JPH08193061A - ε−カプロラクタムの製造方法 - Google Patents

ε−カプロラクタムの製造方法

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JPH08193061A
JPH08193061A JP340295A JP340295A JPH08193061A JP H08193061 A JPH08193061 A JP H08193061A JP 340295 A JP340295 A JP 340295A JP 340295 A JP340295 A JP 340295A JP H08193061 A JPH08193061 A JP H08193061A
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JP
Japan
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cyclohexanol
caprolactam
cyclohexanone
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cyclopentenecarbaldehyde
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JP340295A
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English (en)
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Makoto Tezuka
真 手塚
Masato Towata
正人 砥綿
Koji Watanabe
孝二 渡辺
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 シクロヘキセンの水和反応により得られるシ
クロヘキサノールを脱水素反応によりシクロヘキサノン
とし、次いで、ヒドロキシルアミンと反応させてシクロ
ヘキサノンオキシムとし、更にベックマン転位させてε
−カプロラクタムを製造する方法において、脱水素反応
に供されるシクロヘキサノール中に含まれるシクロペン
テンカルバルデヒドを50ppm以下とすることを特徴
とするε−カプロラクタムの製造方法。 【効果】 本発明の方法によれば、従来の品質に劣らな
いε−カプロラクタムを安価に製造することが可能とな
り、産業上有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、出発原料をシクロヘキ
センとしたε−カプロラクタムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ε−カプロラクタムは、シクロヘキサノ
ンオキシムをベックマン転位することにより製造されて
おり、原料となるシクロヘキサノンオキシムは、シクロ
ヘキサノンとヒドロキシルアミンとを反応させて製造す
るのが一般的である。
【0003】従来、ε−カプロラクタムの原料となるシ
クロヘキサノンは、まず、シクロヘキサンを分子状酸素
で酸化してシクロヘキサノールとシクロヘキサノンの混
合物を製造し、さらに混合物中のシクロヘキサノールを
脱水素反応してシクロヘキサノンとする方法、または、
フェノールを部分水素還元し、転位反応によりシクロヘ
キサノンを製造する方法等により工業的に生産されてい
た。
【0004】近年、シクロヘキサノールを工業的に生産
する方法として、シクロヘキセンをゼオライト系触媒の
存在下で水和する方法が注目されている。かかる反応自
体は昭和40年代から知られているが、工業的規模での
生産は最近になってようやく行われるようになった(化
学経済,1993年3月号,40〜45頁参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】シクロヘキセンからシ
クロヘキサノールを製造する方法は、工業的規模での実
施が可能であればコスト的に非常に有利であり、シクロ
ヘキサノールの好ましい製造方法と考えられる。しかし
ながら、当該方法で得られたシクロヘキサノールを原料
とするシクロヘキサノンから製造されたε−カプロラク
タムは、従来の他の方法で得られたシクロヘキサノンか
ら製造されたε−カプロラクタムと異なり、品質におい
てシクロヘキセンからの製造方法における特有の問題が
存在することが本発明者らの研究によって明らかとなっ
