JPH08184706A - 光学素子の製造方法及び光学素子 - Google Patents

光学素子の製造方法及び光学素子

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JPH08184706A
JPH08184706A JP32837194A JP32837194A JPH08184706A JP H08184706 A JPH08184706 A JP H08184706A JP 32837194 A JP32837194 A JP 32837194A JP 32837194 A JP32837194 A JP 32837194A JP H08184706 A JPH08184706 A JP H08184706A
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optical
film
thin film
optical element
optical thin
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JP32837194A
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Masaki Ando
正樹 安藤
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Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光学素子の成膜の取り扱いを容易にすること
のできる光学素子の製造方法及び光学素子の提供を目的
とする。 【構成】 光学的な有効面上の一部の領域に入射光を反
射する高反射膜を選択的に形成し、高反射膜及び光学的
な有効面上に光学薄膜を形成している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数の光学的な機能を
有する光学薄膜が光学的な有効面上にそれぞれ形成させ
る光学素子の製造方法及び光学素子に関し、特に、機能
的に異なる複数の光学面を有する光学素子に用いて好適
なものである。
【0002】
【従来の技術】光学素子には、機能的に異なる複数の光
学面を有した光学素子がある。この光学素子の基板10
上には、例えば図10に示すように、それぞれ光学的な
有効領域10a、10bとに分けられた光学素子面10
A上に機能を異ならせる光学薄膜20、30が形成され
ている。
【0003】光学薄膜20、30は、単層あるいは多層
薄膜で機能毎に独立して形成され、光学的な有効面で互
いに重なり合うことのないように形成されている。
【0004】すなわち、図10に示す光学素子を作る際
にマスク11で光学素子面10A上の有効領域10bを
覆い、有効領域10aに光学薄膜20を形成する(図1
1を参照)。
【0005】次に、図12に示すように、有効領域10
bを覆うマスク11を除去した後に図13に示すよう
に、有効領域10aをマスク11でマスキングし、光学
薄膜30が有効領域10bに形成される。マスク11を
取り除くことによって複数の機能を有する光学素子が作
られる(図10を参照)。
【0006】通常の成膜では、異なる光学特性を有する
光学薄膜が光学面上で重なり合って形成される際に互い
の光学特性に悪影響を及ぼすので領域を明確に区分けを
行う必要が生じる。
【0007】このように光学素子は、ある一つの機能を
有する一方の光学薄膜を光学面上に形成する際に、他方
の光学的な機能を有する有効領域に設けられないように
機械的にマスキング処理を行ってこの有効領域の独立性
を保つように複数の工程を経て作られる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述したマ
スキング処理を行うことによって各機能領域毎に光学薄
膜を形成させる場合において、例えば光学素子が非常に
小さいときや隣接する有効面の間隔が狭いとき、マスキ
ング処理用の加工治具による加工精度が厳しくなる。こ
のため、光学素子の成膜時の取り扱いは、非常に精度的
に厳密で煩雑な取り扱いになる。
【0009】さらに、成膜面に対してそれぞれ1つずつ
作成する必要が生じ、かつこれらの加工治具自体も互い
に素子を基準として相対位置的にも精度よく加工されて
