JPH08180371A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH08180371A
JPH08180371A JP32256494A JP32256494A JPH08180371A JP H08180371 A JPH08180371 A JP H08180371A JP 32256494 A JP32256494 A JP 32256494A JP 32256494 A JP32256494 A JP 32256494A JP H08180371 A JPH08180371 A JP H08180371A
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JP
Japan
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lubricant
recording medium
magnetic recording
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polar functional
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JP32256494A
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English (en)
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Hideo Okada
英夫 岡田
Hideki Murayama
英樹 村山
Keiichiro Sano
桂一郎 佐野
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 潤滑性・耐摩耗性に優れ、良好なトライボロ
ジー性能を有する磁気記録媒体を提供する。 【構成】 パーフルオロポリエーテル骨格を有するフッ
素系潤滑剤を含有する潤滑層を積層した磁気記録媒体に
おいて、該潤滑剤が一方の末端のみが極性官能基により
置換された潤滑剤分子を含有し、かつ該官能基による末
端置換率が80%以上であることを特徴とする磁気記録
媒体であって、特に、潤滑剤分子として、静電相互作用
により可逆的に金属イオンまたは有機イオンをトラップ
する機能を有する多座配位子をホスト化合物とし、極性
官能基を有する潤滑剤分子の有機イオンまたは該有機イ
オンの金属塩をゲスト化合物とするホストゲスト錯体を
用いることによって、スピンオフが抑制され、長期間に
わたり良好な耐久性を有する磁気記録媒体を得ることが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高速で摺動する固体接
触界面において、数10Å下の膜厚でも潤滑機能を発現
する潤滑層を有する高記録密度の気記録媒体に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】情報産業等で利用される高記録密度の磁
気記録媒体の代表的な例である薄膜型磁気記録媒体は、
通常、磁性金属またはその合金をメッキ、蒸着またはス
パッタリング法等によって非磁性基板上に披着して製造
される。実際の使用時においては磁気ヘッドと磁気記録
媒体とが高速で接触摺動するので、摩耗損傷を受けた
り、磁気特性の劣化を起こしたりする。
【0003】このような欠点を解決する方法として、磁
性層上に保護膜や潤滑層を設けることによって接触摺動
の際の静/動摩擦を極力低減させ、耐摩耗性を向上させ
ることが提案されている。保護膜としては、炭素質膜、
酸化物膜、窒化物膜及びホウ化物膜等が利用される。潤
滑剤としては液体潤滑剤または固体潤滑剤が使用される
が、一般的には製造しやすさの点から両末端にOH基あ
るいはピペロニル基等の官能基を有する液体潤滑剤であ
るパーフルオロポリエーテル化合物がディスク表面に塗
布されている。しかしながら、磁気記録媒体の潤滑機構
を十分に発揮させるに足る骨格構造について未だ解明さ
れていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】磁気記録媒体は、その
