JPH081858A - 加工性に優れた表面処理鋼板 - Google Patents
加工性に優れた表面処理鋼板Info
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- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
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- C23C28/30—Coatings combining at least one metallic layer and at least one inorganic non-metallic layer
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 純亜鉛電気めっき鋼板をベースにした表面処
理鋼板の外観の色調むらを解消し、加工性と加工後耐食
性も改善する。 【構成】 純亜鉛電気めっき皮膜を、アルキン、アルキ
ノール、アミン、チオ化合物、複素環化合物、ポリカル
ボン酸、安息香酸、リグニンスルホン酸、ポリリン酸の
1種以上を 0.001〜10重量%添加しためっき浴から形成
し、その上に金属Cr換算で1〜200 mg/m2 のクロメート
皮膜と、膜厚 0.3〜5μmの有機樹脂皮膜を形成する。
樹脂皮膜には、粒径1〜100 nmのシリカ5〜50重量%お
よび/または融点100 ℃以上の固形潤滑剤3〜40重量%
を含有させることができる。潤滑剤は、大粒径潤滑剤3
〜50重量%と小粒径潤滑剤97〜50重量%との混合物であ
ることが好ましい。
理鋼板の外観の色調むらを解消し、加工性と加工後耐食
性も改善する。 【構成】 純亜鉛電気めっき皮膜を、アルキン、アルキ
ノール、アミン、チオ化合物、複素環化合物、ポリカル
ボン酸、安息香酸、リグニンスルホン酸、ポリリン酸の
1種以上を 0.001〜10重量%添加しためっき浴から形成
し、その上に金属Cr換算で1〜200 mg/m2 のクロメート
皮膜と、膜厚 0.3〜5μmの有機樹脂皮膜を形成する。
樹脂皮膜には、粒径1〜100 nmのシリカ5〜50重量%お
よび/または融点100 ℃以上の固形潤滑剤3〜40重量%
を含有させることができる。潤滑剤は、大粒径潤滑剤3
〜50重量%と小粒径潤滑剤97〜50重量%との混合物であ
ることが好ましい。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、家電製品、複写機、
自動車、建材製品などへの使用に適した表面均一性、加
工性および加工後耐食性に優れた表面処理鋼板に関す
る。
自動車、建材製品などへの使用に適した表面均一性、加
工性および加工後耐食性に優れた表面処理鋼板に関す
る。
【0002】
【従来の技術】家電向けを中心に、電気亜鉛めっき鋼板
上に、高耐食性を目的としてクロメート処理を施し、さ
らに高耐食性および耐指紋性、潤滑性などの機能付与を
目的として数ミクロンまでの厚さの有機樹脂皮膜を形成
した表面処理鋼板が広く使用されるようになってきた。
上に、高耐食性を目的としてクロメート処理を施し、さ
らに高耐食性および耐指紋性、潤滑性などの機能付与を
目的として数ミクロンまでの厚さの有機樹脂皮膜を形成
した表面処理鋼板が広く使用されるようになってきた。
【0003】亜鉛めっき皮膜上にクロメート皮膜と有機
樹脂皮膜とを有するこれらの表面処理鋼板は、亜鉛めっ
き時のめっき結晶の不均一性等に起因するむらが目立ち
易く、商品価値が低下するという問題点がある。特に、
クロメート皮膜を反応型クロメート処理液により形成し
た場合、クロメート皮膜が下地のめっきむらに対応して
発色し、有機樹脂皮膜がそのむらを鮮明にするため、外
観の不均一性が顕著となる。
樹脂皮膜とを有するこれらの表面処理鋼板は、亜鉛めっ
き時のめっき結晶の不均一性等に起因するむらが目立ち
易く、商品価値が低下するという問題点がある。特に、
クロメート皮膜を反応型クロメート処理液により形成し
た場合、クロメート皮膜が下地のめっきむらに対応して
発色し、有機樹脂皮膜がそのむらを鮮明にするため、外
観の不均一性が顕著となる。
【0004】また、純亜鉛めっきには、皮膜が比較的軟
らかいため、プレス成形などで表面の摺動を受けたとき
に金型が皮膜をかじり(型かじり)、耐食性劣化、外観
劣化などの原因となっている。この問題は、その上にク
ロメート皮膜と有機樹脂皮膜とを形成した表面処理鋼板
でも見られ、例えばめっき皮膜がZn−Ni合金めっきの場
合に比べて、純亜鉛めっきをベースとする表面処理鋼板
では、加工性と加工後耐食性が低くなる。
らかいため、プレス成形などで表面の摺動を受けたとき
に金型が皮膜をかじり(型かじり)、耐食性劣化、外観
劣化などの原因となっている。この問題は、その上にク
ロメート皮膜と有機樹脂皮膜とを形成した表面処理鋼板
でも見られ、例えばめっき皮膜がZn−Ni合金めっきの場
合に比べて、純亜鉛めっきをベースとする表面処理鋼板
では、加工性と加工後耐食性が低くなる。
【0005】亜鉛めっき鋼板または表面処理鋼板の外
観、加工性、加工後耐食性の改善を目的とする従来技術
には下記のものがある。特開平1-212799号:亜鉛系めっ
き浴中に金属酸化物を添加し、めっき皮膜中に分散させ
ることにより、耐食性および加工性を改良する。
観、加工性、加工後耐食性の改善を目的とする従来技術
には下記のものがある。特開平1-212799号:亜鉛系めっ
き浴中に金属酸化物を添加し、めっき皮膜中に分散させ
ることにより、耐食性および加工性を改良する。
【0006】特開昭63-241194 号:Fe−Zn合金電気めっ
きにおいて、めっき浴中にpH緩衝剤および非イオン系
界面活性剤を添加することにより、電析界面でのpH上
昇を抑制し、めっきむらの原因となるFe(OH)3 の生成を
防いで、めっきむらを解消する。
きにおいて、めっき浴中にpH緩衝剤および非イオン系
界面活性剤を添加することにより、電析界面でのpH上
昇を抑制し、めっきむらの原因となるFe(OH)3 の生成を
防いで、めっきむらを解消する。
【0007】特開昭59-100284 号:Fe−Zn合金電気めっ
きにおいて、めっき浴中にデキストリンとカチオン系界
面活性剤とを添加し、陰極界面とめっき液との濡れ性お
よび電着結晶の緻密・微細化を図ることにより、めっき
むらを改善する。
きにおいて、めっき浴中にデキストリンとカチオン系界
面活性剤とを添加し、陰極界面とめっき液との濡れ性お
よび電着結晶の緻密・微細化を図ることにより、めっき
むらを改善する。
【0008】また、めっき皮膜/クロメート皮膜/樹脂
皮膜を有する表面処理鋼板の加工性が、樹脂皮膜中に固
形潤滑剤を含有させることにより改善されることも、例
えば、下記公報に記載されるように公知である。
皮膜を有する表面処理鋼板の加工性が、樹脂皮膜中に固
形潤滑剤を含有させることにより改善されることも、例
