JPH08197284A - ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ

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JPH08197284A
JPH08197284A JP1311695A JP1311695A JPH08197284A JP H08197284 A JPH08197284 A JP H08197284A JP 1311695 A JP1311695 A JP 1311695A JP 1311695 A JP1311695 A JP 1311695A JP H08197284 A JPH08197284 A JP H08197284A
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JP
Japan
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flux
welding
amount
wire
fume
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JP1311695A
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English (en)
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Hideji Sasakura
秀司 笹倉
Tetsuya Hashimoto
哲哉 橋本
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 フラックス成分と外皮の組成を改善してヒュ
ーム発生量を著しく低減させたチタニヤ系ガスシールド
アーク溶接用フラックス入りワイヤを提供する。 【構成】 軟鋼製外皮は、外皮全重量に対する割合で、
C≦0.02%、Ti:0.01〜0.20%、Al:
0.01〜0.15%含有すると共に、Ti/C≧1.
5、Al/C≧1.5を満足する。フラックスはワイヤ
全重量に対する割合で、TiO2:1.00〜8.50
%、Csを除くアルカリ金属酸化物(アルカリ金属元素
換算値):0.01〜1.50%、Csの化合物(Cs
元素換算値):0.0005〜0.3%(但し、TiO
2/Csの化合物(Cs元素換算値)の比:20〜20
00)、C:≦0.06%を含有する。外皮及びフラッ
クス中に、ワイヤ全重量に対する割合で、Mn:0.5
0〜3.60%、Si:0.10〜1.50%が含まれ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軟鋼、高張力鋼、低合
金等の溶接に適するガスシールドアーク溶接用フラック
ス入りワイヤに関し、特に、ヒューム発生量を低減した
チタニヤ系ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワ
イヤに関する。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】近年、溶接技能者の不足
が深刻化しており、鉄骨、産機及び造船等の業界では高
能率化、自動化及びロボット化が進められている一方、
脱3K等の観点より、溶接作業環境改善に関する取り組
みが急激に進んでいる。
【0003】この溶接技術者不足が一因となって、ガス
シールドアーク溶接用フラックス入りワイヤが、溶接の
容易性及び高性能という利点を有することから、近年需
要が急速にのびている。その中でも、チタニヤ系フラッ
クス入りワイヤはとりわけ低スパッタでビード外観がよ
いことに加え、全姿勢での溶接が容易であることから、
その需要が造船、橋梁及び産業機械などの分野で急速に
拡大しつつある。
【0004】しかし、溶接環境が高温であることと、溶
接ヒュームが多いことは溶接作業性に固有の問題であ
り、溶接業界はこの点で、他産業に比して劣悪である。
そこで、この種のワイヤの最大の難点、即ち、ヒューム
発生量が多いという難点を改善し、溶接作業性環境を改
善することが要望されている。
【0005】溶接ヒュームを低減する技術としては、特
許第1403569号、同第1572313号、同第1
572327号等があり、特に外皮中のC量及び酸素量
を低減することがヒューム低減に有効であることが知ら
れている。しかしながら、これらの技術では未だ十分に
溶接作業環境を改善できていない。
【0006】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、フラックス成分と外皮の組成を改善して、
ヒューム発生量を著しく低減させたチタニヤ系のガスシ
ールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係るガスシール
ドアーク溶接用フラックス入りワイヤは、軟鋼製外皮に
フラックスを充填してなるガスシールドアーク溶接用フ
ラックス入りワイヤにおいて、前記軟鋼製外皮は、外皮
全重量に対する割合で、C:≦0.02%、Ti:0.
01〜0.20%、Al:0.01〜0.15%を含有
すると共に、Ti/C≧1.5、Al/C≧1.5を満
足する組成の鋼からなり、前記フラックスは、ワイヤ全
重量に対する割合でTiO2:1.00〜8.50%、
Csを除くアルカリ金属酸化物(アルカリ金属元素換算
値):0.01〜1.50%、Csの化合物(Cs元素
換算値):0.0005〜0.3%(但し、TiO2
Csの化合物(Cs元素換算値)の比:20〜200
0)、C:≦0.06%を含有し、前記外皮及びフラッ
クス中には、ワイヤ全重量に対する割合で、Mn:0.
