JPH08204709A - 通信システム - Google Patents

通信システム

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JPH08204709A
JPH08204709A JP7014129A JP1412995A JPH08204709A JP H08204709 A JPH08204709 A JP H08204709A JP 7014129 A JP7014129 A JP 7014129A JP 1412995 A JP1412995 A JP 1412995A JP H08204709 A JPH08204709 A JP H08204709A
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message
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JP7014129A
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Yasushi Nagatsuka
靖 長塚
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Denso Corp
Original Assignee
NipponDenso Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 故障診断テスタと複数の電子制御装置とを通
信路を介して接続した通信システムにおいて、自らより
も優先順位の高いスレーブ装置がマスタ装置に対して応
答メッセージの送信を完了した後、迅速に自らの応答メ
ッセージの送信を開始する。 【構成】 各電子制御装置は、応答メッセージを送信す
るとき、複数のデータバイトを第1所定時間(P1A)
の間隔を空けて送信し、最終データバイトの送信後、第
2所定時間(P1B)の間隔を空けてチェックサムバイ
ト(CS)を送信する。これによって各制御装置は、自
らよりも優先順位の高い電子制御装置からいつCSが送
信されたか、すなわちいつ応答メッセージの送信が完了
したかを識別できるので、この識別後、迅速に自らの応
答メッセージを送信することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数のスレーブ装置
(例えばエンジン制御装置、トランスミッション制御装
置のような電子制御装置)と、これに外部接続されるマ
スタ装置(例えばテスタのような外部装置)との間で、
例えば診断のためのデータ通信を行う通信システムに関
する。
【0002】
【従来の技術】近年の車両のエレクトロニクス化は目ざ
ましく、エンジンやトランスミッションをはじめとする
車両各部の車載機器が、マイクロコンピュータによって
高度に電子制御化されている。このため、これら車載機
器の制御性は飛躍的に高められるに至っているが、その
反面、これら車載機器の故障診断はますます複雑なもの
になってきている。
【0003】このため多くの車載電子制御装置には自己
診断機能が付加されて、その対象とする車載機器を制御
するとともに、車載機器や制御装置自らの故障診断をも
行うように改良されたり、あるいは、(イ)これら車載
電子制御装置をスレーブ装置とし、このスレーブ装置
を、故障診断テスタと称されるマスタ装置としての外部
装置に共通接続し、この故障診断テスタによる支援のも
とに、より高度な故障診断や診断データの解析を行う、
(ロ)これら車載電子制御装置間で、1つをマスタ、他
をスレーブとする通信路を形成し、このマスタとなる電
子制御装置を通じて、他の全ての電子制御装置の故障診
断等を集中して行う、等のシステムとして改良される
等、ますます複雑になりつつある車両システムの診断に
対処するための様々な工夫が講じられている。
【0004】特に上記(イ)の方法は、所望とされる任
意の診断データを外部から柔軟に指定することができ、
しかもこれら取り込んだ診断データに基づき信頼性の高
い解析を行うことのできる方法として近年注目を集めて
いる。ところで、こうした故障診断テスタを用いての車
両システムの診断に関しては、一般に第1〜第nの複数
の電子制御装置と同故障診断テスタとを双方向通信の可
能な1本の通信路を介して接続し、これら接続した第1
〜第nの複数の電子制御装置と同故障診断テスタとの間
で国際規格ISO−9141−2として規定された手順
に基づくデータ通信を行うようになる。図14に、この
データ通信の態様を模式的に示す。
【0005】すなわち、この国際規格ISO−9141
−2として規定された通信手順によれば、図14に示さ
れるように、 (1)故障診断テスタから第1〜第nの電子制御装置に
対し、診断要求メッセージRM1が送信される。 (2)優先順位の最も高い第1の電子制御装置におい
て、この診断要求メッセージRM1に対する応答の準備
が開始される。 (3)第1の電子制御装置から故障診断テスタに対し、
要求メッセージRM1に対する応答メッセージAM11
が送信される。 (4)優先順位が次に高い第2の電子制御装置において
は、上記第1の電子制御装置による応答完了を確実にす
るために、一旦同期が外され、同要求メッセージRM1
に対する自らの応答の準備が開始される。 (5)第2の電子制御装置から故障診断テスタに対し、
要求メッセージRM1に対する応答メッセージAM12
が送信される。 (6)これら(2)と(3)、および(4)と(5)の
処理が、優先順位の最も低い第nの電子制御装置まで順
次繰り返される。 (7)その後、故障診断テスタにおいては、上記各電子
制御装置による応答完了を確実にするために、一旦同期
が外され、次の診断要求メッセージRM2のための準備
が開始される。 (8)故障診断テスタから第1〜第nの電子制御装置に
対し、同要求メッセージRM2が送信される。 といった態様でのデータ授受が繰り返し実行される。
【0006】このように通常は、スレーブ装置である第
1〜第nの電子制御装置に対して優先順位を持たせ、こ
れら応答メッセージが出力される順番を決めておく。例
えば上記第2の電子制御装置については、これよりも優
先順位の高い第1の電子制御装置からの応答メッセージ
出力が完了したことを確認して初めて、第2の電子制御
装置からの応答メッセージが送信されるようにしてい
る。
【0007】このような調停が行われることによって、
これら応答メッセージが上記通信路上で衝突しないよう
にし、ひいてはデータが破壊されるといった事態も回避
できるようにしている。また、上記メッセージを構成す
る各データバイトのビットフォーマットには、例えば図
15に示されるような8ビットからなるNRZ(ノンリ
ターンゼロ)方式が採用されている。そして、その先頭
に論理L(ロー)レベルのスタートビットが、またその
末尾に論理H(ハイ)レベルのストップビットがそれぞ
れ付加されて、これらデータバイトの存在が認識される
ようになっている。
【0008】また、このような処理手順、および各デー
タバイトのビットフォーマットは、上記(ロ)のシステ
ム、すなわち複数の車載電子制御装置を1つのマスタ装
置とし、他の車載電子制御装置をスレーブ装置とする通
