JPH0817863B2

JPH0817863B2 - 自動糸調子制御可能なミシン

Info

Publication number: JPH0817863B2
Application number: JP13574687A
Authority: JP
Inventors: 秀高稲垣; 博昭深尾
Original assignee: Brother Industries Ltd
Current assignee: Brother Industries Ltd
Priority date: 1987-05-29
Filing date: 1987-05-29
Publication date: 1996-02-28
Anticipated expiration: 2011-02-28
Also published as: JPS63296785A

Description

【発明の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本発明は自動糸調子可能なミシンに関し、特に天秤の
最大糸取上位置の前後の所定の運動範囲内において糸供
給源から天秤の糸保持部への糸の供給を許容し、それ以
外の期間、糸供給を禁止する自動糸調子制御可能なミシ
ンに関する。

〔従来技術〕

一般に、ミシンの主軸と調時して上下運動する天秤
は、下降するときに縫糸による縫製のための上糸を下糸
ボビンへ供給し、また上昇するときに製縫工程で縫針の
目孔に形成された上糸輪を引き締め且つつぎの縫製のた
めに上糸を糸駒から所定量補充する役割を果たしてい
る。

前記糸駒から天秤の糸保持部に至る糸供給路の部分に
は、上糸輪の引き締めを可能にするために上糸に通過抵
抗を与える糸調子器を介装するのが一般的である。この
糸調子器は、１対の調子皿を圧縮バネで圧接させ、その
１対の糸調子皿間を通る上糸に摩擦抵抗を作用させる機
構になっている。

しかし、この種の糸調子器では、糸調子器以降の上糸
に作用する張力と糸調子器での抵抗力との相互関係で上
糸が供給されることから、上糸の引き締め力や上糸の供
給量を正確に制御することが難しく、加工布の厚さや種
類（つまり、これらに対応して選択される上糸の太さや
種類）に応じて縫目の糸調子を制御することが困難であ
る。

そこで、近年例えば特公昭53−41580号公報には、前
記スプリング式の糸調子器に代えて、１対の糸調子皿を
ソレノイド式アクチュエータで圧接させるように構成
し、ミシン主軸の回転に調時させてアクチュエータを駆
動させることにより所定のタイミングで所定期間だけ上
糸の通過を許可し、それ以外の時期には上糸の通過を制
限するようにした電気式通過制御装置が記載されてい
る。

しかし、上記公報に記載の糸通過制御装置において
は、加工布の厚さや種類つまり上糸の太さに関係なくミ
シン主軸と同期させて糸通過を制御するだけであり、ま
た糸通過を解放するときの作動速度及び糸通過を拘束す
るときの作動速度はミシン主軸の回転速度は独立に設定
してある。従って、糸の太さや種類に関係なく、一律に
上糸の引き締め及び供給が実行されるので、縫目の糸調
子が不安定になる。

更に、ミシン主軸の回転速度が変動すると上糸の供給
量も微妙に変化するので、縫製の速度によっても糸調子
が変動する。

そこで本願出願人は次のような糸通過制御可能なミシ
ン（特願昭61−251333号（特開昭63−105790号））を提
案した。

即ち、揺動レバーの上端部に天秤を形成し、天秤を針
棒最上位置の時点後主軸が約40度回転したときから縫針
の目孔が針板の上面に達するまで最上位置に保持するよ
うに揺動レバーを回転カムで駆動するカム式天秤機構を
設け、更に糸駒から天秤の糸保持部を経て縫針の目孔に
至る上糸供給路のうち、糸駒から天秤の糸保持部に至る
上糸を主軸の運動と調時して拘束したり解放したりする
糸通過制御装置を設けた。

上記揺動レバーには円弧孔とその円弧孔の両端部の直
孔とから形成されるカム孔を設け、そのカム孔には天秤
クランクのクランクピンを挿通させ、主軸を回転させる
ことにより、クランクピンが円弧孔を移動する約75度に
亙って天秤が最上位置に保持されるようにしている。

