JPH08193854A - マトリックス電極振動子およびそのセンサ - Google Patents

マトリックス電極振動子およびそのセンサ

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JPH08193854A JP579195A JP579195A JPH08193854A JP H08193854 A JPH08193854 A JP H08193854A JP 579195 A JP579195 A JP 579195A JP 579195 A JP579195 A JP 579195A JP H08193854 A JPH08193854 A JP H08193854A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 微小で、高感度で、マルチチャンネル化が可
能なマトリックス水晶振動子センサを提供する。 【構成】 水晶振動子板2と、該水晶振動子板2の一方
面に形成された少なくとも1本の帯状電極3と、該水晶
振動子板2の他方面に該帯状電極3と略直交方向となる
ように形成された複数の帯状電極3とから構成されてな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、検査・診断に用いるセ
ンサに関する。詳しくは、マルチチャンネル測定が可能
なマトリックス電極振動子およびそのセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、微小の質量の変化を測定する方法
として、水晶振動子マイクロバランス(Quartz Crystal
Microbalance, QCM)原理を利用したガスセンサ、
湿度センサ、メッキ膜厚センサなどが知られている。
【0003】水晶振動子素子の基本構造は、水晶振動子
板とその両表面に形成した電極とから構成され、それら
2つの電極には、水晶板の持つ固有周波数で共振できる
ような外部発振回路が接続されてなる。
【0004】このような構造からなる水晶振動子素子を
有する水晶振動子センサは、水晶振動子の共振周波数の
変化は水晶と接触している質量の変化と関係付けられる
という性質を利用して被検物質のセンシングは行なわれ
ている。
【0005】また、多項目の検査を行うものとして、複
数個のセンサを並べて、マルチチャンネルのセンサシス
テムとすると、水晶振動子を複数個配置して測定するた
め装置が大型化となり、また、特性の揃った水晶振動子
センサを多量に用意する必要があるなどの問題があり、
多項目検査に使用するのは実際上は困難である。
【0006】また、1枚の水晶振動子板の上に複数個の
センサを構築すれば、小型化、高感度化が可能になりバ
イオセンサに好ましいものになるが、センサが微小化す
ることにより、電極リード線の取り方やその存在が問題
になるため、マルチチャンネルの水晶振動子センサの提
供が困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
の問題点に鑑みてなされたものであって、水晶振動子板
の一方面に形成された少なくとも1本の帯状電極と、水
晶振動子板の他面に該帯状電極と略直交方向となるよう
に形成された複数の帯状電極とからなるため、一方面お
よび他方面に形成された帯状電極が交差する部分が水晶
振動子素子となるため、マルチチャンネル計測が可能
で、高感度で、微小のセンシングポイントを持つマトリ
ックス電極振動子およびそのセンサを提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るものは、水晶振動子板と、該水晶振動子板の一方面に
形成された少なくとも1本の帯状電極と、該水晶振動子
板の他面に該帯状電極と略直交方向となるように形成さ
れた複数の帯状電極とからなるマトリックス電極振動子
である。
【0009】さらに、水晶振動子板は水晶発振子、表面
弾性波素子、バルク弾性波素子等が用いられ、大きさ
は、例えば、IgG抗体を測定するときの代表的な長さ
は、0.5〜100mm程度の方形あるいは円形である
のが好ましく、より好ましくは1〜50mm程度であ
り、100mm以上の大きさであると水晶振動子板の製
作が困難であり、0.5mm以下であると、帯状電極の
製作および電極リード線の接続が困難である。
【0010】さらに、帯状電極の幅は、1μm〜10m
m程度が好ましく、より好ましくは3〜6mm程度であ
り、10mm以上であるとセンシングポイントが多くと
れなくなり、1μm以下であると水晶振動子を駆動する
ことが困難であり、各帯状電極の間隔は、帯状電極幅の
1/10〜2倍程度が好ましく、より好ましくは1/2
〜1倍程度であり、構成材料としては、金、クロム、白
金、銅、チタニウム、銀等が挙げられる。
【0011】また、本発明のマトリックス電極振動子セ
ンサは、水晶振動子板と、該水晶振動子板の一方面に形