た。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
につき鋭意検討した結果、脱水素反応に供されるシクロ
ヘキサノール中のシクロペンテンカルバルデヒド(cycl
opentencarbaldehyde、シクロペンテンカルボアルデヒ
ド)を50ppm以下に制御することにより、従来の原
料を用いて製造したε−カプロラクタムと遜色のないε
−カプロラクタムが得られることを見出し本発明に到達
した。即ち、本発明の要旨は、シクロヘキセンの水和反
応により得られるシクロヘキサノールを脱水素反応によ
りシクロヘキサノンとし、次いで、ヒドロキシルアミン
と反応させてシクロヘキサノンオキシムとし、更にベッ
クマン転位させてε−カプロラクタムを製造する方法に
おいて、脱水素反応に供されるシクロヘキサノール中に
含まれるシクロペンテンカルバルデヒドを50ppm以
下とすることを特徴とするε−カプロラクタムの製造方
法に存する。
【0007】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明の製造方法では、まずシクロヘキセンと水を反応さ
せてシクロヘキサノールとする。シクロヘキセンの水和
反応は触媒として、通常、固体酸触媒を用いて反応を行
う。固体酸触媒としては、通常、ゼオライトやイオン交
換樹脂などが挙げられ、ゼオライトとしては、結晶性の
アルミノシリケートやアルミノメタロシリケート、メタ
ロシリケート等の種々のゼオライトが利用でき、特にペ
ンタシル型のアルミノシリケートまたはメタロシリケー
トが好ましい。メタロシリケートに含まれる金属として
は、チタン、ガリウム、ジルコニウム、ハフニウム等の
金属元素が例示できるが、中でもガリウムが好ましい。
【0008】水和反応方法としては、例えば、流動床
式、撹拌回分方式または連続方式等一般的に用いられる
方法で行われる。連続方式の場合は、触媒充填連続流通
式及び撹拌槽流通式のいずれも使用可能である。反応温
度は、シクロヘキセンの水和反応の平衡の面や副反応の
増大の面からは低温が、また反応速度の面からは高温が
有利である。最適温度は、触媒の性質によっても異なる
が、通常50〜250℃である。
【0009】以上のシクロヘキセンの水和反応で得られ
たシクロヘキサノールには、通常、シクロペンテンカル
バルデヒドが微量含まれている。本発明者らの検討によ
れば、驚いたことに、このシクロペンテンカルバルデヒ
ドは、シクロヘキサノール中に微量残存していても、該
シクロヘキサノールを用いて、最終的にε−カプロラク
タムを製造した場合に、製品ε−カプロラクタムの品質
を著しく損なうことが判明した。この原因の一つとし
て、シクロペンテンカルバルデヒドはシクロヘキサノー
ルから製品ε−カプロラクタムへの変換工程においてア
ルドオキシムを経てアミド化合物となって製品ε−カプ
ロラクタムに混入して、ε−カプロラクタムの品質規格
項目として一般的である揮発性塩基(VB)等に悪影響
を及ぼす。そこで、本発明では、シクロヘキサノール中
のシクロペンテンカルバルデヒドの含有量が50ppm
以下、好ましくは30ppm以下となるようにして脱水
素反応に供することを特徴とする。
【0010】本発明におけるシクロペンテンカルバルデ
ヒドとは、1−シクロペンテンカルバルデヒド、2−シ
クロペンテンカルバルデヒドおよび3−シクロペンテン
カルバルデヒドの総称である。これらのシクロペンテン
カルバルデヒドがシクロヘキサノール中に含まれる理由
は明らかではないが、シクロヘキサノールの原料である
シキロヘキセンに不純物として含まれている有機過酸化
物がシクロヘキセンの水和反応の際にシクロペンテンカ
ルバルデヒドになるものと推測される。
【0011】シクロペンテンカルバルデヒドの含有量が
50ppm以下であるシクロヘキサノールを得る方法と
しては、水和反応に用いる原料や触媒、反応条件等を厳
選して、シクロペンテンカルバルデヒドの含有量を50
ppm以下になるようにしてもよいし、シクロペンテン
カルバルデヒドを多く含むシクロヘキサノールを蒸留等
によって精製してもよい。
【0012】本発明では、以上のようなシクロペンテン
カルバルデヒドの含有量が50ppm以下のシクロヘキ
サノールを脱水素反応に供し、シクロヘキサノンとす
る。シクロヘキサノールの脱水素反応は従来公知の方法
のいずれでもよいが、一般的には、脱水素触媒の存在
下、200〜750℃に加熱することにより行われる。
脱水素触媒としては、銅−クロム系酸化物、銅−亜鉛系
酸化物などが例示できる。この反応は平衡反応であり、
