JP3065706B2 - 多層膜反射鏡および該多層膜反射鏡を有する光学装置 - Google Patents

多層膜反射鏡および該多層膜反射鏡を有する光学装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多層膜反射鏡および多
層膜反射鏡を有する光学装置に関し、特に、入射角が鏡
面に垂直に近い正入射の場合でも好適に使用できる多層
膜反射鏡および多層膜反射鏡を有する光学装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、真空紫外線と称される光よりも波
長が短い光に対しては、ほとんどの物質の屈折率がほぼ
1に等しくなるとともに、これらの物質の吸収係数が無
視できない程度に大きくなるため、通常の反射鏡では、
この種の光が鏡面に垂直または垂直に近い入射角で入射
した場合には、反射率が1%以下となり、反射鏡として
の機能を果たさなくなるという欠点があった。
【0003】しかし、近年、薄膜の膜厚をオングストロ
ームのオーダーで制御しながら複数の薄膜を積層する技
術が開発され、多数の層界面からの各反射光が互い干渉
して強め合うように各膜厚が設定された多層膜からなる
多層膜反射鏡が提案され(E.Spiller,App
l.Phys.Lett.,Vol.20,p.36
5,1972)、その後、その研究開発が盛んに行われ
るようになってきた。一般に、多層膜反射鏡は、異なる
物質からなる複数の薄膜が交互に数十〜数百層積層され
た多層膜からなるが、大きな反射率を得るためには、互
いに隣接する薄膜を構成する物質の屈折率の差が大きく
なるように、複数の薄膜を構成する物質の組合せを選択
する必要がある。現在、波長が約124〜1000Å程
度までの軟X線または真空紫外線に対する、このような
物質の組合せとしては、モリブデン(Mo)とシリコン
(Si)の組合せが知られており、これらの組合せから
なる多層膜が、多層膜反射鏡に用いられている。
【0004】また、この種の多層膜反射鏡は、光学装置
(顕微鏡,リソグラフィおよび光CVD装置など)で、
軟X線または真空紫外線を反射する反射手段として用い
られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た光学装置では、多層膜反射鏡は多数個組合わされて使
用されるため、入射された軟X線または真空紫外線の強
度が、多数回の反射により低下してしまうという欠点が
ある。たとえば、モリブデン(Mo)とシリコン(S
i)の組合せからなる多層膜を用いて構成された多層膜
反射鏡では、大きな反射率を得るための理想的な形状に
作製されたとしても、波長が200Åの真空紫外線が鏡
面に対して垂直に入射したときの反射率は約50%程度
であるため、真空紫外線の強度は、3回の反射で約1
2.5%まで低下してしまう。また、実際に作製された
多層膜には、層界面の荒れおよび周期の乱れがあるた
め、多層膜反射鏡の反射率はさらに小さくなり、多数回
の反射による軟X線または真空紫外線の強度低下が無視
できなくなるという欠点がある。
【0006】本発明の目的は、多数回の反射によっても
軟X線または真空紫外線の強度低下を従来よりも低く抑
えることができる多層膜反射鏡および多層膜反射鏡を有
する光学装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の多層膜反射鏡
は、モリブデンからなる薄膜とアルミニウムからなる薄
膜とが交互に積層された多層膜を有する。
【0008】また、本発明の光学装置は、反射手段が、
本発明の多層膜反射鏡を有する。
【0009】
【作用】本発明の多層膜反射鏡は、真空および他の物質
との屈折率の実数部の差が大きいモリブデンからなる薄
膜と、シリコンに比べて、モリブデンとの屈折率の実数
部の差が大きくかつ屈折率の虚数部の絶対値が小さいア
ルミニウムからなる薄膜とが交互に積層された多層膜を
有するため、モリブデンとシリコンとの組合せからなる
多層膜を有する従来のものよりも、大きな反射率を得る
ことができる。
【0010】また、多層膜を、入射される軟X線または
真空紫外線の波長の1/20以下の面粗度に加工された
基板上に形成することにより、基板における軟X線また
は真空紫外線の散乱を防止できるため、反射率を大きく
することができる。
【0011】さらに、多層膜の基板と反対側の層をモリ
ブデンからなる薄膜とすることにより、真空との屈折率
の実数部の差の値はアルミニウムよりもモリブデンの方
