JPH0820676A - 水中生物の付着防止用ゴム組成物およびその構造物 - Google Patents

水中生物の付着防止用ゴム組成物およびその構造物

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JPH0820676A
JPH0820676A JP6154713A JP15471394A JPH0820676A JP H0820676 A JPH0820676 A JP H0820676A JP 6154713 A JP6154713 A JP 6154713A JP 15471394 A JP15471394 A JP 15471394A JP H0820676 A JPH0820676 A JP H0820676A
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Takayuki Fukutomi
富 崇 之 福
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高温下で加硫または硬化させても、環境汚染の
危険性のない防汚成分を長期間継続して放出する水中生
物の付着を防止し、防汚剤の防汚性能を維持した水中生
物の付着防止用組成物の提供。 【構成】(1)ゴム100重量部と、(2)受酸剤0.
5〜30重量部と、(3)式1で示される3−イソチア
ゾロン誘導体3〜80重量部とを含有する水中生物の付
着防止用ゴム組成物。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水中構造物、船舶など
のゴムまたは樹脂部材に付着する水中生物の付着防止用
ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、水中生物の付着防止用材料として
厚さを厚くすることができ、厚さの調節が可能で、塗料
に比べて長寿命な防汚ゴムが、船舶用ゴム部材や水中構
造物に使用されている。この防汚性能を有する成分とし
ては、トリブチルスズ(TBT)、トリプロピルスズ
(TPT)等の有機スズによるものが最も効果が高く、
他の成分では著しく性能が劣り、使用に耐えなかった。
ところが、有機スズは、海水および淡水を汚染し、ひい
ては人体にも影響をおよぼすことから、有機スズを含有
する構造物、部材等防汚材料を水中で使用することは、
全面禁止の方向にある。そこで、非スズ系の防汚薬剤で
水質汚染のおそれが少なく水中生物の付着が防止できる
材料として、本発明者らは、ゴムと3イソチアゾロン誘
導体を含有する組成物を開発した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】なかでも、ハロゲンを
置換基として有する3−イソチアゾロン誘導体を用いた
組成物は、防汚効果が高い。しかし、ハロゲンを置換基
として有する3−イソチアゾロン誘導体を用いた場合、
ゴムの加硫条件である高温下に長時間置かれると、この
誘導体が熱分解し、 水中生物の付着防止性からみて、加硫後のゴム中に残
存する有効成分が減少する。 上記防汚剤は、熱分解すると、ハロゲン化水素ガスを
発生する為、モールドや金属補強材等の腐食を招く。 また、ハロゲン化水素ガスがゴム中に溜まると、ふく
れやブリスタが生じる。といった問題点がある。 本発明は、上述の課題のうち少なくとも1つを解決する
ものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】発明者らは、ハロゲンを
置換基として有する3−イソチアゾロン誘導体と受酸剤
とをゴムに含有させると、高温下で加工しても、水中生
物の付着防止の性能の寿命が長い、水中生物の防汚用組
成物が得られることを知見し、本発明に至った。
【0005】すなわち、本発明は、(1)ゴム100重
量部と、(2)受酸剤0.5〜30重量部と、(3)式
(1)
【0006】
【化2】
【0007】(式中、X1 およびX2 は、少なくとも一
方がハロゲンで、他方が、水素、ハロゲン、または炭素
