JPH08214875A - 有用菌の培養方法 - Google Patents
有用菌の培養方法Info
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- JPH08214875A JPH08214875A JP7046665A JP4666595A JPH08214875A JP H08214875 A JPH08214875 A JP H08214875A JP 7046665 A JP7046665 A JP 7046665A JP 4666595 A JP4666595 A JP 4666595A JP H08214875 A JPH08214875 A JP H08214875A
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Abstract
液相を乳化させた培地に有用菌を培養し、有用物を生産
する培養方法を提供する。 【構成】 油相と水相から成る培養液に、カオリン、ハ
ロサイト等のカオリン粘土鉱物、酸性白土、ベントナイ
ト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト粘土鉱
物及びセピオライト、クリソタイル等の繊維状粘土鉱物
群から選ばれた、少なくとも一種の粘土鉱物種を添加
し、該培養液を乳化させ、有用菌を培養する培養方法。 【効果】 有用菌と油が効率良く接触できることによ
り、該菌の培養による有用物の生産性が向上し、乳化剤
が無機粘土鉱物であることから、培養後の有用物の分離
が容易となった。
Description
させて成る培地に放線菌、糸状菌などを培養させ有用物
を発酵生産する培養方法に関し、より詳細には培養菌が
栄養分(原料)とする油と培養菌が生息する水とを含む
培養液(培地)を安定に乳化させ、培養効率を向上させ
るために用いる粘土鉱物から成る乳化剤に関する。
土鉱物が水と油を乳化安定化させる特性を利用して、油
脂、石油等を原料とする発酵生産並びに動植物油を含む
廃棄物及び廃水を微生物により効率良く処理する方法に
関する。
二液相の系に乳化剤(界面活性剤)を添加し、攪拌混合
等の操作により安定に乳化させて得られるエマルジョン
(乳化状態)は、化粧品、農薬、医薬品、食料品、塗
料、接着剤等の工業分野に広く利用され、我々の生活に
密接に関係している。
菌などの有用菌を培養菌として用いて、工業的に有用物
であるイタコン酸、グルコン酸、クエン酸、乳酸などの
有機酸、セファマイシンC、ペニシリン、セファロスポ
リンCなどの抗生物質、グルコアミラーゼ、リパーゼな
どの酵素などが多く生産されている。
る培養生産菌として利用するためには、菌が生息する水
が必要である。またこれらの菌は、工業的に原料となる
大豆油、ナタネ油、牛脂等の油脂或いは石油系の油、疎
水性の有機物等を広く原料(栄養源)として繁殖する。
する油とは互いに混じりあわない二液相から成る系であ
って、菌と栄養源の油との接触は極めて困難である。よ
ってこの系を工業的に効率の良い培養生産系にする手段
としては、例えば菌が生息する水相(分散媒)中に原料
となる油相(分散質)を微細粒子として分散させ、この
系を安定な乳化状態にできれば、両者の接触が高まり培
養効率を著しく向上させることが期待される。
一般的には界面活性剤(乳化剤)の利用が検討される
が、従来よりこれらの培養生産系に上述する目的として
乳化剤、即ち界面活性剤を使用し生産効率を高めるとい
う技術は、今だ実績のないのが実状である。
ことから菌の栄養分にもなる。 その結果、目的外の生成物が副産される可能性があ
る。 また界面活性剤が消費され、乳化状態が崩れる恐れ
がある。 また界面活性剤が水相或いは油相のどちらかに連続
相を形成し、培養生産系から有用生産物の分離が不可能
になる。 更にまた有機化合物系の界面活性剤には、毒性や安
全性等の面からその使用に際してはさらなる制限を受け
る。 等の技術的且つ安全性等からなる諸問題により、界面活
性剤による乳化技術の導入が、いまだ実用化されていな
いものと想定される。
生成物及び糸状菌等の培養菌がお互いに絡み合い、更に
は培養生成物の増加等に伴う培養液粘度の高まり、又菌
を遠心分離、濾過等により分離するのに非常に困難を来
たしており、商業生産上の大きな障害になっているのが