えば、下記公報に記載されるように公知である。
【0009】特開平4-94771 号:有機樹脂皮膜中に、粒
径3〜100 μmの固形潤滑剤 (そのうち10重量%以上が
融点120 ℃以上で粒径20μm以上) を有機樹脂に対して
2〜40重量%、必要によりシリカを有機樹脂に対して5
〜100 重量%含有させた、溶接性、耐食性、溶接性に優
れた潤滑性樹脂被覆鋼板。
径3〜100 μmの固形潤滑剤 (そのうち10重量%以上が
融点120 ℃以上で粒径20μm以上) を有機樹脂に対して
2〜40重量%、必要によりシリカを有機樹脂に対して5
〜100 重量%含有させた、溶接性、耐食性、溶接性に優
れた潤滑性樹脂被覆鋼板。
【0010】特開平3-16726号:水酸基および/または
カルボキシル基を有する樹脂100 重量部に対して、粒径
1〜7 μmのポリオレフィン系ワックスを20部以下、シ
リカを10〜80部の割合で含有する、ガラス転移点35℃超
の樹脂混合物から有機樹脂皮膜を形成した、成形性に優
れた潤滑樹脂処理鋼板。
カルボキシル基を有する樹脂100 重量部に対して、粒径
1〜7 μmのポリオレフィン系ワックスを20部以下、シ
リカを10〜80部の割合で含有する、ガラス転移点35℃超
の樹脂混合物から有機樹脂皮膜を形成した、成形性に優
れた潤滑樹脂処理鋼板。
【0011】特開平5-51762 号:有機樹脂100 重量部に
対し、粒径3μm以下のポリオレフィンワックスを2〜
30部、直径5〜50 nm のシリカゾルを10〜70部の割合で
添加した樹脂混合物から樹脂皮膜を形成した、表面特性
に優れた潤滑処理鋼板。
対し、粒径3μm以下のポリオレフィンワックスを2〜
30部、直径5〜50 nm のシリカゾルを10〜70部の割合で
添加した樹脂混合物から樹脂皮膜を形成した、表面特性
に優れた潤滑処理鋼板。
【0012】しかし、これらは、連続加工のように何度
も表面が摺動を受けた場合、樹脂皮膜が損傷して剥離す
ると、下層のめっき皮膜が露出する結果、めっき皮膜の
型かじりが起こり、外観劣化、剥離しためっき粉による
プレス金型の破損および加工後の耐食性劣化などを防ぐ
ことは困難である。
も表面が摺動を受けた場合、樹脂皮膜が損傷して剥離す
ると、下層のめっき皮膜が露出する結果、めっき皮膜の
型かじりが起こり、外観劣化、剥離しためっき粉による
プレス金型の破損および加工後の耐食性劣化などを防ぐ
ことは困難である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】このように、めっき浴
中に添加物を含有させることにより鉄−亜鉛合金電気め
っきのめっきむらを改善する報告はいくつかあるが、純
亜鉛電気めっき皮膜またはこれをベースにした表面処理
鋼板について、めっき浴への添加剤の添加により色調む
らや加工性を改善することはこれまで試みられていな
い。
中に添加物を含有させることにより鉄−亜鉛合金電気め
っきのめっきむらを改善する報告はいくつかあるが、純
亜鉛電気めっき皮膜またはこれをベースにした表面処理
鋼板について、めっき浴への添加剤の添加により色調む
らや加工性を改善することはこれまで試みられていな
い。
【0014】しかし、純亜鉛電気めっきは、Fe−Zn合金
やZn−Ni合金めっきに比べて、犠牲防食能が高く、本来
は高い耐食性を発揮できる上、めっきコストが低く、め
っき組成の変化がないので品質も安定する。従って、純
亜鉛電気めっき皮膜をベースにした表面処理鋼板の方が
有利であり、この表面処理鋼板の外観の色調むらや加工
性を向上させることが望まれていた。本発明の目的は、
この要請に応えることである。即ち、具体的には、純亜
鉛電気めっき皮膜/クロメート皮膜/有機樹脂皮膜の構
成を持ち、外観が均一で、耐食性、加工性、加工後耐食
性に優れた表面処理鋼板を提供することである。
やZn−Ni合金めっきに比べて、犠牲防食能が高く、本来
は高い耐食性を発揮できる上、めっきコストが低く、め
っき組成の変化がないので品質も安定する。従って、純
亜鉛電気めっき皮膜をベースにした表面処理鋼板の方が
有利であり、この表面処理鋼板の外観の色調むらや加工
性を向上させることが望まれていた。本発明の目的は、
この要請に応えることである。即ち、具体的には、純亜
鉛電気めっき皮膜/クロメート皮膜/有機樹脂皮膜の構
成を持ち、外観が均一で、耐食性、加工性、加工後耐食
性に優れた表面処理鋼板を提供することである。
【0015】本発明の別の目的は、純亜鉛めっき皮膜自
体に潤滑性を持たせることにより、複数回の摺動の結
果、有機樹脂皮膜が損傷を受けても、下層のめっき皮膜
の型かじりが少なく、成形後の外観の劣化や耐食性低下
が抑制された表面処理鋼板を提供することである。
体に潤滑性を持たせることにより、複数回の摺動の結
果、有機樹脂皮膜が損傷を受けても、下層のめっき皮膜
の型かじりが少なく、成形後の外観の劣化や耐食性低下
が抑制された表面処理鋼板を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者は、純亜鉛電気
めっきをベースとする表面処理鋼板の表面色調むらおよ
び加工性改善について鋭意検討を行った。その結果、イ
ンヒビター (腐食抑制剤) として機能しうる特定の有機
化合物またはポリリン酸類をめっき浴中に少量添加する
ことにより、純亜鉛電気めっきのめっきむらおよび加工
性が大幅に改善され、めっき皮膜に潤滑性が付与され、
上記目的を達成できることが判明した。
めっきをベースとする表面処理鋼板の表面色調むらおよ
び加工性改善について鋭意検討を行った。その結果、イ
ンヒビター (腐食抑制剤) として機能しうる特定の有機
化合物またはポリリン酸類をめっき浴中に少量添加する
ことにより、純亜鉛電気めっきのめっきむらおよび加工
性が大幅に改善され、めっき皮膜に潤滑性が付与され、
上記目的を達成できることが判明した。
【0017】ここに、本発明の要旨は、鋼板の少なくと
も片面に、下から順に片面当たりで、下記A群から選
ばれた少なくとも1種を 0.001〜10重量%の量で含有す
るめっき浴から形成された純亜鉛電気めっき皮膜5〜20
0 g/m2、金属Cr換算で1〜200 mg/m2 のクロメート皮
膜、および膜厚 0.3〜5μmの有機樹脂皮膜を有する
ことを特徴とする、表面均一性、加工性および加工後耐
食性に優れた表面処理鋼板にある。 A群:アルキン類、アルキノール類、アミン類、チオ化
合物、複素環化合物、ポリカルボン酸およびその塩、安
息香酸およびその塩、リグニンスルホン酸およびその
塩、ならびにポリリン酸およびその塩。
も片面に、下から順に片面当たりで、下記A群から選
ばれた少なくとも1種を 0.001〜10重量%の量で含有す
るめっき浴から形成された純亜鉛電気めっき皮膜5〜20
0 g/m2、金属Cr換算で1〜200 mg/m2 のクロメート皮
膜、および膜厚 0.3〜5μmの有機樹脂皮膜を有する
ことを特徴とする、表面均一性、加工性および加工後耐
