JPH0820509B2 - 光波距離計用反射鏡装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、プリズム定数を変えることのできる光波距
離計用反射鏡装置に関する。

（従来の技術） 光波距離計で測定するには、光波距離計からの光を反
射して該距離計に戻すための反射鏡装置を被測量点に設
置する必要があり、一般に、この反射鏡装置としては、
入射光の方向と同方向に反射光を射出する必要からコー
ナキューブ型のプリズム反射部材が利用されている。

このプリズム反射部材の仮想反射面すなわち、プリズ
ム反射部材を一枚の平面反射鏡におきかえたときのその
反射面Refは、第４図（Ａ）（Ｂ）に示すように、プリ
ズム反射部材Ｐの入射面とプリズム頂点までの距離を
ｌ、プリズム反射部材Ｐの屈折率をｎとすると、プリズ
ム反射部材Ｐの入射面からnlの距離にある。測距精度を
正確にするには、この仮想反射面Refと被測量点SPから
の鉛直線Ｌとが一致していなければならない。

従来の反射鏡装置には、２つのタイプがあり、その１
つは第４図（Ａ）に示すように、プリズム反射部材Ｐに
取付けた反射鏡本体Ａの三脚Ｔの下に振り下げた垂球あ
るいは三脚Ｔ上の求心望遠鏡で被測量点SPを視準し、反
射鏡本体Ａを被測量点SPと一致させて配置したとき、仮
想反射面Refが前記鉛直線Ｌと一致するいわゆるプリズ
ム定数が零のタイプである。他の１つは、第４図（Ｂ）
に示すように、仮想反射面Refが鉛直線Ｌと距離Ｅだけ
ずれて配置されているものである。この距離Ｅはプリズ
ム定数といわれ、Ｅが30mmとすると、P.C 30mmと表現さ
れる。このプリズム定数Ｅの反射鏡装置を使用する光波
距離計は、測距された距離データを、プリズム定数Ｅ分
だけ補正（減算又は加算）して測距データとして表示す
るようなオフセット機構を有し、このオフセット機構に
プリズム定数Ｅを予め設定して使用する。

ところで現実には、光波距離計に付属する反射鏡装置
のプリズム定数は、すべて同じでないから、専用の反射
鏡装置以外のものを使用するときはオフセット機構のオ
フセット値をプリズム定数に応じて設定し直さなければ
ならないが、通常、このオフセット機構は光波距離計の
内部にあり、それを分解しなければ設定し直すことがで
きないようになっている。

そこで従来の反射鏡装置は、プリズム定数が変えられ
るように構成されている。

第５図及び第６図はその一例を示す。

同図において、Ａは一端に蓋板を有する円筒状の保持
具で、該蓋板に明けられた雌ねじを有する孔Ｂに第５図
示のように反射鏡本体Ｃの一端に形成された雄ねじを螺
着させて保持具Ａに反射鏡本体Ｃを組付けるか、あるい
は、第６図示のように保持具Ａを反転して第５図示とは
反対側から保持具Ａに反射鏡本体Ｃを組付けてプリズム
定数を変えるようにしている。

（発明が解決しようとする問題点） 従来の反射鏡装置によれば、プリズム定数を変えたい
場合には、反射鏡本体Ｃを一旦保持具Ａから外さなけれ
ばならないから取扱いが面倒である。

本発明は、従来のこのような問題を解消する反射鏡装
置を提供することをその目的とするものである。

（問題点を解決するための手段） 本発明は、上記の目的を達成するために、プリズム反
射部材を内蔵する反射鏡本体の保持具への取付状態を変
えることによって異なるプリズム定数を持つようにした
反射鏡装置において、該反射鏡本体は、前記保持具に着
脱自在のケーシングに保持具に対し近接又は離反する方
向にスライド可能に組付けられると共に、前記保持具に
組付けられたケーシングの内周面及び該ケーシングに嵌
合する反射鏡本体のケーシングの外周面の一方にガイド
が突設され、他方に前記ガイドピンに係合する溝が形成
され、該保持具からの距離を異にする少なくとも２つの
位置で係止されるように構成されたことを特徴とする。

（作 用） ケーシングに組付けられた反射鏡本体は保持具に対し
近接又は離反する方向にスライド可能であるが、ガイド
ピンと溝との係合により所定位置に係止されている。そ
の状態から反射鏡本体をケーシングに対して動かしてガ
イドピンとケーシングとの係合を解くと共にスライドさ
せ、溝の新たな位置でガイドピンを係合させる。すると
反射鏡本体は保持具からの位置を異にする新たな所定の
位置に係止され、異なるプリズム定数が得られる。

