JPH08207421A - 液体組成物、及びこれを用いた画像形成方法 - Google Patents

液体組成物、及びこれを用いた画像形成方法

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JPH08207421A
JPH08207421A JP3289495A JP3289495A JPH08207421A JP H08207421 A JPH08207421 A JP H08207421A JP 3289495 A JP3289495 A JP 3289495A JP 3289495 A JP3289495 A JP 3289495A JP H08207421 A JPH08207421 A JP H08207421A
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liquid composition
ink
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image forming
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JP3289495A
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Shinichi Tochihara
伸一 栃原
Jun Kawai
潤 河合
Masaaki Izumida
昌明 泉田
Masaru Iketani
優 池谷
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Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 記録用紙の種類等、記録媒体の違いにより生
じる印字品位のバラツキをなくし、インクの定着速度
や、記録画像に対する耐擦過性が良好であって、印字濃
度を落とさず、安定した記録画像が得ることの出来る液
体組成物、これを使用した画像形成方法を提供するこ
と。 【構成】 少なくともカチオン性物質を含む液体組成物
であって、1価アルコール及び/又はパラオキシ安息香
酸エステルが含有されていることを特徴とする液体組成
物、及びこの液体組成物を用いた画像形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特にインクジェット記
録方式を利用して画像を形成する際に最適に使用される
液体組成物、及びこれを用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方法は、インクの小
滴を飛翔させ、紙等の記録媒体上にインクを付着させて
記録を行うものであり、記録時の騒音の発生が少なく、
且つ高集積ヘッドを使用することにより、高解像度及び
高品位の記録画像が高速で得られる。この様なインクジ
ェット記録方式で使用されるインクとしては、各種の水
溶性染料を、水、又は水と有機溶剤との混合液に溶解さ
せたものが用いられている。しかし、インクの色材とし
て水溶性染料が用いられている場合には、水溶性染料は
本来耐光性に劣る為、得られる記録画像の耐光性が問題
となる場合が多い。更に、インクが水溶性である為、記
録画像の耐水性が問題となる場合が多い。即ち、得られ
た記録画像に雨、汗或いは飲食用の水がかかる等した場
合に、記録画像が滲んだり、場合によっては消失したり
する。
【0003】一方、ボールペン等の文房具でも、色材と
して水溶性染料を用いている場合には、上記と同様に得
られる記録画像に対する耐光性及び耐水性の問題がある
為に、文房具用の水性顔料インクの提案が種々なされて
いる。例えば、水性顔料インクの実用化の為に、顔料の
分散安定性、ペン先でのインクの固化防止を検討した例
としては、特開昭58−80368号公報、特開昭61
−200182号公報、特開昭61−247774号公
報、特開昭61−272278号公報、特開昭62−5
68号公報、特開昭62−101671号公報、特開昭
62−101672号公報、特開平1−249869号
公報、特開平1−301760号公報等が挙げられる。
これらによって、最近では、水性顔料インクを用いたボ
ールペン、マーカーが商品として市場に出回る様になっ
てきている。又、水性顔料インクが用いられたインクジ
ェット用インクとしては、特開昭56−147859号
公報、特開昭56−147860号公報等に、特定の水
溶性溶剤と高分子分散剤を用いた顔料インクが提案され
ている。又、特開平4−57859号公報、特開平4−
57860号公報等には、色材として顔料と染料とを併
用したインクの提案がなされている。
【0004】ところで、インクジェット記録方法につい
ては、様々な方式が提案され、改良が加えられて商品化
されているものもあれば、現在もなお実用化への努力が
続けられているものもある。この様なインクジェット記
録方法において、得られる記録画像の印字品を満足させ
る為には、吐出されたインク中の不揮発成分が記録用紙
等の記録媒体上で素早く凝集することが極めて重要であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た様な従来の水性顔料インクを用いた場合には、記録用
紙上で凝集した不揮発成分は、インクが定着した後も、
記録用紙上に固形分として存在する為に、印字した部分
を強く擦ったり、印字の上を蛍光ペンでなぞる等する
と、印字面が汚染されてしまうという問題がある。従っ
て、本発明の目的は、記録用紙の種類等、記録媒体の違
いにより生じる印字品位のバラツキをなくし、インクの
定着速度や、記録画像に対する耐擦過性が良好であっ
て、印字濃度を落とさず、安定した記録画像が得ること
の出来る液体組成物、これを使用した画像形成方法を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決する為の手段】上記の目的は、以下の本発
明によって達成される。即ち本発明は、少なくともカチ
オン性物質を含む液体組成物であって、1価アルコール
及び/又はパラオキシ安息香酸エステルが含有されてい
ることを特徴とする液体組成物、及びこの液体組成物が
用いた画像形成方法である。
【0007】
【作用】本発明にかかる液体組成物の機能について説明
する。本発明にかかるカチオン性物質を含む液体組成物
は、アニオン性基を有する顔料分散体が含有されている
インクと共に用いられた場合に、記録紙上でインクと混
合されると、反応の第1段階として、液体組成物中に含
まれているカチオン性物質のうちの低分子量の成分(以
下単に、低分子カチオン性物質と称す)と、インク中の
アニオン性基を有する顔料分散体とがイオン的相互作用
により会合を起こして、瞬間的に凝集し、溶液相から分
離を起こす(図9(a)〜(c)図示)。
【0008】次に反応の第2段階として、上記の顔料分
散体と低分子カチオン性物質との会合体が、液体組成物
