JPH08208686A - アミド主鎖を有するオリゴリボヌクレオチド - Google Patents

アミド主鎖を有するオリゴリボヌクレオチド

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JPH08208686A
JPH08208686A JP7308739A JP30873995A JPH08208686A JP H08208686 A JPH08208686 A JP H08208686A JP 7308739 A JP7308739 A JP 7308739A JP 30873995 A JP30873995 A JP 30873995A JP H08208686 A JPH08208686 A JP H08208686A
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alkyl
compound
acyl
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JP7308739A
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Wen-Ren Li
ウェン−レン・リ
Steve Yik-Kai Tam
スティーブ・イク−カイ・タム
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F Hoffmann La Roche AG
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酵素的開裂に対して結合が安定であり、かつ
中性であり、RNAとの結合親和性及び特異性を有し、
水溶性主鎖結合を有するアンチセンス分子を提供するこ
と。 【解決手段】 式(I): 【化22】 (式中、R1 は、H、C1 〜C4 アルキル、C1 〜C18
アシル又はヒドロキシ低級アルキルであり、R2 は、
H、アラルキル又はC1 〜C4 アルキルであり、Bは、
アデニン、シトシン、グアニン、チミン及びウラシルか
らなる群より選択されるヌクレオシド塩基残基であり、
Xは、H、OR1 、NHR2 又はNH−アシルであり、
Yは、OR2 又はNHR2 であり、そしてnは、5〜2
5の数である)の構造で示されるオリゴマー及びその
塩。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】合成オリゴヌクレオチドと、RNA又は一
本鎖DNAとの間の特異性の高い相互作用は、分子生物
学における多くの応用につながった。オリゴヌクレオチ
ドは、クローニングのためのハイブリダイゼーションプ
ローブ、診断検定及びポリメラーゼ鎖反応技術(PC
R)に不可欠なプライマー試薬として使用される。結合
の特異性は、ワトソン−クリック塩基対規則によって支
配される。この特徴は、オリゴヌクレオチド試薬の設計
を、容易にし、標的RNA又はDNA配列の知識のみを
必要とするものにしている。この魅力的な原理をさらに
拡大したものとして、オリゴヌクレオチドとその相補的
mRNA配列との結合が、特定のタンパク質生成物の翻
訳過程を阻害するための新たな手段として研究されてき
た。1978年には、Zamecnik及びStephensonが、ラウ
ス肉腫ウイルスに感染したニワトリ繊維芽細胞における
その発現の阻害でのこの方法の有用性を実証した(Zame
cnik, P.C.; Stephenson, M.L. Proc. Natl Acad. Sci.
U.S.A. 1978 75, 280)。この開拓的な仕事が、この分
野の研究の開花につながり、この概念を展開して治療に
応用することに多大な関心を呼び起こした。使用された
オリゴヌクレオチド剤がmRNA標的に含まれた遺伝子
メッセージの意味(センス)に対して相補的(アンチ)
であったため、この新たな方法は「アンチセンスDN
A」技術と呼ばれるようになった。
【0002】ホスホロチオエートは広く知られるアンチ
センス化合物である。これらは、ホスホジエステル基中
の1個の酸素が硫黄によって置換されている主鎖類似体
である。この小さな変更がこの分子をヌクレアーゼ耐性
にし、それらが細胞培養及び動物モデルにおいて生物学
的活性を示すことを可能にしている。ホスホロチオエー
トアンチセンス薬は、抗ウイルス剤及び抗ガン剤として
の臨床試用の段階に入っている。
【0003】しかし、ホスホロチエートアンチセンス薬
の可能性は依然として有望ではあるが、その副作用のた
め、新たなタイプのアンチセンス剤が求められている。
具体的には、ホスホロチオエートのポリチオエート主鎖
がイオン性であるため、非−アンチセンス副活性がホス
ホロチオエートによって示される。これらの副活性は、
タンパク質結合(Stein, C.A.; Narayanan, R. Current
Opinion in Oncology, 6 (1994)584 )、免疫細胞の
活性化及び転写因子(Branda, R.F.; Moore, A.L.; Mat
hews, L.; Mathews, L.; McCormack, J.J.; Zon, G. Bi
ochem. Pharmacol. 1993, 8, 33; and McIntyre, K.W.
et al. Antisense Res. Devel, 1993, 3, 309 )並びに
部分的な相補的結合による非−標的配列のRNase
H開裂(Giles, R.V.; Spiller, D.G.; Tidd, D.M. Ant
icancer Drug Design 1993, 8, 33 )に影響する。
【0004】イオン性主鎖による非−アンチセンス活性
を減らすために、ホスホジエステル結合がアミドで置換
されたいくつかの改質残基を含むオリゴヌクレオチドが
合成された(Burgess, K.; Gibbs, R.A.; Metzker, M.
L.; Raghavachari, R.J., C.S. Chem. Commun. 1994, 9
15; Chur, A.; Holst, B.; Dahl, O.; Valentin-Hanse
n, P.; Pedersen, E.B. Nucleic Acid Res. 1993, 21,
5179; Idziak, I.; Just, G.; Damha, M.; Giannaris,
P. Tet. Lett. 1993, 34, 5417; De Mesmaeker,A.; Wal
dner, A.; Lebreton, J.; Hoffmann, P.; Fritsch, V.;
Wolf. R.; Freier, S. Angew. Chem. Intl. Ed. Engl.
1994, 33, 226 )。これらの改質結合を一本鎖DNA
分子に組み込むと、普通、相補的RNA又はDNAのい
ずれかとの結合親和性が結果的に低下する。しかし、ア
ミド基によるホスホジエステル基の全置換の例は報告さ
れていない。
【0005】より高い結合親和性をもつ別のタイプの類
似体は、ペプチド核酸(PNA)である(Nielsen, P.;
Egholm, M.; Berg, R.; Buchardt, O. Science, 1991,
254, 1497)。これらの分子は、糖−リン酸エステル主
鎖ではなくペプチド主鎖に結合したよく知られた核酸塩
基、すなわちアデニン、グアニン、チミン及びシトシン
を含有する。このタイプの化合物はDNA及びRNAに
対する高い結合親和性を有しているが、RNAの平行な
相補的配列に結合するだけでなく、逆平行な相補的配列
にも結合することにより、特異性に劣る。そのうえ、こ
れらの分子の水溶性が乏しいことは、それらの実用を妨
げる欠点となっている。
【0006】したがって、いくつかの特徴を有する、す
なわち、酵素的開裂に対して結合が安定であり、ポリア
ニオン性構造に伴う副作用を避けるために中性であり、
RNAとのその結合に受け入れられる親和性及び特異性
を有し、望ましい物理化学的性質、例えば水溶性を有す
るべきである主鎖結合をもつアンチセンス分子が求めら
れている。本発明のアンチセンス分子はこれらの要求を
満たす。既存の技術に対比して、本発明のアンチセンス
分子は、ホスホジエステル結合主鎖全体がアミド結合主
鎖によって置換されている新規な分類のオリゴヌクレオ
チドである。
【0007】本発明は、アミド結合によって結合した改
質リボヌクレオシドモノマー単位からなる新規なタイプ
のオリゴマー(オリゴリボヌクレオチド)を提供する。
これらの化合物の合成は、例えば固相又は溶液カップリ
ング法を使用して、同じく本発明の一部であるモノマー
性中間体のオリゴマー化によって達成することができ
る。本発明の特定の構造により、本明細書に開示するア
ンチセンス分子は、安定性及び水溶性の利点を有し、イ
オン性副作用及び非特異的タンパク質結合を回避してい
る。
【0008】具体的には、本発明は、式(I):
【0009】
【化5】
【0010】(式中、R1 は、H、炭素原子1〜4個を
有する(C1 〜C4 )低級アルキル、炭素原子1〜18
個を有する(C1 〜C18)アシル又はヒドロキシ−低級
アルキルであることができ、R2 は、H、アラルキル又
は炭素原子1〜4個を有する(C1 〜C4 )低級アルキ
ルであり、Bは、アデニン、シトシン、グアニン、チミ
ン及びウラシルからなる群より選択されるヌクレオシド
塩基残基であり、Xは、H、OR1 、NHR2 又はNH
−アシルであることができ、Yは、OR1 又はNHR2
であることができ、そしてnは、5〜25のいかなる数
であることもできる)示されるオリゴマーに関する。
【0011】このオリゴマーは、選択されたmRNA配
列に結合することができる。好ましくは、該オリゴヌク
レオチド化合物は、選択されたRNA配列に対して相補
的な塩基の配列を有している。同じく含まれるものは、
本発明の化合物の塩である。
【0012】R1 は、具体的には、メチル、アセチル又
はヒドロキシエチルであることができる。特定の実施態
様においては、R2 は、Hであり、Xは、H、OR1
はNHR2 であり、そしてR1 、B及びYは、上記の式
(I)に定義したとおりである。好ましい化合物におい
ては、R1 及びR2 は、両方ともHであるか、R1 がメ
チルであり、そしてR2 がHである。
【0013】好ましい組み合わせにおいては、Xは、N
2 又はNH−アシルであり、Yは、OH又はNH2
あり、R1 は、H又はアセチルであり、R2 は、Hであ
り、そしてnは、6〜13である。
【0014】さらに、上記の構造で示される、適当に保
護されたヌクレオシド塩基残基(以下、B′と定める)
をBの位置に有し、そしてm(nではなく)が0〜5、
特に0、1又は2であるオリゴマーも、また、本発明の
目的である。このようなオリゴマーは、nが5〜25で
あるオリゴマーの中間体として有用である。
【0015】式(I)のオリゴマーは、アミド結合によ
って結合した改質リボヌクレオシドモノマーからなる。
本発明のオリゴマーは、特に、未改質の結合をもつオリ