生成物はシクロヘキサノンとシクロヘキサノールの混合
物として得られるので、蒸留等により、シクロヘキサノ
ンとシクロヘキサノールを分離して、回収されたシクロ
ヘキサノールは再度脱水素反応にリサイクルされる。
【0013】こうして得られたシクロヘキサノンは、公
知の反応条件で、ヒドロキシルアミンと反応させてシク
ロヘキサノンオキシムとする。ヒドロキシルアミンは単
独では不安定な化合物なので、通常、ヒドロキシルアン
モニウムの硫酸塩や硝酸塩の形で使用される。例えば、
水溶液中または非水溶液中でシクロヘキサノンとヒドロ
キシルアンモニウム塩を反応させ、シクロヘキサノンオ
キシムとする。
【0014】次いで、シクロヘキサノンオキシムは、公
知の方法によりベックマン転位させてε−カプロラクタ
ムとする。例えば、濃硫酸中または発煙硫酸中でベック
マン転位させてε−カプロラクタム硫酸塩とした後、ア
ルカリで中和する方法、シクロヘキサノンオキシムを固
体触媒存在下、気相もしくは液相でベックマン転位さる
方法、液相で触媒が均一に溶解した状態でベックマン転
位させる方法等が挙げられる。いずれの方法において
も、通常、得られたε−カプロラクタムは蒸留や晶析等
により精製して製品とする。
【0015】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はその要旨を越えない限り実施例に限定
されるものではない。なお、実施例中におけるシクロペ
ンテンカルバルデヒドの定量はキャピラリーカラムによ
るガスクロマトグラフィーにより行った。
【0016】実施例1 [シクロヘキセンの水和反応]撹拌翼を備えたオートク
レーブに触媒としてガリウムシリケート(Si/Ga原
子比=25/1)、シクロヘキセン15重量部、水30
重量部、水和反応触媒10重量部を入れ、窒素雰囲気
下、120℃で1時間反応させシクロヘキサノール混合
物を得た。このシクロヘキサノール混合物はシクロヘキ
サノールに対してシクロペンテンカルバルデヒドを30
0ppm含有していた。シクロヘキサノールの収率は1
0.8%であった。
【0017】[シクロヘキサノールの精製]上記反応で
得られたシクロヘキサノール混合物を10段蒸留してシ
クロヘキサノールを精製した。精製シクロヘキサノール
はシクロヘキサノールに対してシクロペンテンカルバル
デヒドを10ppm含有していた。
【0018】[シクロヘキサノールの脱水素反応]上記
の精製シクロヘキサノールを気化して、250℃に設定
された銅−亜鉛触媒を充填した管状反応器に、反応圧力
0.07MPa、GHSV(ガス空間速度)2.4hr
-1で供給して脱水素反応を行った。シクロヘキサノンの
収率は60%であった。
【0019】[シクロヘキサノンオキシムの製造]ジャ
ケット付き撹拌槽中、45%ヒドロキシルアミン硫酸塩
を85℃に保持し、上記のシクロヘキサノンを滴下し
た。この時、反応溶液がpH4.0〜4.5となるよう
にアンモニア水を同時に滴下した。シクロヘキサノンの
滴下終了後、反応を完結させるため30分撹拌した。静
置後、油相をシクロヘキサノンオキシムとして採取し
た。シクロヘキサノンオキシム中に含まれる水分は減圧
下で脱水した。
【0020】[ベックマン転位反応]ジャケット付き撹
拌槽に上記のシクロヘキサノンオキシムと25%発煙硫
酸(オリウム)とをベックマン転位液の酸度が57%、
遊離のSO3濃度が7.5%になるような比率で、滞留
時間が1時間になるように供給し、反応温度80〜85
℃となるよう撹拌、冷却しながらベックマン転位反応を
行った。
【0021】得られたベックマン転位液は温度70℃
で、アンモニア水を用いてpH7.0〜7.5とし中和
した。次いで、中和されたベックマン転位液は、シクロ
ヘキサノンオキシムが全量ε−カプロラクタムに転位し
たと仮定したときの、ε−カプロラクタム濃度が18重
量%になる量のベンゼンを用いて抽出した。抽出は分液
ロートに中和液、ベンゼンを入れ、10分間震とう後、
5分間静置後、油相のみを採取した。水相はさらに2回
ベンゼンにて抽出した。次いで、常法によりベンゼンを
留去して粗ラクタムを得た。
【0022】最後に粗ラクタムを蒸留により精製した。
蒸留は粗ラクタムに適量の25%苛性ソーダを添加した
後、初留10重量%、主留80重量%、釜残10重量%
の3部分に分けて採取し、主留分を品質評価の対象とし
た。
【0023】[ε−カプロラクタムの品質評価方法]得
られたε−カプロラクタムの品質を以下の方法で評価し
た。 PZ(過マンガン酸塩価) ε−カプロラクタム試料1gを水100mlに溶解し、
