JPH08192274A - エンジンバルブ - Google Patents

エンジンバルブ

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JPH08192274A
JPH08192274A JP24103095A JP24103095A JPH08192274A JP H08192274 A JPH08192274 A JP H08192274A JP 24103095 A JP24103095 A JP 24103095A JP 24103095 A JP24103095 A JP 24103095A JP H08192274 A JPH08192274 A JP H08192274A
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JP
Japan
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engine valve
titanium
hardfacing
based alloy
torch
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Application number
JP24103095A
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English (en)
Inventor
Hirokimi Takeuchi
宥公 竹内
Masa Nagata
雅 永田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daido Steel Co Ltd
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 チタン基合金材料からなるエンジンバルブに
おいて、その硬化肉盛部にピンホールが発生することが
なく、また該硬化肉盛部とエンジンバルブ素材との間の
結合性が損なわれる虞れのない、充分な厚さの硬化肉盛
部を容易に得ることの出来る、実用上充分に満足し得る
軽量なエンジンバルブを提供すること。 【解決手段】 チタン基合金材料からなるエンジンバル
ブにして、そのバルブ傘部52の弁フェース面が、チタ
ンと金属炭化物72とから構成される、該チタン基合金
材料と一体化され、結合性の高い硬化肉盛部55にて構
成されると共に、該硬化肉盛部55中において前記金属
炭化物72が微細な粒子状にてチタン層T中に分散せし
められるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、エンジンバルブに係り、特にエ
ンジンバルブ素材としてチタン基合金材料を用い、その
エンジンバルブ素材に硬化肉盛を行なって、弁フェース
面を形成してなるエンジンバルブに関するものである。
【0002】
【背景技術】自動車等のエンジンには、その燃焼室内に
混合ガスを供給したり、或いは燃焼室から燃焼排ガスを
排出したりするために、吸気口や排気口を開閉するエン
ジンバルブが設けられている。そして、このエンジンバ
ルブは高温度の環境下で使用されるものであるところか
ら、耐熱性、耐摩耗性等に優れていることが必要とされ
る。このため、従来から、オーステナイト系の耐熱鋼、
例えばSUH36材料等をエンジンバルブ素材として用
い、そのエンジンバルブ素材に硬化肉盛を行なって、吸
気口若しくは排気口の弁座に着座する弁フェース面を形
成することにより、耐熱性、耐摩耗性等を満足せしめた
エンジンバルブが製造されている。
【0003】一方、近年、エンジンの省エネルギー化の
ために、各種構成部品の軽量化が図られているが、上記
エンジンバルブにおいても、その一つの対策として、エ
ンジンバルブ素材を軽量且つ耐熱性に優れたチタン基合
金材料製とすることが、検討されるようになってきた。
即ち、エンジンバルブ素材としてTi−6%Al−4%
V等のチタン基合金材料を用い、そのバルブ傘部に所定
の硬化肉盛材を溶射したり或いはイオン窒化法にて表面
硬化処理を施したりして、耐摩耗性の高い弁フェース面
を形成することにより、所望のエンジンバルブを得るの
である。
【0004】しかしながら、上述したように、溶射によ