ゴマーを上回る安定性並びに他のタイプの改質結合をも
つオリゴマーを上回る特異性及び水溶性の理由から、オ
リゴマーを伴う用途に有用である。加えて、本発明によ
り、そのヌクレオシド成分すべてがアミド結合によって
結合しているオリゴマーを得ることが可能である。
【0016】それらのアミド結合のために、本オリゴマ
ーは、安定であり、水溶性であり、また特にヌクレアー
ゼ耐性であるアンチセンス化合物に構成することができ
る。したがって、本発明のオリゴマーは、標的mRNA
に結合して標的タンパク質の産生を妨げるか、又は減少
させるアンチセンス療法に有用である。アンチセンス療
法は、Akhtar及びIvinson のNature Genetics, 1993 4,
215に記載のように用いられる。アンチセンスオリゴマ
ーを設計する例として、望ましくない症状を引き起こす
か又はそれに寄与する標的タンパク質を選択することが
できる。そして、そのタンパク質に相当する遺伝子又は
mRNAのヌクレオチド配列を公知の方法によって得た
のち、この配列の一部と相補的なオリゴマーを設計する
ことができる。mRNA配列は、mRNAが、翻訳を妨
げることを望むタンパク質をコードして、そのタンパク
質の産生を減らすか又は無くして、タンパク質の存在に
よって対象中に生じる望ましくない効果を緩和するとい
うことに基づいて決定することができる。未知のmRN
A配列は、遺伝子コードを使用して、コードされている
タンパク質の配列を翻訳することによって決定すること
ができる。タンパク質の配列がわからないならば、公知
の技術によってそのタンパク質を単離し、配列決定する
ことによって決定することができる。あるいは、また、
タンパク質をコードするmRNA又はDNA化を、公知
の方法によって識別し、単離し、配列決定してもよい。
【0017】そのようなオリゴマーの好ましい大きさ
は、モノマー(n=7〜13)約7〜約27個、特に約
8〜約15個分である。
【0018】これらのアンチセンスオリゴマーは、以下
に記す本発明の方法によって、本発明のアミド結合を有
するように製造すると、標的タンパク質の存在に伴う症
状を緩和するために投与することができる安定なアンチ
センス化合物を形成する。本発明のオリゴマーは、望ま
しくないか又は過剰のタンパク質(生得のものか異物か
にかかわらず)の産生に関連する症状を治療するための
アンチセンス化合物として特に有用であり、また、ウイ
ルスやガン細胞の増殖を妨げるのにも有用である。アン
チセンスオリゴマーは、標的遺伝子のmRNAに対して
相補的になり、そのRNAに結合してその翻訳を防ぎ、
その結果、標的遺伝子によってコードされるタンパク質
の合成を減少するか又は防ぐように構成されている。し
たがって、生理的条件下で核酸に安定的に結合する能力
がアンチセンス有用性を表す。加えて、アンチセンス化
合物は、標的遺伝子の特定のmRNAに結合するため
に、適切な配列結合特異性を有していなければならな
い。最後に、アンチセンス化合物は、生理的に有効であ
り、標的mRNAに到達するのに十分な可溶性をもたな
ければならない。これらのオリゴマーは、また、PCR
反応に使用するためのPCRプライマーとしても有用で
あり、PCRにおける安定で特異的な結合の利点を有
し、核酸ハイブリダイゼーションを用いる診断試験にお
けるプローブとしても有用である。
【0019】本発明のオリゴマーの3′及び5′末端残
基は、固相合成により適合した化合物を製造したり、望
ましい物理化学的性質を付与したりするために、いかな
る従来の方法で改質してもよい。
【0020】本発明の結合をもつオリゴマーの具体的な
用途は、色素増強のアンチセンス治療である。色素増強
は、メラノサイト(色素細胞)中の酵素チロシナーゼの
過剰産生の結果として起こる。チロシナーゼをコードす
るmRNAの該当部分に相当する配列を有する本発明の
オリゴマーを加えると(Muller, G.; Ruppert, S.; Sch
mid, E.; Schutz, G. EMBO 1988, 7, 2723-30 )、チロ
シナーゼ産生が阻害され、影響を受けた細胞の色素増強
が除かれる(Ando, S.; Ando, O.; Suemoto, Y.; Mishi
ma, Y. J. Invest. Dermatol. 1993, 100, 1505-1555)
(Kuzumaki, T.; Matsuda, A.; Wakamatsu, K.; Ito,
S.; Ishikawa, K. Expt. Cell Res. 1993, 207, 33-4
0)。色素増強を軽減するアンチセンスオリゴマーの効
力は、細胞ベースのアンチセンス検定、例えば実施例1
1の検定を用いて判定することができる。
【0021】低級アルキルとは、メチル、エチル、プロ
ピル又はブチルをいう。アラルキルとは、芳香族置換ア
ルキル、例えばベンジルをいう。アシルとは、有機酸か
らヒドロキシル基の除去によって誘導される有機残基、
例えば脂肪族又は芳香族の酸、例えば、それぞれ望むな
らば置換された形態にある酢酸若しくは安息香酸又は少
なくとも1個のヘテロ原子O、S若しくはNを含む5〜
6員環を含むことが好ましいヘテロポリ酸、例えば2−
フラン−カルボン酸若しくは2−ピリジン−カルボン酸
をいう。ヒドロキシ低級アルキルとは、ヒドロキシル基
が遊離状態であってもよいし、従来の保護基、例えばア
シル基、若しくはシリル基をはじめとするエーテル形成
基によって保護されていてもよいヒドロキシエチル、ヒ
ドロキシプロピルのような基をいう。
【0022】式(I)の塩基Bは、公知の天然又は改質
ピリミジン及びプリンヌクレオチド塩基の組み合わせを
含むことができる。好ましいヌクレオチド塩基残基は、
塩基アデニン、シトシン、グアニン、チミン及びウラシ
ルの天然残基である。当該技術において公知である改質
塩基、例えば7−デアザアデニン、5−アザシトシン又
は6−メルカプトプリンを用いてもよい。アンチセンス
オリゴマーの塩基の配列は、オリゴマーが、選択された
mRNAに対して相補的である塩基配列を示すように選
択される。
【0023】ひとたび望みの塩基配列を得ると、本発明
の中間体を使用して、本発明のアンチセンスオリゴマー
を相応に調製することができる。これらの中間体は、同
じく本発明の一部である以下の方法によって調製したの
ち、適当に結合させる。オリゴマーのRNA結合特性
は、従来の熱融解技術によって判定することができる。
【0024】もう一つの態様においては、本発明は、式
(II):
【0025】
【化6】
【0026】(式中、R1'は、従来のヒドロキシ保護
基、例えば炭素原子1〜4個を有する(C1 〜C4 )低
級アルキル、炭素原子1〜18個を有する(C1
18)アシル、ヒドロキシ低級アルキル又はベンジルで
あり、R2 は、H、アラルキル又はC1 〜C4 アルキル
であり、R3 は、アミノ保護基であり、R4 は、H又は
アシル保護基であり、そしてB′は、適当に保護された
ヌクレオシド塩基残基、例えばN−ベンゾイル若しくは
N−アセチルシトシン、N−ベンゾイルアデニン、チミ
ン、ウラシル又はN−アセチル若しくはN−イソブチリ
ルグアニンである)で示される中間体化合物に関する。
【0027】式(II)の化合物は、成分ヌクレオシドの
すべてがアミド結合によって結合しているオリゴマーの
合成を可能にする新規な中間体である。したがって、こ
れら式(II)の重要中間体及び式(II)の中間体を使用
する式(I)の化合物を製造する方法が本発明の目的で
ある。
【0028】好ましい式(II)の化合物においては、R
3 は、9−フルオレニルメトキシカルボニル、tert−ブ
チルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ア
リルオキシカルボニル、トリフェニルメチル又は4,
4′−ジメトキシトリチルである。もう一つの好ましい
化合物においては、R4 は、tert−ブチル、炭素原子1
〜4個を有する低級アルキル、ベンジル、フェニル又は
2−トリメチルシリルエチルである。好ましいR3 とR
4 との組み合わせが本発明の化合物を形成する。式(I
I)の各化合物は、そのヌクレオシド塩基として、上述
の塩基から選択される1個の塩基を有している。特定の
実施態様においては、R2 は、Hである。
【0029】本発明のもう一つの中間体化合物は、式
(III ):
【0030】
【化7】
【0031】(式中、R7 は、ヒドロキシ保護基であ
り、R4 は、H又はアシル保護基であり、R1 ′は、従
来のヒドロキシ保護基であり、そしてB′は、適当に保
護されたヌクレオシド塩基残基である)の化合物であ
る。
【0032】式(I)のオリゴマー及びそれらの医薬的
に許容しうる塩は、例えば医薬製剤の形態にある薬剤と
して使用することができる。
【0033】アンチセンスオリゴマーを含有する医薬製
剤は、局所的に、例えば皮内的に、又は軟膏として皮膚
に投与することもできるし、注射又は徐々に時間をかけ
ての輸液によって非経口的に投与することもできる。こ
れらは、静脈内的に、腹腔内的に、筋内的に、皮下的
に、又は経口的に投与することができる。
【0034】医薬製剤の製造のために、式(I)のオリ
ゴマー及びそれらの医薬的に許容しうる塩は、治療上不
活性の担体と配合することができる。非経口的投与に用
いる製剤には、無菌又は水性若しくは非−水性の溶液、
懸濁液及び乳濁液がある。非−水性担体の例は、プロピ
レングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、例
えばオリーブ油及び注射可能な有機エステル、例えばオ
レイン酸エチルである。水性担体には、食塩水及び緩衝
媒体を含む、水、アルコール溶液/水溶液、乳濁液又は
懸濁液がある。非経口的担体には、塩化ナトリウム溶
液、リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化
ナトリウム、ラクテート化リンゲル又は固定油がある。
静脈内賦形剤には、流体及び栄養素補充物、電解質補充
物、例えばリンゲルデキストロースに基づくものなどが
ある。特に、オリゴマーを細胞及びその内部に運ぶこと
ができる担体、例えばリポソーム、PEG化リポソーム
又はカチオン性脂質を使用することができる。防腐剤及
び他の添加物、例えば抗菌剤、酸化防止剤、キレート化
剤、不活性ガスなどを含めてもよい。例えば、Remingto
n's Pharmaceutical Science, 18th Ed., Mack Eds., 1
990 を参照するとよい。
【0035】特に、本発明は、細胞中の標的タンパク質
の産生を減らす医薬組成物であって、該細胞中の標的タ
ンパク質をコードする核酸(例えばmRNA)配列に結
合し、該タンパク質の産生を減らすのに有効な量の、上
述の式(I)の化合物のいずれかと、医薬的に許容しう
る担体とを含む組成物を含む。
【0036】式(I)の化合物若しくはその医薬的に許
容しうる塩及び治療上許容しうる担体を含有する薬剤並
びにそのような薬剤を製造する方法も、また、本発明の