食性に優れた表面処理鋼板にある。 A群:アルキン類、アルキノール類、アミン類、チオ化
合物、複素環化合物、ポリカルボン酸およびその塩、安
息香酸およびその塩、リグニンスルホン酸およびその
塩、ならびにポリリン酸およびその塩。
【0018】好適態様にあっては、有機樹脂皮膜は、
樹脂のガラス転移温度が40℃以上であり、融点100 ℃以
上の固形潤滑剤を有機樹脂に対して3〜40重量%の量で
含有する。固形潤滑剤は、(A) 有機樹脂皮膜の膜厚の50
%以上、110 %以下に相当する粒径を有する大粒径潤滑
剤と(B) 有機樹脂皮膜の膜厚の5%以上、50%未満に相
当する粒径を有する小粒径潤滑剤との2種類からなり、
固形潤滑剤の合計量に対する大粒径潤滑剤(A) の割合が
3〜50重量%であることが好ましい。
樹脂のガラス転移温度が40℃以上であり、融点100 ℃以
上の固形潤滑剤を有機樹脂に対して3〜40重量%の量で
含有する。固形潤滑剤は、(A) 有機樹脂皮膜の膜厚の50
%以上、110 %以下に相当する粒径を有する大粒径潤滑
剤と(B) 有機樹脂皮膜の膜厚の5%以上、50%未満に相
当する粒径を有する小粒径潤滑剤との2種類からなり、
固形潤滑剤の合計量に対する大粒径潤滑剤(A) の割合が
3〜50重量%であることが好ましい。
【0019】また、有機樹脂皮膜が、固形潤滑剤とは
別に、平均一次粒子径1〜100 nmのシリカを有機樹脂に
対して5〜50重量%の量で含有することも好ましい。
別に、平均一次粒子径1〜100 nmのシリカを有機樹脂に
対して5〜50重量%の量で含有することも好ましい。
【0020】以下、本発明について詳細に説明する。母材鋼板 本発明の表面処理鋼板の母材鋼板は特に制限されない。
通常は冷延鋼板であるが、熱延鋼板やステンレス鋼板そ
の他の合金鋼板など、使用目的に応じて適当に選択でき
る。鋼板以外に、アルミニウム板などに本発明の表面処
理を施すことも可能であろう。この母材鋼板の片面また
は両面に、以下に説明する亜鉛めっき皮膜、クロメート
皮膜、および有機樹脂皮膜を順に形成する。
通常は冷延鋼板であるが、熱延鋼板やステンレス鋼板そ
の他の合金鋼板など、使用目的に応じて適当に選択でき
る。鋼板以外に、アルミニウム板などに本発明の表面処
理を施すことも可能であろう。この母材鋼板の片面また
は両面に、以下に説明する亜鉛めっき皮膜、クロメート
皮膜、および有機樹脂皮膜を順に形成する。
【0021】亜鉛めっき皮膜 本発明の表面処理鋼板の最下層は、純亜鉛電気めっき皮
膜である。この純亜鉛電気めっき皮膜は、アルキン類、
アルキノール類、アミン類、チオ化合物、複素環化合
物、ポリカルボン酸およびその塩、安息香酸およびその
塩、リグニンスルホン酸およびその塩、ならびにポリリ
ン酸およびその塩よりなる群から選ばれた少なくとも1
種の添加剤を 0.001〜10重量%の量で含有するめっき浴
を用いた電気めっき法により形成する。それにより、色
調むらが少なく、均一な外観のめっき皮膜が電析し、し
かも皮膜に潤滑性が出てきて、加工性が向上する。
膜である。この純亜鉛電気めっき皮膜は、アルキン類、
アルキノール類、アミン類、チオ化合物、複素環化合
物、ポリカルボン酸およびその塩、安息香酸およびその
塩、リグニンスルホン酸およびその塩、ならびにポリリ
ン酸およびその塩よりなる群から選ばれた少なくとも1
種の添加剤を 0.001〜10重量%の量で含有するめっき浴
を用いた電気めっき法により形成する。それにより、色
調むらが少なく、均一な外観のめっき皮膜が電析し、し
かも皮膜に潤滑性が出てきて、加工性が向上する。
【0022】これらの詳細なメカニズムについては必ず
しも明確ではないが、上記添加剤はいずれも腐食抑制効
果があることが知られており、亜鉛電析時にインヒビタ
ーとして働き、めっき結晶の粗大化が防止される結果、
めっき結晶が微細かつ均一化し、めっきむらに起因する
純亜鉛電気めっき皮膜およびこれをベースとする表面処
理鋼板の色調むらが改善されるものと考えられる。
しも明確ではないが、上記添加剤はいずれも腐食抑制効
果があることが知られており、亜鉛電析時にインヒビタ
ーとして働き、めっき結晶の粗大化が防止される結果、
めっき結晶が微細かつ均一化し、めっきむらに起因する
純亜鉛電気めっき皮膜およびこれをベースとする表面処
理鋼板の色調むらが改善されるものと考えられる。
【0023】また、めっき皮膜の金属マトリックス中に
C (炭素) やP (リン) が取り込まれるため、皮膜の表
面硬度が増加する。このことと、めっき結晶が微細・均
一になることがあいまって、めっき表面の動摩擦係数が
低下するため、潤滑性・加工性が向上するものと推察さ
れる。
C (炭素) やP (リン) が取り込まれるため、皮膜の表
面硬度が増加する。このことと、めっき結晶が微細・均
一になることがあいまって、めっき表面の動摩擦係数が
低下するため、潤滑性・加工性が向上するものと推察さ
れる。
【0024】上記添加剤は、1種または2種以上をめっ
き浴中に 0.001〜10重量%の量 (2種以上の場合は合計
量) で含有させる。この量が0.001 重量%未満では上記
の性能改善に十分ではなく、10重量%以上では性能が飽
和し、経済的に不利であり、めっき液の排水処理にもコ
ストがかさむ。上記添加剤の含有量は、好ましくは0.01
〜5重量%、より好ましくは 0.1〜3重量%の範囲内で
ある。
き浴中に 0.001〜10重量%の量 (2種以上の場合は合計
量) で含有させる。この量が0.001 重量%未満では上記
の性能改善に十分ではなく、10重量%以上では性能が飽
和し、経済的に不利であり、めっき液の排水処理にもコ
ストがかさむ。上記添加剤の含有量は、好ましくは0.01
〜5重量%、より好ましくは 0.1〜3重量%の範囲内で
ある。
【0025】上記添加剤のうち、アルキン類とは、炭素
−炭素3重結合を含む有機化合物のことであり、例え
ば、アセチレン、プロピン、ブチン、ペンチン、ヘプチ
ン、オクチンなどが例示される。
−炭素3重結合を含む有機化合物のことであり、例え
ば、アセチレン、プロピン、ブチン、ペンチン、ヘプチ
ン、オクチンなどが例示される。
【0026】アルキノール類とは、上記アルキン類に1
個以上の水酸基が置換した化合物である。例えば、プロ
パルギルアルコール、1−ヘキシン−3−オール、1−
ヘプチン−3−オールなどが挙げられる。
個以上の水酸基が置換した化合物である。例えば、プロ
パルギルアルコール、1−ヘキシン−3−オール、1−
ヘプチン−3−オールなどが挙げられる。
【0027】アミン類は第一、第二、第三アミンのいず
れでもよく、またアミノ基以外に水酸基などの他の置換
基を有していてもよい。具体例としては、オクチルアミ
ン、ノニルアミン、ラウリルアミン、グリシンなどのア
ルキルアミン類;プロペニルアミン、ブテニルアミンな
どのアルケニルアミン類;シクロヘキシルアミンなどの
脂環式アミン類;アニリンなどの芳香族アミン類が例示