中に含まれる高分子量の成分により吸着される為に、会
合で生じた顔料分散体を含む凝集体のサイズが更に大き
くなり(図9(d)図示)、記録紙の繊維間の隙間に入
り込みにくくなる。その結果、固液分離し、液体成分の
みが記録紙中に滲み込むことになる為(図9(e)図
示)、本発明においては、印字品位の向上と定着性向上
の両立が図られる。この時、更に本発明の液体組成物中
に1価のアルコールが含有されている場合には、該アル
コールの作用により、記録用紙の繊維が適度に膨潤する
為に、凝集した顔料分散体は、印字の濃度低下と不規則
滲みが発生しない程度に、記録用紙表面から浸み込む。
この為、記録用紙上に残存する過剰の顔料分散体を減量
することが出来る為、印字物の耐擦過性も良好となる。
又、インク中に添加したパラオキシ安息香酸エステルに
よって耐擦過性が向上する機能については、定かではな
いが、該顔料分散体の凝集力を高める効果がある為と推
測される。
【0009】
【好ましい実施態様】次に本発明の好ましい実施態様を
挙げて本発明を更に詳細に説明する。本発明にかかる液
体組成物は、少なくともカチオン性物質を含む液体組成
物であって、1価アルコール及び/又はパラオキシ安息
香酸エステルが含有されていることを特徴とする。又、
より好ましい態様としては、液体組成物中に含有させる
カチオン性物質として、GPCを使用して測定した分子
量分布におけるピークの存在領域が、下記及びに示
す分子量の範囲に夫々あるものを使用する。特に、液体
組成物中に、この様な異なる分子量領域に分子量分布の
ピークを夫々有するカチオン性物質を少なくとも2種類
以上の含有させたものを使用するのが好ましく、更に好
ましくは、その一方を界面活性剤で構成する。
【0010】 GPCで測定された分子量分布のピー
クが、分子量1,000以下の領域に存在する低分子カ
チオン性物質。 GPCで測定された分子量分布のピークが、分子量
1,500以上10,000以下の領域に存在する高分
子カチオン性物質。 尚、カチオン性物質の分子量分布のピークは、ポリエチ
レンオキシド標準でGPC法で測定した。更に本発明の
画像形成方法では、上記した様な無色又は淡色の液体組
成物と共に、下記に挙げるものを色材とするインクが用
いられる。 少なくともアニオン性基を有する顔料分散体。
【0011】本発明にかかる液体組成物の構成成分につ
いて以下に説明する。先ず、本発明にかかる液体組成物
は、少なくともカチオン性物質が含有されていることを
要する。この際に用いられるカチオン性物質としては、
本発明の所期の目的を達成し得るものであればいずれの
ものでもよいが、好ましくは、上記の及びに記載の
分子量領域に、分子量分布のピークを有する物質を使用
する。更に好ましくは、これら及びに記載の異なる
分子量領域に夫々分子量分布のピークを有する少なくと
も2種類のカチオン性物質を含有させる。
【0012】本発明の液体組成物の作用効果は上述した
通りであるが、液体組成物中に上記した様な特性を有す
るカチオン性物質が含まれている為、記録媒体上等でイ
ンクと混合された場合に、先ず、上記に示した様な分
子量1,000以下の領域に分子量分布のピークを有す
る低分子カチオン性物質と、インク中に含まれている
アニオン性基を有する顔料分散体とがイオン的相互作用
により先ず会合体を形成する。この会合体の形成反応速
度は極めて速い必要がある。
【0013】ここで、上記に記載の、分子量1,00
0以下の領域に分子量分布のピークを有する低分子カチ
オン性物質について説明すると、具体的には、下記に挙
げる様なものが用いられる。具体的には例えば、1級、
2級及び3級アミン塩型の化合物、具体的には、ラウリ
ルアミン、ヤシアミン、ステアリルアミン、ロジンアミ
ン等の塩酸塩、酢酸塩等;第4級アンモニウム塩型の化
合物、具体的には、ラウリルトリメチルアンモニウムク
ロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロ
ライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、
塩化ベンザルコニウム等;ピリジニウム塩型化合物、具
体的には、セチルピリジニウムクロライド、セチルピリ
ジニウムブロマイド等;イミダゾリン型カチオン性化合
物、具体的には、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチ
ルイミダゾリン等;高級アルキルアミンのエチレンオキ
シド付加物、具体的には、ジヒドロキシエチルステアリ
ルアミン等が好ましく用いられる。
【0014】更に、本発明においては、その他、あるp
H領域においてカチオン性を示す様な両性界面活性剤も
低分子カチオン性物質として好ましく使用される。具体
的には例えば、アミノ酸型両性界面活性剤;R−NH−
CH2−CH2−COOH型の化合物;ベタイン型の化合
物、具体的には、ステアリルジメチルベタイン、ラウリ
ルジヒドロキシエチルベタイン等のカルボン酸塩型両性
界面活性剤の他、硫酸エステル型、スルホン酸型、燐酸
エステル型等の両性界面活性剤等が挙げられる。勿論こ
れらの両性界面活性剤を使用する場合には、それらの等
電点以下のpHになる様に本発明にかかる液体組成物を
調整するか、この液体組成物が記録媒体上でインクと混
合された際に、等電点以下のpHとなる様に調整するか
のいずれかの方法をとる必要がある。
【0015】尚、以上、カチオン性物質として低分子カ
チオン性物質の例を挙げたが、本発明で使用することの
出来るカチオン性物質は必ずしもこれらに限定されるも
のではないことは言うまでもない。例えば、本発明で使
用することの出来るカチオン性物質の別の例として、後
述する高分子カチオン性物質のモノマー或はオリゴマー
を利用してもよい。
【0016】次に、上記に記載した分子量分布のピー
クが1,500以上10,000以下の領域にある高分
子カチオン性物質の本発明における作用及び効果につい
ては、やはり上述した通り、液体組成物とインクとの反
応の第2段階として、上述したアニオン性基を有する
顔料分散体とに示した様なカチオン性物質の低分子成
分との会合体を高分子カチオン性物質の分子中に吸着せ
しめ、会合で生じた凝集体のサイズを更に大きくして記
録紙の繊維間の隙間に入り込みにくくすることにより、
固液分離した液体部分のみを記録紙中に滲み込ませて、
印字品位と定着性の両立を達成することにある。
【0017】上記の様な作用効果を有する本発明に使用
されるの高分子カチオン性物質としては、具体的には
例えば、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアミンスルホン
塩酸塩、ポリビニルアミン塩酸塩、キトサン酢酸塩等を
挙げることが出来るが、勿論これらに限定されるわけで
はない。
【0018】又、本発明に使用されるの高分子カチオ
ン性物質の別の具体例としては、ノニオン性高分子物質