信路を形成してデータ通信を行う場合においても同様に
適用される。また、上記メッセージの長さは一般に可変
長であるが、その最終データバイトの後には、そのメッ
セージが正しいかどうかをチェックするためのチェック
サムバイト(以下CSという)を付加することが決めら
れている。
【0009】なお、上記国際規格ISO−9141−2
によれば、1つの電子制御装置から送信される応答メッ
セージのうち、あるデータバイトのストップビットが完
了してから次のデータバイトのスタートビットの先端が
来るまでの時間を、図14に示される時間P1(0〜2
0ms)と規定している。従って、あるデータバイトの
ストップビットが完了してから20ms以内には、次の
データバイトのスタートビットの先端が来ることにな
る。
【0010】また上記国際規格によれば、あるメッセー
ジのCSのストップビットが完了し、次のメッセージの
スタートビットの先端が来るまでの時間を、図14に示
される時間P2(0〜50msまたは25〜50ms、
P2>P1)と規定している。従って、ある電子制御装
置から送信された応答メッセージの最終データバイトの
ストップビットが完了してから50ms以内には、次の
メッセージのスタートビットの先端が来ることになる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで上記の通信シ
ステムにおいては、図14に示されるように、電子制御
装置から送信される応答メッセージのうち、あるデータ
バイトのストップビットが完了してから次のデータバイ
トのスタートビットの先端が来るまでの時間も、最終デ
ータバイトのストップビットが完了してから上記CSの
スタートビットの先端が来るまでの時間も、ともに同じ
P1である。
【0012】従って、例えば第1電子制御装置よりも優
先順位の低い第2電子制御装置は、第1電子制御装置が
送信した応答メッセージのうち、どれがデータバイトで
どれがCSかの識別ができず、その結果、第2電子制御
装置は、第1電子制御装置から20ms(時間P1の最
大値)以上論理H(ハイ)レベルの信号が出力されるア
イドル状態となったことを検出したときに、第1制御装
置からの応答メッセージの送信が完了したと判断し、そ
の後自らの応答メッセージを送信するようにしていた。
【0013】このように従来の通信システムでは、自ら
よりも優先順位の高い制御装置が応答メッセージの送信
を完了した後、少なくとも20ms以上経過しなけれ
ば、自らの応答メッセージの送信を開始できない構成で
あったので、自らが応答メッセージの送信を開始するま
での時間が必要以上にかかっていたという問題があっ
た。
【0014】そこで本発明は上記問題に鑑み、マスタ装
置と複数のスレーブ装置とを通信路を介して接続した通
信システムにおいて、自らよりも優先順位の高いスレー
ブ装置がマスタ装置に対して応答メッセージの送信を完
了した後、迅速に自らの応答メッセージの送信を開始す
ることのできる通信システムを提供することを第1の目
的とする。
【0015】また従来は、マスタ装置からの要求メッセ
ージに関しても、あるデータバイトのストップビットが
完了してから次のデータバイトのスタートビットの先端
が来るまでの時間も、最終データバイトのストップビッ
トが完了してから上記CSのスタートビットの先端が来
るまでの時間も、ともに同じP1である。従ってスレー
ブ装置は、どれがデータバイトでどれがCSかの識別が
できず、その結果、上記のように、スレーブ装置は自ら
が応答メッセージの送信を開始するまでに必要以上に時
間がかかっていた。
【0016】そこで本発明は上記問題に鑑み、マスタ装
置と複数のスレーブ装置とを通信路を介して接続した通
信システムにおいて、マスタ装置がスレーブ装置に対し
て要求メッセージの送信を完了後、このスレーブ装置が
迅速に応答メッセージの送信を開始することのできる通
信システムを提供することを第2の目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るため、請求項1記載の発明では、マスタ装置(5)と
複数のスレーブ装置(1、2)とを通信路(3)を介し
て接続し、前記マスタ装置(5)は、前記複数のスレー
ブ装置(1、2)に対して同時に、所定の処理の実行を
要求する要求メッセージを送信し、前記複数のスレーブ
装置(1、2)は、前記要求メッセージを受信して前記
処理を実行するとともに、この実行結果を応答メッセー
ジとして、優先順位の高いスレーブ装置から順に前記マ
スタ装置(5)に送信する通信システムにおいて、前記
応答メッセージは、前記実行結果を示す複数のデータバ
イトと、この複数のデータバイトのうちの最終データバ
イトの後に付加されたチェックサムバイトとから構成さ
れ、前記各スレーブ装置(1、2)は、前記応答メッセ
ージを前記マスタ装置(5)に送信する際に、前記複数
のデータバイトのうちの任意のデータバイトの送信完了
から第1所定時間(P1A)後に次のデータバイトの送
信を開始し、前記最終データバイトの送信完了から、前
記第1所定時間(P1A)とは異なる第2所定時間(P
1B)後に前記チェックサムバイトの送信を開始するよ
うに構成された通信システムを特徴とする。
【0018】また、請求項2記載の発明では、請求項1
記載の通信システムにおいて、前記スレーブ装置(1、
2)が、自らが次に前記チェックサムバイトを送信する
か否かを判定するチェックサムバイト送信判定手段(ス
テップ192)と、自らが前記最終データバイトの送信
を完了から前記第2所定時間(P1B)が経過したか否
かを判定する送信側経過時間判定手段(ステップ19
1)と、前記チェックサムバイト送信判定手段(ステッ
プ192)によって、次に前記チェックサムバイトを送
信すると判定され、かつ前記送信側経過時間判定手段
(ステップ191)によって、前記最終データバイトの
送信完了から前記第2所定時間(P1B)が経過したと
判定されたら、前記チェックサムバイトを送信するチェ
ックサムバイト送信手段(ステップ193)とを備える
ことを特徴とする。
【0019】また、上記第2の目的を達成するために、
請求項3記載の発明では、マスタ装置(5)とスレーブ
装置(1、2)とを通信路(3)を介して接続し、前記
マスタ装置(5)は、前記スレーブ装置(1、2)に対
して、所定の処理の実行を要求する要求メッセージを送
信し、前記スレーブ装置(1、2)は、前記要求メッセ
ージを受信して前記処理を実行するとともに、この実行
結果を応答メッセージとして前記マスタ装置(5)に送
信する通信システムにおいて、前記要求メッセージは、
前記実行結果を示す複数のデータバイトと、この複数の
データバイトのうちの最終データバイトの後に付加され
たチェックサムバイトとから構成され、前記マスタ装置
(5)は、前記要求メッセージを前記スレーブ装置
(1、2)に送信する際に、前記複数のデータバイトの
うちの任意のデータバイトの送信完了から第1所定時間
(P1A)後に次のデータバイトの送信を開始し、前記
最終データバイトの送信完了から、前記第1所定時間
(P1A)とは異なる第2所定時間(P1B)後に前記
チェックサムバイトの送信を開始するように構成された