使用時においてディスク媒体が停止状態から急速に回転
加速され、これに伴い、浮上ヘッドスライダに浮力が与
えられてヘッドは浮上する。使用後に電源が切断される
とディスク媒体を回転させているモータが停止し、ヘッ
ドと媒体とが高速で接触を起こして摺動する。
【0005】近年、面記録密度を高めるためにヘッドの
低浮上化とディスク回転の高速化が求められており、媒
体基板はより平滑になる方向にある。動摩擦係数を低減
するために液体潤滑膜を設けることは非常に有効である
が、液体潤滑膜を厚くしていくと、ヘッドとディスクと
の間に液体潤滑剤の表面張力によるマイクロメニスカス
が形成されて、吸着現象が生じることが知られている。
この吸着の原因は、液体潤滑剤の末端官能基がヘッドと
密着することが一因である。このため静摩擦係数が増加
し、往々にしてヘッドがディスクに張り付いたまま動作
不能となることが指摘されているため、あまり厚膜化で
きない。
【0006】さらに、ディスクの回転速度が大きくなる
に従い、潤滑剤が揮散し膜厚が減少するスピンオフと呼
ばれる現象が顕著となってくる。このスピンオフを抑え
るためには、潤滑剤分子を基板と有効に結合させ固着す
る必要があり、潤滑層分子の結合力を高める方策として
は、例えばアルキルシランをポリマー化する方法(特開
平2−103721号、特開平2−103722号)が
提案されている。しかしながら、これらの方法による潤
滑層は、ポリマー化されることにより分子の動きが抑制
され、潤滑性が低下する。
【0007】本発明は、薄膜であっても優れた潤滑性を
発現し、スピンオフしない潤滑層を備えた薄膜磁気記録
媒体を得ることを目的とし、高速摺動する媒体表面が、
長期間にわたり潤滑性・耐摩耗性を示すように潤滑シス
テムを分子・原子オーダーで設計することにより達成さ
れたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、フッ素
系潤滑剤を含有する潤滑層を積層した磁気記録媒体にお
いて、該潤滑剤が一方の末端のみが極性官能基により置
換された潤滑剤分子を含有し、かつ該官能基による末端
置換率が80%以上であることを特徴とする磁気記録媒
体にあり、特に、潤滑剤分子が、静電相互作用により可
逆的に金属イオンまたは有機イオンをトラップする機能
を有する多座配位子をホスト化合物とし、極性官能基を
有する潤滑剤分子の有機イオンまたは該有機イオンの金
属塩をゲスト化合物とするホストゲスト錯体を含む潤滑
層を積層した磁気記録媒体とすることにより、固体基板
上に固着されたホスト化合物とイオン結合などの可逆的
な静電相互作用により潤滑剤分子が固定化されるため、
潤滑剤のスピンオフを防ぐだけでなく、より耐久性に優
れた潤滑性能を実現し得るとともに、ディスクの回転数
をあげることができるので、ディスクのデータ記録密度
を増大させることが可能となる。
【0009】以下、本発明の磁気記録媒体について図面
を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の磁気記録媒
体の構成の一例を示すものである。非磁性基板1上に磁
性層2、保護膜3、潤滑層4が順次形成された磁気記録
媒体において、潤滑層4が、ディスク上に固着されたホ
スト化合物によって潤滑剤分子が固定化されている様子
を表している。
【0010】本発明の磁気記録媒体を製造するにあた
り、非磁性基板としては、通常、ニッケル・リン層を設
けたアルミニウム合金板またはガラス基板が用いられる
が、そのほかにもセラミック基板、カーボン基板、樹脂
基板等を用いることもできる。非磁性基板上には必要に
応じてCr,Geなどの下引層を設けた後、Coまたは
Co合金、例えばCoP合金、CoNiP合金、CoN
iCr系合金、CoNiPt系合金、CoCrPt系合
金、CoCrPtTa系合金等の薄膜磁性層が無電解メ
ッキ法、スパッタリング法等により形成される。薄膜磁
性層の膜厚は、磁気記録媒体として要求される特性によ
り決定され、通常、200〜1500Åである。本発明
の磁気記録媒体においては、薄膜磁性層上の保護膜は必
