JPH08211771A - 定着装置 - Google Patents

定着装置

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JPH08211771A
JPH08211771A JP1587695A JP1587695A JPH08211771A JP H08211771 A JPH08211771 A JP H08211771A JP 1587695 A JP1587695 A JP 1587695A JP 1587695 A JP1587695 A JP 1587695A JP H08211771 A JPH08211771 A JP H08211771A
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JP
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roller
oil
fixing
rubber layer
fluorine
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JP1587695A
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Hiroyuki Yamazaki
博行 山崎
Masahiko Matsuura
昌彦 松浦
Masahide Ueda
昌秀 植田
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Minolta Co Ltd
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Minolta Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、フッ素オイルより安価な離
型剤を用いて、フルカラー複写器の定着を良好に行うこ
とができる接触加熱式定着装置を提供することにある。 【構成】 シリコンゴム層を有する加熱定着部材の表面
にフッ素変性シリコンオイルを主成分とする離型剤を塗
布するオイル塗布装置を有する定着装置。又は、表面に
フッ素樹脂層を有する加熱定着部材のフッ素樹脂層表面
にフッ素変性シリコンオイルを主成分とする離型剤を塗
布するオイル塗布装置を有する定着装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真に用いられる
定着装置に関し、特に、加熱定着ローラ、加熱定着ベル
ト等の加熱定着部材を使用する電子写真用加熱定着装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、加熱定着ローラ、加熱定着ベ
ルト等の加熱部材を用いた接触加熱式定着装置が知られ
ている。ここで用いられる加熱定着ローラ、加熱定着ベ
ルト等の加熱定着部材は、芯金、または、ベルト基体の
表面をPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PF
A(パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等
のフッ素樹脂や、シリコンゴムのような弾性体により被
覆したものである。加熱定着部材の被覆の方法として
は、フッ素樹脂や弾性体を単独で用いるものの他、弾性
体で被覆した上にフッ素樹脂を積層したものがある。こ
のような接触加熱式定着装置は、記録材を挟持搬送する
事により、記録材上のトナー像を加熱定着する為に、加
熱溶融したトナーが加熱定着部材の表面に付着し、オフ
セットを発生する恐れがある。オフセットの発生を防止
する為に、加熱定着部材の表面には、離型剤が塗布され
ている。離型剤には、通常、安価で離型性に優れたシリ
コンオイルが用いられている。
【0003】近年、フルカラー複写機の高画質化に伴
い、フルカラー複写機に用いられる透光性カラートナー
