JPH08210856A - 圧電振動子を使用した検出装置 - Google Patents

圧電振動子を使用した検出装置

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JPH08210856A
JPH08210856A JP6337139A JP33713994A JPH08210856A JP H08210856 A JPH08210856 A JP H08210856A JP 6337139 A JP6337139 A JP 6337139A JP 33713994 A JP33713994 A JP 33713994A JP H08210856 A JPH08210856 A JP H08210856A
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piezoelectric vibrator
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voltage
piezoelectric
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JP6337139A
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Yoshiro Tomikawa
義朗 富川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 圧電振動子からの振動出力を検出する検出回
路において、圧電振動子の制動容量に流れる電流または
制動容量にかかる電圧および誘電体損失成分を打消しま
たは低減させて高感度な出力を得るようにする。 【構成】 交流駆動電源21から駆動手段に電力が与え
られて振動型ジャイロスコープなどの弾性体が駆動され
る。コリオリ力などにより変形する弾性体の振動が圧電
振動子により検出されるが、圧電振動子の一方の電極1
1に、圧電振動子と同じ圧電材料により形成された基準
素子を直列に接続し、経路L2により基準素子にかかる
電圧を取り出しこれを増幅器23により増幅する。差動
回路24により、出力経路L1の検出電圧から前記増幅
された電圧を減じる。これにより圧電振動子の制動容量
および誘電体損失成分が、基準素子の容量および抵抗成
分により等価的に低減され、高感度の振動検出ができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、振動型ジャイロスコー
プや加速度センサなどの圧電振動子を使用した各種検出
装置に係り、特に圧電振動子の振動成分を感度よく検出
できるようにした検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】圧電振動子は、回転系の角速度を検出す
る振動型ジャイロスコープや、加速度センサなどに広く
使用されている。この種の検出装置では、圧電振動子の
振動に基づく電圧または電流が検出され、この検出出力
に基づいて、角速度や加速度の大きさが求められる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】圧電振動子は図13
(A)または(B)に示す等価回路で表わすことができ
る。この等価回路におけるLm1,Lm2、Cm1,C
m2、Rm1,Rm2はそれぞれ共振時(モーショナル
時)の等価インダクタンス、等価容量、および振動抵抗
であり、Cd1,Cd2は制動容量である。圧電振動子
を振動しないようにクランプした静的な状態で圧電振動
子に駆動電力を与えると、圧電振動子からは、制動容量
Cd1に加わる電圧Vdまたは制動容量Cd2を流れる
電流Idが検出される。
【0004】上記制動容量Cd1,Cd2は、圧電振動
子の自由アドミタンスおよび自由インピーダンスの係数
となり、共振周波数または反共振周波数に影響を与え
る。また自由容量の中の制動容量Cd1,Cd2の割合
が大きくなるにしたがって電気機械結合係数kが低下す
る。電気機械結合係数kが低下すると、圧電振動子に振
動を与えた場合に、圧電振動子から得られる検出電圧ま
たは検出電流が低減させられ、圧電振動子の振動を高感
度に検出できない問題がある。
【0005】また、実際に圧電振動子として使用される
圧電材料(誘電体)では、環境温度などにより変化する
誘電体損失成分rが存在しており、この誘電体損失成分
rが、制動容量Cd2に流れる電流Id、または制動容
量Cd1にかかる電圧Vdに影響を与えることになる。
【0006】本発明は上記課題を解決するものであり、
圧電振動子の制動容量による出力の低減分を回路上にて
打ち消しまたは低減させることができるようにして、高
感度な振動検出ができるようにした圧電振動子の検出装
置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】第1の本発明は、振動が
与えられる圧電振動子と、圧電振動子から電圧または電
流を検出する第1の検出経路と、圧電振動子に接続され
たもので前記圧電振動子と同じ圧電材料(誘電体材料)
の基準素子と、前記基準素子にかかる電圧を検出する第
2の検出経路と、第1の検出経路と第2の検出経路の検
出出力の差または和を求める手段とが設けられているこ
とを特徴とするものである。
【0008】第1の本発明において、圧電振動子と基準