目的である。この方法は、式(I)の化合物若しくはそ
の医薬的に許容しうる塩を、治療上不活性な担体物質と
混合し、その混合物をガレヌス剤形にすることを含む。
【0037】上述したように、式(I)の化合物及びそ
れらの医薬的に許容しうる塩は、細胞中の標的タンパク
質の産生を減らすために使用することができる。アンチ
センスオリゴマーの投与用量範囲は、不必要な実験を行
わなくても、当業者であれば決定することができる。一
般に、適当な用量は、所望の効果をもたらすのに十分で
ある用量である。用量は、副作用、例えば不要な交差反
応、アナフィラキシー反応などを引き起こすほど大量で
あるべきではない。一般に、用量は、患者の年齢、症
状、性別及び病気の進行の程度、対指標、場合によって
は免疫寛容及び個々の医師によって調節されるその他の
変動要素に応じて異なる。
【0038】本発明をさらに説明するために以下の実施
例を提供する。ただし、本発明をいかなるふうにも限定
するつもりはない。
【0039】モノマー構成単位の合成 式(II)の重要中間体を得るためのもっとも直接的な合
成は、リボヌクレオシド、例えばアデノシン、ウリジ
ン、グアノシン及びシチジンを出発原料として用い、次
いで、C−3′のヒドロキシ基を炭素置換基で置換する
方法を考えることである。同様な戦略が、ラジカル化学
反応を利用する2′−デオキシ類自体の合成に応用され
ている(Fiandor, J.; Tam, S. Tet. Lett. 1990, 31,
597 )。しかし、リボヌクレオシド系では、その同じラ
ジカル反応が望みの立体特異性を与えない。
【0040】以下の新規な合成がこの問題を具体的に扱
うことができる(一般スキームA)。出発原料は、市販
のD−キシロースである。C−1及びC−2のOH基を
ケタールとして保護し、C−5のヒドロキシル基を第一
級アルコール(R7 )の従来の保護基、例えばトリチル
若しくはジメチル−tert−ブチルシリル又は好ましくは
スルホニル基、例えばトルエンスルホニル(Ts)、メ
タンスルホニル(Ms)若しくはトリフルオロメチルス
ルホニル(Tf)で保護したのち、残るOH基を従来の
方法、例えばDMSO/酢酸無水物又はTEMPOで、
ケトン(IV)に酸化する。ウィッテヒ又はホーナータイ
プ試薬による(IV)のケトンのオレフィン化は、シス及
びトランス不飽和エステルの混合物(V)を与える。R
4 は、従来のアシル保護基である。本発明にしたがって
使用することができるアシル保護基には、R4 が、それ
に結合した酸素と一緒になって、加水分解性エステルを
形成するそれらである。混合物(V)が接触水素化を受
けて、望みの生成物(VI)にリボ配置を付与する。この
高い立体特異性は、試薬のエキソ攻撃をのみ許す二環系
の剛性配座によって制御される。(VI)のケタール基を
加水分解したのちアシル化することにより、R8 がアル
キル又はアリール基である酢酸グリコシル(VII )が得
られ、これを、従来の方法により、ヌクレオシドカップ
リング反応に直接使用することができる。シリル化した
形態の適当に保護されたヌクレオ塩基、酢酸フラノシル
及び活性化剤、例えばトリフルオロメタンスルホン酸ト
リメチルシリル、塩化第二スズ又はルイス酸触媒をβ−
ヌクレオシドの合成に使用する手順が当該技術において
周知である。例えば、中間体(VII )を、天然のヌクレ
オ塩基、例えばシトシン、ウラシル、チミン、グアニン
及びアデニンをもつもの並びに非天然の塩基、例えば7
−デアザアデニン、5−アザシトシン、6−メルカプト
プリンをもつものなどを含む多様なヌクレオシド(VII
I)の調製に使用することができる。(VIII)のC−
5′位置への窒素原子の導入は、アジド又はフタルイミ
ド基によるスルホネートの置換により、容易に達成され
る。続いて、例えば選択的な水素化によってアジドを還
元するか、又はフタルイミド基を脱保護するかして、ア
ミン(IX)を生成させる。
【0041】R2 が水素である一般式(X)の化合物の
場合、式(IX)の化合物から、試薬、例えば9−フルオ
レニルメチルクロロホルメート、N−(9−フルオレニ
ルメトキシカルボニルオキシ)スクシンイミド、2−te
rt−ブトキシカルボニルオキシイミノ)−2−フェニル
アセトニトリル(BOC−ON)、ベンジルクロロホル
メート又は塩化4,4′−ジメトキシトリチルを用いる
一般に知られる方法によって容易に得ることができる。
2 が低級アルキル又はアラルキルである一般式(X)
の化合物の場合、式(IX)の化合物から、還元アミノ化
及びアミノ保護処理によって容易に得ることができる。
【0042】この時点で、(X)中のエステル基の最終
的な除去、例えばベンジルエステルの水素化が、オリゴ
マー合成のための適当に保護されたモノマー構成単位
((X)、R4 =(II)と同様H、R1'=−COR8
を提供する。
【0043】ヌクレオシド形成段階の前にC−5アミノ
官能基を導入しうることを指摘すべきである。このよう
に、(XI)は、R1'=−COR8 である一般式(II)の
種々のヌクレオシドのためのより進んだ共通の中間体で
ある。
【0044】R1'=低級アルキル、ベンジル、保護され
たアルカノール(ヒドロキシ−アルキル)であり、R4
=Hである式(II)の化合物は、一般スキームBにした
がって調製される。このスキームの要点は、式(VI)の
化合物からの4−ペンテニルグリコシド中間体(XIV )
の調製(一般スキームAを参照)である。したがって、
中間体(VI)を4−ペンテニル−1−オール及びトリフ
ルオロメタンスルホン酸TMSで処理して、ラクトン
(XII )を得る。次に、このラクトンを、トリエチルア
ミン−メタノール−水の混合物での処理によって開裂さ
せてヒドロキシ酸を得ることができ、これを従来のアル
キル化方法によって一般構造(XIII)の化合物に転換す
る。(XIII)におけるアノマー中心のペンテニルアルコ
キシ基が、C−2のOH基のこの簡単なアルキル化(例
えば、ナトリウム水素化物の存在においてハロゲン化ア
ルキル又はω−OH−ハロゲン化アルキルの誘導体を使
用する)の間に保護基として作用することができるが、
ヌクレオシドカップリング段階で再活性化することがで
きる。(XIII)における酸保護基、例えばベンジル基を
加えたのち、ヌクレオ塩基を、すでに望みのアルキル置
換基をC−2に含む炭水化物成分に導入する(式(XIV
)を参照)。このペンテニルグリコシドは、また、当
該技術において周知である方法により、他の脱離基、例
えばアセタート又はハロゲンに容易に転換することがで
きる。この方法の例をスキーム10に示す。
【0045】式(XV)の化合物は、また、一般スキーム
Aに論じた方法により、重要中間体(XVI )(R1'=低
級アルキル、ベンジル、保護されたヒドロキシ−アルキ
ルであり、R4 =Hである式(II)の化合物)に転換す
ることができる。
【0046】さらなる変形として、ヌクレオ塩基を導入
する前に、(XVI )を、まず、より進んだ共通の中間体
である(XVII)に転換することもできる。
【0047】アルキル基を2′−OH位置に導入するた
めの別の合成経路を一般スキームCに示す。この経路で
は、もっとも有用な中間体は(XIX )であり、これは、
(VIII)のエステル基の加水分解から調製される(XVII
I )のカルボキシル基の選択的アルキル化によって得ら
れる。ヌクレオ塩基の保護基の付随的な加水分解を避け
るには、酵素的方法又はより選択性の塩基、例えばカリ
ウムトリメチルシラノエートを用いることができる。望
みの置換基を2′−OH位置に導入したのち、一般スキ
ームAに論じる手順により、化合物(XV)を、R1'=低
級アルキル、ベンジル、保護されたヒドロキシ−アルキ
ルであり、R4 =Hである重要中間体(II)に転換する
ことができる。
【0048】
【化8】
【0049】
【化9】
【0050】
【化10】
【0051】オリゴマーの合成 一般式(II)の適当に保護されたモノマー構成単位のオ
リゴマーへの構成は、固相方法又は従来の溶液相カップ
リング方法によって実施することができる。適当なリン
カ又は樹脂を選択することにより、オリゴマーを、遊離
C末端カルボン酸(Y=OH)又はアミド(Y=NH
2 )のいずれかとして合成することができる。例えばヒ
ドロキシメチルタイプの樹脂(例えばWang樹脂)を用い
る場合、酸性開裂はオリゴマーを酸として与えるが、ア
ミノリシスはアミドを与える。あるいはまた、Rink酸リ
ンカ及びRinkアミドリンカを使用することにより、固体
支持体からのオリゴマーの簡単な弱酸性開裂により、酸
生成物又はアミド生成物をそれぞれ得ることができる。
これらの方法は当業者に周知である。参考として、9−
フルオレニルメトキシカルボニルで保護されたアミノ酸
を用いるものを含め、固相法に関する多数のレビユウが
発表されている(Field, G. and Noble, R. Int. J. Pe
ptide Protein Res. 35, 1990, 161-214)。溶液相法に
よるダイマーの合成を実施例5及び6に例示する。
【0052】固相合成の詳細な手順を実施例8に例示す
る。この実施例では、分析の目的に、リシンをC末端に
カップリングした。
【0053】X=H、OH又はOR1 である一般式
(I)のオリゴマーの調製の場合、一般式(III )のモ
ノマー構成単位をオリゴマーアセンブリの最終段階に使
用することができる。この一般的なタイプの化合物(II
I )は、当該技術において公知の従来の方法により、式
(VIII)及び(XV)(それぞれ一般スキームA及びBに
示す)から容易に得ることができる。例えば、スルホネ
ート基を、還元反応(例えばリチウムアルミニウム水素
化物)によって水素に還元したり、安息香酸ナトリウム
の置換反応によって酸素官能基に交換したりすることが
できる。XがNHアシルである式(I)のオリゴマーの
調製の場合、従来の固相オリゴマー合成のキャッピング
工程中に、選択したアシル基を導入することができる。
【0054】
【化11】
【0055】
【化12】
【0056】
【化13】
【0057】
【化14】
【0058】
【化15】
【0059】
【化16】
【0060】
【化17】
【0061】
【化18】
【0062】
【化19】
【0063】
【化20】
【0064】
【化21】
【0065】
【実施例】
実施例1 チミン構成単位11の合成 工程1:化合物2の合成 CH2 Cl2 125ml中の1,2−イソプロピリデン−
a−D−キシロフラノース1(pfanstiehl)40.0g
の溶液を乾燥ピリジン40mlで処理し、−5℃に冷却し
た。次に、それを、CH2 Cl2 140ml中の塩化トシ
ル44.2g の溶液で30分間処理した。反応混合物を
室温まで温めながら一夜攪拌したのち、反応混合物をC
2 Cl2 500mlで希釈し、水800mlで洗浄し、最
後に食塩水400mlで洗浄した。有機相をNa2 SO4
上で乾燥し、ろ過し、濃縮し、さらに高減圧下に一夜乾
燥して、粗生成物75.0g を灰色がかった白色の固体