される。
れでもよく、またアミノ基以外に水酸基などの他の置換
基を有していてもよい。具体例としては、オクチルアミ
ン、ノニルアミン、ラウリルアミン、グリシンなどのア
ルキルアミン類;プロペニルアミン、ブテニルアミンな
どのアルケニルアミン類;シクロヘキシルアミンなどの
脂環式アミン類;アニリンなどの芳香族アミン類が例示
される。
【0028】チオ化合物は、分子中に硫黄原子を1個以
上含む有機化合物である。例えば、デシルメルカプタ
ン、セチルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン
類;ジメチルスルフィドなどのジアルキルスルフィド
類;チオ尿素およびその誘導体;チオグリコール酸等が
例示される。
上含む有機化合物である。例えば、デシルメルカプタ
ン、セチルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン
類;ジメチルスルフィドなどのジアルキルスルフィド
類;チオ尿素およびその誘導体;チオグリコール酸等が
例示される。
【0029】複素環化合物は、炭素原子以外の少なくと
も1個の環構成原子を持つ環状化合物である。有用な複
素環化合物としては、ピリジン、ベンゾチアゾール、ベ
ンゾトリアゾール、キノリン、インドール、チオフェ
ン、ピロール、フラン、プリンなど、ならびにこれらの
置換誘導体が例示される。
も1個の環構成原子を持つ環状化合物である。有用な複
素環化合物としては、ピリジン、ベンゾチアゾール、ベ
ンゾトリアゾール、キノリン、インドール、チオフェ
ン、ピロール、フラン、プリンなど、ならびにこれらの
置換誘導体が例示される。
【0030】ポリカルボン酸は、分子中に2以上のカル
ボキシル基を有する有機化合物である。具体例として
は、クエン酸、コハク酸、マロン酸、アジピン酸、アゼ
ライン酸、セバシン酸、フタル酸類などが挙げられる。
ボキシル基を有する有機化合物である。具体例として
は、クエン酸、コハク酸、マロン酸、アジピン酸、アゼ
ライン酸、セバシン酸、フタル酸類などが挙げられる。
【0031】リグニンスルホン酸は、木材その他のリグ
ニン含有原料を亜硫酸またはその誘導体で処理した時に
生成する物質であり、パルプ製造廃液から副生物として
回収されたものが安価に市販されている。
ニン含有原料を亜硫酸またはその誘導体で処理した時に
生成する物質であり、パルプ製造廃液から副生物として
回収されたものが安価に市販されている。
【0032】ポリリン酸は、Hn+2 Pn O3n+1(n≧
2)なる式で示される縮合リン酸である。具体例として
は、ピロリン酸 (n=2) 、トリポリリン酸 (n=3)
、テトラポリリン酸 (n=4) 、ヘキサポリリン酸
(n=6) などが例示される。
2)なる式で示される縮合リン酸である。具体例として
は、ピロリン酸 (n=2) 、トリポリリン酸 (n=3)
、テトラポリリン酸 (n=4) 、ヘキサポリリン酸
(n=6) などが例示される。
【0033】上記のポリカルボン酸、リグニンスルホン
酸およびポリリン酸ならびに安息香酸は、いずれのその
塩を使用することもできる。塩の例としては、例えば、
クエン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウム、
安息香酸カリウム、安息香酸アンモニウム、トリポリリ
ン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどが挙
げられる。
酸およびポリリン酸ならびに安息香酸は、いずれのその
塩を使用することもできる。塩の例としては、例えば、
クエン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウム、
安息香酸カリウム、安息香酸アンモニウム、トリポリリ
ン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどが挙
げられる。
【0034】これらの添加剤のうち、特に好ましいの
は、価格および効果の点から、リグニンスルホン酸およ
びその塩である。
は、価格および効果の点から、リグニンスルホン酸およ
びその塩である。
【0035】電気めっきは、純亜鉛電気めっき浴に、上
記の添加剤の1種もしくは2種以上を上記範囲内の量で
添加する以外は、常法に従って実施すればよい。例え
ば、母材鋼板の表面を脱脂、酸洗などの適宜手段で清浄
化した後、必要であれば活性化処理を施した後、めっき
浴中で鋼板を陰極として通電し、鋼板上に亜鉛を電析さ
せる。めっき浴は、連続めっきに適した硫酸酸性めっき
浴を使用することが好ましい。
記の添加剤の1種もしくは2種以上を上記範囲内の量で
添加する以外は、常法に従って実施すればよい。例え
ば、母材鋼板の表面を脱脂、酸洗などの適宜手段で清浄
化した後、必要であれば活性化処理を施した後、めっき
浴中で鋼板を陰極として通電し、鋼板上に亜鉛を電析さ
せる。めっき浴は、連続めっきに適した硫酸酸性めっき
浴を使用することが好ましい。
【0036】純亜鉛電気めっき皮膜の付着量は、5〜20
0 g/m2の範囲内とする。5g/m2未満では耐食性が不足
し、200 g/m2を超えるとコスト高となる上、加工性やス
ポット溶接性も低下する。
0 g/m2の範囲内とする。5g/m2未満では耐食性が不足
し、200 g/m2を超えるとコスト高となる上、加工性やス
ポット溶接性も低下する。
【0037】クロメート皮膜 上記の純亜鉛電気めっき皮膜の上に、クロメート皮膜を
形成する。クロメート皮膜を形成するクロメート処理法
は、塗布型、反応型、電解型のいずれの処理法でも構わ
ず、いずれも常法により実施すればよい。ただし、特に
色調むらが顕著に発生しやすいことが知られている反応
型クロメート処理や、酸、フッ化物などによるめっき表
面のエッチングを伴う塗布型クロメート処理を採用した
場合に、本発明による色調むらの改善効果が高くなる。
形成する。クロメート皮膜を形成するクロメート処理法
は、塗布型、反応型、電解型のいずれの処理法でも構わ
ず、いずれも常法により実施すればよい。ただし、特に
色調むらが顕著に発生しやすいことが知られている反応
型クロメート処理や、酸、フッ化物などによるめっき表
面のエッチングを伴う塗布型クロメート処理を採用した
場合に、本発明による色調むらの改善効果が高くなる。
【0038】使用するクロメート処理液は、クロム酸ま
たはクロム酸塩以外に、各種の公知の添加剤 (例、コロ
イダルシリカ、フッ酸、リン酸などの酸類、フッ化物、
水性樹脂など) を含有していてもよい。
たはクロム酸塩以外に、各種の公知の添加剤 (例、コロ
イダルシリカ、フッ酸、リン酸などの酸類、フッ化物、
水性樹脂など) を含有していてもよい。
【0039】クロメート皮膜の付着量は、金属Cr換算で
10〜200 mg/ m2とする。この付着量が10 mg/m2未満では
耐食性が不十分となり、200 mg/m2 を超えると、上層の