素子とが直列に接続され、圧電振動子と基準素子の中間
に第2の検出経路が接続されている場合に第2の検出経
路の検出電圧または電流を増幅する増幅器を設けること
が好ましい。ここで、基準素子の静電容量(基準容量)
Csを圧電振動子の制動容量のほぼn倍としたときに、
前記増幅器の増幅度を(n+1)倍とすることがさらに
好ましい。
【0009】第2の本発明は、振動が与えられる圧電振
動子と、圧電振動子から電流または電圧を検出する第1
の検出経路と、圧電振動子に接続されたもので前記圧電
振動子と同じ圧電材料(誘電体材料)の基準素子と、こ
の基準素子を介して電流を検出する第2の検出経路と、
第1の検出経路と第2の検出経路の検出出力の差または
和を求める手段とが設けられていることを特徴とするも
のである。
【0010】第2の本発明では、第1の検出経路または
第2の検出経路に増幅器を設け、基準素子の静電容量C
sを圧電振動子の制動容量のほぼn倍としたときに、第
1の検出経路に設けられた増幅器の増幅度をn倍とし、
あるいは第2の検出経路に設けられた増幅器の増幅度を
1/n倍とすることが可能である。
【0011】また、第1と第2の本発明において、圧電
振動子を形成する圧電材料は分極が施されたものとし、
基準素子を形成する圧電材料は分極が施されないものと
してもよい。あるいは、圧電振動子を弾性体の振動を生
じる部分に設置し、基準素子を同じ弾性体の振動を生じ
ない部分に静的に設置してもよい。例えば、圧電振動子
および基準素子を構成する圧電材料(誘電体材料)が圧
電セラミックの場合には、分極を施しまたは分極を施さ
ない構造を任意に設定できるので、圧電振動子を構成す
るものとして分極を施したものを使用し、基準素子を構
成するものとして分極を施さないものを使用することが
可能である。基準素子が分極を施さない誘電体材料によ
り形成される場合には、この基準素子を、弾性体の振動
部分と振動しない部分のいずれの位置に設置してもよ
い。また、圧電振動子および基準素子を構成する圧電材
料(誘電体材料)が、水晶やLiNbO3などの単結晶
材料により形成されている場合には、永久分極されたも
のであるため、基準素子も分極されたものとなる。よっ
てこの分極された基準素子の場合には、振動を受けない
部分に静的に設置することが必要である。
【0012】上記圧電振動子を使用した具体的な検出装
置としては、弾性体を振動させる駆動手段が設けられ、
回転系内に置かれた弾性体に作用するコリオリ力により
圧電振動子が設置されている部分の弾性体に振動が生じ
る振動型ジャイロスコープを例示できる。
【0013】
【作用】本発明の検出装置は、振動が与えられる圧電振
動子の振動成分を電圧または電流値として検出するもの
である。図13(A)(B)において説明したように、
圧電振動子には、制動容量Cd1,Cd2があり、また
温度条件などにより制動容量に流れる電流Idまたは制
動容量Cdにかかる電圧Vdに影響を与える誘電体損失
成分rがある。本発明では、圧電振動子と同じ圧電材料
により形成された基準素子を使用し、この基準素子を流
れる電流Isまたは基準素子にかかる電圧Vsにより、
前記制動容量を流れる電流Idまたは電圧Vdを打消し
または低減させて、圧電振動子の電気機械結合係数kを
電気回路的に大きくし、振動検出を高感度にて行えるよ
うにしたものである。
【0014】すなわち第1の本発明では、圧電振動子に
接続された基準素子にかかる電圧を第2の検出経路によ
り検出する。一方、圧電振動子にかかる電圧または電流
は第1の検出経路により検出し、例えば電流は電流−電
圧変換手段により電圧に変換し、差動手段として用いら
れる差動増幅器により、第1の検出経路の電圧から第2
の検出経路の電圧が差動される。これにより、振動検出
出力から制動容量にかかる電圧成分が打ち消されまたは
低減されて、高精度な振動検出が可能になる。また、第
1の検出経路の検出電圧と、第2の検出経路の検出電圧
の位相が相違するときには、いずれかの検出経路に位相
変換手段が設けられて位相が揃えられて差動手段により
差動出力が得られる。また、第1の検出経路の検出電圧
と第2の検出経路の検出電圧とで位相が例えば180度
相違するときには、差動手段の代わりに和動回路が使用
され、第1の検出経路の検出出力と第2の検出経路の検
出出力との和が求められる。
【0015】圧電振動子と基準容量とが直列に接続さ
れ、圧電振動子と基準容量の中間に第2の検出経路が接
続されているときには、圧電振動子と基準容量の双方に
かかる電圧から、基準容量にかかる電圧の差が求められ
る。この場合に、図2において、基準素子の静電容量
(基準容量)Csが圧電振動子の制動容量Cd1のほぼ
n倍である場合には、第2の検出経路にて検出される基
準素子にかかる電圧または電流を増幅器により(n+
1)倍に増幅することが好ましい。基準容量Csと制動
容量Cd1がほぼ同じである場合、増幅度は2倍であ
る。このように設定すると、検出出力(Vout)におい
て制動容量Cd1にかかる電圧がほぼ完全に打ち消され
る。
【0016】また第2の本発明では、図10の等価回路
に示すように、制動容量Cd2を流れる電流Idに対し
て基準素子を流れる電流Isを差動することにより、制
動容量Cd2による振動検出の影響を低減させることが
できる。ここで基準素子の基準容量Csが制動容量Cd
2のn倍である場合には、基準容量Csを流れる電流I
sまたは電圧を1/n倍に増幅し、または圧電振動子に