が大きいため、反射率を大きくすることができる。
【0012】本発明の光学装置は、反射手段が本発明の
多層膜反射鏡を有するため、反射手段の反射率を従来の
ものよりも大きくすることができ、多数回の反射によっ
ても光線の強度低下を低く抑えることができる。
【0013】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【0014】図1は、本発明の多層膜反射鏡の第1の実
施例を示す要部断面図である。
【0015】この多層膜反射鏡は、モリブデンからなる
第1ないし第15のモリブデン薄膜101 〜1015とア
ルミニウムからなる第1ないし第15のアルミニウム薄
膜111 〜1115とが交互に積層された多層膜が基板1
上に形成され、かつ保護膜2が第15のアルミニウム薄
膜1115上に形成されたものである。なお、多層膜の基
板1側の層は第1のモリブデン薄膜101 となってお
り、多層膜の基板1と反対側の層は第15のアルミニウ
ム薄膜1115となっている。ここで、基板1における軟
X線または真空紫外線の散乱を防止するため、基板1の
多層膜が形成された面は、軟X線または真空紫外線の波
長(約170〜約1000Å)に対して十分滑らかにな
るように、面粗度(凹凸の高さの差のrms値)が5Å
(使用波長の1/20)以下となるように加工されてい
る。また、大きな反射率を得るために、各モリブデン薄
膜101 〜1015の厚さD1 および各アルミニウム薄膜
111 〜1115の厚さD2 は、公知のフレネルの反射法
則を基礎にした計算式(たとえば、J.H.Under
wood et al.,Appl.Opt.,Vol.2
0,p.3027,1981)から求められる値(たと
えば、波長が200Åの真空紫外線に対して使用する場
合には、D1 =29.5Å,D2 =74.9Å)に設定
されている。さらに、保護膜2は、軟X線または真空紫
外線の吸収が少なくかつ安定な材料(たとえば、炭素な
ど)により構成されている。
【0016】次に、モリブデンからなる薄膜とアルミニ
ウムからなる薄膜とが交互に積層された多層膜を用いる
ことにより、軟X線または真空紫外線に対して大きな反
射率が得られる理由について説明する。
【0017】軟X線または真空紫外線領域の波長帯域で
は、物質の屈折率nは、 n=1−δ−iK (1) で表される。ここで、δおよびKはともに1に比べて小
さな実数であり、屈折率nの虚数部−iKは軟X線また
は真空紫外線の吸収度を示す。多層膜反射鏡を作製する
とき、多層膜に用いる薄膜材料の組合わせを選択する指
針としては、(1)式で表される屈折率nの実数部1−
δの差が大きくかつ虚数部−iKの絶対値Kが小さい2
つの物質を組合わせることが適当であることが知られて
いる(M.Yamamoto et al.,Procee
dings of SPIE,Vol.1140,p.
448〜452,1989)。表1に、多層膜を形成す
るのに適当と思われる物質の波長236Åにおける屈折
率nの実数部1−δの値と虚数部−iKの絶対値Kを示
す。
【0018】
【表1】 表1より、モリブデン(Mo)は、屈折率nの実数部1
−δが0.726800であり、他の物質の屈折率nの
実数部1−δとの差が大きく、多層膜の一方の薄膜の材
料として最適であることがわかる。また、表1の屈折率
nの虚数部−iKの絶対値Kに着目すると、シリコン
(Si)の虚数部−iKの絶対値Kは0.00624で
あり、他の物質に比べて絶対値Kが小さいため、多層膜
の他方の薄膜の材料として適していることがわかる。し
たがって、従来例で述べたモリブデン(Mo)とシリコ
ン(Si)との組合せは、前述した指針を満足する組合
せの一つであることがわかる。
【0019】しかし、表1のアルミニウム(Al)に着
目すると、アルミニウム(Al)の屈折率nの虚数部−
iKの絶対値Kは0.00528であり、シリコン(S
i)の絶対値K(=0.00624)よりもさらに小さ
い。また、アルミニウム(Al)とモリブデン(Mo)
との屈折率nの実数部1−δの差は0.253363
(=0.980163−0.726800)であり、シ
リコン(Si)とモリブデン(Mo)との屈折率nの実
数部1−δの差0.231193(=0.957993
−0.726800)よりも大きい。したがって、モリ
ブデン(Mo)とアルミニウム(Al)との組合せから
なる多層膜を用いて多層膜反射鏡を構成することによ
り、従来のモリブデン(Mo)とシリコン(Si)との
組合せを用いたものよりも大きな反射率を得られること
がわかる。
