JPH08188473A

JPH08188473A - 吹付用不定形耐火物

Info

Publication number: JPH08188473A
Application number: JP7018442A
Authority: JP
Inventors: Satoru Terayama; 知寺山; Masakazu Iida; 正和飯田; Yasunobu Toritani; 恭信鳥谷
Original assignee: Kawasaki Refractories Co Ltd
Current assignee: JFE Refractories Corp
Priority date: 1995-01-09
Filing date: 1995-01-09
Publication date: 1996-07-23

Abstract

(57)【要約】【目的】冷間（常温）及び熱間のいずれの条件下にお
いても施工を行うことが可能で、かつ、良好な施工体を
得ることが可能な吹付用不定形耐火物を提供する。【構成】耐火性骨材に対して、ｐＨ３．０〜５．０の
弱酸性リン酸ソーダ０．１〜６．０重量％（外掛け）
と、消石灰０．１〜４．０重量％（外掛け）を配合す
る。さらに、爆裂防止剤として、乳酸アルミニウム０．
１〜３．０重量％（外掛け）、水又は温水に可溶な有機
繊維０．０１〜０．５重量％（外掛け）を配合する。さ
らに、ホウ珪酸ガラス粉末０．１〜５．０重量％（外掛
け）を配合する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、吹付用不定形耐火物に
関し、詳しくは、転炉、電気炉、ＲＨ真空脱ガス装置な
どの補修に用いられる、常温及び熱間のいずれの条件下
においても施工することが可能な吹付用不定形耐火物に
関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】耐火材
（吹付補修材）を吹き付けることにより損傷部分の補修
を行う吹付補修法は施工が容易で、施工人員の削減、炉
寿命の延長などを図ることが可能であるという特徴を有
しており、近年、転炉、電気炉、ＲＨ真空脱ガス装置な
どの補修に広く用いられている。

【０００３】そして、この吹付補修に用いられる吹付用
不定形耐火物（以下単に「吹付材）ともいう）に要求さ
れる重要な特性としては、溶融金属・スラグに対する耐食性が良好であること、使用時に剥離がなく、母材との接着性に優れているこ
と、吹付施工時のリバウンドロスや付き落ちの発生が少な
く、付着性に優れていること、急加熱された場合にも施工体の爆裂がないことなどが
ある。

【０００４】ところで、アルミナセメントを主結合剤と
する冷間用吹付材は、吹付後に十分に養生して施工体の
強度を発現させた後、ゆっくりと乾燥させる必要があ
る。そのため、熱間で施工を行った場合には、母材との
接着性が低下するという問題があり、熱間での施工には
適さない。

【０００５】また、リン酸ソーダを主結合材とする熱間
用吹付材は、熱間（例えば母材温度８００℃以上）で施
工を行った場合には十分な強度を発現するが、冷間で施
工を行った場合には十分な強度を発現せず、母材との接
着性に劣るため、冷間での施工には適さない。

【０００６】それゆえ、冷間と熱間の両方の条件下で補
修を行う場合には、冷間用及び熱間用の２種類の吹付材
が必要となり、作業性が悪いという問題点がある。

【０００７】本発明は、上記問題点を解決するものであ
り、冷間（常温）及び熱間のいずれの条件下においても
施工を行うことが可能な吹付用不定形耐火物を提供する
ことを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の吹付用不定形耐火物は、耐火性骨材に対し
て、ｐＨ３．０〜５．０の弱酸性リン酸ソーダ０．１〜
６．０重量％（外掛け）と、消石灰０．１〜４．０重量
％（外掛け）を配合したことを特徴としている。

【０００９】また、上記吹付用不定形耐火物にさらに、
爆裂防止剤として、乳酸アルミニウム０．１〜３．０重
量％（外掛け）、水又は温水に可溶な有機繊維０．０１
〜０．５重量％（外掛け）を配合したことを特徴として
いる。

【００１０】また、上記吹付用不定形耐火物にさらに、
ホウ珪酸ガラス粉末０．１〜５．０重量％（外掛け）を
配合したことを特徴としている。

【００１１】本発明の吹付用不定形耐火物においては、
耐火性骨材として、マグネシア、アルミナ、シリカ、炭
化珪素、黒鉛、アルミナセメント、耐火粘土、金属シリ
コンなどを種々の割合で配合した材料を用いることが可
能であり、さらに他の材料を用いることも可能である。

【００１２】また、本発明の吹付用不定形耐火物におい
て、ｐＨ３．０〜５．０の弱酸性リン酸ソーダは、結合
剤、接着剤として機能する。この弱酸性リン酸ソーダの
配合割合は、耐火性骨材に対して０．１〜６．０重量％
（外掛け）の範囲とすることが好ましい。これは、配合
割合が０．１重量％未満の場合、母材との接着性が不十
分で接着強度が低く、また、６．０重量％を越えると接
着強度及び耐食性が低下することによる。