として得た。CH2 Cl2 /ヘキサンを使用して粗生成
物を結晶化させて、純粋なトシレート2(56.7g )
を得た。1 H−NMR(ppm )2.44(3H、トシル−C
3 )、5.89(1H、アノマー性H−1)、7.34
及び7.80(4H、トシル−フェニル)
【0066】工程2:化合物3の合成 DMSO130ml中のトシレート2(7.24g )の溶
液を酢酸無水物84mlで処理し、反応混合物を室温で一
夜攪拌した。反応混合物をEtOAc250ml及び水1
00mlで希釈し、30分間攪拌し、有機相を分離した。
水相をEtOAc250mlで洗浄した。有機相を合わ
せ、水800mlで洗浄し、続いて飽和NaHCO3 40
0mlで洗浄した。有機相を分離し、最後に食塩水200
mlで洗浄した。次に、それをNa2 SO4 上で乾燥し、
濃縮して、粗生成物を得た。溶離剤としてヘキサン/E
tOAcを1.1:1の比率で使用したシリカゲルカラ
ムで精製して、ケトン3(5.54g )を非常に薄い黄
色の油状物として得た。1 H−NMR(ppm )2.44(3H、トシル−C
3 )、6.15(1H、アノマー性H−1) IR(cm-1)1783(ケトン振動) (+)EI(MW)342
【0067】工程3:化合物4の合成(a及びb) CH3 CN80ml中のケトン3(4.01g )の溶液を
酢酸メチル(トリフェニルホスホルアニリデン)7.8
3g で処理した。この薄黄色の反応混合物を還流状態で
3.5時間加熱したのち、室温に冷却し、濃縮乾固し
た。得られた残渣を再び最小量のCH2 Cl2 に溶解
し、シリカゲルカラムに充填し、ヘキサン/EtOAc
(1.9:1)を溶離剤として使用して溶離して、アル
ケン4a及び4b合わせて2.74g を得た。1 H−NMR(ppm )2.44(3H、トシル−C
3 )、5.8〜5.9(1H、アルケンー) IR(cm-1)1725(エステル振動) (+)EI(MW)398
【0068】工程4:化合物5の合成 EtOAc20ml中のアルケン4(1.65g )の溶液
を10%Pd/Cと共に水素雰囲気下に7時間、STP
条件下で攪拌した。次に、この溶液をセライトパッドに
通してろ過した。ろ液を濃縮して、粗生成物を白色の固
体として得た。MeOH/Et2 Oを使用して生成物を
結晶化させて、飽和エステル5(1.18g )を得た。1 H−NMR(ppm )2.45(3H、トシル−C
3 )、3.71(3H、COOC 3 )、5.71(1
H、アノマー性H−1) IR(cm-1)1734(エステル振動) (+)FAB(M+1)401
【0069】工程5:化合物6の合成 THF70ml中のメチルエステル5(7.3g )の溶液
を室温で0.5N のNaOH40mlで処理し、3時間攪
拌した。反応が完了したのち、それを濃縮乾固し、残渣
を0℃でDMF70mlに取った。次に、この溶液をNa
HCO3 5.2g 及び臭化ベンジル3.3mlで処理し
た。反応物を、室温まで温めながら一夜攪拌した。
【0070】反応混合物を濃縮乾固し、残渣をCH2
2 200mlとH2 O(50ml)とに分配した。有機相
を分離し、食塩水で洗浄したのち、Na2 SO4 上で乾
燥し、濃縮して粗生成物を得た。次に、これをヘキサン
100mlずつで2回洗浄し、ヘキサン相をデカントし、
高減圧下に固体を乾燥して、純粋なベンジルエステル6
(7g )を白色の固体として得た。1 H−NMR(ppm )5.70(1H、アノマー性H−
1)、5.14及び5.16(2H、PhC 2 ) (+)FAB(M+1)477 IR(cm-1)1733(エステル振動)
【0071】工程6:化合物7の合成 CH2 Cl2 105ml中のベンジルエステル6(8.4
8g )の溶液を、−78℃でブロモジメチルボラン5ml
で処理し、2時間攪拌した。冷却浴を取り除き、反応物
をさらに3時間攪拌した。10分間かけて、反応混合物
を、十分に攪拌したNaHCO3 /THF(4:1)の
飽和溶液150mlにゆっくりと注加した。次に、この溶
液をさらに15分間攪拌した。そして、これをCH2
2 250ml及びH2 O(10ml)で希釈した。有機相
を分離し、食塩水100mlで洗浄し、Na2 SO4 上で
乾燥し、濃縮して、粗生ジヒドロキシ中間体7.8g を
得た。
【0072】粗生成物を乾燥酢酸無水物18mlに溶解
し、0℃に冷却した。次に、それをピリジン8.5mlで
処理し、室温まで温めながら一夜攪拌した。反応混合物
を0℃のH2 O(10ml)で反応を止め、15分間攪拌
した。次に、反応混合物を高減圧下に50℃で濃縮乾固
した。残渣をEtOAc300mlに溶解し、まずH2
(125ml)、次に食塩水125mlで洗浄した。次に、
EtOAc層をNa2 SO4 上で乾燥し、濃縮して、ジ
アセタート7(8.6g )を泡状固体として得た。1 H−NMR(ppm )6.22(1H、アノマー性H−
1)、2.01及び2.04(6H、OCOC 3 ) (+)FAB MW520 IR(cm-1)1746(エステル振動)
【0073】工程7:化合物8の合成 ジクロロエタン105ml中のジアセタート7(8.6g
)及びN,O−ビス(トリメチルシリル)−チミン
7.21g の懸濁液を、蒸留直後の塩化スズ(IV)2.
6mlで処理し、反応混合物を室温で2時間攪拌し、その
後、90℃で1時間穏和に還流した。次に、反応混合物
を室温に冷却し、CH2 Cl2 25mlで希釈し、H2
(10ml)で反応を止めた。30分間攪拌したのち、C
2 Cl2 300ml及びH2 O(150ml)でさらに希
釈した。次に、有機相を分離し、食塩水150mlで洗浄
し、Na2 SO4 上で乾燥し、濃縮して、ヌクレオシド
8(8.8g )を白色の泡状固体として得た。1 H−NMR(ppm )5.80(1H、アノマー性H−
1)、7.92(s、1H、CONHCO) (+)FAB(M+1)587 IR(cm-1)1694(アミド振動)
【0074】工程8:化合物9の合成 DMF80ml中のヌクレオシド8(8.8g )の溶液を
NaN3 4.94g と共に激しく攪拌し、反応混合物を
75℃に温めた。反応混合物をこの温度で6時間攪拌し
た。次に、これを室温に冷却し、回転エバポレータ上5
0℃で濃縮乾固した。残渣をEtOAc300mlとH2
O(200ml)とに分配した。有機相を分離し、食塩水
溶液100mlで洗浄し、Na2 SO4 上で乾燥し、濃縮
し、CH2 Cl2 /MeOH19:1を用いたクロマト
グラフィーに付して、アジド9(5.7g )を得た。1 H−NMR(ppm )5.77(1H、アノマー性H−
1) (+)FAB(M+1)458 IR(cm-1)2107(N3
【0075】工程9:化合物10の合成 MeOH50ml中のアジド9(4.14g )と10%P
d/C1.06g との混合物をH2 雰囲気下にSTP条
件で攪拌した。反応混合物を20時間攪拌したのち、セ
ライトパッドに通してろ過した。ろ過ケークをMeOH
25mlで洗浄し、合わせたろ液を濃縮して、アミノ酸1
0(3.08g )を得て、これをそのまま次の工程に使
用した。1 H−NMR(ppm )5.77(1H、アノマー性H−
1) (+)FAB(M+1)342 IR(cm-1)3000(COOH振動)
【0076】工程10:化合物11の合成 1,4−ジオキサン/H2 O(1:1)50ml中のアミ
ノ酸10及びN−(9−フルオレニルメトキシカルボニ
ルオキシ)−スクシンミド3.39g の溶液を0℃に冷
却した。次に、これをNaHCO3 1.95g で処理
し、4時間攪拌した。冷却浴を取り除き、室温でさらに
4時間攪拌を続けた。処理の間、反応混合物を回転エバ
ポレータ上50℃で濃縮乾固した。残渣をH2 O(20
0ml)及びEtOAc75mlに取った。水相を分離し、
1.0N のHClでpH4の酸性とし、凍結乾燥した。粗
生成物を、H2 O/CH3 CNを1.86:1の比率で
溶離剤として用いた逆相シリカゲルカラム上で精製し
て、純粋な化合物11(2g )を白色の固体として得
た。1 H−NMR(ppm )5.64(1H、アノマー性H−
1)、11.4(1H、FmocN) (+)FAB(M+1)564 IR(cm-1)1696(アミド振動)、3401(CO
OH振動)
【0077】実施例2 アデニン構成単位17の合成 工程11:化合物12の合成 DMF6.6ml中のトシレート6(712mg)の溶液
を、アジ化ナトリウム512mgと共に激しく攪拌し、反
応混合物を65℃に温めた。反応混合物をこの温度で5
時間攪拌した。次に、これを室温に冷却し、回転エバポ
レータ上45℃で濃縮乾固した。残渣をEtOAc15
0mlとH2 O(75ml)とに分配した。有機相を分離
し、食塩水溶液40mlで洗浄し、Na2 SO4 上で乾燥
し、濃縮し、ヘキサン/EtOAc2:1を用いたクロ
マトグラフィーに付して、アジド12(467mg)を得
た。1 H−NMR(ppm )5.82(1H、アノマー性H−
1)、5.15(2H、PhC 2 ) IR(cm-1)2100(N3
【0078】工程12:化合物13の合成 EtOAc5ml中のアジド12(130mg)の溶液を、
リンドラー触媒58mgと共に、H2 雰囲気下にSTP条
件で攪拌した。反応混合物を6時間攪拌したのち、セラ
イトパッドに通してろ過した。ろ過ケークをEtOAc
25mlで洗浄し、合わせたろ液を濃縮して、アミノ酸1
3(100mg)を得て、これをそのまま次の工程に使用
した。1 H−NMR(ppm )5.77(1H、アノマー性H−
1)、5.15(2H、PhC 2 ) IR(cm-1)アジド振動は見られず。
【0079】工程13:化合物14の合成 アセトニトリル2ml中のアミン13(100mg)の溶液
を、まずトリエチルアミン0.07ml、次にFMOC−
Cl(88mg)で処理し、反応混合物を室温で3時間攪
拌した。次に、反応混合物を濃縮乾固した。得られた残
渣をCH2 Cl2 2mlに再び溶解し、シリカゲルカラム
に充填し、ヘキサン/EtOAc2:1を使用して溶離
させて、純粋な化合物14(95mg)を得た。1 H−NMR(ppm )5.80(1H、アノマー性H−
1)、5.15(2H、PhC 2 )、4.20〜4.
40(3H、Fmoc−C 2) IR(cm-1)3451(NH振動)、1725(COO
Bn振動) (+)FAB(M+1)544
【0080】工程14:化合物15の合成 CH2 Cl2 55ml中の化合物14の溶液を、−78℃
でブロモジメチルボラン2.9mlで処理し、1.5時間
攪拌した。反応混合物を0℃に温め、さらに1時間攪拌
した。これを飽和NaHCO3 10mlで反応を止め、3
0分間攪拌した。次に、反応混合物をEtOAc300
ml及びH2 O(75ml)で希釈した。有機相を分離し、
飽和NaHCO3 100ml及び食塩水100mlで洗浄
し、Na2SO4 上で乾燥し、濃縮して、粗生ジヒドロ
キシ中間体を得た。
【0081】粗生成物を乾燥酢酸無水物5.4mlに溶解
し、0℃に冷却した。次に、それを乾燥ピリジン12.