通信システムを特徴とする。
【0020】また請求項4記載の発明では、請求項3記
載の通信システムにおいて、前記マスタ装置(5)が、
自らが次に前記チェックサムバイトを送信するか否かを
判定するチェックサムバイト送信判定手段(ステップ1
92)と、自らが前記最終データバイトの送信を完了か
ら前記第2所定時間(P1B)が経過したか否かを判定
する送信側経過時間判定手段(ステップ191)と、前
記チェックサムバイト送信判定手段(ステップ192)
によって、次に前記チェックサムバイトを送信すると判
定され、かつ前記送信側経過時間判定手段(ステップ1
91)によって、前記最終データバイトの送信完了から
前記第2所定時間(P1B)が経過したと判定された
ら、前記チェックサムバイトを送信するチェックサムバ
イト送信手段(ステップ193)とを備えることを特徴
とする。
【0021】また請求項5記載の発明では、請求項1な
いし4いずれか1つ記載の通信システムにおいて、前記
スレーブ装置(1、2)が、自らが任意のメッセージの
バイトの受信を完了してから前記第2所定時間(P1
B)が経過したか否かを判定する受信側経過時間判定手
段(ステップ112)を備え、この受信側経過時間判定
手段(ステップ112)によって、前記バイトの受信完
了から前記第2所定時間(P1B)が経過したと判定さ
れたら、自らの応答メッセージを送信するように構成さ
れたことを特徴とする。
【0022】また請求項6記載の発明では、請求項1な
いし5いずれか1つ記載の通信システムにおいて、前記
スレーブ装置(1、2)が電子制御装置であり、前記マ
スタ装置(5)が、前記電子制御装置の外部に通信路
(3)を介して接続された外部装置であることを特徴と
する。
【0023】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述
する実施例の具体的手段との対応関係を示すものであ
る。
【0024】
【発明の作用効果】請求項1記載の発明によれば、マス
タ装置から複数のスレーブ装置に対して同時に要求メッ
セージが送信されたら、上記各スレーブ装置のうち最も
優先順位の高いスレーブ装置は、応答メッセージとし
て、複数のデータバイトを第1所定時間の間隔を空けて
順次送信し、最終データバイトの送信後、前記第1所定
時間とは異なる第2所定時間の間隔を空けて、チェック
サムバイトを送信し、これにて応答メッセージの送信を
完了する。
【0025】従って、次に優先順位の高いスレーブ装置
は、上記最も優先順位の高いスレーブ装置からの応答メ
ッセージの上記間隔の違いを監視すれば、この最も優先
順位の高いスレーブ装置が応答メッセージの送信を完了
したことを識別できるので、この識別後、迅速に自らの
応答メッセージの送信を開始することができる。また請
求項2記載の発明は、スレーブ装置が最終データバイト
を送信した後、上記第2所定時間の間隔を空けてチェッ
クサムバイトを送信するための構成を具体化したもので
あり、これによると、あるスレーブ装置が複数のデータ
バイトを順次送信していき、最終データバイトを送信し
たら、チェックサムバイト送信判定手段によって、自ら
が次にチェックサムバイトを送信すると判定する。
【0026】また、最終データバイトの送信完了から前
記第2所定時間が経過したら、送信側経過時間判定手段
によってその旨が判定される。そして上記両判定手段に
よって、自らが次にチェックサムバイトを送信し、かつ
最終データバイトの送信完了から前記第2所定時間が経
過したと判定されたら、チェックサムバイト送信手段に
よってチェックバイトを送信する。
【0027】これによって、任意のスレーブ装置が最終
データバイトを送信した後、上記第2所定時間の間隔を
空けてチェックサムバイトが送信される。また請求項3
記載の発明によれば、マスタ装置からスレーブ装置に対
して要求メッセージが送信するとき、この要求メッセー
ジとして、複数のデータバイトを第1所定時間の間隔を
空けて順次送信し、最終データバイトの送信後、前記第
1所定時間とは異なる第2所定時間の間隔を空けて、チ
ェックサムバイトを送信し、これにて要求メッセージの
送信を完了する。
【0028】従ってスレーブ装置は、マスタ装置からの
要求メッセージの上記間隔の違いを監視すれば、マスタ
装置が要求メッセージの送信を完了したことを識別でき
るので、この識別後、迅速に応答メッセージの送信を開
始することができる。また請求項4記載の発明は、マス
タ装置が最終データバイトを送信した後、上記第2所定
時間の間隔を空けてチェックサムバイトを送信するため
の構成を具体化したものであり、これによると、マスタ
装置が複数のデータバイトを順次送信していき、最終デ
ータバイトを送信したら、チェックサムバイト送信判定
手段によって、自らが次にチェックサムバイトを送信す
ると判定する。
【0029】また、最終データバイトの送信完了から前
記第2所定時間が経過したら、送信側経過時間判定手段
によってその旨が判定される。そして上記両判定手段に
よって、自らが次にチェックサムバイトを送信し、かつ
最終データバイトの送信完了から前記第2所定時間が経
過したと判定されたら、チェックサムバイト送信手段に
よってチェックバイトを送信する。
【0030】これによって、マスタ装置が最終データバ
イトを送信した後、上記第2所定時間の間隔を空けてチ
ェックサムバイトが送信される。また請求項5記載の発
明は、スレーブ装置が、自らが受信する任意のメッセー
ジ(請求項1記載の発明の場合は応答メッセージ、請求
項3記載の発明の場合は要求メッセージ)の上記間隔の
違いを監視し、これによって上記受信したメッセージの
送信完了を識別し、その後迅速に自らの応答メッセージ
の送信を開始するための構成を具体化したものである。
【0031】これによると、スレーブ装置が要求メッセ
ージまたは応答メッセージを受信したとき、このメッセ
ージのバイトの受信を完了してから第2所定時間が経過
したか否かを受信側経過時間判定手段が判定する。ここ
で経過したと判定されたときは、チェックサムバイトを
受信したということなので、スレーブ装置はこれによっ
て上記任意のメッセージの受信を完了したことを識別す
ることができる 従ってスレーブ装置は、上記識別をし
たら、迅速に自らの応答メッセージを送信することがで
きる。
【0032】
【実施例】次に、本発明を車両診断システムに適用した
実施例について、図1ないし図13に基づいて説明す
る。本実施例のシステムは、車両に搭載されるスレーブ
装置としての各種電子制御装置と、外部接続されるマス
タ装置としての故障診断テスタとが通信線を介して相互
接続され、これら故障診断テスタと各種車載電子制御装
置との間で1対nのデータ通信が実行されるシステムと
して構成されている。
【0033】具体的には、車載電子制御装置としての例
えばエンジン制御装置1やトランスミッション制御装置
2等からなる複数の電子制御装置が通信線3を介して接
続されるとともに、これら車載電子制御装置に対して更
に、通信線3およびダイアグコネクタ4を介して故障診
断テスタ5が接続される構成となっている。なお、これ
ら接続される故障診断テスタ5と車載電子制御装置、例
えばエンジン制御装置1やトランスミッション制御装置