の定着性の向上が技術課題となっている。透光性カラー
トナーは、溶融温度、粘度、硬度が低い為、加熱定着部
材表面への付着を起こしやすく、オフセットを発生しや
すいといった問題点があった。
【0004】ところが、加熱定着部材にシリコンゴムを
用いた定着装置の場合、離型剤にシリコンオイルを用い
ると、シリコンゴムの劣化に伴い、架橋密度が変化し、
シリコオイルの含浸量が増加する。このシリコオイルの
含浸量の増加により、シリコンゴム層が膨潤する場合が
あった。特に、定着ローラの中央部は、全てのサイズの
用紙が通過する為、シリコンゴム層は、大きく膨潤す
る。これは、用紙にオイルが吸収されることにより、シ
リコンゴム層内部のオイルの循環が行われる為である。
これに対して、定着ローラの端部は、大きなサイズの用
紙しか通過しない為、シリコンゴム層は、あまり膨潤し
ない。この為、定着ローラは、不均一に膨潤し、中央部
のみ外径が大きくなる、いわゆるクラウン化が起きる。
定着ローラ中央部の外径が大きくなると、ローラの中央
部の周速が端部の周速よりも大きくなり、用紙の中央部
と端部の搬送速度に差が生じ、紙しわが発生する。通
常、クラウン量が0.1mmを越えると紙しわ、波打ち等
の画像ノイズが生じる。さらに、シリコンゴムに含浸し
たシリコンオイルは、長時間加熱されると、変質、劣化
して、シリコンゴムの弾性を低下させる。膨潤と劣化の
無い定着装置として、シリコンゴム層を有する定着ロー
ラにフッ素オイルを塗布した定着装置が特開平2−13
7876に開示されている 一方、加熱定着部材にPTFE、PFA等のフッ素樹脂
を用いた定着装置の場合、離型剤にシリコンオイルを用
いると、シリコンオイルは、フッ素樹脂にはじかれてし
まう。この為、離型性不足となり、オフッセトが発生す
る。特に、トナーにワックスを混入しない場合、トナー
自体の離型性が低い為、オフセットが発生しやすい。透
光性カラートナーの場合、トナーにワックスを混入しな
いものが一般的であり、大きな課題となる。この為、フ
ッ素樹脂にはじかれずに、定着部材全体に塗布できる離
型剤が必要である。
【0005】しかしながら、離型剤として使用可能なシ
リコンオイルは、フッ素樹脂にはじかれてしまい、フッ
素樹脂に用いる事ができない。
【0006】定着ローラ表面のフッ素樹脂層にフッ素樹
脂にはじかれない離型剤としてフッ素オイルを塗布した
定着装置が、特開平1−319080、特開平4−34
0580、特開平4−340581に開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、フッ素
オイルは、生産性が悪く、高価な為、実際に用いられる
ことはほとんど無かった。本発明の目的は、上述の点に
鑑み、フッ素オイルより安価な離型剤を用いて、定着を
良好に行うことができる接触加熱式定着装置を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の定着装置は、シ
リコンゴム層を有する加熱定着部材と、該加熱定着部材
の表面にフッ素変性シリコンオイルを主成分とする離型
剤を塗布するオイル塗布装置を有するものである。
【0009】又は、本発明の定着装置は、表面にフッ素
樹脂層を有する加熱定着部材と、該加熱定着部材のフッ
素樹脂層表面にフッ素変性シリコンオイルを主成分とす
る離型剤を塗布するオイル塗布装置を有するものであ
る。
【0010】
【作用】本発明の定着装置において、シリコンゴム層を
有する定着装置は、フッ素変性シリコンオイルを主成分
とする離型剤により、シリコンゴム層の膨潤無しに離型
性が確保される。又、シリコンゴム層の膨潤が無い為、
定着ローラのクラウン化は、発生しない。さらに、加熱
定着部材のシリコンゴム層により記録材上のトナーが弾
性的に被われる形で定着が行われる為、低温、低圧でも
充分な定着性が得られる上、ローラ表面を鏡面状態に形
成することで定着時のトナー表面の粗さを押さえ、透光
状態を確保することができる。
【0011】加熱定着部材の表面にフッ素樹脂層の設け