（実施例） 以下本発明の実施例を図面につき説明する。

第１図及び第２図は本発明の一実施例を示す。

図面において、１は反射鏡本体で、該反射鏡本体１
は、略円筒形状のケーシング２内にプリズム反射部材３
が組込まれた構造になっており、片面が閉塞されている
円筒状の保持具４に螺合部５を介して着脱可能に組付け
られている円筒状のケーシング６内に保持具４に対し近
接又は離隔する方向にスライドできるように嵌合してい
る。これを更に詳述すると、反射鏡本体１のケーシング
２の外周面には外周を例えば３等分するそれぞれの個所
に、第２図に明示するように、ケーシング２の中心軸と
同方向に延びる縦溝7aと２本の横溝7b₁、7b₂から成るコ
字形の溝７が形成されており、２本の横溝7b₁、7b₂の先
端部には保持具４側にえぐられた係止溝7c₁、7c₂が形成
されており、また、ケーシング６の内周面には内周を例
えば３等分するそれぞれの個所にガイドピン８が突設し
ていて、ケーシング６に反射鏡本体１を嵌合させたとき
３つの溝７にそれぞれガイドピン８が溝７と同じ位置に
係合するようにしている。

図面において、９は、ケーシング６とケーシング２と
の間に介装された圧縮ばねで、該圧縮ばね９で両ケーシ
ング２、６を互に離反する方向に付勢し、ガイドピン８
が溝７の係止溝7c₁、7c₂の位置にあるとき、ガイドピン
８を溝壁に圧接してガイドピン８が係止溝7c₁、7c₂から
動きにくくし、積極的にその係合を解除しないかぎり係
合が外れないようにする。

今、第１図示の状態からプリズム定数を変えようとす
るときは、反射鏡本体１を保持具４側に押込んでガイド
ピン８と係止溝7c₁との係合を外し、保持具３に向って
反時計方向に回動させてガイドピン８を横溝7b₁から縦
溝7aの位置に導き、次いで反射鏡本体１を保持具４側に
押込んでガイドピン８を横溝7b₂と係合可能位置にす
る。次いで反射鏡本体１を時計方向に回動させてガイド
ピン８を係止溝7c₂に係合させる。かくて異なるプリズ
ム定数に設定される。

ガイドピン８の係止溝7c₂から7c₁への移行はこの逆の
動作にすればよい。

尚、第１図において、10はＯ・リング、11はプリズム
反射部材３の抜け止め防止枠である。

第３図は本発明の他の実施憂の反射鏡本体1Aを示す。
反射鏡本体1Aのケーシング２の周面に形成される縦溝
７′ａは斜めに延び、その両端部に係止溝７′c₁、７′
c₂が形成されている。この実施例では反射鏡本体1Aを回
動させるだけでガイドピンが係止する係止溝７′c₁又は
７′c₂を、７′c₂又は７′c₁に変えることができる。

以上の実施例では、係止溝は２個であるが、３個設け
て３つの異なるプリズム定数を設定できるように構成で
きる。

また、圧縮ばね８に代えて引張ばねを用いてもよい。

尚、保持具３は、第１図では省略したが、３脚上の整
準台に連結されたＵ字状のヨークの両起立部に軸で回転
自在に軸支されている。

（発明の効果） 以上説明したように、本発明によれば、反射鏡本体を
保持具から外くことなく、かつ止めねじ等の係止用部材
を別途用いなくてもプリズム定数を変えることができる
ので、その作業に手間がかからない等の効果がある。ま
た、反射鏡本体を保持するケーシングが保持具に着脱自
在であるため、反射鏡本体を格納する際に反射鏡本体を
保持具から簡単に外せて格納し易い。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本発明の一実施例の断面図及びその
反射鏡装置の斜視図、第３図は他の反射鏡装置の斜視
図、第４図（Ａ）及び（Ｂ）はそれぞれプリズム定数が
異なる反射鏡装置の説明図、第５図及び第６図はそれぞ
れプリズム定数が異なる従来の反射鏡装置の一例の一部
截断側面図及び側面図である。 １……反射鏡本体、２……ケーシング ３……プリズム反射部材、４……保持具 ６……ケーシング、７……溝 ８……ガイドピン、９……圧縮ばね

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】プリズム反射部材を内蔵する反射鏡本体の
   保持具への取付状態を変えることによって異なるプリズ
   ム定数を持つようにした反射鏡装置において、該反射鏡
   本体は、前記保持具に着脱自在のケーシングに保持具に
   対し近接又は離反する方向にスライド可能に組付けられ
   ると共に、前記保持具に組付けられたケーシングの内周
   面及び該ケーシングに嵌合する反射鏡本体のケーシング
   の外周面の一方にガイドピンが突設され、他方に前記ガ
   イドピンに係合する溝が形成され、該保持具からの距離
   を異にする少なくとも２つの位置で係止されるように構
   成されたことを特徴とする光波距離計用反射鏡装置。
2. 【請求項２】前記両ケーシングの間に引張ばね又は圧縮
   ばねが介装されてなることを特徴とする特許請求の範囲
   第１項記載の光波距離計用反射鏡装置。