0mlで処理し、室温まで温めながら一夜攪拌した。それ
を0℃のH2 O(10ml)で反応を止め、15分間攪拌
した。次に、反応混合物を高減圧下に50℃で濃縮乾固
した。残渣をEtOAc300mlに溶解し、まずH2
(125ml)、次に食塩水125mlで洗浄した。EtO
Ac相をNa2 SO4上で乾燥し、濃縮して粗生成物を
得て、これを、ヘキサン/EtOAc9:5を用いてク
ロマトグラフィーに付して、ジアセタート15(3.8
5g )を泡状固体として得た。1 H−NMR(ppm )4.23〜4.42(3H、Fm
oc−C 2)、6.36(1H、アノマー性H−
1) IR(cm-1)3400(幅広なNH振動)、1740
(COOBn振動) (+)FAB MW587
【0082】工程15:化合物16の合成 トルエン20ml中のジアセタート15(1.51g )及
びN−6,7−ビス(トリメチルシリル)−N−6−ベ
ンゾイルアデニン9.5g の懸濁液を、TMSOTf
1.0mlで処理し、反応混合物を室温で一夜攪拌した。
次に、反応混合物を高減圧下に45℃で濃縮乾固した。
残渣をEtOAc250mlとH2 O(125ml)とに分
配した。有機相を分離し、飽和NaHCO3 100ml及
び食塩水100mlで洗浄し、Na2 SO4 上で乾燥し、
濃縮し、CH2 Cl2 /MeOH65:1を用いてクロ
マトグラフィーに付して、純粋な16(920mg)を白
色の固体として得た。1 H−NMR(ppm )2.02(1H、OCOC
3 )、4.20〜4.40(3H、Fmoc−C 2
)、5.95(1H、アノマー性H−1)、6.92
(1H、Fmoc−N)、8.06(1H、アデニン
−C−2)、8.71(1H、アデニン−C−8
)、8.97(1H、NCOPh) IR(cm-1)3400(幅広なNH振動)、1737
(COOBn振動)、1714(NHCOO−ウレタン
振動) (+)FAB(M+1)767
【0083】工程16:化合物17の合成 MeOH15ml中のヌクレオシド16(760mg)と、
HCOOH5滴との混合物を、10%Pd/C310mg
と共に、H2 雰囲気下にSTP条件で攪拌した。反応混
合物を18時間攪拌したのち、セライトパッドに通して
ろ過した。ろ過ケークをMeOH25mlで洗浄し、合わ
せたろ液を濃縮して粗生成物を得て、これを、H2 O/
CH3 CNを1.5:1の比率で溶離剤として用いた逆
相シリカゲルカラム上で精製して、純粋な化合物17を
白色の固体432mgとして得た。1 H−NMR(ppm )2.16(1H、OCOC
3 )、4.28〜4.45(3H、Fmoc−C 2
)、6.03(1H、アノマー性H−1)、7.20
(1H、Fmoc−N)、8.16(1H、アデニン
−C−2)、8.75(1H、アデニン−C−8
)、9.42(1H、NCOPh) IR(cm-1)3400(幅広なNH振動)、1709及
び1720(酸及びエステルの幅広な振動) LR−EI(M+1)677
【0084】実施例3 シトシン構成単位19の合成 工程17:化合物18の合成 トルエン2ml中のジアセタート15(91mg)及びトリ
メチルシリル−−6−ベンゾイルシトシン76mgの溶
液をTMSOTf0.07mlで処理し、反応混合物を室
温で一夜攪拌した。反応物をCH2 Cl2 50mlで希釈
し、食塩水25mlで洗浄し、続いて飽和NaHCO3
5mlで洗浄し、Na2 SO4 上で乾燥し、濃縮乾固し
た。残渣をメタノールから再結晶して、純粋な18(6
9mg)を白色の固体として得た。1 H−NMR(ppm )2.02(3H、OCOC
3 )、4.25〜4.50(3H、Fmoc−C 2
)、5.11(2H、C 2 Ph)、5.63(1
H、C−1′−)、8.66(1H、NCOPh) FAB MW742
【0085】工程18:化合物19の合成 ベンジルエステル18(0.65g )をジオキサン65
ml及び0.1%ギ酸に溶解し、10%Pd/C285mg
と共に、H2 雰囲気下にSTP条件で攪拌した。反応物
を64時間攪拌したのち、セライトパッドに通してろ過
した。ろ過ケークをCH2 Cl2 200mlで洗浄し、合
わせたろ液を濃縮して粗生成物を得て、これを、CH2
Cl2 /MeOHを用いたクロマトグラフィーに付し
て、純粋な19(356mg)を白色の固体として得た。1 H−NMR(ppm )2.10(3H、COC 3 )、
4.20〜4.40(3H、Fmoc−C 2)、
5.49(1H、C−2′−)、5.68(1H、C
−1′−)、8.23(1H、シトシン−C−6−
) UV(MeOH)max 261nm、=37,600、
max 288nm、=11,900 IR(cm-1)1706(酸振動)、1671(アミド振
動) (+)FAB MW652 C353249 ・1H2 OのCHN 計算値C=62.68、H=5.11、N=8.35 実測値C=62.29、H=4.92、N=8.20
【0086】実施例4 グアニン構成単位23の合成 工程19:化合物20の合成 トルエン4ml中のトシルジアセタート7(0.26g )
及びトリメチルシリル−−2−アセチル−6−−ジ
フェニルカルバモイルグアニン0.39g の溶液をTM
SOTf0.12mlで処理し、50℃で2時間攪拌し
た。混合物を室温まで冷却し、トリエチルアミン0.9
mlで処理し、溶媒を蒸発させて油状物を得た。この粗生
成物を、CH2 Cl2 /酢酸エチル1:1を用いたクロ
マトグラフィーに付して、純粋なヌクレオシド20(2
16mg)を得た。1 H−NMR(ppm )2.00(3H、COC 3 )、
2.29(3H、COC 3 )、2.37(3H、Ph
3 )、5.11(2H、OC 2 Ph)、5.62
(1H、C−2′−)、5.81(1H、C−1′−
)、7.89(1H、プリンC−8−)、8.03
(1H、NOCH3 ) (+)FAB MW848 UV(MeOH)max 226nm、=38,400、
max 278nm、=11,200 IR(cm-1)3428〜3396(幅広アミド振動)、
1740(エステル振動)、1695(アセタート及び
アミド振動) C4340611SのCHN 計算値C=60.84、H=4.75、N=9.90 実測値C=60.89、H=4.65、N=9.83
【0087】工程20:化合物21の合成 DMF25ml中のトシルヌクレオシド20(0.85g
)及びアジ化リチウム2.3g の溶液を60℃で5時
間攪拌した。反応混合物から溶媒を蒸発させ、CH2
2 と食塩水とに分配した。有機相をNa2 SO4 上で
乾燥し、蒸発し、CH2 Cl2 /MeOH25:1を用
いたクロマトグラフィーに付して、アジド21(265
mg)を得た。1 H−NMR(ppm )2.08(3H、COC 3 )、
2.27(3H、COC 3 )、5.14(2H、OC
2 Ph)、5.80(1H、C−1′−)、5.9
1(1H、C−2′−)、7.79(1H、プリン−
C−8−)、8.88(1H、N) (+)FAB MW524 UV(pH1)max 260nm、=17,400、(pH
7)max 258nm、=16,850、(pH12)max
264nm、E=13,900 IR(cm-1)2102(アジド振動)、1741(エス
テル振動)、1678(アミド振動) C232487 のCHN 計算値C=52.67、H=4.61、N=21.36 実測値C=52.11、H=4.47、N=20.95
【0088】工程21:化合物22の合成 MeOH15ml中のアジド21(0.28g )の溶液
を、10%Pd/C114mgと共に、H2 雰囲気下にS
TP条件で攪拌した。反応物を5時間攪拌し、セライト
パッドに通してろ過した。ろ過ケークをメタノールで洗
浄し、次に水で洗浄した。ろ液から溶媒を蒸発させて、
粗アミノ酸22(192mg)を得た。
【0089】工程22:化合物23の合成 CH3 /CN/THF(1:1)50ml中のアミノ酸2
2(192mg)の溶液を、トリエチルアミン0.21ml
及びFmoc−ヒドロキシ−スクシンイミド199mg
で、まず4℃で、次に室温で、1時間処理した。反応混
合物を濃縮乾固し、CH2 Cl2 /MeOH(5:2)
に溶解して、純粋な化合物23(139mg)を得た。1 H−NMR(ppm )2.08(3H、COC 3 )、
2.15(3H、COC 3 )、4.19(3H、Fm
oc C 2 )、5.61(1H、C−2′−
)、5.87(1H、C−1′−) (+)FAB MW630 UV(MeOH)max 261nm、=27,600、
max 288nm、=12,500 IR(cm-1)2880〜3500(幅広なOH及びNH
振動)
【0090】実施例5 ダイマー30の合成 工程23:化合物24の合成 CH2 Cl2 12ml中のメチルエステル5(1.04g
)の溶液を、−78℃でブロモジメチルボラン1.1m
lで処理し、2時間攪拌した。冷却浴を取り除き、反応
物をさらに1時間攪拌した。10分間かけて、反応混合
物を、十分に攪拌したNaHCO3 /THF(2:1)
の飽和溶液75mlに注加した。次に、この溶液をさらに
20分間攪拌した。次に、これをCH2 Cl2 150ml
及びH2 O(100ml)で希釈した。有機相を分離し、
食塩水100mlで洗浄し、Na2 SO4 上で乾燥し、濃
縮して、粗生ジヒドロキシ中間体7.8g を得た。
【0091】粗生成物を乾燥酢酸無水物10.0mlに溶
解し、0℃に冷却した。次に、これを乾燥ピリジン5.
0mlで処理し、室温まで温めながら一夜攪拌した。それ
を0℃のH2 O(10ml)で反応を止め、15分間攪拌
した。次に、反応混合物を高減圧下に50℃で濃縮乾固
した。残渣をEtOAc150mlに溶解し、まずH2
(50ml)、次に食塩水125mlで洗浄した。次に、E
tOAc相をNa2 SO4 上で乾燥し、濃縮して、ジア
セタート24(1.07g )を泡状固体として得た。1 H−NMR(ppm )6.03及び6.20(1H、ア
ノマー性H−1−a及びb)、3.70(s、3H、C
OOC 3 )、2.06及び2.09(s、6H、OC
OC 3 ) IR(cm-1)1745(エステル振動)
【0092】工程24:化合物25の合成 ジクロロエタン33ml中のジアセタート24(2.85
g )及びN,O−ビス(トリメチルシリル)−チミン
2.37g の懸濁液を、蒸留直後の塩化スズ(IV)0.
75mlで処理し、反応混合物を室温で2時間攪拌し、そ
の後、1時間還流した。次に、反応混合物を室温に冷却
し、CH2 Cl2 25mlで希釈し、H2 O(10ml)で
反応を止めた。
【0093】30分間攪拌したのち、CH2 Cl2 50
ml及びH2 O(100ml)でさらに希釈した。次に、有
機相を分離し、食塩水溶液150mlで洗浄し、Na2
4上で乾燥し、濃縮して粗生成物を得て、これを、C
2 Cl2 /MeOH(30:1)を溶離剤として使用
したクロマトグラフィーに付して、ヌクレオシド25
(3.15g )を白色の泡状固体として得た。1 H−NMR(ppm )5.69(1H、アノマー性H−
1)、5.40(1H、H−2)、3.64(3H、C
OOC 3 )、2.06(3H、OCOC 3 )、1.
