JPH08197724A - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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JPH08197724A
JPH08197724A JP1197595A JP1197595A JPH08197724A JP H08197724 A JPH08197724 A JP H08197724A JP 1197595 A JP1197595 A JP 1197595A JP 1197595 A JP1197595 A JP 1197595A JP H08197724 A JPH08197724 A JP H08197724A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 インク室内の分散系インクの温度が変化して
も荷電着色粒子の電気泳動速度を一定に保つようにす
る。 【構成】 電気泳動電極5に所定の電圧を印加すること
によってインク室3内に電場が形成される。分散系イン
ク2中に分散される荷電着色粒子2aが、上記電場に沿
って泳動してオリフィス4に集中する。吐出制御電極7
は、荷電着色粒子2aと同極の電圧を印加して、オリフ
ィス4に集中する荷電着色粒子2aを吐出(飛翔)させ
て記録体6上に付着させる。このとき、記録に寄与しな
い分散媒体はインク室3内に留まるので、好ましい室内
環境を得ることができる。また、インク室3には、イン
ク温度を監視するための温度センサ8と、この温度セン
サ8からの出力に基づいて、インク温度を一定に保つ発
熱素子9とが備えられているので、印字品質の高い、か
つ安定した画像を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、界面動電現象を利用
するインクジェット記録装置に係り、詳しくは、分散系
インク内の荷電着色粒子を電気泳動現象を利用して吐出
(飛翔)させるインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】界面動電現象を利用するインクジェット
記録装置としては、従来、特開昭61−57343号公
報に記載の電気浸透現象を利用するものが知られてい
る。この公報記載の装置では、絶縁性インクが導入され
るインク室内に多孔質体が設置され、ポンプ手段によっ
てインクを多孔質体の中に通して流動帯電させる。そし
て、多孔質体の中で流動帯電されたインクをノズルの先
端に送り出し、ノズルに設けた制御電極に信号電圧を印
加することにより、ノズルの先端からインクを吐出(飛
翔)させて記録体上に付着させる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構
成の装置では、インクを加圧して多孔質体の中に通すた
めの高圧ポンプ手段を必要とする上、記録に寄与する顔
料粒子と共に、記録に寄与しない揮発性の絶縁性媒体も
飛翔するので、室内環境上好ましくない結果を与える虞
がある。
【0004】この発明は、上述の事情に鑑みてなされた
もので、記録に寄与する着色粒子のみを記録体に向けて
飛翔させ、記録に寄与しない分散媒体は飛翔させないこ
ととして、室内環境上好ましい、しかも、印字品質も高
く、記録安定性にも優れるインクジェット記録装置を提
供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明は、分散系インクが満たされて
いるインク室と、この分散系インク中に分散される荷電
着色粒子を電気泳動現象によりインク吐出口に集中させ
るための電気泳動電極と、上記インク吐出口近傍に設け
られ、該インク吐出口に集中した上記荷電着色粒子を吐
出させて記録体上に付着させるための吐出制御電極とを
備えたインクジェット記録装置であって、上記インク室
には、インク温度を監視するためのインク温度監視手段
と、該インク温度監視手段からの出力に基づいて、イン
ク温度を一定に保つ温度制御手段とを付加してなること
を特徴としている。
【0006】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載のインクジェット記録装置であって、上記電気泳動電
極が、上記インク室をその前方であるインク吐出口側を
除く少なくとも三方から取り巻く態様で設けられている