原子数1〜4の直鎖または分枝鎖のアルキル基であり、
Yは、置換基を有しない直鎖または分枝鎖の炭素原子数
1〜14のアルキル基、置換基としてハロゲンまたは低
級アルキル基を有するか、または非置換の炭素原子数1
〜9のアラルキル基、または、置換基としてフェノキシ
基、ヒドロキシ基、トリハロメチル基、ハロゲン、低級
アルキル基または低級アルコキシ基を有するか、または
非置換の炭素原子数1〜9のアリール基である。)で表
される3−イソチアゾロン誘導体3〜80重量部とを含
有する水中生物の付着防止用のゴム組成物を提供する。
さらに、この組成物に加硫剤を添加し、反応させて硬化
させた水中生物の付着防止用のゴム組成物の硬化物を提
供する。ゴム組成物の硬化物の厚みは、1mm以上であ
るのが好ましい。また、このような硬化物を表層に使用
する水中ゴム部材および水中構造物を提供する。
【0008】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
に用いるゴムは、加硫後、耐候性および耐海水性を示す
ゴムであれば特に限定されない。例えば、天然ゴム(N
R)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン
ゴム(SBR)、エチレン−プロピレンゴム(EP
M)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム
(EPDM)、イソブチレンイソプレンゴム(II
R)、臭素化イソブチレンイソプレンゴム(Br−II
R)、塩素化イソブチレンイソプレンゴム(Cl−II
R)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルフォン化
ポリエチレン(CSM)、ニトリルゴム(NBR)等が
挙げられ、特に、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム
(NR)、臭素化イソブチレンイソプレンゴム(Br−
IIR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロスルホン化
ポリエチレン(CSM)等が好ましい。
【0009】本発明のゴム組成物に用いるゴムの分子量
は、数平均分子量50000〜1000000が好まし
い。
【0010】また、本発明に用いるゴムの代わりに、樹
脂を用い加工工程中に100℃以上の高温に長時間暴露
する必要がある場合にも、受酸剤の配合は効果的であ
る。
【0011】本発明で、水中生物が付着するのを防止す
るため用いる化合物は、式(1)
【化3】 で表される3−イソチアゾロン誘導体である。
【0012】式中、X1 およびX2 は、少なくとも一方
がハロゲンで、他方が水素、ハロゲン、または炭素原子
数1〜4の直鎖または分枝鎖のアルキル基である。Y
は、置換基を有しない直鎖または分枝鎖の炭素原子数1
〜14のアルキル基、置換基としてハロゲンまたは炭素
原子数1〜3の低級アルキルを有するか、または非置換
の炭素原子数1〜9のアラルキル基、または、置換基と
してフェノキシ基、ヒドロキシ基、トリハロメチル基、
ハロゲン、炭素原子数1〜4の低級アルキル基または炭
素原子数1〜3の低級アルコキシ基を有するか、または
非置換の炭素原子数1〜9のアリール基である。ただ
し、炭素原子を含む置換基を有している場合、アラルキ
ル基、アリール基の炭素原子数は、置換基中の炭素原子
を含めた数で規定される。
【0013】X1 のハロゲンの具体例としては、クロ
ロ、ブロモ、ヨード等が含まれる。X2 のハロゲンの具
体例としては、クロロ、ブロモ、ヨード、クロロメチ
ル、クロロプロピル、ブロモメチル、ブロモエチル、ブ
ロモプロピル等が含まれる。Yの具体例としては、メチ
ル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシ
ル、オクチル、デシル、ペンタデシル、オクタデシル、
シクロプロピル、シクロヘキシル、ベンジル、3,4−
ジクロロベンジル、4−メトキシベンジル、4−クロロ