2との間では、その通信方式としてISO−9141−
2に準拠したプロトコルが用いられるものとする。以
下、これら各要素の詳細について説明する。ここでは、
車載電子制御装置の一例としてエンジン制御装置1を代
表としてその構成および機能を説明する。
【0034】エンジン制御装置1は、図1に示されるよ
うにCPU11、ROM12、RAM13、入力回路1
4、出力回路15、AD変換回路(以下ADC回路とい
う)16、および通信回路17等をそれぞれ有して構成
されている。ここで通信回路17は、通信線3をドライ
ブする入出力バッファ回路である。また入力回路14に
は、エンジン回転数を検出するセンサ(具体的にはクラ
ンク角センサ)21や車速センサ22等のセンサから出
力される、主にパルス信号からなるセンサ信号が入力さ
れ、ADC回路16には、スロットルセンサ23、エア
フローメータ24、水温センサ25、O2 センサ26
等、車両各部に設けられたセンサから出力されるアナロ
グ信号からなるセンサ信号が入力される。
【0035】これらの信号はいずれも、それら検出値に
対応したセンサデータとしてRAM13のデータ領域に
格納され、CPU11による燃料噴射量や点火時期の演
算のための演算値として利用される。なおRAM13に
は、上記「データ領域」の他に、「受信カウンタ」や
「アイドルカウンタ」等のカウンタを格納する領域、後
述する「受信バッファ(1)」〜「受信バッファ
(n)」、「送信バッファ(1)」〜「送信バッファ
(n)」を格納する領域、および各種実行フラグやCS
フラグの登録領域がそれぞれ形成されている。
【0036】またCPU11は、ROM12に予め格納
されている制御プログラムに従い、RAM13に取り込
まれたセンサデータに基づく所定の演算を実行して、そ
の都度の燃料噴射量や点火時期を求めるとともに、故障
診断テスタ5との間で後述する通信メッセージの授受、
およびそのメッセージを通じて指定された診断処理を実
行する部分である。
【0037】なお、ROM12に格納された上記制御プ
ログラムには、RAM13内の上記「受信カウンタ」、
「アイドルカウンタ」等のカウンタをソフトウェア的に
カウント処理する「カウンタプログラム」が含まれる。
なお、このCPU11を通じて求められた燃料噴射量は
出力回路15に与えられ、この出力回路15を通じて、
上記求められた燃料噴射量に対応する信号がエンジン制
御手段27に出力される。エンジン制御手段27として
は例えば燃料噴射弁がある。
【0038】また、後述する診断処理では、故障診断テ
スタ5からのRAM値読出診断やダイアグコード読出指
令に応じて、RAM13に取り込まれたセンサデータや
診断結果がこのCPU11によって順次読み出され、こ
の読み出されたデータが診断データとして通信回路17
を介して通信線3に出力される。一方、故障診断テスタ
5は、こうした車載電子制御装置あるいはそれを通じた
車両システムの診断が必要とされるときに、上述のよう
にダイアグコネクタ4を介して車載電子制御装置(この
例ではエンジン制御装置1およびトランスミッション制
御装置2等)に電気的に接続されて、上記診断データと
して読み出されたデータを読み込み、それらデータの診
断を支援する装置である。
【0039】なお、故障診断テスタ5では、通常これら
読み込んだ診断データを図示しない表示器に一覧表示し
たりグラフ表示したりすることによって、それらデータ
の異常の有無を診断者に知らせることができる。またダ
イアグコネクタ4には、イグニッションスイッチ18を
経て、バッテリー19より電源が供給されており、故障
診断テスタ5がこうして車載電子制御装置と電気的に接
続されるとき、このダイアグコネクタ4を介して故障診
断テスタ5にも電源が供給されるようになっている。
【0040】さて、こうした実施例の通信システムを通
じて行われる診断処理としては、例えば、 a)車両の走行状態において入力回路14やADC回路
16を介してRAM13に取り込まれたセンサデータの
値、つまりRAM値を故障診断テスタ5に読み出し、こ
れらセンサデータが正常か否かを診断するいわゆるRA
M値読出診断、 b)上記センサ等が断線した際にRAM13に記憶され
るトラブルコードを故障診断テスタ5に読み出し、車両
のどの部分が故障しているかを診断するトラブルコード
読出診断、等がある。
【0041】図2および図4に、こうした実施例の通信
システムを通じて実行される、上記a)のRAM値読出
診断と上記b)のトラブルコード読出診断について、こ
れらの通信手順をタイムチャートとして示す。a)のR
AM値読出診断にあっては、その通信手順としてまず、
例えばエンジン制御装置1やトランスミッション制御装
置2に対してそのRAM値(例えば車速の読出を要求す
るメッセージ)が故障診断テスタ5から通信線3に対
し、図2に示される態様で送信される。
【0042】なお、このRAM値要求メッセージにおい
て、「メッセージヘッダ」を構成する3バイトには、例
えば、 当メッセージが要求メッセージであること、 当メッセージの送信先がエンジン制御装置1(あるい
はトランスミッション制御装置2)であること、 当メッセージの送信元は例えば故障診断テスタ5であ
ること、等の情報が組み込まれる。
【0043】また、「データバイト」には、例えば、 RAM値読出を要求するモード表示(1番目の”$0
1”)、 車速データを要求するパラメータID(2番目の”$
0D”)、等が組み込まれる。なお、最後に付加される
「CS」はチェックサムを示す。一方、エンジン制御装
置1やトランスミッション制御装置2からは、こうした
RAM値要求メッセージに応答して、図2に示される態
様の応答メッセージが通信線3に対して送信される。
【0044】ちなみにこれら応答メッセージにおいて、
「メッセージヘッダ」を構成する3バイトには、例え
ば、 当メッセージが応答メッセージであること、 当メッセージの送信先が故障診断テスタ5であるこ
と、 当メッセージの送信元がエンジン制御装置1(あるい
はトランスミッション制御装置2)であること、等の情
報が組み込まれる。
【0045】また「データバイト」には、例えば、 RAM値を送信するモード表示(1番目の”$4
1”)、 車速データを表すパラメータID(2番目の”$0
D”)、 実際の車速を表すデータ(3番目の”$64”、物理
量として100km/hを示す)、等が組み込まれる。
なお、最後に付加される「CS」はチェックサムを示
す。
【0046】また図2からも分かるように、この実施例
のシステムでは、トランスミッション制御装置2→エン
ジン制御装置1の順に応答優先順位が設定されているも
のとしている。ここで、上記要求メッセージおよび応答
メッセージの「メッセージヘッダ」、「データバイト」
の各データバイトについて、所定のデータバイトの送信
完了から次のデータバイトの送信開始までの時間は、図
3に示すように、第1所定時間P1Aとなるように設定
されている。また、「データバイト」の最終バイトの送
信完了からCSの送信開始までの時間は第2所定時間P
1B(P1B>P1A)となるように設定されている。
【0047】本実施例では、上記国際規格で定められた
通信速度が10.4kbitであることを考慮すると、1.