また、糸通過制御装置においては、１対の係合体とし
ての機枠側の糸道規則板と可動輪とを設け、主軸に設け
た回転カムによりリンク機構を介して可動輪を主軸の回
転と調時させて糸道規制板に対して接近したり離隔した
りするように駆動し、天秤が最上位置へ上昇する上糸の
引き締め時には可動輪で上糸を拘束し、上糸の引き締め
完了後布送り完了前に上糸の拘束を解放して必要量の上
糸を糸駒から供給し、その後縫針の目孔が針板に達する
前に可動輪で上糸を拘束するように構成してある。

〔発明が解決しようとする問題点〕

前記先の出願に係るカム式天秤機構を備えた糸通過制
御可能なミシンにおいては、円弧孔と直孔とからなる複
雑な形状のカム孔を形成した揺動レバーを、主軸の回転
によりそのカム孔に挿通した天秤クランクのクランクピ
ンで上下運動させるときに、クランクピンが直孔から円
弧孔に移るときつまり揺動レバーの上昇運動を停止させ
るときや、クランクピンが円弧孔から直孔に移るときつ
まり揺動レバーの下降運動を開始させるときには、揺動
レバーを異なる運動曲線で急激に停止及び上下駆動され
ることになる。特に主軸の回転が高速のときにはクラン
クピンが高速でカム孔を往復移動するので、クランクピ
ンや孔などが摩耗し耐久性に欠けること、クランクピン
とカム孔との衝突音で騒音が発生することなどの問題が
ある。

〔発明の目的〕

本発明の目的は、天秤を最上位置で停止させることな
く静粛で耐久性に優れた自動糸調子制御可能なミシンを
提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明に係る自動糸調子制御可能なミシンは、糸保持
部が形成された天秤を有し、最大糸取上位置に向う糸取
上運動とその最大糸取上装置から離間する糸弛緩運動と
をミシン主軸に同期して行う天秤機構と、前記最大糸取
上位置の前後の所定の運動範囲内に天秤の糸保持部が位
置する期間、糸供給源から天秤の糸保持部への糸の供給
を許容し、それ以外の期間、糸供給を禁止する糸通過制
御手段とを含むミシンにおいて、前記ミシン主軸に作動
的に連結され且つ天秤の糸保持部に向かう糸がその糸保
持部よりも糸弛緩側において折り返し的に係合するガイ
ド部材を備え、天秤の糸保持部が前記所定の運動範囲を
定める両限界位置の一方の限界位置から最大糸取上位置
に向う間に、ガイド部材を糸保持部と同距離糸取上方向
へ移動させることにより天秤により取上げられる量の糸
を供給し、最大糸取上装置から他方の限界位置に向う間
に、ガイド部材を糸保持部と同距離糸弛緩方向へ移動さ
せることにより天秤により弛緩される量の糸を吸収確保
する糸量調節装置を設けたものである。

尚、必要に応じて、前記天秤は４節リンク式天秤で構
成してもよい。

〔作用〕

本発明に係る自動糸調子制御可能なミシンにおいて
は、糸保持部が形成された天秤はミシン主軸に同期して
駆動される。

糸通過制御手段は、天秤の糸保持部が最大糸取上位置
の前後の所定の運動範囲内に位置する期間、糸供給源か
ら天秤の糸保持部への糸の供給を許容し、それ以外の期
間、糸供給を禁止する。

糸量調節装置は、前記ミシン主軸に作動的に連結され
且つ天秤の糸保持部に向かう糸がその糸保持部よりも糸
弛緩側において折り返し的に係合するガイド部材を備え
ており、天秤の糸保持部が前記所定の運動範囲を定める
両限界位置の一方の限界位置から最大糸取上装置に向う
間に、ガイド部材を糸保持部と同距離糸取上方向へ移動
させることにより天秤により取上げられる量の糸を供給
し、最大糸取上位置から他方の限界位置に向う間に、ガ
イド部材を糸保持部と同距離糸弛緩方向へ移動させるこ
とにより天秤により弛緩される量の糸を吸収確保する。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明に係る自動糸調子制御可
能なミシンによれば、ガイド部材を備えた糸量調節装置
を設け、この糸量調節装置により、天秤の糸保持部が一
方の限界位置から最大糸取上位置に向う間に天秤により
取上げられる量の糸を供給し、最大糸取上位置から他方
の限界位置に向う間に天秤により弛緩される量の糸を吸
収確保するので、糸の引き締め後糸が余分に引き締めら
れることなく、布送り運動に連動して糸は必要量だけ糸
供給源が繰出され、安定した糸調子になる。