いなければならない。
【0010】このように加工精度を維持することによっ
て加工治具のコストが上がってしまうので光学素子の製
造コストも上げてしまうことになる。
【0011】そこで、本発明は、上述したような実情に
鑑みてなされたものであり、光学素子の成膜の取り扱い
を容易にすることのできる光学素子の製造方法及び光学
素子の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る光学素子の
製造方法は、上述した課題を解決するために、複数の光
学薄膜を光学的な有効面上にそれぞれ形成する光学素子
の製造方法であって、光学的な有効面上の一部の領域に
入射光を反射する高反射膜を選択的に形成し、高反射膜
及び光学的な有効面上に光学薄膜を形成することを特徴
としている。
【0013】ここで、高反射膜を形成する際には、この
高反射膜を形成する領域以外の領域がマスキング処理さ
れる。また、光学薄膜の形成の際には、この光学薄膜の
成膜前に高反射膜の形成領域に対するマスキング処理を
行わずに例えば全面に亘って光学薄膜が形成される。光
学薄膜は、例えば誘電体多層膜が挙げられる。
【0014】この光学薄膜は、高反射膜に形成される反
射面と反対側の面上に形成されることになる。光学薄膜
が高反射膜の反対側に設ける場合、光学薄膜は、光学薄
膜の形成された上方からの入射光に対する吸収率を高反
射膜からの反射光量を満足するような許容値以下の誘電
体多層膜を用いなければならない。
【0015】また、本発明に係る光学素子の製造方法
は、上述した課題を解決するために、複数の光学薄膜を
光学的な有効面上にそれぞれ形成する光学素子の製造方
法であって、光学的な有効面上に光学薄膜を形成し、こ
の光学薄膜上の一部に入射光を反射する高反射膜を選択
的に形成することを特徴としている。
【0016】ここで、光学薄膜は、この光学薄膜の成膜
前に高反射膜の領域を分けるようなマスキング処理を行
わずに形成され、高反射膜は、高反射膜の形成領域外の
領域に対してマスキング処理を施して所定の領域に形成
している。光学薄膜は、例えば誘電体多層膜が挙げられ
る。
【0017】この光学薄膜は、高反射膜に形成される反
射面と反対側の面上に形成されることになる。
【0018】これに対して光学薄膜を高反射膜の反射面
に面する側に設ける場合、光学薄膜の吸収率を高反射膜
に要求される反射率を満足するような許容値以下とする
ことが必要とされる。
【0019】高反射膜は、反射率を95%以上にする誘
電体材料及び/又は金属材料にすることが好ましい。
【0020】本発明に係る光学素子は、上述した課題を
解決するため、複数の光学薄膜を光学的な有効面上にそ
れぞれ形成した光学素子であって、選択的に形成された
入射光を反射する高反射膜と、誘電体膜からなる光学薄
膜とが積層構造を有することを特徴としている。
【0021】ここで、光学素子には、マスキング処理で
光学的な有効面上の一部の領域に入射光を反射する高反
射膜が形成され、高反射膜及び光学的な有効面上に光学
薄膜が形成されている。
【0022】また、光学素子には、光学的な有効面上に
光学薄膜が形成され、この光学薄膜上の一部に入射光を
反射する高反射膜の形成される領域外の部分にマスキン
グ処理を施して高反射膜が形成されている。
【0023】光学素子の光学薄膜の吸収率としては、例
えば95%以上にする誘電体材料及び/又は金属材料で
構成して高反射膜の反射率を満足するような許容値以下
にすることが必要とされる。
【0024】
【作用】本発明に係る光学素子の製造方法では、高反射
膜が既に形成された上面にマスキング処理を施すことな
くこの高反射膜が形成されていない他の領域への成膜と
同一時に光学薄膜を形成することにより、製造時のマス
キング工程を一工程省き、光学薄膜の形成時における相
対的な精度の必要がなくなり、マスキング用の治具の精
度を落としても、光学薄膜を形成して各部の光学的な有
効面の光学的な機能を満足する光学素子の製造が可能に
なる。
【0025】本発明に係る光学素子の製造方法では、マ
スキング処理を施す必要がなく高反射膜の下面側に他の
部分への成膜と同一時に光学薄膜を形成し、この光学薄
膜を含む所定の有効領域にマスキング処理によって高反
射膜を形成することにより、製造時のマスキング工程を
