JPH08196922A - 化学的及び微生物学的試験用用具 - Google Patents

化学的及び微生物学的試験用用具

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JPH08196922A
JPH08196922A JP1080695A JP1080695A JPH08196922A JP H08196922 A JPH08196922 A JP H08196922A JP 1080695 A JP1080695 A JP 1080695A JP 1080695 A JP1080695 A JP 1080695A JP H08196922 A JPH08196922 A JP H08196922A
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container
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JP1080695A
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Yoshiharu Inoue
美晴 井上
Yuichi Kinoshita
雄一 木下
Mutsumi Shibuya
睦 澁谷
Kiyoshi Oguchi
清 小口
Yasushi Yamada
泰 山田
Chizuko Oshina
千鶴子 大科
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Showa Yakuhin Kako Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Showa Yakuhin Kako Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 比較的少量の試料を用い、特に多数の反応、
培養等を必要とする化学的試験または微生物学的試験に
使用することができる安価な試験用具であって、試料を
それぞれの反応系に分注する必要がなく、しかも試料を
周囲環境に飛散させることのない試験用具を提供する。 【構成】 密閉可能な液体試料容器と、該容器内に収容
され、複数の試料保持部分を有する基体とからなり、該
基体の下部に過剰な液体試料を貯留するための空間が形
成されるように前記基体が前記容器内に設けられている
化学的及び微生物学的試験用用具。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の分野】本発明は、化学的試験または微生物学的
試験に好適に使用し得る試験用具に関するものである。
【従来の技術】化学的試料を何等かの試薬と反応させる
工程を含む化学的試験、あるいは試料中で微生物を培養
する工程を含む微生物学的試験で、特に多数の試料の処
理、多数の試薬との反応あるいは多数の系における培養
等を必要とする試験においては、反応あるいは培養容器
として複数のウェルを設けたプラスチック製マイクロプ
レートが通常使用されている。例えば、ELISA等の
免疫学的試験においては多数の小ウェルを設けたプラス
チックプレートを使用するのが一般的である。また、微
量液体希釈法による抗菌薬感受性の測定、即ち抗菌薬の
最小発育阻止濃度(MIC)の測定についても、以前よ
り広く用いられてきた寒天平板希釈法、寒天拡散法によ
る一濃度ディスク法をさらに省力化、自動化したものと
して1989年に日本化学療法学会によって設定された
微量液体希釈法によるMIC測定の標準法は、免疫学的
試験において使用されるものと同様のU字型ウェルを有
するマイクロプレートの使用を指定している。
【0002】このようなマイクロプレートを使用する試
験においては、プレート状の各ウェルのそれぞれにおい
て個別の反応、微生物の培養等を行うものである。例え
ばマイクロプレートを使用する微量液体希釈法によるM
IC測定においては複数のウェルに種々の濃度の抗菌薬
を入れ、それぞれのウェルでの対象菌の生育を観察し最
小発育阻止濃度を判定する。このような試験に使用する
ものとして、予め所定量の抗菌薬をマイクロプレートの
各ウェルに分注し、乾燥したもの及びそのまま凍結保存
したものが商品化されているが、マイクロプレート自体
のコストが高いため安価な商品を供給できず、ユーザー
において低価格化の強い要望がある。またこのようなマ
イクロプレートにおいては試験時に液体試料等を各ウェ
ルに所定量分注しなければならず、試験の実施に手間が
かかるので、容易に所定量の液体試料等を試験実施容器
に取り分けられる用具があれば好ましい。
【0003】このような要求に対して本発明者等は既に
基体上に試料保持部分を有する化学的試験または微生物
学的試験用具を提案している(WO 94/04703)。この用具
は基体上に設けられた試料保持部分により液体試料を吸
収すること等により所定量の試料を試料保持部分に保持
するものであり、上記の要求に答えるものである。この
試験用具に試料を保持させるためには、用具に過剰の試
料を滴下した後に用具を傾斜させる等することにより余
分の試料を除去するか、用具自体を容器に入れた液体試
料中に浸漬し、その後用具を引き上げて所定量を試料を
保持部分に保持させることを意図するものであった。従
って、上記の用具を使用して試験を行う場合、液体試料
の周囲環境へのある程度の飛散は避けられない。しか
し、試験される液体試料が病原体を含む場合等、周囲に
飛散することをできるだけ避けなければならない場合が
ある。
【0004】
【発明の解決すべき課題】従って本発明の目的は、比較
的少量の試料を用い、特に多数の反応、培養等を必要と
する化学的試験または微生物学的試験に使用することが
