JPH08205654A - 水草刈取船の刈取装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ［目的］ 刈取った水草に対して後方への送り作用を
与えることができないデッドスペースを作ることなく船
体の幅より広い刈幅を得る。 ［構成］ 水草を刈取る刈刃（１２）と、該刈刃（１
２）を前端間に設ける左右側壁（１０）と、該左右側壁
（１０）間で刈刃（１２）より後方に設けて刈取った水
草を船上に搬送する搬送コンベア（１１）から成る刈取
装置において、前記左右側壁（１０）前部を左右外方に
拡張自在に設け、刈刃（１２）は中央部で左右に分割
し、左右側壁（１０）前部拡張時に左右刈刃（１２ａ）
（１２ｂ）の内側端部をラップするように設けると共
に、該左右側壁（１０）前部には水草を後方に搬送する
ための補助搬送コンベア（１４）を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば湖や池などに自
生する水草を刈取って除去するための水草刈取船の刈取
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、台船の前側に刈取装置を装備し、
台船を前進させ乍ら、刈取装置前端の刈刃で水草を刈取
り、刈取った水草を搬送コンベアで船上に搬送する技術
があった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記従来技術は、搬送
コンベアの幅より刈幅を広げると、刈刃両側部後方の搬
送コンベア前部両外側に水草に対して後方への送り作用
を与えることができないデッドスペースが発生するた
め、刈幅を搬送コンベアの幅より余り広くすることがで
きず、そのため従来では船体の幅より狭い刈幅しか得ら
れず、刈取性能の向上などを容易に図り得ない問題があ
った。

【０００４】本発明は、刈取った水草に対して後方への
送り作用を与えることができないデッドスペースを作る
ことなく船体の幅より広い刈幅を得られる刈取装置を提
供することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の刈取装置は、水草を刈取る刈刃と、該刈刃を
前端間に設ける左右側壁と、該左右側壁間で刈刃より後
方に設けて刈取った水草を船上に搬送する搬送コンベア
から成る刈取装置において、前記左右側壁前部を後縦軸
回りで左右外方に拡張自在に設け、刈刃は中央部で左右
に分割し、左右側壁前部拡張時に左右刈刃の内側端部を
ラップするように設けると共に、該左右側壁拡張部には
水草を後方に搬送するための補助搬送コンベアを設けた
ものである。

【０００６】

【作 用】上記のように構成した本発明の刈取装置は、
左右側壁前部を左右外方に拡張して刈幅を船体の幅より
広げても、左右外方に拡張した左右側壁前部の補助搬送
コンベアが搬送コンベア幅より外側にある左右刈刃の外
側部で刈取った水草を適正に後方に搬送するように働
き、従来のようなデッドスペースを作ることなく船体の
幅より広い刈幅が得られ、刈取性能を向上し得る。また
刈幅が船体の幅より広くなることで、船体でこの前方の
未刈り水草を押すことがなくなり、推進抵抗が減少して
推進力の減少及び操船性の向上などを容易に図り得る。
また左右側壁前部を左右外方に拡張時にも左右刈刃内側
端がラップすることで、刈幅中央部での刈残しを防止し
得る。また水草刈取船の運搬時には、刈幅を船体の幅よ
り狭くすべく、左右側壁前部を内方に収納することで、
トラックの荷台等への積込みを容易に行い得る。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述
する。図１は刈取部の要部平面図、図２は水草刈取船の
全体側面図、図３は同平面図、図４は同断面正面図であ
り、前端側を二叉に形成した台船（１）後部両側には水
車形推進装置（２）を設けると共に、台船（１）の後端
底部にプロペラ形推進装置（３）を設けている。また左
右の水車形推進装置（２）間の台船（１）上に高架形運
転台（４）を設け、その運転台（４）上に運転操作コラ
ム（５）、運転席（６）、エンジン（７）並びに多連油
圧ポンプ（８）等を設けている。

【０００８】さらに、台船（１）の前側には刈取装置
（９）を設けている。刈取装置（９）は刈取フレームで
ある左右側壁（１０）と、左右側壁（１０）の下辺間に
設けるベルトコンベア形の取込コンベア（１１）と、左
右側壁の前端下端間に設ける横刈刃（１２）と、左右側
壁（１０）の前端辺に設ける左右縦刈刃（１３）と、左
右側壁（１０）の前側部に設けるベルトコンベア形の縦
置きの左右補助搬送コンベア（１４）とを備えている。

【０００９】台船（１）の前端側二叉基端部に左右刈取
取付台（１５）を設け、左右側壁（１０）の後端下縁間
に張設する支軸（１６）の両端を左右取付台（１５）上
面に回動自在に支持させ、刈取装置（９）を台船（１）
の前側に昇降自在に取付けている。

【００１０】支軸（１６）両端と左右側壁（１０）の中
間上縁間に左右リフトアーム（１７）を張設すると共
に、左右リフトアーム（１７）中間と台船（１）との間
に左右油圧シリンダ（１８）を張設し、左右油圧シリン
ダ（１８）でもって刈取装置（９）を昇降させるように
構成している。