これに0.01N−過マンガン酸カリウム水溶液1ml
を加え撹拌し、比較標準液(塩化コバルト(CoCl2
・6H2O)3.000gと硫酸銅(CuSO4・5H2
O)2.000gを水で1000mlに希釈したもの)
と同一色になるまでの秒数。
【0024】PM(過マンガン酸塩消費量) ε−カプロラクタム100gを8M硫酸150mlに溶
解した溶液を0.1N過マンガン酸カリウム水溶液を用
いて滴定し、過マンガン酸カリウムの消費量を測定し、
ml/kg・ε−カプロラクタムの単位で表示した。
【0025】VB(揮発性塩基) 2N苛性ソーダ水溶液400mlにε−カプロラクタム
を30g溶解して1時間煮沸し、発生する分解ガスおよ
び蒸留水を、0.02N塩酸水溶液4mlを溶解した脱
塩水500ml中に吹き込ませる。その後、この脱塩水
を0.1N苛性ソーダで滴定し、塩酸の減少分をアンモ
ニア換算した数値。結果を表−1に示す。
【0026】実施例2 実施例1のシクロヘキセンの精製を5段蒸留とし、シク
ロヘキサノールの精製を単蒸留とした他は実施例1と同
様に行った。脱水素反応に供したシクロヘキサノール中
のシクロヘキサノールに対するシクロペンテンカルバル
デヒドの含有量は20ppmであった。ε−カプロラク
タムの品質評価結果を表−1に示す。
【0027】比較例1 実施例1のシクロヘキサノールの精製のうち、蒸留を単
蒸留とした他は実施例1と同様に行った。脱水素反応に
供したシクロヘキサノール中のシクロヘキサノールに対
するシクロペンテンカルバルデヒドの含有量は160p
pmであった。ε−カプロラクタムの品質評価結果を表
−1に示す。
【0028】実施例3 精製シクロヘキサノールにシクロペンテンカルバルデヒ
ド20ppm添加し、シクロヘキサノール中のシクロヘ
キサノールに対するシクロペンテンカルバルデヒドの含
有量を30ppmとした他は実施例1と同様に行った。
ε−カプロラクタムの品質評価結果を表−1に示す。
【0029】比較例2 精製シクロヘキサノールにシクロペンテンカルバルデヒ
ド90ppm添加し、シクロヘキサノール中のシクロヘ
キサノールに対するシクロペンテンカルバルデヒドの含
有量を100ppmとした他は実施例1と同様に行っ
た。ε−カプロラクタムの品質評価結果を表−1に示
す。
【0030】比較例3 精製シクロヘキサノールにシクロペンテンカルバルデヒ
ド290ppm添加し、シクロヘキサノール中のシクロ
ヘキサノールに対するシクロペンテンカルバルデヒドの
含有量を300ppmとした他は実施例1と同様に行っ
た。ε−カプロラクタムの品質評価結果を表−1に示
す。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】本発明の方法によれば、従来の品質に劣
らないε−カプロラクタムを安価に製造することが可能
となり、産業上有用である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シクロヘキセンの水和反応により得られ
    るシクロヘキサノールを脱水素反応によりシクロヘキサ
    ノンとし、次いで、ヒドロキシルアミンと反応させてシ
    クロヘキサノンオキシムとし、更にベックマン転位させ
    てε−カプロラクタムを製造する方法において、脱水素
    反応に供されるシクロヘキサノール中に含まれるシクロ
    ペンテンカルバルデヒドを50ppm以下とすることを
    特徴とするε−カプロラクタムの製造方法。
JP340295A 1995-01-12 1995-01-12 ε−カプロラクタムの製造方法 Pending JPH08193061A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997003956A1 (fr) * 1995-07-20 1997-02-06 Mitsubishi Chemical Corporation PROCEDE DE PREPARATION DE ε-CAPROLACTAME

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997003956A1 (fr) * 1995-07-20 1997-02-06 Mitsubishi Chemical Corporation PROCEDE DE PREPARATION DE ε-CAPROLACTAME

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