50〜3.60%、Si(外皮中のSi量も合計し
て):0.10〜1.50%が含まれていることを特徴
とする。
【0008】
【作用】本発明者等は、ガスシールドアーク溶接用フラ
ックス入りワイヤにおけるヒューム発生の低減策とし
て、先ず外皮について鋭意鋭意研究を重ねた結果、従来
の技術において開示された軟鋼製外皮中の低C量化に加
えて、特に外皮中のTi及びAlの含有量を適切に調整
することが効果的であることを知見した。
【0009】一方、本発明者等は、ガスシールドアーク
溶接用フラックス入りワイヤにおける低ヒューム発生量
の低減策として、フラックスの組成面で低ヒューム化す
ることについて鋭意検討した結果、チタニヤ系フラック
スの場合、フラックス中にCsを適量にて添加すること
により、低ヒューム化が可能であることを知見した。
【0010】これらの知見に基づき、更に検討を加えた
結果、本発明者等は、上述の軟鋼製外皮中の低C化及び
Ti、Alの調整に併せて、チタニヤ系フラックス中に
Csを除くアルカリ金属の酸化物を添加することによ
り、更に画期的に低ヒューム化することができることを
知見した。本発明は、このような知見に基づいてなされ
たものである。
【0011】以下、本発明で数値限定している各項目に
ついてその理由を示す。
【0012】先ず、本発明のうち、ワイヤ外皮の成分を
限定するに至った理由を記述する。外皮成分から溶接ヒ
ューム低減を図る手段を検討するために各種実験を行
い、その結果、以下の事実を知見した。
【0013】これらの実験では、後述の表2中のNo.
2の組成のフラックス(フラックス率15%)を、種々
のTi、Al量の軟鋼外皮(C:0.003〜0.03
%)、Mn:0.20〜0.30%、Si:0.01〜
0.03%、P:0.008〜0.011%、S:0.
005〜0.007%、N:0.002〜0.004
%)と組み合わせて、1.2mm径のフラックス入りワ
イヤを作製した。
【0014】次に、以下に示す一定の溶接条件で、試験
板JIS G3106 SM490A(板厚12mm)
を使って下向ビードオンプレート溶接を実施し、その間
の溶接ヒューム発生量をJIS Z3930に準拠して
測定した。
【0015】図3はJIS Z3930 を説明する図
である。頭部までの高さが約800mm、肩部までの高
さが約500mmの捕集箱1の頭部にガスのサンプラ6
が配設されており、捕集箱1の上部には観察窓2が設け
られ、底部近傍には直径が約40mmの空気孔4が設け
られ、側面には手を挿入するための差入口3が設けられ
ている。そして、捕集箱1の内部には溶接台5が設置さ
れている。 (溶接条件) 溶接電流:300A 溶接電圧:32V 溶接速度:30cm/分 ワイヤ突出し長さ:25mm 極性:DC(ワイヤプラス) シールドガス:CO2、流量25リットル/分 図1、図2、図7、図8は実験によって得られたデータ
を基に溶接ヒューム発生量と外皮中のTi、Al、C量
との関係を求めたものである。図1、図2、図7、図8
に示すように、溶接ヒューム発生量を低減させるために
は、外皮成分について従来技術である低C%化に加え
て、Ti及びAlを夫々0.01%以上での複合添加が
有効な手段であることが判る。このうち、Alについて
は単独では効果が少なく、Tiとの複合添加により始め
て顕著な効果が生じることが判明した。また、Ti、A
lの溶接ヒューム低減効果は、C≦0.02%、Ti/
C≦1.5、Al/C≧1.5%で得られることも判明
した。
【0016】これらのTi、Alの添加により溶接ヒュ
ーム効果が得られる理由としては、Ti、Alが酸素と
の親和性が強く、鋼凝固点酸化物を生成するため、アー
ク溶接過程においてワイヤ先端の懸垂溶適表面に酸化皮
膜を形成し、Cと酸素との反応の結果として生じるヒュ
ーム発生源であるCO、CO2の爆発的生成を抑制する
ためと考えられる。
【0017】また、Ti、Al量の上限は、溶接金属へ
歩留まった結果生じる延性低下、硬化等による材質劣化
を避けるため、また、Alは過剰に添加されると、溶接
中に大部分が酸化物となり、スラグ剥離性を劣化させる
ため、夫々0.20%、0.15%とする必要がある。
【0018】以上の理由から、溶接ヒューム低減に適切
な軟鋼外皮としては、外皮全重量に対する割合で、C≦
0.02%、Ti:0.01〜0.20%、Al:0.
01〜0.15%を含有し、且つ、Ti/C≧1.5、
Al/C≧1.5を満足する組成の鋼である。
【0019】より好ましくは、この軟鋼外皮の組成は、
C:0.01%未満、Al:0.015〜0.15%、
Ti/C≧20、Al/C≧10である。なお、ワイヤ
製造上の圧延又は/及び引き抜き工程における加工性を
考慮すると、Mn:0.10〜0.70%、Si≦0.