られた本発明の定着装置は、表面にフッ素変性シリコン
オイルを主成分とする離型剤を塗布する事により、フッ
素樹脂に離型剤がはじかれず、離型効果の低下のない定
着を行うことができる。さらに、フッ素樹脂層により定
着ローラの膨潤、変形は、防がれる。
【0012】その上、この離型剤の主成分であるフッ素
変性シリコンオイルは、フッ素オイルのように高価では
なく、生産面でも優れているため実使用可能である。
【0013】
【実施例】
(実施例1)図1は、本発明の実施例1における電子写
真複写機用熱定着装置100の構成図である。本実施例
の熱定着装置100は、ヒートローラ方式の熱定着装置
である。熱定着装置100は、主に、加熱ローラ1と、
加熱ローラ1に圧接された加圧ローラ2と、加熱ローラ
1と加圧ローラ2の内部にそれぞれ配設されたヒータ
7、8と、加熱ローラ1に接触して、離型剤である離型
オイルOを塗布するオイル塗布装置14とから構成され
る。加熱ローラ1と加圧ローラ2は、図示しないバネに
より圧接され、ギアにより駆動モーター(図示せず)に
連結されている。電子写真用熱定着装置100に電源が
投入されると、ヒータ7、8に通電が行われてウォーミ
ングアップが開始される。ウォ−ミングアップが完了し
て、定着動作が開始されると、駆動モーターにより、加
熱ローラ1は、時計方向、加圧ローラ2は、反時計方向
に、それぞれ回転駆動し、記録媒体Pを挟持搬送する。
この時、記録媒体P上に付着したトナーTは、加熱ロー
ラ1と加圧ローラ2の熱と、圧力により定着される。
【0014】加熱ローラ1は、アルミ製芯金5をLTV
のシリコンゴム層3で被覆して構成されており、外径
は、60mmである。加圧ローラ2は、アルミ製芯金6を
LTVのシリコンゴム層4で被覆して構成されており、
外径は、60mmである。加圧ローラ2は、さらに、シリ
コンゴム層4の上をPTFE(ポリテトラフルオロエチ
レン)、PFA(パ−フルオロアルキルビニルエ−テル
共重合体)等のフッ素系高分子化合物で被覆して構成し
てもよい。シリコンゴム層4をフッ素系高分子化合物で
被覆することにより、加圧ローラ2の表面の離型性を向
上することができる。尚、加熱ローラ1、及び、加圧ロ
ーラ2のシリコンゴム層には、HTV、RTV等の他の
シリコンゴムを用いても構わない。
【0015】オイル塗布装置14は、オイル塗布ローラ
9、中間ローラ10、供給ローラ11、オイル規制ブレ
ード12、オイルパン13とから構成されており、図示
しないバネで定着ローラ1に圧接されている。又、オイ
ル塗布ローラ9、中間ローラ10、供給ローラ11は、
図示しないギアにより連結されており、同一のモーター
(図示せず)により、オイル塗布ローラ9は反時計方
向、中間ローラは時計方向、供給ローラ11は反時計方
向にそれぞれ回転駆動する。供給ローラ11と中間ロー
ラ10は、アルミ製であり、オイルパン13に貯えられ
た離型オイルOを汲み上げ、オイル塗布ローラ9に供給
する。オイル塗布ローラ9は、アルミ製芯金31をシリ
コンゴムより成る弾性体30で被覆して構成されてい
る。オイル塗布ローラ9に供給された離型オイルOは、
ステンレス製のオイル規制ブレード12によって、一定
量に規制される。オイル規制ブレード12により塗布量
が均一にされた離型オイルOは、オイル塗布ローラ9に
より、加熱ローラ1に供給される。尚、オイル塗布装置
14は、必要に応じてカムやソレノイド等の移動装置に
より、圧接解除を行うように構成しても良い。
【0016】離型オイルOには、下記の構造式のフッ素
変性シリコンオイル(粘度250cs)を用いた。
【0017】
【化1】
【0018】この様な構造式を有するフッ素変性シリコ
ンオイルの市販品としては、FLS300(旭硝子
(株)製)がある。
【0019】加熱ローラ1と加圧ローラ2を全圧40kg
で圧接させ、周速120mm/secで回転させ、A4用紙を
20枚/分の条件で給紙、搬送し、透光性カラートナー
の定着を行った。透光性カラートナーには、バインダー