一工程省き、光学薄膜の形成時における相対的な精度の
必要がなくなり、マスキング用の治具の精度を落として
も、光学薄膜を形成して各部の光学的な有効面の光学的
な機能を満足する光学素子の製造が可能になる。
【0026】また、本発明に係る光学素子では、反射率
を95%以上にする誘電体材料及び/又は金属材料から
なる高反射膜と高反射膜からの反射光量を満足する許容
値以下の吸収率を有する誘電体膜とで積層構造をとるこ
とにより、マスキング処理を行わなくても光学薄膜を形
成して各部の光学的な有効面の光学的な機能を満足する
光学素子を提供する。
【0027】
【実施例】以下、本発明に係る光学素子の製造方法及び
光学素子の実施例について、図面を参照しながら説明す
る。
【0028】光学素子の製造方法としては、例えば図1
に示すように、光学素子の基板1の上面1Aの有効領域
1aに高反射膜2を施す。この高反射膜2は、誘電体と
金属の一方あるいは両方を材料とする薄膜である。ま
た、光学素子の有効領域1bには、機械的なマスキング
処理が施され、高反射膜2を形成した後、マスキングさ
れたマスクを除去するような手順で処理が施されてい
る。これによって有効領域1bには高反射膜2が形成さ
れないようにしている。
【0029】次に、光学素子の基板1には、高反射膜2
の有効領域1aを含めて上面1Aの有効領域1bで機能
させる光学薄膜3の形成が行われる。
【0030】この光学薄膜3は、多層膜あるいは単層膜
で、高反射膜2の反射率を満足する許容値以下の吸収率
を有する誘電体膜である。具体的な材料としては後段で
詳述する。この光学素子の基板1の有効領域1aに図2
の矢印Aに示すように、上面側から空気、光学薄膜3、
高反射膜2の順に光を入射させても形成した高反射膜2
の反射面から反射される光量を所望の光量に維持し、ま
た、図2の矢印Bに示すように、この基板1の下面側か
ら基板1を介して例えば基板1の上面1Aと接触する側
に高反射膜2の反射面を形成してこの反射面に入射させ
ても高反射膜2からの反射光量を損なうことはない。
【0031】従って、光学薄膜3は、高反射膜2に形成
される反射面と反対側の面上に形成されることになる。
【0032】光学薄膜3が高反射膜2の反射面を光学薄
膜3と接する側に設ける場合、光学薄膜3の吸収率は、
を高反射膜2に要求される反射率を満足するような許容
値以下の誘電体多層膜とする必要がある。
【0033】このように有効領域1aの高反射膜2は、
光学薄膜3を高反射膜2の高反射特性の劣化を極めて小
さくする材料を選択することにより、光学薄膜3に覆わ
れても有効領域1aからの必要とされる反射率を維持す
ることができる。
【0034】これにより、従来まで高反射膜2が形成さ
れている有効領域1aに光学薄膜3を形成しないように
機械的なマスキングする必要性をなくすことができ、成
膜時に使用するマスキング用の治具を簡素化すること及
び精度等を気にせずに製造時の操作性を容易にすること
ができる。
【0035】また、本発明の光学素子の製造方法におけ
る実施例の変形例として光学薄膜を形成する基板の形状
について検討する。光学薄膜を形成する基板は、必ずし
も平面である必要はない。光学素子の基板4は、例えば
図3に示すように隣合った異なる2面4a、4bの内、
面4aに高反射膜2を形成した後に、図4に示すよう
に、両面同時に光学薄膜3をこの製造方法で形成しても
各面の光学特性を損なうことない光学素子を提供するこ
とができる。
【0036】次に、この光学素子の製造方法の具体的な
実施例について必要に応じて図1及び図2を参照しなが
ら簡単に説明する。
【0037】光学素子の基板1は、屈折率nd =1.52の
光学ガラスを用いている。光学素子の基板1は、最初に
冷間加工あるいはプレス等の熱間加工を施して所望の形
状にする。
【0038】所望の形状に加工された基板1に対して蒸
着前処理として洗浄が行われる。洗浄液は、有機溶剤を
用いる場合、ジクロロメタン等を用いる。洗浄液は、研
削液あるいは試料固定用のワックス等を基板1から分離
させる。この後、中性洗剤でジクロロメタンを除去して
純水でリンスする。このリンス後の乾燥には、イソプロ
ピルアルコール等が用いられる。
【0039】また、有機溶剤を用いない場合、ガラス洗
浄に適したアルカリ性洗剤で汚れの除去が行われる。基