有機樹脂皮膜との密着性が阻害され、電着塗装性やスポ
ット溶接性にも悪影響を及ぼす。
10〜200 mg/ m2とする。この付着量が10 mg/m2未満では
耐食性が不十分となり、200 mg/m2 を超えると、上層の
有機樹脂皮膜との密着性が阻害され、電着塗装性やスポ
ット溶接性にも悪影響を及ぼす。
【0040】有機樹脂皮膜 クロメート皮膜の上に、最上層として有機樹脂皮膜を
0.3〜5μmの膜厚で設ける。膜厚が0.3 μm未満で
は、表面処理鋼板に十分な耐食性を付与できず、プレス
時に金型とめっき表面との直接接触が起こり易くなる。
膜厚が5μmを超えると、性能が飽和する上、皮膜が剥
離し易くなり、加工性が低下し、溶接性、電着塗装性も
低下する。好ましい膜厚は 0.3〜5μm、より好ましく
は 0.5〜3μmである。
0.3〜5μmの膜厚で設ける。膜厚が0.3 μm未満で
は、表面処理鋼板に十分な耐食性を付与できず、プレス
時に金型とめっき表面との直接接触が起こり易くなる。
膜厚が5μmを超えると、性能が飽和する上、皮膜が剥
離し易くなり、加工性が低下し、溶接性、電着塗装性も
低下する。好ましい膜厚は 0.3〜5μm、より好ましく
は 0.5〜3μmである。
【0041】この有機樹脂皮膜は従来より公知の各種の
有機樹脂系被覆組成物を使用して、クロメート皮膜上に
塗工し、必要により加熱乾燥することにより形成するこ
とができる。好ましい被覆組成物は、耐指紋性や潤滑性
等の機能を併せ持つものである。ベース樹脂は、熱可塑
性、熱硬化性、紫外線硬化型などのいずれでもよく、ポ
リエステル系、アクリル系、ポリエチレン系、エポキシ
系、ウレタン系、ビニル系などが一般的であるが、これ
らに限定されるものではない。特に好ましいベース樹脂
はアクリル系である。
有機樹脂系被覆組成物を使用して、クロメート皮膜上に
塗工し、必要により加熱乾燥することにより形成するこ
とができる。好ましい被覆組成物は、耐指紋性や潤滑性
等の機能を併せ持つものである。ベース樹脂は、熱可塑
性、熱硬化性、紫外線硬化型などのいずれでもよく、ポ
リエステル系、アクリル系、ポリエチレン系、エポキシ
系、ウレタン系、ビニル系などが一般的であるが、これ
らに限定されるものではない。特に好ましいベース樹脂
はアクリル系である。
【0042】このベース樹脂は、固化後の樹脂皮膜のガ
ラス転移温度 (Tg) が40℃以上、特に80℃以上のものが
好ましい。Tgが40℃より低いと、摺動時の皮膜としての
強度が不足し、耐型かじり性が劣化することがある。
ラス転移温度 (Tg) が40℃以上、特に80℃以上のものが
好ましい。Tgが40℃より低いと、摺動時の皮膜としての
強度が不足し、耐型かじり性が劣化することがある。
【0043】また、有機樹脂皮膜の鋼板への密着性およ
び塗装塗膜への密着性を確保するため、有機樹脂の少な
くとも1成分として、カルボキシル基、水酸基、スルホ
ン酸基、ニトロ基などの極性官能基を保有する樹脂を使
用することが望ましい。このような樹脂としては、アク
リル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、酢酸ビ
ニル系樹脂などがある。
び塗装塗膜への密着性を確保するため、有機樹脂の少な
くとも1成分として、カルボキシル基、水酸基、スルホ
ン酸基、ニトロ基などの極性官能基を保有する樹脂を使
用することが望ましい。このような樹脂としては、アク
リル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、酢酸ビ
ニル系樹脂などがある。
【0044】被覆組成物には、有機樹脂と溶剤のほか
に、シリカ、顔料 (防錆顔料、着色顔料、体質顔料な
ど) 、潤滑剤、架橋剤、可塑剤、充填剤などの、塗料に
慣用の添加剤を1種もしくは2種以上配合してもよい。
このうち、潤滑剤 (特に固形潤滑剤) の添加は加工性の
改善に有効であり、シリカ (特にコロイド粒径の微細シ
リカ) の添加は、皮膜強度、耐食性、塗装密着性の向上
に有効である。架橋剤は樹脂種に応じて必要により添加
する。
に、シリカ、顔料 (防錆顔料、着色顔料、体質顔料な
ど) 、潤滑剤、架橋剤、可塑剤、充填剤などの、塗料に
慣用の添加剤を1種もしくは2種以上配合してもよい。
このうち、潤滑剤 (特に固形潤滑剤) の添加は加工性の
改善に有効であり、シリカ (特にコロイド粒径の微細シ
リカ) の添加は、皮膜強度、耐食性、塗装密着性の向上
に有効である。架橋剤は樹脂種に応じて必要により添加
する。
【0045】本発明の表面処理鋼板の有機樹脂皮膜中に
固形潤滑剤を含有させると、この有機皮膜の潤滑性と、
めっき皮膜の良好な潤滑性 (加工性) との相乗効果によ
り、通常の潤滑性表面処理鋼板と比較して、著しく優れ
た加工性および加工後耐食性を実現することができる。
即ち、前述したように、めっき皮膜自体にも潤滑性があ
るため、鋼板の連続プレス成形等において鋼板表面が複
数回摺動を受けることにより上層の潤滑皮膜が損傷を受
けても、下層のめっき皮膜自体の潤滑によりめっき皮膜
の型かじりが起こりにくく、下地の鋼板が露出しにくい
ため、加工後の外観の劣化が少なく、加工後耐食性の劣
化も少なくなる。
固形潤滑剤を含有させると、この有機皮膜の潤滑性と、
めっき皮膜の良好な潤滑性 (加工性) との相乗効果によ
り、通常の潤滑性表面処理鋼板と比較して、著しく優れ
た加工性および加工後耐食性を実現することができる。
即ち、前述したように、めっき皮膜自体にも潤滑性があ
るため、鋼板の連続プレス成形等において鋼板表面が複
数回摺動を受けることにより上層の潤滑皮膜が損傷を受
けても、下層のめっき皮膜自体の潤滑によりめっき皮膜
の型かじりが起こりにくく、下地の鋼板が露出しにくい
ため、加工後の外観の劣化が少なく、加工後耐食性の劣
化も少なくなる。
【0046】固形潤滑剤としては、融点100 ℃以上のも
のがよい。これは、実プレス作業では加工時の材温が10
0 ℃程度まで上昇することがあり、このような状況にお
いても十分な潤滑性を発揮させるためである。適当な固
形潤滑剤としては、ポリエチレン系ワックス、PTFEなど
のフッ素樹脂系ワックスなどがある。
のがよい。これは、実プレス作業では加工時の材温が10
0 ℃程度まで上昇することがあり、このような状況にお
いても十分な潤滑性を発揮させるためである。適当な固
形潤滑剤としては、ポリエチレン系ワックス、PTFEなど
のフッ素樹脂系ワックスなどがある。
【0047】固形潤滑剤の添加量は、有機樹脂の重量に
対して3〜40重量%が適している。3重量%未満では樹
脂表面に現れる固形潤滑剤の絶対量が不足するため、潤
滑性が十分でなく、加工後外観の劣化が著しい。40重量
%を超えると、性能が飽和するとともに、ベース有機樹
脂の造膜性を阻害するため、耐食性および膜強度が低下
する。固形潤滑剤の量は、好ましくは 5〜35重量%、よ
り好ましくは10〜30重量%の範囲内である。