樹脂としてガラス転移点が55〜70゜C、軟化点が8
0〜150゜C、分子量Mnが2000〜15000、
分子量分布Mw/Mnが3以下の線状ポリエステル樹脂を
用い、オフセット防止剤が含まれていないものを用い
た。この条件で10万枚通紙を行った結果、加熱ローラ
1と加圧ローラ2には、共に、ほとんどローラ径の変化
は見られず、オフセットの無い良好な定着性を維持して
いた。又、実施例1の耐刷実験において、3万枚耐刷後
に加熱ローラ1の中央部の外径の最大値と、加熱ローラ
1の両端から6mmの位置の外径を測定し、その差の内、
大きい方の価をクラウン量として測定した。この時、ク
ラウン量は、0.01mmに過ぎず、全く問題のない値で
あった。又、加圧ローラ2についても同じように実験、
測定を行った結果、同様の値が得られた。このことよ
り、実施例1においては、耐刷中に膨潤によるローラ径
の変化は、ほとんど生じず、クラウン量もほとんど変化
していないことが確かめられた。
【0020】又、150°に熱した実施例1のフッ素変
性シリコンオイルFLS300にLTVシリコンゴム片
(大きさ30mm×30mm×5mm)を24hr浸漬して重量
膨潤率、及び、厚さ変化を測定した結果、重量膨潤率は
0.2wt%と非常に小さい値であった。又、厚さ変化
は、全く見られなかった。
【0021】さらに、この実験を下記の構造式のフッ素
変性シリコンオイルFLS400(旭硝子(株)製)
【0022】
【化2】
【0023】及び、下記の一般式のフッ素変性シリコン
オイルFL100(粘度450cs:信越化学工業(株)
製)、X-22-819(粘度100cs:信越化学工業(株)
製)
【0024】
【化3】
【0025】及び、下記の一般式のフッ素変性シリコン
オイルFQF501(粘度1000cs:東芝シリコーン
(株)製)
【0026】
【化4】
【0027】といった他のフッ素変性シリコンオイルを
用いて行ったところ、同様の結果が得られた。
【0028】これらの実験より、下記の一般式のフッ素
変性シリコンオイルをシリコンゴムローラを用いた定着
装置に用いる事によって膨潤無しに離型性が確保される
ことが分かった。
【0029】
【化5】
【0030】また、シリコンゴムローラを用いることに
より、低温、低圧でも充分な定着性が得られる上、ロー
ラ表面を鏡面状態に形成するこにより、定着時のトナー
表面の粗さを押さえ、透光状態を確保することができ
る。さらに、フッ素変性シリコンオイルは、安価であ
り、生産面でも優れており、離型剤として実用的に用い
ることができる。尚、フッ素変性シリコンオイルは、離
型剤の主成分として含まれていれば、他の補助剤を混入
しても良い。
【0031】(比較例1)実施例1と同じ構成の熱定着
装置100に対して、下記の一般式のシリコンオイルを
離型オイルOとして用いて、実施例1と同様の条件で通
紙実験を行った。
【0032】
【0033】
【化6】
【0034】この一般式のシリコンオイルには、東レ・
ダウコーニング・シリコーン(株)製のSH200(粘
度300cs)が有る。通紙実験の結果、2〜3万枚通紙
時点で紙しわが発生した。又、実施例1と同様、3万枚
耐刷後に加熱ローラ1のクラウン量を測定したところ、
クラウン量は、0.13mmであった。
【0035】又、150°に熱した比較例1のシリコン
オイルSH200にLTVシリコンゴム片(大きさ30
mm×30mm×5mm)を24hr浸漬して重量膨潤率と厚さ
変化を測定した結果、重量膨潤率は、17.8wt%、厚
さ変化は、14%であった。この値は、実施例1に比べ
て非常に大きいものである。
【0036】図2は、実施例1と比較例1の耐刷実験に
おける、耐刷枚数に対する加熱ローラ1の中央部の外径
の変化をプロットしてグラフ化したものである。グラフ
より、実施例1の場合、耐刷中、加熱ローラ1の外径
は、ほとんど変化していないことがわかる。これは、フ
ッ素変性シリコンオイルによって、シリコンゴムローラ
がほとんど膨潤しないためである。これに対して、シリ
