JPH08205789A - 種豚用飼料を用いて雄豚の繁殖能力を向上させる方法 - Google Patents

種豚用飼料を用いて雄豚の繁殖能力を向上させる方法

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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、雄豚の繁殖能力を向上させること、
特に夏場の授精能力の低下を防止することを目的とす
る。 【構成】オリゴ糖を主成分とする糖類を含有する種豚用
飼料を用いて雄豚の繁殖能力を向上させる方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、オリゴ糖を主成分とす
る糖類を含有する飼料を繁殖雄豚に給与することによ
り、雄豚の繁殖能力を向上させる方法に関するものであ
る。特に夏場の授精能力の低下を防止することにより、
年間を通して安定した受胎、精子の提供を可能とするこ
とを目的とする。
【０００２】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
食生活の欧風化に伴い食肉の需要が高まり、これを供給
する生産者も効率のよい飼育方法を望んでいる。一方わ
が国の畜産業は国際競争力をつけるためにも、よりいっ
そうの生産性の向上を図ることが課題となっている。
【０００３】養豚分野における生産性の向上を図るため
の方法としては、１腹当たりの産子数を増やすこと、生
まれた幼畜の育成率を高めること、分娩回数を増やすこ
と等があげられる。１腹当たりの産子数や育成率向上
は、家畜の育種改良の進歩や、飼育管理上の施設や環境
衛生上の改善等によって良くなってきたが、いまだ十分
とはいえない。
【０００４】一方、生産性向上のためのもう一つの大き
な課題として、受胎率の向上あるいは繁殖障害の予防等
があげられる。豚を繁殖させるには発情、種付け、受
胎、分娩のサイクルを効率よく繰り返すことが要求され
る。しかし近年、養豚農家の経営規模が拡大するにとも
ない、飼育管理上個々の豚に対する充分な観察が難しく
なる等のために、繁殖障害の発生が増加しつつあり、経
営的損失は無視できないものとなっている。
【０００５】さらに豚の場合、夏場における繁殖成績の
低下があげられる。その雄豚側の原因としては、夏場に
おける精巣炎等の疾病の発生、交尾欲の欠如・減退、あ
るいは精液性状の悪化等がある。特に精液性状の悪化に
ついては、例えば自然交配の場合には実質的に精液性状
の把握が困難であり、雄豚の繁殖障害に気付いた時には
すでに手遅れである場合が多い。さらに夏場の精液性状
は不安定であり、保存可能日数も半減する等、人工授精
の面からも問題となる。
【０００６】そこで繁殖成績の向上あるいは繁殖障害の
予防等に対処するために、例えば抗生剤、ホルモン剤の
投与等、種々の解決策が試みられてきた。しかし副作用
の発生あるいは飼料の安全性といった問題もあり、必ず
しも充分な解決策には至っていなかった。このため繁殖
成績の向上をはかるために、労力や費用がかからず且つ
効果の優れた手段、特に雄豚に対しては夏場の授精能力
の低下を防止することにより、年間を通して安定した受
胎、精子の提供を可能とするための手段の開発が望まれ
ていた。
【０００７】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、オリゴ糖を主成
分とする糖類を含有した飼料に、優れた効果があること
を初めて確認し、この知見に基づき本発明を完成するに
至った。
【０００８】すなわち本発明は、オリゴ糖を主成分とす
る糖類を含有する種豚用飼料を用いて精子の授精能力を
向上させる方法に関するものである。特に夏場の授精能
力の低下を防止することにより、年間を通して安定した
受胎、精子の提供を可能とすることを目的とする。
【０００９】本発明に用いるオリゴ糖としては、フラク
トオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、イヌロオリゴ糖、大豆
オリゴ糖、ラクチュロース、イソマルトオリゴ糖、ラク
トシュクロース、キシロオリゴ糖等であり、特に構成成
分としてフラクトースが複数個結合したオリゴ糖、例え
ばフラクトオリゴ糖、イヌロオリゴ糖等が好適である。
【００１０】本発明に用いるフラクトオリゴ糖を主成分
とする糖類は、例えばシュークロースにフラクトース転
移酵素を作用させて得られる糖組成物（特開昭56-15496
7 号公報参照）であって、シュークロースにフラクトー
スが１〜４分子結合したフラクトオリゴ糖とシュークロ