89(3H、チミン−C 3 ) (+)FAB(M+1)511 IR(cm-1)1693(ラクタム振動)、1739(エ
ステル振動)
【0094】工程25:化合物26の合成 DMF3.0ml中ヌクレオシド25(263mg)の溶液
を、アジ化ナトリウム234mgと共に激しく攪拌し、反
応混合物を75℃に温めた。反応混合物をこの温度で3
時間攪拌した。次に、これを室温に冷却し、回転エバポ
レータ上50℃で濃縮乾固した。残渣をEtOAc10
0mlとH2 O(50ml)とに分配した。有機相を分離
し、食塩水溶液25mlで洗浄し、Na2 SO4 上で乾燥
し、濃縮し、CH2 Cl2 /MeOH30:1を用いた
クロマトグラフィーに付して、アジド26(190mg)
を得た。1 H−NMR(ppm )5.73(1H、アノマー性H−
1)、5.48(1H、H−2)、3.70(3H、C
OOC 3 )、1.90(3H、チミン−C 3) (+)FAB(M+1)382 IR(cm-1)2107(N3 )、1739(エステル振
動)、1694(ラクタム振動)
【0095】工程26:化合物27の合成 メタノール3ml中のアジド26(98mg)の溶液を0℃
に冷却し、無水アンモニアガスを約5分間この溶液に通
した。反応フラスコを封止し、得られた溶液を約12時
間攪拌し、その後、溶剤を除去し、粗生ヒドロキシアミ
ドを、CH2 Cl2 /MeOH9:1を溶離剤として用
いてクロマトグラフィーに付して、純粋な生成物68mg
を得た。
【0096】次に、この化合物をピリジン1.0mlに溶
解し、酢酸無水物0.1mlで0℃で処理した。12時間
攪拌したのち、反応を水数滴で止め、濃縮乾固した。得
られた粗生アセタートを、CH2 Cl2 /MeOH1
2:1を溶離剤として用いたクロマトグラフィーに付し
て、純粋な27(63mg)を得た。1 H−NMR(ppm )5.77(1H、アノマー性H−
1)、5.44(1H、H−2)、2.10(3H、O
COC 3 )、1.90(3H、チミン−C 3) (+)FAB(M+1)367 IR(cm-1)3408(幅広なNH振動)、2122
(アジド振動)、1750(エステル振動)、1719
(ラクタム振動)、1665(アミド振動)
【0097】工程27:化合物28の合成 MeOH3.5ml中のアジド27(60mg)と、10%
Pd/C20mgとの混合物を、H2 雰囲気下にSTP条
件で攪拌した。反応混合物を30分間攪拌したのち、セ
ライトパッドに通してろ過した。ろ過ケークをMeOH
25mlで洗浄し、合わせたろ液を濃縮して粗生成物を得
て、これを、CH2 Cl2 /MeOH/イソプロピルア
ミン9:1:0.1を使用してクロマトグラフィーに付
して、純粋なアミン28(39mg)を得た。1 H−NMR(ppm )5.66(1H、アノマー性H−
1)、5.41(1H、H−2)、2.10(3H、O
COC 3 )、1.89(3H、チミン−C 3) (+)FAB(M+1)341 IR(cm-1)3400(幅広なNH振動)、1740
(エステル振動)、1692(幅広なラクタム及びアミ
ド振動)
【0098】工程28:化合物29の合成 MeOH2.0ml中のベンジルエステル8(32mg)の
溶液を、1,4−シクロヘキサジエン0.12mlで処理
し、10%Pd/C15mgと共に激しく攪拌し、反応混
合物を室温で16時間攪拌した。次に、これを回転エバ
ポレータ上で濃縮乾固して、カルボン酸29(28mg)
を得た。1 H−NMR(ppm )5.70(1H、アノマー性H−
1)、5.00(1H、H−2)、2.43(3H、ト
シル−C 3 )、2.07(3H、OCOC 3) (+)FAB(M+1)496 IR(cm-1)1747(エステル振動)、1695及び
1700(酸及びラクタム振動)
【0099】工程29:化合物30の合成 DMF1.5ml中の酸29(19.5mg)及びアミン2
8(14.5mg)の溶液を、室温で、ジイソプロピルエ
チルアミン0.027mlで処理し、続いてHBTU24
mgで処理した。反応混合物を16時間攪拌したのち、濃
縮乾固し、得られた残渣を最小量のMeOHに溶解し、
シリカゲルカラムに充填し、EtOAc/MeCN/M
eOH/H2 O7:1:1:1を用いて溶離し、純粋な
ダイマー30(25mg)を得た。1 H−NMR(ppm )5.59及び5.68(2H、ア
ノマー性H−1)、5.00及び5.04(2H、H−
2)、2.42及び2.81(6H、2個のトシル−C
3 )、2.08及び2.09(6H、2個のOCOC
3 )、1.87及び1.89(6H、2個のチミン−
3 ) (+)FAB(M+1)819 IR(cm-1)1690〜1700(幅広なアミド、エス
テル及びラクタム振動)
【0100】実施例6 ダイマー構成単位32の合成 工程30:化合物31の合成 EtOAc7ml中アジド9(350mg)の溶液を、リン
ドラー触媒600mgと共に、H2 雰囲気下にSTP条件
で攪拌した。反応混合物を6時間攪拌したのち、パール
水素化装置に移し、50psi のH2 圧で6時間振とうし
た。次に、反応混合物をセライトパッドに通してろ過し
た。ろ過ケークをEtOAc50mlで洗浄し、合わせた
ろ液を濃縮して粗生成物を得て、これを、EtOAc/
MeCN/MeOH/H2 O(7:1:1:1)を用い
たクロマトグラフィーに付して、純粋なアミン31(1
65mg)を得た。1 H−NMR(ppm )5.45及び5.63(2H、ア
ノマー性H−1及びH−2)、5.12〜5.16(2
H、PhC 2 ) (+)FAB(M+1)432 IR(cm-1)3393(N 2 振動)、1738(エス
テル振動)、1692(ラクタム振動)
【0101】工程31:化合物32の合成 DMF3.0ml中の酸29(179mg)及びアミン31
(160mg)の溶液を、室温で、ジイソプロピルエチル
アミン0.18mlで処理し、続いてHBTU146mgで
処理した。反応混合物を3時間攪拌したのち、濃縮乾固
し、得られた残渣を最小量のMeOHに溶解し、シリカ
ゲルカラムに充填し、EtOAc/MeCN/MeOH
/H2 O(7:1:1:1)を用いて溶離して、純粋な
ダイマー32(200mg)を得た。1 H−NMR(ppm )5.45(2H、アノマー性H−
1)、5.82(2H、H−2)、2.43及び2.1
2(12H、2個のトシル−C 3 及び2個のOCOC
3 )、1.90及び1.93(6H、2個のチミン−
3 ) (+)FAB(M+1)910 IR(cm-1)1738(エステル振動)、1693(幅
広なアミド及びラクタム振動)
【0102】実施例7 2′−OMe−類似体35の合成 工程32:化合物33の合成 DMF2.5ml中トシレート25(218mg)の溶液
を、0℃で、アルゴン下にDBU0.095mlで処理
し、続いて塩化ベンゾイルオキシメチル0.15mlで処
理し、1.5時間攪拌した。H2 O(2ml)で反応を止
め、20分間攪拌したのち、濃縮乾固した。残渣をEt
OAc150ml及びH2 O(50ml)に取った。有機相
を分離し、まず1N のHCl(25ml)、次にH2
(50ml)、そして食塩水50mlで洗浄し、Na2 SO
4 上で乾燥し、濃縮して粗生成物を得て、これを、CH
2 Cl2 :MeOH49:1を用いたクロマトグラフィ
ーに付して、純粋な生成物250mgを得た。1 H−NMR(ppm )5.80(1H、アノマー性H−
1)、5.41〜5.53(3H、H−2及びNC 2
O)、4.67(2H、C 2 Ph)、3.67(3
H、COOC 3 )、2.43(3H、トシル−C
3 )、2.09(3H、COOC 3 )、1.90(3
H、チミン−CH3
【0103】工程33:化合物34の合成 THF4.0ml中の化合物33(245mg)の溶液を、
室温で0.5N のNaOH2.4mlで処理し、3時間攪
拌した。次に、これを1N のHCl(1.3ml)で中和
し、H2 O(10ml)で希釈し、凍結乾燥して粗ヒドロ
キシ酸220mgを得て、これをさらに精製することなく
使用した。1 H−NMR(ppm )5.65(1H、アノマー性H−
1)、5.33〜5.34(2H、NC 2 O)、4.
59(2H、C 2 Ph)、4.26及び4.27(1
H、H−2)、2.40(3H、トシル−C 3 )、
1.82(3H、チミン−C 3 ) (+)FAB−MS(M+1)575 IR(cm-1)1708(酸振動)、1661(幅広なア
ミド及びラクタム振動)
【0104】工程34:化合物35の合成 THF1.5ml及びDMF0.11ml中のヒドロキシ酸
34(50mg)の懸濁液を−10℃に冷却し、NaH8
mgで処理し、20分間攪拌した。次に、これをMeI
(0.06ml)で処理し、攪拌を6時間続けると、その
間、温度が20℃に上昇した。処理の間、これを0℃に
冷却し、EtOAc15mlで希釈し、飽和NH4 Cl
(2ml)で反応を止め、15分間攪拌した。これをさら
にEtOAc50ml及びH2 O(10ml)で希釈した。
有機相を分離し、0.01N のHCl(25ml)及び食
塩水25mlで洗浄し、Na2 SO4 上で乾燥した。Et
OAcを除去したのち、粗生成物を、EtOAc/Me
CN/MeOH/H2 O(7:1:0.5:0.5)を
用いたシリカゲルクロマトグラフィーに付して、純粋な
メチルエーテル酸26mgを得た。1 H−NMR(ppm )5.88(1H、アノマー性H−
1)、5.48〜5.49(2H、NC 2 O)、4.