【0020】次に、図1に示した多層膜反射鏡を実際に
作製した一実験例について説明する。
【0021】この実験では、多層膜の形成は公知の高周
波マグネトロンスパッタ法を用いて行った。すなわち、
真空槽内に回転自在に設けられた基板ホルダーに、石英
からなる基板1を設置し、真空槽内に存在する気体を真
空度が5×10ー7(Torr)になるまで排気したの
ち、真空槽内にアルゴンガスを真空度が0.5(mTo
rr)になるまで導入し、モリブデン(Mo)とアルミ
ニウム(Al)の各ターゲット上に交互に放電を起こす
ことにより、基板1上に各モリブデン薄膜101〜10
15および各アルミニウム薄膜111 〜1115を交互に積
層していった。なお、各モリブデン薄膜101 〜1015
の膜厚D1 および各アルミニウム薄膜11 1 〜1115
膜厚D2 をそれぞれ前述した各値(D1 =29.5Å,
2 =74.9Å)に制御するため、水晶振動子膜厚計
で膜厚を測定しながら各モリブデン薄膜101 〜1015
および各アルミニウム薄膜111 〜1115を積層してい
った。また、スパッタリングにおいて、モリブデン(M
o)の蒸着速度は0.5(Å/sec)とし、アルミニ
ウム(Al)の蒸着速度は0.6(Å/sec)とし
た。
【0022】このようにして作製した多層膜反射鏡の評
価は、真空紫外線の反射率を測定することにより行っ
た。すなわち、真空紫外線の光源としてシンクロトロン
放射光を用い、シンクロトロン放射光を回折格子分光器
で分光することにより、波長が150〜250Åの真空
紫外線を得た。この真空紫外線を入射角10°で多層膜
反射鏡に入射させ、入射させた真空紫外線の強度と反射
してくる真空紫外線の強度との比から反射率を求めた。
図2に、このようにして求めた反射率の波長依存性を測
定した結果を示す。図2に示されるように、この多層膜
反射鏡は、波長が200Å付近で最大反射率約48%を
もち、ほぼ設計値に近い結果(設計値のほぼ90%の
値)が得られた。
【0023】一方、比較のため、図1に示したものと同
じ構造を有する多層膜反射鏡をモリブデン(Mo)とシ
リコン(Si)との組合せにより同様にして作製し、評
価した。ここで、モリブデン(Mo)からなる薄膜の膜
厚d1 およびシリコン(Si)からなる薄膜の膜厚d2
は、前述したフレネルの反射法則を基礎にした計算式に
より求めた値(d1 =31.2Å,d2 =75.8Å)
にそれぞれ設定した。このようにして作製した多層膜反
射鏡の反射率の波長依存性は、図2に示したものとほぼ
同様であったが、波長が200Å付近での最大反射率は
約42%であり、本発明によるモリブデン(Mo)とア
ルミニウム(Al)との組合せにより作製した多層膜反
射鏡の最大反射率(約48%)よりも小さかった。
【0024】図3は、本発明の多層膜反射鏡の第2の実
施例を示す要部断面図である。
【0025】この多層膜反射鏡は、モリブデンからなる
第1ないし第15のモリブデン薄膜301 〜3015とア
ルミニウムからなる第1ないし第14のアルミニウム薄
膜311 〜3114とが交互に積層された多層膜が基板2
1上に形成されている点、および多層膜の基板21側の
層が第1のモリブデン薄膜301 となっている点につい
ては、図1に示したものと同じである。ここで、図1に
示した基板1と同様に、基板21における軟X線または
真空紫外線の散乱を防止するため、基板21の多層膜が
形成される面は、軟X線または真空紫外線の波長(約1
70〜約1000Å)に対して十分滑らかになるよう
に、面粗度(凹凸の高さの差のrms値)が5Å(使用
波長の1/20)以下となるように加工されている。
【0026】しかし、この多層膜反射鏡は、多層膜の基
板21と反対側の層が第15のモリブデン薄膜3015
なっている点、および保護膜22が第15のモリブデン
薄膜3015上に形成されている点については、図1に示
したものと異なる。ここで、各モリブデン薄膜301
3015の厚さD3 は、図1に示した各モリブデン薄膜1
1 〜1015の厚さD1 (=29.5Å)と等しく、各
アルミニウム薄膜311 〜3114の厚さD4 は、図1に
示した各アルミニウム薄膜111 〜1115の厚さD2
(=74.9Å)と等しくなっている。
【0027】次に、多層膜の基板21と反対側の層をモ
リブデン(Mo)からなる薄膜とする利点について説明
する。
【0028】表1に示したように、モリブデン(Mo)
の屈折率nの実数部1−δの値は、他の物質のそれより
もかなり小さく、波長が236Åの真空紫外線がモリブ