04msで1バイトが送信可能であるため、上記時間P
1Bをこの1.04msの約2倍である1.96msに
設定している。また上記時間P1Aは、時間P1Bに対
して十分短い時間である0.01msに設定している。
なお、故障診断テスタ5および各電子制御装置が、どの
ような手段によってP1A=0.01ms、P1B=
1.96msにて各メッセージを送信しているかについ
ては、図10〜13を用いて後述する。
【0048】他方、上記b)のトラブルコード読出診断
にあっては、その通信手順として、コード要求メッセー
ジが上記に準じて故障診断テスタ5から通信線3に対し
て送信され、これに応じてトランスミッション制御装置
2やエンジン制御装置1から、図4に示される態様でそ
の応答メッセージが通信線3に対して送信される。ちな
みに図4の例では、 トランスミッション制御装置2には、同トラブルコー
ドとして「0143」、「0196」、「0234」、
「0357」、「0531」および「0661」の6個
のコードが記憶されている、 このトランスミッション制御装置2では、これら6個
のコードを第1および第2の応答メッセージに分けて送
信している、といった状態を示している。
【0049】ここで上記6個のコードを2つの応答メッ
セージに分けて送信しているのは、SAE(米国自動車
技術会)のJ1979によって、図5に示すように、メ
ッセージを構成する最大バイト数が、メッセージヘッダ
の3バイトとデータバイトの7バイトとを足した10バ
イトに、最後にCSを付加した合計11バイトという規
定があるからである。また上記J1979によれば、こ
のトラブルコードは、1つのコードで2バイト長のデー
タであり、図4の説明もこれに従うものとする。
【0050】すわなちこの場合、トランスミッション制
御装置2では、上記第1の応答メッセージとして、「メ
ッセージヘッダ」の3バイトの後、「トラブルコードを
送信するモード表示(”$43”)」を送信し、続いて
コード「0143」、「0196」、「0234」を送
信してから、最後にCSを付加して11バイトのメッセ
ージを送信する。
【0051】そして上記CSのストップビット(論理H
レベル)が完了した後、時間P2後に、続く第2の応答
メッセージの最初のデータバイトのスタートビット(論
理Lレベル)を送信する。この第2の応答メッセージで
は、3バイトからなる同様の「メッセージヘッダ」なら
びに「トラブルコードを送信するモード表示(”$4
3”)」に続いて、残りのコード「0357」、「05
31」および「0661」を送信し、最後にCSを付加
して11バイトのメッセージ送信を終了する。
【0052】なお、ここで説明したトラブルコード読出
診断においても、RAM値読出診断の場合と同様、上記
要求メッセージおよび応答メッセージにおける「メッセ
ージヘッダ」、「データバイト」の各バイト間の間隔
は、図3に示すように第1所定時間P1A(=0.01
ms)に設定され、「データバイト」の最終バイトとC
Sとの間隔は第2所定時間P1B(=1.96ms)に
設定されている。
【0053】またエンジン制御装置1においても、基本
的にはこれに準じた態様をもって、そのトラブルコード
の送信が行われる。ところでこの実施例の通信システム
では、上記トラブルコード読出診断等の診断処理を行う
にあたって、ある制御装置から応答メッセージが送信さ
れた後、次の応答メッセージが早急に出力されるように
構成されている。以下、この具体的構成について、エン
ジン制御装置1を例として説明する。
【0054】いま、例えば上記トラブルコード読出診断
の開始に際し、故障診断テスタ5にある操作部(キーボ
ード)を通じて、診断対象となる電子制御装置や診断モ
ード等に関する情報がそれぞれ受信されたとすると、診
断テスタ5によって、図2に示したようなコード要求メ
ッセージに応じて、まず最も優先順位の高いトランスミ
ッション制御装置2から、図2に示したような応答メッ
セージが通信線3に対して送信されるようになることは
上述した通りである。
【0055】一方、エンジン制御装置1では、データバ
イトの受信が完了する度に、図6に示される処理(いつ
受信するか分からないメッセージを確実に取り込むため
に、CPU11のシリアル入力割込み機能を通じて実現
される処理)を通じて、そのメッセージデータを一時的
に受信バッファにストアする。すなわち、ステップ10
1にてこのシリアル入力割込み処理が起動されると、ス
テップ102にて、受信されたデータバイトがメッセー
ジの1バイト目か否かを判定する。そしてこの受信デー
タバイトがメッセージの1バイト目であれば、ステップ
103にて上記CSフラグをリセットし、続くステップ
104にてその受信データを上記受信バッファの先頭番
地(1)にストアする。
【0056】そして次のステップ105にて、受信カウ
ンタ(n)に値「1」を書き込み、ステップ114に
て、次にシリアル入力割込みが起動されるまでの時間を
計測する上記アイドルカウンタをクリアしてこの割込み
ルーチンを抜ける。ここでアイドルカウンタとは、図示
しないタイマによる時間割込み(例えば1ms割込み)
に応じて1カウントずつカウントアップされるカウンタ
のことである。
【0057】他方、上記受信データバイトが2バイト目
以降であれば、ステップ106にて受信カウンタ(n)
をインクリメントする。この受信カウンタ(n)の内容
は、現在受信中のデータがこのデータバイトの何バイト
目にあたるかを判定する情報として使われる。その後、
続くステップ107において、現在受信されたバイト数
がメッセージとしての最大長11バイトを超えているか
否かを判定する。この判定の結果、受信されたバイト数
が11バイトを超えていると判定された場合には、異常
とみなし、ステップ108で受信エラーフラグをセット
し、ステップ109で受信バッファ(1)〜(n)を全
てクリアし、さらにステップ110で受信カウンタをク
リアして、この割込み処理を抜ける。
【0058】他方、上記受信バイト数が11バイト以下
の場合には、ステップ111にて、その受信データを受
信バッファ(n番地)にストアする。そして続くステッ
プ112にて、アイドルカウンタが上記所定時間P1B
(=1.96ms)に1.04msを加算した時間(=
3ms)以上になったか否かを判定することによって、
CSを受信したか否かを判定する。
【0059】つまり図7に示すように、データバイト
の受信が完了する度に図6の処理が起動されてアイドル
カウンタがクリアされる、上述したように、1データ
バイトは1.04msで送信される、ことを考慮する
と、アイドルカウンタが上記のようにP1B+1.04
ms(=3ms)以上か否かを判定すれば、CSを受信
したか否かを判定することができる。
【0060】そしてステップ112にてYESと判定さ
れたら、続くステップ113にて上記CSフラグをセッ
トし、続くステップ114にて上記処理を実行した後、
この割込み処理を抜ける。反対にステップ112にてN
Oと判定されたら、ステップ113の処理を行わず、ス
テップ114の処理に移る。エンジン制御装置1では、
こうしたシリアル入力割込み処理とは別に、所定周期
