JPH0819141B2 - スチリル基含有トリアルコキシシラン - Google Patents

スチリル基含有トリアルコキシシラン

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JPH0819141B2
JPH0819141B2 JP3026923A JP2692391A JPH0819141B2 JP H0819141 B2 JPH0819141 B2 JP H0819141B2 JP 3026923 A JP3026923 A JP 3026923A JP 2692391 A JP2692391 A JP 2692391A JP H0819141 B2 JPH0819141 B2 JP H0819141B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は文献未載の新規なスチリ
ル基含有トリアルコキシシラン、特には新規なシランカ
ップリング剤、新規な重合性モノマーとして有用とされ
るスチリル基含有トリアルコキシシランに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、芳香環にけい素原子が直接結合し
ているスチリル基含有トリアルコキシシランとしてはパ
ラ位の置換体、例えばパラ−スチリルトリメトキシシラ
ン、パラ−α−メチルスチリルトリメトキシシランなど
が知られているだけで、オルト位またはメタ位の置換体
は知られていない。
【0003】D. W. Lewis はJ. Org. Chem. 23号, 1893
〜1895(1958年) ドイツ特許第1,079,322 号(1960 年)
、米国特許第2,982,757 号(1961 年) において、また
馬波氏は工業化学雑誌、第62巻,第4号,529 〜531 頁
(1959年) においてパラ−スチリルトリクロロシランの
メタノリシスでパラ−スチリルトリメトキシシランを得
ており、さらに川上氏はPolym. J. 第17巻, 第11号, 11
59〜72頁(1985 年) のなかでパラ−スチリルマグネシウ
ムクロライドとクロロトリメトキシシランとの反応によ
りパラ−スチリルトリメトキシシランを得ているが、い
ずれの文献もオルト位またはメタ位置換のスチリル基含
有トリアルコキシシランについては言及していない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかして、スチリル基
含有トリアルコキシシランはシランカップリング剤、重
合性モノマーとして産業上有用なものであるが、従来知
られているパラ位置換のスチリル基含有トリアルコキシ
シランは極度の重合性を有しており、合成中または蒸溜
精製中に重合するために概して収率が低く、工業的製造
に難点が多かった。また、このスチリル基含有トリアル
コキシシランについてはパラ位置換のスチリル基含有ト
リアルコキシシランからでは望み得ない諸物性をもつ新
規なスチリル基含有トリアルコキシシランが要望されて
いる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような要望
に応え得る新規なスチリル基含有トリアルコキシシラン
に関するもので、これは一般式
【0006】
【化2】
【0007】(ここにR1は水素原子またはメチル基、R2
は1価炭化水素基で、H2C=CR1-基はけい素原子に対しオ
ルト位またはメタ位に位置する)で示されるスチリル基
含有トリアルコキシシランに関するものである。
【0008】すなわち、本発明者らは従来知られていな
いビニル基またはα−メチルビニル基がけい素原子に対
しオルト位またはメタ位に位置するスチリル基含有トリ
アルコキシシランを得るべく種々検討した結果、これは
一般式
【0009】
【化3】
【0010】(R1は前記と同じ、Xはハロゲン原子でH2
C=CR- 基がマグネシウム原子に対しオルト位またはメタ
位に位置する)で示されるグリニヤール試薬と一般式 Y4-nSi(OR2)n (Yはハロゲン原子、R2は前記に同じ、nは0〜4)で
示される有機けい素化合物を反応させればn=3,4の
場合には直接に、またn=0〜2の場合にはついで一般
式R3OH(R3 は1価炭化水素基)で示されるアルコ−ル類
でアルコリシスすることにより上記したH2C=CR1-基がけ
い素原子に対しオルト位またはメタ位に位置するスチリ
ル基含有トリアルコキシシランを高収率で得ることがで
きることを見出し、このものは重合性が工業的な製造工
程に十分耐える程度に抑えられたものであり、シランカ
ップリング剤、重合性モノマーとして種々の用途に有効