板1は、純水でリンスした後、温純水で乾燥させる。
【0040】基板洗浄が行われた基板1には、所望の多
層膜を形成する。高反射膜2は、例えば波長λ=780nm
に対して(1/4)λの光学膜厚を有する二酸化チタン
TiO2と二酸化珪素SiO2との薄膜を交互に30層形成した
交互膜である。
【0041】また、全面に形成する光学薄膜3は、波長
λ=780nm に対して(1/4)λの光学膜厚を有するに
二フッ化マグネシウムMgF2による単層膜である。
【0042】基板1は、基板固定用治具で保持され、成
膜装置内に固定される。成膜装置内は、真空ポンプによ
り真空度を上げながら基板を300Kにまで加熱する。真空
度は、少なくとも5×10ー6hPa程度が蒸着開始に必要とさ
れている。
【0043】また、排気処理を行う真空ポンプには、低
真空用に例えばロータリーポンプ、メカニカルブースタ
ーポンプ等が用いられ、高真空用に例えば油拡散ポン
プ、ターボ分子ポンプ、クライオポンプ等が用いられ
る。
【0044】蒸着開始の開始真空度に達した後、成膜装
置は、蒸着法を用いて二酸化チタンTiO2を波長λ=780n
m で(1/4)λの膜厚になるように薄膜の形成が行わ
れる。 なお、光学薄膜は、蒸着法の他に、スパッタリ
ング法やイオンプレーティング法、イオンアシスト法等
を用いても形成することができる。
【0045】るつぼ内に入れた粉末状、ペレット状ある
いは顆粒状の二酸化チタンTiO2が電子ビーム法で加熱さ
れる。成膜装置は、シャッタを閉じたままエミッション
を増加させている。電子線の加速電圧は、6kV 、エミッ
ション電流は、0.1〜0.5A である。
【0046】材料が十分に溶融された後、シャッタを開
き、成膜が開始される。蒸着速度は、約1.0nm/sec であ
る。形成する膜厚レートは、例えば水晶式膜厚制御装置
で一定に保たれるようにしている。光学的に膜厚が所定
の膜厚になったかどうかを光学モニタで並行に確認も行
っている。成膜装置は、所定の膜厚に達したとき、蒸着
を終了させる。
【0047】次に、この二酸化チタンTiO2の薄膜上に形
成する二酸化珪素SiO2も前述した条件で成膜が行われ
る。ただし、二酸化珪素の蒸着速度は、約0.5nm/sec で
ある。
【0048】なお、成膜装置には、それぞれの成膜中に
解離したO2を補うためにO2ガスを適量導入されるように
してもよい。
【0049】このような一連の処理を15回繰り返した
後に真空槽を大気開放して試料を取り出す。この段階が
図1に示す段階で、有効領域1aにTiO2-SiO2の高反射
膜2が形成される。
【0050】次に、この高反射膜2の形成された有効領
域1aも含めて基板1の上面1A、すなわち全面を覆う
ように二フッ化マグネシウムMgF2が同様のプロセスによ
り光学薄膜3として形成される。
【0051】この光学薄膜3の形成した段階が図2に示
す段階である。
【0052】このような条件で光学素子を作ることによ
って、光学素子は、例えば高反射膜2に上面空気側から
入射角5゜で波長λ= 780nmの光を入射させ、反射率を
測定すると、反射率R=99.8% という値が結果として得
られている。
【0053】この値は、二フッ化マグネシウムMgF2を高
反射膜2上に形成しなかった場合の値と略々同じ値が得
られている。
【0054】このように反射率を95%以上にする誘電
体材料及び/又は金属材料からなる高反射膜と高反射膜
からの反射光量を満足する許容値以下の吸収率を有する
誘電体膜を選択することにより、高反射膜の反射率の機
能を損なうことなく、それぞれの光学的な機能を有する
光学薄膜を取り扱いの容易な方法で成膜することができ
る。
【0055】これにより、マスクを相対的に精度よく作
るための治具を簡素化して光学素子の製造ができ、成膜
時の取り扱いが容易になるので、成膜用の治具のコスト
及び光学素子の製造コストの低減も図ることができる。
【0056】この光学素子の製造方法を例えば光学ピッ
クアップ装置の光検出部に一部品として用いるプリズム
に適用した一例を図5に示す。ここで、前述した各部と
共通する部分には同じ参照番号を付している。
【0057】光学素子の基板1には、一方の側から供給
される入射光の一部が入射光の光路に対して対象物方向
に供給されるように切欠部5Aが設けられている。この
