JPH08218130A - 耐摩耗性過共晶Al−Si合金材の製造方法 - Google Patents

耐摩耗性過共晶Al−Si合金材の製造方法

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JPH08218130A
JPH08218130A JP7024240A JP2424095A JPH08218130A JP H08218130 A JPH08218130 A JP H08218130A JP 7024240 A JP7024240 A JP 7024240A JP 2424095 A JP2424095 A JP 2424095A JP H08218130 A JPH08218130 A JP H08218130A
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JP
Japan
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sample
alloy
molten metal
primary crystal
wear
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Withdrawn
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JP7024240A
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English (en)
Inventor
Shigeo Asai
滋生 浅井
Kensuke Sasa
健介 佐々
Shiyunshiyaku Boku
▲俊▼杓 朴
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Showa Aluminum Can Corp
Original Assignee
Showa Aluminum Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 表層部だけに初晶Siを分布させて耐摩耗性
を向上させ、他の部分には初晶Siを存在させずに伸び
および強度の大きい組織の合金材を製造する。 【構成】 Alと反応してSiを生成する石英からなる
鋳型2内に過共晶Al−Si合金溶湯1を入れておく。
この溶湯1に静磁界を印加しつつ状態図における共晶反
応線以上の温度でかつ液相線以下の温度まで冷却して初
晶Siを晶出させ、この過共晶Al−Si合金溶湯1を
さらに冷却して凝固させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は耐摩耗性過共晶Al−
Si合金材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】過共晶A
l−Si合金は、一般に17〜25wt%程度のSiを含
有し、組織的には初晶Siの存在を特徴とする耐摩耗性
材料であり、鋳鉄と代替可能な耐摩耗性を有する材料と
して、ピストン、シリンダブロック、コンプレッサ部品
をはじめとする各種機械部品へ適用されている。しかし
ながら、初晶Siは粗大化しやすく強度劣化の原因とな
るので、このような過共晶Al−Si合金は強度部材と
しては適当ではないという問題があった。特に、初晶S
iの量が多くなると、共晶合金に比べ伸びと引張強度が
著しく低下するという問題があった。
【0003】そこで、このような問題を解決するため
に、耐摩耗性を向上させるという初晶Siの性質を利用
し、表層部だけに初晶Siを分布させて耐摩耗性を向上
させ、他の部分には初晶Siを存在させずに伸びおよび
強度の大きい組織とすることが考えられている。
【0004】ところで、部分的に組織の異なる金属材料
を製造する方法として、金属溶湯中に、セラミックス等
の金属溶湯よりも比重の大きい材料からなる粒子や繊維
を分散させた後、遠心力により偏在させる方法や、初晶
金属間化合物を晶出させた後、遠心力により偏在させる
方法が知られている。
【0005】しかしながら、これらの方法は、両方とも
比重差を利用するものであり、過共晶Al−Si合金の
ように、初晶Siの比重が合金溶湯の比重よりも小さい
場合には適用することができない。また、遠心力の適用
にあたっては、鋳型の形状にも制約がでてくる。
【0006】この発明の目的は、上記問題を解決した耐
摩耗性過共晶Al−Si合金材の製造方法を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明による耐摩耗性