現在の発酵工業の実状である。
イオリアクターとして担体に菌を固定させた固定化微生
物をバイオ触媒に用いるプロセスが報告されている。そ
の固定化の担体として、セルロース、アルギン酸カルシ
ウム、ポリアクリル酸アミドなどの有機物担体が検討さ
れているようであるが、学問的成果はともかく、未だほ
とんど実用化されていないのが実状である。
の問題を解消することを目的に、鎖状粘土鉱物に有用な
糸状菌を固定化させ、有用物を生産する糸状菌の新規な
培養方法を開発し、特願平5−288753号として提
案している。
成スチブンサイト等の合成スメクタイト族粘土鉱物系の
乳化剤が開示されている。
述したごとく、これらの有用菌を培養生産菌に利用して
有用物の生産性を著しく向上させるためには、第一に菌
が生息するに十分な水が必要である。第二にこれらの菌
が、工業的に原料であり、菌が好んで栄養源とする大豆
油、ナタネ油等の油脂或いは疎水性ではあるが石油系の
有機物等を必要とすることから、本発明の目的を果たす
ために必要な条件は、これらの水と油の二相を限りなく
一相に近似させることである。
菌が生息する水相と、有用菌が工業的に原料とする油相
から成る培養生産系を安定に乳化させ、且つそのために
必要とする乳化剤が固相系であれば、水相に油相を微細
粒子として分散させられ、発酵生産速度が高まり、且つ
乳化剤が固体であることから菌の分離が改善され、発酵
生産物の回収、精製等の培養効率が著しく向上させら
れ、しかもこの固体の乳化剤が無機系であれば、上記の
ごとく乳化剤が有機化合物であるが故に使用制限される
諸問題も解消されるであろう。
る有用菌が、効率良く有用物を生産するに必要とする無
機系固体の乳化剤を提供することにある。
的を達成するために、放線菌、糸状菌などの有用菌の培
養において、油相と水相から成る培養液に粘土鉱物を添
加し、或いはこの有用菌を固定化させた該粘土鉱物を添
加し、該培養液を安定に乳化させ、培養液中の油相を微
細な粒子に分散させて菌体と効率よく接触させることを
特徴とする、該粘土鉱物から成る乳化剤及びこの乳化剤
を用いる有用菌の培養方法が提供される。
体であって、その繊維径が60乃至400Åで、繊維長
が0.2乃至400μmの範囲にあるセピオライトト等
の繊維状粘土鉱物からなる乳化剤が提供される。
物がセピオライトであって、このセピオライトにあらか
じめ有用菌を固定化させた後、乳化剤及びバイオ触媒と
して培養液との接触を回分、半回分、反復回分或いは連
続のいずれかの方法で行ない、培養液を安定に乳化させ
ながら有用物を生産し、該有用物及び該粘土鉱物のセピ
オライトを含む該培養液から乳化剤のセピオライトを分
離し、有用生産物を効率良く回収する培養方法が提供さ
れる。
おり、発酵が終了すれば菌体は分離され廃棄処分され、
菌体の再利用が行なわれていないばかりでなく、その菌
体の合成に使用された基質分が毎回ロスし、その菌の廃
棄にかかるコストも無視できない。従ってこの菌体をな
るべく再利用する観点から、従来から理論的にその効果
が期待される反復回分培養が種々開発されたが、未だ工
業的に実用性の乏しいものであった。
くセピオライト系の鎖状粘土鉱物に糸状菌を担持させ、
糸状菌が安定に固定化されたバイオ触媒、及びこれを用
いた反復回分培養プロセスを開発し特許を出願すると共
に、セピオライトが微生物と油脂を同時に吸着し発酵が
著しく促進される事実を知った。
状粘土鉱物であるセピオライトが、培養液(培地)系に
おいて糸状菌が繊維状のセピオライトの表面又はその収
束体間隙に固定化され、その周辺に微細な粒子として油
分が分散していることを見出し、この知見に鑑み繊維状
のセピオライトを水相と油相(大豆油)から成る系に添
加し、機械的に細粒化させたところ、この系が乳化状態
で安定化するという知見に基づくものである。
に細粒化された油分を吸着し、又は上記収束体間隙に油
分を取り込み、細粒化された状態で油分を安定にする作
用(乳化作用)を有する事実から本発明に至ったもので
ある。
(エマルジョン)を安定化するために乳化剤としてこの
系に加えられる界面活性剤は、比較的低分子の水溶性有
機系化合物であり、 (1)分散粒子と連続相の界面張力を低下させて、分散
相の機械的細粒化を容易にさせる。 (2)水と油界面に配向吸着し、保護膜を作り粒子の凝