流れる電流または電圧をn倍に増幅して差動を行うこと
が可能である。ただし、制動容量Cd2と基準容量Cs
がほぼ同じ値である場合には、前記増幅は不要である。
【0017】第2の発明においても、第2の検出経路で
は、例えば基準素子を流れた電流が電流−電圧変換手段
により電圧に変換される。一方、第1の検出経路にて検
出される圧電振動子に流れる電流も電流−電圧変換手段
により電圧に変換される。あるいは圧電振動子にかかる
電圧がそのまま検出されてもよい。この場合に、第1の
検出経路に得られる検出電圧と、第2の検出経路に得ら
れる検出電圧との位相が相違するときには、いずれかの
検出経路に位相変換手段が設けられる。また第1の検出
経路の検出電圧と第2の検出経路の検出電圧とで、例え
ば位相が180度違う場合には、差動手段の代わりに和
動回路が設けられ、第1の検出経路と第2の検出経路の
検出出力の和が求められる。
【0018】また、圧電セラミックのように分極を施さ
ないで使用できる圧電材料により基準素子を構成する場
合には、基準素子は誘電体材料により形成された単なる
容量素子として使用できることになり、よって基準素子
を振動部分に設置することが可能である。また、水晶や
LiNbO3などの単結晶材料の永久分極された材料に
より基準素子が構成される場合、この基準素子を単なる
容量素子として機能させることができるように、基準素
子を振動を受けない位置に静的に設置することが必要で
ある。
【0019】本発明では、基準素子として、圧電振動子
と同じ圧電材料(誘電体材料)の基準素子を使用し、好
ましくはこの基準素子を、圧電振動子と同じ弾性体に設
置している。よって、圧電振動子と基準素子は常に同じ
温度環境下に置かれる。これにより、圧電振動子の前記
誘電体損失成分rと等価または近似した抵抗成分rs
を、基準素子に与えることが可能になる。この基準素子
にかかる電圧または電流に基づいて、圧電振動子からの
検出出力に対する差動を行うと、前記誘電体損失成分r
が打ち消されまたは低減されて、温度環境に影響を受け
ない高精度な振動検出が可能になる。
【0020】また、本発明の圧電振動子の検出装置は、
例えば振動型ジャイロスコープに使用できる。振動型ジ
ャイロスコープでは、駆動手段により弾性体が駆動さ
れ、この弾性体が回転系内に置かれると、コリオリ力に
より弾性体に振動が生じる。この振動が圧電振動子によ
り検出されるが、前述のように、基準素子を用いて圧電
振動子の制動容量および温度係数などに依存する誘電体
損失成分を打消しまたは低減させることにより、きわめ
て高精度で且つ使用環境により出力差の生じない角速度
検出が可能になる。
【0021】ただし、本発明の検出装置は、振動型ジャ
イロスコープにのみ使用されるものではなく、加速度セ
ンサやその他の種々の振動を使用した検出装置に実施す
ることが可能である。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。図1は本
発明の第1実施例による圧電振動子を使用した検出装置
の回路図、図2は第1実施例での等価回路図、図3
(A)(B)は、検出装置の全体の構造を示すものであ
り、(A)は平面図、(B)は右端面の拡大図、図4は
検出装置の振動モードを示す斜視図である。図3(A)
(B)および図4に示す検出装置10は、三脚型の振動
型ジャイロスコープである。
【0023】図3(B)に示すように、この検出装置1
0は、エリンバなどの恒弾性材料の弾性板(弾性体)1
1の表裏両面に圧電材料12,12が積層されて構成さ
れている。検出装置10は、溝10d,10dで分離さ
れた3枚の振動板10a,10b,10cを有してい
る。3枚の振動板10a,10b,10cの部分(イ)
が、弾性板(弾性体)11の振動部分となる。また、検
出装置10の基端は、支持部19に剛体支持されてお
り、前記溝10d,10dが形成されていない部分
(ロ)が振動を生じない(振動の影響がほとんど生じな
い)静的な部分である。上記振動板10a,10b,1
0cの部分での、表裏両面の圧電材料12,12の誘電
分極の方向は図3(B)において矢印で示す方向であ
る。
【0024】各振動板10a,10b,10cの幅方向
両縁部では、圧電材料12,12の表面にそれぞれ駆動
電極13が積層されている。この駆動電極13が表面に
積層されている範囲の圧電材料12,12が、振動板1
0a,10b,10cを振動駆動するための駆動手段と
なる。また駆動電極13は、表裏両面の圧電材料12,
12のそれぞれの表面に設けられており、それぞれの駆
動電極13の相手側の電極となるのは弾性板11であ
る。各駆動電極13に交流駆動電力が印加されると、左
右両側の振動板10b,10cと中央の振動板10aと
が、異なる位相で板面方向(x方向)へ駆動される。あ
る時点で、両側の振動板10bと10cの振幅方向が+
x方向のとき、中央の振動板10aの振幅方向は−x方
向である。
【0025】この検出装置10の振動板10a,10
b,10cが前記駆動手段によりx方向へ振動駆動され
ている状態で、Y軸またはY軸と平行な軸を中心とする
角速度成分を有する回転系内に置かれると、コリオリ力
により、各振動板10a,10b,10cにz方向への
振動が発生する。このコリオリ力による振動モードは図
4に示す通りであり、左右両側の振動板10b,10c
と中央の振動板10aとは異なる位相の振動となり、あ
る時点で振動板10b,10cの振幅方向が−z方向の