って硬化肉盛を行なうと、その硬化肉盛部に多数のピン
ホールが発生すると共に、該硬化肉盛部は、単に、エン
ジンバルブ素材の表面に溶着せしめられるのみなので、
両者間の結合性は低く、硬化肉盛部に亀裂が生じたり、
剥離したりするという問題があった。また、イオン窒化
法にて表面硬化処理を施せば、亀裂や剥離の問題はない
が、充分な厚さの硬化層を形成することが困難で、エン
ジンバルブの耐久性や耐摩耗性が損なわれるという問題
も内在していた。
【0005】従って、チタン基合金材料からなる軽量な
エンジンバルブとして、実用上充分に満足し得るもの
は、未だ提供されていないのであり、その原因として、
特に、バルブ傘部に高硬度で耐摩耗性に優れた弁フェー
ス面を形成する方法が充分に確立されていない点が、挙
げられるのである。
【0006】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、かかる事情を背
景にして為されたものであって、その課題とするところ
は、チタン基合金材料からなるエンジンバルブにおい
て、その硬化肉盛部にピンホールが発生することなく、
また、該硬化肉盛部とエンジンバルブ素材との間の結合
性が損なわれる虞れのない、充分な厚さの硬化肉盛部を
容易に得ることの出来る、実用上充分に満足し得る軽量
なエンジンバルブを提供することにある。
【0007】
【解決手段】そして、本発明にあっては、上記の課題を
解決するために、チタン基合金材料からなるエンジンバ
ルブにして、そのバルブ傘部の弁フェース面が、チタン
と金属炭化物とから構成される、該チタン基合金材料と
一体化され、結合性の高い硬化肉盛部にて構成されると
共に、該硬化肉盛部中において前記金属炭化物が微細な
粒子状にてチタン層中に分散せしめられていることを特
徴とするエンジンバルブを、その要旨とするものであ
る。
【0008】なお、上記の如き構成のエンジンバルブを
得るために、本発明においては、チタン基合金材料から
なるエンジンバルブ素材に所定の硬化肉盛を行なって、
弁フェース面を形成し、目的とするエンジンバルブを得
るに際して、プラズマアークトーチとエンジンバルブ素
材との間にプラズマアークを形成する一方、パウダ搬送
ガスによって所定の粉末材料を前記プラズマアーク内に
導いて、かかる粉末材料を溶融せしめ、前記エンジンバ
ルブ素材に所定の硬化肉盛を行なうと共に、前記プラズ
マアークトーチのノズル径:D1 が、該硬化肉盛部の開
先幅:D2 に対して、下式: 0.6D2 ≦D1 ≦1.2D2 を満足するようにした手法が、有利に採用されることと
なる。
【0009】また、かかる本発明において、エンジンバ
ルブ素材を構成するチタン基合金材料としては、通常の
チタンを主成分として含む材料が適宜に選択されて用い
られ得るものであり、一般に、Ti−6%Al−4%V
等が、エンジンバルブ素材として、好適に使用され得る
ものである。
【0010】更にまた、チタン基合金材料中に含まれて
いるチタンは、異種金属との間で新たな化合物を形成し
て、結合性が損なわれ易いため、硬化肉盛する粉末材料
(肉盛材)としては、チタンと高硬度の金属炭化物との
混合粉末を用いることが望ましい。即ち、このような混
合粉末を使用すれば、混合粉末のうち、チタンが溶融し
て、チタン基合金材料からなるエンジンバルブ素材に良
好に溶接せしめられ、且つその溶接せしめられたチタン
層中には、高硬度の金属炭化物の粒子が分布、存在して
いるために、実用上、充分な結合性を有する高硬度の硬
化肉盛部が得られるからである。
【0011】なお、このような混合粉末としては、その
粒径は、10〜250μの範囲で選べば良く、例えば、
粒径:10〜30μmのTiCを10〜50%程度含む
Ti−TiCの混合粉末、粒径:30〜70μmのWC
を5〜30%程度含むTi−WCの混合粉末、或いは上
記粒径のTiCを5〜30%程度及びWCを5〜20%
程度、それぞれ含む、Ti−TiC−WCの混合粉末等
が、好適に使用され得るものである。
【0012】そして、かかる本発明において、プラズマ
アークトーチにて硬化肉盛を行なう際には、プラズマア
ークによって溶融状態にある粉末材料や硬化肉盛部が、
大気中の酸素、窒素等の影響を受けないように、単に溶