35%の範囲が望ましい。
【0020】次に、充填するフラックス成分を限定する
に至った理由を説明する。なお、フラックス成分はワイ
ヤ全体に対する重量%である。TiO2:1.00〜8.50% TiO2はスラグ形成剤・アーク安定剤としての作用が
期待できる。TiO2量は、下向及び水平姿勢において
良好なビード外観・形状及びアーク安定性改善効果を得
るためには、少なくとも、1.00%以上が必要であ
る。しかし、TiO2が8.5%を超えるとスラグの凝
固点が高く、且つ粘性が過剰になってスラグ巻き込み及
びビード表面のガス欠陥を生じやすくなる。従って、フ
ラックス中のTiO2量は1.00〜8.50%の範囲
とする。
【0021】なお、TiO2源としては、ルチール、還
元イルミナイト、ルコキシン、イルミナイト、チタン酸
カリウム等の酸化物が挙げられる。Csを除くアルカリ金属の酸化物(アルカリ金属元素換
算値):0.01〜1.50% アーク安定性の向上及び量低減を図るため、Li、N
a、Kのアルカリ金属成分を添加するのが有効である
が、著しい溶接ヒューム発生源となる。特に、アルカリ
金属のフッ化物、炭酸塩及びNa2O、K2O、Li2
等の単純酸化物は著しい溶接ヒューム発生源となる。し
かし、前記Li,Na、Kのアルカリ金属が、Ti
xy、Alxy、Fexy、Mnxy、Sixy、Zr
xy等の酸化物の一種以上との複合酸化物(X、Y:正
数)であれば、溶接ヒューム発生量の増加は少ないとの
知見が得られた。上記範囲に規定したのは、0.01%
未満ではアーク安定性向上及びスパッタ低減の効果が得
られないためであり、スラグ剥離性が著しく低下するた
めである。いずれもアルカリ金属元素に換算して上記範
囲で添加する。複合酸化物の例としては、LiFe
2、Li2SiO3、Li2MnO3、Li2ZrO3、L
2TiO3、Na2SiO3、NaAlSi32、K2
iO3及びKAlSi38等がある。これらの複合酸化
物としては、高温焼成又は溶融法で製造される他、長石
など天然物質が利用できる。Csの化合物(Cs元素換算値):0.0005〜0.
3% Csがヒューム発生を低減するメカニズムについては詳
細には解明されていないが、Csはアークの電位傾度を
低下させ、アークの安定性を向上させることがその理由
の一つであると考えられる。Csの添加によるヒューム
発生量低減の効果については図5に示すとおりであり、
Csの化合物(Cs元素換算値)が0.0005%未満
ではヒューム低減の効果は認められず、一方、0.3%
を超えるとかえってスパッタが増加するほか、フラック
スの吸湿が著しくなり、溶接金属中の水素量が増大し
て、その健全性や耐割れ性が劣化する。よって、フラッ
クス中のCsの化合物はCs元素換算値でワイヤ全重量
当たり0.0005〜0.3%とする。
【0022】なお、Cs源にはCsCo3又はSiO2
との複合酸化物及び天然のポルサイト鉱石などがあり、
その合成による単純塩又は複塩の形で添加してもよい。
しかし、これらのCs元素換算量で0.3%を超えて添
加すると溶接作業性が劣化する。TiO2/Cs化合物(Cs元素換算値)の比:20〜
2000 TiO2及びCsの化合物の単独での添加効果は前述の
とおりであるが、両者の添加効果は夫々の添加量と影響
し合っていることが判明した。即ち、その比TiO2
Cs化合物(Cs元素換算値)もヒューム発生量及び立
向上進溶接でのダレ及び溶接金属のX線性能(融合不
良、スラグ巻き欠陥等)等に大きく影響している(図
6)。良好な全姿勢での溶接作業性を得るためには、ま
た、健全な溶接金属を得るためには、その比TiO2
Cs化合物(Cs元素換算値)が少なくとも20以上で
ある必要がある。しかし、その比が2000を超える
と、Csのヒューム低減効果が小さくなってしまうこ
と、及び溶接金属のX線性能の劣化が生じてしまうた
め、2000以下に抑える必要がある。
【0023】また、フラックスにはチタニヤ系フラック
ス入りワイヤとして通常添加される他の成分を添加する
ことができるのはいうまでもない。C≦0.06% Cは脱酸剤として、また強度及び焼き入れ性向上による
靱性確保及びアーク集中性を促進することによる溶け込
み深さ向上などの目的から、必要に応じて外皮中のC量
を考慮しつつ、添加される、その場合、C量が0.00
6%を超えるとTi、Alの溶接ヒューム量低減効果が
得られず、著しくヒューム発生量を増大させてしまうの
で、フラックス中のC量はワイヤ全重量%で0.06%
以下に規制する(図4)。Mn(外皮中のMn量も合計して):0.50〜3.6
0% Mnは、脱酸剤としてのみならず、溶着金属の強度調整
及び焼き入れ性向上による靱性改善並びに溶融金属・ス
ラグの粘性増加によるビード形状改善(特に水平すみ肉
の場合)のために、外皮中のMn量も考慮して添加す
る。その場合、Mnが0.50%未満では軟鋼用として
も十分な強度が得られず、また、ビード形状も良好でな
い。また、Mnが3.60%超では溶着金属強度が過大
となり、低温割れが生じやすくなるので、上記範囲とす
る必要がある。なお、Mn源としては、Mn及びFe−