に使用されるものであることを確認して本発明を完成さ
せた。以下にこれをさらに詳述する。
【0011】
【作用】本発明は文献未載な新規なスチリル基含有トリ
アルコキシシランに関するものである。
【0012】本発明のスチリル基含有トリアルコキシシ
ランは一般式
【0013】
【化4】
【0014】で示され、このR1は水素原子またはメチル
基、R2はメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プ
ロピル基、n−ブチル基などのアルキル基、ビニル基、
アリル基などのアルケニル基、フェニル基、トリル基な
どのアリール基などから選ばれる1価炭化水素基で、一
般には工業的にメチル基、エチル基が特に好ましく選ば
れるものであり、このH2C=CR1-基が、けい素原子に対し
てオルト位またはメタ位に位置したもので、これには下
記のものが例示される。
【0015】
【化5】
【0016】
【化6】
【0017】
【化7】
【0018】
【化8】
【0019】
【化9】
【0020】
【化10】
【0021】
【化11】
【0022】
【化12】
【0023】上記した本発明のスチリル基含有トリアル
コキシシランは一般式
【0024】
【化13】
【0025】(ここにR1は水素原子またはメチル基、X
はハロゲン原子で、H2C=CR1-基はマグネシウム原子に対
してオルト位またはメタ位に位置する)で示されるグリ
ニヤール試薬と、一般式 Y4-nSi(OR2)n …(3) (ここにYはハロゲン原子、R2は一価炭化水素基、nは
0〜4の整数)で示される有機けい素化合物とを反応さ
せればn=3,4の場合には直接に、またn=0〜2の
場合、すなわち、上記反応で得られた化合物のけい素原
子に1〜3個のハロゲン基が結合している場合には、つ
いで好ましくは脱塩酸剤の存在下で一般式 R3OH …(4) (R3は一価炭化水素基である。)で示されるアルコール
類でアルコリシスを行なって、けい素原子に結合してい
るすべてのハロゲン基をアルコキシ基に変えることによ
り、容易に得ることができる。
【0026】この反応に使用する上記一般式(2)で示
されるグリニヤール試薬におけるR1は水素原子またはメ
チル基、Xはハロゲン原子、例えば塩素、臭素、ヨウ素
とされるので、これにはメタ−スチリルマグネシウムク
ロライド、メタ−スチリルマグネシウムブロミド、オル
ト−スチリルマグネシウムブロミド、メタ−α−メチル
スチリルマグネシウムクロリド、メタ−α−メチルスチ
リルマグネシウムブロミド、オルト−α−メチルスチリ
ルマグネシウムブロミドなどが例示されるが、これらは
例えば窒素で十分に置換のすんだフラスコ中に金属マグ
ネシウムと不活性溶剤としてのテトラハイドロフランを
仕込み、ここに一般式
【0027】
【化14】
【0028】(ここにR1,Xは前記に同じで、H2C=CR1-
基はハロゲン原子に対してオルト位またはメタ位に位置
する)で示されるハロゲノスチレン誘導体を滴下し、室
温下もしくは加温下に反応させることによって得ること
ができる。
【0029】また、上記した本発明のスチリル基含有ト
リアルコキシシランを得るために上記した反応で使用さ
れる上記した一般式(3)で示される有機けい素化合物
はR2が前記した一価炭化水素基、好ましくはアルキル
基、特に工業的には好ましくはメチル基、エチル基とさ
れるもので、Yが塩素、臭素、ヨウ素で例示されるハロ
ゲン原子、特に工業的には好ましくは塩素とされるもの
であり、nが0〜4とされるものであることから、これ
はSiCl4, (CH3O)SiCl3, (CH3O)2SiCl2,(CH3O)3SiCl, (C
H3O)4Si, (CH3CH2O)SiCl3, (CH3CH2O)2SiCl2, (CH3CH
2O)3 SiCl, (CH3CH2O)4Siで例示されるものとすればよ
い。
【0030】上記反応は例えば窒素で十分に置換の済ん
だフラスコ中に一般式(3)で示される有機けい素化合
物と必要であれば有機溶剤を仕込み、ここに一般式
(2)で示されるグリニャ−る試薬を滴下し、反応させ
ることによって実施される。この反応における一般式
(2)で示されるグリニャ−ル試薬と一般式(3)で示
される有機けい素化合物との反応における両者の反応割
合には特に限定はないが、この有機けい素化合物に対す
るグリニャ−ル試薬のモル比は1:5〜5:1、好まし
くは1:2〜2:1の範囲とすることがよい。この反応
温度は−30〜100℃の範囲、より好ましくは0〜4
0℃とすることがよい。
【0031】なお、これらの反応は有機溶剤、例えば、
テトラハイドロフラン、ジエチルエ−テルなどのエ−テ