ことを特徴としている。
【0007】また、請求項3記載の発明は、請求項1記
載のインクジェット記録装置であって、上記インク温度
監視手段は、温度によって抵抗値が変化するサーミスタ
を有してなることを特徴としている。
【0008】また、請求項4記載の発明は、請求項1記
載のインクジェット記録装置であって、上記温度制御手
段が、赤外線ヒータランプを有してなることを特徴とし
ている。
【0009】さらにまた、請求項5記載の発明は、請求
項1記載のインクジェット記録装置であって、上記温度
制御手段が、ペルチェ素子を有してなることを特徴とし
ている。
【0010】
【作用】請求項1記載の発明では、電気泳動電極に所定
の電圧を印加することによってインク室内に電場が形成
される。分散系インク中に分散される荷電着色粒子が、
上記電場(電位勾配)に沿って泳動してインク吐出口に
集中する。吐出制御電極は、荷電着色粒子と同極の電圧
を印加して、インク吐出口に集中する荷電着色粒子を吐
出(飛翔)させて記録体上に付着させる。このとき、記
録に寄与しない分散媒体はインク室内に留まるので、好
ましい室内環境を得ることができる。
【0011】一方、電気泳動現象を利用するインクジェ
ット記録装置では、次のような問題がある。すなわち、
インク室内のインク温度が下降すると、イオン雰囲気の
厚さが小さくなり、ゼータ電位ζが下降するので、電気
泳動速度が遅くなる。このため、荷電着色粒子が、通常
よりも遅くインク吐出口に集中するので、インク吐出口
付近の荷電着色粒子の密度が粗になり、記録体上の画像
濃度が薄くなる。これに対して、インク温度が上昇する
と、イオン雰囲気の厚さが大きくなり、ゼータ電位ζが
上昇するので、電気泳動速度が速くなる。このため、荷
電着色粒子が、通常よりも速くインク吐出口に集中する
ので、インク吐出口付近の荷電着色粒子の密度が濃くな
り、記録体上に描かれる画像が不安定になる。
【0012】しかしながら、請求項1記載の発明では、
インク室には、インク温度を監視するためのインク温度
監視手段と、該インク温度監視手段からの出力に基づい
て、インク温度を一定に保つ温度制御手段とが付加され
ているので、上記不都合は解消され、印字品質の高い、
かつ安定した画像を得ることができる。
【0013】また、請求項2記載の発明では、電気泳動
電極が、インク室をその前方であるインク吐出口側を除
く少なくとも三方から取り巻く態様で設けられているの
で、任意の位置を起点として電場(電位の勾配)を辿れ
ば、全てインク吐出側に到達する。それゆえ、荷電着色
粒子がインク吐出側に効率良く集められる。
【0014】また、請求項5記載の発明では、上記温度
制御手段として、ペルチェ素子が用いられるので、単一
の素子で、分散系インクに対して加熱も冷却もできる。
【0015】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明の実施例につ
いて説明する。図1は、この発明の一実施例であるイン
クジェット記録装置の電気的構成を示すブロック図、図
2は、同インクジェット記録装置に搭載される記録ヘッ
ド及びそのまわりの概略構成を示す平面図、図3は、同
記録ヘッドの機械的構成を分解して示す分解斜視図、ま
た、図4乃至図6は、同インクジェット記録装置の動作
を説明するための図である。 (1)実施例の構成 この例のインクジェット記録装置は、電気泳動現象を利
用して分散系インクの中から荷電着色粒子を抽出して吐
出(飛翔)させる記録ヘッドが搭載されてなり、この記
録ヘッド1は、図2及び図3に示すように、分散系イン
ク2が導入されるインク室3と、この分散系インク2中
の荷電着色粒子2aを電気泳動現象によりオリフィス
(インク吐出口)4へ集中させるための電気泳動電極5
と、オリフィス4へ集中した荷電着色粒子2aを吐出さ
せて記録体6上に飛翔させるための吐出制御電極7と、
インク室3内のインク温度を検出して温度検出信号を生
成する温度センサ8と、インク室3内の分散系インク2
を加熱して適温に保つ発熱素子9と、これらの構成各部
を支持しあるいは具現化する基体10とから構成されて
いる。
【0016】上記分散系インク2は、シリコン液、炭化
水素、パラフィン等の非水分散媒中にトナーと称される
粒径1μm以下の荷電着色粒子2aが分散してなるもの
で、粘度は3〜23×10-3mPa・Sの範囲に調整さ
れ、ジルコニア等の界面活性剤も含有されている。上記