集と合一を阻止する。 等の機能により分散粒子の融合を抑制させ、エマルジョ
ンを安定化させるが、この為に界面活性剤を大量に使用
しなければならないとされている。
ビヤゴムなどの高分子物質も乳化安定作用を持つ。この
ような高分子は、一部は界面に吸着して粒子を保護し、
一部は液中に枠組式構造(Scaffolding structure)を作
り、エマルジョン粒子を捕獲し安定化させると言われて
いる。
との両者の性質を利用して形成されるエマルジョンのタ
イプには、水が連続相である牛乳のような水中油滴型
(O /W型)、油が連続相であるマーガリンのような
油中水滴型(W/O型)又は(W/O)/W型のような
多重型エマルジョン等がある。
イト系粘土であるセピオライト、パリゴスカイト等に代
表される鎖状粘土鉱物は、その外観形状が繊維状又はそ
の収束体であり、その基本構造は八面体層の骨格を形成
する主成分が、マグネシウムから成る3−八面体型ケイ
酸マグネシウム粘土鉱物である。
シウム粘土鉱物であるタルクのような二次元の層状結晶
構造物とは異なり、三次元の鎖状の結晶構造を有し、そ
の外観形状の繊維及びその収束体の間隙にできる空孔が
BET法で60乃至600m2/gの比表面積を有し、ま
たその収束体構造を有するが故に、吸着作用を有する多
孔質の鎖状粘土鉱物である。更にセピオライト等は、同
じく多孔質粘土鉱物で、ケイ酸アルミニウム粘土鉱物で
あるモンモリロナイトに代表される通常の層状結晶構造
物とは異なり、水溶系で膨潤しないことも大きな特徴で
ある。
上記のセピオライトの他に、繊維状形態をして一般的に
は石綿と言われている蛇紋石又は蛇紋石類縁鉱物、更に
は工業的に利用価値があり、外観形状が板状又は鱗片状
である3−八面体型スメクタイト粘土鉱物等も本発明の
乳化剤として好適に使用されることが分かった。
−八面体型ケイ酸マグネシウム系粘土鉱物以外のカオリ
ナイト等の2−八面体型1:1系粘土、セリサイト等の
2−八面体型2:1系粘土及び酸性白土、ベントナイト
等の2−八面体型スメクタイトなども本発明の乳化剤と
して好適に使用されることが分かった。
粘土鉱物が、水と油の系を安定に乳化させる機能を持つ
ことについて、その詳細は不明であるが以下のように整
理することができる。
から成る系での乳化性を評価した結果から、本発明の乳
化剤として実施例で使用したセピオライト、石綿、サポ
ナイト、ヘクトライト、酸性白土、ベントナイト、カオ
リン、セリサイト等は何れも極めて安定な乳化状態を形
成する。
土、ベントナイト、カオリン、セリサイト等の粘土鉱物
の外観形状は繊維状及びその収束体、鱗片状、層状で或
いは膨潤する等から液中で絡み、収束、カードハウス等
の枠組式構造(Scaffolding structure) を作り易く、物
理的にエマルジョン粒子を捕獲し易いものと想定され
る。
比表面積の大きい多孔質粘土鉱物であり、その構造内に
ナトリウム等のカチオンが挟雑しており、酸性白土、ベ
ントナイト等の多孔質粘土の陽イオン交換容量(CE
C)70乃至150meq/100gからこれらの粘土
鉱物のシリカ四面体層は親水性であろうし、一方セピオ
ライト、ハロイサイト、セリサイト、サポナイト等のC
ECが5乃至50meq/100gの範囲にあることか
らすると、CECが小さいことが親油性を阻害させない
要因と想定され、本発明においてはCECが5乃至12
0meq/100gの範囲にあり、好ましくは10乃至
100meq/100gで、更に好ましくは20乃至7
0meq/100gである粘土鉱物が本発明の乳化剤と
して有効である。
イト、カオリナイト、セリサイト、酸性白土等の粘土鉱
物は、基本的に親水性であり、その構造体に親油性サイ
トがあり、外観形状が繊維状で且つその収束体構造であ
ることから、本発明の乳化剤の無機高分子であるセピオ
ライトのように、上記の有機高分子乳化剤であるゼラチ
ン、寒天のごとく、セピオライトの一部は界面に吸着し
て粒子を保護し、一部は、液中に枠組式構造に相当する
収束体間隙又は、セピオライト繊維の絡みがエマルジョ
ン粒子を捕獲し、培養液を乳化状態で安定化させている
ものと想定される。
状が繊維状、鱗片状、層状で水−油のいずれかの相に微
細に分散するに適した形態及び粒度であれば、下記する
天然又は合成の粘土鉱物群から任意に選ぶことができ
る。