の一部をカチオン化した化合物でもよい。具体的には、
例えば、ビニルピロリドンとアミノアルキルアルキレー
ト4級塩との共重合体、アクリルアマイドとアミノメチ
ルアクリルアマイド4級塩との共重合体等を挙げること
が出来るが、本発明は、勿論これらの化合物に限定され
ないことは言うまでもない。更に、上述した高分子物質
及び高分子カチオン性物質は水溶性であれば申し分ない
が、本発明においてはラテックスやエマルジョンの様な
分散体であってもかまわない。
【0019】上記した様な高分子カチオン性物質の分子
量分布のピークの位置は、分子量1,500以上10,
000以下の領域にある化合物が本発明を実施する上で
は好ましいが、より好適には、分子量1,500以上
7,000以下の領域の、より低分子側にピークを有す
る化合物を使用する。又、本発明の液体組成物をインク
ジェット記録ヘッドを用いて記録媒体に付与する際に
は、分子量分布のピークが低分子量側にあるカチオン性
物質ほど、含有量を上げても溶液粘度が低く保たれるの
で、液体組成物の吐出特性が良好に保たれるという利点
もある。
【0020】本発明にかかる液体組成物中に含有される
上記した様なカチオン性物質の量としては、重量基準で
0.05〜20重量%が好適な範囲であり、より好まし
くは0.5〜10重量%の範囲であるが、各々使用する
物質の組み合わせにより、最適な範囲を決定する必要が
ある。更に、本発明において、上記した及びに挙げ
た分子量分布のピーク位置が夫々異なる領域に存在して
いる2種類のカチオン性物質を、本発明にかかる液体組
成物中に含有させた場合には、液体組成物中のの低分
子カチオン性物質との高分子量のカチオン性物質との
混合割合を、重量基準で10:1〜1:10、好ましく
は5:1〜1:5の範囲とする。
【0021】本発明にかかる液体組成物には、少なくと
も上記した様なカチオン性物質の他に、1価アルコール
及び/又はパラオキシ安息香酸エステルが含有されてい
る。1価アルコールとしては、例えば、エタノール、イ
ソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブ
チルアルコール等が挙げられるが、特に好ましくは、エ
タノール又はイソプロピルアルコールであり、これらの
存在によって、前述した様に、記録用紙の繊維が適度に
膨潤される結果、凝集した顔料分散体が適度に記録用紙
中に浸み込む為、得られる印字物の耐擦過性が向上す
る。又、これらの1価アルコールの含有量は、本発明の
液体組成物の全重量の1〜15重量%、更に好ましく
は、3〜10重量%とする。
【0022】本発明において特に好ましく使用されるパ
ラオキシ安息香酸エステルとしては、例えば、パラオキ
シ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソブチルが挙
げられる。前述した様に、おそらく、これらの存在によ
って顔料分散体の凝集力が高められる結果、得られる印
字物の耐擦過性が向上する。る。又、これらの液体組成
物中における含有量は、液体組成物の全重量の0.05
〜0.5重量%、更に好ましくは、0.1〜0.3重量
%とする。
【0023】次に、本発明にかかる液体組成物を構成す
るその他の成分について具体的に述べる。無色又は淡色
の本発明にかかる液体組成物は、上記及び等のカチ
オン性物質、1価アルコール及び/又はパラオキシ安息
香酸エステルの他、通常、水、水溶性有機溶剤及びその
他の適宜の添加剤とからなる。この際に使用される水溶
性有機溶剤としては、ジメチルホルムアミド、ジメチル
アセトアミド等のアミド類、アセトン等のケトン類、テ
トラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリ
アルキレングリコール類、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、ブチレングリコール、トリエチレング
リコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグ
リコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコー
ル等のアルキレングリコール類、エチレングリコールメ
チルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多
価アルコールの低級アルキルエーテル類、グリセリン、
N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−イミ
ダゾリジノン、トリエタノールアミン、スルホラン、ジ
メチルサルホキサイド等が好ましく用いられる。上記水
溶性有機溶剤の含有量について特に制限はないが、液体
組成物の全重量の5〜60重量%、更に好ましくは、5
〜40重量%が好適な範囲である。
【0024】又、本発明にかかる液体組成物には更に添
加剤としてこの他、必要に応じ、粘度調整剤、pH調整
剤、防腐剤、各種界面活性剤、酸化防止剤及び蒸発促進
剤等の添加剤を適宜配合してもかまわない。界面活性剤
の選択は、液体の記録媒体への浸透性を調整する上で特
に重要である。本発明にかかる液体組成物は、無色であ
るのがより好ましいが、記録媒体上等でインクと混合さ
れた際に、各色インクの色調を変えない範囲の淡色のも
のでもよい。更に、以上の様な液体組成物の各種物性の
好適な範囲としては、25℃付近で、pHを3〜12、
好ましくは3〜8、より好ましくは3〜5とし、表面張
力を10〜60dyn/cm、より好ましくは10〜4
0dyn/cmとし、粘度を1〜30cps.とする。
尚、後述するが、本発明にかかる液体組成物の表面張力
は、該液体組成物と共に使用されるインクの表面張力よ
りも低い方が好ましい。
【0025】次に、本発明で使用されるインクについて
説明する。本発明の画像作成方法に使用されるインクに
は、色材として少なくともアニオン性基を有する顔料分
散体が含有されており、更にこれに、水、水溶性有機溶
剤及びその他の成分、例えば、粘度調整剤、pH調整
剤、防腐剤、界面活性剤、酸化防止剤等が必要に応じて
含まれる。本発明で使用される顔料の含有量としては、
インク全重量に対して、好ましくは1〜20重量%、更
に好ましくは2〜12重量%の範囲で用いる。
【0026】本発明において使用される顔料としては、
具体的には、黒色のインクに使用されるものとしてカー
ボンブラックが挙げられるが、例えば、ファーネス法、
チャネル法で製造されたカーボンブラックであって、一
次粒子径が15〜40mμ、BE法による比表面積が
50〜300m2/g、DBP吸油量が40〜150m
l/100g、揮発分が0.5〜10%、pH値が2〜
9等の特性を有するものが好ましく用いられる。この様
な特性を有する市販品としては、例えば、No.230
0、No.900、MCF88、No.33、No.4
0、No.45、No.52、MA7、MA8、No.