対して3〜40重量%が適している。3重量%未満では樹
脂表面に現れる固形潤滑剤の絶対量が不足するため、潤
滑性が十分でなく、加工後外観の劣化が著しい。40重量
%を超えると、性能が飽和するとともに、ベース有機樹
脂の造膜性を阻害するため、耐食性および膜強度が低下
する。固形潤滑剤の量は、好ましくは 5〜35重量%、よ
り好ましくは10〜30重量%の範囲内である。
【0048】固形潤滑剤の粒径について検討した結果、
有機樹脂皮膜の膜厚に近い粒径を持つ固形潤滑剤と、よ
り小粒径の固形潤滑剤の2種類を混合して使用すると、
プレス中の潤滑剤の剥離による加工性の阻害やハンドリ
ング性の阻害が避けられ、軽加工と高加工のいずれにお
いても良好な潤滑性を発揮できることが判明した。
有機樹脂皮膜の膜厚に近い粒径を持つ固形潤滑剤と、よ
り小粒径の固形潤滑剤の2種類を混合して使用すると、
プレス中の潤滑剤の剥離による加工性の阻害やハンドリ
ング性の阻害が避けられ、軽加工と高加工のいずれにお
いても良好な潤滑性を発揮できることが判明した。
【0049】具体的には、この2種類の固形潤滑剤の混
合物は、(A) 有機樹脂皮膜の膜厚の50%以上、110 %以
下に相当する粒径を有する大粒径潤滑剤と(B) 有機樹脂
皮膜の膜厚の5%以上、50%未満に相当する粒径を有す
る小粒径潤滑剤との混合物であり、固形潤滑剤の合計量
に対する大粒径潤滑剤(A) の割合が3〜50重量%、好ま
しくは10〜20重量%である。このように2種類の固形潤
滑剤を使用することによりプレス加工時の加工性やハン
ドリング性の阻害が避けられ、潤滑性が向上する理由は
次のように考えられる。
合物は、(A) 有機樹脂皮膜の膜厚の50%以上、110 %以
下に相当する粒径を有する大粒径潤滑剤と(B) 有機樹脂
皮膜の膜厚の5%以上、50%未満に相当する粒径を有す
る小粒径潤滑剤との混合物であり、固形潤滑剤の合計量
に対する大粒径潤滑剤(A) の割合が3〜50重量%、好ま
しくは10〜20重量%である。このように2種類の固形潤
滑剤を使用することによりプレス加工時の加工性やハン
ドリング性の阻害が避けられ、潤滑性が向上する理由は
次のように考えられる。
【0050】大粒径潤滑剤は皮膜表面から突出して皮膜
上に露出する割合が高い。このように表面から突出した
固形潤滑剤の粒子は、プレス中に皮膜から剥離し易く、
潤滑剤がロールなどに付着して、製造ラインや鋼板切断
ラインなどを汚染する可能性が高くなる。固形潤滑剤が
すべて大粒径のものであると、この突出した固形潤滑剤
により加工性やハンドリング性が阻害され、皮膜の連続
性も阻害される。しかし、これを防ぐために固形潤滑剤
を全て小粒径のものにすると、皮膜表面に現れる潤滑剤
の量が少なくなり、潤滑性・加工性が低下する。
上に露出する割合が高い。このように表面から突出した
固形潤滑剤の粒子は、プレス中に皮膜から剥離し易く、
潤滑剤がロールなどに付着して、製造ラインや鋼板切断
ラインなどを汚染する可能性が高くなる。固形潤滑剤が
すべて大粒径のものであると、この突出した固形潤滑剤
により加工性やハンドリング性が阻害され、皮膜の連続
性も阻害される。しかし、これを防ぐために固形潤滑剤
を全て小粒径のものにすると、皮膜表面に現れる潤滑剤
の量が少なくなり、潤滑性・加工性が低下する。
【0051】上記のように、大粒径潤滑剤の量を制限し
て、小粒径のものと併用することにより、有機樹脂皮膜
の表面上に突出する固形潤滑剤の量が著しく少なくな
る。曲げ加工のような軽加工であれば、少量の潤滑粒子
が突出していても、皮膜の損傷を殆ど受けることなく、
表面に現れた大粒径固形潤滑剤により十分な潤滑性を得
ることができる。
て、小粒径のものと併用することにより、有機樹脂皮膜
の表面上に突出する固形潤滑剤の量が著しく少なくな
る。曲げ加工のような軽加工であれば、少量の潤滑粒子
が突出していても、皮膜の損傷を殆ど受けることなく、
表面に現れた大粒径固形潤滑剤により十分な潤滑性を得
ることができる。
【0052】一方、深絞りプレス加工のような高加工で
は、有機樹脂皮膜がかなり強い摺動を受けて、その表面
が損傷を受け易い。このため、皮膜表面上に突出した大
粒径固形潤滑剤は、剥離するなどの損傷を受けて潤滑効
果を発揮することが困難となる。しかし、高摺動を受け
て皮膜がある程度損傷しても、今度は皮膜中に存在する
小粒径固形潤滑剤が表面に現れて潤滑性を発揮するた
め、潤滑性の劣化は抑えられる。しかも、表面に突出す
る大粒径潤滑剤の量が少ないため、高加工での摺動中に
皮膜が損傷しても、潤滑剤の剥離量が少なく、製造ライ
ンおよび鋼板切断ラインの汚染が軽減される。
は、有機樹脂皮膜がかなり強い摺動を受けて、その表面
が損傷を受け易い。このため、皮膜表面上に突出した大
粒径固形潤滑剤は、剥離するなどの損傷を受けて潤滑効
果を発揮することが困難となる。しかし、高摺動を受け
て皮膜がある程度損傷しても、今度は皮膜中に存在する
小粒径固形潤滑剤が表面に現れて潤滑性を発揮するた
め、潤滑性の劣化は抑えられる。しかも、表面に突出す
る大粒径潤滑剤の量が少ないため、高加工での摺動中に
皮膜が損傷しても、潤滑剤の剥離量が少なく、製造ライ
ンおよび鋼板切断ラインの汚染が軽減される。
【0053】その結果、軽加工と高加工のいずれでも潤
滑性を有効に発揮でき、高加工中に剥離する潤滑剤量が
少ないため、ハンドリング性も良好に保たれる。また、
鋼板の切り板を重ねて積み上げたような場合、皮膜上に
突出した固形潤滑剤の滑り作用により鋼板同士の滑りや
荷崩れが起こることがあるが、これも防止できる。
滑性を有効に発揮でき、高加工中に剥離する潤滑剤量が
少ないため、ハンドリング性も良好に保たれる。また、
鋼板の切り板を重ねて積み上げたような場合、皮膜上に
突出した固形潤滑剤の滑り作用により鋼板同士の滑りや
荷崩れが起こることがあるが、これも防止できる。
【0054】有機樹脂皮膜中には、固形潤滑剤に加え
て、或いは単独で、平均一次粒子径1〜100 nm、好まし
くは1〜50 nm のシリカを含有させることができる。そ
れにより、有機樹脂皮膜の強度、耐食性、塗装密着性の
向上効果が得られる。
て、或いは単独で、平均一次粒子径1〜100 nm、好まし
くは1〜50 nm のシリカを含有させることができる。そ
れにより、有機樹脂皮膜の強度、耐食性、塗装密着性の
向上効果が得られる。
【0055】シリカとしては、水分散性のコロイダルシ
リカ、有機溶剤中に分散されたオルガノシリカゾル、熱
分解法で製造される気相シリカのいずれも使用できる
が、好ましいのはコロイダルシリカである。シリカの添
加量は、有機樹脂の重量に対して5〜50重量%、好まし
くは5〜30重量%、より好ましくは10〜25重量%の範囲
内である。シリカの量が5重量%未満では上記効果が十
分に得られず、50重量%を超えると、有機樹脂皮膜が非
常に脆くなり、加工時に皮膜表面にクラックが入りやす