物、イライト、セリサイト等の雲母粘土鉱物、酸性白
土、ベントナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチブ
ンサイト等のスメクタイト粘土鉱物及びセピオライト、
パリゴルスカイト、クリソタイル等の繊維状粘土鉱物類
から選ばれた、少なくとも一種の粘土鉱物を本発明の乳
化剤として使用することができる。
量部当たり蛇紋石類縁鉱物のペコラアイト、ネポーアイ
ト、グリーナライト、カリオピライト、アメサイト、バ
ーチェリン、ブリンドリアイト、ケリアイト、クロステ
ダイト、タルク系のタルク、ケロライト、ウィレムスア
イト、ピメライト、ミネソタアイト、緑泥石系のクリノ
クロア(Mg緑泥石)、FeMg緑泥石、ニマイト、ペナンタ
イト、混合層鉱物の3−八面体型緑泥石/3−八面体型
スメクタイト、2−八面体型雲母/2−八面体型スメク
タイト、2−八面体型緑泥石/2−八面体型スメクタイ
ト、カオリン/モンモリロナイト等から選ばれるどれか
一種を1乃至20重量部の範囲で使用することができ
る。
グネシウム粘土鉱物の中から、世界的に各地に産出し比
較的入手しやすい鎖状粘土鉱物で、その形状が黙視観察
で見て繊維状であり、顕微鏡観察で見てその収束体であ
るセピオライトが好適に使用され、次いで顕微鏡観察で
見て鱗片状、層状の粘土鉱物で入手しやすいサポナイ
ト、ヘクトライト、酸性白土、ベントナイト等のスメク
タイト及びカオリン、セリサイト等が本発明の乳化剤と
して好適に使用され、またこれらの粘土鉱物は単独或い
は二種以上の組合わせで使用してもよい。
0乃至700m2 /gの範囲にあるが、この比表面積が
高すぎると乳化組成物の粘性を高める要因になることか
ら、好適には比表面積が80乃至400m2 /gの範囲
にあり、また吸油量は特に必要としないが、少なくとも
30至150ml/100gの範囲にある上記粘土鉱物
であれば好適に使用される。
して使用する前に、ボールミル、ハンマーミキサーでの
解砕、スーパーミキサー、擂解機等での練込み粉砕及び
アトマイザー、ジェットミル等での衝撃粉砕により又は
必要に応じて焼成及び化学処理等で弱い一次粉砕処理を
施し、収束体としての鎖状構造、及び鱗片状としての積
層構造を部分的に解繊またはほぐしてから使用すること
がより好ましい。
る乳化組成物とは、糸状菌等の有用菌が培養、発酵等に
おいて生の生産菌として有用物を生産する水相−油相−
乳化剤から成る培地組成物である。この培地で菌が、栄
養源として且つ工業的に原料として好んで食べる油相成
分としては、大豆油、ナタネ油、パーム油、パーム核
油、ひまわり油、ベニ花油、胡麻油、アマニ油、棉実
油、オリーブ油、ヤシ油、コーン油、米油、桐油、アマ
ニ油、落花生油、ヒマシ油、等の植物油、イワシ、ニシ
ン、イカ、サンマ等の魚油、牛脂、豚脂、鯨油等の動物
油、石油系の脂肪族(例えば炭素数6乃至17のもの)
及び芳香族炭化水素類油、炭素数4以上のアルコール類
を挙げることができる。
よいが、有用菌としての放線菌、糸状菌が前もって含有
していてもよく、これらの有用菌は特に限定されるもの
ではなく、例えばクエン酸、グルコン酸等を生産するAs
pergillus niger 、イタコン酸を生産する Aspergillus
terreus、グルコアミラ−ゼを生産するAspergillus aw
amori 抗生物質セファマイシンCを生産するStreptmyce
s clavuligenes、セファロスポリンCを生産するCephlo
sporium polgaleum 等を挙げることができる。又前述
したとおり本発明においては、これらの有用菌を本発明
による粘土鉱物からなる乳化剤に予め固定化しておける
ことも本発明の大きな特徴である。従って本発明におけ
る乳化組成物には、当然のごとくこれらの有用菌が含有
されていてもよい。
の他に、必要に応じてアミノ酸、炭水化物、蛋白質、各
種の水溶性無機塩類等が包含されていてもよい。
一相を形成しない常温で、液体又は固体であるが本発明
では、これらの有機物の少なくとも何れか一種以上を油
相として使用するに、本発明においては種々の培養反応
の目的及び方法から特に限定されないが、一般的に水相
と油相との容量比が5:95乃至99:1の範囲におい
て、水相と上記粘土鉱物からなる乳化剤とを重量比で5