ベンジル、3,4−ジクロロフェニル、ヒドロキシメチ
ル、クロロメチル、クロロプロピル、ジエチルアミノエ
チル、シアノエチル、カルボメトキシエチル、エトキシ
エチル、2−メトキシ−1−ブロモメチル、3,3,5
−トリメチルシクロヘキシル、フェノキシエチル、p−
クロロアニリノメチル、フェニルカルバモキシメチル、
アリル、プロピニル、ビニル、カルボキシエチル、1−
イソチアゾロニルエチル、および1,2,2−トリクロ
ロビニル等が挙げられる。
【0014】中でも、X1 およびX2 がCl、Yが、炭
素原子数1〜9の非置換のアラルキル基またはアリール
基、特にC8 17であるのが好ましい。このような3−
イソチアゾロン誘導体としては、例えば、4,5−ジク
ロロ−2−n−オクチルイソチアゾリン−3−オンが挙
げられ、ローム・アンド・ハース社より入手可能であ
る。また、このような3−イソチアゾロン誘導体は、周
囲の環境を汚染するような毒性を持たない。例えば、
4,5−ジクロロ−2−n−オクチルイソチアゾリン−
3−オンのLD50は、1700mg/kg(雄のラッ
ト)、2800mg/kg(雌のラット)である。
【0015】このような3−イソチアゾロン誘導体の含
有量は、ゴム100重量部に対して、3〜80重量部、
特に、5〜55重量部であるのが好ましい。含有量が、
3重量部未満では、充分な防汚性の持続が得られない。
また、80重量部超では、ゴムの架橋が阻害され分子の
網目構造が荒くなる。そのため、防汚性が持続しない。
【0016】本発明に使用する受酸剤としては、酸化マ
グネシウム(MgO)、鉛丹(Pb 3 4 )、ペンタエ
リスリトール等が挙げられる。受酸剤として、酸化マグ
ネシウムを使用した場合、防汚剤の配合量に応じて、ゴ
ム100重量部に対して、0.5〜30重量部、特に
0.5〜6重量部であるのが好ましい。酸化マグネシウ
ムの配合量が、0.5重量部未満では、3−イソチアゾ
ロン誘導体の熱分解の抑制効果が不充分であり、30重
量部超では、ゴム組成物の加工性能を損なう恐れがあ
る。受酸剤として、鉛丹(Pb3 4 )を使用した場
合、防汚剤の配合量に応じて、ゴム100重量部に対し
て、2〜30重量部、特に2〜10重量部である。鉛丹
(Pb3 4 )の配合量が、2重量部未満では、3−イ
ソチアゾロン誘導体の熱分解の抑制効果が不充分であ
り、30重量部超では、ゴム組成物の加工性能を損なう
恐れがある。受酸剤として、ペンタエリスリトールを使
用した場合、防汚剤の配合量に応じて、ゴム100重量
部に対して、2〜30重量部、特に2〜10重量部であ
る。ペンタエリスリトールの配合量が、2重量部未満で
は、3−イソチアゾロン誘導体の熱分解の抑制効果が不
充分であり、30重量部超では、ゴム組成物の加工性能
を損なう恐れがある。
【0017】また、ゴム成分としてクロロプレンゴム
(CR),クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリ
エチレン等のハロゲンを含むゴムを用いる場合は、受酸
剤として上述の酸化マグネシウム、鉛丹、ペンタエリス
リトール等を用いる好適な配合量は、下記の通りであ
る。受酸剤として、酸化マグネシウムを使用した場合、
防汚剤の配合量に応じて、ゴム100重量部に対して、
2.5〜30重量部、特に2.5〜6重量部であるのが
好ましい。受酸剤として、鉛丹(Pb3 4 )を使用し
た場合、防汚剤の配合量に応じて、ゴム100重量部に
対して、4〜30重量部、特に4〜10重量部であるの
が好ましい。受酸剤として、ペンタエリスリトールを使
用した場合、防汚剤の配合量に応じて、ゴム100重量
部に対して、4〜30重量部、特に4〜10重量部であ
るのが好ましい。
【0018】また、本発明に用いるゴムには、それぞ
れ、加硫促進剤、加硫剤、加硫遅延剤、老化防止剤等を
添加してもよい。加硫促進剤の具体例としては、テトラ
メチルチウラムモノスルフィド(TS)、ジベンゾチア
ジルジスルフィド(DM)、ZnO、MgO、ステアリ
ン酸、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフ
ェンアミド(CZ)、テトラメチルチウラムジスルフィ
ド(TT)、2−メルカプトイミダゾリン(Na22)
等が挙げられる。加硫促進剤の添加量は、ゴム100重
量部に対して、0.1〜10重量部であるのが好まし
い。
【0019】加硫剤の具体例としては、硫黄、4,4−
ジチオモルフォリン(R)、ZnO、MgO、PbO、
Pb3 4 等が挙げられる。加硫剤の添加量は、ゴム1
00重量部に対して、0.1〜10重量部であるのが好
ましい。
【0020】加硫遅延剤の具体例としては、N−シクロ
ヘキシルチオフタルイミド(PVI)等が挙げられる。
加硫遅延剤の添加量は、ゴム100重量部に対して、
0.1〜5重量部であるのが好ましい。
【0021】老化防止剤の具体例としては、N−フェニ
ル−N’−(イソプロピル−p−フェニレンジアミン)
(3C)、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブ
チル−p−フェニレンジアミン)(6C)、オクチル化
ジフェニルアミン(OD3)、ポリ(2,2,4−トリ
メチル−1,2−ジハイドロキノリン)(RD)、2−
メルカプトベンゾイミダゾリン(MB)が挙げられる。
老化防止剤の添加量は、ゴム100重量部に対して、
0.1〜10重量部であるのが好ましい。
【0022】本発明のゴム組成物には、上述の成分の他
に、カーボン、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、クレ
ー等の充填剤、ジスアゾレッド、ジスアゾイエロー等の
着色剤、DOA、DBP、TCP等の可塑剤、アロマ
系、ナフテン系、パラフィン系の軟化剤などの添加剤を
加えてもよい。
【0023】(ゴム組成物の製造方法)本発明のゴム組
成物の製造方法には、特に制限はないが、例えば、上述
のゴム100重量部と、3−イソチアゾロン誘導体3〜
80重量部と、必要に応じて、その他の添加剤とを加
え、混練することによって得られる。さらに、加硫剤を
添加した組成物も製造し得る。
【0024】(硬化物の製造方法)本発明のゴム組成物
の硬化物の製造方法は、特に制限はないが、例えば、ク
ロロプレンゴム(CR)や天然ゴム(NR)の場合、硫
黄もしくはZnO、MgO、Pb3 4 等を加硫剤とし
て用い、100℃〜180℃の温度、特に、120〜1
50℃の高温下で、圧力4kgf/cm2 以上で、10
分〜24時間反応させて得られる。
【0025】得られたゴム組成物またはその硬化物を適
宜成形し、水中生物の付着防止用のゴム組成物を、水中
ゴム部材または水中構造物として、使用することができ
る。
【0026】ここで、水中生物とは、船舶、ブイ、水底
の人工の構造物等の水中にある部分に付着する生物、お
よび、干潮により一時的に海上に露出することのある部
分に付着する生物を包含する(付着生物)。具体的に
は、例えば、フジツボ、コケムシ、セルプラ等の水中動
物または海藻類等の水中植物が挙げられる。
【0027】本発明の3−イソチアゾロン誘導体を含有
する水中生物の付着防止用のゴム組成物またはその硬化
物を用いた水中部材としては、船舶の船底、船側に使用
される部材、艀、桟橋、ゴム製ブイ、防舷材、マリンホ
ース、浮沈式イケス用エアバッグ等の浮遊させて使用す
る部分に使用されるものが挙げられる。これらの水中部
材は、例えば、本発明のゴム組成物そのものを用い、あ
るいは、組成物を水中部材の必要な箇所に接着する等の
工程で製造することができる。
【0028】また、本発明の3−イソチアゾロン誘導体
を含有する水中生物の付着防止用のゴム組成物またはそ
の硬化物を用いた水中構造物としては、海底ケーブルの
表層材、海底に設置する施設の表層材、岸壁、石油採掘
リグ等の海底で固定されているか、またはイケス等の人
工的に海水もしくは淡水を溜めておく容器等が挙げられ
る。
【0029】本発明の3−イソチアゾロン誘導体を含有
する水中生物の付着防止用のゴム組成物およびその硬化
物は、水中生物の付着を防止する効果を長期間持続する
ことが可能である。その作用機構として、本発明に用い