Mn、Fe−Si−Mn等合金が挙げられる。Si(外皮中のSi量も合計して):0.10〜1.5
0% SiはMnと同様の作用効果を及ぼす。しかし、Siが
0.10%未満では、脱酸剤としての作用、靱性改善及
びビード形状改善効果が十分に得られず、また、Siが
1.50%超では、溶着金属中のSi量が過剰となり、
逆に靱性及び延性が低下するので、上記範囲にする必要
がある。なお、Si源としては、Si及びFe−Si、
Fe−Si−Mn、Fe−Si−Mg等の合金が挙げら
れる。Mg及び/又はMgO(Mg量に換算した値):0.0
1〜1.00% 溶接ヒューム低減のためにAl、Ti含有外皮を使用
し、Cs化合物を添加し、TiO2とCs化合物との比
を調整する。また、アーク安定性改善のために、アルカ
リ金属の化合物をフラックス中に配合する。しかし、こ
の場合、開先角度が狭い場合又は溶接入熱が大きい場合
には、特にスラグ剥離性の劣化傾向が著しくなる。スラ
グ剥離性を改善するために、必要に応じてMg及び/又
はMgOを添加することができる。Mg及び/又はMg
Oの添加量を総量で上記範囲に限定したのは、0.01
%未満ではスラグ剥離性の改善効果が得られず、逆に
1.00%超では溶接ヒューム量が増大し、本発明の目
的が達せられないためである。また、Mg及びMgOは
溶接金属中の酸素低減作用を有するために、靱性及び耐
気孔性の改善効果も得られる。なお、Mg源としては、
金属Mgの他に、Al−Mg、Li−Mg、Ni−M
g、Si−Mg等の合金、またMgO源としては、クリ
ンカー、珪酸マグネシウム、オリビンサンド等の化合物
が挙げられる。
【0024】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。
【0025】下記、表1に示す成分を含有する軟鋼製外
皮を使用し、これを下記表2に示す成分を含有するフラ
ックスを所定のフラックス率で充填したフラックス入り
ワイヤ(直径1.2mm)を製作した。次いで、このフ
ラックス入りワイヤを使用して以下の溶接条件で溶接試
験を実施した。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】(溶接条件) 溶接法 :下向ビードオンプレート溶接 溶接電流 :300A アーク電圧 :32V 溶接速度 :30cm/分 ワイヤ突出し長さ:25mm 極 性 :DCEP シールドガス :100%CO2(流量25リットル
/min) 試験板 :JIS G3106 SM490A
(板厚12mm) (ヒューム測定法)JIS Z 3930「被覆アーク
溶接棒の全ヒューム量測定方法」に準じて、1分間溶接
した際に発生するヒュームの重量を測定することによ
り、単位時間当たりの値(mg/min)(繰り返し回数
=3の平均値)を求めた。ヒュームは図3に示す捕集箱
を備えた装置により回収した。 (作業性)官能判定により評価した。
【0029】試験結果を下記表3に示す。
【0030】なお、試験No.1〜No.4はフラックス中の
TiO2量の影響、試験No.5〜No.8、No.24、No.25
はフラックス中のアルカリ金属の酸化物の影響、No.9
〜No.12はフラックス中のCs量及びTiO2/Cs比
の影響、No.13はフラックス中のC量の影響、No.16
〜No.19はワイヤ中のMn量の影響、No.20〜No.2
3、No.28、No.29はワイヤ中のSi量の影響を夫々
主として調べたものである。
【0031】
【表3】
【0032】試験No.2,3,6,7,10,11,17,1
8,21,22,24,25,28,29は、軟鋼製外皮及び
チタニヤ系フラックスの成分調整が適切であるため、い
ずれもヒューム発生量が著しく少なく、しかも溶接作業
性(ビード外観・形状、ビードのタレ、スッパタ発生
量、スラグ剥離性、X線性能)も優れている。
【0033】一方、他の試験例は、フラックスの成分調
整が適正でない例であり、ヒューム発生量が多く、また
溶接作業性に問題がある。
【0034】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれ
ば、ヒューム発生が著しく低減され、溶接作業性を著し
く改善することができるチタニヤ系のガスーシールドア
ーク溶接用フラックス入りワイヤを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒューム発生量に及ぼす外皮中のC量及びTi
量の影響を示すグラフ図である。
【図2】ヒューム発生量に及ぼす外皮中のTi量及びA
l量の影響を示すグラフ図である。
【図3】JIS Z3930試験方法を説明する図であ
る。
【図4】フラックス中のC量とヒューム発生量との関係
を示すグラフ図である。
【図5】フラックス中のCs量とヒューム発生量との関
係を示すグラフ図である。
【図6】TiO2/Cs比とヒューム発生量との関係を
示すグラフ図である。
【図7】Ti/Cとヒューム発生量との関係を示すグラ
フ図である。
【図8】Al/Cとヒューム発生量との関係を示すグラ
フ図である。
【符号の説明】
1;捕集箱 2;観察箱 3;差入口 4;空気孔 5;溶接台 6;サンプラ