2200B(以上、三菱化成製)、RAVEN1255
(コロンビア製)、REGAL400R、REGAL3
30R、REGAL660R、MOGUL L(以上、
キャボット製)、Color Black FWl、C
OLOR Black FW18、Color Bla
ck S170、Color Black S150、
Printex 35、Printex U(以上、デ
グッサ製)等の市販品があり、いずれも好ましく使用す
ることが出来る。本発明はこれらに限定されず、本発明
の為に新たに製造された顔料も勿論使用することが可能
である。
【0027】又、イエローインクに使用される顔料とし
ては、例えば、C.I.Pigment Yellow
1、C.I.Pigment Yellow 2、
C.I.Pigment Yellow 3、C.I.
Pigment Yellow13、C.I.Pigm
ent Yellow 16、C.I.Pigment
Yellow 74、C.I.Pigment Ye
llow 83等が挙げられ、マゼンタインクに使用さ
れる顔料としては、例えば、C.I.PigmentR
ed 5、C.I.Pigment Red 7、C.
I.PigmentRed 12、C.I.Pigme
nt Red 48(Ca)、C.I.Pigment
Red 48(Mn)、C.I.Pigment R
ed 57(Ca)、C.I.Pigment Red
112、C.I.PigmentRed 122等が
挙げられ、シアンインクに使用される顔料としては、例
えば、C.I.PigmentBlue 1、C.I.
Pigment Blue 2、C.I.Pigmen
t Blue 3、C.I.Pigment Blue
15:3、C.I.Pigment Blue 1
6、C.I.Pigment Blue 22、C.
I.Vat Blue 4、C.I.Vat Blue
6等が挙げられる。しかし、これらに限定されず、本
発明の為に新たに製造された顔料も勿論使用することが
可能である。上記した様な顔料の濡れ性向上の為に、顔
料表面に表面処理等を施してもよい。又、これらの顔料
にアニオン性基を有する染料を混合させて使用してもよ
い。
【0028】本発明で使用される上記した様な顔料をイ
ンク中に分散させる為の分散剤としては、アニオン性基
を有する顔料分散体が形成されるもが使用される。この
様なものとしては例えば、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸
塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエステル硫酸
塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、アルキルスルホ
ン酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルアリルスルホン酸
塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸
塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ア
ルキルアリールエーテルリン酸塩等のアニオン界面活性
剤が挙げられる。或いは、アルカリ可溶型の水溶性樹
脂、例えば、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタ
レン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸のアルキル
エステル、メタクリル酸のアルキルエステル等の疎水性
モノマーと、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸及び
その脂肪族アルコールエステル、アクリル酸、メタクリ
ル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマール酸、及びこれ
らの誘導体等の親水性モノマーとからなる共重合体、及
びそれらの塩等が好ましく使用される。共重合体は、ラ
ンダム共重合体、ブロック共重合体、或いはグラフト共
重合体等のいずれの構造のものでもよく、酸価は、10
0〜430、好ましくは130〜360の範囲のものが
好ましい。
【0029】上記の様なアニオン性基を有する顔料分散
体が含有されているインクを構成する水溶性有機溶剤と
しては、前記した無色又は淡色の本発明にかかる液体組
成物に使用される水溶性有機溶剤を同様に用いることが
出来る。又、これらの水溶性有機溶剤のインク中の含有
量の好適な範囲についても同様とする。更に、インクの
好適な物性範囲についても、液体組成物の場合と全く同
様であり、5〜60重量%程度とするのが好ましい。但
し、インクの表面張力については、インクの表面張力を
本発明にかかる液体組成物の表面張力よりも高くした方
が、本発明にかかる画像形成方法を実施するにあたって
有効な場合があり、好ましい。これは、この様に両者の
表面張力を調整すれば、例えば、印字プロセス上、先に
打ち込まれた液体組成物が、後から打ち込まれるインク
の記録媒体上での濡れ性を均一にし得る効果を発揮する
為であろうと考えられるが、その詳細は明らかではな
い。
【0030】又、本発明で使用されるインクは、本発明
の効果を一層効果的にする為に、インク中に上記した成
分の他に、アニオン性の界面活性剤或いはアニオン性の
高分子物質等、アニオン性化合物を添加させてもよい
し、或いは両性界面活性剤をその等電点以上のpHに調
整して含有させてもよい。この際に使用されるアニオン
性界面活性剤の例としては、カルボン酸塩型、硫酸エス
テル型、スルホン酸塩型、燐酸エステル型等、一般に使
用されているものをいずれも好ましく使用することが出
来る。又、アニオン性高分子の例としては、アルカリ可
溶型の樹脂、具体的には、ポリアクリル酸ソーダ、或い
は高分子の一部にアクリル酸を共重合したもの等を挙げ
ることが出来るが、本発明は、勿論これらに限定されな
い。
【0031】上記した様な顔料が含有されたインクの作
成方法としては、始めに、分散剤及び水が少なくとも含
有された水性媒体に顔料を添加し、撹拌した後、後述の
分散手段を用いて分散を行い、必要に応じて遠心分離処
理を行って所望の分散液を得る。次に、この分散液に、
上記で挙げた様な適宜に選択された添加剤成分を加え、
撹拌して本発明で使用するインクとする。
【0032】尚、分散剤として前記した様なアルカリ可
溶型樹脂を使用する場合には、樹脂を溶解させる為に塩
基を添加することが必要であるが、この際の塩基類とし
ては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ト
リエタノールアミン、アミンメチルプロパノール、アン
モニア等の有機アミン、或いは水酸化カリウム、水酸化
ナトリウム等の無機塩基が好ましく使用される。
