JPH08197660A - 透湿防水性布帛 - Google Patents

透湿防水性布帛

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JPH08197660A
JPH08197660A JP7012834A JP1283495A JPH08197660A JP H08197660 A JPH08197660 A JP H08197660A JP 7012834 A JP7012834 A JP 7012834A JP 1283495 A JP1283495 A JP 1283495A JP H08197660 A JPH08197660 A JP H08197660A
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和宏 田中
Isao Fujita
勲 藤田
Noriyuki Azumai
則之 東井
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Abstract

(57)【要約】 【構成】表編地と裏編地の間に該表編地と該裏編地とを
連結する渡り糸が介在してスペースが設けられてなる布
帛の少なくとも片面に被膜が設けられてなり、かつ耐水
圧が1000mmH2 O/cm2 以上、透湿度が300
0g/m2 ・24時間以上であることを特徴とする透湿
防水性布帛。 【効果】本発明によれば、通気性、防水性といった相反
する物性を具備するため、雨天の際にも、足がむれるこ
となく、雨水や泥水の侵入を防ぐことができて、快適な
着用感を有する靴を得ることができる。また適度な弾性
を具備するため、曲げや押圧に対して大きな抵抗を生ず
ることがないため、粗硬感がなく、圧迫感や疲労感を一
層軽減する効果を発揮することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は透湿防水性布帛に関し、
さらに詳しくは靴の構成材として好適に用いられる透湿
防水性布帛に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に靴の構成材として布帛が使用され
る際、その布帛は適度の弾性を有することが、足に圧迫
感や疲労感を与えないために要求される。
【0003】特に、スポーツ用の靴においては、前記の
特性は重要である。
【0004】従来、このような弾性を有する布帛として
は、特公昭58−47161号公報に開示されるような
表地と裏地との間にポリウレタン等の樹脂フオーム層を
挾んで接着させるようにした多層サンドイッチ構造のも
のが提案されている。
【0005】また、実開昭63−25004号公報には
表編地と裏編地とを連結する渡り糸が介在する経編地が
靴の構成材として用いられた際、足に圧迫感や疲労感を
与えないものとして提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
経編地を用いて構成された靴は晴天時には適度な通気性
のため足が蒸れにくく、快適な着用感を有しているが、
雨天の際には雨水や泥水が容易に侵入し、着用者に不快
感を与え、また水分により経編地を構成する糸が濡れて
経編地の特性が損なわれる問題があった。
【0007】つまり、適度な通気性を有し、かつ防水性
も具備し、適度な弾性を有する靴の構成材として好適な
布帛は開示されていない。本発明の目的は前記欠点に鑑
み、通気性および防水性を具備し、適度な弾性を有する
透湿防水性布帛を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の透湿防水性布帛
は、前記課題を達成するため以下の構成を有する。
【0009】すなわち、表編地と裏編地の間に該表編地
と該裏編地とを連結する渡り糸が介在してスペースが設
けられてなる布帛の少なくとも片面に被膜が設けられて
なり、かつ耐水圧が1000mmH2 O/cm2 以上、
透湿度が3000g/m2 ・24時間以上であることを
特徴とする透湿防水性布帛である。
【0010】以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0011】本発明の透湿防水性布帛は布帛と被膜から
構成されているものである。
【0012】本発明に用いる布帛は表編地、裏編地およ
び渡り糸からなり、表編地と裏編地とを連結する渡り糸
が介在してスペースが設けられ、渡り糸は両編地に編み
込まれ、この布帛の少なくとも片面に被膜が設けられて
なるものである。図1は本発明の透湿防水性布帛に用い
られる布帛の一例を示す模式図の斜視図を示し、図2は
布帛の要部の一例を示す模式図を拡大して示す斜視図で
ある。図1および図2に示すように、前記布帛は表編地
1と裏編地2とをスペース3を介して平行に配置し、こ
のスペース3に多数の渡り糸4を横切らせ構成されてい
る。前記表編地1は糸条41から、また裏編地2は糸条
42からそれぞれ構成されており、これら両編地1,2