デン(Mo)と真空または空気との界面に入射角0°で
入射したときの反射率は、フレネルの反射法則により算
出すると、約2.4%程度となる。これに対して、多層
膜の基板21と反対側の層をアルミニウム(Al)から
なる薄膜とした場合には、反射率は約0.01%程度と
なる。したがって、多層膜の基板21と反対側の層は、
多層膜中での多重反射を考慮しても、アルミニウム(A
l)からなる薄膜とするよりもモリブデン(Mo)から
なる薄膜とする方が、反射率の大きな多層膜反射鏡を構
成することができる。実際に、多層膜中での多重反射を
考慮した反射率のシミュレーションを行った結果におい
ても、多層膜の基板と反対側の層をモリブデン(Mo)
からなる薄膜とした方が、3.5%程度大きな反射率を
得ることができた。
【0029】以上のことを確認するために、図1に示し
た多層膜反射鏡と同様にして、図3に示した多層膜反射
鏡を試作するとともに、反射率の波長依存性を測定し
た。図4に、反射率の波長依存性の測定結果を示す。こ
の測定結果は図2に示したものとほぼ同じであるが、波
長が200Å付近における最大反射率は約51%であ
り、本実施例の多層膜反射鏡の方が、図1に示した多層
膜反射鏡よりも大きな反射率が得られることを確認する
ことができた。
【0030】以上の説明においては、表1に示した波長
が236Åの真空紫外線の屈折率nを例として述べた
が、光学定数のデータ(B.L.Henke et a
l.,Proceedings of SPIE,Vo
l.1140,p.502−505,1989)によれ
ば、波長が約170〜約1000Åの軟X線または真空
紫外線に対しては、アルミニウム(Al)は、シリコン
(Si)よりも屈折率nの虚数部−iKの絶対値Kが小
さく、かつモリブデン(Mo)との屈折率nの実数部1
−δの差が大きいため、本発明の多層膜反射鏡は、波長
が約170〜約1000Åの軟X線または真空紫外線に
対しても大きな反射率が得られる。
【0031】また、図1に示した保護膜2および図3に
示した保護膜22は、多層膜の表面を保護するためのも
のであるから、多層膜の表面が保護される環境下で使用
される場合には必ずしも必要ではない。
【0032】次に、本発明の多層膜反射鏡を有する光学
装置の一実施例について説明する。軟X線または真空紫
外線を反射する反射手段を有する光学装置の一例として
は、たとえば特開昭63ー18626号公報に記載され
ているような軟X線を用いた、半導体デバイス製造用の
投影露光装置がある。この投影露光装置は、3枚の曲面
反射鏡による光学系からなる反射手段を有し、軟X線で
マスクを照明し、このマスクの回路パターンの像を反射
手段によりウエハ上に投影してウエハ上に回路パターン
を転写し、このウエハを処理して半導体デバイスを作る
ものである。そこで、この3枚の曲面反射鏡による光学
系の代わりに、図3に示した多層膜反射鏡を用いた場合
の効果を確認するため、次に示す実験を行った。
【0033】図5は、実験に用いた測定系を示す模式図
である。
【0034】この実験では、図3に示した多層膜反射鏡
と同じ構造を有する第1,第2および第3の多層膜反射
鏡51,52,53と、第1および第2の検出器55,
56を用いて測定系を構成した。なお、第1,第2およ
び第3の多層膜反射鏡51,52,53は、曲面鏡を用
いたときの解析が複雑になることを避けるため、平面鏡
とした。また、第1の多層膜反射鏡51は、入射してく
る真空紫外線光Lが入射角10°で入射する位置に設
け、第2の多層膜反射鏡52は、第1の多層膜反射鏡5
1で反射された真空紫外線光Lが入射角10°で入射す
る位置に設け、第3の多層膜反射鏡53は、第2の多層
膜反射鏡52で反射された真空紫外線光Lが入射角10
°で入射する位置に設けた。第1の検出器55は、第1
の多層膜反射鏡51の図示右側の、入射してくる真空紫
外線光Lの光軸上に設け、第2の検出器56は、第3の
多層膜反射鏡53で反射された真空紫外線光Lの光軸上
に設けた。さらに、第1,第2および第3の多層膜反射
鏡51,52,53には、面粗度が3Å以下となるよう
に平面研磨された基板上に、モリブデン(Mo)からな
る薄膜とアルミニウム(Al)からなる薄膜とを同一真
空槽内で交互に積層して作製したものを用いた。真空紫
外線光Lには、シンクロトロン放射光を回折格子分光器
で分光して得た、波長が200Åのものを用いた。
【0035】この測定系を用いて、第2の検出器56で
検出された、第3の多層膜反射鏡53で反射された真空
紫外線光Lの強度と、第1の多層膜反射鏡51を取除い