できる安価な試験用具であって、試料をそれぞれの反応
系に分注する必要がなく、しかも試料を周囲環境に飛散
させることのない試験用具を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記本発
明者等の出願(WO 94/04703)に開示された試験用具にお
いてさらに改良を加え、試料保持部分を有する基体を密
閉可能な試料容器中に設け、該容器中で試料保持部分上
に一旦過剰の液体試料を貯留し、その後前記容器を傾斜
させたり、前記容器の載置方向を変更したりすることに
より試料保持部分上の過剰の試料を除去して試料保持部
分に所定量の試料を残し、一方除去された過剰な液体試
料は前記容器内に貯留されて外部には出ないようにした
試験用具により上記の課題を解決した。従って本発明
は、密閉可能な液体試料容器と、該容器内に収容され、
複数の試料保持部分を有する基体とからなり、該基体の
下部に過剰な液体試料を貯留するための空間が形成され
るように前記基体が前記容器内に設けられている化学的
及び微生物学的試験用用具を提供するものである。
【0006】本発明の一つの態様においては、試料保持
部分が、前記基体上の親水性部分として設けられてい
る。本発明の別の態様においては、試料保持部分が、前
記基体上の凹部として設けられている。本発明の一つの
態様においては、試料容器がその上面に液体試料注入用
の開口部を有する。本発明の一つの態様においては、試
料容器がその側面に液体試料注入用の開口部を有する。
また本発明の一つの態様においては、試料容器内に過剰
な液体試料を吸収するための液体吸収体を備える。本発
明の一つの態様においては、試料保持部分が化学的試験
または微生物学的試験用の試薬を含む。
【0007】
【作用】本発明の試験用具は、試料保持部分を有する基
体が密閉可能な液体試料を貯留するための試料容器内に
収納されており、その下部には過剰な液体試料を貯留す
るための空間が設けられている。本発明の試験用具を使
用する際には、前記容器中に液体試料を注入して一旦試
料保持部分上に液体試料を貯留し、その後前記容器を密
閉し、容器を傾けたり、容器の載置方向を変更すること
により過剰な試料を除去し、各試料保持部分に所定量の
液体試料を含む反応系等を形成することができる。過剰
な試料は試料保持部分からは除去されるが、基体下部の
空間に貯留され、密閉された容器内に残り、容器外に流
出することはない。従って、本発明の試験用具を使用す
れば、各反応系に試料を分注する必要がなく容易に試験
を実施することができ、また試料を用具上に散布したり
用具を液体試料中に浸漬する必要がなく、過剰な試料は
密閉容器内に残留するので試料の周囲への飛散を防止し
得る。
【0008】以下、本発明の具体的態様に基づいて本発
明をさらに説明する。図1は本発明の第1の態様による
試験用具の斜視図であり、図2は図1の試験用具の上面
平面図であり、図3は図2の試験用具のAA’における
断面図である。図1〜3に示した本発明の試験用具は、
蓋部1と胴部2からなる密閉可能な試料容器3と、その
中に収納された、複数の試料保持部分4を有する基体5
からなる。図1〜3に示した本発明の試験用具において
は、試料容器は偏平な直方体の形状であり、平板状の基
体は前記容器内に水平に容器高さの2分の1程度の高さ
の位置に3方の端部が容器内部側面に接し、容器内部側
面に接していない端部側が反対の端部よりもやや高くな
るように収容されており、基体の下部には過剰な試料を
貯留するための空間6が形成されている。
【0009】図1〜3に示した試験用具においては、試
料保持部分4は基体5の上面の凹部として設けられてい
る。図1〜3に示した試験用具において、試料保持部分
4に所定の量の液体試料を分配するためには以下のよう
に操作する。まず、容器の蓋部1を取り外し、傾斜した
基体5の試料保持部分が設けられた上面上に液体試料を
適当量、例えば基体の上面全体が試料により覆われるの
に充分な量を注ぐ。このとき、基体5が傾斜しているの
で基体5と容器側面の一部によって形成された空間に試
料がたまる。即ち、基体5が傾斜して設けられているの
は、試料を注ぐ基体上の位置にかかわらず基体上面の全
体が液体試料により覆われることを確保するためであ
り、操作時に液体試料を試料保持部分のそれぞれの上に
注ぐようにするならば、基体5は例えば水平に設けられ
ていてもよい。
【0010】その後蓋部1を胴部2に装着し、容器を図
1において手前側が下方になるように傾斜させる。これ
により液体試料は試料保持部分の凹部にたまりそしてそ
の上に表面張力により盛り上がった形態で残留し、その
他の過剰な液体試料は基体5の端部から基体下部の過剰
な試料を貯留するための空間6にたまり、基体上の試料
保持部分以外の部分には液体試料が残留しない状態とな
って、各試料保持部分に反応系が形成されるものであ
る。このような本発明の試験用具の試料容器は蓋部及び
胴部とも任意の材料で形成し得るが、強度、加工性、価
格等の観点から、例えばポリエチレン、ポリプロピレ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニル
アルコール共重合体、ポリスチレン、ポリアクリレー
ト、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニ
ルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボ
ネート、ポリウレタン、ポリイミド、トリアセチルセル
ロース等のポリマー材料から選択することができる。さ
らに容器内部の様子を観察できるようにするために容器
は透明であることが好ましく、この点から試料容器は上