とき、中央の振動板10aの振幅方向は+z方向であ
る。
【0026】本発明では、図4に示すようにz方向へ振
動したときの振動成分が圧電材料12,12から検出さ
れる。この振動の検出のために、各振動板10a,10
b,10cの幅方向中央部にて、表裏の圧電材料12,
12のそれぞれの表面に検出電極14が形成されてい
る。また、検出電極14の相手側電極となるのは弾性板
11である。この実施例では、弾性板11自体が、駆動
電極13と検出電極14に対する共通電極(コモン電
極)となっている。また、振動板10a,10b,10
c(振動する部分(イ))において、検出電極14が積
層されている部分の圧電材料12,12が本発明での圧
電振動子、すなわち振動が与えられる圧電振動子とな
る。
【0027】また、検出装置10では、振動を生じない
部分(ロ)に、基準電極15が積層されている。この基
準電極15は、表裏両面の圧電材料12,12のそれぞ
れの表面に形成されている。この基準電極15の相手側
となる電極は、コモン電極となる前記弾性板11であ
る。基準電極15が積層されている部分の圧電材料12
が基準素子となる。
【0028】上記基準素子は、検出電極14が積層され
た部分の圧電振動子の制動容量Cd1またはCd2およ
び前記誘電体損失成分rを等価的に打ち消しまたは低減
させるものであるため、基準素子となる部分の圧電材料
12が単なる容量素子として機能することが必要であ
る。図3(A)に示す(ロ)の部分はほとんど振動を受
けない部分であるため、圧電材料12を水晶やLiNb
3などの永久分極された材料により形成しても、基準
素子として機能できるものとなる。あるいは、圧電材料
12が圧電セラミックにより形成されている場合、振動
する部分(イ)と共に振動しない部分(ロ)において圧
電材料12に分極が施されていてもよい。
【0029】ただし、実際には、(ロ)の部分に、振動
板10a,10b,10cの振動がわずかに伝達される
おそれがある。したがって(ロ)の部分の圧電材料12
に分極を施さないことが好ましい。圧電材料12が圧電
セラミックの場合には、分極を施しまたは分極を施さな
いことを任意に設定できる。よって、(イ)の部分の圧
電材料12に対し、図3(B)にて矢印で示す向きの分
極を施し、(ロ)の部分の圧電材料12については分極
を施さない構成にすることが好ましい。また分極を施さ
ない圧電材料により基準素子を形成する場合、この基準
素子を振動板10a,10b,10cの部分(振動する
部分(イ))に設置しても、基準素子を単なる容量素子
として機能させることが可能になる。
【0030】また、検出素子となる部分の圧電材料の基
準容量Csおよび抵抗成分rsは、前記制動容量Cd1
またはCd2および誘電体損失成分rと等価的であるこ
と(ほぼ等しいこと)が好ましい。圧電素子の静電容量
は電極面積に比例し、電極間距離(厚さ)に反比例す
る。図3に示した検出装置10では、弾性板11の表裏
に設けられた圧電材料12,12が均一な厚さであり、
検出電極14が積層された部分である圧電振動子と、基
準電極15が積層された部分である基準素子とで、圧電
材料12の電極間距離が同じである。したがって、基準
素子を圧電振動子と等価的にするためには、個々の基準
電極15の表面積が、検出電極14の表面積になるべく
近いものであることが好ましい。ただし、振動板10
a,10b,10cからの振動を受ける圧電振動子と、
基準電極15が設けられた基準素子とが、分離された圧
電材料層により別々に形成されるような場合、圧電振動
子と基準素子の膜厚を変えて、圧電振動子と基準素子と
を等価なものにすることも可能である。
【0031】また、図1に示す回路構成では電圧増幅器
23が設けられ、また、図8に示す回路では電圧増幅器
29aまたは29bを設けることができるため、この各
電圧増幅器23,29a,29bの増幅度を後述のよう
に適宜に設定することにより、圧電振動子と基準素子の
それぞれの容量が完全に等価でなくても、差動により制
動容量Cd1またはCd2のほぼ完全な打消しが可能で
ある。すなわち、各電圧増幅器の増幅度を適宜に設定す
ることにより、基準電極15の面積が、検出電極14の
面積と相違していても、高感度の振動検出を実現するこ
とができる。
【0032】図1に示すように、所定の周波数の交流駆
動電力を供給する交流駆動電源21は、一端が接地され
他端が各駆動電極13に接続されて、各駆動電極13と
弾性板11との間の圧電材料12,12に交流駆動電力
が与えられる。検出電極14には第1の検出経路L1が
接続されている。第1の検出経路L1では、バッファア
ンプ(電圧フォロワ)22が設けられている。
【0033】検出用の圧電振動子(検出電極14が積層
されている部分の圧電材料12)と、基準素子(基準電
極15が積層されている部分の圧電材料12)は、コモ
ン電極となる弾性板11により直列に接続されている。
また、基準素子の電極である前記基準電極15は接地さ
れている。あるいは所定の電位に設定されている。弾性
板11は、直列に接続された圧電振動子と基準素子との
中間に位置する電極となり、この弾性板11に第2の検
出経路L2が接続されている。第2の検出経路L2には
電圧を増幅する増幅器23が設けられている。そして、
差動手段である差動回路24により、第1の検出経路L
1での検出電圧と、第2の検出経路L2での検出電圧の
差が求められ、検出出力(Vout)が得られる。