荷電着色粒子は、粒径1μm以下の顔料粒子に固着用樹
脂、分散剤、帯電極性制御剤等を加えて作られ、特定の
非水分散媒中では荷電体として存在する(この例では正
に荷電する)。上記インク室3は、プラスチックやセラ
ミックスやガラス等の基体10内に断面二等辺三角形の
三角柱型凹部10aを設け、この凹部に蓋11を被せ接
着剤で固定することで構成される。上記蓋11にはイン
ク流入口11aが穿孔されていて、このインク流入口1
1aにはプラスチックチューブ12の一端が接続されて
いる。しかして、インク室3は、プラスチックチューブ
12を介して、インクタンク13から分散系インク2の
補給を受けるようになっている。
【0017】上記オリフィス4は、インク室3の先端部
であって、二等辺三角形の頂角に相当する部位に円形に
穿孔されている。記録ヘッド1は、オリフィス4が、記
録体6を挟んでかつ所定の距離(この例では、0.6〜
1mm)を隔てて、接地されたプラテンローラ14に相
対向する状態で、図示せぬ支持部材に取り付けられてい
る。
【0018】上記電気泳動電極5は、インク室3を三方
から取り巻く状態に基体10の外側面(後側面及び左右
の側面)に設けられている。この電気泳動電極5には、
荷電着色粒子2aと同極の正の高電圧(この例では、+
1000V)が常時印加されることで、荷電着色粒子2
aをオリフィス4へ集中させる。吐出制御電極7は、イ
ンク室3の下方(基体10の下面)に設けられていて、
荷電着色粒子2a及び電気泳動電極5と同極の正の制御
電圧(この例では、+200V)が印加されると、オリ
フィス4に集められた荷電着色粒子2aを記録体6上に
向けて吐出(飛翔)させる。また、上記温度センサ8と
しては、例えば、温度によって抵抗値が変化するサーミ
スタが用いられ、発熱素子9としては、例えば、ジュー
ル加熱される抵抗ヒータが用いられる。
【0019】次に、図1を参照して、電気的構成につい
て説明する。この例のインクジェット記録装置は、この
発明に関連する各部についてのみ述べると、インク温度
検出回路15と、加熱回路16と、駆動回路17と、制
御部18と、入力インタフェース19と、高圧直流電源
20とから概略構成されている。インク温度検出回路1
5は、インク室3内のインク温度を監視する温度センサ
8を備え、この温度センサ8によって生成された温度検
出信号を増幅し、波形整形すると共に、デジタル信号に
変換して制御部18に送出する。制御部18は、インク
温度検出回路15から供給されるデジタルの温度検出信
号によって、インク室3内の分散系インク2が所定の温
度以下(以上)に低下(上昇)したと判断したときは、
加熱回路16に温度低下(上昇)の程度に応じた所定の
加熱信号又は加熱停止信号を送出すると共に、入力イン
タフェース19を経由してパソコン等から転送されてく
る印字データに基づいて、装置に適合する形態の印字信
号を所定のタイミングで駆動回路17に送出する。加熱
回路16は、発熱素子9を備え、制御部18から供給さ
れる加熱信号に基づいて、インク室3内の分散系インク
2を加熱して適温に保つ。また、駆動回路17は、制御
部18から供給される印字信号に応答して、吐出制御電
極7に所定の電圧(この例では、+200V)を印加す
る。また、直流高圧電源20は、電気泳動電極5に常
時、所定の高電圧(この例では+1000V)を印加す
る。
【0020】(2)記録動作原理 次に、図2、図4乃至図6を参照して、この例のインク
ジェット記録装置の動作原理について説明する。この例
のインクジェット記録装置では、荷電着色粒子2aを含
んでいる分散系インク2に電場を加えると、荷電着色粒
子2aが電場の下で所定の方向に動くという電気泳動現
象が利用されている。すなわち、電気泳動電極5に対し
て、一定の高電圧V1(この例では、+1000V)を
与え(図4)、分散系インク2が満たされているインク
室3に電場Eを加えると(図5)、分散系インク2を構
成する成分のうち、荷電着色粒子2aがオリフィス4に
向かって、所定の電気泳動速度vで移動するため、オリ
フィス4に荷電着色粒子2aの集中が起きる(図6)。
オリフィス4に荷電着色粒子2aが集まった状態で、吐
出制御電極7に対して波高値V2、パルス幅T2のパル
ス電圧(この例では、+200V)を加えると(図
4)、荷電着色粒子2aが吐出(飛翔)して、記録体6
上に付着する(図2及び図6)。