【0033】又、顔料が含有されているインクの作成方
法においては、顔料を含む水性媒体を攪拌し分散処理す
る前に、プレミキシングを30分間以上行うのが効果的
である。即ち、この様なプレミキシング操作は、顔料表
面の濡れ性を改善し、顔料表面への分散剤の吸着を促進
することが出来る為、好ましい。
【0034】上記した顔料の分散処理の際に使用される
分散機は、一般に使用される分散機なら、如何なるもの
でもよいが、例えば、ボールミル、ロールミル及びサン
ドミル等が挙げられる。その中でも、高速型のサンドミ
ルが好ましく使用され、この様なものとしては、例え
ば、スーパーミル、サンドグラインダー、ビーズミル、
アジテータミル、グレンミル、ダイノーミル、パールミ
ル及びコボルミル(いずれも商品名)等が挙げられる。
【0035】又、顔料が含有されているインクをインク
ジェット記録方法に使用する場合には、耐目詰り性等の
要請から、最適な粒度分布を有する顔料が用いられる
が、所望の粒度分布を有する顔料を得る方法としては、
分散機の粉砕メディアのサイズを小さくすること、粉砕
メディアの充填率を大きくすること、処理時間を長くす
ること、吐出速度を遅くすること、粉砕後フィルターや
遠心分離機等で分級すること及びこれらの手法の組合せ
等の手法が挙げられる。
【0036】尚、本発明で使用されるカチオン性化合物
の分子量分布は、予め各々単独でGPC測定を行っても
よいし、液体組成物そのものの分子量分布を測定した
後、少なくともアニオン性基を有する顔料分散体が含ま
れる十分な量のインクと前記液体組成物をビーカー内で
混合撹拌し、沈澱物を取り除いた後に再びGPC測定を
行ない、インク混合前とインクを混合して沈澱物を取り
除いた後のGPCの測定結果を比較し、インク中の顔料
分散体によって沈澱し、系内から取り除かれた成分の分
子量分布から求めてもよい。
【0037】次に本発明にかかる画像形成方法について
説明するが、本発明にかかる画像形成方法は、上記した
様な液体組成物を記録媒体上の画像形成領域、又は画像
形成領域とその近傍とに付着させる工程(A)と、少な
くともアニオン性基有する顔料分散体が含有されている
インクを記録信号に従って吐出オリフィスから液滴とし
て記録媒体に噴射する工程(B)とを含むことを特徴と
する。尚、本発明でいう画像形成領域とは、インクのド
ットが付着する領域のことであり、画像形成領域の近傍
とは、インクのドットが付着する領域の外側の1〜5ド
ット程度離れた領域のことを指す。
【0038】本発明にかかる画像形成方法としては、前
記した本発明にかかる液体組成物と特定のインクとが記
録媒体上等で共存する状態となり得ればいずれのもので
もよく、従って、液体組成物とインクのいずれを先に記
録媒体上に付与するかは問題ではない。又、液体組成物
を記録媒体に先に付着させた場合に、液体組成物を記録
媒体に付着せしめてからインクを記録媒体上に付着させ
るまでの時間については特に制限されるものではない
が、ほぼ同時、或いは数秒以内にインクを記録媒体上に
付着させるのが好ましい。
【0039】上記した画像形成方法に使用される記録媒
体としては、特に限定されるものではなく、従来から使
用されている、コピー用紙及びボンド紙等のいわゆる普
通紙が好適に使用される。勿論、インクジェット記録用
に特別に作成されたコート紙やOHP用透明フィルムも
好適に使用される。更に、一般の上質紙や光沢紙にも好
適に使用することが出来る。
【0040】本発明の液体組成物を記録媒体上に付着せ
しめる方法としては、例えば、スプレーやローラー等に
よって記録媒体の全面に液体組成物を付着せしめる方法
も考えられるが、更に好ましくは、インクが付着する画
像形成領域、或いは画像形成領域とその画像形成領域の
近傍にのみに選択的に且つ均一に液体組成物を付着する
ことが出来るインクジェット方式により行うのが好まし
い。又、この際には、種々のインクジェット記録方式を
用いることが出来るが、特に好ましいのは、熱エネルギ
ーによって発生した気泡を用いて液滴を吐出する方式で
ある。
【0041】次いで、本発明にかかる画像形成方法に好
ましく用いられる記録装置について説明する。本発明に
おいては、記録ヘッドのインクに記録信号を与え、発生
した熱エネルギーにより液滴を吐出するインクジェット
記録方式が好ましく用いられる。この様な装置の主要部
である記録ヘッドの構成を、図1、図2及び図3に示
す。
【0042】ヘッド13はインクを通す溝14を有する
ガラス、セラミック、又はプラスチック等と感熱記録に
用いられる発熱抵抗体を有する発熱ヘッド15(図では
薄膜ヘッドが示されているが、これに限定されるもので
はない)とを接着して得られる。発熱ヘッド15は酸化
シリコン等で形成される保護膜16、アルミニウム電極
17−1及び17−2、ニクロム等で形成される発熱抵
抗体層18、蓄熱層19、アルミナ等の放熱性のよい基
板20よりなっている。インク21は吐出オリフィス2
2まで来ており、圧力Pによりメニスカス23が形成さ
れている。
【0043】ここで、電極17−1及び17−2に電気
信号が加わると、発熱ヘッド15のnで示される領域が
急激に発熱し、ここに接しているインク21に気泡が発
生し、その圧力でメニスカス23が吐出オリフィス22
より吐出してインク小滴24となり、被記録材25に向
かって飛翔する。図3には図1に示したノズルを多数並
べた記録ヘッドの概略図を示す。該記録ヘッドは多数の
流路を有するガラス板等27と図1において説明したも
のと同様の発熱ヘッド28を密着して作られる。尚、図
1は、インク流路に沿ったヘッド13の断面図であり、
図2は図1のA−B線での断面図である。
【0044】図4に、該ヘッドを組み込んだインクジェ
ット記録装置の一例を示す。図4において、61はワイ
ピング部材としてのブレードで、その一端はブレード保
持部材によって保持されて固定端となり、カレンチレバ
ーの形態をなす。ブレード61は、記録ヘッド65によ
る記録領域に隣接した位置に配置され、記録ヘッド65
の移動方向と垂直な方向に移動してインク吐出口面と当
接し、キャッピングを行う構成を備えている。更に63
はブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であ
り、ブレード61と同様、記録ヘッドの移動経路中に突
出した形態で保持されている。前記ブレード61、キャ
ップ62、吸収体63によって吐出回復部64が構成さ
れ、ブレード61及びインク吸収体63によって、イン
ク吐出口面の水分及び塵等の除去が行われる。
【0045】65は吐出エネルギー発生手段を有し、吐
出口を配した吐出口面に対向する被記録材にインクを吐
出して記録を行う記録ヘッドであり、66は記録ヘッド
65を搭載して記録ヘッド65の移動を行う為のキャリ
ッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能