【0034】図3と図4に示す検出装置(振動型ジャイ
ロスコープ)10では、交流駆動電源21から駆動電極
13に与えられる電力により、各振動板10a,10
b,10cにx方向への振動が与えられる。このジャイ
ロスコープがy軸回りの回転系に置かれると、コリオリ
力により、各振動板10a,10b,10cが図4に示
す位相にてz方向へ振動する。このz方向の振動は、図
1に示す検出出力(Vout)として得られる。
【0035】検出電極14が積層された部分の圧電材料
12で前記コリオリ力による振動が与えられる圧電振動
子と、基準電極15が積層された部分の圧電材料12で
ある基準素子の、等価回路を図2に示す。圧電振動子
は、振動時の等価インダクタンスLm1、等価容量Cm
1および共振抵抗Rm1と、これらに直列な制動容量C
d1を有するものとして表現できる。また制動容量Cd
1にかかる電圧または制動容量Cd1を流れる電流は、
圧電材料固有の性質および温度係数などの諸条件により
影響を受ける。この影響を与える誘電体損失成分をrで
示している。
【0036】基準素子は、図3(A)にて(ロ)で示す
振動しない部分にて静的に設けられた圧電材料12また
は、分極が施されていない圧電材料である。したがっ
て、この基準素子の等価回路には振動時(モーショナル
時)の等価インダクタンスLm1、等価容量Cm1およ
び共振抵抗Rm1などは現れず、基準容量Csと抵抗成
分rsのみとなる。また、基準容量Csにかかる電圧ま
たは基準容量Csを流れる電流は、圧電材料固有の性質
および温度係数などの諸条件の影響を受ける。この影響
を与える抵抗成分をrsで表現している。
【0037】図2において、圧電振動子と基準素子との
中間のe点の電圧は、基準素子にかかる電圧Vsであ
り、b点の電圧は圧電振動子にかかる電圧と前記電圧V
sとの和の電圧Vfである。前記基準素子の基準容量C
sが制動容量Cd1のn倍であるとすると、前記各電圧
VfとVsは次の数1に示す通りである。なお、Cm
1,Lm1,Rm1が並列に接続されたものとして表現
できるモーショナルインピーダンスをZ1で示してい
る。
【0038】
【数1】
【0039】ここで、前記電圧増幅器23の増幅度を
(n+1)に設定すると、出力電圧(Vout)は数2に
示すものとなる。
【0040】
【数2】
【0041】数2から、出力電圧(Vout)では、制動
容量Cd1にかかる電圧が打ち消されていることが解
る。すなわち、図1と図2に示す装置では、制動容量C
d1が打ち消されていることにより、電気機械結合係数
kが電気回路的に補償されて大きくなり、高感度の振動
検出ができるものとなる。また、実際には、電圧Vfに
は圧電振動子の誘電体損失成分rにかかる電圧が含ま
れ、電圧Vsには基準素子の抵抗成分rsにかかる電圧
も含まれている。しかし差動回路24により{Vf−
(n+1)Vs}の差動が行われることにより、誘電体
損失成分rにかかる電圧が抵抗成分rsにかかる電圧に
より低減されることになる。
【0042】また、図1では、圧電振動子を構成する圧
電材料と、基準素子を構成する圧電材料とがほぼ等価で
ある場合を仮定している。この場合、増幅器23の増幅
度は2倍であり、出力電圧(Vout)は(Vf−2V
s)である。また、圧電振動子と基準素子とをほぼ完全
に等価なものにし、増幅器23の増幅度を2倍にしてお
くと、圧電振動子の誘電体損失成分rにかかる電圧は、
基準素子の抵抗成分rsにかかる電圧によりほぼ相殺さ
れ、誘電体損失成分rの影響をきわめて効果的に除去で
きる。よって温度環境などの変化があっても、常に制動
容量Cd1の影響を最適な状態に打消し、または低減さ
せることができる。
【0043】なお、基準容量Csの前記倍率nに対して
増幅器23の増幅度が正確に(n+1)倍でなくても、
制動容量Cd1と誘電体損失成分rの低減の効果は期待
できる。すなわち、基準素子の基準容量Csと増幅器2
3の増幅度は厳密に定めなくても、検出感度を向上させ
る効果を期待できる。ただし、基準容量Csを制動容量
Cd1のn倍とし、増幅器23の増幅度を(n+1)倍
とすることが好ましく、さらに好ましくはn=1であ
る。
【0044】図5ないし図7は、図1に示す第1実施例
の変形例を示している。図5では、第2の検出経路L2
により基準素子(静電容量Cs)にかかる電圧が検出さ
れ、この電圧が増幅器23により(n+1)倍(例えば
n=1)に増幅される。一方、第1の検出経路L1で
は、検出電極14から圧電振動子に流れる電流が検出さ
れ、これが電流−電圧変換回路25により電圧に変換さ
れる。そして第1の検出経路L1にて電圧に変換された
出力と、第2の検出経路L2にて得られる検出電圧との
差が差動回路24により求められ、出力(Vout)が得
られる。
【0045】図5において、第1の検出経路L1から差
動増幅器24に与えられる電圧と、第2の検出経路L2
から差動増幅器24に与えられる電圧とで、位相が異な
る場合には、いずれかの経路L1またはL2に位相変換
手段を設け、差動増幅器24に与えられる電圧の位相を
一致させることができる。また、両経路L1とL2の電
圧の位相が180度ずれている場合には、差動手段の代
わりに、両経路の電圧の和を求める和動回路が設けられ
てもよい。
【0046】図6は、駆動手段となる駆動側の圧電素子
(ハ)により振動が発せられ、この振動により検出側の
圧電振動子(二)が振動させられる例について示してい