【0021】分散系インク2aの補給が行われ、このよ
うな動作が繰り返されて、記録体6上に印字信号に対応
した画像が形成される。これらの動作の中でオリフィス
4への荷電着色粒子2aの集中は、インクジェット記録
装置の記録速度や荷電着色粒子2aの安定した吐出に影
響を与えるため、荷電着色粒子2aにはオリフィス4へ
移動するための安定した電気泳動が必要となる。
【0022】電気泳動移動速度vは、式で与えられ
る。 v=ε0εrζE/6πη …… …… …… …… ここで、ε0:真空の誘電率、εr:媒質の比誘電率、
ζ:ゼータ電位、E:電場の強さ、η:媒体の粘性率で
ある。式から分かるように、荷電着色粒子2aがオリ
フィス4へ移動する速度はゼータ電位ζに比例する。ゼ
ータ電位ζは、式で与えられる。 ζ=Z/ε0εr(1+ba) …… …… …… …… ここで、ε0:真空の誘電率、εr:媒質の比誘電率、
b:イオン雰囲気の厚さの逆数、a:イオンの半径、
Z:イオン価である。ゼータ電位ζは、媒体の特性、荷
電体の特性、イオン雰囲気の厚さに関係する。また、イ
オン雰囲気の厚さの逆数bは、式で与えられる。 b=(e2ΣCiZi2/ε0εrKT)1/2 …… …… ここで、ε0:真空の誘電率、εr:媒質の比誘電率、
K:ボルツマン定数、T:絶対温度、e:電気素量、C
i:単位体積中のイオン数、Zi:イオン価である。式
から、イオン雰囲気の厚さは、温度によって変化するこ
とが分かる。それゆえ、式,,から、インク室3
内の分散系インク2の温度が変化すると、電気泳動速度
vが変化し、荷電着色粒子2aのオリフィス4への移動
に影響を与えてしまうという結論が得られる。
【0023】実験によれば、インク温度が下降すると、
イオン雰囲気の厚さが小さくなり、ゼータ電位ζが下降
するので、電気泳動速度vが遅くなる。このため、荷電
着色粒子2aが、通常よりも遅くオリフィス4へ集中す
るので、オリフィス4付近の荷電着色粒子2aの密度が
粗になり、記録体6上の画像濃度が薄くなる。これに対
して、インク温度が上昇すると、イオン雰囲気の厚さが
大きくなり、ゼータ電位ζが上昇するので、電気泳動速
度vが速くなる。このため、荷電着色粒子2aが、通常
よりも速くオリフィス4へ集中するので、オリフィス4
付近の荷電着色粒子2aの密度が濃くなり、記録体6上
に描かれる画像が不安定になる。
【0024】(3)実施例の動作 次に、この例の動作について説明する。初期設定とし
て、インク室3内のインク温度は安定した記録速度や荷
電着色粒子2aのオリフィス4からの安定した吐出が得
られる条件、すなわち、最適の電気泳動速度vaとなる
ように、制御部48は、所定の加熱信号を加熱回路16
に送出する。加熱回路16は、制御部18から供給され
た加熱信号に応答して発熱素子9を制御して、インク室
3内のインク温度を最適温度θ1に設定する。直流高圧
電源20は、電気泳動電極5に対して、一定の高電圧V
1(この例では、+1000V)を与える(図4)。電
気泳動電極5は、断面コ字型の電極板によって、インク
室3の前方側を除く三方側を取り巻く態様で設置されて
いるので、任意の電気力線が全てオリフィス4に向かう
ような電場Eがインク室3に形成される(図5)。それ
ゆえ、分散系インク2を構成する成分のうち、プラスの
電荷を持つ荷電着色粒子2aがオリフィス4に向かって
最適の電気泳動速度vaで移動する。このため、オリフ
ィス4に荷電着色粒子2aが効率良く集められる。
【0025】オリフィス4に荷電着色粒子2aが集中し
ている状態(記録待機状態)において、パソコン等から
印字データ及び印字制御信号が転送されてくると、制御
部18は、駆動回路17に所定のタイミングで装置に適
合する形態の印字信号を送出する。駆動回路17は、制
御部18から供給される印字信号に応答して、吐出制御
電極7に対して、例えば、波高値V2、パルス幅T2のパ
ルス電圧(この例では、+200V)を印加する(図
4)。吐出制御電極7に正のパルス電圧が印加される
と、荷電着色粒子2aは、オリフィス4から排出される
方向に付勢力(静電反発力)を受けるので、吐出(飛
翔)して、記録体6上に付着する。このとき、記録に寄
与しない分散媒体はインク室3内に留まる。
【0026】分散系インク2の補給が行われ、このよう
な動作が、繰り返され、記録体6上に印字信号に応じた
画像が形成されている間、インク室3内のインク温度が