くなる。なお、固形潤滑剤とシリカを併用する場合に
は、両者の合計量を有機樹脂に対して60重量%以下にす
ることが望ましい。
リカ、有機溶剤中に分散されたオルガノシリカゾル、熱
分解法で製造される気相シリカのいずれも使用できる
が、好ましいのはコロイダルシリカである。シリカの添
加量は、有機樹脂の重量に対して5〜50重量%、好まし
くは5〜30重量%、より好ましくは10〜25重量%の範囲
内である。シリカの量が5重量%未満では上記効果が十
分に得られず、50重量%を超えると、有機樹脂皮膜が非
常に脆くなり、加工時に皮膜表面にクラックが入りやす
くなる。なお、固形潤滑剤とシリカを併用する場合に
は、両者の合計量を有機樹脂に対して60重量%以下にす
ることが望ましい。
【0056】有機樹脂皮膜中にシリカを存在させる場合
には、シリカと有機樹脂成分との密着性を向上させるた
め、被覆組成物中にシランカップリング剤を添加するこ
とが望ましい。適当なシランカップリング剤の例には、
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シランなどが例示されるが、これらに限定されるもので
はない。シランカップリング剤の量は、シリカに対して
10重量%以下が好ましい。
には、シリカと有機樹脂成分との密着性を向上させるた
め、被覆組成物中にシランカップリング剤を添加するこ
とが望ましい。適当なシランカップリング剤の例には、
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シランなどが例示されるが、これらに限定されるもので
はない。シランカップリング剤の量は、シリカに対して
10重量%以下が好ましい。
【0057】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に例示す
る。実施例中、部は特に指定しない限り重量部である。
る。実施例中、部は特に指定しない限り重量部である。
【0058】(実施例1)板厚0.8 mmのJIS SPCCで定めら
れた冷延鋼板の両面に、表1に示すように添加剤を含有
する硫酸酸性めっき浴を使用して、付着量20 g/m2 の純
亜鉛電気めっきを施した。めっき浴組成およびめっき条
件は次の通りであった。
れた冷延鋼板の両面に、表1に示すように添加剤を含有
する硫酸酸性めっき浴を使用して、付着量20 g/m2 の純
亜鉛電気めっきを施した。めっき浴組成およびめっき条
件は次の通りであった。
【0059】 得られためっき鋼板を、反応型クロメート処理液 (クロ
ム酸、リン酸、亜硫酸を含有) に浸漬し、水洗・乾燥を
経て、純亜鉛電気めっき皮膜の上に、金属Cr換算で付着
量80 mg/m2のクロメート皮膜を形成した。
ム酸、リン酸、亜硫酸を含有) に浸漬し、水洗・乾燥を
経て、純亜鉛電気めっき皮膜の上に、金属Cr換算で付着
量80 mg/m2のクロメート皮膜を形成した。
【0060】次いで、アクリル系ベース樹脂100 部に対
し気相シリカ15部を含有する熱硬化性樹脂液 (固形潤滑
剤は含有せず) を、バーコーターでクロメート皮膜上に
塗布し、120 ℃×15秒で焼付け、膜厚1.5 μm の有機樹
脂皮膜を形成した。こうして得た表面処理鋼板を、下記
の方法で試験して性能を評価した。試験結果も表1に併
せて示す。
し気相シリカ15部を含有する熱硬化性樹脂液 (固形潤滑
剤は含有せず) を、バーコーターでクロメート皮膜上に
塗布し、120 ℃×15秒で焼付け、膜厚1.5 μm の有機樹
脂皮膜を形成した。こうして得た表面処理鋼板を、下記
の方法で試験して性能を評価した。試験結果も表1に併
せて示す。
【0061】[試験評価方法] (1) めっきむら 試験片の色調均一性を目視評価 評価: ○:むら無し △:若干むら有り ×:むら有り (2) 成形性 無塗油の試験片を深絞り試験機により下記条件で円筒プ
レス成形し、限界絞り比を測定した。 しわ押さえ圧 1.5トン ポンチ径 40 mm ダイス径 42 mm 成形速度 200 mm/s 3)加工性 無塗油の試験片を上記条件でプレス成形した後、円筒側
面の被覆を粘着テープで剥離させ、その剥離量を目視で
測定して評価。
レス成形し、限界絞り比を測定した。 しわ押さえ圧 1.5トン ポンチ径 40 mm ダイス径 42 mm 成形速度 200 mm/s 3)加工性 無塗油の試験片を上記条件でプレス成形した後、円筒側
面の被覆を粘着テープで剥離させ、その剥離量を目視で
測定して評価。
【0062】5:剥離なし 4:剥離片の付着しているテープ面積が10%未満 3:同30%未満 2:同50%未満 1:全面剥離
【0063】
【表1】
【0064】(実施例2)板厚0.8 mmのJIS SPCCで定めら
れた冷延鋼板に、表2に示すように添加剤を含有する硫
酸酸性めっき浴を使用して、両面に純亜鉛電気めっきを
施した。めっき浴組成およびめっき条件は、実施例1と
同じであった。
れた冷延鋼板に、表2に示すように添加剤を含有する硫
酸酸性めっき浴を使用して、両面に純亜鉛電気めっきを
施した。めっき浴組成およびめっき条件は、実施例1と
同じであった。
【0065】その後、Cr3+/Cr6+=1/1となるように
還元剤を添加した部分還元塗布型クロメート処理液 (Cr
O3 10 g/l 含有) を回転塗布し、最高到達材温80℃で40
秒間オーブン乾燥して、金属Cr換算で付着量120 mg/m2
のクロメート皮膜をめっき皮膜上に形成した。
還元剤を添加した部分還元塗布型クロメート処理液 (Cr
O3 10 g/l 含有) を回転塗布し、最高到達材温80℃で40
秒間オーブン乾燥して、金属Cr換算で付着量120 mg/m2
のクロメート皮膜をめっき皮膜上に形成した。
【0066】その後、表2に示すベース樹脂種の潤滑性
樹脂液 (シリカと大粒径および小粒径の固形潤滑剤を含
有) をバーコータでクロメート皮膜上に塗布し、130 ℃
×20秒で焼付けて有機樹脂皮膜を形成し、潤滑性表面
処理鋼板を得た。有機樹脂皮膜の膜厚、シリカおよび固
形潤滑剤の含有量 (有機樹脂に対する重量%) と粒径
その他の詳細も表2に示す。
樹脂液 (シリカと大粒径および小粒径の固形潤滑剤を含
有) をバーコータでクロメート皮膜上に塗布し、130 ℃
×20秒で焼付けて有機樹脂皮膜を形成し、潤滑性表面
処理鋼板を得た。有機樹脂皮膜の膜厚、シリカおよび固
形潤滑剤の含有量 (有機樹脂に対する重量%) と粒径
その他の詳細も表2に示す。
【0067】この潤滑性表面処理鋼板を下記の方法で試
験して性能を評価した。試験結果は表3にまとめて示
す。
験して性能を評価した。試験結果は表3にまとめて示
す。
【0068】[試験評価方法] (1) めっきむら (実施例1と同じ) (2) 成形性 (実施例1と同じ) (3) 加工性 (連続プレス試験) 無塗油の試験片を深絞り試験機で下記条件にてプレス成
形し、成形後の試験片の外観の観察 (黒色度の変化、皮