更に、本発明は天秤を最上位置に停止させる必要がな
く、そのため天秤を急激に停止及び駆動させる必要がな
いため、主軸の高速回転に対しても静粛で且つ耐久性に
優れたものとなる。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例について図面に基いて説明す
る。

第１図は、本発明を適応した電子制御式本縫ミシンを
示すもので、この本縫ミシンＭにおいてベッド部２の右
端部には脚柱部４が立設され、この脚柱部４の上端から
左方に延びるアーム部６はベッド部２の上方に対向する
ように水平に配設され、このアーム部６の左端部には頭
部８が設けられている。この頭部８には針棒10及び押え
棒18が装着され、この針棒10とその下端の縫針12とは後
述のようにミシン主軸28により上下に駆動されると共に
図示外に揺動機構により左右に揺動駆動される。

前記ベッド部２には針板22が設けられると共に針板22
を貫いてベッド部２の上面に現れる送り歯23が設けら
れ、針棒10とベッド部２内の下糸ボビンを収容した水平
釜と布送り機構の送り歯23との協働により加工布に所定
の縫目が形成されることになる。前記水平釜及び布送り
機構は既存の一般的な構成のものと同様なので詳しい説
明は省略する。

第２図・第３図は、前記ミシンＭの頭部８及びその付
近のアーム部６内に設けられた内部機構を示すものであ
る。

図示のように、前記針棒10の下端には縫針12が取付け
られ、針棒10は針棒支持体24に上下動自在に装着され、
針棒支持体24の上端部は機枠にピン26を介して枢着さ
れ、これにより針棒10は針棒支持体24と共にピン26を中
心として左右に揺動可能であり、針棒10は針棒支持体24
に対して主軸28及び針棒クランク30により上下に駆動さ
れるようになっている。

前記押え棒18の下端部には押え足20が着脱可能に取付
けられ、この押え棒18は図示外の機構により機枠に装着
され、押え棒18と押え足20とは操作体21の操作により上
昇位置と下降位置とに亙って位置切換可能である。そし
て、下降位置にあるときには押え足20で加工布を針板22
に押圧するようになっている。

次に、リンク式天秤機構36について第２図・第３図に
より説明する。

前記ミシン主軸28はブッシュメタル32などを介して機
枠に回動自在に装着され、このミシン主軸28の左端部に
は天秤クランク34が固着されている。

リンク式天秤機構36は、通常のミシンのものと同様、
天秤38と天秤支え40とで構成される。

前記天秤38は、側面視略く字状でまた正面視クランク
状であり、その基端においてミシン主軸28に固着された
天秤クランク34にクランクピン42を介して回転自在に連
結され、その自由端には上糸14を保持する糸保持部38a
が設けられている。

前記天秤支え40は、天秤38を上下動しつつ上下揺動す
るようにする為のもので、その一端が天秤38の略中段に
枢支ピン44を介して回動自在に連結されると共に、その
他端は機枠に枢支ピン46を介して回動自在に連結され、
主軸28の回転による天秤クランク34の回転に伴って天秤
38の基端が所定の円軌道に沿って回転するときに、天秤
支え40は枢支ピン46を中心として上下に揺動し乍ら天秤
38の中段部の揺動範囲を規制する。