【００１１】そして、例えば湖底から生えている水草を
刈取る場合には、図１の実際に示すように横刈刃（１
２）を湖底近くに位置させるように刈取装置（９）を下
降させる一方、湖面に浮いている水草を刈取る場合に
は、図１の仮想線に示すように横刈刃（１２）を水面近
くに位置させるように刈取装置（９）を上昇させ、台船
（１）を前進させ乍ら各刈刃（１２）（１３）で水草を
刈取り、その刈取った水草を取込コンベア（１１）及び
左右縦置きコンベア（１４）で後方に搬送しで台船
（１）の前端側二叉基端に刈取った水草を引揚げるよう
に構成している。

【００１２】台船（１）の前端側二叉基端から後端にか
けてベルトコンベア形の前後中間コンベア（２０ａ）
（２０ｂ）を設けると共に、その後中間コンベア（２０
ｂ）の後端に連設させるベルトコンベア形の搬出コンベ
ア（２１）を設け、刈取装置（９）の取込コンベア（１
１）後端から前中間コンベア（２０ａ）の前端側に水草
を落し、前後中間コンベア（２０ａ）（２０ｂ）を介し
て搬出コンベア（２１）に搬送し、刈取った水草を搬出
コンベア（２１）から直接地上に搬出したり、地上との
間で往復する他の水草運搬船に搬出するように構成して
いる。

【００１３】尚、後中間コンベア（２０ｂ）と搬出コン
ベア（２１）は左右油圧シリンダ（２２）の引上げ操作
により後中間コンベア（２０ｂ）前端のコンベア軸を中
心に一直線状態で上方に持上げられ、これにより水草の
搬出高さの調節を行う。また搬出コンベア（２１）は前
記左右油圧シリンダ（２２）の押し操作により後コンベ
ア（２０ｂ）後端のコンベア軸を中心に略水平姿勢から
略垂直姿勢に回動され、これにより台船（１）の後端に
搬出コンベア（２１）が折畳まれて台船（１）の全長の
短縮を図ると共に、略水平な後コンベア（２０ｂ）とそ
の後端で立設する略垂直な搬出コンベア（２１）でもっ
て刈取った水草をロール状に束ねるようにしている。

【００１４】刈取装置（９）は台船（１）の前端側二叉
部の間から刈取った水草を取込コンベア（１１）で船上
に搬送するもので、該取込コンベア（１１）の両側から
上方に立上げる左右側壁（１０）を台船（１）前端より
後部と前部に分割し、左右の後部側壁（１０ａ）前端縁
に後縦軸（２３）を介して左右の前部側壁（１０ｂ）後
端縁を左右に回動自在に連結すると共に、後部側壁（１
０ａ）外面と前部側壁（１０ｂ）外面との間に油圧シリ
ンダ（２４）を張設し、後部側壁（１０ａ）に対して前
部側壁（１０ｂ）を、図１の仮想線に示すように台船
（１）の船体幅（Ａ）内で左右対称に外方に拡張させる
収納位置と図１の実線に示すように台船（１）の船体幅
（Ａ）を超えて外方に拡張させる作業位置とに、回動変
位させるように構成している。

【００１５】また、左右の前部側壁（１０ｂ）の前端縁
には前縦軸（２５）及び角度調節部材（図示省略）を介
して左右の刈刃取付板（２６）が常に前方に向くように
連結され、該左右の刈刃取付板（２６）の前縁に縦刈刃
受台（２７）を介して前記縦刈刃（１３）を取付けると
共に、左右の刈刃取付板（２６）の下端間に前記横刈刃
（１２）を取付けている。

【００１６】該横刈刃（１２）は中央部で左右に分割
し、刈幅を前部側壁（１０ｂ）の拡張位置に応じて長さ
調節するもので、左右刈刃取付板（２６）の下端から内
側に上下に段差を設けて略水平に一体延出させて延出端
部を左右刈刃取付板（２６）の略中間部で重合させる左
右横刈刃受台（２８ａ）（２８ｂ）を設け、左右横刈刃
受台（２８ａ）（２８ｂ）の各内側端部を長孔（２９）
及び連結ピン（３０）を介して重合状態で摺動自在に連
結し、該左右横刈刃受台（２８ａ）にそれぞれ横一列に
左右横刈刃（１２ａ）（１２ｂ）を取付け、前部側壁
（１０ｂ）の作業位置への拡張に連動して横刈刃（１
２）の刈幅を台船（１）の船体幅（Ａ）より長い刈幅
（Ｂ）に形成する一方、前部側壁（１０ｂ）の収納位置
への縮小に連動して横刈刃（１２）の刈幅を台船（１）
の船体幅（Ａ）より短い刈幅（Ｃ）に形成し、また前部
側壁（１０ｂ）が作業位置に拡張時左右横刈刃（１２
ａ）（１２ｂ）の内側端部を所定寸法（Ｄ）だけラップ
させるように構成している。（Ｃ≦Ａ＜Ｂ）