コンオイルは、シリコンゴムローラを著しく膨潤させ
て、ローラ径の変化を起こしていることがわかる。
【0037】(実施例2)図3は、本発明の実施例2に
おける電子写真複写機用熱定着装置200の構成図であ
る。本実施例の熱定着装置200は、定着ローラの代わ
りにエンドレスベルト状の定着フィルム20を用いる熱
定着装置である。定着フィルム20は、駆動ローラ17
と、従動ローラ18と、支持体16に支持された加熱体
15によって懸架、張設されている。定着フィルム20
は、駆動ローラ17の回転により、所定の周速で矢印の
方向に移動する。
【0038】図4は、定着フィルム20の構成を示した
ものである。定着フィルム20は、ポリイミド製フィル
ムより成るベース層22を低温加硫シリコンゴム(LT
V)より成るシリコンゴム層21で被覆したもである。
【0039】定着フィルム20の加熱体15に対向する
位置には、加圧ローラ19が圧接している。加圧ローラ
19は、アルミ製の芯金23をLTVより成るシリコン
ゴム層24で被覆して構成されている。加圧ローラ19
は、さらにシリコンゴム層24の上をPTFE(ポリテ
トラフルオロエチレン)、PFA(パ−フルオロアルキ
ルビニルエ−テル共重合体)等のフッ素系高分子化合物
で被覆して構成してもよい。シリコンゴム層24をフッ
素系高分子化合物で被覆することにより、加圧ローラ1
9の表面の離型性を向上することができる。尚、定着フ
ィルム20、及び、加圧ローラ19のシリコンゴム層2
4には、HTV、RTV等の他のシリコンゴムを用いて
も構わない。
【0040】記録媒体Pは、定着フィルム20と加圧ロ
ーラ19によって挟持搬送され、記録媒体P上に形成さ
れたトナーTは、加熱体15の熱と、加圧ローラ19の
圧力により定着される。
【0041】オイル塗布装置14は、実施例1と同じ構
成のものであり、離型オイルOには、実施例1と同様の
フッ素変性シリコンオイルFLS300(旭硝子(株)
製)を用いた。
【0042】このような構成の定着装置で、実施例1と
同様に、定着フィルム20を周速120mm/secで回転さ
せ、A4用紙を用いて20枚/分の通紙速度で、透光性
カラートナーの定着を行った。透光性カラートナーに
は、バインダー樹脂としてガラス転移点が55〜70゜
C、軟化点が80〜150゜C、分子量Mnが2000
〜15000、分子量分布Mw/Mnが3以下の線状ポリ
エステル樹脂を用い、オフセット防止剤が含まれていな
いものを用いた。この通紙実験の結果、10万枚通紙を
行った後でも、定着フィルム20のシリコンゴム層21
の厚さには変化が無く、さらに、加圧ローラ19にもほ
とんどローラ径の変化は見られず、オフセットの無い良
好な定着性を維持していた。定着装置200において、
実施例1と同様に、FLS300以外の他のフッ素変性
シリコンオイルについても通紙実験を行った。その結
果、全てのフッ素変性シリコンオイルについてFLS3
00を用いた場合と同様の結果が得られた。
【0043】(実施例3)第5図は、本発明の実施例3
における電子写真用熱定着装置300の構成図である。
加熱ローラ40と加圧ローラ41は、それぞれのアルミ
芯金42、43に外径60mmで、厚さ3mmのHTVのシリ
コンゴム層44、45を被覆して、さらに、厚さ30μ
mのPFAチューブ46、47で被覆したものであり、
各々ヒータ48、49によって加熱される。又、オイル
塗布装置14は、実施例1のものと同一構成であり、離
型オイルOには、FLS300(粘度250cs、表面張
力17.6dyne/cm:旭硝子(株)製)を用いた。
【0044】このような構成の定着装置300で、実施
例1と同様に、加熱ローラ40と加圧ローラ41は、全
圧40kgで圧接され、周速160mm/secで回転させ、A
4用紙を用いて30枚/分の条件で、透光性カラートナ
ーを用いて20万枚の通紙、定着を行った。透光性カラ
ートナーには、バインダー樹脂としてガラス転移点が5
5〜70゜C、軟化点が80〜150゜C、分子量Mn