(本実施例では4ms)毎に図8〜図10に示される処
理を起動し、診断および応答メッセージ構築、送信のた
めの以下の処理を実行する。なお、図8、図9に示され
る処理は、CPU11に対する主制御プログラムの一部
として、ROM12内に予め格納されているメインルー
チンである。また図10に示される処理は、図9のステ
ップ149およびステップ150において行われるサブ
ルーチンであり、これもROM12に予め格納されてい
る。
【0061】このメインルーチンにおいて、先ずステッ
プ121にて受信バッファ(1)にデータが存在するか
否かを判定する。そして受信バッファ(1)にデータが
存在していなければ(同番地のデータが「$00」であ
れば)、メッセージがまだ受信されていないものとみな
して、このルーチンを一旦抜ける。他方、受信バッファ
(1)にデータが存在していれば(何らかの数値が登録
されていれば)、ステップ122にて、上記CSフラグ
がセットされているか否かを判定する。つまり、応答メ
ッセージの最終バイトであるCSを受信したか否かを判
定する。
【0062】ここでNO、すなわちCSを受信していな
いと判定された場合には、上記メッセージの取り込みが
最後まで完了していないとみなして、このルーチンを一
旦抜ける。他方、YES、すなわちCSを受信したと判
定された場合には、メッセージの取り込みが完了したと
みなして、続くステップ123〜125において、この
メッセージのサムチェックを行う。
【0063】ちなみにこのサムチェックでは、まずステ
ップ123において、受信カウンタのカウント値に基づ
き受信したメッセージが何バイト長かを確認する。そし
てこの数値に基づき、次のステップ124で受信バッフ
ァ(1)〜(n−1)にストアされているデータの総和
を計算し、最後のステップ125にてその総和値の下位
8ビットのデータと受信バッファ(n)にストアされて
いるデータ、すなわちCSの値とが一致しているか否か
を判定する。
【0064】このサムチェックの結果、上記各値が一致
していないと判定されたら、異常とみなし、ステップ1
26にて通信エラーフラグをセットし、ステップ127
にて受信バッファを全てクリアし、ステップ128で受
信カウンタをクリアしてこのルーチンを抜ける。また上
記サムチェックの結果が正常であれば、受信データに問
題はないものと判断して、続くステップ129におい
て、受信バッファ(1)〜(3)の内容、すなわち上記
「メッセージヘッダ」が正常か否かを更に判定する。こ
の「メッセージヘッダ」の判定では、要求メッセージと
応答メッセージとの両方のヘッダについてその正当性を
判定する。
【0065】すなわち、続くステップ130にて、この
メッセージが要求メッセージであるか応答メッセージで
あるかを判定し、要求メッセージであれば、ステップ1
31にて受信バッファ(4)のデータの内容をもとに、
これがいずれの診断モードを指定しているものかを判定
する。そして、この判定した診断モードの処理ルーチン
にジャンプする。
【0066】他の診断モードとしては、上述した特定の
RAM値を読み出す診断モード(ステップ200)、あ
るいはRAM値の書換えを行って車両の診断を行うよう
な指令値書換え診断モード(ステップ300)等があ
る。ここで、上記診断モードとしてトラブルコード読出
診断モードが指定されている場合には、ステップ132
(図9)において、トラブルコード読出診断実行フラグ
をセットし、自ら(エンジン制御装置1)が応答しなく
てはならない要求があったことを記憶して同処理を一旦
抜ける。
【0067】すわなち、自らの制御装置よりも優先順位
の高い制御装置(トランスミッション制御装置2)が存
在する場合、その応答が完了するまでは自らの応答を送
信することができない。そのため、こうして一時的に上
記実行フラグをセットすることで、この要求があったこ
とだけをまず記憶する。一方、上記ステップ130(図
8)の判定において、受信されたメッセージが応答メッ
セージであると判定されたら、ステップ141(図9)
にジャンプして、この応答メッセージが自らよりも優先
順位の高い制御装置からのものであるか否かを判定す
る。
【0068】ステップ141にて、自らの制御装置より
も優先順位の高い制御装置からの応答メッセージである
と判定されたら、ステップ142にて上記受信カウンタ
のカウント値を確認する。そして、その応答メッセージ
のデータ長が上記最大長(11バイト長)であったら、
ステップ143にて、上記時間P2に、最大値(50m
s)もしくはそれに近い時間LP2をセットする。
【0069】反対に、ステップ142でNOと判定され
たら、ステップ144にて、上記時間P2にSP2をセ
ットする。ここでいうSP2は、従来のシステムにおけ
る標準の通信路空き待ち時間(例えば20ms)に対し
て短い時間(本実施例では5ms)に設定されている。
なお、自らよりも優先順位の高い制御装置からの応答メ
ッセージのデータ長が最大長のときには、上記優先順位
の高い制御装置から続けてデータが送信される可能性が
あるので、このようなときには上記ステップ143に
て、自らが応答メッセージの送信を開始する時間P2
に、上記優先順位の高い制御装置が応答メッセージの送
信を開始する時間SP2(ステップ144)よりも長い
時間LP2をセットすることによって、上記優先順位の
高い制御装置に自らよりも早く応答メッセージを送信さ
せ、これによって自らの応答メッセージと上記優先順位
の高い制御装置の応答メッセージとが衝突しないように
している。
【0070】また、上記ステップ141での判定におい
てNOと判定される場合には、ステップ145にて、自
らの応答メッセージ、すわなちエコーバックか否かが判
定される。この判定でエコーバックであると判定された
ら、ステップ144にて、上記短い時間SP2が時間P
2としてセットされる。しかし、同メッセージが自らよ
りも優先順位の低い制御装置からの応答メッセージであ
った場合には、いずれの送信処理も行わず、ステップ1
53にジャンプして受信バッファの全てと受信カウンタ
をクリアする。そしてそのままこのルーチンを抜ける。
【0071】上記ステップ143またはステップ144
において、上記時間LP2またはSP2をP2としてセ
ットした制御装置(エンジン制御装置1)は、次にステ
ップ146で、通信線3がアイドル状態を継続している
か否かを判定する。このアイドル判定は、これらセット
した時間P2に基づいて行われ、アイドル状態にない場
合、すなわち上記アイドルカウンタのカウント値が時間
P2以下である場合には、そのままこのルーチンを一旦
抜けて待機する。
【0072】他方、通信線3のアイドル状態が確認され
れば、すなわちアイドルカウンタのカウント値が時間P
2を超えていれば、自らが応答する番であると判定し
て、ステップ147にて、応答メッセージのヘッダ3バ
イトを送信バッファ(1)〜(3)に格納し、これらを
順次送信する。そして次のステップ148にて、上記ト
ラブルコード読出診断実行フラグがセットされているか
否かを判定する。
【0073】ここでYESと判定されたらステップ15