【手続補正書】
【提出日】平成7年4月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 ガスシールドアーク溶接用フラック
ス入りワイヤ
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軟鋼、高張力鋼、低合
金等の溶接に適するガスシールドアーク溶接用フラック
ス入りワイヤに関し、特に、ヒューム発生量を低減した
チタニヤ系ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワ
イヤに関する。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】近年、溶接技能者の不足
が深刻化しており、鉄骨、産機及び造船等の業界では高
能率化、自動化及びロボット化が進められている一方、
脱3K等の観点より、溶接作業環境改善に関する取り組
みが急激に進んでいる。
【0003】この溶接技術者不足が一因となって、ガス
シールドアーク溶接用フラックス入りワイヤが、溶接の
容易性及び高性能という利点を有することから、近年需
要が急速にのびている。その中でも、チタニヤ系フラッ
クス入りワイヤはとりわけ低スパッタでビード外観がよ
いことに加え、全姿勢での溶接が容易であることから、
その需要が造船、橋梁及び産業機械などの分野で急速に
拡大しつつある。
【0004】しかし、溶接環境が高温であることと、溶
接ヒュームが多いことは溶接作業性に固有の問題であ
り、溶接業界はこの点で、他産業に比して劣悪である。
そこで、この種のワイヤの最大の難点、即ち、ヒューム
発生量が多いという難点を改善し、溶接作業環境を改善
することが要望されている。
【0005】溶接ヒュームを低減する技術としては、特
許第1403569号、同第1572313号、同第1
572327号等があり、特に外皮中のC量及び酸素量
を低減することがヒューム低減に有効であることが知ら
れている。しかしながら、これらの技術では未だ十分に
溶接作業環境を改善できていない。
【0006】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、フラックス成分と外皮の組成を改善して、
ヒューム発生量を著しく低減させたチタニヤ系のガスシ
ールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係るガスシール
ドアーク溶接用フラックス入りワイヤは、軟鋼製外皮に
フラックスを充填してなるガスシールドアーク溶接用フ
ラックス入りワイヤにおいて、前記軟鋼製外皮は、外皮
全重量に対する割合で、C:≦0.02%、Ti:0.
01〜0.20%、Al:0.01〜0.15%を含有
すると共に、Ti/C≧1.5、Al/C≧1.5を満
足する組成の鋼からなり、前記フラックスは、ワイヤ全
重量に対する割合でTiO2:1.00〜8.50%、
Csを除くアルカリ金属酸化物(アルカリ金属元素換算
値):0.01〜1.50%、Csの化合物(Cs元素
換算値):0.0005〜0.3%(但し、TiO2
Csの化合物(Cs元素換算値)の比:20〜200
0)、C:≦0.06%を含有し、前記外皮及びフラッ
クス中には、ワイヤ全重量に対する割合で、Mn:0.
50〜3.60%、Si(外皮中のSi量も合計し
て):0.10〜1.50%が含まれていることを特徴
とする。
【0008】
【作用】本発明者等は、ガスシールドアーク溶接用フラ
ックス入りワイヤにおけるヒューム発生の低減策とし
て、先ず外皮について鋭意鋭意研究を重ねた結果、従来
の技術において開示された軟鋼製外皮中の低C量化に加
えて、特に外皮中のTi及びAlの含有量を適切に調整
することが効果的であることを知見した。
【0009】一方、本発明者等は、ガスシールドアーク
溶接用フラックス入りワイヤにおけるヒューム発生量の
低減策として、フラックスの組成面で低ヒューム化する
ことについて鋭意検討した結果、チタニヤ系フラックス
の場合、フラックス中にCsを適量にて添加することに
より、低ヒューム化が可能であることを知見した。
【0010】これらの知見に基づき、更に検討を加えた
結果、本発明者等は、上述の軟鋼製外皮中の低C化及び
Ti、Alの調整に併せて、チタニヤ系フラックス中に
Csを除くアルカリ金属の酸化物を添加することによ
り、更に画期的に低ヒューム化することができることを
知見した。本発明は、このような知見に基づいてなされ
たものである。
【0011】以下、本発明で数値限定している各項目に
ついてその理由を示す。
【0012】先ず、本発明のうち、ワイヤ外皮の成分を
限定するに至った理由を記述する。外皮成分から溶接ヒ
ューム低減を図る手段を検討するために各種実験を行
い、その結果、以下の事実を知見した。
【0013】これらの実験では、後述の表2中のNo.
2の組成のフラックス(フラックス率15%)を、種々
のTi、Al量の軟鋼外皮(C:0.003〜0.03
%)、Mn:0.20〜0.30%、Si:0.01〜
0.03%、P:0.008〜0.011%、S:0.