膜損傷) を行った。また、固形潤滑剤の剥離性を評価す
るため、10個加工したときの金型のダイスに付着してい
る固形潤滑剤の程度を目視で測定して、潤滑剤の剥離量
を評価した。
形し、成形後の試験片の外観の観察 (黒色度の変化、皮
膜損傷) を行った。また、固形潤滑剤の剥離性を評価す
るため、10個加工したときの金型のダイスに付着してい
る固形潤滑剤の程度を目視で測定して、潤滑剤の剥離量
を評価した。
【0069】プレス条件 しわ押さえ圧 1.5トン ポンチ径 40 mm ダイス径 42 mm ブランク径 90 mm 成形速度 200 mm/sec 加工後の外観評価 ◎:黒色度変化無し ○:やや黒色度低下 △:皮膜損傷やや多い ×:皮膜損傷大 固形潤滑剤の剥離量 ◎:ダイスに付着なし ○:若干付着あり △:付着やや多し ×:付着多し (4) 加工後耐食性 (3) で行った連続プレス成形試験で得られた10個目の成
形サンプルに端面シールを施し、JIS に規定する塩水噴
霧360 時間後、目視で外観の錆発生状況により次のよう
に評価した。 ○:若干白錆あり △:若干赤錆あり ×:赤錆大
形サンプルに端面シールを施し、JIS に規定する塩水噴
霧360 時間後、目視で外観の錆発生状況により次のよう
に評価した。 ○:若干白錆あり △:若干赤錆あり ×:赤錆大
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
【発明の効果】本発明の表面処理鋼板は、従来の純亜鉛
電気めっきベースの表面処理鋼板と比較して、表面色調
の均一性と加工性に優れている。また、最上層の有機樹
脂皮膜中に特定粒径の2種類の潤滑剤を含有させて潤滑
性表面処理鋼板とすると、加工後耐食性が著しく改善さ
れる。その結果、純亜鉛電気めっき鋼板をベースにし
て、耐食性に優れ、外観の色調むらがなく、成形性・加
工性に優れ、プレス加工後の耐食性にも優れた表面処理
鋼板を得ることが可能となる。
電気めっきベースの表面処理鋼板と比較して、表面色調
の均一性と加工性に優れている。また、最上層の有機樹
脂皮膜中に特定粒径の2種類の潤滑剤を含有させて潤滑
性表面処理鋼板とすると、加工後耐食性が著しく改善さ
れる。その結果、純亜鉛電気めっき鋼板をベースにし
て、耐食性に優れ、外観の色調むらがなく、成形性・加
工性に優れ、プレス加工後の耐食性にも優れた表面処理
鋼板を得ることが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 28/00 C // C25D 3/22 (72)発明者 木本 雅也 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内
Claims (4)
- 【請求項1】 鋼板の少なくとも片面に、下から順に片
面当たりで、下記A群から選ばれた少なくとも1種を
0.001〜10重量%の量で含有するめっき浴から形成され
た純亜鉛電気めっき皮膜5〜200 g/m2、金属Cr換算で
1〜200 mg/m2 のクロメート皮膜、および膜厚 0.3〜
5μmの有機樹脂皮膜を有することを特徴とする、表面
均一性、加工性および加工後耐食性に優れた表面処理鋼
板。 A群:アルキン類、アルキノール類、アミン類、チオ化
合物、複素環化合物、ポリカルボン酸およびその塩、安
息香酸およびその塩、リグニンスルホン酸およびその
塩、ならびにポリリン酸およびその塩。 - 【請求項2】 前記有機樹脂皮膜の樹脂のガラス転移
温度が40℃以上であり、この皮膜が融点100 ℃以上の固
形潤滑剤を有機樹脂に対して3〜40重量%の量で含有す
る、請求項1記載の表面処理鋼板。 - 【請求項3】 前記固形潤滑剤が(A) 有機樹脂皮膜の膜
厚の50%以上、110%以下に相当する粒径を有する大粒
径潤滑剤と(B) 有機樹脂皮膜の膜厚の5%以上、50%未
満に相当する粒径を有する小粒径潤滑剤との2種類から
なり、固形潤滑剤の合計量に対する大粒径潤滑剤(A) の
割合が3〜50重量%である、請求項2記載の表面処理鋼
板。 - 【請求項4】 前記有機樹脂皮膜が、平均一次粒子径
1〜100 nmのシリカを有機樹脂に対して5〜50重量%の
量で含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表
面処理鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13438094A JPH081858A (ja) | 1994-06-16 | 1994-06-16 | 加工性に優れた表面処理鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13438094A JPH081858A (ja) | 1994-06-16 | 1994-06-16 | 加工性に優れた表面処理鋼板 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH081858A true JPH081858A (ja) | 1996-01-09 |
Family
ID=15127045
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13438094A Withdrawn JPH081858A (ja) | 1994-06-16 | 1994-06-16 | 加工性に優れた表面処理鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH081858A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007297646A (ja) * | 2006-03-22 | 2007-11-15 | Jfe Steel Kk | 電気亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
JP2012193419A (ja) * | 2011-03-17 | 2012-10-11 | Jfe Steel Corp | 化成処理鋼板の製造方法 |
-
1994
- 1994-06-16 JP JP13438094A patent/JPH081858A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007297646A (ja) * | 2006-03-22 | 2007-11-15 | Jfe Steel Kk | 電気亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
JP2012193419A (ja) * | 2011-03-17 | 2012-10-11 | Jfe Steel Corp | 化成処理鋼板の製造方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20010904 |