【００１３】また、本発明の吹付用不定形耐火物におい
て、消石灰は、結合助剤として機能する。その配合割合
は、耐火性骨材に対して０．１〜４．０重量％（外掛
け）の範囲とすることが好ましい。これは、配合割合が
０．１重量％未満の場合、結合助剤としての効果が不十
分で硬化が遅くなること、また、４．０重量％を越える
と耐食性が低下することによる。

【００１４】また、本発明の吹付用不定形耐火物におい
ては、さらに、施工時の爆裂を防止するために、爆裂防
止剤を添加することも可能であり、この爆裂防止剤とし
ては、一般に乳酸アルミニウムや有機繊維などが知られ
ているが、本発明の吹付用不定形耐火物においては、両
者を、乳酸アルミニウム０．１〜３．０重量％（外掛
け）、水又は温水に可溶で貫通気孔を形成しやすい有機
繊維０．０１〜０．５重量％（外掛け）を併用すること
により必要な爆裂防止効果を得ることができる。なお、
水又は温水に可溶で貫通気孔を形成しやすい有機繊維と
しては、ビニロンファイバーなどを例示することができ
る。但し、乳酸アルミニウムと有機繊維のいずれか一方
を単独で使用した場合には十分な効果が得られない。

【００１５】ここで、乳酸アルミニウムの配合割合を
０．１〜３．０重量％（外掛け）としたのは、配合割合
が０．１重量％未満の場合、爆裂防止剤としての効果が
不十分になり、また、３．０重量％を越えると耐食性が
低下することによる。

【００１６】また、有機繊維の配合割合を０．０１〜
０．５重量％（外掛け）としたのは、配合割合が０．０
１重量％未満の場合、爆裂防止剤としての効果が不十分
になり、また、０．５重量％を越えると気孔率が上昇し
て耐食性が低下することによる。

【００１７】また、本発明の吹付用不定形耐火物におい
ては、さらに、接着強度、熱間強度を向上させるため
に、ホウ珪酸ガラス粉末を添加することも可能である。
なお、このホウ珪酸ガラス粉末の配合割合は、０．１〜
５．０重量％（外掛け）の範囲とすることが好ましい。
これは、配合割合が０．１重量％未満の場合、常温・熱
間曲げ強度が低く、十分な施工体強度が得られなくな
り、また、５．０重量％を越えると施工体強度は十分得
られるが、耐食性が低下することによる。

【００１８】

【実施例】以下、本発明の実施例を示してその特徴とす
るところをさらに詳しく説明する。

【００１９】まず、本発明の吹付用不定形耐火物の特徴
を明らかにするため、特定の成分の添加量や添加の有無
と接着強度、耐爆裂性、曲げ強度の関係について調べた
結果を以下に示す。

【００２０】「各種リン酸ソーダの添加量と接着強度
の関係」表１に示すような割合で、電融アルミナ、炭化珪素、ア
ルミナセメント、ホウ珪酸ガラスを配合した耐火性骨材
に、表２に示すような割合で酸性ヘキサメタリン酸ソー
ダ、酸性ピロリン酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ソーダ、
ウルトラポリリン酸ソーダを配合してなる試料につい
て、下記の方法により接着強度を調べた。その結果を表
２に併せて示す。

【００２１】

【表１】

【００２２】（接着性試験方法）４０mm×４０mm×１６
０mmの金型の半分に、１４００℃×３ｈ還元焼成したＡ
ｌ₂Ｏ₃−ＳｉＯ₂−Ｃのキャスタブルを４０mm×４０mm
×８０mmに切断したものを入れた後、残り半分に試料を
鋳込み、所定の温度で熱処理した後、３点曲げ試験機に
より接着強度を測定する。

【００２３】

【表２】

【００２４】表２に示すように、酸性ヘキサメタリン酸
ソーダ、酸性ピロリン酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ソー
ダ、ウルトラポリリン酸ソーダのうち、弱酸性（ｐＨ
３．０〜５．０）の、酸性ヘキサメタリン酸ソーダ、酸
性ピロリン酸ソーダを添加したものについては大きな接
着強度が得られた。そして、添加量が増えるにともなっ
て接着強度が向上した。但し、添加量が６％（重量％）
（外掛け）を越えても効果の向上はあまり認められなか
った。

【００２５】「耐爆裂性」表１に示す組成の耐火性骨材に、表３に示すような割合
で、乳酸アルミニウム及びビニロンファイバーのいずれ
か一方、及び両方を添加した試料について、以下の方法
により耐爆裂性を調べた。その結果を表３に併せて示
す。

【００２６】（爆裂試験方法）常温のれんが及び６００
℃まで加熱したれんがに、吹付機により試料を２００mm
の厚みになるように吹き付けた後、灯油バーナで９００
℃に加熱して爆裂の有無を調べる。

【００２７】

【表３】

【００２８】表３に示すように、乳酸アルミニウムを添
加したものについては、熱間吹付では、その添加量など
の条件次第では爆裂の生じない場合もあるが、冷間吹付
では爆裂が生じた。