005〜0.007%、N:0.002〜0.004
%)と組み合わせて、1.2mm径のフラックス入りワ
イヤを作製した。
【0014】次に、以下に示す一定の溶接条件で、試験
板JIS G3106 SM490A(板厚12mm)
を使って下向ビードオンプレート溶接を実施し、その間
の溶接ヒューム発生量をJIS Z3930に準拠して
測定した。
【0015】図3はJIS Z3930 を説明する図
である。頭部までの高さが約800mm、肩部までの高
さが約500mmの捕集箱1の頭部にガスのサンプラ6
が配設されており、捕集箱1の上部には観察窓2が設け
られ、底部近傍には直径が約40mmの空気孔4が設け
られ、側面には手を挿入するための差入口3が設けられ
ている。そして、捕集箱1の内部には溶接台5が設置さ
れている。
【0016】(溶接条件) 溶接電流:300A 溶接電圧:32V 溶接速度:30cm/分 ワイヤ突出し長さ:25mm 極性:DC(ワイヤプラス) シールドガス:CO2、流量25リットル/分
【0017】図1、図2、図7、図8は実験によって得
られたデータを基に溶接ヒューム発生量と外皮中のT
i、Al、C量との関係を求めたものである。図1、図
2、図7、図8に示すように、溶接ヒューム発生量を低
減させるためには、外皮成分について従来技術である低
C%化に加えて、Ti及びAlを夫々0.01%以上で
の複合添加が有効な手段であることが判る。このうち、
Alについては単独では効果が少なく、Tiとの複合添
加により始めて顕著な効果が生じることが判明した。ま
た、Ti、Alの溶接ヒューム低減効果は、C≦0.0
2%、Ti/C≦1.5、Al/C≧1.5で得られる
ことも判明した。
【0018】これらのTi、Alの添加により溶接ヒュ
ーム低減効果が得られる理由としては、Ti、Alが酸
素との親和性が強く、鋼凝固点酸化物を生成するため、
アーク溶接過程においてワイヤ先端の懸垂溶表面に酸
化皮膜を形成し、Cと酸素との反応の結果として生じる
ヒューム発生源であるCO、CO2の爆発的生成を抑制
するためと考えられる。
【0019】また、Ti、Al量の上限は、溶接金属へ
歩留まった結果生じる延性低下、硬化等による材質劣化
を避けるため、また、Alは過剰に添加されると、溶接
中に大部分が酸化物となり、スラグ剥離性を劣化させる
ため、夫々0.20%、0.15%とする必要がある。
【0020】以上の理由から、溶接ヒューム低減に適切
な軟鋼外皮としては、外皮全重量に対する割合で、C≦
0.02%、Ti:0.01〜0.20%、Al:0.
01〜0.15%を含有し、且つ、Ti/C≧1.5、
Al/C≧1.5を満足する組成の鋼である。
【0021】より好ましくは、この軟鋼外皮の組成は、
C:0.01%未満、Al:0.015〜0.15%、
Ti/C≧20、Al/C≧10である。なお、ワイヤ
製造上の圧延又は/及び引き抜き工程における加工性を
考慮すると、Mn:0.10〜0.70%、Si≦0.
35%の範囲が望ましい。
【0022】次に、充填するフラックス成分を限定する
に至った理由を説明する。なお、フラックス成分はワイ
ヤ全体に対する重量%である。TiO2:1.00〜8.50% TiO2はスラグ形成剤・アーク安定剤としての作用が
期待できる。TiO2量は、下向及び水平姿勢において
良好なビード外観・形状及びアーク安定性改善効果を得
るためには、少なくとも、1.00%以上が必要であ
る。しかし、TiO2が8.5%を超えるとスラグの凝
固点が高く、且つ粘性が過剰になってスラグ巻き込み及
びビード表面のガス欠陥を生じやすくなる。従って、フ
ラックス中のTiO2量は1.00〜8.50%の範囲
とする。
【0023】なお、TiO2源としては、ルチール、還
元イルミナイト、ルコキシン、イルミナイト、チタン酸
カリウム等の酸化物が挙げられる。
【0024】Csを除くアルカリ金属の酸化物(アルカ
リ金属元素換算値):0.01〜1.50% アーク安定性の向上及びヒューム発生量低減を図るた
め、Li、Na、Kのアルカリ金属成分を添加するのが
有効であるが、著しい溶接ヒューム発生源となる。特
に、アルカリ金属のフッ化物、炭酸塩及びNa2O、K2
O、Li2O等の単純酸化物は著しい溶接ヒューム発生
源となる。しかし、前記Li,Na、Kのアルカリ金属
が、Tixy、Alxy、Fexy、Mnxy、Six
y、Zrxy等の酸化物の一種以上との複合酸化物
(X、Y:正数)であれば、溶接ヒューム発生量の増加
は少ないとの知見が得られた。上記範囲に規定したの
は、0.01%未満ではアーク安定性向上及びスパッタ
低減の効果が得られないためであり、スラグ剥離性が著
しく低下するためである。いずれもアルカリ金属元素に
換算して上記範囲で添加する。複合酸化物の例として
は、LiFeO2、Li2SiO3、Li2MnO3、Li2
ZrO3、Li2TiO3、Na2SiO3、NaAlSi3
2、K2TiO3及びKAlSi38等がある。これら
の複合酸化物としては、高温焼成又は溶融法で製造され
る他、長石など天然物質が利用できる。
【0025】Csの化合物(Cs元素換算値):0.0
005〜0.3% Csがヒューム発生を低減するメカニズムについては詳