ずしも不可欠のものではなく、薄膜磁性層の硬度や弾性
率等の物理物性を鑑みて、必要に応じて形成される。保
護膜としては炭素質膜、酸化物膜、窒化物膜、ホウ化物
膜等が用いられ、スパッタリング法、イオンプレーティ
ング法、プラズマ重合法等により形成される。保護膜と
して好ましく用いられるのは、無定形炭素、水素化カー
ボン等の炭素質膜であり、通常50〜500Å、好適に
は、100〜300Åの膜厚で用いられる。また必要に
応じて適宜紫外線照射等の表面処理を施すこともでき
る。
【0011】潤滑層中の潤滑剤分子としては、潤滑作用
を担う分子骨格の少なくとも一方の末端に極性官能基を
有するものが用いられる。潤滑作用を担う分子骨格とし
ては例えば、パーフルオロポリエーテル等のフッ素化ア
ルキル系液体潤滑剤を用いることができる。パーフルオ
ロポリエーテル系としては、例えば(CF2 CF2 O)
m (CF2 O)n −骨格、−(CF2 CF2 CF2 O)
p −骨格または−(CF2 CF(CF3 )O)q −骨格
等を主鎖骨格に有するものが挙げられるが、潤滑作用を
示す限り特にこれらに限定されるものではない。上記式
中、m,n,p,qは1以上の整数を示し、通常、5〜
50程度のものが用いられる。また潤滑剤分子の分子量
は500以上が好ましく、特に600〜8000程度の
ものが好ましい。なお、上記パーフルオロポリエーテル
系分子骨格に、更に分岐鎖状または直鎖状の飽和または
不飽和の高級脂肪族炭化水素鎖、芳香族基やヘテロ原子
を含む高級脂肪族炭化水素鎖等が結合したものを用いる
こともできる。
【0012】上記以外にポリアルキレングリコール系、
りん酸エステル系、ポリオールエステル系、アルキルナ
フタレン系、シリコン油系ポリアリールアルカン系、ポ
リフェニル系、けい酸エステル系、ポリフェニルエーテ
ル系等の分子骨格を有する潤滑剤分子を用いることもで
きる。
【0013】上記フッ素系潤滑剤の極性官能基は、基板
表面に応じて決定され、特に潤滑剤としてホストゲスト
錯体型化合物を使用する場合には、ホスト化合物との結
合サイトとしての金属イオンのカウンターアニオンとな
りうる極性官能基またはホスト化合物と静電相互作用に
より結合する有機イオンとなりうる極性官能基が選択さ
れる。具体的には、水酸基、カルボキシル基、アミド基
等の含酸素極性官能基、アミノ基、イミノ基等の含窒素
官能基、リン酸基、リン酸エステル基等の含リン官能
基、メルカプト基、スルホン酸基、スルホン酸エステル
基等の含硫黄官能基等の群から選択される。
【0014】なお、潤滑剤は、その基本的な性質を損な
わない限り他の潤滑剤との併用も可能である。本発明に
おいては、潤滑剤における極性官能基による末端置換率
が80%以上であることを特徴とする。高速回転下での
スピンオフを抑制し、耐久性をより確実にするためには
90%以上であることが好ましい。フッ素系潤滑剤と非
フッ素系潤滑剤を併用する場合でも、全潤滑剤分子中の
極性官能基による末端置換率が80%以上であることが
好ましい。
【0015】なお末端置換率は、フーリエ変換型核磁気
共鳴(FT−NMR)により19Fのケミカルシフトを測
定することにより計算により求められる。以下に、末端
置換率の求め方の例を示す。化1に示す末端官能基を有
しない無極性分子A,BおよびCの混合物を変性して末
端に極性官能基を導入することにより、前記A,Bおよ
びCの無極性分子と、化2に示す一方の末端に極性官能
基を有するD,Eおよび両方の末端に極性官能基を有す
るF等の極性分子との混合物が得られる。
【0016】
【化1】
【0017】
【化2】
【0018】かくして得られる潤滑剤を適当な溶剤に溶
解し、19F−FT−NMRスペクトルを測定し、化1お
よび化2のa〜eに相当するピークの積分値を求め、こ
れをもとにして潤滑剤中の末端置換率は、以下のように
計算できる。両末端が完全に置換されている場合は20
0%となる。 末端置換率(%)=[c/2]/{[a/3+(d+
e)/5+c/2]/2}×100
【0019】また、本発明において用いられる潤滑剤
は、一方の末端のみに極性官能基を有する潤滑剤分子
を、50%以上、好ましくは80%以上含有することが