71(2H、C 2 Ph)、3.94及び3.96(1
H、H−2)、3.54(3H、OC 3 )、2.45
(3H、トシル−C 3 )、1.91(3H、チミン−
3
【0105】工程35:化合物36の合成 ClC24 Cl(150ml)中のメチルエステル5
(37.0g )及び4−ペンテン−1−オール23.5
mlの溶液を、アルゴン下に0℃で、ClC24Cl
(100ml)中TMSOTf37mlで処理し、30分間
攪拌した。氷浴を取り除き、反応物をさらに1時間攪拌
した。次に、反応混合物にNaHCO3 飽和水溶液20
0mlを0℃で加えた。この溶液をさらに30分間攪拌し
た。次に、これをCH2 Cl2 200mlで希釈した。有
機相を分離し、食塩水100mlで洗浄し、Na2 SO4
上で乾燥し、濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物
を、ヘキサン/酢酸エチルを用いたクロマトグラフィー
に付して、純粋な化合物36(25.7g )を得た。 (+)FAB−MS(M+1)397 C19247 SのCH 計算値C=57.56、H=6.10 実測値C=57.32、H=6.09
【0106】工程36:化合物37の合成 MeOH/H2 O/Et3 N(500ml/400ml/1
00ml)中の化合物36(25.7g )の懸濁液を室温
で3時間攪拌した。次に、反応混合物を回転エバポレー
タ上で濃縮乾固して、ヒドロキシ酸28g を得た。得ら
れたヒドロキシ酸を0℃で乾燥THF350mlに溶解
し、NaH4.7g で処理し、THF100mlですす
ぎ、30分間攪拌した。次に、これをMeI(60ml)
で処理し、攪拌を2時間続けると、その間、温度が室温
に上昇した。処理の間、これを0℃に冷却し、EtOA
c400ml及び水200mlで希釈した。THFを留去し
たのち、溶液を1.0N のHClでpH5の酸性とし、E
tOAc500mlずつで3回抽出した。有機相を分離
し、食塩水250mlで洗浄し、Na2 SO4 上で乾燥し
た。EtOAcを除去したのち、粗生成物をDMF22
0mlに取った。次に、この溶液をK2 CO3 9.95g
及び臭化ベンジル7.5mlで処理した。反応物を3時間
攪拌した。反応混合物を濃縮乾固し、残渣をEtOAc
1000mlとH2 O(200ml)とに分配した。有機相
を分離し、食塩水で洗浄したのち、Na2 SO4 上で乾
燥し、濃縮して粗生成物を得た。この生成物を、ヘキサ
ン/酢酸エチルを用いたクロマトグラフィーに付して、
純粋な化合物37(25.1g )を得た。 FAB(M)518
【0107】工程37:化合物38の合成 CH3 CN70ml中のペンテニルグリコシド37(3.
8g )の溶液を、N−ヨードスクシンイミド1.81g
及びトリメチルシリル−−6−ベンゾイルシトシン
4.68g と共に15分間攪拌した。次に、これを、1
0分間かけて、CH3 CN25ml中TMSOTf2.8
mlの溶液で処理した。3時間後、反応物をEtOAc3
00ml及びNa223 の10%水溶液50mlで希釈
した。次に、反応混合物をセライトパッドに通してろ過
した。ろ過ケークをEtOAc200mlで洗浄し、合わ
せたろ液を5%NaHCO3 25mlで洗浄し、続いて食
塩水25mlで洗浄し、Na2 SO4 上で乾燥し、濃縮乾
固した。この生成物を、CH2 Cl2 /MeOHを用い
たクロマトグラフィーに付して、化合物38(2.9g
)を得た。この生成物をエタノールから再結晶して、
純粋な38(2.2g )を白色の固体として得た。 (+)FAB−MS(M+1)648 C333339 SのCHN 計算値C=61.20、H=5.14、N=6.49 実測値C=60.86、H=5.12、N=6.39
【0108】工程38:化合物39の合成 DMF32ml中のトシルヌクレオシド38(2.1g )
及びアジ化リチウム0.95g の溶液を80℃で4時間
攪拌した。反応混合物から溶媒を蒸発させ、EtOAc
と水とに分配した。有機相をNa2 SO4 上で乾燥し、
溶媒を蒸発させ、CH2 Cl2 /MeOHを用いたクロ
マトグラフィーに付して、アジド39(265mg)を得
た。 (+)FAB MW519
【0109】工程39:化合物40の合成 ジオキサン40ml中のアジド39(1.68g )と水2
0mlとの混合物を、20%Pd(OH)2 0.134g
で処理し、H2 雰囲気下にSTP条件で攪拌した。反応
混合物を2.5時間攪拌したのち、セライトパッドに通
してろ過した。ろ過ケークをジオキサン/水(1:1)
100mlで洗浄し、合わせたろ液を濃縮して、望みのア
ミノ酸を得た。DMF/H2 O(1:1)90ml中得ら
れたアミノ酸及びN−(9−フルオレニルメトキシカル
ボニルオキシ)−スクシンイミド1.39g の溶液を0
℃に冷却した。次に、これをNaHCO3 0.8g で処
理し、室温で4時間攪拌した。反応混合物を回転エバポ
レータ上35℃で濃縮乾固した。残渣をH2 O(50m
l)及びEtOAc500mlに取った。水相を1.0N
のHClでpH4の酸性とし、EtOAc500mlずつで
3回抽出した。EtOAcを除去したのち、粗生成物
を、CH2 Cl2 /MeOHを用いたシリカゲルカラム
で精製して、純粋な化合物40(1.5g )を白色の固
体として得た。 (+)FAB(M+1)625
【0110】工程40:化合物41の合成 酢酸1%を含有するMeOH10ml中アミン13(1mm
ol、式3を参照)及びアルデヒドの溶液に、40分かけ
て、室温で、NaBH3 CN(1mmol)を加えた。反応
が完了し、反応を止めたのち、溶液を濃縮乾固し、残渣
をEtOAcと飽和NaHCO3 とに分配した。次に、
有機相を分離し、食塩水で洗浄し、その後、Na2 SO
4 上で乾燥し、濃縮して粗生成物を得た。
【0111】工程41:化合物42の合成 アセトニトリル2ml中のアミン41(100mg)の溶液
を、まずトリエチルアミン0.07ml、次にFMOC−
Cl(88mg)で処理し、反応混合物を室温で数時間攪
拌した。次に、反応混合物を濃縮乾固した。残渣をCH
2 Cl2 2mlに再び溶解し、シリカゲルカラムに充填
し、ヘキサン/EtOAcを用いて溶離させて純粋な生
成物を得た。
【0112】工程42〜44は、工程14〜16(スキ
ーム3)に記載のものと同様な実験手順にしたがって実
施した。
【0113】実施例8 オリゴマーの固相合成 ベンズヒドリルアミン(BHA)樹脂上にFmoc保護
されたモノマーを用いた固相法により、オリゴマー(H
−T−C−T−C−T−C−T−C−C−T−T−C−
T−lys−NH2 )〔配列番号:3〕を合成した。樹
脂を膨潤させ、中和し、洗浄し、p−〔(R,S)−a
−〔1−(9H−フルオレン−9−イル)−メトキシホ
ルムアミド〕−2,4−ジメトキシベンジル〕−フェノ
キシ酢酸又は5−(9−Fmoc−アミノキサンテン−
3−オキシ)バレリアン酸とカップリングさせた。N,
N−ジメチルホルムアミド(DMF)中20%ピペリシ
ンによる処理によって樹脂結合Rink(又はXal )リンカ
からFmoc基を除去したのち、得られたアミンをFm
oc−N−ε−tert−ブチルオキシカルボニル−L−リ
シンでアシル化して、Fmoc−lys(Boc)−Ri
nk(又はXal )−BHA樹脂を得た。DFM中で、カッ
プリング試薬HATU〔O−(7−アザベンゾトリアゾ
ール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロ
ニウムヘキサフルオロホスフェート〕4.5当量及び塩
基N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)
10当量を使用して15分間、第一のモノマーであるF
mocチミンモノマー(5当量)をFmoc脱保護樹脂
にカップリングさせた。カップリング及び洗浄が完了し
たのち、一時的なFmoc保護基を、DMF中の1,8
−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデス−7−エン
(DBU)2%の脱保護溶液で除去した(1分、7分、
7分)。脱保護に続いて、樹脂を塩化メチレン(CH2
Cl2 )及びDMFで洗浄した。第一のモノマーである
Fmocチミンモノマーと同様にして、後続のモノマー
を樹脂にカップリングさせた。DMF中の5%の酢酸無
水物を用いて場合によりキャッピングを実施した。配列
の構成が完了したのち、樹脂を洗浄し、末端のFmoc
基を除去した。次に、樹脂をDMF、塩化メチレン及び
メタノールで洗浄し、開裂に備えて減圧下に乾燥した。
完全に保護されたオリゴマーをCH2 Cl2 中50%ト
リフルオロ酢酸で開裂し、逆相HPLCを用いて精製し
た。最終の脱保護は、オリゴヌクレオチドを、室温で4
時間、濃水酸化アンモニウムで処理することによって実
施した。等容量の20%エチレンジアミン/フェノール
を反応物に加え、さらに1時間混合した。speedvac濃縮
装置中で試料を濃縮することによって反応を終了させて
混合物を得、これを逆相HPLCカラムで精製した。分
析HPLCによる測定によると、精製されたオリゴマー
は均質であり、予想された分子量をMALDI−TOF
質量分析法によって確認した〔実測値(計算値)371
1.7(3712.1)〕。同様なプロトコルを用いる
固相法により、2′−OMe−類似体のオリゴマー化を
同様に実施した。
【0114】同様に、リシンカップリング工程を省いた
ことを除いて上記の手順のとおりにオリゴマー(H−T
−C−T−C−T−C−T−C−C−T−T−C−T−
NH2 )〔配列番号:3〕を調製した。換言するなら
ば、第一のモノマーをリンカ〔すなわちH−Rink(又は
Xal )−BHA樹脂〕に直接カップリングした。この一
般的な手順により、本発明のオリゴマーを調製すること
ができた。
【0115】実施例9 オリゴマーのハイブリダイゼーション特性 熱融解実験 電熱式温度制御装置を備え、IBM PS2/50Zコ
ンピュータにインタフェースされたCary 3分光計を使用
して、吸光度対温度の曲線を260nmで測定した。オリ
ゴヌクレオチド濃度は1.4μM であり、緩衝剤はpH7
で100mMのNaCl、10mMのリン酸ナトリウム及び
0.1mMのEDTAを含むものであった。Tm値は、Sa
vitzky-Golayアルゴリズム(Savitzky, A.; Golay, M.
J.E. Analytical Chemistry 1964, 36, 1627-39)を利
用したReducep プログラム(Koerber, S.C.; Fink, A.