成された少なくとも1本の帯状電極と、該水晶振動子板
の他方面に該帯状電極と略直交方向となるように形成さ
れた複数の帯状電極と、該一方面に形成された帯状電極
と該他方面に形成された帯状電極が交差する部分に被検
査物質層が形成されているマトリックス電極振動子セン
サである。
【0012】さらに、マルチチャンネルのセンサとする
ために、帯状電極が交差する複数の部分それぞれに、各
々、違う被検査物質層を形成することが好ましく、被検
査物質層を構成する好適な物質は、被測定物質により異
なるが、例えば、IgG抗体を測定するときは、ポリク
ローナル抗体、モノクローナル抗体、モノクローナル抗
原、酵素、抗原物質、補体、ヌクレオチド、DNAプロ
ーブ、プライマー、リンホカイン、サイトカイン、腫瘍
マーカー等のマーカーが挙げられる。
【0013】さらに、水晶振動子板の一方面および他方
面それぞれに、帯状電極と電極リード線を接続する部分
として、コンタクトパッド部を形成することが好まし
い。
【0014】さらに、帯状電極が交差する部分と、コン
タクトパッド部以外の所に、電気絶縁性膜を形成するこ
とが好ましく、電気絶縁性膜の厚さは、2000Å〜1
mm程度が好ましく、より好ましくは、1000Å〜5
0μm程度であり、構成する材料としては、ポリイミ
ド、テフロン、ホトレジスト、シリコン樹脂等の高分子
あるいはSi34、SiO2等の無機物が挙げられる。
【0015】
【実施例】以下、本発明のマトリックス電極振動子およ
びそのセンサの実施例を図面に沿って説明するが、本発
明は、これらに何ら限定されるものではない。
【0016】図1は、本発明のマトリックス電極振動子
の実施例を示す斜視図である。図2は、本発明のマトリ
ックス電極振動子センサの実施例を示す断面図である。
図3は、本発明のマトリックス電極振動子の表面Aのマ
トリックス電極のパターンを示す平面図である。図4
は、本発明のマトリックス電極振動子の表面Bのマトリ
ックス電極のパターンを示す平面図である。図5は、本
発明のマトリックス電極振動子センサの表面Aに形成さ
れる電気絶縁性膜のパターンの平面図である。
【0017】図1、図3および図4に示すように、本発
明のマトリックス電極振動子1は、水晶振動子板2の一
方面および他方面に、図3および図4に示すようなパタ
ーンを基に作製した厚さ50μmのMo板製メタルマス
クを用いて、クロム(100Å厚)、金(2000Å
厚)の順番にRFスパッタリングすることで作製され
る。
【0018】このとき、水晶振動子板2の一方面および
他方面のそれぞれに、帯状電極3をライン幅を0.8m
m、間隔幅を0.8mmとして4本ずつ形成し、4×4
の振動子素子9を製作した。各帯状電極3の端部には、
電極リード線5を接続するためのコンタクトパッド4を
設け、直径50μmの電極リード線5を銀ペーストで接
着し、一方面(表面A電極30)からの4本の電極リー
ド線5は、スイッチボックスA6に、他方面(表面B電
極31)からの4本の電極リード線5はスイッチボック
スB60に接続し、各スイッチボックスA6、B60
は、ロータリースイッチを用いて作製し、スイッチボッ
クスA6、B60からの各電極リード線5は、インピー
ダンス・アナライザー7と接続する。ロータリースイッ
チを回して表面電極A30、B31の各々1本ずつのラ
インを選択し、インピーダンス・アナライザー7を用い
て16個の振動子素子9の特性を測定した。
【0019】測定したアドミッタンス・スペクトルを解
析した結果、表1に示すように、すべての振動子素子9
が微小の水晶振動子としての機能していることが分か
り、被測定物質の質量変化あるいは動粘度などの変化を
検出するのに利用される。
【0020】
【表1】
【0021】また、表面A電極30と表面B電極31の
帯状電極3をそれぞれ1本ずつ選択すると、帯状電極3
が立体交差する部分でのみ振動子素子9が形成されるた
め、例えば、B入力はB1に固定し、A入力をA1→A
2→A3→A4のように帯状電極3を順番に切り替えて
いくと、表面A電極30の本数だけ振動子素子9ができ
ることがわかり、さらに、B入力を同様に切り替えてい
くと、表面A電極30と表面B電極31の本数の積だけ
振動子素子9が水晶振動子板2の中に形成されることが
わかる。
【0022】実際の測定では、まず被検査物質のみを固
定した状態で共振周波数を測定し、次に被検査物質に被
測定物質を作用させたのち、水晶振動子板2の共振周波
数を測定し、それらの共振周波数の差を算出すると、Sa
uerbrey の(1)式から被測定物質の質量を求めること
ができる。より一般的には、基準濃度あるいは基準質量
の試料を用いて検定することによって測定精度を向上す
ることができる。
【0023】一般に、水晶振動子の共振周波数の変化は
水晶と接触している質量の変化と関係付けられており、
接触している層および/または物質が剛体としてふるま
うと仮定すると、質量変化は、G.Z.Sauerbrey, Z.Phy