0:50乃至99:1の範囲で添加して、攪拌等の乳化
操作により両者を本発明の目的を満足させるに十分な安
定度の、W/O乃至O/W型の乳化状態にすることが出
来る。
添加順序には特にこだわらなくてもよいが、油と水との
両相の配合割合又はその用途、使用条件による油の種類
にもよるが、好ましくは油に乳化剤を添加して攪拌後、
水を加えて攪拌乳化させる方法が選ばれるが、より好ま
しくは水に乳化剤を添加して攪拌後、油を加えて攪拌乳
化させる方が、より安定した乳化組成物を得ることがで
きる。
採用される攪拌等の物理的な方法でよく、実験室的には
通常の家庭用ミキサー程度の剪断力を有する機械力で数
十秒乃至数分間の処理時間でよく、工業的には大量に処
理できる代表的なものとしてホモジナイザー、コロイド
ミル、ジェットフローミキサー、ボーテーター等を挙げ
ることができるが、本発明では必ずしもこのような物理
的方法に限定されるものではなく、必要に応じて反転乳
化法、ゲル乳化法、HLB−温度乳化法等の化学的方法
をも採用されるものである。
含有する培養培地に本発明の粘土鉱物から成る乳化剤を
添加して、上記のようにして形成された乳化組成物を通
常の通気攪拌槽、充填床型リアクター、エアーリフト型
気泡塔等のリアクターを使用して発酵生産物の特性に応
じて回分、半回分、反復回分或いは連続のいずれかの方
式で培養することができる。
物が生息する水と微生物が栄養源とする油からなる二相
を乳化させ、菌による培養効率を向上させ、且つ乳化剤
が無機個体であるが故に分離回収性が高く、よって本乳
化技術は有用物質を生産する目的の他にも、油脂等の油
を含有する廃棄物及び工場廃水の処理にも有効に利用さ
れるものである。
を介して水−油の乳化液系で、所謂通常のカビを繁殖さ
せる応用の可能性が期待されるものである。
お、本発明に使用した物性の測定方法、評価方法及び本
発明の乳化剤である粘土鉱物種の物性は以下の通りであ
る。
製 TA−II型)法により測定した。 (2)比表面積 カルロエルバ社製Sorptomatic Serie
s1800を使用し、BET法により測定した。 (3)吸油量 JIS K−5101、19 に準じて測定した。 (4)陽イオン交換容量(CEC) 日本鉱物協会東海支部無機砂型研究部会発行の試験方法
TISK−413記載の方法に準拠して測定した。 (5)乳化状態の評価方法 家庭用のジューサーミキサーに所定量の水、油、粘土鉱
物(100μm以下に粉砕したもの)を入れ、1分間混
合し、有栓メスシリンダーに移し、所定時間放置後に混
合液の乳化状態を目視観察し、次の三段階で評価とし
た。 A:水と油がほぼ均質に乳化分散している。 B:一週間経過で乳化が若干不安定となる。 C:水と油の相が明らかに分離し、乳化状態が見られな
い。 なお、油の乳化状態を目視観察し易いように、予め油を
ズダンブラック−Bで染色しておいた。 (6)乳化剤(粘土鉱物種)の諸物性を表1に示した。
ー水900mlと、「表1」に示す粘土鉱物を、各々2
0gを入れ30秒間混合した後、脱酸大豆油を100m
l入れ、さらに30秒間混合し、1000mlの有栓メ
スシリンダーに入れ10分間放置後、乳化状態を目視観
察で評価し、その結果を表2に示した。その結果、脱酸
大豆油と上記8種の粘土鉱物を混合した処、乳化状態は
良好であった。ただし酸性白土、ベントナイト、セリサ
イトが僅かに劣る結果となった。セピオライトを始めと
する本発明に用いる粘土鉱物は、水と油の乳化剤として
適しているといえる。
サーに水990mlと脱酸大豆油を10ml入れ30秒
間混合した後、市販セピオライト20gを入れ、更に1
分間混合し、1000ml有栓メスシリンダーに入れ1
0分間放置後、乳化状態を目視観察し評価した。更に混
合比を水:脱酸大豆油=500ml:500mlと10
0ml:900mlに設定し、実施例1と同様にして評
価し、その結果を表3に示した。その結果、水と油の混
合比を変えても乳化状態に変わりなく全ての例で評価は
Aで、乳化状態は良好であった。
キサーに水900mlと脱酸菜種油100mlを入れ3
0秒間混合した後、市販のセピオライト20gを入れ、
さらに1分間混合し、1000mlの有栓メスシリンダ
ーに入れ、1時間放置後、乳化状態を目視観察し評価し
た。同様にして脱酸コーン油、牛脂、nーヘキサン、ト