0に進み、図10に示すサブルーチンの処理を実行す
る。なお、このサブルーチンは、トラブルコード読出診
断モード以外の診断モードでも使用されるサブルーチン
であり、トラブルコード読出診断モードを例にとって具
体的に説明すると、ステップ161にて、これからトラ
ブルコードを送信する旨のモード表示(図4の”$43
に相当)を送信する。そして次のステップ162にて、
トラブルコードを順次作成する(図4の「0143」、
「0196」、「0234」に相当)。
【0074】ただしこのステップでは、上述したように
最大の3つのコード(6バイト分)までしか送信できな
い制限が加えられているので、3つを超えるトラブルコ
ードが存在する場合には、これらトラブルコードを次回
以降の応答メッセージとして送信するための準備を行
う。この準備としては、今回送信したデータと次回以降
送信するデータとの識別等が行われる。
【0075】そしてステップ163にてCSを生成し、
次のステップ164にて、上記ステップ161〜163
にて作成した各応答データを、送信バッファ(4)〜
(n)に格納する。そして次のステップ165にて、送
信バッファで使用されるINDEXを4にセットし、ス
テップ166にて、CSを入力している送信バッファの
INDEXであるCSINXをnにセットする。なお、
上記INDEXおよびCSINXはRAM13に格納さ
れる。
【0076】そして次のステップ167にて、RAM1
3に格納された上記INDEXがCSINXであるか否
か、すなわち後述するステップ168にて送信する応答
データがCSであるか否かを判定する。ここでNOと判
定されたら、ステップ168にて応答データを送信し、
次のステップ169にてINDEXをインクリメントし
た後、再びステップ167の処理に戻る。
【0077】反対に、ステップ167にてYESと判定
されたら、すなわちこれから送信しようとする応答デー
タがCSである場合は、ステップ168の処理を行わ
ず、このサブルーチンを抜ける。なお、この実施例で
は、ステップ168にてある応答データを送信した後、
ステップ169→ステップ167と進んで、次のステッ
プ168にて次の応答データが送信されるまでの時間
が、上記時間P1A(=0.01ms)となるように構
成されている。
【0078】このように図10のサブルーチンの処理を
終えたら、図9のステップ151に進み、送信されない
コードが残っているか否かの判定が行われる。そして残
っていないと判定されたら次のステップ152にて、上
記トラブルコード読出診断実行フラグをクリアしてこの
メインルーチンを抜ける。また、未だ送信されていない
コードが残っている場合には、この実行フラグをクリア
せずに、そのまま一旦このメインルーチンを抜ける。
【0079】また、上記ステップ148にてNOと判定
されたら、ステップ149に進み、上述した図10に示
すサブルーチンの処理を実行する。そしてその後、ステ
ップ153の処理を実行してこのメインルーチンを抜け
る。一方、上記メインルーチンとは別に、各バイトの送
信が完了する度に、図11に示される処理(いつ送信す
るか分からないメッセージを確実に取り込むために、C
PU11のシリアル入力割込み機能を通じて実現される
処理)が起動される。
【0080】すなわち、ステップ181にてこのシリア
ル入力割込み処理が起動されると、ステップ182に
て、いま送信されたバイトがCSか否かを判定する。こ
こでNOと判定されたら、ステップ183にてチェック
バイト(CB)カウンタをクリアしてこの処理を抜け、
逆にYESと判定されたら、CBカウンタをクリアせず
にこの処理を抜ける。なおここでいうCBカウンタと
は、図示しないタイマによる時間割込み(例えば1ms
割込み)に応じて1カウントずつカウントアップされる
カウンタのことである。
【0081】また図11に示される処理とは別に、所定
周期(本実施例では1ms)毎に図12に示される処理
が実行される。具体的には、ステップ191にて上記C
Bカウンタのカウント値が上記時間P1B以上となった
か否かを判定し、YESと判定されたら、ステップ19
2にて上記ステップ167と同様の処理を行う。ここで
YESと判定されたら、ステップ193にてCSを送信
する。そして、ステップ194にてCSINXに$FF
をセットしてこの処理を抜ける。また、上記ステップ1
91または192にてNOと判定された場合は、何もせ
ずにこの処理を抜ける。
【0082】上記図10〜図12の処理によって、図1
3に示すように、次に送信されるデータがCSでなけれ
ば、ステップ167〜169の処理によって、このデー
タの送信完了からP1A(=0.01ms)後に次のデ
ータが送信される。また、次に送信されるデータがCS
であれば、ステップ191〜193の処理によって、こ
のデータの送信完了からP1B(=1.96ms)後に
CSが送信される。
【0083】以上説明したように本実施例では、各電子
制御装置が故障診断テスタ5に対して送信する応答メッ
セージの「データバイト」のそれぞれの間の時間を、ス
テップ167〜169の処理によって時間P1Aとし、
「データバイト」の最終データバイトと「CS」との間
の時間を、ステップ191〜193の処理によって、時
間P1Aとは異なる時間P1B(P1B>P1A)とし
ている。
【0084】そして、上記電子制御装置(例えばエンジ
ン制御装置1)は、自らよりも優先順位の高い制御装置
(トランスミッション制御装置2)が送信する応答メッ
セージを受信したとき、ステップ112(図6)にて、
この受信した応答メッセージの各バイトの間の時間を監
視し、上記時間の違い(P1AとP1Bとの違い)をみ
ることによって、受信したデータがCSか否かを判定し
ている。
【0085】このように本実施例では、各電子制御装置
は、自らよりも優先順位の高い制御装置からCSを受信
したこと、すなわちこの優先順位の高い制御装置が応答
メッセージの送信を完了したことを識別することができ
るので、このことを利用して、上記優先順位の高い制御
装置からの応答メッセージの送信完了から短い時間SP
2(=5ms)後に自らの応答メッセージを送信するこ
とができる。
【0086】また本実施例では、故障診断テスタ5が各
電子制御装置に送信する要求メッセージについても、
「データバイト」の最終データバイトと「CS」との間
の時間を上記P1Bとして、他のデータバイト間の時間
P1Aと異なるようにしたので、最も優先順位の高い制
御装置(トランスミッション制御装置2)は、故障診断
テスタ5が要求メッセージの送信を完了した後、上記短
い時間SP2後に応答メッセージを送信開始することが
できる。 (他の実施例)上記実施例では、第1所定時間P1A<
第2所定時間P1Bとしたが、P1A>P1Bとなるよ
うに設定しても良い。要は、P1AとP1Bが互いに異
なるものであれば良い。
【0087】また上記実施例では、故障診断テスタ5を
マスタ装置とし、電子制御装置をスレーブ装置としたシ
ステムについて説明したが、複数の電子制御装置の任意
の1つをマスタ装置、他の電子制御装置をスレーブ装置
としたものについても適用することができる。また上記