記に挙げたプラスチック材料の透明なものから選択され
た材料で形成されていることが好ましい。
【0011】本発明の試験用具の基体も任意の材料で形
成し得、例えば上記に試料容器の材料として挙げた材料
を使用することができるが、基体上の試料保持部分以外
の部分から液体試料を充分に除去し、各試料保持部分に
形成された反応系の独立性を充分に確保するため、基体
は疎水性の材料からなることが好ましい。基体の大き
さ、厚さ、形状は特に限定されるものではなく、設けら
れる試料保持部分の大きさ、数、形状等、使用される試
験の手順に応じて、また選択した材料について適当な取
り扱い性が得られるように選択することができる。通常
は矩形平板状の基体とすることが好ましく、例えば辺の
長さが2〜10cm×5〜10cm、厚さが 0.1〜2mm程度のも
のが一般的である。また、試料保持部分及び基体の材料
は、細菌の増殖、発色反応の進行等の試験結果を表示す
る変化を好適に検出することができるように適当に色、
透明度等を選択することができ、例えば、透明、黒色等
の基体を使用できる。
【0012】試料容器は上記基体を収容し、その下部に
過剰な液体試料を貯留する空間を設けることができるよ
うな寸法及び形態を有するものであればよい。好ましく
は図1〜3に示した用具のような偏平な直方体の形状で
あるが、これに限定されるものではない。また、図1〜
3に示した試験用具においては蓋部1を取り外すことに
より容器全体の上部が開口するが、このような形態に限
定されるものではなく、前記のように試料を注入できれ
ばよく、容器全体の上部が開口する必要はない。容器の
蓋部を胴部に装着したとき、上記のような本発明の試験
用具の操作において試料が容器外に漏出しない程度の密
閉性が確保される必要がある。容器の蓋部及び胴部はこ
のような密閉性を確保できるような形状に成形され、必
要により両者の接触部分にシリコーンゴム等からなるパ
ッキングを設けてもよい。図1〜3に示した試験用具に
おいては、試料保持部分は基体の凹部として設けられて
いるが、試料を保持できる親水性部分として設けられて
もよい。親水性の試料保持部分は、親水性あるいは吸水
性を有する物質を前記基体上に貼付したり塗布すること
等により形成することができる。このような試料保持部
分の場合、反応系、培養系等は主として試料保持部分内
部に吸収されて保持されてもよく、また試料保持部分上
に液滴の状態で保持されてもよい。
【0013】尚、本発明にいう「試料保持部分」は、単
に被検試料のみを保持するための部分というような限定
された意味で使用されるものではなく、所望の化学的試
験あるいは微生物学的試験において使用される任意の反
応系、培養系等を保持するための部分を示すものであ
る。また、試料保持部分は単に試料を保持する機能を有
するものであって、何等試薬等を含有しないものであっ
てもよいが、上記のような方法により簡単に液体試料の
所定量を分配することができる本発明の試験用具の利点
を充分に生かすためには、試料保持部分が当初から試験
に必要な試薬を含有するものとすることが好ましい。例
えば、前記のような微量液体希釈法による抗菌薬感受性
の測定に使用する用具である場合は、試料保持部分に対
象となる所定量の抗菌薬を含有させておくことにより、
試験時に上記のようにしてその試料保持部分に適当な培
地中に規定量の細菌を懸濁させた菌液を加えるだけで抗
菌薬感受性の測定を行うことができる。但し、このよう
な態様においては、液体試料を試料容器に注いだときに
直ちに試料が溶出するのではなく、実質的に余分な試料
が除去されて各試料保持部分に所定量の試料が保持され
た後に溶出するように試薬が保持されていなければなら
ない。
【0014】また、例えば抗菌薬感受性の測定用の用具
の場合、一つの検査用具において、同一量の培地を含有
でき、抗菌薬の含有量が段階的に変化する試料保持部分
を複数個設けておけば、上記のようにして同一の菌試料
の一定量を当該用具のそれぞれの試料保持部分に保持さ
せ、生育状態を観察することによって容易に抗菌薬感受
性の測定を行うことができる。抗菌薬の含有量は、例え
ば各試料保持部分毎に2倍ずつ変化するようにしておけ
ば上記試験の目的に好適である。上記のような親水性部
分である試料保持部分は前記の本発明者等の出願(WO 9
4/04703)に開示された試験用具の試料保持部分と同様に
形成することができる。尚、このWO 94/04703 の開示の
全ては引用により本明細書の一部とする。
【0015】親水性の試料保持部分を形成する材料とし
ては、例えば、フィルターペーパー、パルプディスクの
ような吸水性及び保水性を有する繊維物、各種重合体等
からなるスポンジ状の多孔体、澱粉、寒天、プルラン等
の多糖類、カゼイン、ゼラチン等のタンパク質、結晶セ
ルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カル
ボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導
体、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、
ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリ
アクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピ
ロリドン等の各種ポリマー、これ等に必要に応じて他の
モノマーを共重合させたコポリマー、ポリエチレングリ
コール及びポリプロピレングリコールから主としてなる
第一工業製薬株式会社からパオゲンの商品名で販売され
ている製品、あるいはこれ等を部分架橋したもの、アラ
ビアゴム等の天然糊料等並びにこれらの混合物を使用す