に対しそれぞれ渡り糸4が編み込まれることによって連
結されているものである。
【0013】このような3次元構造を採る布帛におい
て、表編地と裏編地とは組織や密度は同一でも異なって
いても良い。このうち編み密度については、表編地の密
度を裏編地の密度よりも大きくすることも好ましく行な
われる。
【0014】また、編み組織も、プレーンな組織だけに
限定されることなく、柄または穴あきの変化組織も好ま
しく用いられる。
【0015】表編地や裏編地に使用する糸条41,42
はポリエステル、ナイロンなどの合成繊維または木綿、
麻などの天然繊維のいずれを用いても良い。これらの糸
条は捲縮加工などの加工を施すことも好適に行なわれ
る。
【0016】表編地に用いられる糸条41には、耐摩耗
性の良好な合成繊維のフイラメント糸や紡績糸を、裏編
地に用いられる糸条42には木綿などの吸湿性の優れた
繊維を混入することも好ましい。表編地および裏編地に
用いられる糸条41,42の繊度は特に限定されない。
【0017】両編地1,2にそれぞれ編み込まれてスペ
ース3を横切るようにした渡り糸4には、曲げ剛性の大
きな糸条を用いるのが好ましく、これによって布帛によ
り高い弾性を与えることができる。このような弾性効果
を一層発現するためには、渡り糸として合成繊維モノフ
イラメント、マルチフイラメントまたは紡績糸を使用す
ることができる。
【0018】さらに、用いる渡り糸の繊度、密度および
スペースの間隔は特に限定されるものではなく適宜選択
しうる。靴の構成材として用いる観点から、渡り糸の繊
度は3〜200デニールが好ましい。布帛の通気性を付
与せしめる観点から、渡り糸の密度は1000本/イン
2 〜4500本/インチ2 が好ましい。
【0019】また、布帛の強度や耐久性を確保する理由
からスペースの間隔tは0.5〜10mm程度が好まし
い。
【0020】本発明の布帛は、トリコット編機またはラ
ッシェル編機などの経編機を使用することにより得るこ
とができる。
【0021】本発明の透湿防水性布帛は防水性と通気性
という相反する特性を具備するために、前記布帛の少な
くとも片面に小孔を有する被膜を有し、耐水圧が100
0mmH2 O/cm2 以上、透湿度が3000g/m2
・24時間以上とするものである。
【0022】耐水圧が1000mmH2 O/cm2 に満
たないと、十分な防水性が得られない問題があり、ま
た、透湿度が3000g/m2 ・24時間に満たない
と、十分なムレ防止効果が得られない問題がある。
【0023】なお、一般に、透湿度を一定以上に保ちつ
つ耐水圧を12000mmH2 O/cm2 以上とするの
は困難であり、また、耐水圧を一定以上に保ちつつ透湿
度を15000g/m2 ・24時間以上とするのは困難
である。
【0024】また、被膜の形成性の観点から、耐水圧は
1000〜10000mmH2 O/cm2 、さらには1
200〜9000mmH2 O/cm2 、特に1500〜
7000mmH2 O/cm2 とするのが好ましく、ま
た、透湿度は3000〜12000g/m2 ・24時
間、さらには4000〜9000g/m2 ・24時間、
特に5000〜8000g/m2 ・24時間とするのが
好ましい。
【0025】ここでいう耐水圧はJIS L 107
9、透湿度はJIS Z 0208によって測定したも
のである。
【0026】さらに、通気性の一層の向上の観点から、
JIS L 1006(ガーレ法)による通気度が1〜
600秒/100ccの範囲にあるのが好ましく、より
好ましくは2〜590秒/100ccである。
【0027】また、本発明の布帛は靴の構成材用として
好ましく用いられるものである。
【0028】本発明の布帛は、特に靴の構成材として優
れた特性を発揮させる観点から、長さ方向における伸長
抵抗は伸度40%で0.2〜1.2kg、さらには0.
3〜1kg、特に0.4〜0.9kgが好ましく、伸度
80%で1.1〜2.1kg、さらには1.3〜2k
g、特に1.4〜1.8kgが好ましく、伸度120%
で1.6〜3.6kg、さらには1.9〜3.4kg、
特に2.1〜3.1kgが好ましい。
【0029】幅方向における伸長抵抗は伸度40%にお
いて0.3〜1.3kg、さらには0.4〜1.1k
g、特に0.5〜1kgが好ましく、伸度80%で1〜
7kg、さらには2〜6kg、特に3〜5kgが好まし
く、伸度120%で8〜19kg、さらには10〜17
kg、特に11〜16kgが好ましい。
【0030】また、長さ方向における破断伸度は100
〜310%、さらには135〜275%、特に170〜
240%とするのが好ましい。
【0031】幅方向における破断伸度は70〜230
%、さらには110〜190%、特に130〜170%
とするのが好ましい。
【0032】布帛の少なくとも片面に設けられたこれら
の被膜は、耐水圧、透湿度および通気度を向上させるた
め、その表面に多数の微細な小孔を有し、この小孔の径
を5ミクロン以下、さらには3ミクロン以下、特に1ミ
クロン以下とするのが好ましい。