た状態において第1の検出器55で検出された、入射し
てくる真空紫外線光Lの強度との比から反射率を求めた
ところ、約13%であった。比較のため、第1,第2お
よび第3の多層膜反射鏡51,52,53の代わりに、
モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との組合わせか
らなる従来の多層膜反射鏡を用いて、同様にして反射率
を求めたところ、反射率は約8.3%であった。
【0036】本発明の多層膜反射鏡は、前述した投影露
光装置やプロキシミティータイプの露光装置の照明系の
軟X線の反射鏡として使用でき、この多層膜反射鏡で軟
X線を反射して、軟X線でマスクを照明することによ
り、マスクの回路パターンをウエハ上にプリントして、
半導体デバイスを作ることができる。
【0037】また、本発明の多層膜反射鏡は、X線顕微
鏡の照明光学系や結像光学系の構成要素としても使用で
きる。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように本発明は次のような
効果がある。請求項1および請求項2の発明は、モリブ
デンからなる薄膜とアルミニウムからなる薄膜とが交互
に積層された多層膜を有することにより、大きな反射率
を得ることができるため、反射による軟X線または真空
紫外線の強度低下を防止できるという効果があり、ま
た、請求項3の発明は、入射される軟X線または真空紫
外線の波長の1/20以下の面粗度に加工された基板上
に多層膜が形成されることにより、大きな反射率を得る
ことができるという効果があり、さらに、請求項4の発
明は、多層膜の基板と反対側の層をモリブデンからなる
薄膜とすることにより、大きな反射率を得ることができ
るという効果があり、また、請求項5の発明は、反射手
段が反射率の大きい本発明の多層膜反射鏡を有するた
め、多数回の反射による軟X線または真空紫外線の強度
低下を防止できるので、軟X線または真空紫外線を有効
に利用できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層膜反射鏡の第1の実施例を示す要
部断面図である。
【図2】図1に示した多層膜反射鏡における反射率の波
長依存性を測定した結果を示すグラフである。
【図3】本発明の多層膜反射鏡の第2の実施例を示す要
部断面図である。
【図4】図3に示した多層膜反射鏡における反射率の波
長依存性を測定した結果を示すグラフである。
【図5】実験に用いた測定系を示す模式図である。
【符号の説明】
1,21 基板 2,22 保護膜 101〜1015,301〜3015 モリブデン薄膜 111〜1115,311〜3114 アルミニウム薄膜 51,52,53 多層膜反射鏡 55,56 検出器 D1,D2,D3,D4 膜厚 L 真空紫外線
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−266398(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21K 1/06

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モリブデンからなる薄膜とアルミニウム
    からなる薄膜とが交互に積層された多層膜を有する多層
    膜反射鏡。
  2. 【請求項2】 前記多層膜が、波長領域170〜100
    0Åの軟X線または真空紫外線を反射する請求項1記載
    の多層膜反射鏡。
  3. 【請求項3】 前記多層膜が、入射される軟X線または
    真空紫外線の波長の1/20以下の面粗度に加工された
    基板上に形成されている請求項1または請求項2記載の
    多層膜反射鏡。
  4. 【請求項4】 前記多層膜の基板と反対側の層が、モリ
    ブデンからなる薄膜である請求項3記載の多層膜反射
    鏡。
  5. 【請求項5】 軟X線または真空紫外線を反射する反射
    手段を有する光学装置において、前記反射手段が、請求
    項1ないし請求項4いずれか1項記載の多層膜反射鏡を
    有することを特徴とする光学装置。
JP3103370A 1991-04-09 1991-04-09 多層膜反射鏡および該多層膜反射鏡を有する光学装置 Expired - Fee Related JP3065706B2 (ja)

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