に係合しており、キャリッジ66の一部はモータ68に
よって駆動されるベルト69と接続(図示せず)してい
る。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った
移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及び
その隣接した領域の移動が可能となる。51は被記録材
を挿入する為の給紙部、52はモータ(図示せず)によ
り駆動される紙送りローラーである。これらの構成によ
って記録ヘッドの吐出口面と対向する位置へ被記録材が
給紙され、記録が進行するにつれて、排紙ローラー53
を配した排紙部へ排紙される。
【0046】上記構成において記録ヘッド65が記録終
了等でホームポジションに戻る際、吐出回復部64のキ
ャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避してい
るが、ブレード61は移動経路中に突出している。この
結果、記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされる。
尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出口面に当接し
てキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッド
の移動経路中に突出する様に移動する。
【0047】記録ヘッド65がホームポジションから記
録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード
61は前記したワイピング時の位置と同一の位置にあ
る。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐
出口面はワイピングされる。前記の記録ヘッド65のホ
ームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ば
かりではなく、記録ヘッド65が記録の為に記録領域を
移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポ
ジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが
行われる。
【0048】図5は、ヘッドにインク供給部材、例えば
チューブを介して供給されるインクを収容したインクカ
ートリッジ45の一例を示す図である。ここで40は供
給用インクを収容したインク収容部、例えばインク袋で
あり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。
この栓42に針(図示せず)を挿入することにより、イ
ンク袋40中のインクをヘッドに供給可能ならしめる。
44は廃インクを受容するインク吸収体である。インク
収容部としては、インクとの接液面がポリオレフィン、
特にポリエチレンで形成されているものが好ましい。
【0049】本発明で使用されるインクジェット記録装
置としては、前記の如きヘッドとインクカートリッジが
別体となったものに限らず、図6に示す如きそれらが一
体となったものも好適に用いられる。
【0050】図6において、70は記録ユニットであっ
て、この中にインクを収容したインク収容部、例えばイ
ンク吸収体が収納されており、かかるインク吸収体中の
インクが複数のオリフィスを有するヘッド部71からイ
ンク滴として吐出される構成になっている。インク吸収
体の材料としては、例えば、ポリウレタンを用いること
が出来る。72は記録ユニット内部を大気に連通させる
為の大気連通口である。この記録ユニット70は、図4
で示す記録ヘッドに変えて用いられるものであって、キ
ャリッジ66に対し着脱自在になっている。尚、本発明
に使用する記録装置において、上記ではインクに熱エネ
ルギーを作用させてインク液滴を吐出するインクジェッ
ト記録装置を例に挙げたが、そのほか圧電素子を使用す
るピエゾ方式のインクジェット記録装置でも同様に利用
することが出来る。
【0051】さて、本発明の記録方法を実施する場合に
は、例えば、前記図3に示した記録ヘッドを5つキャリ
ッジ上に並べた記録装置を使用する。図7はその一例で
ある。81、82、83及び84は夫々、イエロー、マ
ゼンタ、シアン及びブラック各色のインクを吐出する為
の記録ヘッドである。又、85は無色の液体組成物を吐
出するヘッドである。該ヘッドは上記した記録装置に配
置され、記録信号に応じて、各色のインクを吐出する。
又、無色の液体組成物はそれに先立ち、少なくとも各色
のインクが記録紙に付着する部分に予め付着させてお
く。図7では記録ヘッドを5つ使用した例を示したが、
これに限定されるものではなく、図8に示した様に1つ
の記録ヘッドでイエロー、マゼンタ、シアン及びブラッ
ク、無色の液体組成物を液流路を分けて行う場合も好ま
しい。勿論、無色の液体組成物とインクの記録順が、上
記した順序と逆になる様なヘッドの配置をとっり、イン
クを付着させた後に、液体組成物を付着させてもよい。
【0052】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を
更に具体的に説明する。尚、文中「部」及び「%」とあ
るのは、特に示さない限り重量基準とする。カチオン性
物質の分子量分布のピークは、ポリエチレンオキシド標
準でGPC法で測定した。
【0053】実施例1 先ず、下記の成分を混合溶解した後、更にポアサイズが
0.22μmのメンブレンフィルター(商品名:フロロ
ポアフィルター、住友電工製)にて加圧濾過した後、N
aOHでpHを4.8に調整し、本実施例の無色の液体
組成物であるAを得た。又、液体組成物における水(イ
オン交換水)の量は、構成成分の総和が100部となる
様に調整されている。液体組成物Aの成分 ・低分子カチオン性物質:ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド (商品名:エレクトロストッパーQE、花王製) 2.0部 ・高分子カチオン性物質:ポリアミンスルホン(平均分子量;5000) (商品名:PAS−92、日東紡績製) 3.0部 ・イソプロピルアルコール 8.0部 ・パラオキシ安息香酸イソブチル 0.2部 ・ジエチレングリコール 10部 ・イオン交換水 残部
【0054】次に、本発明の実施例で使用したインクの
作製について説明する。先ず、下記の方法で、イエロ
ー、マゼンタ、シアン及びブラックの分散液を夫々作製
する。 イエロー分散液の成分 ・スチレン−アクリル酸共重合体(平均分子量7,000) 5.5部 ・モノエタノールアミン 1.0部 ・ジエチレングリコール 5.0部 ・イオン交換水 67.5部
【0055】上記成分を混合し、ウォーターバスで70
℃に加温し、樹脂分を完全に溶解させる。得られた溶液
にC.I.Pigment Yellow 74を20