【0033】さらに、被膜内部にこの小孔と連通した空
洞部を有し、透湿度および通気度を一層向上させる観点
から、この空洞部の径が表面の小孔の径の少なくとも3
倍であるのが好ましい。
【0034】さらに、前記の理由と同様な観点から隣接
する空洞部相互を仕切る壁面の少なくとも一部に連通孔
が形成されてなる構造も好ましい。
【0035】また、布帛の撥水性付与の観点から、この
空洞部の内表面に撥水剤が存在することも好ましい。撥
水剤は耐久性のあるものが好ましく、フッ素系のものが
好ましく用いられ、フッ素系撥水剤にシリコーン系撥水
剤を加えて併用することも好ましく用いられる。
【0036】本発明の布帛に被膜を設けるには、例え
ば、以下に示す工程が挙げられる。
【0037】すなわち、 (第1工程)布帛にポリウレタン重合体を含有する重合
体溶液の浸透をその布帛厚さの1/3以下に抑制するた
めの処理をあらかじめ施す。
【0038】(第2工程)ポリウレタン重合体を含有す
る極性有機溶剤溶液を前記布帛の少なくとも片面に塗布
する。
【0039】(第3工程)凝固浴中に浸漬し、被膜を形
成させる。
【0040】(第4工程)撥水処理を施す。
【0041】すなわち、本発明の布帛を得るには第2工
程に示されるポリウレタン重合体を含有する重合体の極
性有機溶剤溶液を直接布帛の少なくとも片面に塗布し、
次いで凝固処理を行なってもよいが、透湿性を向上させ
る一方、布帛の風合を改良することを目的として前処理
を施すのが好ましい。
【0042】ポリウレタン重合体を含有する重合体が布
帛の厚み方向に、この布帛厚さの3分の1程度までは浸
透を許容するが、それ以上は浸透させないようにするの
が風合上および透湿性の観点から好ましい。
【0043】このため処理手段としては布帛の表面で、
かつポリウレタン重合体を含有する重合体を塗布する面
を加熱加圧して繊維の断面形状を変形し、繊維間隙を狭
くしておく方法または布帛にシリコーン系またはフッ素
系などの撥水剤を施す方法などが好ましく行なわれる。
これらの処理手段を単独でまたは必要に応じて組み合わ
せて布帛に適宜施すことにより、ポリウレタン重合体を
含有する重合体溶液の塗布にあたり、重合体溶液の布帛
に対する浸透を抑制すると同時に布帛を構成する繊維と
合成重合体との結合を弛緩し、従って風合が柔軟で透湿
性、通気性に富んだ布帛が得られる。
【0044】フッ素系撥水剤を布帛に付与する場合の布
帛に対する付着量は、第2工程で使用する重合体溶液の
粘度に関連して0.03〜1.0重量%の範囲で処理す
るのが好ましい。
【0045】なお、前記の撥水処理を施した布帛に、さ
らに水または水/極性有機溶剤混合液を布帛重さに対し
て100重量%以下を含有させたのち、次の第2工程以
下の工程を実施することにより、その作用機構は詳細で
はないが、撥水処理単独の場合に比してその作用効果が
顕著であり、特に剥離強度が大巾に向上する。
【0046】本発明の布帛を得るには、透湿性、通気性
を損わず、ポリウレタン重合体被膜と布帛との剥離強度
を向上するため、重合体を塗布する布帛表面にポリウレ
タン重合体とは組成を異にする合成重合体、特に接着機
能を有する合成重合体を点状または線状に塗布しておく
ことも好ましい。
【0047】本発明の布帛を得るには、例えば、前記の
ごときあらかじめ前処理を施した布帛にポリウレタン重
合体を含有する極性有機溶剤溶液を塗布すればよい。
【0048】本発明に使用するポリウレタン重合体とし
ては、ポリエステル系またはポリエーテル系のものを用
いることができる。
【0049】これらの重合体は一般に湿式凝固法によっ
て被膜を形成する機能を有するものであればいかなるも
のでも採用できる。
【0050】しかしながら本発明の布帛においては、透
湿性の一層の向上のため、これらのポリウレタン重合体
を用いてきわめて微小な小孔を塗布被膜表面に形成させ
ると同時に被膜内部には表面の小孔直径より大きい内径
を有する空洞部を形成させるのが好ましく、そのために
ポリウレタン重合体を含有する塗布溶液は特別に調製さ
れるのが好ましい。
【0051】このような塗布溶液の例としてはポリウレ
タン重合体8〜25重量%を含有するジメチルホルムア
ミドによって代表される極性有機溶媒溶液に、フッ素系
撥水剤0.1〜1.0重量%、ポリイソシアネート類
0.2〜3重量%および非イオン界面活性剤1〜8重量
%を配合した調合液が挙げられる。
【0052】本発明の布帛に恒久性のある撥水性を付与
せしめる観点から、撥水剤としてフッ素系撥水剤を用い
るのが好ましい。例えば、フッ素系撥水剤をポリイソシ
アネートと併用して用いる際には、湿式凝固法によって
生成する被膜の表面のみならず、この被膜に内在する多
数の微細気孔の表面に耐久性のある撥水性を付与せしめ
るのが好ましい。
【0053】撥水剤としてフッ素系撥水剤にシリコーン
系撥水剤を加えて併用することも可能であるが併用時で
もフッ素系撥水剤の混合割合は0.1〜1.0重量%で
あるのが好ましい。
【0054】また、シリコーン系撥水剤の使用量は0.