ース、グルコース及びフラクトースなどが混合している
糖類である。
【００１１】本発明におけるフラクトオリゴ糖を主成分
とする糖類（以下ＦＯと略記することがある）を含有し
た種豚用飼料は、一般の種豚用飼料に上記ＦＯを添加し
て得られるものである。ＦＯの添加量については特に制
限はないが、効果及び経済性等を考慮して、飼料 100重
量部に対して0.1〜2重量部、好ましくは0.1〜0.6重量部
程度を添加することによって、十分本発明の効果を発揮
しうる。さらに必要であればビタミン、油脂等の他の栄
養補給剤を添加してもよい。
【００１２】本発明の方法においては、年間を通して雄
豚に本発明の飼料を連続給与することが好ましく、１頭
当たりのＦＯとしての給与量としては、一般には 2.7〜
54ｇ／日程度、好ましくは 2.7〜16.2ｇ／日程度とすれ
ばよい。もちろん雄豚の体調、季節等により適宜増減し
てもよい。特に夏場の授精能力の低下を防止するために
は、少なくとも３月乃至８月にわたって連続給与する。
【００１３】該方法により、以下の実施例に示す如く、
ＦＯ投与区において精子体外受精率、精子正常率、精子
濃度等において改善が見られ、特に夏場の授精能力の低
下を防止することができた。このことは特に人工授精に
おいて、年間を通して安定した授精能力を期待できるも
のである。
【００１４】人工授精では採取した精液を30〜40倍に希
釈して使用するため、希釈率が受胎率に大きく影響する
場合も多く、季節や精子の状態により希釈倍率に制限が
生じる。しかし、精子の授精能が安定して高ければ、よ
り高倍率の希釈を行うことが可能であり、一回の採精で
多くの雌豚への精液の提供が可能となる。
【００１５】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明を限定するものではない。 実施例１ 雄豚にＦＯを含有する飼料を連続的に給与し、精液に与
える影響を確認した。 （１）試験の概要 雄豚６頭を対照区と試験区に分け、各区３頭とした。市
販の種豚用飼料を、両区とも等量となるように給与し
た。なお試験区には明治飼料用オリゴＳＩ（明治製菓、
ＦＯ含有率約27％）を、１頭当たり10ｇ／日を上記飼料
に混合した本発明の飼料を用いた。試験期間は夏場の授
精能力に与える効果を考慮し、３〜１２月とした。 （２）調査項目 常法に従い、精子体外受精率、精子正常率、精子濃度に
ついて測定した。なお測定は、夏場の影響が出やすいと
考えられる９、１０月に実施した。 （３）結果 結果を表１に示す。表１に示す通り、本発明の飼料を連
続給与することにより対照区に比べ試験区は精子体外受
精率、精子正常率、精子濃度のいずれにおいても改善が
見られ、夏場の授精能力の低下を防止することができ
た。
【００１６】
【表１】項目 区 ９月 １０月 体外受精率 対照区 47.3± 6.4 26.7±12.6（％） 試験区 61.6±18.1 65.2±21.8 精子正常率 対照区 82.2± 6.6 81.6± 4.9（％） 試験区 87.3± 3.7 87.1± 4.2 精子濃度 対照区 6.8± 2.8 4.2± 0.9（億/ ml） 試験区 5.6± 1.1 6.2± 1.9 注）数値；平均±ＳＥＭ
【００１７】
【発明の効果】本発明に従えば、オリゴ糖を主成分とす
る糖類を含有する種豚用飼料を用いて雄豚の繁殖能力を
向上させることができ、特に夏場の授精能力の低下を防
止することができる。これにより、年間を通して安定し
た受胎、精子の提供を可能とする方法を低コストで簡便
に提供することができる。年間を通して安定した繁殖成
績、とりわけ受胎率の向上に寄与するところが大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松村 浩明 東京都中央区京橋２−４−16 明治製菓株 式会社内 (72)発明者 徳永 隆久 東京都中央区京橋２−４−16 明治製菓株 式会社内 (72)発明者 河野 敏明 埼玉県坂戸市千代田５−３−１ 明治製菓 株式会社生物科学研究所内 (72)発明者 小平 明洋 埼玉県坂戸市千代田５−３−１ 明治製菓 株式会社生物科学研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 オリゴ糖を主成分とする糖類を含有する
    種豚用飼料を用いることを特徴とする雄豚の繁殖能力を
    向上させる方法。
  2. 【請求項２】 オリゴ糖がフラクトオリゴ糖である請求
    項１記載の方法。
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