推奨されるが、特にホストゲスト化合物を用いる場合に
は、80%以上が好ましい。
【0020】ホストゲスト化合物を使用する場合に、潤
滑剤分子の末端官能基から誘導される有機イオンまたは
これと塩を形成する金属イオンとしては、ホスト化合物
にトラップされるものが選択され、通常はNa,K,R
b等のアルカリ金属、Mg,Cs,Sr,Ba等のアル
カリ土類金属、Al,Sn,Pb等の典型金属、Ag,
Cu,Fe等の遷移金属またはアミノ基、アミン酸塩等
が用いられる。これらのなかでも特に、K,Ba,A
g,Cuおよびアミノ基等が好ましい。
【0021】ホスト化合物としては、環状エステル、ポ
リエーテル類、ポリアミン類、クラウンエーテルと総称
される環状エーテル類、クリプタンドあるいはクリプテ
ートと総称される環状エーテルアミン類、環状アミン
類、ポリペプチドおよびこれらの化学修飾体など、金属
イオンまたは有機イオンを効果的に取り込む機能を有す
る多座配位子が用いられ、なかでもクラウンエーテルや
クリプタンド等の環状配位子が特に有効である。
【0022】これらの潤滑剤あるいはホストゲスト錯体
の固体基板への塗布は、通常、それぞれの溶液に固体基
板を浸漬することにより行われるが、固体基板表面に該
溶液をしみこませたテープ等を荷重をかけて接触させて
被膜を形成する方法、固体基板上でパッドを回転させな
がら添着させる方法、またはスプレー法やLB膜法など
を用いることができる。塗布液の濃度は、潤滑剤の種類
により、また溶媒の種類により異なるが、通常、溶液中
濃度として0.1〜5g/lで用いられる。
【0023】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに具体的に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施
例に限定されるものではない。 実施例1 中心線平均粗さ(Ra)が35Åの平滑なアルミニウム
合金の直径3.5インチの基板上に、スパッター法によ
りクロム下地層(1200Å)、コバルト合金の磁性薄
膜(500Å)、および水素化カーボン保護膜(200
Å)を形成した。このディスクを−(CF2 CF2 CF
2 O)p −骨格を有するフッ素系潤滑剤(片末端COO
H変性品;末端置換率115%;平均分子量2200)
を0.33mmol/lの濃度で含有するフッ素系溶媒
PF5080(住友3M社製)中に浸漬し、ディスク表
面に厚さ25Åの均一な潤滑層を形成した。
【0024】潤滑層を形成したディスクを用いて、潤滑
剤のスピンオフの試験を行なった。試験はディスクを8
0℃の雰囲気で7日間、7200rpmの回転数で回転
させることにより行ない、FTIRスペクトルにおける
C−F結合の吸収強度の変化から潤滑膜厚の残存率を求
めた。結果を表−1に示す。
【0025】実施例2 実施例1と同様に製造した磁気ディスクの水素化カーボ
ン膜表面に、185nm,254nmの波長を有する出
力90Wの紫外線を15mmの距離から5分間空気中で
照射した。
【0026】上記ディスクを、4,4’−ジアミノジベ
ンゾ−18−クラウン−6−エーテルを2mmol/l
の濃度で含むクロロホルム溶液(0.781g/l)中
に浸漬し、ディスクの表面に厚さ15Åの均一な膜を形
成し、次いでディスクをクロロホルム液に5分間浸した
後引き上げることによって、ディスクの表面に厚さ5Å
の均一な4,4’−ジアミノジベンゾ−18−クラウン
−6−エーテルの固着膜を残した。
【0027】上記ディスクを、実施例1で使用したもの
と同様の潤滑剤(片末端COOH変性品;末端置換率1
15%;平均分子量1650)と水酸化カリウムとをそ
れぞれ0.33mmol/lの濃度で含有するフッ素系
溶媒PF5080(住友3M社製)中に浸漬し、ディス
クの表面に厚さ25Åの均一な潤滑層を形成した。得ら
れたディスクを用いて、実施例1と同様に潤滑剤のスピ
ンオフの試験を行なった。結果を表−1に示す。
【0028】実施例3 実施例1と同様に製造した磁気ディスクを使用し、実施
例1で使用したものと同一の潤滑剤と該潤滑剤の末端無
変性品とをモル比1:0.1、1:0.2、1:0.