1〜10.0重量%の間で任意に変化させることができ
る。
【0055】ポリイソシアネート類としてはジイソシア
ネート類、トリイソシアネート類などのイソシアネート
基を2個以上有する化合物が挙げられる。例えば、2,
4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイ
ソシアネート、ジフエニルメタン−4,4´−ジイソシ
アネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、イソ
ホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ートなどのジイソシアネート類およびこれらのジイソシ
アネート類3モルと活性水素を3個有する化合物たとえ
ばトリメチロールプロパン、グリセリンなど1モルとの
付加反応によって得られるトリイソシアネート類などか
ら任意に選択使用できる。
【0056】なおこれらのポリイソシアネート類はその
イソシアネート基が遊離した形であっても、またはフエ
ノールなどを付加して安定化した形であっても良い。
【0057】本発明の布帛を得るのに使用しうる非イオ
ン界面活性剤としては通常市販されている非イオン界面
活性剤の任意のものでよく、特にポリプロピレングリコ
ールとポリエチレングリコールとのブロック体よりなる
非イオン界面活性剤が挙げられる。
【0058】すなわち、かかる非イオン界面活性剤を含
有させることにより、前述の撥水剤ならびにポリイソシ
アネート類または顔料その他の添加剤などのポリウレタ
ン重合体を含有する重合体に対する相溶性を高める効果
があり、また、この重合体溶液を凝固浴中に浸漬した際
に、重合体溶液中の溶剤の凝固浴への溶出速度と凝固浴
中の水の重合体溶液への浸透および拡散速度を調節する
作用効果があり、その結果生成した被膜に内在する気孔
を均一かつ微細化するとともに、気孔の表面に使用した
撥水剤の大部分を均一に集合せしめることができ好まし
い。
【0059】塗布液として撥水剤、ポリイソシアネート
類および非イオン界面活性剤をそれぞれ規定範囲内の量
で含有するポリウレタン重合体溶液を使用することによ
って、これらの相乗作用により図3に示すごとく被膜5
が布帛6の表面に形成されると同時に被膜内部には多数
の微細な内径を有する空洞部8,8′,8″が形成され
る。
【0060】一方、このような方法によって得られる布
帛の被膜1の表面には小孔7,7′,7″が多数形成さ
れており、しかもその小孔の直径は5ミクロン以下のも
のが相当数存在する。中には直径が1ミクロン以下の小
孔も多数存在する。
【0061】また、これらの小孔のほとんどのものはそ
の被膜内部における空洞部8,8′,8″と連通してお
り、その空洞部の空隙部径は小孔の直径の少なくとも3
倍以上あり、いわゆるとっくり形の形状である。
【0062】空隙部径は通常平均50ミクロン、特に3
0ミクロン程度までが好ましい。
【0063】さらに本発明の布帛においては隣接する空
洞部間を仕切る壁部の一部または全部に1つまたは複数
個の小孔9,9′,9″が設けられ空洞部間を連通した
構造を有するのが好ましい。
【0064】これらの連通孔の直径は5ミクロン以下が
好ましい。
【0065】本発明の布帛において、5ミクロン以下と
いうきわめて微小な小孔と、比較的大きい空洞部との組
み合わせよりなる新規な被膜とする場合には、耐水性、
柔軟性、剥離強力に優れ、かつ透湿性、通気性、防水性
にも優れた布帛を得ることができ好ましい。
【0066】なお本発明の布帛において、ポリウレタン
重合体は、ポリエステル系あるいはポリエーテル系ポリ
ウレタン重合体などの任意のものが使用できるが、一般
に湿式凝固法によるポリウレタン被膜の形成に際してポ
リウレタン重合体含有量と生成する被膜に内在する気孔
の直径との間には相関性があり、含有量が低くなるに従
って気孔径は疎大となり、逆に含有量が高くなるに従っ
て気孔径は緻密となる傾向がある。
【0067】本発明の布帛において、併用する非イオン
界面活性剤の作用効果によって、この傾向は緩和され
る。
【0068】前記塗布液の塗布方法としてはナイフオー
バーロールコーターその他通常のコーテイング機を使用
し、任意の厚さに均一に塗布する。
【0069】凝固浴中に浸漬し、被膜を形成させる第3
工程については特に限定されないが、凝固浴としてジメ
チルホルムアミド5〜15重量%を含有する水溶液を用
いるのが好ましい。
【0070】撥水処理を施す第4工程についても特に限
定されないが、撥水剤の布帛に対する付着量は用途に応
じて任意の量が使用できるが、0.5〜2.0重量%の
範囲が好ましい。
【0071】このようにして得られた透湿防水性布帛は
図4に示されるように靴の構成材、特に靴のアッパー材
10として使用することもできる。靴はアッパー材10
と、このアッパー材10を連結したゴム製の靴底11か
ら構成される。アッパー材10の表面には、その踵や爪
先などの部分に必要により耐摩耗性の革材12,12′
が取りつけられることもある。
【0072】また、この透湿防水性布帛は衣料品等のそ
の他の用途に好適に使用することもできる。
【0073】
【実施例】以下本発明を実施例と比較例を用いて詳細に
説明する。
【0074】なお、本発明の評価に用いた物性は以下の
方法によって測定した。
【0075】[耐水圧]JIS L 1079によって
測定した。
【0076】[透湿度]JIS Z 0208によって
測定した。
【0077】[伸長抵抗、破断伸度]ASTM D 1
682によって測定した。
【0078】[実施例1]表編地には70デニールのナ
イロンフイラメント、裏編地には木綿を用い、渡り糸と
して70デニールのナイロンフイラメントを用いた。ダ
ブルラッシェル編機を用いて表編地と裏編地に対して渡
り糸が編み込まれ、スペースが4.4mmである布帛を
形成した。
【0079】この布帛にアクリル酸エステル共重合体を
15重量%およびトリメチロールプロパン−ヘキサメチ
レンジイソシアネート(モル比1:3)付加物3重量%
を含有するトルオール溶液(粘度2000cps/20
℃)を深度87μの多点状で、かつ印捺面積が50%の
彫刻ロールを用いて部分的に印捺塗布し、次いで乾燥熱
処理を施した。この共重合体の繊維基材に耐する付着量
は10g/m2 (湿潤時目付)であった。
【0080】前記の処理を施した繊維基材上にポリエス
テル系ポリウレタンエラストマー15.4重量部、トリ
メチロールプロパン−ヘキサメチレンジイソシアネート
(モル比1:3)付加物1重量部およびポリプロピレン
グリコール・ポリエチレングリコールブロック体(非イ
オン界面活性剤)5重量部をジメチルホルムアミド7
8.6重量部に溶解して調合した塗布液(粘度900c
ps/30℃)を、前記の布帛上に、リバースロールコ
ーターを用いて約300g/m2 (湿潤時目付)塗布
し、次いでジメチルホルムアミドを10重量%含有する
水溶液中に浸漬して30℃にて5分間ゲル化させたの
ち、80℃にて30分間湯洗し、熱風乾燥後、140℃
にて3分間熱処理を行なった。
【0081】得られたコーテイング布帛をフッ素系撥水
剤1重量%を含有する溶液中に浸漬し、マングルにて絞
り率70%に均一に絞った後、ヒートセッターを用いて
150℃に30秒間熱処理を施した。
【0082】得られた布帛の耐水圧は1900m/mH
2 O/cm2 、透湿度は5000g/m2 ・24時間で
あり、優れた防水性と透湿性を併用していた。
【0083】この布帛の長さ方向における伸長抵抗は伸
度40%で0.61kg、伸度80%で1.67kg、
伸度120%で2.65kgであり、幅方向における伸
長抵抗が伸度40%で0.75kg、伸度80%で4.