ることができる。上記材料中、ポリビニルピロリドン、
ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセル
ロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコー
ル、パオゲン等は、試料液体を吸収させたときに試料を
増粘させる効果が高く、その結果使用時に試料保持部分
に保持された試料が増粘され、より強固に試料が保持さ
れ、取扱時に離脱しにくくなるので好ましい。
【0016】また、上記のように試料をより強固に保持
するという目的のためには、試料保持部分の材料として
吸水性ゲルを使用することがさらに好ましい。好ましく
使用できる吸水性ゲルとしては、ポリビニルアルコール
/ポリアクリレート系ゲル、架橋ポリアクリレート系ゲ
ル、架橋ポリビニルアルコール系ゲル、架橋ポリエチレ
ンオキサイド系ゲル、架橋ポリジエチルアクリルアミド
ゲル及び架橋ポリイソプロピルアクリルアミドゲル等の
架橋ポリアクリルアミド系ゲル、架橋ポリビニルピロリ
ドン系ゲル、架橋パオゲンゲル等がある。これらの吸水
性ゲルは単独で、または混合して使用することができ
る。このような吸水性ゲルを試料保持部分を形成する材
料として使用する場合は、通常適当なバインダーと混合
して使用される。適当なバインダーとして使用できる材
料としては、例えばダイヤナールBR−レジンの商標で
三菱レイヨン株式会社から販売されているアクリル系樹
脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル系樹脂、ポリ
ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ス
チレン−ブタジエンラテックス樹脂等の疎水性樹脂(水
に不溶)、及びポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロ
ピルセルロース等の水溶性であると同時に有機溶媒に可
溶(両溶性)の樹脂等が挙げられる。これらのバインダ
ーも単独で、または混合して使用することができる。試
料保持部分の大きさ、形状、基体上での配置等は特に制
限されるものではなく、所望の試験に必要な反応系、培
養系等を所望量保持し得るものとして、選択された試料
保持部分の形態、材料、本発明の用具の製造方法等に応
じて任意に選択することができる。
【0017】試料保持部分を基体の凹部として設ける場
合には、該凹部は例えば従来のマイクロプレートのもの
と同様なものでよく、直径3〜10mm、深さ0.5 〜5mm程
度の円筒形あるいはU字形の断面を有する凹部で、表面
張力により盛り上がる部分を含めて10〜200 μl 程度の
液体試料を保持できるものとすることができる。凹部で
ある試料保持部分の場合、その大きさを適当に選択する
ことにより、上記のように本発明の試験用具を操作し
て、試験用具を傾斜させたり、載置方向を変更しても所
定量の試料が凹部に保持されたままで、落ちないように
することができる。親水性の試料保持部分を設ける場合
は、フィルターペーパーのような繊維物、スポンジ状の
多孔体等を使用すれば比較的多量の試料を保持できる試
料保持部分とすることができる。この場合試料保持部分
は直径3〜20mm程度の円形あるいは一辺が3〜20mm程度
の矩形で、厚さが0.5〜3mm程度のものとするのが一般
的である。この場合、1個の試料保持部分に含有させる
試料の量は一般的には5〜100 μl 程度である。
【0018】ポリマー、吸水性ゲル等の材料を使用すれ
ば印刷技術等により試料保持部分を容易に効率よく形成
でき、また微小な試料保持部分を形成することも容易で
ある。例えば面積が5mm2 程度、隣接する試料保持部分
の間隔が 0.5mm程度まで微細な試料保持部分を形成でき
る。また乾燥膜厚で0.01〜 500μm 程度の試料保持部分
を一回の印刷で形成することができる。このような試料
保持部分に含有させる試料の量は一般的には5〜 100μ
l 程度である。また、試料保持部分の材料として上記に
挙げたようなポリマー、吸水性ゲルを使用する場合は、
該ポリマー、吸水性ゲル、及び必要により適当なバイン
ダーを適当な溶媒中に溶解または分散して基体上に所望
の形状で塗布したり、ディスペンサーで滴下して、乾燥
させることにより本発明の用具を製造することもでき
る。さらに好ましくは、本発明の試験用具は上記に挙げ
たような試料保持部分用の材料の適当な溶媒中の溶液等
をインクとして使用し、試料保持部分をスクリーン印
刷、グラビア印刷等の印刷技術により基体上に設け、乾
燥することによって製造することができる。本発明の試
験用具の製造に使用する印刷技術は、通常の印刷物の印
刷に使用される技術を使用でき、特にスクリーン印刷及
びグラビア印刷法が好ましい。
【0019】このように試料保持部分を印刷により設け
る場合には、基体を試料容器に設置する前に試料保持部
分を形成することが好ましい。また、シート状の材料上
に試料保持部分を形成し、該シート状の材料を試料容器
の内部底部に貼り付けてもよい。このようなシート状の
材料は前記基体に使用されるものとして挙げた材料等か
ら選択し得る。印刷により試料保持部分を形成する場
合、試料保持部分の配置、形状、厚さ等は印刷版の形状
により調整でき、一回の印刷により厚さの異なる試料保
持部分を形成することもできる。また一回の印刷により
所望の厚さの試料保持部分を形成できない場合は複数回
同一箇所に印刷を行うことにより試料保持部分の厚さを
増加させることもできる。また、印刷技術を用いた本発
明用具の別の製造方法として、各試料保持部分の間の隔
壁となる部分を予め基体上に印刷により設けておき、そ