s.,155(1959)206 に記載されているSauerbrey の式によ
り求めることができる。
【0024】 Δf=−2f0 2Δm/A(ρqμq1/2 ・・・(1) ここに、Δfは周波数のシフト、f0はその水晶の基本
周波数、Δmは質量変化、Aは電極の有効面積、ρq
水晶の密度(2.648 g cm-3)、μqはずれ振動定数(AT
カット水晶では2.947x1011dyne cm-2)である。
【0025】また、図1および図2に示すように、本発
明のマトリックス電極振動子センサ10は、上述したマ
トリックス電極振動子1の表面A電極30と表面B電極
31が立体交差してなる振動子素子9部分とコンタクト
パッド4部を除いた部分を、電気絶縁性膜32のフォト
レジスト膜を膜厚2μmで被覆した。
【0026】振動子素子9部分には、被検査物質8とし
てIgG抗体であるヤギ由来のポリクロナール抗体が、
予め帯状電極3の表面に固定しておいたシランカップリ
ング試薬と結合させることによってIgGセンサを作製
した。
【0027】そして、IgGを含む種々の濃度の試料溶
液に作用させて共振周波数の変化の測定を行い、100
ng/mLを含む溶液を50μLを本発明のマトリック
ス電極振動子センサ10の表面に滴下し30分間反応さ
せた後、水洗浄して乾燥空気中で乾燥した。16個のチ
ャンネルについて共振周波数を測定すると、どのチャン
ネルも−120〜−150Hzの共振周波数の変化が観
測されたことから、すべてのチャンネルがサンプルIg
Gをほぼ定量的に検出していることが分かる。
【0028】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のマトリック
ス電極振動子は、水晶振動子板と、該水晶振動子板の一
方面に形成された少なくとも1本の帯状電極と、該水晶
振動子板の他方面に該帯状電極と略直交方向となるよう
に形成された複数の帯状電極とからなることから、電極
が帯状であり構造が単純であるので、大量に作製するこ
とが容易である。
【0029】また、本発明のマトリックス電極振動子セ
ンサは、水晶振動子板と、該水晶振動子板の一方面に形
成された少なくとも1本の帯状電極と、該水晶振動子板
の他方面に該帯状電極と略直交方向となるように形成さ
れた複数の帯状電極と、該一方面に形成された帯状電極
と該他方面に形成された帯状電極が交差する部分に被検
査物質層が形成されていることから、電極を微小化でき
るので高感度化が容易に達成でき、微量の遺伝子DNA
を検出することも可能である。
【0030】また、振動子素子部に複数の被検査物質を
固定することにより、マルチチャンネルのマトリックス
振動子センサとなり、短時間に多種類検査あるいは系統
的な多項目検査ができる。
【0031】また、振動子素子部と、コンパクトパッド
部以外のところに電気絶縁性膜を形成したことにより、
振動子素子部とそれ以外のところの区別が容易にでき、
被測定物質を振動子素子部に配置することが容易とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマトリックス電極振動子の実施例を示
す斜視図である。
【図2】本発明のマトリックス電極振動子センサの実施
例を示す断面図である。
【図3】本発明のマトリックス電極振動子の表面Aのマ
トリックス電極のパターンを示す平面図である。
【図4】本発明のマトリックス電極振動子の表面Bのマ
トリックス電極のパターンを示す平面図である。
【図5】本発明のマトリックス電極振動子センサの表面
Aに形成される電気絶縁性膜のパターンの平面図であ
る。
【符号の説明】
1 マトリックス電極振動子 10 マトリックス電極振動子センサ 2 水晶振動子板 3 帯状電極 30 表面A電極 31 表面B電極 32 電気絶縁性膜 4 コンタクトパッド 5 電極リード線 6 スイッチボックスA 60 スイッチボックスB 7 インピーダンスアナライザー 8 被検査物質 9 振動子素子

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水晶振動子板と、 該水晶振動子板の一方面に形成された少なくとも1本の
    帯状電極と、 該水晶振動子板の他方面に該帯状電極と略直交方向とな
    るように形成された複数の帯状電極とからなることを特
    徴とするマトリックス電極振動子。
  2. 【請求項2】 水晶振動子板と、 該水晶振動子板の一方面に形成された少なくとも1本の
    帯状電極と、 該水晶振動子板の他方面に該帯状電極と略直交方向とな
    るように形成された複数の帯状電極と、 該一方面に形成された帯状電極と該他方面に形成された
    帯状電極が交差する部分に被検査物質層が形成されてい
    ることを特徴とするマトリックス電極振動子センサ。
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