ル系溶剤、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどの
リン系アミド溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘ
キサン、イソオクタンなどの炭化水素系溶剤の存在下で
行なつてもよいが、これにはグリニャ−ル試薬調整時に
おいて試薬の生成速度が早くなり、生成率も高くなるこ
とから特にテトラハイドロフランを用いることが好まし
い。また、この反応系は水分および酸素が存在すると、
その反応段階でグリニャ−ル試薬が水分及び酸素と反応
したり、または一般式(3)で示される有機けい素化合
物およびこの反応の生成物が水分と反応して収率低下の
原因となるので、これは窒素、アルゴンなどの不活性ガ
ス雰囲気下で行なうことが好ましい。また反応時間は通
常1〜80時間の範囲で自由に選ぶことができるが、こ
の反応圧力はこれが大気圧下でも十分進行するので通常
は常圧で実施すればよく、これは必要に応じて加圧下で
実施してもよい。
【0032】上記反応において、一般式(3)で示され
る有機けい素化合物がn=3,4の場合、生成物は目的
とする前記一般式(1)で示されるスチリル基含有トリ
アルコキシシランであるため、この反応終了後、生じた
塩類を減圧ろ過で除去し、ろ液から溶剤を留去したの
ち、減圧蒸留で生成物を精製すれば目的とする前記した
一般式(1)で示されるスチリル基含有トリアルコキシ
シランを得ることができる。
【0033】また、上記反応において、一般式(3)で
示される有機けい素化合物がn=0〜2の場合、生成物
はけい素原子にスチリル基とともに1〜3個のハロゲン
基を結合した構造を有するものであるため、目的とする
前記した一般式(1)で示されるスチリル基含有トリア
ルコキシシランを得るためには、さらに一般式(4)で
示されるアルコ−ルによってアルコリシスを行なう必要
があり、これに使用される上記一般式(4)で示される
アルコ−ルは、R3 がR2 と同様のアルキル基、アルケ
ニル基、アリ−ル基から選択され、通常はアルキル基と
される一価炭化水素基、特には工業的に好ましくはメチ
ル基、エチル基であり、これにはメチルアルコ−ル、エ
チルアルコ−ル、イソプロピルアルコ−ル、n−ブチル
アルコ−ルが例示される。また、上記反応においては脱
塩酸剤の存在下で行なうことが好ましく、これにより効
率的なアルコリシスが行なわれ、かつ遊離の塩酸によっ
てもたらされる副反応を防止することもできる。この脱
塩酸剤にはトリエチルアミン、トリプロピルアミン、ト
ルブチルアミン、エチレンジアミン、尿素、アンモニ
ア、ピリジン、アニリンが例示される。また、上記反応
においては有機溶剤、例えばテトラハイドロフラン、ジ
エチルエ−テルなどのエ−テル系溶剤、ベンゼン、トル
エン、キシレン、ヘキサン、イソオクタンなどの炭化水
素系溶剤の存在下で行なってもよい。従って、上記反応
において、一般式(3)で示される有機けい素化合物が
n=0〜2の場合、一般式(2)で示されるグリニャ−
ル試薬とn=0〜2である一般式(3)で示される有機
けい素化合物の反応生成物を反応終了後、生じた塩類を
減圧ろ過で除去し、ろ液から溶剤を留去することによ
り、その粗製物として得た後、次いでこのものを窒素で
十分に置換の済んだフラスコ中に好ましくは脱塩酸剤お
よび有機溶剤とともに仕込み、ここに一般式(4)で示
されるアルコ−ルを滴下してアルコリシスを行ない、こ
の反応終了後、生じた塩酸塩を減圧ろ過で除去し、ろ液
から低沸分を留去したのち、減圧蒸留で生成物を精製す
れば目的とする前記した一般式(1)で示されるスチリ
ル基含有トリアルコキシシランを得ることができる。
【0034】本発明の化合物は重合性が工業的な製造工
程に十分耐えうる程度に抑えられたものであるが、反応
原料である前記一般式(2)で示されるグリニャ−ル試
薬および目的物である前記一般式(1)で示されるスチ
リル基含有トリアルコキシシランは重合性の不飽和基を
構造中に有するものであり、このものはその反応工程お
よび蒸留工程において必要以上に加熱すると重合を引き
起こし、その結果、収率が大幅に減少するので、上記し
た一般式(2)で示されるグリニャ−ル試薬の合成工
程、一般式(1)で示されるスチリル基含有トリアルコ
キシシランの合成工程およびその蒸留工程に当たっては
重合禁止剤、例えば2.6−ジ−t−ブチル−4−メチ
ルフェノ−ル、2,6−ジ−t−ブチルフェノ−ル、
2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチル
フェノ−ル)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−
6−ブチルフェノ−ル)、2,5−ジ−t−ブチル−ハ
イドロキノン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−
トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4
−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス
(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニ
ル)ブタンなどのヒンダ−ドフェノ−ル系の重合禁止
剤、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェ
ニレンジアミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フ
ェニレンジアミン、n−フェニル−β−ナフチルアミン
などのアミン系の重合禁止剤、ジメチルジチオカルバミ
ン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛などのジチオ
酸系の重合禁止剤の1種または数種の混合物を添加する
ことがよく、これによれば望ましくない一般式(1)、
(2)で示される化合物の重合防止することができる
が、これらの重合禁止剤の添加量は一般式(1)、
(2)で示される化合物の重量100部に対して好まし
くは0.001〜5重量部とすればよい。加えてこの重
合防止は蒸留工程において蒸留の間に例えば空気の形で
系内に酸素を導入することによっても有利にこれを行な
うことができる。
【0035】また、上記した一般式(2)で示されるグ
リニャ−ル試薬と一般式(3)で示される有機けい素化
合物との反応の生成物のけい素原子に1〜3個のハロゲ
ン基が結合している場合におけるアルコリシスにおいて
も、目的物とするスチリル基含有トリアルコキシシラン
の重合を防止するために上記した重合禁止剤の添加が非
常に有効とされる。
【0036】このように得られた前記した一般式(1)
で示される本発明のスチリル基含有トリアルコキシシラ
ンはシランカップリング剤、重合性モノマーとして有用
とされるが、これをシランカップリング剤として使用す
ると、これは無機質材料、例えばガラス繊維、クレイ、
シリカ、石英粉、マイカ、アルミナなど、および有機材
料、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン、不飽和ポリエステル、天然ゴム、合成ゴムなどへの
処理剤、添加剤として好適に使用されるし、これはまた
複合材料の機械的強度、接着性の向上、電気特性の安定
化、樹脂改質、表面改質、またシーリング剤の接着性向
上用プライマーなどとして広くその効果を発揮する。
【0037】また、これを重合性モノマーとして使用す
る場合には、種々のラジカル重合性モノマー、例えばス
チレン、アクリレート、メタクリレート、ビニルエステ
ル、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、ブタジエン、
イソプレン、クロロプレンおよびα−オレフィンなどと
有機過酸化物またはアゾ化合物などの重合開始剤の存在
下にラジカル共重合させることにより、加水分解性基を
側鎖にもつポリマーを得ることができ、このものは水分
による穏やかな条件における良好な架橋特性をもつと共
に、無機および金属系材料に対して非常に親和性にすぐ
れたアルコキシ基をもつために、種々の基体に対して接
着性にすぐれ、また耐熱性、耐候性、耐寒性、気体透過
性、耐衝撃性などの諸物性が向上し、高機能プラスチッ
ク材料、機能性膜材料などへの用途が期待されるもので
ある。
【0038】
【実施例】つぎに本発明の実施例をあげるが、本発明は
下記の実施例に制限されるものではない。 実施例1 メチル−スチリルトリメトキシシランの合成 温度計、撹拌装置、ジムロート冷却器を備えた1,000c.
c. の四ツ口ガラス製反応器を予め十分窒素で置換した
のち、これに金属マグネシウム13.4g(0.55モル)、テ
トラハイドロフラン165c.c. および少量のメチルマグネ
シウムクロライドのテトラハイドロフラン溶液を仕込
み、これに窒素ガス雰囲気下にメタ−ブロモスチレン9
1.5g(0.5モル) 、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチ
ルフェノ−ル0.09g およびテトラハイドロフラン500c.