3、1:0.6および1:0.7で混合して5種類の潤
滑剤混合物を調製した。これらを1.5mmol/lの
濃度で含有するフッ素系溶媒PF5080(住友3M社
製)中に浸漬し、ディスクの表面に厚さ30Åの均一な
潤滑層を形成した。得られたディスクを用いて、実施例
1と同様に潤滑剤のスピンオフの試験を行なった。結果
を表−2に示す。
【0029】実施例4 実施例2と同様に保護膜表面を処理し、4,4’−ジア
ミノジベンゾ−18−クラウン−6−エーテルの固着膜
を形成したディスクを、実施例3で使用した潤滑剤混合
物を1.5mmol/lの濃度で含有するフッ素系溶媒
PF5080(住友3M社製)中に浸漬し、ディスクの
表面に厚さ30Åの均一な潤滑層を形成した。得られた
ディスクを用いて、実施例1と同様に潤滑剤のスピンオ
フの試験を行なった。結果を表−3に示す。
【0030】比較例1 実施例1と同様に製造した磁気ディスクを使用し、両方
の末端にヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエー
テル(FomblinZDOL;モンテジソン社製,末
端置換率200%,平均分子量2000)にパーフルオ
ロポリエーテル(FomblinZ;モンテジソン社
製,末端置換率0%,平均分子量2000)を等モルで
混合し、これらを1.5mmol/lの濃度で含有する
フッ素系溶媒PF5080(住友3M社製)中に浸漬
し、ディスクの表面に厚さ30Åの均一な潤滑層を形成
した。得られたディスクを用いて、実施例1と同様に潤
滑剤のスピンオフの試験を行なった。結果を表−1に示
す。
【0031】比較例2 実施例2と同様に保護膜表面を処理し、カリウム塩化
4,4’−ジアミノジベンゾ−18−クラウン−6−エ
ーテルの固着膜を形成したディスクに、両方の末端にヒ
ドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル(Fo
mblinZDOL;モンテジソン社製,末端置換率2
00%,平均分子量2000)にパーフルオロポリエー
テル(Fomblin;モンテジソン社製,末端置換率
0%,平均分子量2000)を等モルで混合し、これら
を1.5mmol/lの濃度で含有するフッ素系溶媒P
F5080(住友3M社製)中に浸漬し、ディスクの表
面に厚さ30Åの均一な潤滑層を形成した。得られたデ
ィスクを用いて、実施例1と同様に潤滑剤のスピンオフ
の試験を行なった。結果を表−1に示す。
【0032】比較例3 実施例1と同様に製造した磁気ディスクを使用し、実施
例1で使用したものと同様の潤滑剤(片末端COOH変
性品;末端置換率67%;平均分子量2040)を0.