細には解明されていないが、Csはアークの電位傾度を
低下させ、アークの安定性を向上させることがその理由
の一つであると考えられる。Csの添加によるヒューム
発生量低減の効果については図5に示すとおりであり、
Csの化合物(Cs元素換算値)が0.0005%未満
ではヒューム低減の効果は認められず、一方、0.3%
を超えるとかえってスパッタが増加するほか、フラック
スの吸湿が著しくなり、溶接金属中の水素量が増大し
て、その健全性や耐割れ性が劣化する。よって、フラッ
クス中のCsの化合物はCs元素換算値でワイヤ全重量
当たり0.0005〜0.3%とする。
【0026】なお、Cs源にはCsC 3又はSiO2
との複合酸化物及び天然のポルサイト鉱石などがあり、
その合成による単純塩又は複塩の形で添加してもよい。
しかし、これらのCs元素換算量で0.3%を超えて添
加すると溶接作業性が劣化する。
【0027】TiO2/Cs化合物(Cs元素換算値)
の比:20〜2000 TiO2及びCsの化合物の単独での添加効果は前述の
とおりであるが、両者の添加効果は夫々の添加量と影響
し合っていることが判明した。即ち、その比TiO2
Cs化合物(Cs元素換算値)もヒューム発生量及び立
向上進溶接でのダレ及び溶接金属のX線性能(融合不
良、スラグ巻き欠陥等)等に大きく影響している(図
6)。良好な全姿勢での溶接作業性を得るためには、ま
た、健全な溶接金属を得るためには、その比TiO2
Cs化合物(Cs元素換算値)が少なくとも20以上で
ある必要がある。しかし、その比が2000を超える
と、Csのヒューム低減効果が小さくなってしまうこ
と、及び溶接金属のX線性能の劣化が生じてしまうた
め、2000以下に抑える必要がある。
【0028】また、フラックスにはチタニヤ系フラック
ス入りワイヤとして通常添加される他の成分を添加する
ことができるのはいうまでもない。
【0029】C≦0.06% Cは脱酸剤として、また強度及び焼き入れ性向上による
靱性確保及びアーク集中性を促進することによる溶け込
み深さ向上などの目的から、必要に応じて外皮中のC量
を考慮しつつ、添加される、その場合、C量が0.06
%を超えるとTi、Alの溶接ヒューム量低減効果が得
られず、著しくヒューム発生量を増大させてしまうの
で、フラックス中のC量はワイヤ全重量%で0.06%
以下に規制する(図4)。
【0030】Mn(外皮中のMn量も合計して):0.
50〜3.60% Mnは、脱酸剤としてのみならず、溶着金属の強度調整
及び焼き入れ性向上による靱性改善並びに溶融金属・ス
ラグの粘性増加によるビード形状改善(特に水平すみ肉
の場合)のために、外皮中のMn量も考慮して添加す
る。その場合、Mnが0.50%未満では軟鋼用として
も十分な強度が得られず、また、ビード形状も良好でな
い。また、Mnが3.60%超では溶着金属強度が過大
となり、低温割れが生じやすくなるので、上記範囲とす
る必要がある。なお、Mn源としては、Mn及びFe−
Mn、Fe−Si−Mn等合金が挙げられる。
【0031】Si(外皮中のSi量も合計して):0.
10〜1.50% SiはMnと同様の作用効果を及ぼす。しかし、Siが
0.10%未満では、脱酸剤としての作用、靱性改善及
びビード形状改善効果が十分に得られず、また、Siが
1.50%超では、溶着金属中のSi量が過剰となり、
逆に靱性及び延性が低下するので、上記範囲にする必要
がある。なお、Si源としては、Si及びFe−Si、
Fe−Si−Mn、Fe−Si−Mg等の合金が挙げら
れる。
【0032】Mg及び/又はMgO(Mg量に換算した
値):0.01〜1.00% 溶接ヒューム低減のためにAl、Ti含有外皮を使用
し、Cs化合物を添加し、TiO2とCs化合物との比
を調整する。また、アーク安定性改善のために、アルカ
リ金属の化合物をフラックス中に配合する。しかし、こ
の場合、開先角度が狭い場合又は溶接入熱が大きい場合
には、特にスラグ剥離性の劣化傾向が著しくなる。スラ
グ剥離性を改善するために、必要に応じてMg及び/又
はMgOを添加することができる。Mg及び/又はMg
Oの添加量を総量で上記範囲に限定したのは、0.01
%未満ではスラグ剥離性の改善効果が得られず、逆に
1.00%超では溶接ヒューム量が増大し、本発明の目
的が達せられないためである。また、Mg及びMgOは
溶接金属中の酸素低減作用を有するために、靱性及び耐
気孔性の改善効果も得られる。なお、Mg源としては、
金属Mgの他に、Al−Mg、Li−Mg、Ni−M
g、Si−Mg等の合金、またMgO源としては、クリ
ンカー、珪酸マグネシウム、オリビンサンド等の化合物
が挙げられる。
【0033】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。
【0034】下記、表1に示す成分を含有する軟鋼製外
皮を使用し、これを下記表2に示す成分を含有するフラ
ックスを所定のフラックス率で充填したフラックス入り
ワイヤ(直径1.2mm)を製作した。次いで、このフ
ラックス入りワイヤを使用して以下の溶接条件で溶接試