斜面5Bの領域1cには、高反射膜2が形成されないよ
うにマスキング処理を施して基板1の上面1A上に高反
射膜2が形成される。この高反射膜2は、反射面を上面
1Aと接触する同一平面内に設けている。この高反射膜
2は、反射面で入射光をほとんど反射させる材料であ
る。
【0058】次に、マスキング処理によるマスクを除去
した後、領域1c及び上面1Aの領域も含めた全領域に
光学薄膜3として誘電体多層膜が成膜される。すなわち
反射面の反対側に成膜が行われることになる。光学薄膜
3により領域1cは、ハーフミラーの機能を有する。
【0059】この成膜を行う際に、従来行われていたよ
うな上面1Aの領域をマスキング処理することなく相対
的にマスキングの精度落としても光学機能を十分に保つ
ことができるので成膜の処理の簡素化により取扱が容易
にできるようになる。
【0060】このように製造しても、供給される入射光
の一部として20%程度の入射光を斜面5Bに形成した
光学薄膜で入射光の光路に対して例えば対象物方向に9
0゜曲げて上方に配される光ディスク面(図示せず)に
照射させることができる。また、この光ディスク面から
の反射光がこのプリズム5に戻ってくる。光学薄膜3
は、誘電体多層膜からなるハーフミラー機能によってこ
の戻ってくる反射光の光路をプリズム5内に入射するよ
うに屈折させる。
【0061】プリズム5の底面側に配置されている受光
素子6は、このプリズム5内への入射光が直接入射する
ように設計されている。受光素子6は、この入射光量を
光電変換して光信号にすると共に、入射光の例えば約5
0%を高反射膜2に向けて反射する。高反射膜2は、受
光素子6からの入射光を約98%以上受光素子7に向け
て反射させる。これによって、受光素子7には、様々な
反射・屈折を経て受光素子7の光検出に十分な光量が供
給されるようにしている。
【0062】このような光検出を行う条件は、光学薄膜
3の吸収率を高反射膜2の反射面の反射率による反射光
量が受光素子7での要求光量を満足されるような許容値
以下の誘電体多層膜で構成することである。受光素子7
は、高反射膜2からほとんど減光することなく反射され
た光が光ディスク面からの情報として満足する光量を受
光することになる。
【0063】このようにプリズムは、従来からの光学的
な機能を損なうことなく、機能が維持されると共に、簡
素化した製造工程で作られることによってコスト低減が
図られる。
【0064】また、本発明の光学素子の製造方法の他の
実施例について図6及び図7を参照しながら説明する。
ここで、共通する部分に同じ参照番号を付している光学
素子の基板1上には、例えば図6に示すように、光学的
な有効面1Aのすべてを含む領域に光学薄膜3が形成さ
れる。この光学薄膜3は、この上に形成する高反射膜2
に要求される反射率を維持するような程度のエネルギー
吸収しか起こさない誘電体で構成されている。
【0065】例えば高反射膜2の反射面を光学薄膜2と
接する側に形成されていると、基板1の下方から光が入
射させた場合に光学薄膜2の材料は、入射光の吸収を抑
えて反射面から必要とされる反射光量を満足しなければ
ならないからである。この光学的な機能を満足する光学
薄膜であれば他にどのような機能を有していてもかまわ
ない。
【0066】次に、この光学薄膜3上において高反射膜
2を形成しない有効領域1bだけをマスクし、有効領域
1aに対して高反射膜2の形成を行う。
【0067】この高反射膜2の形成された光学素子が、
光学的な有効領域1bのマスクを除去して図7に示すよ
うに複数の光学的な機能を領域毎に有する素子として提
供される。
【0068】このように構成しても各有効領域に形成し
た光学素子の機能を損なわずに複数の機能を有する光学
素子を提供することができる。
【0069】この実施例の変形例として例えば図8に示
すように、最初に光学素子の基板4の形状に沿って光学
薄膜3が形成される。次に、所望する面4aだけに高反
射膜2を形成するようにしても複数の光学的な機能を領
域毎に有する素子として提供される(図9を参照)。
【0070】この光学素子の形成においても1段階分の
マスキング処理工程を省略することができるので、製造
コストの低減に役立てることができる。
【0071】光学素子は、反射率を95%以上にする誘
電体材料及び/又は金属材料からなる高反射膜2と、高