31kg、伸度120%で13.5kgであり、破断伸
度は長さ方向において193%、幅方向において151
%であった。
【0084】この布帛を靴のアッパー材として使用し
た。得られた靴は防水性を有し、かつ通気性を有したも
のであるため、靴内部への水の侵入を防止し、足が蒸れ
ることが少なく快適な着用感を奏するものであった。
【0085】布帛の構成および特性を表1に示す。
【0086】
【表1】 [実施例2]表編地および裏編地には70デニールのポ
リエステルフイラメントを用い、渡り糸として30デニ
ールのポリエステルフイラメントを用いた。ダブルラッ
シェル編機を用いて表編地と裏編地に対して渡り糸が編
み込まれ、スペースが3.6mmである布帛を形成し
た。
【0087】ポリエーテル系ポリウレタンエラストマー
20.8重量部、イソホロジイソシアネート2重量部お
よびポリプロピレングリコール・ポリエチレングリコー
ルブロック体4重量部およびシリカゲル5重量部をジメ
チルホルムアミド68.2重量部に溶解して調合した塗
布液(粘度1500cps/30℃)を、前記の布帛上
に、ナイフオーバーロールコーターを用いて約200g
/m2 (湿潤時目付)塗布し、次いでジメチルホルムア
ミドを5重量%含有する水溶液中に導いて30℃にて5
分間浸漬ゲル化させたのち、120℃にて熱風乾燥後、
140℃にて5分間熱処理を行なった。得られた布帛の
耐水圧は2000m/mH2 O/cm2、透湿度は51
00g/m2 ・24時間であり、優れた防水性と透湿性
を併用していた。
【0088】この布帛の長さ方向における伸長抵抗は伸
度40%で0.76kg、伸度80%で1.57kg、
伸度120%で2.55kgであり、幅方向における伸
長抵抗が伸度40%で0.71kg、伸度80%で4.
41kg、伸度120%で13.1kgであり、破断伸
度は長さ方向において210%、幅方向において154
%であった。
【0089】この布帛を靴のアッパー材として使用し
た。得られた靴は防水性を有し、かつ通気性を有したも
のであるため、靴内部への水の侵入を防止し、足が蒸れ
ることが少なく快適な着用感を奏するものであった。
【0090】なお、布帛の構成および特性を併せて表1
に示す。
【0091】[実施例3]表編地には70デニールのナ
イロンフイラメント、裏編地には木綿を用い、渡り糸と
して70デニールのナイロンフイラメントを用いた。ダ
ブルラッシェル編機を用いて表編地と裏編地に対して渡
り糸が編み込まれ、スペースが4.4mmである布帛を
形成した。
【0092】次に、この布帛をヒートセッターを用いて
150℃にて30秒間熱処理を施した。
【0093】ポリエステル系ポリウレタンエラストマー
18重量部、トリメチロールプロパン−ヘキサメチレン
ジイソシアネート(モル比1:3)付加物1重量部およ
びポリプロピレングリコール・ポリエチレングリコール
ブロック体5重量部をジメチルホルムアミド76重量部
に溶解した塗料液(粘度1300cps/30℃)を、
前記の基材上に、ナイフオーバーロールコーターを用い
て約200g/m2 (湿潤時目付)塗布し、次いでジメ
チルホルムアミドを10重量%含有する水溶液中に導い
て30℃にて5分間浸漬ゲル化させたのち、120℃に
て熱風乾燥後、140℃にて5分間熱処理を行なった。
【0094】得られたコーテイング布帛を、フッ素系撥
水剤1重量%を含有する溶液中に浸漬し、マングルにて
絞り率50%に均一に絞った後、ヒートセッターを用い
て150℃にて30秒間熱処理を施した。
【0095】得られたコーテイング布帛は耐水圧は23
00m/mH2 O/cm2 、透湿度は5400g/m2
・24時間であり、優れた防水性と透湿性を有してい
た。
【0096】この布帛の長さ方向における伸長抵抗は伸
度40%で0.66kg、伸度80%で1.67kg、
伸度120%で2.45kgであり、幅方向における伸
長抵抗が伸度40%で0.83kg、伸度80%で4.
