JPH08212955A - 荷電粒子線応用装置 - Google Patents

荷電粒子線応用装置

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JPH08212955A
JPH08212955A JP7304088A JP30408895A JPH08212955A JP H08212955 A JPH08212955 A JP H08212955A JP 7304088 A JP7304088 A JP 7304088A JP 30408895 A JP30408895 A JP 30408895A JP H08212955 A JPH08212955 A JP H08212955A
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particle beam
lens
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勝広 黒田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 一段又は二段のE×Bフィルタと試料に印加
した一次電子線を減速する電界により電子線像の高分解
能を実現する。 【構成】 電子源からの一次電子線を絞るためのコンデ
ンサレンズと試料との間にE×Bフィルタを配置しかつ
試料に一次電子線を減速する電圧を印加して試料からの
二次電子線を計測する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、走査形荷電粒子顕微鏡
及びその類似装置に係り、特に低加速領域において高分
解能でかつ二次電子の高検出効率に好適な荷電粒子光学
系に関する。
【0002】
【従来の技術】走査形電子顕微鏡の分解能を向上させる
ために、特願昭60−136004に記載されているよ
うな光学系が用いられている。すなわち、輝度が高く、
エネルギ幅に小さな電界放射形(FE)電子銃と、レン
ズの内部に試料を配置して収差を極力小さくしたインレ
ンズ形対物レンズとを組合わせたものである。このよう
な光学系においても低加速領域においては分解能は低下
する。
【0003】一方、色収差を低減するために、特公昭6
3−34588に記載されているような光学系が提案さ
れている。
【0004】この光学系は、電子線が試料を照射する直
前まで高加速電圧とし、試料照射時に減速して低加速電
圧化するものである。この場合、レンズ通過時の電子線
のエネルギが高いので、レンズ収差を小さくできる。す
なわち、高分解能化が図れる。
【0005】以上の観点から、低加速領域で従来以上の
高分解能を得るためには、上記両者の光学系を組合せれ
ば可能となる。すなわち、試料はレンズの内部に配置
し、この試料に負の電圧を印加して減速すればよい。
【0006】ただ、この場合問題となるのは二次電子の
検出である。試料がレンズの外部にある従来の場合に
は、特公昭63−34588に示されているように、一
次電子線の減速電界で二次電子が加速されるまでに二次
電子検出器の電界で二次電子を検出するように構成すれ
ばよかった。しかし、試料をレンズの内部に配置したイ
ンレンズ形では、レンズの磁界が強いためにこの磁界に
二次電子が強く束縛されるばかりでなく、二次電子検出
器をレンズの内部に配置できないという問題が生じる。
【0007】EXB形フィルタについては特開昭62−
73541号にウィンフィルタの非点補正方法が開示さ
れている。更にまた、本出願人が出願した特願昭63−
208320号(特開平2−60042号)においてウ
ィンフィルタの電界と磁界を与える電源を1つで構成す
ることが開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、低加
速領域で高分解能化を図り、かつ二次電子の高検出感度
が得られる電子光学系を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】低加速電圧で高分解能を
得るためには、試料をレンズの内部に配置したインレン
ズ形でかつこの試料に負の電圧を印加して一次電子線を
減速させればよいことはすでに述べた。この光学系で二
次電子の高検出効率化を図るために、一次電子線の減速
電界で加速された二次電子をレンズ通過後検出器の方に
偏向させればよい。ただこの場合、一次電子線には影響
しないように二次電子のみを検出器の方に偏向する必要
がある。そのためには、電界(E)と磁界(B)とを直
行させたいわゆるE×B形のフィルタを用いれば可能と
なる。
【0010】
【作用】まず、試料照射の直前に電子線の減速を行え
ば、低加速電圧でも高分解能が得られることは従来技術
からも分かる。
【0011】一方、二次電子検出に関しては、E×B形
のフィルタを試料と検出器との間に用いているので、一
次電子線を直進するようにしてやれば、エネルギの異な
る二次電子は自然に偏向されることになる。すなわち、
図5に示すように電子線2の加速電圧Vaにたいして、
次式を満足するようにEとBを印加すれば、電子線2の
軌道に影響を与えない。
【0012】
【数1】 E/V0=2kB …(1) ここで、
【0013】
【数2】
【0014】e/m:電子の電荷/質量である。
【0015】この時、検出すべき二次電子8のエネルギ
は減速電圧VRでありかつ電子線2と方向が逆であるの
で、二次電子8の偏向角θは、
【0016】
【数3】
【0017】となる。
【0018】この偏向方向を検出器の方向と一致させて
おけば、二次電子は検出器に向かって進むので、検出効
率の向上が図れることになる。
【0019】
【実施例】本発明の一実施例を図1により説明する。
【0020】電子銃1からでた電子線2は、幾つかのレ
ンズ(本実施例では加速レンズ3、コンデンサレンズ
4、対物レンズ5)により細く絞られて試料6上を照射
する。この電子線2は偏向器7により試料6上で二次元
的に走査される。また、試料6からでてきた二次電子8
は、二次電子検出器9により検出されて映像信号とな