5mmol/lの濃度で含有するPF5080溶液中に
浸漬し、ディスクの表面に厚さ20Åの均一な潤滑層を
形成した。得られたディスクを用いて、実施例1と同様
に潤滑剤のスピンオフの試験を行なった。結果を表−1
に示す。
【0033】比較例4 実施例2と同様に保護膜表面を処理し、4,4’−ジア
ミノジベンゾ−18−クラウン−6−エーテルの固着膜
を形成したディスクを、比較例3で使用したものと同一
の潤滑剤を0.6mmol/lの濃度で含有するPF5
080溶液中に浸漬し、ディスクの表面に厚さ31Åの
均一な潤滑層を形成した。得られたディスクを用いて、
実施例1と同様に潤滑剤のスピンオフの試験を行なっ
た。結果を表−1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】表−1の結果から明らかな通り、一方の末
端に極性官能基を有する潤滑剤分子を含む潤滑層は、潤
滑剤分子のスピンオフが効果的に抑制されていることが
確認された。すなわち、末端官能基置換率を高めること
により、基板表面との固着力が著しく向上していること
が確認された。更に、ホストゲスト錯体型潤滑層を形成
することによって潤滑剤化合物を固着化することでスピ
ンオフを効果的に抑制できることがわかる。
【0038】また、末端置換率100%の潤滑層(比較
例1,2)であっても官能基が両方の末端に存在する場
合には、50%以下まで膜厚残存率が低下した。これ
は、官能基を有さない無極性のパーフルオロポリエーテ
ルは基板との固着力が弱いためスピンオフ後直ちに離散
するためである。すなわち潤滑層が官能基を両末端に有
する潤滑分子からなる場合には、末端置換率が100%
でもスピンオフが効果的には抑制できず、一方の末端の
みに極性官能基を有する潤滑剤分子を含むことが必要で
あることが確認された。
【0039】表−2に一方の末端に極性官能基を有する
潤滑剤分子と官能基を有さない潤滑剤分子を混合するこ
とにより調製した末端置換率68%〜105%の潤滑剤
を使用した磁気記録媒体のスピンオフ特性を測定した結
果を示したが、末端置換率が80%以上ならば7日後に
おいても良好な潤滑性能を維持できることがわかる。
【0040】表−3にホストゲスト化合物を用いて潤滑
層を形成した場合のスピンオフ特性を示した。末端置換
率が80%以上ならばスピンオフ7日後も膜厚残存率が
約70%以上であり、潤滑性能を十分維持できることが
わかった。表2と比較するとホストゲスト化合物の方
が、約10%膜厚残存率が大きい。これは、ホストゲス
ト化合物を用いた場合は、潤滑剤分子がホストに固着さ
れている効果である。また逆にスピンオフが少ないほど
初期膜厚を薄くできるため、スティクションを低下させ
ることができる。例えば、潤滑に最低限必要な膜厚が1
5Åとすると、7日後の膜厚残存率が70%、60%、
50%では、必要な初期膜厚はそれぞれ21Å、25
Å、30Åとなる。従って、潤滑剤を単独で使用する場
合には25Å必要であるが、ホストゲスト化合物を用い
る場合には21Åと薄膜化できるのでよりスティクショ
ンを低下させることが可能であり、より良好な潤滑層を
形成できる。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、薄膜で優れた潤滑性・
耐摩耗性を有し、しかもスピンオフを抑制する結果、長
期間にわたり優れた耐久性を維持することができる信頼
性の高い潤滑層を備えた磁気記録媒体が得られる。特に
ホストゲスト化合物を用いた場合には、スピンオフを抑
制することができるため、充分な耐久性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の潤滑層の構成を、液体
潤滑剤とクラウンエーテルにより形成されるホストゲス
ト化合物を用いた場合を示した概念図である。
【符号の説明】
1 非磁性基板 2 磁性層 3 保護膜 4 潤滑層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フッ素系潤滑剤を含有する潤滑層を積層し
    た磁気記録媒体において、該潤滑剤が一方の末端のみが
    極性官能基により置換された潤滑剤分子を含有し、かつ
    該官能基による末端置換率が80%以上であることを特
    徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】フッ素系潤滑剤がパーフルオロポリエーテ
    ル骨格を有する潤滑剤分子からなる請求項1記載の磁気
    記録媒体。
  3. 【請求項3】潤滑剤分子が、静電相互作用により可逆的
    に金属イオンまたは有機イオンをトラップする機能を有
    する多座配位子をホスト化合物とし、極性官能基を有す
    る潤滑剤分子の有機イオンまたは該有機イオンの金属塩
    をゲスト化合物とするホストゲスト錯体を含む請求項2
    記載の磁気記録媒体。
JP32256494A 1994-12-26 1994-12-26 磁気記録媒体 Pending JPH08180371A (ja)

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