実施例では、本発明における通信システムを車両に用い
た場合について説明したが、車両以外のものにも適用す
ることができる。
【0088】また上記実施例では、図10ないし図12
に示す処理を、電子制御装置が行う処理として説明した
が、故障診断テスタ5が行うようにしても良い。この場
合、ステップ161〜163の処理は人間が行うことに
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明一実施例の全体構成図である。
【図2】上記実施例のRAM値読出診断の通信手順を示
すタイムチャートである。
【図3】上記実施例のメッセージの各バイトのタイムチ
ャートである。
【図4】上記実施例のトラブルコード読出診断の通信手
順を示すタイムチャートである。
【図5】米国自動車技術会(SAE)J1979に定め
られる1メッセージのフレーム構成を示すタイムチャー
トである。
【図6】上記実施例の電子制御装置の受信側シリアル入
力処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図6の処理に基づくアイドルカウンタのタイム
チャートである。
【図8】上記電子制御装置の主に受信処理手順を示すフ
ローチャートである。
【図9】上記電子制御装置の主にトラブルコード送信手
順を示すフローチャートである。
【図10】図9のステップ149、150で行われる処
理を示すサブルーチンである。
【図11】上記電子制御装置の送信側シリアル入力処理
手順を示すフローチャートである。
【図12】上記電子制御装置のチェックサムバイト(C
S)の送信処理手順を示すフローチャートである。
【図13】図11の処理に基づくチェックバイト(C
B)カウンタのタイムチャートである。
【図14】国際規格ISO−9141−2の通信手順を
示すタイムチャートである。
【図15】メッセージを構成する各バイトのビットフォ
ーマットを示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1…エンジン制御装置(スレーブ装置)、2…トランス
ミッション制御装置(スレーブ装置)、3…通信線(通
信路)、5…故障診断テスタ(マスタ装置)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マスタ装置と複数のスレーブ装置とを通
    信路を介して接続し、前記マスタ装置は、前記複数のス
    レーブ装置に対して同時に、所定の処理の実行を要求す
    る要求メッセージを送信し、前記複数のスレーブ装置
    は、前記要求メッセージを受信して前記処理を実行する
    とともに、この実行結果を応答メッセージとして、優先
    順位の高いスレーブ装置から順に前記マスタ装置に送信
    する通信システムにおいて、 前記応答メッセージは、前記実行結果を示す複数のデー
    タバイトと、この複数のデータバイトのうちの最終デー
    タバイトの後に付加されたチェックサムバイトとから構
    成され、 前記各スレーブ装置は、前記応答メッセージを前記マス
    タ装置に送信する際に、前記複数のデータバイトのうち
    の任意のデータバイトの送信完了から第1所定時間後に
    次のデータバイトの送信を開始し、前記最終データバイ
    トの送信完了から、前記第1所定時間とは異なる第2所
    定時間後に前記チェックサムバイトの送信を開始するよ
    うに構成されたことを特徴とする通信システム。
  2. 【請求項2】 前記スレーブ装置が、 自らが次に前記チェックサムバイトを送信するか否かを
    判定するチェックサムバイト送信判定手段と、 自らが前記最終データバイトの送信を完了から前記第2
    所定時間が経過したか否かを判定する送信側経過時間判
    定手段と、 前記チェックサムバイト送信判定手段によって、次に前
    記チェックサムバイトを送信すると判定され、かつ前記
    送信側経過時間判定手段によって、前記最終データバイ
    トの送信完了から前記第2所定時間が経過したと判定さ
    れたら、前記チェックサムバイトを送信するチェックサ
    ムバイト送信手段とを備えることを特徴とする請求項1
    記載の通信システム。
  3. 【請求項3】 マスタ装置とスレーブ装置とを通信路を
    介して接続し、前記マスタ装置は、前記スレーブ装置に
    対して、所定の処理の実行を要求する要求メッセージを
    送信し、前記スレーブ装置は、前記要求メッセージを受
    信して前記処理を実行するとともに、この実行結果を応
    答メッセージとして前記マスタ装置に送信する通信シス
    テムにおいて、 前記要求メッセージは、前記実行結果を示す複数のデー
    タバイトと、この複数のデータバイトのうちの最終デー
    タバイトの後に付加されたチェックサムバイトとから構
    成され、 前記マスタ装置は、前記要求メッセージを前記スレーブ
    装置に送信する際に、前記複数のデータバイトのうちの
    任意のデータバイトの送信完了から第1所定時間後に次
    のデータバイトの送信を開始し、前記最終データバイト
    の送信完了から、前記第1所定時間とは異なる第2所定
    時間後に前記チェックサムバイトの送信を開始するよう
    に構成されたことを特徴とする通信システム。
  4. 【請求項4】 前記マスタ装置が、 自らが次に前記チェックサムバイトを送信するか否かを
    判定するチェックサムバイト送信判定手段と、 自らが前記最終データバイトの送信を完了から前記第2
    所定時間が経過したか否かを判定する送信側経過時間判
    定手段と、 前記チェックサムバイト送信判定手段によって、次に前
    記チェックサムバイトを送信すると判定され、かつ前記
    送信側経過時間判定手段によって、前記最終データバイ
    トの送信完了から前記第2所定時間が経過したと判定さ
    れたら、前記チェックサムバイトを送信するチェックサ
    ムバイト送信手段とを備えることを特徴とする請求項3
    記載の通信システム。
  5. 【請求項5】 前記スレーブ装置が、 自らが任意のメッセージのバイトの受信を完了してから
    前記第2所定時間が経過したか否かを判定する受信側経
    過時間判定手段を備え、 この受信側経過時間判定手段によって、前記バイトの受
    信完了から前記第2所定時間が経過したと判定された
    ら、自らの応答メッセージを送信するように構成された
    ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか1つ記載の
    通信システム。
  6. 【請求項6】 前記スレーブ装置が電子制御装置であ
    り、前記マスタ装置が、前記電子制御装置の外部に通信
    路を介して接続された外部装置であることを特徴とする
    請求項1ないし5いずれか1つ記載の通信システム。
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