る防汚効果を有する成分である3−イソチアゾロン誘導
体を含有する防汚ゴム組成物の成形物(防汚層)または
その加硫成形物(防汚層)を海水に浸漬させると、その
表面層の防汚成分が海中に溶出する。その結果、防汚層
中に防汚成分の濃度勾配を生じる。この濃度勾配により
防汚層の内部にあった防汚成分が表面に移行し、防汚層
の表面から海水中に溶出することが考えられる。
【0030】本発明の3−イソチアゾロン誘導体を含有
する水中生物の付着防止用のゴム組成物を水中部材や水
中構造物に成形する際に、好ましい防汚層の厚みは、1
mm以上、特に3mm以上であるのが好ましい。1mm
未満では、防汚成分の長期的な放出が望めないので実用
に適さない。1 mm以上では、長期間防汚効果が有効で
あるので、防汚成分である3−イソチアゾロン誘導体が
逐次ゴム組成物の硬化物の内部から外部に移行している
と考えられる。
【0031】さらに、本発明の水中生物の付着防止用の
ゴム組成物は、50mm以上、特に100mm以上の肉
厚の構造物を製造するのに適している。この様に、肉厚
の構造物を製造する場合、構造物の中心まで加硫をさせ
るために高温下で長時間加硫を行う。このような場合で
も、本発明の組成物を用いれば、得られる構造物は、防
汚成分が加硫時等の熱によって分解されることがない。
したがって、防汚性能を長期間保持することができる。
さらに、本発明の組成物では、高温で長時間加硫すると
塩化水素ガスを発生する原因となる防汚成分中の塩素に
受酸剤が反応するので、塩化水素ガスを発生しない。さ
らに、塩化水素ガスを発生しないので、モールドや金属
補強材などの腐食を招くこともない。また、生じた塩化
水素ガスがゴム内に溜まることによって起こる、ゴムの
ふくれやブリスタも生じない。
【0032】
【実施例】以下に、実施例を用いて本発明を詳細に説明
する。
【0033】(実施例1〜4、および比較例1〜8) (1)下記配合割合のポリマーを作製した。下記表1の
配合割合でポリマーに、表1の配合割合で各種成分を加
えて、ラボ用インターナルミキサーで4〜6分間混練
し、表1に示す加硫条件で本発明のゴム組成物を製造し
た。得られたゴム組成物について、ゴム物性および防汚
性能を測定した。測定方法および評価基準を下記(2)
および(3)に示す。結果を表1に示す。比較例1〜8
についても、下記表1の配合割合で、実施例1と同様に
して得られた組成物について、ゴム物性および防汚性能
を測定した。測定方法および評価基準を下記(2)およ
び(3)に示す。結果を表1に示す。
【0034】(2)各加硫条件における加硫性能 (1)で得られた組成物を、150℃で2時間加硫、1
50℃で3時間および150℃で6時間加硫し、加硫の
状態を評価した。 評価基準:○:モールドの錆発生およびゴム表面のブリ
スタ発生がない。 △:モールドの錆発生は無いがゴム表面の一部に小ブリ
スタが発生している。 ×:モールドの錆発生およびゴム表面全体にブリスタが
多数発生している。 −:実施せず
【0035】(3)防汚性能 各ゴム組成物を(2)の常態物性試験用試験片作製時と
同様の方法でモールドを使い、30時間加硫して、30
0×300×100mmの試験片を得た。それらの試験
片を、静岡県の沼津市内浦長浜岸壁より約400mの海
面から水深約1mの海中に、試験片を投下し、1年後、
シート上に付着したスライム付着程度および生物の量を
測定し、下記表2に記載の基準によって評価した。生物
の付着率(%)は、シートの全面積に対する、生物が付
着したシートの部分の面積の比率によって示した。これ
をもとに、組成物が本発明の海洋ゴム部材または海中構
造物として使用可能であるか不能であるかを、○、×、
* および−で評価した。評価した結果を表1に掲げ
た。
【0036】(4)ゴム物性 150℃で30時間加硫して得られた硬化物のゴム物性
について、JIS K6251,K6301に準拠し
て、引張試験、伸び率、硬さを測定し、下記の基準で評
価した。 評価基準: ○:引張強さ120kgf/cm2 以上、伸び率300
%以上、JIS−A形スプリング式硬さ試験機による硬