過共晶Al−Si合金材の製造方法は、Alと反応して
Siを生成する材料からなる鋳型内に過共晶Al−Si
合金溶湯を入れておき、この溶湯に磁界を印加しつつ状
態図における共晶反応線以上の温度でかつ液相線以下の
温度まで冷却して初晶Siを晶出させ、この過共晶Al
−Si合金溶湯をさらに冷却して凝固させることを特徴
とするものである。
【0008】上記耐摩耗性過共晶Al−Si合金材の製
造方法において、鋳型が石英製であることがある。
【0009】上記において、過共晶Al−Si合金への
磁界の印加は、たとえば鋳型を磁界中に配置することに
よって行なわれる。この場合、磁界の磁束密度は0.0
5〜5Tの範囲内であることが好ましい。
【0010】
【作用】Alと反応してSiを生成する材料からなる鋳
型内に過共晶Al−Si合金溶湯を入れておき、この溶
湯に磁界を印加しつつ状態図における共晶反応線以上の
温度でかつ液相線以下の温度まで冷却して初晶Siを晶
出させると、鋳型とAlとの反応の結果鋳型の内周面に
生成したSiを核として初晶Siが析出する。そして、
この過共晶Al−Si合金溶湯をさらに冷却して凝固さ
せると、磁界の作用により溶湯の対流が抑制された状態
で凝固が進行し、初晶Siが鋳型の内周面に付着したま
まの状態となる。その結果、得られた合金材の表層部に
初晶Siが偏在することになる。
【0011】
【実施例】以下、この発明の実施例を、図面を参照して
説明する。
【0012】図1はこの発明による方法の原理を示し、
図2は過共晶Al−Si合金の状態図を示す。
【0013】たとえばAl−20wt%Si合金の溶湯
(1) を石英製鋳型(2) 内に入れておき、これを磁界中に
配置しておく。磁界は溶湯(1) の対流を抑制する。ま
た、このとき、石英とAlとの反応によりSi(3) が鋳
型(2) の内周面に生成する(4Al+3SiO2 →2A
2 3 +3Si)。ついで、図2に示す状態図におけ
る共晶反応線以上の温度でかつ液相線以下の温度まで冷
却すると、図2のa点で初晶Siの晶出が開始する。初
晶SiはAlと石英との反応の結果鋳型(2) の内周面に
生成したSi(3) を核として晶出する。この状態で溶湯
(1) をさらに冷却して凝固させると、表層部に初晶Si
が偏在した合金材が得られる。
【0014】次に、この発明の具体的実施例について比
較例とともに説明する。
【0015】具体的実施例1 図3はこの具体的実施例に用いた装置を示す。図3にお
いて、矢印Bで示す方向の磁界中に炉(10)が配置され、
炉(10)内に内径10mm、長さ100mmの有底円筒状
石英製鋳型(11)が配置されている。
【0016】そして、40gのAl−20wt%Si合金
を別途溶解し、1073Kにおいて溶湯中にArガスを
吹き込むことにより脱水素処理を施した後、1003K
まで降温し、炉(10)内で同温度に保持されている鋳型(1
1)内に注入した。ついで、磁界の磁束密度を0.19T
とすることにより溶湯の対流を抑制しつつ溶湯を炉冷し
て凝固させ、試料を得た。
【0017】図4は得られた試料の組織写真であり、同
図(a) は縦断面、同図(b) は横断面である。図4から明
らかなように、初晶Siが試料の表層部に偏在している
ことが分かる。
【0018】比較例1 溶湯に静磁界を印加しないことを除いては、上記具体的
実施例1と同様にして試料を得た。図5は得られた試料
の組織写真であり、同図(a) は縦断面、同図(b) は横断
面である。図5から明らかなように、初晶Siが試料の
断面全体にほぼ均一に分布していることが分かる。
【0019】具体的実施例2 純Alを黒鉛るつぼ中で溶解した後、1073Kで同温
度に保持しかつ磁界中に配置した内径10mm、長さ1
00mmの有底円筒状石英製鋳型内に注入した。その
後、磁界の磁束密度を0.19Tとし、1073Kで6
00秒間保持し、ついで静磁界を印加したままの状態で
溶湯を炉冷して凝固させ、試料を得た。
【0020】図6は得られた試料の組織写真であり、同
図(a) は横断面、同図(b) は縦断面、同図(c) は縦断面
の左側部分、中央部分および右側部分のミクロ組織写真
である。図6から明らかなように、試料の表面から約2
mmの範囲内で共晶Al−Si合金が生成し、試料の中
央部にはSiが存在していないことが分かる。
【0021】比較例2 溶湯に静磁界を印加しないことを除いては、上記具体的
実施例2と同様にして試料を得た。図7は得られた試料
の組織写真であり、同図(a) は横断面、同図(b) は縦断
面、同図(c) は縦断面の左側部分、中央部分および右側