が2000〜15000、分子量分布Mw/Mnが3以下
の線状ポリエステル樹脂を用い、オフセット防止剤が含
まれていないものを用いた。この通紙実験の結果、20
万枚の通紙後でもオフセットを起こさず良好な定着性を
維持していた。
【0045】又、120°Cから200°Cの範囲で5
°C間隔で定着温度を変化させてオフセットの有無を目
視で確認していき、オフセットの発生しない温度の範囲
を測定した。この測定の結果、離型オイルOにFLS3
00を用いた場合、140°Cから190°Cの範囲で
オフセットが発生しなかった。この時の温度範囲(50
°C)を非オフセット領域と定義する。
【0046】さらに、フッ素変性シリコンオイルを主成
分とする離型オイルに対する、加熱ローラ40、加圧ロ
ーラ41の最適構成を知るために、同様の実験をゴム厚
を変えて行った。この実験により、非オフセット領域、
画質、耐久性について確認した結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】この実験結果より、シリコンゴム層44、
45の厚さが薄くなるに従い、ローラ表面の硬度が上が
る為、画質のつぶれが顕著となると共に、離型性も低下
し、画質が低下することが分かった。加熱ローラ40と
加圧ローラ41のシリコンゴム層の厚さを1mm以上、望
ましくは2mm以上にすることにより、画質のつぶれや離
型性の低下を防ぎ、良好な画質を得ることができる。
【0049】一方、シリコンゴム層44、45の厚さが
厚くなると、シリコンゴム層44、45の熱伝導性が悪
くなるので、ローラ表面の温度を保つために、ヒータ4
8、49の温度を高める必要がある。ヒータ48、49
の温度が高められると芯金42、43の温度が上昇す
る。シリコンゴム層44、45の厚さが3mmの場合、芯
金42、43の温度は、約220°Cとなり、シリコン
ゴム層44、45の厚さが4mmの場合、芯金42、43
の温度は、約250°Cとなる。芯金42、43とシリ
コンゴム層44、45を接着するプライマーの限界温度
は、約230°Cであり、この温度を越えると接着がは
がれやすくなる。この為、芯金42、43の温度が上昇
すると、芯金42、43とシリコンゴム層44、45の
界面の接着性が低下し、耐久性が低下することとなる。
従って、加熱ローラ40と加圧ローラ41のシリコンゴ
ム層44、45の厚さを、4mm以下、望ましくは、3mm
にすることにより、芯金42、43とシリコンゴム層4
4、45の界面の接着性の低下を防ぎ、加熱ローラ4
0、及び、加圧ローラ41の耐久性を向上させることが
できる。
【0050】一方、PFAチューブ46、47の層厚
は、厚くなると、チューブ硬度が上がるので、画質のつ
ぶれが顕著となる。同時に、PFAチューブ46、47
の層厚が厚くなると、離型性も低下するので画質は低下
する。さらに、PFAチューブ46、47の硬度の上昇
に伴い、耐クリープ性、耐折り曲げ性の低下が生じ、耐
久性も減少する。PFAチューブ46、47の層厚を1
00μm以下、望ましくは、70μm以下とすることによ
り、画質の低下を防ぎ、耐久性を向上することができ
る。
【0051】一方、PFAチューブ46、47の層厚
は、製造上、精度良く、安定したPFAチューブを得る
ためには、30μm以上とするのが望ましい。
【0052】従って、フッ素変性シリコンオイルを主成
分とする離型オイルに対して、加熱ローラ40、加圧ロ
ーラ41の最適構成は、シリコンゴム層44、45の厚
さを1〜4mm、望ましくは、2〜3mmとし、PFAチュ
ーブ46、47の層厚を30〜100μm、望ましく
は、30〜70μmとしたものである。フッ素変性シリ
コンオイルを主成分とする離型オイルとこの構成の定着
ローラを組み合わせることにより、画質の低下が無く、
耐久性の高い定着ローラを得ることができる。
【0053】(比較例2)比較例として実施例3と同一
の構成の定着装置300を用い、離型オイルOに、シリ
コンオイルSH200(粘度300cs、表面張力21.