の隔壁によって規定される基体上の部分に試料保持部分
を形成する材料を充填し、本発明の試験用具を製造する
こともできる。この場合は、前記隔壁は撥水性である必
要がある。
【0020】例えば、適当な材料からなる基体上に、後
に試料保持部分を形成するための独立した部分を規定す
る、例えば格子パターン等を上記のような印刷技術によ
り形成し、該パターンにより形成された独立した各部分
に、試料保持部分を形成する材料、例えば上記のような
ポリマー材料の適当な溶媒中の溶液を注入し、乾燥する
ことにより本発明の試験用具を製造できる。上述の通り
印刷技術による試料保持部分の形成は大量生産による用
具自体の低廉化に好ましい他、微細な試料保持部分の形
成、試験における使用時に正確に所望の量の試薬を含有
する試料保持部分の形成等に適しており、特に試験の自
動化に合わせた多量の試料保持部分を有する用具の製造
に適している。また、前記のように、試験に使用される
試薬を予め試料保持部分に含有させるためには、試料保
持部分にフィルターペーパーのような繊維物、スポンジ
状の多孔体等を使用した場合は試薬の溶液を試料保持部
分に含浸させて乾燥させることにより、またポリマー等
を使用した場合には基体に塗布するポリマー等の溶液ま
たは分散液に試薬を加えておくことにより、容易に試料
保持部分に試薬を含有させることができる。
【0021】後者の場合、例えば、上記したポリマー、
吸水性ゲル等を溶解、分散した溶媒中に試薬を混合し、
得られた混合液をインクとし、各種の印刷法によりこれ
を基体上に塗布、乾燥することにより多数の試料保持部
分を容易に効率よく形成することができる。印刷により
試料保持部分を形成する場合、それぞれ異なった試薬と
試料保持部分材料を含むインクを使用して、複数回の印
刷を行うことにより複数種の試薬を含む多層の試料保持
部分を形成することができる。試薬と試料保持部分材料
を含む同一のインクを使用して複数回の印刷を行い、そ
れぞれの試料保持部分を形成するための印刷回数を変化
させる(即ち、同一個所に行う印刷回数を変化させる)
ことにより試薬の含有量の異なる試料保持部分を形成す
ることもできる。また、本発明の試験用用具の試料保持
部分を、試料を吸収するための部分と、上記のような試
薬を予め含有しておくための部分(試薬を含有する部
分)からなるものとし、使用時にこれらの2つの部分に
試料を加えるとそれらが1つの試料保持部分として機能
するようにしてもよい。
【0022】この場合、例えば、吸水性ゲルとバインダ
ーと溶媒または分散媒とを含むインクを使用して印刷に
より基体上に試料を吸収するための部分を形成し、試薬
とバインダーと溶媒または分散媒とを含むインクを使用
して、先に設けられた試料を吸収するための部分の上に
ほぼ同様な形状で試薬を含有する部分を印刷により形成
し2つの部分を積層して試料保持部分とすることができ
る。これらの試料を吸収するための部分と試薬を含有す
る部分は基体上に逆の順で積層してもよい。あるいは本
発明の試験用具の試料保持部分は、例えば、図4及び図
5にその断面図と平面図を示したように、基体4上にそ
れぞれ独立した部分として形成される、試薬を含有する
部分12と、それを包囲するように形成された試料を吸
収するための部分11からなるものとすることができ
る。このような形態とする場合は、試料を添加したとき
に試料を吸収するための部分が膨潤して試薬を含有する
部分を覆い、2つの部分が一体化し、試薬が全体に行き
わたるようにすることができるように、試料を吸収する
部分の材料は水分を吸収して充分に膨張する材料から選
択される必要がある。このような材料の好ましい例とし
ては、上述の各種の吸水性ゲルが挙げられる。
【0023】吸水性ゲルを使用して図4のような形態の
試料保持部分を形成した場合、これに試料を加えると図
6に示したように試料を吸収するための部分の吸水性ゲ
ルが膨張して1個の試料保持部分として機能する。上記
のような形態に試料保持部分を形成する場合は、試料を
加えたときに試料を吸収するための部分と試薬を含有す
る部分が一体となればよく、当初は2つの部分が接触し
ていてもよいし、ある程度離隔していてもよい。さら
に、図4に示したような形態に試料保持部分を形成する
場合は、試薬の脱落を防止するために、図7に示すよう
に試薬を含有する部分の上に上記に挙げたようなポリマ
ー等からなる保護層15を設けてもよい。
【0024】上記のようにして試料を吸収するための部
分と試薬を含有する部分とを別々に形成する場合におい
て、試料を吸収するための部分を一定量の吸水性ゲルと
バインダーから形成し、試薬を含有する部分を試薬とバ
インダーを含むインクを使用して印刷により形成し、例
えばグラビア印刷の場合では版の版深と線数を変えて転
移量を変化させること等により前記の試薬を含有するイ
ンクの量を変化させるかまたはその試薬の濃度を変化さ
せて印刷を行えば、例えば前記した抗菌薬感受性試験用
用具に必要とされるような、異なる量の試薬を含有し、
しかも保持する試料の量が一定である試料保持部分を容
易に形成できる。本発明の試験用具においては、過剰な
液体試料を貯留する空間6に液体試料を吸収保持する液
体吸収体を設けてもよい。このような液体吸収体を設け
ることにより、基体上から除去された過剰な液体試料は
該液体吸収体に吸収保持され、用具の取扱い時に試料容
器内で飛散することを防止できるので好ましい。
【0025】本発明の試験用具の液体吸収体として使用
できる材料は特に限定されないが、例えば、(1) フィル
ターペーパー、吸水紙、不織布、綿のような吸水性及び
保水性を有する繊維物、例えばアセテートフィラメント
等の高分子繊維物、例えばベルオアシス(鐘紡(株)
製)、(2) 各種重合体等からなるスポンジ状の多孔体、