部分のミクロ組織写真である。図7から明らかなよう
に、試料全体が亜共晶Al−Si合金となっていること
が分かる。これは、Alとの反応により鋳型の内周面に
生成したSiが溶湯の滞留により剥離し、これが溶湯全
体に分散して混じったためであると考えられる。
【0022】比較例3 純Alを黒鉛るつぼ中で溶解した後、1073Kで同温
度に保持しかつ磁界中に配置した内径10mm、長さ1
00mmの有底円筒状石英製鋳型内に注入した。つい
で、1073Kで600秒間保持した後、磁界の磁束密
度を0.19Tとし、溶湯を炉冷して凝固させ、試料を
得た。
【0023】図8は得られた試料の組織写真であり、同
図(a) は横断面、同図(b) は縦断面、同図(c) は縦断面
の左側部分、中央部分および右側部分のミクロ組織写真
である。図8から明らかなように、試料全体が亜共晶A
l−Si合金となっていることが分かる。これは、Al
との反応により鋳型の内周面に生成したSiが溶湯の滞
留により剥離し、これが溶湯全体に分散して混じったた
めであると考えられる。
【0024】具体的実施例3 Al−20wt%Si合金を溶解し、1003Kの溶湯
を、磁界中に配置しかつ913Kで保持している有底円
筒状石英製鋳型に注入した。そして、磁界の磁束密度を
0.19Tとし、溶湯を913Kで600秒間保持し、
その後急冷凝固させ、試料を得た。なお、913Kの温
度は、図2の状態図から明らかなように、初晶Siの晶
出開始温度(970K)と共晶凝固温度(850K)と
の中間温度である。
【0025】図9は得られた試料の組織写真であり、同
図(a) は縦断面、同図(b) は横断面である。図9から明
らかなように、初晶Siは試料の表層部に偏在してい
る。
【0026】比較例4 Al−20wt%Si合金を溶解し、1003Kの溶湯
を、913Kで保持している有底円筒状石英製鋳型に注
入した。そして、溶湯を913Kで180秒間保持した
後、炉冷して凝固させ、試料を得た。
【0027】図10は得られた試料の組織写真であり、
同図(a) は縦断面、同図(b) は横断面である。図10か
ら明らかなように、初晶Siは鋳型の内周面から晶出が
始まって中心方向に進行しているように見える。なお、
図9において、試料の内部の黒く細かく見えるものは、
急冷中に晶出した初晶Siである。
【0028】具体的実施例4 図11はこの具体的実施例に用いた装置を示す。図11
において、矢印Bで示す方向の磁界中に炉(30)が配置さ
れ、炉(30)内に縦100mm、横10mm、長さ10m
mの有底角筒状アルミナ製鋳型(31)が配置されている。
【0029】そして、50gのAl−20wt%Si合金
を別途溶解し、1073Kにおいて溶湯中にArガスを
吹き込むことにより脱水素処理を施した後、1003K
まで降温し、炉(30)中で同温度に保持されている鋳型(3
1)内に注入した。ついで、磁界の磁束密度を0.19T
とし、溶湯を炉冷して凝固させ、試料を得た。
【0030】そして、得られた試料における付与された
電磁力の方向の面および付与された電磁力と反対方向の
面の摩耗試験を、図12および図13に示す迅速摩耗試
験機を用いて行なった。
【0031】図12および図13において、迅速摩耗試
験機(40)は、円板(41)を回転させながら所定の力Pで試
料(42)に押付け、試料(42)の表面に形成された摩耗痕(4
3)の長さLを測定するものである。円板(41)としては、
S55Cからなり、半径15mm、厚さ2mmのものを
用いた。また、円板(41)の回転速度は1.14m/s、
回転距離は200m、円板(41)の試料(42)への押付け力
Pは2.1Kgとしておいた。その結果、一面に生じた
摩耗痕の長さは4mm、他面に生じた摩耗痕の長さは
4.5mmであった。
【0032】比較例5 溶湯に静磁界を印加しないことを除いては、上記具体的
実施例4と同様にして試料を得、同じく具体的実施例4
と同様にして摩耗試験を行ない、摩耗痕の長さを測定し
た。その結果、一面に生じた摩耗痕の長さは7.5m
m、他面に生じた摩耗痕の長さは7.2mmであった。
【0033】具体的実施例5 40gのAl−20wt%Si合金を溶解した後、予めC
u−14.4wt%P合金を、Pの量が溶湯重量の0.1
wt%になるように添加し、30分間保持して初晶Siの
微細化を図ったことを除いては、上記具体的実施例4と
同様に試料を得、ついで上記具体的実施例4と同様に摩
耗試験を行なった。その結果、一面に生じた摩耗痕の長
さは3.5mm、他面に生じた摩耗痕の長さは3mmで
あった。