接部分のみならず、未だ溶融状態にある硬化肉盛部も、
アルゴン、ヘリウム、若しくはアルゴンとヘリウムとの
混合気体等の不活性ガスにて、大気からシールド(アフ
ターシールド)することが望ましい。この場合、溶融状
態にある硬化肉盛部のみを部分的にシールドすれば、硬
化肉盛部を簡便な装置にて効果的に保護し得るが、特
に、エンジンバルブ素材を冷却用のバッキングに取り付
けて硬化肉盛を行なえば、該硬化肉盛部が良好に冷却さ
れて、アフターシールドすべき部分が少なくなる利点が
ある。なお、空気を不活性ガスで置換した密閉容器内
に、プラズマアークトーチ及びエンジンバルブ素材を収
容することにより、硬化肉盛部を含む装置全体を大気か
らシールドすることも、勿論可能である。
【0013】また、エンジンバルブの弁フェース面は、
一般に、バルブ傘部の外周面にテーパ状に形成されるの
であるが、エンジンバルブ素材を、その軸線が鉛直方向
に対して10°〜60°傾斜した状態で軸線まわりに回
転させる一方、その傾斜したエンジンバルブ素材の上方
にプラズマアークトーチを配置して、硬化肉盛を行なう
ようにすれば、溶融金属に作用する重力に起因してビー
ド形状が損なわれることはない。
【0014】さらに、上記の如き硬化肉盛を行なう際
に、必要に応じてプラズマアークトーチとエンジンバル
ブ素材とを、溶接方向と直角な方向へ相対移動(オシレ
ート)させても良いことは、勿論である。
【0015】また、このようなプラズマアークを用いて
硬化肉盛することにより好適に得られるチタン基合金材
料からなるエンジンバルブは、全く新規なものであり、
前述した従来の問題を有しない有用なエンジンバルブで
あって、それは、バルブ傘部の弁フェース面が、チタン
と金属炭化物とから構成される、該チタン基合金材料と
一体化された結合性の高い硬化肉盛部にて構成されると
共に、その硬化肉盛部中において、前記金属炭化物が、
微細な粒子状にてチタン層中に分散せしめられている特
徴を有している。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、本発明を更に具体的に明ら
かにするために、本発明の実施の形態を説明するが、理
解を容易にするために、先ず、本発明において好適に用
いられるプラズマ肉盛溶接装置を、図1に基づいて説明
することとする。
【0017】かかる図1において、10は、鉛直方向に
配置されたプラズマアークトーチ(以下、トーチと称す
る)の先端部である。かかるトーチ10は、中心部にタ
ングステン電極12を備えており、この電極12の外側
には、トーチ内筒14及びトーチ外筒16が、それぞれ
所定の距離を隔てて、同軸的に配設されている。そし
て、それら電極12とトーチ内筒14との間、及びトー
チ内筒14とトーチ外筒16との間には、それぞれ、環
状の通路18及び20が形成されている。
【0018】ここで、通路18は、配管22を介してプ
ラズマガス供給装置24に接続されており、アルゴンガ
ス等のプラズマガスが供給されるようになっている。そ
して、この通路18内に供給されたプラズマガスは、ト
ーチ内筒14の先端に設けられたノズル30から、下方
に噴出させられる。
【0019】また、通路20は、配管32を介して、搬
送ガス供給装置34に接続されており、更にその配管3
2の中間部には、パウダ供給装置36が接続されて、そ
のパウダ供給装置36から、肉盛材として所定の粉末材
料が供給されるようになっている。即ち、通路20に
は、所定量の粉末材料を含んだ搬送ガスが供給され、ト
ーチ外筒16の先端に設けられたノズル38から、下方
に噴出せしめられるのである。なお、粉末材料として
は、チタンと金属炭化物との混合粉末、例えばTi−T
iC、Ti−WC、Ti−TiC−WC等の混合粉末が
好適に使用され、また搬送ガスとしては、アルゴンガ
ス、ヘリウムガス等の不活性ガスが用いられることとな
る。
【0020】一方、トーチ内筒14及びトーチ外筒16
のノズル30及び38には、それぞれ、冷却水通路40
及び42が配設されて、それら両ノズル30及び38を
冷却するようになっている。また、トーチ外筒16の先
端部には、シールドガス供給装置44から配管46を介
してアルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスからな
るシールドガスが供給されるようになっており、そのシ
ールドガスをトーチ10の軸心方向へ略円筒状に吹き出
すことにより、溶接部が大気からシールドされるように
なっている。
【0021】以上のように構成されたトーチ10の下方
には、硬化肉盛溶接を施すべきエンジンバルブ素材48
が取り付けられるようになっている。このエンジンバル
ブ素材48は、自動車等のエンジンの燃焼室内に混合ガ
スを供給したり或いは燃焼室から燃焼排ガスを排出した
りするために、吸気口や排気口を開閉するエンジンバル
ブの素材を成すもので、軽量且つ耐熱性に優れたチタン
基合金材料製である。エンジンバルブ素材48は軸部5
0と傘部52とを備えており、その傘部52の軸部50
側に位置する肩部の外周部には、硬化肉盛が施される円
環状の凹部54(開先部)が形成されている。なお、図
1において、凹部54に示す破線は、硬化肉盛が施され
て、硬化肉盛部55が形成された状態を示したものであ
る。
【0022】かかるエンジンバルブ素材48は、鉛直方
向に対して角度θだけ傾斜して設けられた取付軸56
に、冷却用のバッキング58を介して、その軸線Aが取
付軸56の軸線と一致する状態で取り付けられており、
取付軸56と共に、軸線Aまわりに所定の速度で回転せ
しめられるようになっている。この軸線Aの鉛直方向に
対する角度θは、エンジンバルブ素材48の形状等を考
慮して、10°〜60°の範囲内に設定することが望ま
しい。そして、このように取付軸56に取り付けられた
状態において、エンジンバルブ素材48の前記傘部52
に形成された凹部54のうち、最も上方に位置する部分
は、前記トーチ10のノズル38の鉛直下方に保持され
ていて、エンジンバルブ素材48が軸線Aまわりに回転
させられることにより、円環状の凹部54に順次硬化肉
盛が施されるのである。ここで、ノズル38のノズル
径:D1 は、凹部54の開先幅:D2 に対して、下式: 0.6D2 ≦D1 ≦1.2D2 を満足するように設定されている。
【0023】また、トーチ10の先端部近傍には、図2
に示すように、下端面60に多数の噴出孔62が形成さ
れたアフターシールド装置64が設けられている。アフ
ターシールド装置64は、図示しないシールドガス供給
装置から、アルゴン、ヘリウム、若しくはアルゴンとヘ
リウムとの混合気体等の不活性ガスからなるシールドガ
スが供給されるようになっており、その供給されたシー
ルドガスを、多数の噴出孔62から下方に噴出するもの
で、トーチ10の溶接方向下流側に配設されている。上
記多数の噴出孔62は、溶接方向と略平行に、前記エン
ジンバルブ素材48の開先幅D1 よりも僅かに広い間
隔:dを隔てて、二列設けられており、その溶接方向の
距離lは、エンジンバルブ素材48に形成された硬化肉
盛部55のうち、トーチ10によって肉盛溶接され、未
だ溶融状態にある部分の長さ寸法以上となるように、溶
接速度等を考慮して設定されている。
【0024】なお、トーチ10の電極12とトーチ内筒
14との間には、パイロット電源66から所定のパイロ
ット電流が供給されるようになっているとともに、電極
12とエンジンバルブ素材48が取り付けられるバッキ
ング58との間には、メイン電源68から所定の溶接電
流が供給されるようになっている。また、電極12とト
ーチ内筒14との間には、パイロット電源66と並列に
点火用の高周波発振器70が介挿されている。
【0025】次に、上述したプラズマ肉盛溶接装置を用
いてエンジンバルブ素材48に硬化肉盛を施す手順につ
いて説明するが、これは、そのまま、本発明に従うエン
ジンバルブの製造の一例を成すものである。
【0026】先ず、パイロット電源66からパイロット
電流を供給し、電極12の先端とトーチ内筒14のノズ
ル30との間にパイロットアークを発生させると同時
に、プラズマガス供給装置24から環状通路18内にプ
ラズマガスを供給する。これにより、電極12の先端に
プラズマアークが形成される。
【0027】その後、電極12とバッキング58との間
にメイン電源68から溶接電流を供給し、電極12の先
端に形成されているプラズマアークをエンジンバルブ素
材48へ移行させると共に、搬送ガス供給装置34及び
パウダ供給装置36から所定の粉末材料を含む搬送ガス
