明のカメラ用ストロボのアーム・
システムにより、ストロボを任意の適正な位置に簡単確
実に設定でき、設定位置の変更も容易で、撮影作業中の
ブレもなく、微妙なライティングが実現でき、高度な撮
影表現、写真撮影、ビデオ映像記録が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来型の伸縮型アーム・システムの図である。

【図２】従来型のユニバーサル・ジョイント・アーム・
システムの図である。

【図３】従来型のアーム・ジョイントの金属プレート
（上側）の詳細を示す図である。

【図４】従来型のアーム・ジョイントの動作範囲を示す
図である。

【図５】この発明の３次元ホールド型アーム・ジョイン
トの部材構成および全体構成を示す図である。

【図６】この発明の３次元ホールド型アーム・ジョイン
トの金属プレート（上側）の詳細を示す図である。

【図７】この発明の３次元ホールド型アーム・ジョイン
トの動作範囲を示す図である。

【図８】（ａ）（ｂ）は、各々、この発明の３次元ホー
ルド型アーム・ジョイントを用いたアーム・システムの
コンパクト収納性について従来型との対比を示す図であ
る。

【図９】この発明の３次元ホールド型アーム・ジョイン
トを用いたアーム・システムのライト付きビデオカメラ
装置への応用例を示す図である。

【符号の説明】

Ａ カメラ Ｂ ストロボ Ｃ ベースステー Ｄ 従来の伸縮型アーム Ｅ シンクロコード Ｆ，Ｈ アーム Ｇ 従来型アーム・ジョイント Ｊ この発明の３次元ホールド型アーム・ジョイント Ｖ ビデオカメラ Ｌ ライト １ 基部側アーム ２ 先端側アーム ３ アームの球体コア ４ 略半球状凹部 ５ Ｕ字型スリット ６ 下側金属プレート ７ 上側金属プレート ８ 回転ハンドル付ネジ締め具 ９ 樹脂製ワッシャ １０ ネジ溝付ネジ穴 １１ ネジ貫通穴 １２ 丸頭付ネジ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 端部に球体コアを有するアームの相互接
   続部位に使用され、アーム端部球体コアを挟んで保持す
   る部位となるＵ字型スリット付き凹部を両末端に有し、
   その中間部にネジ穴を有する細長い金属プレート２枚を
   本体とし、その２本の金属プレートのネジ穴を貫通する
   丸頭付ネジ、回転ハンドル付ネジ締め具を主要構成部品
   として構成され、球体コアから伸びるアームがＵ字型ス
   リットを通過できることにより、アーム相互間の接続角
   度、位置関係を３次元的な広い角度範囲、空間関係の中
   から任意に選択し、固定、保持できる機能を有するカメ
   ラ用ストロボの３次元ホールド型アームジョイント。
2. 【請求項２】 その２本の金属プレートの両末端のＵ字
   型スリット付き凹部が、Ｕ字型スリット付き略半球状凹
   部となっている第１項記載のカメラ用ストロボの３次元
   ホールド型アーム・ジョイント。
3. 【請求項３】 ２枚の金属プレートのうちネジ頭に近い
   下側金属プレートのネジ穴は、ネジの自由回転を規制す
   るネジ溝付ネジ穴であり、他方のネジ先端に近い上側金
   属プレートのネジ穴は、ネジの自由回転を許容するネジ
   貫通穴であり、上側金属プレートのネジ穴部分と回転ハ
   ンドル付ネジ締め具との間には、樹脂製ワッシャが配設
   されている請求項１のカメラ用ストロボの３次元ホール
   ド型アーム・ジョイント。
4. 【請求項４】 端部に球体コアを有する複数のアーム
   類、および、端部に球体コアを有するアームの相互接続
   部位に使用され、アーム端部球体コアを挟んで保持する
   部位となるＵ字型スリット付き略半球状凹部を両末端に
   有し、その中間部にネジ穴を有する細長い金属プレート
   ２枚を本体とし、その２本の金属プレートのネジ穴を貫
   通する丸頭付ネジ、回転ハンドル付ネジ締め具を主要構
   成部品として構成される３次元ホールド型アーム・ジョ
   イントからなり、アーム相互間の接続角度、位置関係を
   ３次元的な広い角度範囲、空間関係の中から任意に選択
   し、固定、保持できる機能を有するカメラ用ストロボの
   ３次元ホールド型アーム・ジョイントを用いたカメラ用
   ストロボのアーム・システム。