る。
【0021】ここで、試料6は電子線2を減速するため
に負の電圧VRが印加されている。このとき、出てきた
二次電子はこの減速電圧VRにより逆に加速され、検出
器9の電界のみでは十分に検出器9の方に偏向できなく
なる。
【0022】そこで、出てきた二次電子8を検出器9の
方に偏向するために偏向器を配置すればよいが、電子線
2の軌道に影響のないように電界Eと電界Bとを直行さ
せたいわゆるE×B形のフィルタ10を対物レンズ5と
検出器9との間に配置している。このとき、(1)式の
ようにEとBを印加すれば、電子線2の軌道には影響を
与えずに二次電子8のみを検出器の方に偏向でき、検出
効率の向上が図れる。
【0023】ただこの場合、フィルタ10による色収差
が問題になる。この色収差による偏向角βは、
【0024】
【数4】
【0025】で表わされる。ここで、ΔVは電子線2の
エネルギ幅である。
【0026】すなわち、図2に示すようにこの色収差に
より物点12でSβの拡がりを持つことになり、対物レ
ンズの倍率をMとすると試料上ではMSβの拡がりを生
ずる。具体的数値の典型的な一例を示すと、θ=30
°、ΔV=0.3eV、V0=1kV、としてVRに対す
るβは図3に示すものとなる。この図からβを大きく見
積もって5×10-5とし、S=200mm,M=1/5
0とすると、0.2μmの拡がりとなる。この値は、電
子線2の所望の値(〜nm)より非常に大きい。
【0027】そこで、本発明では図4ならびに図1に示
すように、E×B形のフィルタ11を配置してこの色収
差を自己消去できるようにした。すなわち、図4から分
かるようにΔVのエネルギ拡がりを持つ電子線2があた
かも物点12の一点から出たかのようになるようにフィ
ルタ11を動作させる。このフィルタ11の偏向角β′
は、
【0028】
【数5】 β′=Sβ/T …(5) とすればよい。
【0029】以上により、電子線2の径を増大させるこ
となく、二次電子8のみを検出器9の方に偏向すること
が可能となる。すなわち、低加速領域でも高分解能でか
つ二次電子の高検出効率が得られることになる。
【0030】図1に示す本発明を実施した結果のごく一
例を以下に示す。フィルタ11を物点12とフィルタ1
0とのほぼ中間に配置して電界Eと磁界Bとの作用長を
約20mmとなるように構成し、VS=1kVと固定に
してVR=0〜900Vと変化させた。このとき、フィ
ルタ10、11のそれぞれのEとBの強さをE=0〜2
5V/mm,0〜50V/mm,B=0〜14ガウス
(Gauss),0〜28GaussとVRに連動させて変化させ
たところ、4〜6nmの高分解能が実現できた。
【0031】本発明は、1kV以下の低加速電圧でnm
オーダの分解能を得ることを目的になされたため、フィ
ルタを2段にしたが、目的によっては1段で構成しても
二次電子の高検出効率化は可能であることは、本実施例
で述べた通りである。
【0032】また、本実施例では試料がレンズの内部に
配置したが、レンズの外側に配置された構成の光学系に
たいしても実施することができる。なおこの場合、二次
電子検出器は試料と対物レンズとの間にあってもよい
し、図1のように対物レンズの上側にあってもよいこと
はいうまでもない。斐は、試料と二次電子検出器との間
にE×B形のフィルタがあれば実現できる。
【0033】さらに、本発明は走査形電子顕微鏡に対し
て述べたが、これに限ることなく類似の電子線応用装置
一般に適用できるし、さらにイオン線のような荷電粒子
線応用装置一般に適用できることは言うまでもない。た
だ、正の電荷を持っている荷電粒子線の場合には、減速
電圧は正の値にする必要がある。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、低加速領域でも荷電粒
子線径を増大させることなく二次荷電粒子を検出器の方
に偏向することが可能となるので、高分解能でかつ二次
荷電粒子の高検出効率が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す荷電粒子光学系の縦断
面図。
【図2】E×B形フィルタの色収差に関する説明図。
【図3】E×B形フィルタの色収差により生じる偏向角
と試料に印加した減速電圧との関係曲線図。
【図4】フィルタの色収差を自己打消しさせるための基
本光学系の縦断面図。
【図5】E×B形フィルタによる一次電子線と二次電子
の軌道を示す説明図。
【符号の説明】
1…電子銃、2…電子線、3…加速レンズ、4…コンデ
ンサレンズ、5…対物レンズ、6…試料、7…偏向器、
8…二次電子、9…二次電子検出器、10,11…E×
B形フィルタ、12…物点。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】荷電粒子源と、 該荷電粒子源からでた一次荷電粒子線を試料に照射する
    ためのコンデンサレンズと対物レンズを含むレンズ手段
    と、 該試料を保持する試料台と、 該試料に該一次荷電粒子線を減速させる減速手段と、 該一次荷電粒子線源と検出器の間にE×B形フィルタを
    設け、 該減速手段と該E×B形フィルタを連動したことを特徴
    とする荷電粒子線応用装置。
  2. 【請求項2】上記荷電粒子源が電子源であり上記減速手
    段に負の電圧に印加することを特徴とする請求項1記載
    の荷電粒子線応用装置。
  3. 【請求項3】上記荷電粒子源がイオン源であり上記減速
    手段に正の電圧を印加することを特徴とする請求項1記
    載の荷電粒子線応用装置。
  4. 【請求項4】上記検出器が二次電子線を検出することを
    特徴とする請求項1記載の荷電粒子線応用装置。
  5. 【請求項5】上記減速電圧が0から−900Vで上記E
    XB形フィルタの電界が0から25V/mm,磁界が0
    から14ガウスで連動したことを特徴とする請求項1記
    載の荷電粒子線応用装置。
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