本実施例におけるリンク式天秤機構36は天秤38と天秤
支え40とで以上のように構成されので、シンプルで円滑
に且つ静粛に作動する。

主軸28の回転位相角をパラメータとする天秤38の糸保
持部38aの運動により取上げられたり弛緩されたりする
糸量は第８図の曲線MAのようになり、針棒10の下端に取
付けられた縫針12の運動は第８図の曲線MBのようにな
り、布送り機構の送り歯23を水平方向送り運動は第８図
の折線MDのようになる。尚、第８図の位相角は鉄棒10が
最上位置にある時点で０度である。

前記クランクピン42の左端部には鉄棒クランク30が回
動自在に連結され、針棒クランク30の下端部が鉄棒10の
中段部に連結されている。

前記鉄棒クランク30の直ぐ左側には機枠の一部である
板部材48が主軸28と直交状に設けられている。

第２図・第３図に示すように主軸28よりも前方の位置
で、板部材48の左側部には上糸14に通過抵抗を与え得る
プリテンション装置50が設けられている。

このプリテンション装置50は１対の糸調子皿50aの間
に上糸14を通過させ、ダイヤルを回動操作することによ
りスプリング力を調整して糸通過抵抗を調節し得るよう
にしたものであり、プリテンション装置は省略してもよ
い。

次に前記天秤38が最上位置付近にあるときに、糸駒16
からプリテンション装置50及び糸保持部38aを経て縫針1
2の目孔13に至る糸供給経路のうち、プリテンション装
置50から糸保持部38aに至る糸供給経路部分の総上糸量
（糸供給経路の部分長さ）を一定にする糸量調節装置52
について第２図〜第５図により説明する。尚、一般に天
秤38の糸保持部38aから縫針12の目孔13までを天秤上糸
量というのに対して、本実施例においてはプリテンショ
ン装置50から糸保持部38aに至る上糸量を総上糸量とい
う。

前記プリテンション装置50の下方位置で板部材48の左
側部近傍から天秤クランク34の右方に亙って主軸28と平
行に軸部材54が配設され、この軸部材54は機枠の支持部
に回動自在に装着されている。

前記軸部材54の左端部にはガイド部材56の後端部が固
着され、このガイド部材56は下方に開いた彎曲状のガイ
ド部56aを有している。

また、ガイド部材56の直ぐ下方にはクランプ部材58が
配設され、このクランプ部材58の後端部が板部材48の左
端面に固着され、クランプ部材58の前端部には可動輪60
が取付けられている。そして、可動輪60はガイド部材56
に下方より当接してガイド部材56と可動輪60との間に上
糸14を挟持拘束し得るように配設されている。

第３図・第５図に示すように、可動輪60の周面には環
状のＶ溝60aが形成され、ガイド部材56の規制部56bは可
動輪60の上半部のＶ溝60aに上方から係合するように断
面Ｕ形の突曲面状に形成されている。

前記プリテンション装置50を通過して来た上糸14はガ
イド部材56の規制部56bで屈曲して天秤38の糸保持部38a
を経由し、更に糸案内62・64を経て縫針12の目孔13へ延
びている。

そして、前記規制部56bで屈曲する上糸14は規制部56b
とＶ溝60aとの間に２箇所で点接触状に挟持され、強力
に拘束されることになる。

主軸28の回転に調時してガイド部材56を上下に駆動し
プリテンション装置50から糸保持部38aに至る総上糸量
を一定にするために、軸部材54の右端位置に対応する主
軸28にはカム66が固着され、軸部材62の右端に固着され
たレバー68がカム66に下方から押圧するようにバネ70で
弾性付勢さている。

そして、第４図〜第８図に示すように、位相角約30度
の時から主軸28の回転と共にレバー68はカム66のカム面
66aでバネ力に抗して下方に押動されると、軸部材54が
回動し、ガイド部材56が上方へ移動してガイド部材56が
可動輪60から離れる。そして、ガイド部材56が糸保持部
38aと同期して糸保持部38aの移動距離と等しい距離上昇
移動し（第６図・第７図参照）、また天秤38が最上位置
を通過するとレバー68がカム面66aの頂部を通過し、レ
バー68はバネ70の弾性力で回動し、約110度のときに可
動輪60にガイド部材56の規制部56bが当接し、上糸14が
規制部56bと可動輪60との間に再び挟持拘束される。