を、通路20内に供給する。この通路20内に供給され
た粉末材料は、ノズル38から噴出せしめられて、プラ
ズマアークによって溶融され、エンジンバルブ素材48
の凹部54に肉盛溶接される。なお、この時、トーチ1
0の先端部からは、シールドガスが吹き出されており、
溶融された粉末材料や凹部54が空気中の酸素等の影響
を受けないようにされている。
【0028】そして、この状態において、エンジンバル
ブ素材48を、その軸線Aまわりに回転させることによ
り、凹部54の肉盛溶接される部位が移動して、傘部5
2の外周部に形成された円環状の凹部54の全周に、順
次、硬化肉盛が施されることとなる。この時、アフター
シールド装置64からはシールドガスが噴出せしめられ
ており、エンジンバルブ素材48に形成された硬化肉盛
部55のうち、未だ溶融状態にある部分が大気からシー
ルドされて、大気中の酸素、窒素、水素等の影響を受け
ないようにされている。なお、必要に応じてトーチ10
を溶接方向と直角方向、即ち図1において左右方向へ往
復移動(オシレート)することも可能である。
【0029】ここで、粉末材料として、チタンと高硬度
の金属炭化物との混合粉末を用いて上記硬化肉盛溶接を
行なうと、硬化肉盛部55は、図3に示すように、チタ
ンが溶融してチタン基合金材料からなるエンジンバルブ
素材48の傘部52に融接せしめられ、そのチタン層T
中に高硬度の金属炭化物72の粉末が微粒子状に分散せ
しめられた構造となる。また、硬化肉盛部55は、それ
が溶融状態にある間、不活性ガスにて大気からシールド
されているため、大気中の酸素等に起因して、内部に酸
化物等が形成されたり、ピンホールが発生したりするこ
とがない。
【0030】従って、このようにして、チタン基合金材
料からなるエンジンバルブ素材48に対して硬化肉盛を
行なうと、硬化肉盛部55にピンホールを生じたり、或
いは硬化肉盛部55とエンジンバルブ素材48との間の
結合性が損なわれたりすることがなく、軽量で且つ実用
上充分に満足し得るエンジンバルブが製造され得るので
ある。また、肉盛材として粉末材料を用いているため、
棒材を用いる場合に比較して、溶接時間を短縮化し得る
と共に、硬化肉盛の自動化が容易となる。
【0031】なお、上例では、エンジンバルブ素材48
の硬化肉盛溶接を施すべき部分に、凹部54が形成され
ているが、このようにプラズマアークを用いて硬化肉盛
を行なう場合には、そのような凹部は必ずしも必要では
なく、例えば、平坦面であっても、良好なビード形状の
硬化肉盛が得られる。従って、所定の凹部を形成して硬
化肉盛を行なう必要があるガス法やTIG法に比較し
て、肉盛材の使用量が大幅に節減され得る。
【0032】そして、このようにして硬化肉盛されたエ
ンジンバルブ素材48には、その後、その硬化肉盛部5
5に研削加工等の所定の加工が施されて、燃焼室の吸気
口若しくは排気口に設けられた弁座に着座する弁フェー
ス面が形成され、耐熱性、耐摩耗性に優れたエンジンバ
ルブが製造されるのである。
【0033】なお、上記説明においては、エンジンバル
ブ素材48が、冷却用のバッキング58を介して取付軸
56に取り付けられるようになっているため、硬化肉盛
部55が良好に冷却されて、アフターシールド装置64
の溶接方向の距離lが比較的短くて済むが、このバッキ
ング58は、エンジンバルブ素材48の大きさや、溶接
電流等の溶接条件を考慮して、必要に応じて設ければ良
いものである。
【0034】また、上述したプラズマ肉盛溶接装置は、
あくまでも、本発明を好適に実施し得る装置の一例であ
り、また、その装置を用いてエンジンバルブを製造する
ことは、本発明の一つの実施例を意味するもので、本発
明は、これらの記載によって何等制約を受けるものでは
なく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施し
た態様で実施しても良いことは、勿論である。
【0035】
【実施例】因みに、チタン基合金材料としてTi−6%
Al−4%V材料を用いたエンジンバルブ素材48の傘
部52に硬化肉盛を行なう際に、溶接電流を40〜50
A、溶接速度を8mm/sec 、プラズマガスの供給量を
0.7リットル/min 、パウダ搬送ガスの供給量を3.