さ40〜60のもの。 ×:引張強さ120kgf/cm2 未満もしくは伸び率
300%未満、JIS−A形スプリング式硬さ試験機に
よる硬さ40未満、または60以上のもの。 −* : 加硫できなかったもの。もしくはブリスタ発生に
より評価できなかったもの。 −:実施せず
【0037】
【表1】
【0038】
【0039】(実施例5および6)下記表3に記載のポ
リマーに、防汚剤を加え、受酸剤を鉛丹にした以外は、
実施例1と同様に組成物を製造し、加硫性能について測
定評価した。さらに、150℃、30時間加硫した30
0×300×100mmの試験片で、防汚性能について
測定評価し、さらに、JIS K6251,K6301
に準拠して、ゴム物性について測定、評価した。
【0040】
【表2】
【0041】(実施例7および8)下記表4に記載のポ
リマーに、防汚剤を加え、受酸剤をペンタエリスリトー
ルにした以外は、実施例1と同様に組成物を製造し、加
硫性能について測定評価した。さらに150℃、30時
間加硫した300×300×100mmの試験片で防汚
性能について測定評価し、さらにJIS K6251,
K6301に準拠して、ゴム物性について測定、評価し
た。
【0042】
【表3】
【0043】
【発明の効果】本発明の3−イソチアゾロン誘導体およ
び受酸剤を含有する水中生物の付着防止用のゴム組成物
またはその加硫物により、高温下で加硫または硬化させ
ても、環境汚染の危険性のない防汚成分を長期間継続し
て放出する水中生物の付着を防止し、防汚剤の防汚性能
を維持した製品を製造することが出来る。また、高温下
での加硫をしても防汚効果を長期間維持することができ
るので、肉厚の構造体を製造できる。本発明は、上述の
発明の効果のうち少なくとも1つを有するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09K 3/00 112 Z

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)ゴム100重量部と、(2)受酸剤
    0.5〜30重量部と、(3)式(1) 【化1】 (式中、X1 およびX2 は、少なくとも一方がハロゲン
    で、他方が水素、ハロゲン、または炭素原子数1〜4の
    直鎖または分枝鎖のアルキル基であり、Yは、置換基を
    有しない直鎖または分枝鎖の炭素原子数1〜14のアル
    キル基、置換基としてハロゲンまたは低級アルキル基を
    有するか、または非置換の炭素原子数1〜9のアラルキ
    ル基、または、置換基としてフェノキシ基、ヒドロキシ
    基、トリハロメチル基、ハロゲン、低級アルキル基また
    は低級アルコキシ基を有するか、または非置換の炭素原
    子数1〜9のアリール基である。)で表される3−イソ
    チアゾロン誘導体3〜80重量部とを含有することを特
    徴とする水中生物の付着防止用ゴム組成物。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の水中生物の付着防止用ゴ
    ム組成物に、さらに、加硫剤を添加してなる水中生物の
    付着防止用ゴム組成物。
  3. 【請求項3】前記ゴム組成物の硬化物の厚みが、1mm
    以上である請求項2に記載の水中生物の付着防止用ゴム
    組成物の硬化物。
  4. 【請求項4】請求項2に記載の組成物の硬化物、または
    請求項3に記載の硬化物を表層に使用してなることを特
    徴とする水中ゴム部材。
  5. 【請求項5】請求項2に記載の組成物の硬化物、または
    請求項3に記載の硬化物を表層に使用してなることを特
    徴とする水中構造物。
JP6154713A 1994-07-06 1994-07-06 水中生物の付着防止用ゴム組成物およびその構造物 Expired - Lifetime JP2981120B2 (ja)

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