L. Analytical Biochemistry 1987, 165, 75-87)を使
用して、第一の誘導プロットの最大値から決定し、熱力
学的定数は、線形傾斜ベースラインをもつ二−状態モデ
ルに対するデータの適合から得た(Petersheim, M.; Tu
rner, D.H. Biochemistry 1983, 22, 256-263 )。
【0116】
【表1】
【0117】上記表に示すように、新規なオリゴマー
(R−PNA)の結合特性はホスホロチオエートのそれ
に非常に類似している。これらは、同様な結合親和性、
結合の極性及びDNAよりもRNAを優先する結合性を
有している。比較すると、Danish−PNA配列はより強
い結合親和性を示した。しかし、これは、また、非常に
有意なヒステリシスを示し、DNA及びRNAの平行鎖
に対する好ましくない結合を識別することに劣る。した
がって、Danish−PNAの異常な結合親和性は、配列特
異性の乏しいための欠点であるということができる。
【0118】R−PNAの2′−OMe誘導体(同じ配
列)と、その相補的な逆平行RNAとの間の対のTm
は、43.7℃であることがわかった。
【0119】実施例10 オリゴマーの塩基対特異性 熱融解実験
【0120】
【表2】
【0121】上記表の結果は、C−A、C−C及びC−
Uの不適正が、結合親和性で予想された大きな低下を示
したため、新規なR−PNA系の結合がワトソン−クリ
ック相補的塩基対規則に従うことを明らかに示してい
る。
【0122】実施例11 細胞ベースのアンチセンス検定 下記の方法により、アンチセンス分子がメラノサイト中
の酵素チロシナーゼのレベルを減らすことが実証され
た。これらのアンチセンス分子は、カフェオレ色の斑
点、扁平母斑、炎症後黒色症(発疹、薬疹)及び強皮症
をはじめとする色素過剰(Hypermelanosis)のいくつか
の疾病の治療に用いることができる。
【0123】一般的に使用されるマウス黒色腫の細胞系
(例えばB−16)を、10%ウシ胎児血清及び50μ
g/mlゲンタマイシンで補足したダルベッコMEMを使用
する細胞培養プレートで成長させた。実験を始めるため
に、アンチセンス及び対照のオリゴヌクレオチドを低密
度(すなわち準密集的な)培養細胞に加え、処理を数日
続けた。次に、細胞を食塩水ですすぎ、スクレーピング
によって収集し、抽出し、タンパク質のレベルをブラッ
ドフォード法(Bradford, M.M. Anal. Biochem. 1976,
72: 248 )によって分析した。
【0124】一定量の抽出したタンパク質から得られる
標的酵素チロシナーゼのレベルを、公表された手法(Po
merantz, S.H. J. Biol. Chem. 1966, 241: 161 )に記
載のようにして測定した。簡潔に述べるならば、抽出物
をチロシン及び補因子DOPA(3,4−ジヒドロキシ
フェニルアラニン)でインキュベートした。このチロシ
ンを、チロシナーゼ活性が生成したトリチウム水の量に
よって測定されるように、3及び5の位置でトリチウム
標識した。トリチウム水を液シンチレーション計測によ
って定量した。チロシナーゼ検定の目的は、チロシナー
ゼレベルの50%阻害を生じさせるのに必要な濃度を計
算することにより、各アンチセンス分子の能力を立証す
ることであった。
【0125】非特異的毒性による効果を制御するため、
黒色腫細胞を96ウェルの培養板に低密度で播種し、数
日間、アンチセンス及び対照のオリゴヌクレオチドの存
在下に成長させた。広く使用されているテトラゾリウム
染料法(Mosmann, T. J. Immunol. Meth. 1983, 65, 5
5)によって細胞増殖を検定した。成長速度の50%阻
害をもたらす各オリゴヌクレオチドの濃度を、チロシナ
ーゼレベルの50%阻害をもたらすオリゴヌクレオチド
の濃度と比較した。アンチセンス効果は、以下の条件を
指標として判定した。a)活性オリゴヌクレオチドが配
列において標的mRNAに対して相補的である。b)セ
ンス及び不適正対照が、完全に適正なアンチセンスオリ
ゴヌクレオチドよりも活性が低い。c)チロシナーゼ活
性が、細胞成長を抑制しないアンチセンスオリゴヌクレ
オチドの濃度によって阻害されている。
【0126】
【配列表】
(1)一般的情報: (i)出願人: (A)名称:エフ・ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (B)通り:グランツアーヘルストラッセ124 (C)市:バーゼル (D)州:BS (E)国:スイス (F)郵便番号(ZIP):CH−4002 (G)電話:061−688 39 43 (H)ファックス:061−688 13 95 (I)テレックス:962292/965542 hl
r ch (ii)発明の名称:アミド主鎖を有するオリゴリボヌク
レオチド (iii )配列の数:6 (iv)コンピュータ読み取り状態: (A)媒体のタイプ:フロッピーディスク (B)コンピュータ:アップルマッキントッシュ (C)操作システム:システム7.1(マッキントッシ
ュ) (D)ソフトウェア:ワード5.1
【0127】 (2)配列番号(SEQ ID NO):1の情報 (i)配列の特徴: (A)長さ:13塩基対 (B)型:核酸 (C)鎖の数:1本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:他の核酸 (iii )ハイポセティカル:NO (iv)アンチセンス:YES (xi)配列の記載:配列番号:1: AGAGAGAGGA AGA
【0128】 (2)配列番号(SEQ ID NO):2の情報 (i)配列の特徴: (A)長さ:13塩基対 (B)型:核酸 (C)鎖の数:1本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:他の核酸 (iii )ハイポセティカル:NO (iv)アンチセンス:YES (xi)配列の記載:配列番号:2: AGAAGGAGAG AGA
【0129】 (2)配列番号(SEQ ID NO):3の情報 (i)配列の特徴: (A)長さ:13塩基対 (B)型:核酸 (C)鎖の数:1本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:他の核酸 (iii )ハイポセティカル:NO (iv)アンチセンス:NO (xi)配列の記載:配列番号:3: TCTCTCTCCT TCT
【0130】 (2)配列番号(SEQ ID NO):4の情報 (i)配列の特徴: (A)長さ:13塩基対 (B)型:核酸 (C)鎖の数:1本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:他の核酸 (iii )ハイポセティカル:NO (iv)アンチセンス:YES (xi)配列の記載:配列番号:4: AGAAGAAGAG AGA
【0131】 (2)配列番号(SEQ ID NO):5の情報 (i)配列の特徴: (A)長さ:13塩基対 (B)型:核酸 (C)鎖の数:1本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:他の核酸 (iii )ハイポセティカル:NO (iv)アンチセンス:YES (xi)配列の記載:配列番号:5: AGAAGCAGAG AGA
【0132】 (2)配列番号(SEQ ID NO):6の情報 (i)配列の特徴: (A)長さ:13塩基対 (B)型:核酸 (C)鎖の数:1本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:他の核酸 (iii )ハイポセティカル:NO (iv)アンチセンス:YES (xi)配列の記載:配列番号:6: AGAAGUAGAG AGA
フロントページの続き (72)発明者 スティーブ・イク−カイ・タム アメリカ合衆国、ニュージャージー 07006、ウエスト・コールドウェル、エバ ーグリーン・ロード 13

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I): 【化1】 (式中、R1 は、H、C1 〜C4 アルキル、C1 〜C18
    アシル又はヒドロキシ低級アルキルであり、R2 は、
    H、アラルキル又はC1 〜C4 アルキルであり、Bは、
    アデニン、シトシン、グアニン、チミン及びウラシルか
    らなる群より選択されるヌクレオシド塩基残基であり、
    Xは、H、OR1 、NHR2 又はNH−アシルであり、
    Yは、OR2 又はNHR2 であり、そしてnは、5〜2
    5の数である)の構造を有するオリゴマー及びその塩。
  2. 【請求項2】 R2 が、Hであり、そしてXが、H、O
    1 又はNHR2 である請求項1記載のオリゴマー。
  3. 【請求項3】 R1 が、メチル、アセチル又はヒドロキ
    シエチルである請求項1又は2記載のオリゴマー。
  4. 【請求項4】 R1 及びR2 が、それぞれ、Hである請
    求項1記載のオリゴマー。
  5. 【請求項5】 R1 が、メチルであり、そしてR2 が、
    Hである請求項1記載のオリゴマー。
  6. 【請求項6】 nが、6〜13の数である請求項1〜5
    のいずれか1項記載のオリゴマー。
  7. 【請求項7】 Xが、NH2 又はNHアシルであり、Y
    が、OH又はNH2であり、R1 が、H又はアセチルで
    あり、R2 が、Hであり、そしてnが、6〜13である
    請求項1記載のオリゴマー。
  8. 【請求項8】 式(Ia): 【化2】 (式中、R1 は、H、C1 〜C4 アルキル、C1 〜C18
    アシル又はヒドロキシ−低級アルキルであり、R2 は、
    H、アラルキル又はC1 〜C4 アルキルであり、B′
    は、アデニン、シトシン、グアニン、チミン及びウラシ
    ルからなる群より選択される適当に保護されたヌクレオ
    シド塩基残基であり、Xは、H、OR1 、NHR2 又は
    NH−アシルであり、Yは、OR2 又はNHR2 であ
    り、そしてmは、0〜5の数である)の構造を有するオ
    リゴマー及びその塩。
  9. 【請求項9】 mが、0、1又は2である請求項8項記
    載のオリゴマー。
  10. 【請求項10】 式(II): 【化3】 (式中、R1'は、ヒドロキシ保護基であり、R2 は、
    H、アラルキル又はC1 〜C4 アルキルであり、R3
    は、アミノ保護基であり、R4 は、H又はアシル保護基
    であり、そしてB′は、適当に保護されたヌクレオシド
    塩基残基である)で示される化合物。
  11. 【請求項11】 B′が、N−アセチルシトシン、N−
    ベンゾイルシトシン、N−ベンゾイルアデニン、チミ
    ン、ウラシル、N−アセチルグアニン又はN−イソブチ
    リルグアニン残基である請求項10記載の化合物。
  12. 【請求項12】 R1'が、C1 〜C4 アルキル、C1
    18アシル、ヒドロキシ−低級アルキル又はベンジルで
    ある請求項10又は11記載の化合物。
  13. 【請求項13】 R3 が、9−フルオレニルメトキシカ
    ルボニル、tert−ブチルオキシカルボニル、ベンジルオ
    キシカルボニル、アリルオキシカルボニル、トリフェニ
    ルメチル又は4,4′−ジメトキシトリチルである請求
    項10〜12のいずれか1項記載の化合物。
  14. 【請求項14】 R4 が、tert−ブチル、C1 〜C4
    ルキル、ベンジル、フェニル又は2−トリメチルシリル
    エチルである請求項10〜13のいずれか1項記載の化
    合物。
  15. 【請求項15】 式(III ): 【化4】 (式中、R7 は、ヒドロキシ保護基であり、R4 は、H
    又はアシル保護基であり、R1'は、ヒドロキシ保護基で
    あり、そしてB′は、適当に保護されたヌクレオシド塩
    基残基である)で示される化合物。
  16. 【請求項16】 請求項1〜7のいずれか1項記載のオ
    リゴマー及び治療上不活性な担体物質を含有する薬剤。
  17. 【請求項17】 細胞中の標的タンパク質の産生を減ら
    す薬剤であって、該細胞中の標的タンパク質をコードす
    るmRNA配列に結合し、該タンパク質の生産を減らす
    のに有効な量の、請求項1〜7のいずれか1項記載のオ
    リゴマー及び医薬的に許容しうる担体を含有することを
    特徴とする薬剤。
  18. 【請求項18】 特に細胞中の標的タンパク質の産生を
    減らすための薬剤の製造方法であって、請求項1〜7の
    いずれか1項記載のオリゴマー又はその医薬的に許容し
    うる塩を、治療上不活性な担体物質と混合し、その混合
    物をガレヌス剤形にすることを特徴とする方法。
JP7308739A 1994-11-30 1995-11-28 アミド主鎖を有するオリゴリボヌクレオチド Pending JPH08208686A (ja)

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