0リットル/min 、シールドガス供給装置44から供給
されるシールドガスの供給量を20.0リットル/min
、硬化肉盛部55の開先幅:D2 を2.0mmとし、
オシレートを行なわないという条件で、肉盛材として供
給する粉末材料及びノズル径:D1 を適宜変更するとと
もに、アフターシールド装置64から20.0リットル
/min の供給量でシールドガスを噴出して、アフターシ
ールドを行なった場合と行なわなかった場合について、
硬化肉盛部55とエンジンバルブ素材48との間の結合
性、硬化肉盛部55におけるピンホールの発生状況及び
ビード形状を調べた結果を、下記表1に示す。
【0036】なお、粉末材料Ti−TiCにおけるTi
Cの粒径は約20μmで、その混合率は約30%、Ti
−TiNにおけるTiNの粒径は約20μmで、その混
合率は約30%、Ti−TiC−WCにおけるTiC、
WCの粒径は、それぞれ、約20μm、50μmで、そ
れらの混合率は、それぞれ、約20%、10%、Ti−
WCにおけるWCの粒径は約50μmで、その混合率は
約10%である。また、No.1〜11は、前記図1に示
すトーチ10を用いて硬化肉盛を行なったものである
が、No.12は比較のために溶射で硬化肉盛を行なった
ものである。
【0037】
【表1】
【0038】かかる表1から明らかなように、ノズル
径:D1 が前記規定の範囲内で且つアフターシールドを
行なったNo.1〜5の硬化肉盛においては、硬化肉盛部
55とエンジンバルブ素材48との間の結合性も高く、
硬化肉盛部55にピンホールを生じたり、ビード形状が
損なわれたりすることもない。
【0039】これに対して、ノズル径:D1 が前記規定
の範囲から逸脱しているNo.6及びNo.7の場合には、
何れもビード形状が損なわれて、満足し得る硬化肉盛部
55が得られない。また、アフターシールドを行なわな
かったNo.8の場合には、硬化肉盛部55が大気中の酸
素等の影響を受けて、ピンホールが発生したり、ビード
形状が損なわれたりするが、これらは、実用上差し支え
ない程度で、エンジンバルブとしての使用は可能であ
る。
【0040】また、肉盛材として、ステライト#12、
Nimonic80A、Mo−MoCの粉末材料を用いたNo.
9、10、11の場合には、チタン基合金材料中のチタ
ンが肉盛材と化合して、新たな化合物を形成し、硬化肉
盛部55とエンジンバルブ素材48との間の結合性が低
下する。更に、溶射によって肉盛したNo.12の場合に
は、肉盛材は単にエンジンバルブ素材48の表面に溶着
するのみで、溶込量が少なく、結合性が著しく低下する
と共に、硬化肉盛部55に多数のピンホールが発生す
る。
【0041】加えて、上記の実施例と同様にして、Ti
−6%Al−4%V材料からなる自動車用エンジンバル
ブ素材の傘部に、Ti−TiC粉末材料を硬化肉盛する
際に、プラズマガス供給量を0.7リットル/分で一定
とし、またパウダ搬送ガス量:3リットル/分、シール
ドガス供給量:20リットル/分として、溶接電流を5
0A及び100Aの2種類に設定し、その異なる溶接電
流の下におけるノズル径(D1 )と開先幅(D2 )との
関係について、硬化肉盛部のビード形状にて評価し、そ
の結果を図4に示した。
【0042】また、溶接電流を100Aで一定とする一
方、プラズマガスの供給量を0.9リットル/分及び
1.5リットル/分の2種類に設定すること以外は、上
記と同様にして、硬化肉盛を行ない、その異なるプラズ
マガス供給量の下におけるノズル径(D1 )と開先幅
(D2 )との関係について、硬化肉盛部のビード形状に
て評価し、その結果を図5に示した。
【0043】なお、それら図4及び図5における記号に
関して、○印は硬化肉盛部のビード形状が良好であった
ことを示し、また△印はビード形状がやや損なわれるも
のの、実用上使用可能であったことを示し、更に×印は
硬化肉盛部のビード形状が不良であったことを示してい
る。
【0044】そして、かかる図4及び図5の結果より明
らかなように、ノズル径(D1 )と開先幅(D2 )との
関係について、溶接条件の電流とプラズマガス供給量か
らみても、それらの溶接条件の変化にも拘わらず、0.