る。例えば、駆動側の圧電素子(ハ)が、圧電トランス
の1次側の圧電材料で、圧電振動子(二)が2次側の圧
電材料である場合である。あるいは、図3に示すような
三脚音叉型などの振動型ジャイロスコープにおいて、エ
リンバなどの弾性板に振動駆動用の圧電材料と、コリオ
リ力の検出用の圧電材料とが別個に設けられる場合があ
る。この場合に、駆動用の圧電材料が圧電素子(ハ)で
あり、検出用の圧電材料が圧電振動子(二)である。ま
た、基準素子(ホ)は、前記圧電振動子(二)と同じ圧
電材料(誘電材料)により形成され、この好ましくはエ
リンバなどの弾性板の振動を生じない部分に設置され
る。
【0047】図6に示す回路構成は、図1に示すものに
おいて共通電極(11)が設けられない場合に相当す
る。なお図6の例において、第1の検出経路L1の電圧
フォロワ22の代わりに、図5に示す電流−電圧変換回
路25を設けてもよい。
【0048】図7に示す実施例では、検出側の圧電振動
子(二)と同じ圧電材料(誘電材料)により形成された
基準素子(ホ)が、圧電振動子(二)と直列に接続さ
れ、さらに圧電振動子(二)と並列な容量Cs1が設け
られている。基準素子(ホ)の静電容量Csと容量Cs
1を最適な組み合せに選び、また増幅器23の増幅率を
最適な状態に設定することにより、出力(Vout)から
圧電振動子の制動容量Cd1にかかる電圧成分を低減し
あるいは除去することが可能である。
【0049】図8は、本発明の第2実施例の検出装置の
回路図である。この第2実施例は、図3に示す検出装置
(振動型ジャイロスコープ)10において、振動出力を
電流値として取り出すものである。この実施例では、図
1に示す実施例と同様に、交流駆動電源21の駆動電力
が駆動電極13に与えられ、振動板10a,10b,1
0cが図3(A)に示すようにx方向へ振動駆動され
る。
【0050】この検出装置10がy軸回りの回転系内に
置かれると、図4に示すように、各振動板10a,10
b,10cがコリオリ力によりz方向へ振動する。この
とき、検出電極14が積層された部分の圧電材料12
(圧電振動子)に与えられる振動を検出するために第1
の検出経路Laと第2の検出経路Lbが設けられてい
る。
【0051】図8の実施例では、第1の検出経路Laが
検出電極14に接続され、この第1の検出経路Laに
は、電流−電圧変換回路25と、バッファアンプ(電圧
フォロワ)26とが設けられている。弾性板11は、検
出用の圧電振動子と、基準素子との共通電極となり、基
準素子の単独電極となる基準電極15に第2の検出経路
Lbが接続されている。この第2の検出経路Lbには、
基準容量Csと抵抗成分rsを通過する電流を電圧に変
換する電流−電圧変換回路27およびバッファアンプ
(電圧フォロワ)28が設けられている。そして差動手
段である差動回路24により、第1の検出経路Laの検
出出力(電圧)から第2の検出経路Lbの検出出力(電
圧)が減算される。
【0052】図10は図8に示す検出装置における圧電
振動子(検出電極14が形成されている部分の圧電材料
12)と、基準素子(基準電極15が形成されている部
分の圧電材料12)の等価回路を示している。図10で
は、基準素子の基準容量Csが制動容量Cd2のn倍で
あり、さらに基準容量Csを流れる電流Isが1/n倍
に増幅されるものと仮定している。このとき各部分に流
れる電流は数3により表現できる。なお、以下では、L
m2,Cm2,Rm2が直列に接続されたモーショナル
インピーダンスをZ2で示している。
【0053】
【数3】
【0054】また、差動回路24により作動された出力
電流(Iout)は数4に示す通りである。
【0055】
【数4】
【0056】上記数4から、差動出力には、制動容量C
d2を流れる電流が現れず、制動容量による影響が回路
的に打ち消されていることが解る。よって電気機械結合
係数を高くして、高感度の振動検出が可能になる。ま
た、実際には、電流Idは誘電体損失成分rの影響を受
け、電流Isは基準素子の抵抗成分rsの影響を受け
る。しかし、差動回路によるIdからIsが減算される
ことにより、誘電体損失成分rの影響を低減できること
になる。これは温度環境の影響が少なく、高感度の振動
検出が行われることを意味している。
【0057】したがって、図8の回路構成において、基
準素子の基準容量Csが圧電振動子の制動容量Cd2の
n倍である場合、電流−電圧変換回路27により電圧に
変換された出力を1/n倍に増幅する増幅器29aが設
けられることになる。または増幅器29aを設ける代わ
りに、第1の検出経路Laの電流−電圧変換回路25の
次段に、電圧をn倍に増幅する増幅器29bを設けても
よい。
【0058】また、基準容量Csが制動容量Cd2とほ
ぼ完全に等価である場合には、n=1となり、前記増幅
器29aまたは29bを設ける必要はない。また、基準
素子と圧電振動子とがほぼ完全に等価のものである場合
には、誘電体損失成分rと抵抗成分rsがほぼ等価であ
るため、数4で表現できる差動出力では誘電体損失成分
rの影響をほぼ完全に打ち消すことができ、温度環境の
変化に影響を受けない検出出力を得ることが可能にな
る。
【0059】したがって、各振動板10a,10b,1
0cがコリオリ力によりz方向へ振動した場合、圧電振
動子の制動容量Cd2の影響を受けることなく、高精度
な振動検出が可能になり、検出出力(Vout)により、
y軸回りの角速度ωを高感度にて検出することが可能に