部、イソプロピルアルコールを1.0部加え、30分間
プレミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を行
った。 分散条件 ・分散機 サンドグラインダー ・粉砕メディア ジルコニウムビーズ 1mm径 ・粉砕メディアの充填率 50%(体積) ・粉砕時間 3時間 更に、12,000rpm、20分間の遠心分離処理を
行い、粗大粒子を除去しイエロー分散液とした。
【0056】 マゼンタ分散液の成分 ・ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸 4.0部 ・モノエタノールアミン 1.0部 ・ジエチレングリコール 5.0部 ・イオン交換水 69.0部
【0057】上記成分を混合し、ウォーターバスで70
℃に加温し、界面活性剤を完全に溶解させる。得られた
溶液にC.I.Pigment Red 122を20
部、イソプロピルアルコールを1.0部夫々加え、30
分間プレミキシングを行った後、上記のイエロー分散液
を作製する場合と同一条件で分散処理を行、マゼンタ分
散液とした。
【0058】 シアン分散液の成分 ・スチレン−アクリル酸共重合体(平均分子量7,000) 5.0部 ・モノエタノールアミン 1.0部 ・ジエチレングリコール 5.0部 ・イオン交換水 68.0部
【0059】上記成分を混合し、ウォーターバスで70
℃に加温し、樹脂を完全に溶解させる。得られた溶液に
C.I.Pigment Blue 15:3を20
部、イソプロピルアルコールを1.0部加え、30分間
プレミキシングを行った後、上記のイエロー分散液の作
製の場合と同一条件で分散処理を行、シアン分散液とし
た。
【0060】 ブラック分散液の成分 ・スチレン−アクリル酸共重合体(平均分子量7,000) 5.0部 ・モノエタノールアミン 1.0部 ・ジエチレングリコール 5.0部 ・イオン交換水 68.0部
【0061】上記成分を混合し、ウォーターバスで70
℃に加温し、界面活性剤を完全に溶解させる。得られた
溶液にカーボンブラック(MCF88 三菱化成製)を
20部、イソプロピルアルコールを1.0部加え、30
分間プレミキシングを行った後、上記のイエロー分散液
の作製の場合と同一条件で分散処理を行、ブラック分散
液とした。
【0062】次に、上記で得られた夫々の分散液を使用
して、以下の様にして各色のインクを作製した。即ち、
上記の分散液に以下の成分を加え、所定の濃度となる様
に調整し、イエローインクY1、マゼンタインクM1、
シアンインクC1及びブラックインクBK1の各色イン
クを作製した。 ・上記で得られた各分散液 30部 ・グリセリン 10部 ・ジエチレングリコール 10部 ・ポリエチレングリコール#400 5部 ・N−メチル−2−ピロリドン 10部 ・エタノール 5部 ・イオン交換水 30部
【0063】次に、下記に述べる様にして、上記の様に
して得られた無色の液体組成物A、及び各色インクY
1、M1、C1及びBk1を用いて、市販のコピー用
紙、ボンド紙に記録を行った。使用したインクジェット
記録装置としては、図4に示したのと同様の記録装置を
用い、図7に示した5つの記録ヘッドを用いてカラー画
像を形成した。尚、本実施例においては、無色の液体組
成物を先打ちして先ず記録紙上に付着させた後、インク
を付着させて印字記録を行った。ここで用いた記録ヘッ
ドは、360dpiの記録密度を有し、駆動条件として
は、駆動周波数5kHzとした。又、1ドットあたりの
吐出体積は、夫々40plのヘッドを使用した。尚、こ
れらの記録条件は、本発明の実施例及び比較例通じて同
一である。又、印字テストの際の環境条件は、25℃/
55%RHに統一してある。
【0064】
【評価】実施例1で得られた記録画像について、下記の
評価方法及び評価基準で夫々評価を行った。 1.画像濃度 ベタ画像を無色の液体組成物AとブラックインクBkと
を用いて形成し、12時間放置後の反射濃度を反射濃度
計マクベスRD915(マクベス社製)にて測定した。
評価基準は以下の通りである。 ◎;反射濃度が、1.30以上 ○;反射濃度が、1.25以上1.30未満 △;反射濃度が、1.15以上1.25未満 ×;反射濃度が、1.14以下
【0065】2.定着性 上記で得られた無色の液体組成物AとイエローインクY
1及びマゼンタインクM1とを用いて、レッドのベタ画
像を形成した後、印字部を指で擦っても画像流れが生じ
なくなる時間を測定した。評価基準は、以下の通りであ
る。 ◎;定着性が10秒未満 ○;定着性が11秒以上20秒以下 △;定着性が21秒以上30秒以下 ×;定着性が31秒以上
【0066】3.文字品位 無色の液体組成物AとブラックインクBk1とを用い
て、ブラックの英数文字を印字し、目視にて評価した。
フェザリングが目立たないものを○とし、それ以下のレ
ベルのものについては×とした。
【0067】4.ブリーディング 無色の液体組成物AとイエローY1、マゼンタM1、シ
アンC1及びブラックBk1の各色インクのベタ部を隣
接して印字し、各色の境界部でのブリーディングの程度
を目視により観察した。ブリーディングが実質上問題な
いレベルあるものを○とし、それ以外のレベルのものは
×とした。
【0068】5.耐擦過性 印字して得られた画像を1時間放置後、消しゴムで5回
強く擦った場合に、文字及びベタ画像が殆ど消えること
なく、又、手を汚さないレベルを○、少し劣るレベルを
△、明らかに実質上問題のあるレベルを×とした。尚、
上記の評価の際の無色の液体組成物の記録媒体への付着
領域は、インクの画像形成領域と同一領域であり、印字
のデューティは無色の液体組成物及びインクのどちらも
全て100%である。更に印字方向は片方向である。
【0069】比較例1 実施例1で使用した無色の液体組成物Aを使用しなかっ
たことを除いては実施例1と同様にして、印字記録及び
評価を行った。表1に、実施例1及び比較例1の評価結
果をまとめて記載したが、表1から明らかな様に、実施
例では、定着性、文字品位、画像濃度、ブリーディング
及び耐擦過性共に良好な画像が得られたのに対し、比較
例1では、画像濃度が低く、ブリーディングの発生が見
られ、定着性に劣る画像しか得られず、しかも画像の耐
擦過性に劣っていた。
【0070】表1 評価結果
【0071】実施例2〜実施例12 次に、表2に記載したカチオン性化合物を使用して、表
3に示した成分で構成される無色又は淡色の液体組成物
とインクとを作製し、これらを用いて実施例1と全く同
様な印字及び印字物の評価を行った。但し、表3に記載
されている成分以外の成分については、実施例1と同じ
成分が含まれている。又、液体組成物及びインクにおけ
る水(イオン交換水)の量は、構成成分の総和が100
部となる様に調整されている。尚、液体組成物のpH
は、4.8に調整されている。
【0072】表2 実施例で使用したカチオン性化合物 *:ポリアリルアミンは、「機能材料」VOL.5、2