6D2 ≦D1 ≦1.2D2 の条件下においては、優れた
特性を有する良好な硬化肉盛部を得ることが出来たので
ある。
【0045】
【発明の効果】このように、本発明に従って、チタン基
合金材料からなるエンジンバルブ素材にプラズマアーク
を用いて硬化肉盛を行なうと、硬化肉盛部にピンホール
が発生することがなく、また、溶接界面が実質的に独立
して認められず、該硬化肉盛部は、母材から連続的に変
化する連続相としてエンジンバルブ素材に一体的に融接
せしめられる。特に、硬化肉盛すべき粉末材料の金属炭
化物の粒径を適当に選択すれば、硬化肉盛部とエンジン
バルブ素材との間の結合性が損なわれる虞れもない。ま
た、イオン窒化法等の表面硬化処理を施す場合に比較し
て、充分な厚さの硬化肉盛部が容易に得られる。従っ
て、実用上充分に満足し得る、チタン基合金材料からな
る軽量なエンジンバルブが製造され得ることとなるので
ある。
【0046】また、肉盛材として粉末材料を用いるた
め、棒材を用いる場合に比較して硬化肉盛に要する時間
が短縮され得るとともに、硬化肉盛の自動化が容易とな
る。更に、プラズマアークを用いて硬化肉盛を行なうた
め、その硬化肉盛を施すべき開先部の深さが浅くても良
好なビード形状の硬化肉盛が得られ、肉盛材の使用量が
大幅に節減され得るという利点もある。
【0047】さらに、上記のように構成されたエンジン
バルブによれば、チタン基合金材料製であるため、その
重量が大幅に軽量化され得る。また、弁フェース面が形
成されているバルブ傘部の硬化肉盛部は、チタンと金属
炭化物とから構成されてチタン基合金材料と一体化され
ているとともに、その一体化された硬化肉盛部中におい
て、金属炭化物が微細な粒子状にてチタン層中に分散せ
しめられているため、硬化肉盛部が単にチタン基合金材
料の表面に溶着されている場合に比較して、硬化肉盛部
とチタン基合金材料との結合性が高められ、且つ充分な
硬度が得られる。従って、実用上充分に満足し得る、チ
タン基合金材料からなる軽量なエンジンバルブが提供さ
れることとなるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従うエンジンバルブの製造に好適に用
いられるプラズマ肉盛溶接装置の一例を示す説明図であ
る。
【図2】図1の装置に設けられているアフターシールド
装置の噴出孔を示す底面図である。
【図3】図1の装置によって肉盛された硬化肉盛部の断
面図である。
【図4】実施例において得られた、異なる溶接電流に対
するノズル径(D1 )と開先幅(D2 )との関係を調べ
た結果を示すグラフである。
【図5】実施例において得られた、異なるプラズマガス
供給量に対するノズル径(D1)と開先幅(D2 )との
関係を調べた結果を示すグラフである。
【符号の説明】
10:プラズマアークトーチ 38:ノズル 48:エンジンバルブ素材 52:傘部(バルブ傘部) 55:硬化肉盛部 72:金属炭化物 D1 :ノズル径 D2 :開先幅 T:チタン層

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン基合金材料からなるエンジンバル
    ブにして、そのバルブ傘部の弁フェース面が、チタンと
    金属炭化物とから構成される、該チタン基合金材料と一
    体化され、結合性の高い硬化肉盛部にて構成されると共
    に、該硬化肉盛部中において前記金属炭化物が微細な粒
    子状にてチタン層中に分散せしめられていることを特徴
    とするエンジンバルブ。
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