c. の混合液を内温25〜35℃で2時間かけて滴下
し、さらに25℃で2時間撹拌してグリニャ−ル試薬と
してのメタ−スチリルマグネシウムブロミドを調製し
た。
【0039】ついで温度計、撹拌装置、ジムロート冷却
器を備えた2,000c.c. の四ツ口ガラス製反応器を予め十
分窒素で置換したのち、これにクロロトリメトキシシラ
ン78.3g(0.5モル) 、トルエン150c.c.、テトラハイドロ
フラン150c.c. およびジメチルジチオカルバミンン酸銅
0.5gを仕込み、内温20〜30℃で前記のメタ−スチリルマ
グネシウムブロミドのテトラハイドロフラン溶液を4時
間かけて滴下し、滴下終了後も内温20〜30℃で2時間撹
拌して熟成させたところ、熟成時間の経過と共に大量の
塩が析出してきた。反応終了後、この反応混合物を冷却
してからn−ヘキサン500c.c. でさらに塩を析出させた
のち、減圧濾過して塩を除去し、濾液よりエバポレータ
ーでテトラハイドロフラン、n−ヘキサンおよびトルエ
ンを留去したのち、この濃縮液に重合禁止剤としてのジ
メチルジチオカルバミン酸銅および2,2'−メチレンビス
(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)をそれぞれ
0.5 gおよび2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェ
ノ−ル0.05gを添加し、減圧蒸留したところ、塔頂温度
75〜77℃(1.5 mmHg)の留分84gが得られた。
【0040】つぎにこのものについて核磁気共鳴スペク
トル(1HNMR) 、赤外吸収スペクトル(IR)および質量スペ
クトル(MS)を測定したところ、下記の結果が得られ、こ
のものはメタ−スチリルトリメトキシシランであること
が確認され、この収率は75%であった。
【0041】測定結果
1)質量スペクトル(MS):m/z(スペクトル強度比、帰属) 224(100、M+)、193(28、(M-OCH3)+)、 162(38)、 121(45、(Si
(OCH3)3 +)、 107(38)、90(45)、 59(29)、 45(54) 2)核磁気共鳴スペクル(1HNMR、 溶媒CCl4):δ(ppm)
【0042】
【化15】
【0043】a:3.55(9H, s) b:7.06 〜7.68(4H, m) c:
6.67(1H, dd) d:5.17(1H, dd) e:5.68(1H, dd)
3)赤外吸収スペクル(IR):(cm-1) 2960
【0044】
【化16】
【0045】
2850, 1640, 1482, 1398, 120
5, 1145,1098(Si-O-C), 1004, 920, 869, 828,810, 734
【0046】 実施例2 メタ−スチリルトリエトキシシランの合成 クロロトリメトキシシランをクロロトリエトキシシラン
99.3g(0.5 モル)に変えたほかは実施例1と同様の方
法で処理したところ、メタ−スチリルトリエトキシシラ
ンが得られた。このものの質量スペクトル(MS)を下記に
示す。このものの収率は65%であった。 測定結果 ・質量スペクトル(MS):m/z (スペクトル強度比、帰
属) 266(56、 M+)、 251(9、 (M-CH3)+)、 222(56、 (M-CH3-CH2C
H3)+)、 221(49、 (M-OCH2CH3)+)、 207(11)、 193(14)、 16
5(28)、 149(40)、 135(100、 (HOSi(OCH2CH3)2)+)、 119
(28)、103(21)、 79(23)、 63(14)、 45(31)
【0047】
【発明の効果】本発明は文献未載のオルト−またはメタ
−スチリルトリアルコキシシランに関するものであり、
これは前記したように一般式
【0048】
【化17】 (ここにR1は水素原子またはメチル基、R2は1価炭化水
素基で、H2C=CR1-基はけい素原子に対しオルト位または
メタ位に位置する)で示されるものであるが、このもの
は従来公知のパラ位置換のスチリルトリアルコキシシラ
ンに比べて工業的な製造工程に十分耐えうる抑制された
重合性をもつものであるために、工業的に高収率でオル
ト−またはメタスチリルトリアルコキシシランを製造す
ることができるし、このものはシランカップリング剤と
して、また重合性モノマーとして工業的に有用とされる
という有利性をもつものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 遠藤 幹夫 新潟県中頚城郡頚城村大字西福島28番地の 1 信越化学工業株式会社 合成技術研究 所内 (72)発明者 久保田 透 新潟県中頚城郡頚城村大字西福島28番地の 1 信越化学工業株式会社 合成技術研究 所内 (56)参考文献 特開 平3−52911(JP,A)

Claims (2)

    整理番号 P021304 【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 【化1】 (ここにR1は水素原子またはメチル基、R2は1価炭化水
    素基で、H2C=CR1-基はけい素原子に対しオルト位または
    メタ位に位置する)で示されるスチリル基含有トリアル
    コキシシラン。
  2. 【請求項2】R2 が低級アルキル基である請求項1に記
    載したスチリル基含有トリアルコキシシラン。
JP3026923A 1991-01-28 1991-01-28 スチリル基含有トリアルコキシシラン Expired - Fee Related JPH0819141B2 (ja)

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