(3) ポリビニルアルコール/ポリアクリレート系ゲル、
架橋ポリアクリレート系ゲル、架橋ポリビニルアルコー
ル系ゲル、架橋ポリエチレンオキサイド系ゲル、架橋ポ
リジエチルアクリルアミドゲル及び架橋ポリイソプロピ
ルアクリルアミドゲル等の架橋ポリアクリルアミド系ゲ
ル、架橋ポリビニルピロリドン系ゲル、架橋パオゲン
(商標)ゲル等の材料からなる吸水性ゲル(これらの吸
水性ゲルは単独で、または混合して使用することができ
る)、(4) 不織布、紙等の間に上記吸水性ゲルをはさみ
込んだ吸水シート、例えば商品名アクアキーパー(住友
精化 (株) 製)、ドリップシート(大日本印刷 (株)
製)等の商品名で市販されている吸水シート、(5) 上記
(1) 、(2) 及び(4) の材料に上記吸水性ゲルを共存させ
た吸水シート、例えば紙に吸水性ゲルの粉末をまぶした
ようなもの、(6) 上記吸水性ゲルを、バインダー、例え
ばダイヤナールBR−レジンの商標で三菱レイヨン株式
会社から販売されているアクリル系樹脂、ポリビニルブ
チラール、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、
フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、スチレン−ブタジエ
ンラテックス樹脂等の疎水性樹脂(水に不溶)、及びポ
リビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース等
の水溶性であると同時に有機溶媒に可溶(両溶性)の樹
脂等(これらのバインダーは単独で、または混合して使
用することができる)とともに、基材、例えばポリエチ
レン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリスチレ
ン、ポリアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルア
ルコール、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリエ
ステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミ
ド、トリアセチルセルロース等のポリマーからなるシー
ト、紙、不織布等にコーティングすることにより作成さ
れた吸水シート、(7) 例えばアクアコーク(住友精化
(株) 製)の商品名で市販されているようなポリエチレ
ングリコールの一部を架橋させることにより有機溶剤に
可溶で水に対して膨潤する材料や、ポリアクリルアミ
ド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキサイ
ド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン等の各種水溶性ポリマー等を
上記のような基材にコーティングしたものに、電離放射
線を照射し、架橋させて水不溶性にすることにより作製
した吸水シート、(8) 上記(1) 〜(7) の材料の任意の組
合せからなる材料等を挙げることができる。
【0026】これらの材料からなる液体吸収体は、前記
試料容器に注入された液体試料の試料保持部分に保持さ
れる量を除く過剰な部分を充分に吸収できるだけの量で
設けられる。図1〜3に示した本発明の試験用具におい
ては、試料容器に液体試料を注入するため、容器上部が
開口するようになっているが、これに限定されるもので
はない。例えば、液体試料を注入するための開口部は、
試料容器の側面にあってもよい。このような構造を有す
る本発明の試験用具の図3と同様の断面図を図8に示
す。図8にその断面を示した試験用具においては、試料
容器は基体が接触していない側面が開口部となった胴部
2と、該開口部に装着される蓋部1からなる。その他の
構造は図1〜3に示した用具と同様のものとすることが
できるが、基体は試料容器を水平に載置した場合に略水
平になるように設けられている。
【0027】図8に示したような構造を有する本発明の
試験用具の場合、試料保持部分に所定量の試料を保持さ
せるためには、例えば以下のように操作することができ
る。まず、試料容器の蓋部1を取り外し、図9に断面図
として示したように、試料容器の胴部2を開口部とは反
対の側面を下にして載置する。そして基体5と試料容器
の胴部2により画成される空間7に液体試料を注入す
る。その後蓋部1を胴部2に装着し、試料容器を転倒さ
せて所定の底面が下になるように(即ち、試料保持部分
の凹部が上方を向くように)載置する。これにより前記
空間に貯留されていた液体試料は基体5の端部から流出
し、過剰な液体試料は基体下部の空間に流れ落ちるとと
もに試料保持部分には所定量の試料が残存する。それに
より過剰な液体試料が基体から充分に除去されない場合
は、さらに基体の自由な(試料容器壁面に接触していな
い)端部が下方になるように適当な角度だけ傾斜させて
過剰な液体試料を空間6へ除去することができる。
【0028】さらに、容器を水平に載置したときに、基
体の容器壁面に接していない側が低くなるように基体を
設けておけば、上記のように試料容器胴部に試料を注入
した後、蓋部を装着して水平に載置するだけで、過剰な
液体試料が空間6へ除去されるようにすることができ
る。このような図8に示したような構造の試験用具にお
いても、図1〜3に示した用具と同様に基体下部の空間
6に液体吸収体を設けることができる。さらに本発明の
試験用具においては、試料保持部分を有する基体を水平
面に対して傾斜させて設けることができる。このような
構造とすることにより、基体上の試料保持部分から重力
により液体試料をより確実に除去することができ、従っ