1dyne/cm)を用いて、同様の通紙実験を行った。通紙
実験の結果、通紙実験の初期からオフセットが発生し、
良好な画像は全く得られなかった。これは、シリコンオ
イルが定着ローラ表面のPFA層によってはじかれてし
まい、カラートナーに対して十分な離型性が得られない
ためである。シリコンオイルが定着ローラ表面のPFA
層によってはじかれるのは、フッ素樹脂の表面張力が非
常に小さく、固体が液体に濡れる条件に当てはまらない
ためである。
【0054】一般に、固体が液体に濡れる条件は、 γL<γS (γL:液体の表面張力、γS:固体の表面張力)であ
る。
【0055】従って、フッ素樹脂に離型剤がはじかれる
のを防ぐ為には、表面張力がフッ素樹脂と同等か、フッ
素樹脂よりも小さい離型剤を用いると良い。例えば、P
FAの表面張力は、17.8dyne/cm、PTFEの表面
張力は、18.5dyne/cmであるので、フッ素樹脂に用
いる離型剤の表面張力は、これらの値より低いことが望
ましい。ただし、実際に定着装置に離型剤を用いる為に
は、厳密に固体が液体に濡れる条件を満たしている必要
は無く、離型剤の表面張力が一定の範囲内であれば実使
用に充分なオフセット性を確保できる。
【0056】表面張力とオフセット性の関係を確認する
為に、定着装置300において、FLS300以外の他
のフッ素変性シリコンオイルFLS400(粘度300
cs、表面張力18.3dyne/cm)、及び、X-22-819(粘
度100cs、表面張力20.6dyne/cm)についても実
施例3と同様の通紙実験を行い、非オフセット領域の確
認を行った。表2は、各離型剤の表面張力と、通紙実験
によって確認された非オフセット領域の関係を示したも
のである。
【0057】
【表2】
【0058】表2より、PFAの表面張力は、17.8
dyne/cmであり、フッ素変性シリコンオイルFLS30
0の表面張力は、17.6dyne/cmであるので、固体が
液体に濡れる条件をを満たしており、非オフセット領域
が幅広く確保できている。従って、PFA層と離型オイ
ルOの表面張力の関係が固体が液体に濡れる条件を満た
すと、PFA層に離型オイルOを均一に塗布することが
でき、離型オイルOの塗布量が微量であってもオフセッ
トを防止することが出来る。この為、PFA層と離型オ
イルOの表面張力の関係がこの条件を満たすことが望ま
しい。
【0059】しかしながら、離型剤の表面張力が一定の
範囲内であれば実使用に充分なオフセット性を確保でき
る為、フッ素変性シリコンオイルFLS400の表面張
力は、18.3dyne/cmであり、固体が液体に濡れる条
件に当てはまらないのにかかわらず、非オフセット領域
が存在している。このことより、フッ素変性シリコンオ
イルをPFA層を有する定着ローラに用いた場合、表面
張力が少なくとも19dyne/cm以下であれば、実使用に
充分なオフセット性を確保できることがわかった。尚、
PTFE層を有する定着ローラににおいても、PTFE
は、PFAよりも表面張力が大きい為、表面張力が少な
くとも19dyne/cm以下のフッ素変性シリコンオイルを
用いれば、実使用に充分なオフセット性を確保できる。
【0060】これに対して、フッ素変性シリコンオイル
X-22-819の表面張力は、20.6dyne/cmであり、シリ
コンオイルSH200の表面張力は、21.1dyne/cm
であるので、この条件に当てはまらず、非オフセット領
域が無い状態となっている。又、離型剤として使用でき
るシリコンオイルには、表面張力が20dyne/cm以下の
ものは、ほとんど存在しない為、実使用に充分なオフセ
ット性を確保する事ができない。
【0061】従って、表面にフッ素樹脂層を有する定着
ローラに対して、表面張力19dyne/cm以下、望ましく
は、18dyne/cm以下のフッ素変性シリコンオイルを用
いことによって、オフセットの無い良好な画像を得るこ
とができる。又、定着ローラの構成は、実施例3のよう
な多層構造の定着ローラに限定されず、表面にフッ素樹
脂層を有する定着ローラならば、単層、又は、3層以上
の構造の定着ローラを用いても良い。
【0062】又、離型オイルは、分子量が低いと揮発し
やすく、定着時に画像形成装置の機内を汚染する為、低
分子量の部分をカットして用いられる。従来、シリコン
オイルは、最高熱温度200°Cの条件で、平均分子量
10000以下の部分をカットしなければならなかっ