9(1986)に記載の方法に基づき合成を行った。
【0073】表3 実施例で使用した液体組成物とイン
クの成分 **:実施例1で使用したエレクトロストリッパーQE
【0074】表4 評価結果
【0075】実施例13 実施例1で使用した無色又は淡色の液体組成物と、やは
り実施例1で使用したイエロー、マゼンタ、シアンの3
色を使用して、全て100%デューティでベタ画像を記
録し、所謂、プロセスブラックを形成した。印字した条
件は全て実施例1と同一にした。この時の画像濃度、定
着性、文字品位、耐擦過性、プロセスブラックと他の色
との境界部におけるブリーディングの評価結果は全て○
であり、本発明の効果が確認された。
【0076】実施例14 図8に示した実施例1で使用したと同様の記録ヘッドを
使用し、インクを付着後に無色又は淡色の液体組成物が
記録される様な配置とした以外は、実施例1及び比較例
1と全く同様の実験を行ったところ、表1に示した実施
例1の結果と全く同様な結果が得られ、本発明の効果が
確認された。
【0077】実施例15〜実施例20 各実施例1、2、4、7、8及び10と同様の液体組成
物とインクとの組み合わせを用い、インクを記録用紙に
付与した後、液体組成物を付与したことを除いて実施例
1と同様に記録を行いその評価を行った。この結果、各
実施例1、2、4、7、8及び10で得られたものと同
等の結果が得られ、本発明の効果が確認された。
【0078】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、特
に、普通紙に対するカラーインクジェット記録を行った
場合に、高速定着性でありながら高印字品位で十分な画
像濃度が得られ、ブリードレスで、しかも得られる優れ
た画像が耐擦過性を満足し得る優れたインクジェット記
録画像が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置のヘッド部の縦断面図
である。
【図2】インクジェット記録装置のヘッド部の横断面図
である。
【図3】インクジェット記録装置のヘッド部の外観斜視
図である。
【図4】インクジェット記録装置の一例を示す斜視図で
ある。
【図5】インクカートリッジの縦断面図である。
【図6】記録ユニットの斜視図である。
【図7】本発明の実施例で使用した複数の記録ヘッドが
配列した記録部を示した斜視図である。
【図8】本発明に使用する別の記録ヘッドの斜視図であ
る。
【図9】本発明にかかる記録方法を示す概念図である。
【符号の説明】
13:ヘッド 14:インク溝 15、28:発熱ヘッド 16:保護膜 17−1、17−2:アルミニウム電極 18:発熱抵抗体層 19:蓄熱層 20:基板 21:インク 22:吐出オリフィス(微細孔) 23:メニスカス 24:インク小滴 25:被記録材 26:マルチ溝 27:ガラス板 40:インク袋 42:ゴム製の栓 44:インク吸収体 45:インクカートリッジ 51:給紙部 52:紙送りローラー 53:排紙ローラー 61:ブレード 62:キャップ 63:インク吸収体 64:吐出回復部 65:記録ヘッド 66:キャリッジ 67:ガイド軸 68:モーター 69:ベルト 70:記録ユニット 71:ヘッド部 72:大気連通口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06P 5/00 111 A 116 B (72)発明者 池谷 優 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともカチオン性物質を含む液体組
    成物であって、1価アルコール及び/又はパラオキシ安
    息香酸エステルが含有されていることを特徴とする液体
    組成物。
  2. 【請求項2】 カチオン性物質が、GPCを使用して測
    定された分子量分布において、分子量1,000以下の
    領域及び1,500以上10,000以下の領域に分子
    量分布のピークを夫々有するものである請求項1に記載
    の液体組成物。
  3. 【請求項3】 カチオン性物質が少なくとも2種類以上
    の化合物からなる請求項1に記載の液体組成物。
  4. 【請求項4】 カチオン性物質のうち少なくとも1種が
    界面活性剤である請求項1に記載の液体組成物。
  5. 【請求項5】 1価アルコールがイソプロピルアルコー
    ル及びエタノールから選択される液体組成物。
  6. 【請求項6】 画像形成に供される請求項1〜請求項5
    に記載の液体組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜請求項6に記載の液体組成物
    を記録媒体上の画像形成領域又は画像形成領域とその近
    傍とに付着させる工程(A)と、少なくともアニオン性
    基を有する顔料分散体が含有されているインクを、記録
    信号に従って吐出オリフィスから液滴として記録媒体に
    噴射して付着させる工程(B)とを有することを特徴と
    する画像形成方法。
  8. 【請求項8】 工程(B)におけるインクの噴射をイン
    クジェット記録方式により行う請求項7に記載の画像形
    成方法。
  9. 【請求項9】 工程(A)における液体組成物の記録媒
    体への付着をインクジェット方式により行う請求項7に
    記載の画像形成方法。
  10. 【請求項10】 工程(A)を工程(B)に先立って行
    う請求項7に記載の画像形成方法。
  11. 【請求項11】 工程(A)を工程(B)の後に行う請
    求項7に記載の画像形成方法。
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JP3289495A Pending JPH08207421A (ja) 1995-01-31 1995-01-31 液体組成物、及びこれを用いた画像形成方法

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JP (1) JPH08207421A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6261353B1 (en) * 1998-05-29 2001-07-17 Fuji Xerox Co., Ltd Recording material and image forming method using the same
JP2019147379A (ja) * 2018-02-26 2019-09-05 三洋化成工業株式会社 印刷記録媒体用表面改質剤

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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