て、各反応系の独立性をより確実にすることができる。
上記の本発明の試験用具を使用する場合、用具の試料保
持部分に所望の反応溶液、培養液等を加えて反応、培養
等を行い、さらに必要に応じて反応、培養等の後に必要
な試薬を加え、試験の原理に応じて発色、発光、蛍光の
発生、濁度の変化等により試験結果を検出する。
【0029】例えば抗菌薬の最小発育阻止濃度の測定の
場合、培地中の細菌の増殖を目視により検出する方法、
培地の濁度を 500〜700 nmの吸光度により検出する方
法、培地中に蛍光基質を入れておき、細菌の増殖に伴い
培地中に蓄積する細菌酵素により蛍光物質を発生させて
蛍光強度の測定によりその量を測定して細菌の増殖と相
関させる方法等がある。試験結果は、最も簡易には肉眼
により検出するが、より正確な結果を必要とする場合、
あるいは特に試料保持部分を微細なものとしたような場
合で肉眼では結果を検出できないような場合には、上記
のような濁度、発色、発光、蛍光の発生等を従来より使
用されている検出装置により検出して所望の試験結果を
得ることができる。上記抗菌薬の最小発育阻止濃度の測
定における吸光度、蛍光強度等の測定も市販の吸光度
計、蛍光光度計等により行うことができる。本発明の試
験用具は、自動化されたこれらの公知の計測機器に適合
するように製造することができる。本発明の試験用具
は、従来プラスチック製のマイクロプレートを用いて行
われていた、例えば抗原、抗体、酵素等の生物学的物
質、例えば呈色化合物等の非生物学的物質を試料または
試薬として使用する各種の化学的試験、微生物の培養を
含む微生物学的試験に使用することができ、マイクロピ
ペット等による分注なしに極めて容易に多数の反応系を
迅速に形成できる。しかも、試料が試験時の周囲環境に
飛散することを有効に防止することができる。
【0030】
【実施例】以下本発明を実施例によりさらに説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例
中の%は全て重量%である。 実施例1:試料注入用開口部が試料容器上面にある試験
用具 以下のようにして図1〜図3に示した形状で、試料保持
部分が吸水性ゲル層からなる本発明の試験用具を作製し
た。裏面が粘着加工された縦6cm、横10cm、厚さ100 μ
m のポリエチレンテレフタレートシート上に、水溶性樹
脂ポリアクリルアミド10%水溶液(和光純薬 (株)製)
をインクとし、直径5mmの丸ベタパターンを縦6個、横
10個、乾燥後の膜厚が25μm となるように、スクリーン
印刷法により印刷し、乾燥後、電子線照射装置(キュア
トロン:日新ハイボルテージ (株) 製)を用いて、加速
電圧180 kV、10 Mrad の電子線(EB)を照射して吸
水性ゲル層を形成した。
【0031】ついでこの円形パターン上に、抗菌薬を6
種類、9階調塗布し、また残りの1列を抗菌薬を塗布し
ない対照とした。抗菌薬の種類は表1の通りであり、い
ずれも抗菌薬を含有するヒドロキシプロピルセルロース
(HPC)Lタイプ(日本曹達 (株) 製)の1%イソプ
ロピルアルコール溶液をインクとし、10μlずつディ
スペンサーを用いて塗布、乾燥した。溶液の抗菌薬含有
量は、PVPの塗工量が同じで抗菌薬の含有量が各パタ
ーン内でそれぞれ160, 80, 40, 20, 10, 5, 2.5 及び1.
25ngとなるように変化させた。さらにその上にHPC
Lタイプの5%イソプロピルアルコール溶液を10μl
ずつ、ディスペンサーにより滴下し、乾燥して保護層と
した。また、対照用として抗菌薬を含有しないHPC溶
液を塗布したパターンも作製した。外形が縦6cm、横12
cm、高さ1cmの試料容器胴部と、縦6cm、横12cm、高さ
0.5 cm の蓋部をポリスチレン樹脂により射出成形し
た。両者の接続部は液体試料が触れても漏出しないよう
に嵌合する形状とした。縦6cm、横10cm、厚さ1mmのア
クリル樹脂からなる基体に上記薬剤塗布シートを貼り付
け、上記試料容器に図1〜図3に示したように設けて試
験用具を作成した。基体の容器内壁に接しない端部は反
対側の端部よりも5mm高くなるようにした。
【0032】被検菌としてStaphylococcus aureus ATCC
25923を使用し、寒天培地上で一夜培養した被検菌体を
滅菌生理食塩水で約108 CFU/mlに懸濁し、これをミュー
ラー・ヒントンブロス(組成:肉抽出液 300g 、カザミ
ノ酸17.5g 、デンプン1.5g、精製水1000ml)を用いて10
00倍に希釈し(約105 CFU/ml) 、得られた被検菌体接種
済みブロス mlを、前記容器の基体上に注ぎ入れた。そ
の後蓋部を胴部に装着し、基体の容器内部壁に接してい
ない側を下にして容器を約30°傾斜させ、その後水平な
状態に戻すと試料保持部分には所定量の液体試料が保持
され、過剰な液体試料は基体の下側の空間に移動した。
そのまま容器を35℃に16〜18時間置き、培養を行った。
培養後、菌の成育が肉眼で認められない試料保持部分中
の最小薬剤濃度をもってMIC値とした。本実験例では
MIC値は表1に示した通りに判定された。
【0033】
【表1】 表1 ─────────────────────────── 薬剤名 MIC値(μg/ml) ─────────────────────────── ピペラシリン (PIPC) 0.5 オキサリシン (MPIPC) 0.25 セファゾリン (CEZ) 0.5 セフメタゾール (CMZ) 1.0 ミノサイクリン (MINO) 0.25 オフロキサシン (OFLX) 0.5 ───────────────────────────
【0034】実施例2:試料注入用開口部が試料容器上
面にある試験用具 以下のようにして図1〜3に示したような形状の本発明