【0034】比較例6 溶湯に静磁界を印加しないことを除いては、上記具体的
実施例5と同様にして試料を得、同じく具体的実施例5
と同様にして摩耗試験を行ない、摩耗痕の長さを測定し
た。その結果、一面に生じた摩耗痕の長さは7.5m
m、他面に生じた摩耗痕の長さは7.2mmであった。
【0035】
【発明の効果】この発明の耐摩耗性過共晶Al−Si合
金材の製造方法によれば、上述のように、初晶Siが表
層部に偏在した鋳物が得られるので、表層部だけに初晶
Siを分布させて耐摩耗性を向上させ、他の部分には初
晶Siを存在させずに伸びおよび強度の大きい組織の合
金材を製造することができる。しかも、従来の遠心力を
適用した場合のように、鋳型の形状が制約されることも
ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法の原理を示す図である。
【図2】過共晶Al−Si合金の状態図である。
【図3】具体的実施例1に用いた装置を示す概略斜視図
である。
【図4】図4(a) は具体的実施例1で得られた試料の縦
断面を示す組織写真のコピーである。図4(b) は具体的
実施例1で得られた試料の横断面を示す組織写真のコピ
ーである。
【図5】図5(a) は比較例1で得られた試料の縦断面を
示す組織写真のコピーである。図5(b) は比較例1で得
られた試料の横断面を示す組織写真のコピーである。
【図6】図6(a) は具体的実施例2で得られた試料の横
断面を示す組織写真のコピーである。図6(b) は具体的
実施例2で得られた試料の縦断面を示す組織写真のコピ
ーである。図6(c) は具体的実施例2で得られた試料の
縦断面のミクロ組織を示す組織写真のコピーである。
【図7】図7(a) は比較例2で得られた試料の横断面を
示す組織写真のコピーである。図7(b) は比較例2で得
られた試料の縦断面を示す組織写真のコピーである。図
7(c) は比較例2で得られた試料の縦断面のミクロ組織
を示す組織写真のコピーである。
【図8】図8(a) は比較例3で得られた試料の横断面を
示す組織写真のコピーである。図8(b) は比較例3で得
られた試料の縦断面を示す組織写真のコピーである。図
8(c) は比較例3で得られた試料の縦断面のミクロ組織
を示す組織写真のコピーである。
【図9】図9(a) は具体的実施例3で得られた試料の縦
断面を示す組織写真のコピーである。図9(b) は具体的
実施例3で得られた試料の横断面を示す組織写真のコピ
ーである。
【図10】図10(a) は比較例4で得られた試料の縦断
面を示す組織写真のコピーである。図10(b) は比較例
4で得られた試料の横断面を示す組織写真のコピーであ
る。
【図11】具体的実施例4に用いた装置を示す概略斜視
図である。
【図12】具体的実施例4において摩耗試験を行なうの
に用いた迅速摩耗試験機の概略を示す正面図である。
【図13】図12のXIII−XIII線断面図である。
【符号の説明】
(1) 溶湯 (2) 鋳型

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Alと反応してSiを生成する材料から
    なる鋳型内に過共晶Al−Si合金溶湯を入れておき、
    この溶湯に磁界を印加しつつ状態図における共晶反応線
    以上の温度でかつ液相線以下の温度まで冷却して初晶S
    iを晶出させ、この過共晶Al−Si合金溶湯をさらに
    冷却して凝固させることを特徴とする耐摩耗性過共晶A
    l−Si合金材の製造方法。
  2. 【請求項2】 鋳型が石英製である請求項1記載の耐摩
    耗性過共晶Al−Si合金材の製造方法。
JP7024240A 1995-02-13 1995-02-13 耐摩耗性過共晶Al−Si合金材の製造方法 Withdrawn JPH08218130A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
NL1009031C2 (nl) * 1998-04-29 1999-11-01 Ir Cornelis Hendrik Jacques Va Werkwijze en inrichting voor het zuiveren van een non-ferrometaal of een legering daarvan.
CN114351013A (zh) * 2021-12-24 2022-04-15 常州大学 一种利用熔体净化和微量镧合金化制备近伪共晶铝硅合金的制备方法

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