た。これに対して、フッ素変性シリコンオイルは、同じ
条件で、平均分子量4000以下の部分をカットすれば
充分である。これによって、従来使用できなかった平均
分子量4000〜10000の部分を使用できるように
なった。また、最高熱温度を200°Cより低く設定す
ると、使用できる平均分子量の下限値は、下がっていく
のでより幅広い領域の離型オイルを活用することが出来
る。
【0063】
【発明の効果】加熱定着部材にシリコンゴム層を有する
定着装置の加熱定着部材の表面にフッ素変性シリコンオ
イルを主成分とする離型剤を塗布することにより、シリ
コンゴム層の膨潤無しに離型性が確保され、良好な画像
を得ることが出来る。又、シリコンゴム層の膨潤が無い
為、定着ローラのクラウン化は、発生せず、紙しわ、画
像ノイズを抑えることが出来る。さらに、加熱定着部材
のシリコンゴム層により記録材上のトナーが弾性的に被
われる形で定着が行われる為、低温、低圧でも充分な定
着性が得られる上、ローラ表面を鏡面状態に形成するこ
とで定着時のトナー表面の粗さを押さえ、透光状態を確
保することができる。
【0064】又、加熱定着部材の表面にフッ素樹脂層の
設けられた定着装置の加熱定着部材の表面にフッ素変性
シリコンオイルを主成分とする離型剤を塗布する事によ
り、フッ素樹脂に離型剤がはじかれず、離型効果の低下
の少ない定着を行うことができる。さらに、フッ素樹脂
層により、定着ローラの膨潤、変形は、防がれる。
【0065】さらに、フッ素変性シリコンオイルは、フ
ッ素オイルに比べ、生産性が良く、安価な為、実際に使
用することが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係わる電子写真用熱定着
装置の側面図である。
【図2】耐刷枚数に対する加熱ローラの中央部の外径の
変化を示すグラフである。
【図3】本発明の第2実施例に係わる電子写真用熱定着
装置の側面図である。
【図4】定着フィルム20の構成を示したものである。
【図5】本発明の第3実施例に係わる電子写真用熱定着
装置の側面図である。
【符号の説明】
1 加熱ローラ 2 加圧ローラ 3 シリコンゴム層 4 シリコンゴム層 5 芯金 6 芯金 7 ヒータ 8 ヒータ 9 オイル塗布ローラ 10 中間ローラ 11 供給ローラ 12 オイル規制ブレード 13 オイルパン 14 オイル塗布装置 15 加熱体 16 支持体 17 駆動ローラ 18 従動ローラ 19 加圧ローラ 20 定着フィルム 21 シリコンゴム層 22 ベース層 30 弾性体 31 芯金 40 加熱ローラ 41 加圧ローラ 42 芯金 43 芯金 44 シリコンゴム層 45 シリコンゴム層 46 PFAチューブ 47 PFAチューブ 48 ヒータ 49 ヒータ 100 熱定着装置 200 熱定着装置 300 熱定着装置 O 離型オイル P 記録媒体 T トナー

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコンゴム層を有する加熱定着部材
    と、該加熱定着部材表面にフッ素変性シリコンオイルを
    主成分とする離型剤を塗布するオイル塗布装置を有する
    定着装置。
  2. 【請求項2】 表面にフッ素樹脂層を有する加熱定着部
    材と、該加熱定着部材のフッ素樹脂層表面にフッ素変性
    シリコンオイルを主成分とする離型剤を塗布するオイル
    塗布装置を有する定着装置。
  3. 【請求項3】 上記フッ素変性シリコンオイルの表面張
    力が19dyne/cm以下であることを特徴とする請求項2
    の定着装置。
  4. 【請求項4】 上記加熱定着部材がフッ素樹脂層の下層
    に弾性層を有することを特徴とする請求項2の定着装
    置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100397254C (zh) * 2002-05-30 2008-06-25 夏普株式会社 定影装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN100397254C (zh) * 2002-05-30 2008-06-25 夏普株式会社 定影装置

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