21kg、伸度120%で14.3kgであり、破断伸
度は長さ方向において220%、幅方向において145
%であった。
【0097】この布帛を靴のアッパー材として使用し
た。得られた靴は防水性を有し、かつ通気性を有したも
のであるため、靴内部への水の侵入を防止し、足が蒸れ
ることが少なく快適な着用感を奏するものであった。
【0098】なお、布帛の構成および特性を併せて表1
に示す。
【0099】[実施例4]表編地には70デニールのポ
リエステルフイラメント、裏編地には木綿を用い、渡り
糸として190デニールのポリエステルフイラメントを
用いた。ダブルラッシェル編機を用いて表編地と裏編地
に対して渡り糸が編み込まれ、スペースが8mmである
布帛を形成した。
【0100】この布帛を通常のカレンダー機を使用し、
圧力150kg/cm3 (平均線圧)、温度180℃、
加工スピード30m/m、1nipによりポリウレタン
塗布面をチルド側にして加熱加圧処理を施した。
【0101】ポリエステル系ポリウレタンエラストマー
24.6重量部、トリメチロールプロパン−ヘキサメチ
レンジイソシアネート(モル比1:3)付加物1重量部
およびポリプロレングリコール、ポリエチレングリコー
ルブロック体(非イオン界面活性剤)7重量部をジメチ
ルホルムアミド67.4重量部に溶解して調合した塗料
液(4800cps/30℃)を前記加熱、加圧により
平滑化された処理面にナイフオーバーロールコーターを
用いて約250g/m2 (湿潤時目付)塗布し、次いで
ジメチルホルムアミドを5重量%含有する水溶液中に浸
漬して30℃にて5分間ゲル化させたのち、80℃にて
30分間湯洗し、熱風乾燥後、140℃にて3分間熱処
理を行なった。得られた布帛を実施例1と同様に乾燥熱
セットを施した。
【0102】得られた布帛は耐水圧は3000m/mH
2 O/cm2 、透湿度は5000g/m2 ・ 24時間で
あり、優れた防水性と透湿性を有していた。
【0103】この布帛の長さ方向における伸長抵抗は伸
度40%で0.56kg、伸度80%で1.57kg、
伸度120%で2.34kgであり、幅方向における伸
長抵抗が伸度40%で0.67kg、伸度80%で3.
32kg、伸度120%で12.8kgであり、破断伸
度は長さ方向において184%、幅方向において152
%であった。
【0104】この布帛を靴のアッパー材として使用し
た。得られた靴は防水性を有し、かつ通気性を有したも
のであるため、靴内部への水の侵入を防止し、足が蒸れ
ることが少なく快適な着用感を奏するものであった。
【0105】なお、布帛の構成および特性を併せて表1
に示す。
【0106】[実施例5]表編地には70デニールのポ
リエステルフイラメント、裏編地には木綿を用い、渡り
糸として190デニールのポリエステルフイラメントを
用いた。ダブルラッシェル編機を用いて表編地と裏編地
に対して渡り糸が編み込まれ、スペースが8mmである
布帛を形成した。
【0107】この布帛上にポリエステル系ポリウレタン
エラストマー15重量部、フッ素系撥水剤0.4重量
部、トリメチロールプロパン−ヘキサメチレンジイソシ
アネート(モル比1:3)付加物1重量部及びポリプロ
ピレングリコール・ポリエチレングリコールブロック体
(非イオン界面活性剤)5重量部をジメチルホルムアミ
ド78.6重量部に溶解して調合した塗料液(粘度90
0cps/30℃)をリバースロールコーターを用いて
約300g/m2 (湿潤時目付)塗布し、次いでジメチ
ルホルムアミドを10重量%含有する水溶液中に浸漬し
て30℃にて5分間ゲル化させたのち、80℃にて30
分間湯洗し、熱風乾燥後、140℃にて3分間熱処理を
行なった。
【0108】得られた布帛をフッ素系撥水剤1重量%を
含有する溶液中に浸漬し、マングルにて絞り率70%に
均一に絞った後、ヒートセッターを用いて150℃にて
30秒間熱処理を施した。
【0109】得られた布帛は耐水圧は1600m/mH
2 O/cm2 、透湿度は5500g/m2 ・24時間で
あり、優れた防水性と透湿性を有していた。
【0110】この布帛の長さ方向における伸長抵抗は伸
度40%で0.76kg、伸度80%で1.67kg、
伸度120%で2.83kgであり、幅方向における伸
長抵抗が伸度40%で0.81kg、伸度80%で4.