験を実施した。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】(溶接条件) 溶接法 :下向ビードオンプレート溶接 溶接電流 :300A アーク電圧 :32V 溶接速度 :30cm/分 ワイヤ突出し長さ:25mm 極 性 :DCEP シールドガス :100%CO2(流量25リットル
/min) 試験板 :JIS G3106 SM490A
(板厚12mm) (ヒューム測定法)JIS Z 3930「被覆アーク
溶接棒の全ヒューム量測定方法」に準じて、1分間溶接
した際に発生するヒュームの重量を測定することによ
り、単位時間当たりの値(mg/min)(繰り返し回数
=3の平均値)を求めた。ヒュームは図3に示す捕集箱
を備えた装置により回収した。 (作業性)官能判定により評価した。
【0038】試験結果を下記表3に示す。なお、試験N
o.1〜No.4はフラックス中のTiO2量の影響、試験N
o.5〜No.8はフラックス中のアルカリ金属の酸化物の影
響、No.9〜No.12はフラックス中のCs量及びTiO
2/Cs比の影響、No.13はフラックス中のC量の影
響、No.16〜No.19はワイヤ中のMn量の影響、No.
20〜No.23はワイヤ中のSi量の影響を夫々主とし
て調べたものである。
【0039】
【表3】
【0040】試験No.2,3,6,7,11,14,15,
7,18,21,22,24,25,26,27,28,29
は、軟鋼製外皮及びチタニヤ系フラックスの成分調整が
適切であるため、いずれもヒューム発生量が著しく少な
く、しかも溶接作業性(ビード外観・形状、ビードのタ
レ、スパッタ発生量、スラグ剥離性、X線性能)も優れ
ている。
【0041】一方、他の試験例は、フラックスの成分調
整が適正でない例であり、ヒューム発生量が多く、また
溶接作業性に問題がある。
【0042】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれ
ば、ヒューム発生が著しく低減され、溶接作業性を著し
く改善することができるチタニヤ系のガスシールドアー
ク溶接用フラックス入りワイヤを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒューム発生量に及ぼす外皮中のC量及びTi
量の影響を示すグラフ図である。
【図2】ヒューム発生量に及ぼす外皮中のTi量及びA
l量の影響を示すグラフ図である。
【図3】JIS Z3930試験方法を説明する図であ
る。
【図4】フラックス中のC量とヒューム発生量との関係
を示すグラフ図である。
【図5】フラックス中のCs量とヒューム発生量との関
係を示すグラフ図である。
【図6】TiO2/Cs比とヒューム発生量との関係を
示すグラフ図である。
【図7】Ti/Cとヒューム発生量との関係を示すグラ
フ図である。
【図8】Al/Cとヒューム発生量との関係を示すグラ
フ図である。
【符号の説明】 1;捕集箱 2;観察 3;差入口 4;空気孔 5;溶接台 6;サンプラ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軟鋼製外皮にフラックスを充填してなる
    ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおい
    て、前記軟鋼製外皮は、外皮全重量に対する割合で、
    C:≦0.02%、Ti:0.01〜0.20%、A
    l:0.01〜0.15%を含有すると共に、Ti/C
    ≧1.5、Al/C≧1.5を満足する組成の鋼からな
    り、前記フラックスは、ワイヤ全重量に対する割合でT
    iO2:1.00〜8.50%、Csを除くアルカリ金
    属酸化物(アルカリ金属元素換算値):0.01〜1.
    50%、Csの化合物(Cs元素換算値):0.000
    5〜0.3%(但し、TiO2/Csの化合物(Cs元
    素換算値)の比:20〜2000)、C:≦0.06%
    を含有し、前記外皮及びフラックス中には、ワイヤ全重
    量に対する割合で、Mn:0.50〜3.60%、Si
    (外皮中のSi量も合計して):0.10〜1.50%
    が含まれていることを特徴とするガスシールドアーク溶
    接用フラックス入りワイヤ。
  2. 【請求項2】 前記フラックスが、更に、ワイヤ全重量
    に対する割合で、MgO及び/又はMgO(Mg元素換
    算値)を0.01〜1.00%含有することを特徴とす
    る請求項1に記載のガスシールドアーク溶接用フラック
    ス入りワイヤ。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101870045A (zh) * 2009-04-22 2010-10-27 株式会社神户制钢所 药芯焊丝

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN101870045A (zh) * 2009-04-22 2010-10-27 株式会社神户制钢所 药芯焊丝

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