の試験用具を作製した。縦6cm、横10cm、厚さ5mmで、
試料保持部分として直径5mm、深さ2.5mmの凹部を縦6
列、横10列に60個有するポリスチレンからなる基体を、
実施例1のもと同じ試料容器胴部に同様に設けて試験用
具を作成した。試料保持部分の凹部に実施例1と同様に
してディスペンサーを用いて薬剤を塗布した。上記のよ
うにして作製した本発明の試験用具を用いて実施例1と
同様に抗菌薬感受性試験を行ったところ、実施例1と同
様の結果が得られた。
【0035】実施例3::試料注入用開口部が試料容器
側面にある試験用具 以下のようにして図8及び図9に示したような本発明の
試験用具を作製した。外形が縦6cm、横11cm、高さ1mm
で側面が開口した試料容器胴部と、同じく縦6cm、横1
cm、高さ1cmで、前記試料容器胴部に装着して密閉状態
にすることが可能な試料容器をポリスチレンにより射出
成形で作製した。縦6cm、横10cm、厚さ5mmで、試料保
持部分として直径5mm、深さ2.5mmの凹部を縦6列、横
10列に60個有するポリスチレンからなる基体に、実施例
1と同様にしてディスペンサーを用いて薬剤を塗布し、
これを図8及び図9に示したように容器同部の高さの中
間の位置に水平に3方の端部が容器胴部内壁に接するよ
うに接着し、本発明の試験用具を作製した。上記のよう
にして作製した試験用具の試料容器胴部を、図9に示し
たように開口していない側面を下にして立て、基体の試
料保持部分を設けた面と試料容器の間の空間に、実施例
1と同じ菌体接種済みブロス30mlを液体試料として注入
した。これにより、基体に設けられた試料保持部分は全
て液体試料中に没した。その後、容器胴部に容器蓋部を
装着し、容器を水平に戻し、さらに容器蓋部側を下にし
て水平から30°傾斜させ、その後水平な状態に戻すと試
料保持部分には所定量の液体試料が保持され、過剰な液
体試料は基体の下側の空間に移動した。この後、実施例
1と同様にして抗菌薬感受性試験を行ったところ、実施
例1と同様の結果が得られた。
【0036】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、第1の態様による本発明の試験用具の
概略斜視図である。
【図2】図2は、図1の試験用具の上面平面図である。
【図3】図3は、図2の試験用具のAA’における断面
図である。
【図4】図4は、本発明の試験用具の試料保持部分を試
料を吸収するための部分と試薬を含有する部分からなる
ものとした場合の試料保持部分の概略断面図である。
【図5】図5は、図4に示した試料保持部分の概略平面
図である。
【図6】図6は、図4に示した形態の試料保持部分に試
料を加えたときのその形態を示す概略断面図である。
【図7】図7は、図4に示した形態の試料保持部分の一
変形例を示す概略断面図である
【図8】図8は、第2の態様による本発明の試験用具の
概略断面図である。
【図9】図9は、図8の試験用具の使用方法を説明する
ための断面図である。
フロントページの続き (72)発明者 澁谷 睦 東京都中央区京橋2丁目17番11号 昭和薬 品化工株式会社内 (72)発明者 小口 清 東京都新宿区市谷加賀町1丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 山田 泰 東京都新宿区市谷加賀町1丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 大科 千鶴子 東京都新宿区市谷加賀町1丁目1番1号 大日本印刷株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密閉可能な液体試料容器と、該容器内に
    収容され、複数の試料保持部分を有する基体とからな
    り、該基体の下部に過剰な液体試料を貯留するための空
    間が形成されるように前記基体が前記容器内に設けられ
    ている化学的及び微生物学的試験用用具。
  2. 【請求項2】 試料保持部分が、基体上の親水性部分と
    して設けられている請求項1記載の用具。
  3. 【請求項3】 試料保持部分が、基体上の凹部として設
    けられている請求項1記載の用具。
  4. 【請求項4】 試料容器がその上面に液体試料注入用の
    開口部を有する請求項1から3のいずれかに記載の用
    具。
  5. 【請求項5】 試料容器がその側面に液体試料注入用の
    開口部を有する請求項1から3のいずれかに記載の用
    具。
  6. 【請求項6】 過剰な液体試料を貯留するための空間に
    液体吸収体を備えた請求項1から5のいずれかに記載の
    用具。
  7. 【請求項7】 試料保持部分が、化学的試験または微生
    物学的試験用の試薬を含む請求項1から6のいずれかに
    記載の用具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116150829A (zh) * 2023-02-08 2023-05-23 珠海美华医疗科技有限公司 一种具有s型流道的微量药敏测试卡设计方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116150829A (zh) * 2023-02-08 2023-05-23 珠海美华医疗科技有限公司 一种具有s型流道的微量药敏测试卡设计方法
CN116150829B (zh) * 2023-02-08 2023-11-24 珠海美华医疗科技有限公司 一种具有s型流道的微量药敏测试卡设计方法

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