52kg、伸度120%で14.1kgであり、破断伸
度は長さ方向において217%、幅方向において153
%であった。
【0111】この布帛を靴のアッパー材として使用し
た。得られた靴は防水性を有し、かつ通気性を有したも
のであるため、靴内部への水の侵入を防止し、足が蒸れ
ることが少なく快適な着用感を奏するものであった。
【0112】なお、布帛の構成および特性を併せて表1
に示す。
【0113】[実施例6]表編地および裏編地には70
デニールのナイロンフイラメントを用い、渡り糸として
150デニールのポリエステルフイラメントを用いた。
ダブルラッシェル編機を用いて表編地と裏編地に対して
渡り糸が編み込まれ、スペースが7mmである布帛を形
成した。
【0114】この布帛にアクリル酸エステル共重合体を
15重量%およびトリメチロールプロパン−ヘキサメチ
レンジイソシアネート(モル比1:3)付加物3重量%
を含有するトルオール溶液(粘度2000cps/20
℃)をフローテイングナイフコータを用いて塗布し次い
で乾燥熱処理を施した。この共重合体の布帛に対する付
着量は20g/m2 (湿潤時目付)であった。
【0115】さらに、この塗布面を通常のカレンダー機
を使用し、圧力25kg/cm2 (平均線圧)、温度1
20℃、加工スピード30m/min、1nipにより
チルド側にして加熱加圧処理を施した。
【0116】ポリエーテル系ポリウレタンエラストマー
20.8重量部、イソホロンジイソシアネート2重量部
およびポリプロピレングリコール・ポリエチレングリコ
ールブロック体4重量部およびシリカゲル5重量部をジ
メチルホルムアミド68.2重量部に溶解分散した塗料
液(粘度1500cps/30℃)を、前記加熱、加圧
により平滑化された処理面にナイフオーバーロールコー
ターを用いて約300g/m2 (湿潤時目付)塗布し、
次いでジメチルホルムアミドを10重量%含有する水溶
液中に浸漬して30℃にて5分間ゲル化させた後、80
℃にて30分間湯洗し、熱風乾燥後、140℃にて3分
間熱処理を行なった。
【0117】得られた布帛を、ヒートセッターを用いて
150℃にて30秒間熱処理を施した。
【0118】得られた布帛は耐水圧は6500m/mH
2 O/cm2 、透湿度は5000g/m2 ・24時間で
あり、優れた防水性を有していた。
【0119】この布帛の長さ方向における伸長抵抗は伸
度40%で0.57kg、伸度80%で1.56kg、
伸度120%で2.58kgであり、幅方向における伸
長抵抗が伸度40%で0.78kg、伸度80%で3.
45kg、伸度120%で13.2kgであり、破断伸
度は長さ方向において183%、幅方向において147
%であった。
【0120】この布帛を靴のアッパー材として使用し
た。得られた靴は防水性を有し、かつ通気性を有したも
のであるため、靴内部への水の侵入を防止し、足が蒸れ
ることが少なく快適な着用感を奏するものであった。
【0121】なお、布帛の構成および特性を併せて表1
に示す。
【0122】[比較例1]表編地および裏編地には70
デニールのナイロンフイラメントを用い、渡り糸として
150デニールのポリエステルフイラメントを用いた。
ダブルラッシェル編機を用いて表編地と裏編地に対して
渡り糸が編み込まれ、スペースが7mmである布帛を形
成した。
【0123】この布帛にアクリル酸エステル共重合体を
15重量%およびトリメチロールプロパン−ヘキサメチ
レンジイソシアネート(モル比1:3)付加物3重量%
を含有するトルオール溶液(粘度2000cps/20
℃)をフローテイングナイフコータを用いて塗布し次い
で乾燥熱処理を施した。この共重合体の布帛に対する付
着量は20g/m2 (湿潤時目付)であった。
【0124】さらに、この塗布面を通常のカレンダー機
を使用し、圧力25kg/cm2 (平均線圧)、温度1
20℃、加工スピード30m/min、1nipにより
チルド側にして加熱加圧処理を施した。
【0125】ポリエーテル系ポリウレタンエラストマー
27重量部、フッ素系撥水剤0.8重量部、イソホロン
ジイソシアネート2重量部およびポリプロピレングリコ
ール・ポリエチレングリコールブロック体4重量部およ
びシリカゲル5重量部をジメチルホルムアミド61.2
重量部に溶解、分散した塗料液(粘度1500cps/
30℃)を前記加熱、加圧により平滑化された処理面に
ナイフオーバーロールコーターを用いて約300g/m
2 (湿潤時目付)塗布し、次いでジメチルホルムアミド
を10重量%含有する水溶液中に浸漬して30℃にて5
分間ゲル化させた後、80℃にて30分間湯洗し、熱風
乾燥後、140℃にて3分間熱処理を行なった。得られ
たコーテイング布帛をフッ素系撥水剤1重量%を含有す
る溶液中に浸漬し、マングルにて絞り率70%に均一に
絞った後、ヒートセッターを用いて150℃にて30秒
間熱処理を施した。
【0126】得られた布帛は、耐水圧は7500m/m
2 O/cm2 と優れていたが、透湿度が2900g/
2 ・24時間となり、透湿度が3000g/m2 ・2
4時間に満たないため透湿性に劣るものであった。
【0127】この布帛の長さ方向における伸長抵抗は伸
度40%で0.55kg、伸度80%で1.53kg、
伸度120%で2.56kgであり、幅方向における伸
長抵抗が伸度40%で0.74kg、伸度80%で3.