【００２９】また、ビニロンファイバーを添加したもの
については、熱間吹付では、耐爆裂性に優れているが、
冷間吹付では、多くの条件で爆裂が発生した。

【００３０】一方、乳酸アルミニウムとビニロンファイ
バーの両方を添加したものについては、熱間吹付及び冷
間吹付のいずれの条件でも爆裂は生じなかった。

【００３１】「（常温）曲げ強さ及び熱間曲げ強さ」表１に示す組成の耐火性骨材に、表４に示すような割合
で、ホウ珪酸ガラス（粉末）を添加した試料について、
以下の方法により（常温）曲げ強さ及び熱間曲げ強さを
調べた。その結果を表４に併せて示す。

【００３２】（常温曲げ試験方法）４０mm×４０mm×１
６０mmの金型に鋳込み成形した試料片を乾燥（１１０℃
×１０ｈ）した後、還元焼成（８００℃×３ｈ、１４０
０℃×３ｈ）した焼成体について３点曲げ試験を行っ
た。

【００３３】（熱間曲げ試験方法）２５mm×２５mm×１
６０mmの金型に鋳込み成形した試料片について、熱間曲
げ装置を用いて１４００℃（窒素ガス雰囲気）の条件で
曲げ試験を行った。

【００３４】

【表４】

【００３５】表４に示すように、ホウ珪酸ガラス粉末を
添加すると、８００℃×３ｈ、１４００℃×３ｈ焼成後
の（常温）曲げ強さと１４００℃の熱間曲げ強さが向上
した。そして、ホウ珪酸ガラス粉末の添加量が増加する
につれて強度が向上する傾向が認められた。但し、その
添加量が６．０％（重量％）（外掛け）になると強度の
低下が認められた。

【００３６】次に、表５に示すような割合で、酸性ヘキ
サメタリン酸ソーダ、酸性ピロリン酸ソーダ、消石灰、
乳酸アルミニウム、ビニロンファイバーなどを配合して
なる本発明の吹付用不定形耐火物（実施例の試料）と、
酸性ヘキサメタリン酸ソーダ、酸性ピロリン酸ソーダを
添加しない吹付用不定形耐火物（比較例の試料）を用意
し、これについて、常温曲げ強さ、熱間曲げ強さ、接着
強度、実炉試験における付着率、昇温時の爆裂の有無、
使用時の剥離の有無を調べた。その結果を表５に併せて
示す。

【００３７】

【表５】

【００３８】表５に示すように、比較例では、実炉にお
ける吹付時の付着率が８５％と低く、また使用時の母材
との剥離が大きく、耐用性が不十分であるという結果が
得られた。

【００３９】これに対し、実施例の試料の場合、酸性ヘ
キサメタリン酸ソーダを使用した実施例１〜３、及び酸
性ピロリン酸ソーダを使用した実施例４〜６のいずれの
場合においても、吹付時の付着率が９０％以上と高く、
その添加量が増えるにつれて付着率が向上した。また、
使用時の剥離もなく、十分な耐用性を有することが確認
された。

【００４０】さらに、表５には示していないが、酸性ヘ
キサメタリン酸ソーダと酸性ピロリン酸ソーダを併用し
た場合にも上記実施例の場合と同様の耐用性が得られ
た。

【００４１】なお、本発明の吹付用不定形耐火物は、上
記実施例に限定されるものではなく、耐火性骨材の種類
や配合比、有機繊維の種類、さらにはその他の微量添加
物の添加の有無や添加量などに関し、発明の要旨の範囲
内において種々の応用、変形を加えることが可能であ
る。

【００４２】

【発明の効果】上述のように、本発明の吹付用不定形耐
火物は、耐火性骨材に対して、弱酸性リン酸ソーダと、
消石灰を、上記所定の割合で配合し、さらに、必要に応
じて、爆裂を防止するために乳酸アルミニウムと有機繊
維を配合したり、強度を向上させるためにホウ珪酸ガラ
ス粉末を配合したりするようにしているので、吹付後の
急加熱に対する耐爆裂性を向上させることが可能になる
とともに、母材との接着強度を向上させて耐剥離性を向
上させることが可能になる。

【００４３】したがって、本発明の吹付用不定形耐火物
を用いることにより、原単位の低減や吹付回数の低減に
よる稼働率の向上などを図ることが可能になる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】耐火性骨材に対して、ｐＨ３．０〜５．
０の弱酸性リン酸ソーダ０．１〜６．０重量％（外掛
け）と、消石灰０．１〜４．０重量％（外掛け）を配合
したことを特徴とする吹付用不定形耐火物。
【請求項２】さらに、爆裂防止剤として、乳酸アルミ
ニウム０．１〜３．０重量％（外掛け）、水又は温水に
可溶な有機繊維０．０１〜０．５重量％（外掛け）を配
合したことを特徴とする請求項１記載の吹付用不定形耐
火物。
【請求項３】さらに、ホウ珪酸ガラス粉末０．１〜
５．０重量％（外掛け）を配合したことを特徴とする請
求項１又は２記載の吹付用不定形耐火物。