なる。
【0060】図9は図8に示す第2実施例の変形例を示
している。図9に示す検出装置では、第1の検出経路L
aと第2の検出経路Lbの構成が図8に示す実施例と同
じ構成であり、第2の検出経路Lbに基準素子が接続さ
れている点も同じである。ただし、図9では、圧電振動
子の電極11と15に対する各検出経路LaとLbの接
続極性が図8に示した実施例と逆になっている。したが
って、図9に示す回路を構成するためには、図3に示す
検出装置10において、検出電極14と基準電極15を
導線または導電パターンにより導通させ、また基準電極
15が形成された部分の圧電材料12と弾性板11との
間に、この弾性板11と絶縁された他の電極16を設
け、この電極16を電流−電圧変換回路27に接続する
ことが必要である。また、検出電極14と基準電極15
とを導通させる代わりに、振動部分(イ)に位置する検
出電極14と振動しない部分(ロ)に位置する基準電極
15を接続して一体の電極としても同じである。この場
合、(イ)の部分では圧電材料12に分極を施し、
(ロ)の部分では分極を施さないものとすることが好ま
しい。
【0061】図9に示す回路構成と図8に示す回路構成
とでは、制動容量Cdを流れる電流Idを基準容量Cs
を流れる電流Isにより減じる点でその動作原理は同じ
である。ただし、図8と図9の各回路での検出出力(V
out)を比較すると、図8に示す実施例の方が高感度の
振動検出出力を得られることが確認できた。これは、駆
動電極13に与えられる交流駆動電力との関係で、コモ
ン電極(弾性板11)側から得られた電流を基準容量C
sに通過させ、これを単独電極(検出電極)14側から
得られた出力から減じた方が、差動する信号どうしの位
相が一致しやすく、高い差動出力が得やすくなるからで
あると予測される。
【0062】以上から図8に示すような電流検出方式の
検出装置では、駆動用圧電素子と検出用圧電振動子の共
通の電極となる側に、基準素子(基準容量Csと抵抗成
分rs)および第2の検出経路Lbを接続することが好
ましいものとなる。ただし、図9の回路構成において、
第1の検出経路Laの電流−電圧変換回路25の次段、
または第2の検出経路Lbの電流−電圧変換回路27の
次段のいずれかに、位相変換手段を設け、差動回路(差
動増幅器)24に与えられる2つの電圧の位相を揃える
ことにより、図8の回路に匹敵する検出出力を得るよう
にすることが可能である。
【0063】また、図9に示す回路構成においても、基
準素子の基準容量Csが制動容量Cd2のn倍である場
合には、第2の検出経路Lbに増幅器29aを設け、ま
たは第1の検出経路Laに増幅器29bを設けることが
好ましい。なお、図8においても同じであるが、増幅器
29a,29bを別個に設けることなく、電流−電圧変
換回路25または27において増幅率(n倍または1/
n倍)の設定を行うことは可能である。
【0064】図11と図12は、図8に示す第2実施例
の変形例を示している。図11に示す例では、第2の検
出経路Lbにおいて、基準素子(静電容量Cs)を流れ
る電流が検出され、この電流が電流−電圧変換回路27
により電圧に変換される。一方、第1の検出経路Laに
は、バッファアンプ(電圧フォロワ)26が設けられ、
圧電振動子にかかる電圧が検出電極14から検出され
る。また差動手段である差動増幅器24により、第1の
検出経路Laにより検出された電圧と、第2の検出経路
Lbにより検出された電流から変換された電圧との差が
求められる。ここで、差動増幅器24に入力する電圧の
位相が、第1の検出経路Laと第2の検出経路Lbとで
相違しているときには、経路LaとLbのいずれかに、
電圧の位相を180度変化させる位相変換手段としてイ
ンバータ30が設けられる。またはインバータ30を設
けず、経路Laの電圧と経路Lbの電圧とが和動回路に
より加算されてもよい。すなわち和動回路が差動手段の
代わりとなる。
【0065】図12に示す回路は、駆動用の圧電素子
(ハ)と検出用の圧電振動子(二)が別々の圧電材料で
ある場合を示しており、基準素子(ホ)は圧電振動子
(二)と同じ圧電材料(誘電材料)により形成されてい
る。駆動側の圧電素子(ハ)は接地され、検出用の圧電
振動子(二)も接地され、あるいは所定の電位に設定さ
れている。第1の検出経路Laと第2の検出経路Lb
は、圧電振動子(二)の同じ側の電極から取り出されて
いる。そして第1の検出経路Laには電流−電圧変換回
路25が、第2の検出経路Lbには、容量Csと電流−
電圧変換回路27とが設けられている。
【0066】また、図8または図9に示す実施例におい
て、第1の検出経路Laと第2の検出経路Lbとが、同
じ検出電極14に接続されていても同じである。さら
に、図12において、電流−電圧変換回路25を設けず
に、第1の検出経路Laに電圧フォロワ(26)が設け
られてもよい。
【0067】なお、本発明では、図3に示すように、振
動を受ける圧電振動子の圧電材料と、基準素子の圧電材
料を同じ弾性体(弾性板11)に設置し、圧電振動子の
圧電材料を弾性体の振動部分に、基準素子の圧電材料を
弾性体の振動しない部分にそれぞれ設置することが好ま
しい。このような構造とすることにより、温度環境など
の影響を受ける誘電体損失成分rと抵抗成分rsとを同
じ環境下にて等価的なものにでき、環境温度などに作用
されない振動検出精度を得ることができるようになる。