43kg、伸度120%で13.3kgであり、破断伸
度は長さ方向において185%、幅方向において145
%であった。
【0128】この布帛を靴のアッパー材として使用し
た。得られた靴は透湿性が劣るため、ムレやすく不快な
着用感を奏するものであった。
【0129】なお、布帛の構成および特性を併せて表1
に示す。
【0130】[比較例2]表編地に70デニールのポリ
エステルフイラメント、裏編地には木綿、渡り糸として
50デニールのポリエステルフイラメントを用いた。ダ
ブルラッシェル編機を用いて表編地と裏編地に対して渡
り糸が編み込まれ、スペースが4mmである布帛を形成
した。この布帛をフッ素系撥水剤2重量%を含有する水
分散液に浸漬し、マングルにて絞り率40%に均一に絞
ったのち、ヒートセッターを用いて150℃にて30秒
間熱処理を施した。さらに通常のカレンダー機を使用
し、圧力150kg/cm2 (平均線圧)、温度180
℃、加工スピード30m/min、1nipによりポリ
ウレタン塗布面をチルド側にして加熱加圧処理を施し
た。
【0131】これにポリエステル系ポリウレタンエラス
トマー7.8重量部、フッ素系撥水剤1重量部、シリコ
ーン系撥水剤2重量部、トリメチロールプロパン−ヘキ
サメチレンジイソシアネート(モル比1:3)付加物1
重量部およびポリプロピレングリコール・ポリエチレン
グリコールブロック体5重量部をジメチルホルムアミド
88.2重量部に溶解した塗料液(粘度1300cps
/30℃)を、コンマドクターオーバーロールコーター
を用いて約130g/m2 (湿潤時目付)塗布し、次い
でジメチルホルムアミドを10重量%含有する水溶液中
に浸漬して30℃にて5分間ゲル化させた後、80℃に
て30分間湯洗し、熱風乾燥後、140℃にて3分間熱
処理を行った。得られたコーティング布帛をフッ素系撥
水剤1重量%を含有する溶液中に浸漬し、マングルにて
絞り率70%に均一に絞った後、ヒートセッターを用い
て150℃にて30秒間熱処理を施した。
【0132】この布帛は風合が粗硬となり、また、耐水
圧は900m/mH2 O/cm2 、透湿度は8200g
/m2 ・24時間であり、耐水圧が1000m/mH2
O/cm2 に満たないため、防水性に劣ったものであっ
た。
【0133】この布帛の長さ方向における伸長抵抗は伸
度40%で0.63kg、伸度80%で1.62kg、
伸度120%で2.63kgであり、幅方向における伸
長抵抗が伸度40%で0.72kg、伸度80%で4.
33kg、伸度120%で13.1kgであり、破断伸
度は長さ方向において194%、幅方向において149
%であった。
【0134】この布帛を靴のアッパー材として使用し
た。得られた靴は防水性に劣ったものであるため、靴内
部へ水が侵入しやすく不快な着用感を奏するものであっ
た。
【0135】なお、布帛の構成および特性を併せて表1
に示す。
【0136】
【発明の効果】本発明によれば、通気性、防水性といっ
た相反する物性を具備するため、雨天の際にも、足がむ
れることなく、雨水や泥水の侵入を防ぐことができて、
快適な着用感を有する靴を得ることができる。
【0137】また適度な弾性を具備するため、曲げや押
圧に対して大きな抵抗を生ずることがないため、粗硬感
がなく、圧迫感や疲労感を一層軽減する効果を発揮する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透湿防水性布帛を構成する布帛の一例
を示す模式的斜視図である。
【図2】本発明の透湿防水性布帛を構成する布帛の一例
を拡大して示す模式的斜視図である。
【図3】本発明の透湿防水性布帛の一例を示す模式的横
断面図である。
【図4】本発明の透湿防水性布帛を用いた靴の一例を示
す模式図の側面図である。
【符号の説明】
1:表編地 2:裏編地 3:スペース 4:渡り糸 41:表編地用糸条 42:裏編地用糸条 5:被膜 6:布帛 7:小孔 7′:小孔 7″:小孔 8:空洞部 8′:空洞部 8″:空洞部 9:小孔 9′:小孔 9″:小孔

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表編地と裏編地の間に該表編地と該裏編地
    とを連結する渡り糸が介在してスペースが設けられてな
    る布帛の少なくとも片面に被膜が設けられてなり、かつ
    耐水圧が1000mmH2 O/cm2 以上、透湿度が3
    000g/m2 ・24時間以上であることを特徴とする
    透湿防水性布帛。
  2. 【請求項2】靴の構成材に用いることを特徴とする請求
    項1記載の透湿防水性布帛。
  3. 【請求項3】長さ方向における伸長抵抗が伸度40%で
    0.2〜1.2kg、伸度80%で1.1〜2.1k
    g、伸度120%で1.6〜3.6kgであり、幅方向
    における伸長抵抗が伸度40%で0.3〜1.3kg、
    伸度80%で1〜7kg、伸度120%で8〜19kg
    であり、破断伸度は長さ方向において100〜310
    %、幅方向において70〜230%であることを特徴と
    する請求項1または2記載の透湿防水性布帛。
  4. 【請求項4】被膜がポリウレタン重合体からなることを
    特徴とする請求項1,2または3記載の透湿防水性布
    帛。
  5. 【請求項5】被膜が表面に5ミクロン以下の径を有する
    小孔及び小孔と連通し該小孔の径の少なくとも3倍の径
    を有する空洞部を有することを特徴とする請求項1,
    2,3または4記載の透湿防水性布帛。
  6. 【請求項6】被膜が内部に空洞部を有し、隣接する空洞
    部間を仕切る壁面の少なくとも一部に連通孔が設けられ
    ていることを特徴とする請求項1,2,3,4または5
    記載の透湿防水性布帛。
  7. 【請求項7】撥水剤が空洞部の内表面に存在してなるこ
    とを特徴とする請求項5または6記載の透湿防水性布
    帛。
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