θ1からθ2へ下降したとする。この温度下降は、温度検
出センサ8によって検出され、インク温度検出回路15
から制御部18に知らされる。インク温度がθ1からθ2
に下降すると、上述した理由により、電気泳動速度が最
適な速度vaよりも遅くなるので、オリフィス4付近の
荷電着色粒子2aの密度が薄くなり、画像が不安定にな
る。そこで、制御部18は、所定の加熱信号を加熱回路
16に送出する。加熱回路16は、制御部18から供給
された加熱信号に応答して発熱素子9を制御して、ジュ
ール熱を発生させる。そして、インク室3内のインク温
度を上昇させて最適温度θ1に設定する。インク室3内
のインクの度が元の温度θ1になると、電気泳動速度
は、最適速度vaに戻る。
【0027】これに対して、インク温度がθ1からθ3に
上昇すると、上述した理由により、電気泳動速度が最適
な速度vaよりも速くなるので、オリフィス4付近の荷
電着色粒子2aの密度が濃くなり、やはり、画像が不安
定になる。そこで、制御部18は、加熱停止信号を加熱
回路16に送出する。加熱回路16は、制御部18から
供給された加熱停止信号に応答して発熱素子9に対する
電力の供給を停止する。これにより、分散系インク2が
冷却され、元の温度θ1にまで下がると、電気泳動速度
は、最適速度vaに戻る。
【0028】このように、この例の構成によれば、記録
に寄与すべき荷電着色粒子2aのみを吐出(飛翔)さ
せ、記録に寄与しない分散媒体はインク室内に留まるの
で、好ましい室内環境を得ることができる。また、電気
泳動電極5が、インク室3をその前方であるオリフィス
4側を除く三方の側面から取り巻く態様で設置されてい
るので、任意の位置を起点として電位の勾配を辿れば、
全てオリフィス4側に到達する。それゆえ、荷電着色粒
子2aがオリフィス4側に効率良く集められる。また、
制御部18は、温度センサ8にインク室3内のインク温
度を常時監視させ、インク温度に変動が生じたときは、
これを補償すべき加熱信号又は加熱停止信号を加熱回路
16に送出する構成となっているので、インク室3内の
インク温度を一定に保つことができる。それゆえ、電気
泳動速度を常時最適状態に維持でき、したがって、荷電
着色粒子2aをオリフィス4から安定して吐出させるこ
とができるので、一段と高い印字品質を得ることができ
る。
【0029】以上、この発明の実施例を図面により詳述
してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるもの
ではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変
更等があってもこの発明に含まれる。例えば、発熱素子
9としては、抵抗ヒータに限らず、赤外線ヒータランプ
を用いても良い。赤外線ランプヒータを用いるようにす
れば、熱応答性が向上するので、迅速加熱が可能とな
る。また、発熱素子に代えて、ペルチェ素子を用いるよ
うにすれば、単一の素子で、分散系インクに対して加熱
も冷却もできる。また、上述の実施例では、電気泳動電
極が、インク室3をその前方であるオリフィス4側を除
く三方から取り巻く態様で設置する場合について述べた
が、これに限らず、適宜、二方でも良く、あるいは、四
方、五方から取り巻くように設置しても良い。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明によれば、記録に寄与すべき荷電着色粒子のみを吐出
(飛翔)させ、記録に寄与しない分散媒体はインク室内
に留まるので、好ましい室内環境を得ることができる。
また、インク室には、インク温度を監視するためのイン
ク温度監視手段と、該インク温度監視手段からの出力に
基づいて、インク温度を一定に保つ温度制御手段とが付
加されているので、インク室内のインク温度を一定に保
つことができる。それゆえ、電気泳動速度を常時最適状
態に維持でき、したがって、荷電着色粒子をインク吐出
口から安定して吐出させることができるので、一段と高
い印字品質を得ることができる。また、請求項2記載の
発明によれば、電気泳動電極が、インク室をその前方で
あるインク吐出側を除く少なくとも三方の側から取り巻
く態様で設置されているので、任意の位置を起点として
電位の勾配を辿れば、全てインク吐出口側に到達する。
それゆえ、荷電着色粒子がインク吐出口に効率良く集め
られる。また、請求項5記載の発明では、上記温度制御