ただし、圧電振動子が設置される弾性体から基準素子を
離して設け、例えば弾性体が設けられる部分に近接した
位置に配置された回路基板上に、基準素子を設置する構
造にしてもよい。
【0068】また、本発明による検出装置は、振動型ジ
ャイロスコープに限られず、駆動手段により弾性体を振
動させ、この振動を受ける圧電振動子の振動成分を検出
する検出装置であれば、どのようなものであっても実施
可能であり、例えば加速度センサなどの構成にすること
が可能である。
【0069】
【発明の効果】以上のように本発明では、圧電振動子の
制動容量にかかる電圧または電流を等価的な基準容量に
より打消しまたは低減することにより、高感度な振動検
出が可能になる。また、圧電振動子と同じ圧電材料(誘
電材料)により形成された基準素子を設けているため、
前記制動容量のみならず温度係数などの影響を受ける圧
電振動子の誘電体損失成分の打消しまたは低減が可能に
なり、高感度の検出装置が得られるようになる。特に、
圧電振動子と基準素子を同じ弾性体に設置することによ
り、上記温度係数などの影響を確実に打消しまたは低減
できるようになる。
【0070】また、本発明の検出装置を例えば振動型ジ
ャイロスコープに設ければ、高感度な角速度検出が可能
になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の検出装置の回路構成を示
す回路図、
【図2】図1に示す圧電振動子と基準素子の等価回路
図、
【図3】図1に示す検出装置である振動型ジャイロスコ
ープを示すものであり、(A)は平面図、(B)は右端
面の拡大図、
【図4】振動型ジャイロスコープの振動変形モードを示
す斜視図、
【図5】図1に示す第1実施例の変形例を示す回路図、
【図6】図1に示す第1実施例の変形例を示す回路図、
【図7】図1に示す第1実施例の変形例を示す回路図、
【図8】本発明の第2実施例の検出装置の回路構成を示
す回路図、
【図9】第2実施例の変形例を示す回路図、
【図10】図8に示す圧電振動子と基準素子の等価回路
図、
【図11】第2実施例の変形例を示す回路図、
【図12】第2実施例の変形例を示す回路図、
【図13】(A)(B)は圧電振動子の等価回路図、
【符号の説明】
10 検出装置(振動型ジャイロスコープ) 11 弾性板 12 圧電材料 13 駆動電極 14 検出電極 15 基準電極 21 交流駆動電源 22,26,28 バッファアンプ 23 増幅器 24 差動回路 25,27 電流−電圧変換回路 29a,29b 電圧増幅器 L1,La 第1の検出経路 L2,Lb 第2の検出経路 Cd 制動容量 Cs 基準容量

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動が与えられる圧電振動子と、圧電振
    動子から電圧または電流を検出する第1の検出経路と、
    圧電振動子に接続されたもので前記圧電振動子と同じ圧
    電材料の基準素子と、前記基準素子にかかる電圧を検出
    する第2の検出経路と、第1の検出経路と第2の検出経
    路の検出出力の差または和を求める手段とが設けられて
    いることを特徴とする圧電振動子を使用した検出装置。
  2. 【請求項2】 基準素子が圧電振動子と直列に接続され
    て、圧電振動子と基準素子の間に第2の検出経路が接続
    され、基準素子の静電容量が圧電振動子の制動容量のn
    倍であるときに、第2の検出経路では基準素子にかかる
    電圧がほぼ(n+1)倍に増幅される請求項1記載の圧
    電振動子を使用した検出装置。
  3. 【請求項3】 振動が与えられる圧電振動子と、圧電振
    動子から電流または電圧を検出する第1の検出経路と、
    圧電振動子に接続されたもので前記圧電振動子と同じ圧
    電材料の基準素子と、この基準素子に流れる電流を検出
    する第2の検出経路と、第1の検出経路と第2の検出経
    路の検出出力の差または和を求める手段とが設けられて
    いることを特徴とする圧電振動子を使用した検出装置。
  4. 【請求項4】 第1の検出経路または第2の検出経路に
    増幅器が設けられ、基準素子の静電容量を圧電振動子の
    制動容量のほぼn倍とし、第1の検出経路に設けられた
    増幅器の増幅度をn倍とし、あるいは第2の検出経路に
    設けられた増幅器の増幅度を1/n倍とする請求項3記
    載の圧電振動子を使用した検出装置。
  5. 【請求項5】 圧電振動子を形成する圧電材料は分極が
    施されたものであり、基準素子を形成する圧電材料は分
    極が施されないものである請求項1ないし4のいずれか
    に記載の圧電振動子を使用した検出装置。
  6. 【請求項6】 圧電振動子は弾性体の振動を生じる部分
    に設置され、基準素子は同じ弾性体の振動を生じない部
    分に静的に設置される請求項1ないし4のいずれかに記
    載の圧電振動子を使用した検出装置。
  7. 【請求項7】 弾性体を振動させる駆動手段が設けら
    れ、回転系内に置かれた弾性体に作用するコリオリ力に
    より、圧電振動子が設置されている部分の弾性体に振動
    が生じる請求項1ないし6のいずれかに記載の圧電振動
    子を使用した検出装置。
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