【００１７】さらに、左右の前部側壁（１０ｂ）の下端
から内側には該前部側壁（１０ｂ）を作業位置に拡張時
に取込コンベア（１１）の前部上側上面との隙間を埋め
る左右底板（３１）を一体延出させるもので、該左右の
底板（３１）は前部側壁（１０ｂ）を収納位置に縮小時
に取込コンベア（１１）の上面側に重合収納される。そ
して左右の前部側壁（１０ｂ）にこの前後端の前後横軸
（２５）（２３）をコンベア軸とする縦置きの前記補助
搬送コンベア（１４）を取付け、取込コンベア（１１）
の左右幅よりさらに左右外側で刈取られる水草を左右補
助搬送コンベア（１４）でもって斜め後方に寄せ集め搬
送し、取込コンベア（１１）上に乗せるように構成して
いる。

【００１８】図５は前記補助搬送コンベア（１４）と同
様の働きをする補助搬送コンベアであるローラコンベア
（３２）を示すもので、左右底板（３１）に取込コンベ
ア（１１）と連動して回転する複数のゴムロール（３２
ａ）によって前記ローラコンベア（３２）を形成し、各
ゴムロール（３２ａ）の送りと前部側壁（１０ｂ）の案
内によって取込コンベア（１１）の左右幅よりさらに左
右外側で刈取られた水草でも滞溜なく取込コンベア（１
１）上まで搬送できる。

【００１９】尚、補助搬送コンベアを前部側壁（１０
ａ）と底板（３１）に設けるとより一層高い水草の搬送
性能を得ることができ効果的である。

【００２０】本実施例は上記のように構成するものにし
て、水草を刈取る場合には刈取装置（９）の左右側壁
（１０）前部を台船（１）の前方で船体幅（Ａ）より左
右外方に拡張させ、その台船（１）の船体幅（Ａ）より
広い刈幅（Ｂ）で水草を刈取って行く一方、刈取作業以
外並びに台船（１）をトラック等の荷台に積込んで運搬
する際には刈取装置（９）の左右側壁（１０）前方を台
船（１）の船体幅（Ａ）内に収納するものである。

【００２１】

【発明の効果】以上実施例から明らかなように本発明
は、水草を刈取る刈刃（１２）と、該刈刃（１２）を前
端間に設ける左右側壁（１０）と、該左右側壁（１０）
間で刈刃（１２）より後方に設けて刈取った水草を船上
に搬送する搬送コンベア（１１）から成る刈取装置にお
いて、前記左右側壁（１０）前部を後縦軸回りで左右外
方に拡張自在に設け、刈刃（１２）は中央部で左右に分
割し、左右側壁（１０）前部拡張時に左右刈刃（１２
ａ）（１２ｂ）の内側端部をラップするように設けると
共に、該左右側壁（１０）拡張部には水草を後方に搬送
するための補助搬送コンベア（１４）を設けたもので、
左右側壁（１０）前部を左右外方に拡張して刈幅を船体
の幅より広げても、左右外方に拡張した左右側壁（１
０）前部の補助搬送コンベア（１４）でもって搬送コン
ベア（１１）幅より外側にある左右刈刃（１２ａ）（１
２ｂ）の外側部で刈取った水草を適正に後方に搬送する
ことができ、従来のようなデッドスペースを作ることな
く船体の幅より広い刈幅を得ることができ、刈取性能を
向上できる。また刈幅が船体の幅より広くなることで、
船体でこの前方の未刈り水草を押すことがなくなり、推
進抵抗が減少して推進力の減少及び操船性の向上などを
容易に図ることができる。また左右側壁（１０）前部を
左右外方に拡張時にも左右刈刃（１２ａ）（１２ｂ）内
側端がラップすることで、刈幅中央部での刈残しを防止
できる。また水草刈取船の運搬時には、刈幅を船体の幅
より狭くすべく、左右側壁（１０）前部を内方に収納す
ることで、トラックの荷台等への積込みを容易に行うこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】刈取部の要部平面図。

【図２】水草刈取船の全体側面図。

【図３】水草刈取船の全体平面図。

【図４】水草刈取船の断面正面図。

【図５】補助搬送コンベアの変形例を示す部分平面図。

【符号の説明】

（１０） 側壁 （１１） 搬送コンベア （１２） 刈刃（横刈刃） （１４） 補助搬送コンベア

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水草を刈取る刈刃と、該刈刃を前端間に
   設ける左右側壁と、該左右側壁間で刈刃より後方に設け
   て刈取った水草を船上に搬送する搬送コンベアから成る
   刈取装置において、前記左右側壁前部を後縦軸回りで左
   右外方に拡張自在に設け、刈刃は中央部で左右に分割
   し、左右側壁前部拡張時に左右刈刃の内側端部をラップ
   するように設けると共に、該左右側壁拡張部には水草を
   後方に搬送するための補助搬送コンベアを設けたことを
   特徴とする水草刈取船の刈取装置。