ルエン、ブチルアルコール、脱酸大豆油とn−ヘキサン
の混合油、脱酸大豆油とブチルアルコールの混合油、の
乳化状態を評価し、その結果を表4に示した。
混合する際の添加順序を変えた場合、乳化状態がどうな
るか検討した。任意の油として脱酸大豆油、任意の粘土
鉱物として、セピオライトを選択して実施した。家庭用
ジューサーミキサーに水500mlと脱酸大豆油500
mlを入れ、1分間混合した後、セピオライト20gを
入れ、さらに1分間混合し1000mlの有栓メスシリ
ンダーに入れ、1時間放置後、乳化状態を目視観察し評
価した。次に家庭用ジューサーミキサーに水500ml
とセピオライト20gを入れ1分間混合した後、脱酸大
豆油500mlを入れ、更に1分間混合し、1000m
l有栓メスシリンダーに入れ1時間放置後、乳化状態を
目視観察しその結果を表5に示した。その結果、油と粘
土鉱物の添加順序に関わり無く、両例とも評価はAで乳
化状態は良好であった。
ーパーミキサーを用いて下記の重量割合で混合し、得ら
れたM−1、M−2、M−3の乳化剤20gを家庭用ミ
キサー中の水900mlにそれぞれ添加し、30秒間混
合した後、それぞれ脱酸大豆油100mlを入れ、更に
30秒間混合した後、1000mlの有栓メスシリンダ
ーに入れ10分間放置してその乳化性を評価した。 M−1; 市販セピオライト:酸性白土 = 4:1 M−2; 市販セピオライト:ベントナイト= 4:1 M−3; 市販セピオライト:セリサイト = 4:1 その結果、表−6から明らかなように乳化剤として二種
の粘土鉱物を混ぜて用いても乳化状態は変わり無く、三
例ともその評価はAであった。
に用いて、ストレプトマイセスアウレオファシン(St
reptomyces aureofaciens)を
培養し、抗生物質クロルテトラサイクリンを生産回収し
た。クロルテトラサイクリン生成能を有するストレプト
マイセス アウレオファシン(Streptomyce
s aureofaciens)NRRL−2209よ
り単胞子分離で選別した菌株のスラントより1白金耳
を、500ml容三角フラスコに入れた培地100ml
(シュクロース30g/l、硫酸アンモン2g/l、炭
酸カルシウム7g/l、CSL16.5ml/l、PH
6.8に調整し、1kg/cm2で15分滅菌)に植菌し、3
0℃で2日間ロータリーシェーカー(170rpm)で
振とう培養した。これを前培養液とした。 (本培養液の調製)次いで本培養液を調製した。家庭用
ジューサーミキサーに水450mlと市販のセピオライ
ト10gを入れ30秒間混合した後、脱酸大豆油を50
ml入れ、さらに30秒間混合し、1000ml容の三
角フラスコに入れ、滅菌用オートクレーブで1kg/cm2で
15分滅菌した。その後30℃まで放冷し、前培養液を
10%(v/v)となるように添加し、30℃で7日間
ロータリーシェーカー(170rpm)で振とう培養し
た。この培養終了液を遠心分離することにより抗生物質
クロルテトラサイクリンを回収した。なお、粘土鉱物を
添加せずに、同様の培養反応を行ない比較評価した。以
上の結果、クロルテトラサイクリンの生成量は1日〜3
日の間で、粘土鉱物を添加しないものが、100〜35
0μg/mlであったのに対し、本発明による乳化培地
で培養したものは、200〜1100μg/mlと約2
倍強の値を示したことから、乳化条件下でクロルテトラ
サイクリンの生産速度が増大し、収率が向上したものと
思われる。
産にあたって、有用菌が生息する水相と有用菌が栄養源
に好んで食べ、工業的に原料である大豆油等の油相に粘
土鉱物を添加し、或いはこの有用菌を固定化させた該粘
土鉱物を添加し、該培養液を安定に乳化させ、培養液中
の油相を微細な粒子に分散させて、菌体と油が効率よく
接触させることを特徴とする該粘土鉱物から成る無機系
の乳化剤を提供することができ、且つ乳化剤が無機の固
体であるが故に菌の分離が改善され、発酵生産物の回
収、精製等の培養効率が著しく向上させられることが、
可能になる乳化剤を用いる有用菌の培養方法を提供する
ことができた。
Claims (8)
- 【請求項1】 放線菌、糸状菌などの有用菌の培養にお
いて、油相と水相から成る培養液にカオリン、ハロイサ
イト等のカオリン粘土鉱物、イライト、セリサイト等の
雲母粘土鉱物、酸性白土、ベントナイト、サポナイト、