反射膜2の反射面での反射率を満足する許容値以下の吸
収率にする誘電体膜からなる光学薄膜3とで積層構造を
とることにより、光学的な機能を低下させることなく、
複数の光学的な機能をもたせることができる。
【0072】以上のように構成することにより、製造時
に使用するマスク形成用の治具等の精度よく作る必要の
あった治具の精度も気にすることなく、治具を簡素化し
て光学素子の製造ができ、成膜時の取り扱いが容易にな
るので、成膜用の治具のコスト及び光学素子の製造コス
トの低減も図ることができる。
【0073】また、このように製造された光学素子は、
必要とする光学的な機能を保つように積層構造をとるこ
とにより、光学的な機能を低下させることなく、複数の
光学的な機能をもたせることができる。
【0074】
【発明の効果】本発明に係る光学素子の製造方法では、
製造時に使用するマスク形成用の治具等の精度よく作る
必要のあった治具の精度も気にすることなく、治具を簡
素化して光学素子の製造ができ、成膜時の取り扱いが容
易になるので、成膜用の治具のコスト及び光学素子の製
造コストの低減も図ることができる。
【0075】また、本発明に係る光学素子では、必要と
する光学的な機能を保つように積層構造をとることによ
り、光学的な機能を低下させることなく、複数の光学的
な機能をもたせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光学素子の製造方法における実施
例を説明する概観斜視図である。
【図2】上記光学素子の製造方法において光学薄膜の形
成を説明する概観斜視図である。
【図3】上記光学素子の製造方法の変形例を説明する概
観斜視図である。
【図4】上記光学素子の製造方法において光学薄膜の形
成を説明する概観斜視図である。
【図5】上記光学素子の製造方法により製造した光学素
子(プリズム)の断面を模式的に示す図である。
【図6】本発明に係る光学素子の製造方法の他の実施例
における光学薄膜の形成を説明する概観斜視図である。
【図7】上記光学薄膜形成後の高反射膜の形成を説明す
る概観斜視図である。
【図8】上記他の実施例の変形例における光学薄膜の形
成を説明する概観斜視図である。
【図9】上記光学薄膜形成後の高反射膜の形成を説明す
る概観斜視図である。
【図10】従来の光学素子を示す概観斜視図である。
【図11】上記光学素子の製造における第1の工程を説
明する概観斜視図である。
【図12】上記光学素子の製造における第2の工程を説
明する概観斜視図である。
【図13】上記光学素子の製造における第3の工程を説
明する概観斜視図である。
【符号の説明】
1、4 基板 1A 基板上面 1a、1b、4a、4b 有効領域 2 高反射膜 3 光学薄膜

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の光学薄膜を光学的な有効面上にそ
    れぞれ形成する光学素子の製造方法であって、 上記光学的な有効面上の一部の領域に入射光を反射する
    高反射膜を選択的に形成し、 上記高反射膜及び上記光学的な有効面上に光学薄膜を形
    成することを特徴とする光学素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 複数の光学薄膜を光学的な有効面上にそ
    れぞれ形成する光学素子の製造方法であって、 上記光学的な有効面上に光学薄膜を形成し、 この光学薄膜上の一部に入射光を反射する高反射膜を選
    択的に形成することを特徴とする光学素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記高反射膜は、反射率を95%以上に
    する誘電体材料及び/又は金属材料を用いることを特徴
    とする請求項1又は2記載の光学素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 複数の光学薄膜を光学的な有効面上にそ
    れぞれ形成した光学素子であって、 選択的に形成された入射光を反射する高反射膜と、 誘電体膜からなる光学薄膜とが積層構造を有することを
    特徴とする光学素子。
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