手段として、ペルチェ素子が用いられるので、単一の素
子で、分散系インクを加熱できると共に、冷却すること
もできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例であるインクジェット記録
装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】同インクジェット記録装置に搭載される記録ヘ
ッド及びそのまわりの概略構成を示す平面図である。
【図3】同記録ヘッドの機械的構成を分解して示す分解
斜視図である。
【図4】同インクジェット記録装置の動作を説明するた
めの図で、同記録ヘッドを構成する電気泳動電極及び吐
出制御電極の印加電圧波形を示す波形図である。
【図5】同インクジェット記録装置の動作を説明するた
めの図で、同記録ヘッドを構成するインク室内の電場を
示す概念図である。
【図6】同インクジェット記録装置の動作を説明するた
めの図で、分散系インクを構成する荷電着色粒子の泳動
の向きを示す図である。
【符号の説明】 1 記録ヘッド 2 分散系インク 2a 荷電着色粒子 3 インク室 4 オリフィス(インク吐出口) 5 電気泳動電極 6 記録体 7 吐出制御電極 8 温度センサ(インク温度監視手段の一部) 9 発熱素子(温度制御手段の一部) 15 インク温度検出回路(インク温度監視手段の
一部) 16 加熱回路(温度制御手段の一部) 17 駆動回路 18 制御部(インク温度監視手段、温度制御手段
の一部)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散系インクが満たされているインク室
    と、この分散系インク中に分散される荷電着色粒子を電
    気泳動現象によりインク吐出口に集中させるための電気
    泳動電極と、前記インク吐出口近傍に設けられ、該イン
    ク吐出口に集中した前記荷電着色粒子を吐出させて記録
    体上に付着させるための吐出制御電極とを備えたインク
    ジェット記録装置であって、 前記インク室には、インク温度を監視するためのインク
    温度監視手段と、該インク温度監視手段からの出力に基
    づいて、インク温度を一定に保つ温度制御手段とを付加
    してなることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】 前記電気泳動電極は、前記インク室をそ
    の前方であるインク吐出口側を除く少なくとも三方から
    取り巻く態様で設けられていることを特徴とする請求項
    1記載のインクジェット記録装置。
  3. 【請求項3】 前記インク温度監視手段は、温度によっ
    て抵抗値が変化するサーミスタを有してなることを特徴
    とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
  4. 【請求項4】 前記温度制御手段は、赤外線ヒータラン
    プを有してなることを特徴とする請求項1記載のインク
    ジェット記録装置。
  5. 【請求項5】 前記温度制御手段は、ペルチェ素子を有
    してなることを特徴とする請求項1記載のインクジェッ
    ト記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5997133A (en) * 1996-11-21 1999-12-07 Nec Corporation Inkjet recording apparatus having a minimum number of ejection electrode driving circuits and method for driving same
US6980235B1 (en) 1999-08-06 2005-12-27 Minolta Co., Ltd. Digital camera unified with printer
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JP2011525153A (ja) * 2008-06-02 2011-09-15 ユニバーシティ・オブ・ケープ・タウン ナノ微粒子の機能性インクのインクジェット印刷

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