ヘクトライト、スチブンサイト等のスメクタイト粘土鉱
物及びセピオライト、パリゴルスカイト、クリソタイル
等の繊維状粘土鉱物群の中から選ばれた少なくとも一種
の粘土鉱物種を添加し、該培養液を乳化させることを特
徴とする有用菌の培養方法。 - 【請求項2】 上記有用菌が上記粘土鉱物に担持されて
いる請求項1記載の培養方法。 - 【請求項3】 上記粘土鉱物の陽イオン交換容量(CE
C)が10乃至110meq/100gの範囲にある請
求項1記載の培養方法。 - 【請求項4】 上記繊維状粘土鉱物の繊維又はその収束
体の繊維径が60乃至400Åで、繊維長が0.2乃至
400μmの範囲にある請求項1記載の培養方法。 - 【請求項5】 培養液中の水相と油相との容量比が5:
95乃至99:1の範囲において、水相と上記粘土鉱物
との重量比が50:50乃至99:1の範囲であること
を特徴とする請求項1記載の培養方法。 - 【請求項6】 油相が植物油、動物油、石油系炭化水素
類油、炭素数4以上のアルコール類から選ばれた少なく
とも1種である請求項1記載の培養方法。 - 【請求項7】 上記粘土鉱物と培養液との接触を回分、
半回分、反復回分或いは連続のいずれかの方法で、培養
液を乳化安定化させる請求項1記載の培養方法。 - 【請求項8】 上記培養液中に有用物を生産した後、該
有用物及び上記粘土鉱物を含む該培養液から該粘土鉱物
を分離する請求項1乃至7記載の培養方法。
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JP04666595A JP3493243B2 (ja) | 1995-02-13 | 1995-02-13 | 有用菌の培養方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
ES2165775A1 (es) * | 1999-08-06 | 2002-03-16 | Consejo Superior Investigacion | Sustrato para la produccion de inoculos de hongos formadores de micorrizas y procedimiento de preparacion. |
WO2003070962A1 (fr) * | 2002-02-19 | 2003-08-28 | Mizusawa Industrial Chemicals,Ltd. | Procede de production de riboflavine |
WO2020196844A1 (ja) * | 2019-03-28 | 2020-10-01 | 森永乳業株式会社 | 耐熱性細菌組成物 |
-
1995
- 1995-02-13 JP JP04666595A patent/JP3493243B2/ja not_active Expired - Fee Related
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ES2165775A1 (es) * | 1999-08-06 | 2002-03-16 | Consejo Superior Investigacion | Sustrato para la produccion de inoculos de hongos formadores de micorrizas y procedimiento de preparacion. |
WO2003070962A1 (fr) * | 2002-02-19 | 2003-08-28 | Mizusawa Industrial Chemicals,Ltd. | Procede de production de riboflavine |
US7767426B2 (en) | 2002-02-19 | 2010-08-03 | Mizusawa Industrial Chemicals, Ltd. | Method of producing riboflavin |
WO2020196844A1 (ja) * | 2019-03-28 | 2020-10-01 | 森永乳業株式会社 | 耐熱性細菌組成物 |
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