即ち、天秤38の最上位置付近に対応する約30度のとき
から約110度のときに至る約80度の期間に亙って、ガイ
ド部材56が天秤38の上昇移動及び下降移動に同期して上
下移動するので、プリテンション装置50からガイド部材
56、糸保持部38aに至る総上糸量は一定になる。この総
上糸量曲線MUを第８図に示す。尚、前記約80度に亙る所
定期間において縫針12が下降するため、多少であるがプ
リテンション装置50から縫針12の目孔13に至る上糸供給
路の長さが変化する。そのためその下降量を加味したカ
ム66のカム形状とすることにより、総上糸量が高い精度
で一定となる。

このように、総上糸量を一定にするガイド部材56の移
動量は第８図の曲線MCに示してある。

更に、この糸量調節装置52は上糸14を拘束及び解放す
る糸通過制御機能を有しており、ガイド部材56が可動輪
60から離隔すると上糸14を拘束から解放し、ガイド部材
56が可動輪60に当接すると上糸14を拘束する。

従って、天秤38の移動により上糸14を余分に引き締め
たりすることなく、上糸14が解放されると布送りと連動
して必要量の上糸14が糸駒16から繰り出された後拘束さ
れるので、安定した糸調子になる。

第８図から判るように、天秤38が最下位置から最上位
置付近（位相角約30度）まで上昇していく上糸14の引き
締め時には糸通過制御機能により上糸14が拘束されてい
るので上糸14の引き締めが確実に実行される。天秤38が
最上位置付近に達し上糸14の引き締めが完了したときに
は布送りと連動して必要量の上糸14を確実に供給するた
め、天秤38の最上位置付近の所定期間に亙って糸通過制
御機能による上糸14の拘束が解除されると共に、糸量調
節装置52により総上糸量が一定となるので、必要量の上
糸14が糸駒16から天秤38の糸保持部38aを経由して縫針1
2方へ供給される。このように上糸14の拘束を解除した
状態で布送り及び針振りが完了し、縫針12が針板22に達
する時期までには上糸14が再び拘束され、このように上
糸14を拘束した状態で上糸輪が確実に下糸ボビン側に形
成され縫動作が実行される。

また、第８図の曲線MCに示すように、拘束特性から、
細い上糸14の場合には、点F₁の時点で解放されまた点C₁
の時点で拘束されるのに対して、太い上糸14の場合には
点F₁よりも遅い点F₂で解放されまた点C₁よりも早い点C₂
で拘束される。従って、細い上糸14ではそれに適した弱
い張力で上糸14が引き締められ、また太い上糸14ではそ
れに適した強い張力で上糸14が引き締められることにな
る。

以上説明したように、リンク式天秤機構36を、最下位
置と最上位置とに亙って駆動される天秤38と天秤支え40
とで構成したので、天秤38はミシン主軸28の高速回転に
対しても上昇移動、及び下降移動の各動作において滑ら
かに動作する。その結果、リンク式天秤機構36は静粛で
且つその耐久性に優れたものとなる。

更に、糸量調節装置52と天秤機構36とを協働させるこ
とにより、天秤38が最上位置付近の所定期間に亙って総
上糸量が一定となるので、必要量の上糸14が確実に繰り
出され、安定した糸調子となる。

尚、上記実施例において、糸量調節装置52に糸通過制
御機能を有するようにしたが、第９図に示すようにプリ
テンション装置150と糸保持部138aとの間に糸通過制御
機能を有する糸通過制御装置100を設け、糸通過制御装
置100と糸保持部138aの間に糸量調節装置152を設け、天
秤138最上位置付近における所定期間に亙って天秤138が
上昇移動するときには糸量調節装置152に貯えていた上
糸14を繰出し、また天秤138が下降移動するときには上
糸14を貯えるようにして、プリテンション装置150から
糸保持部138aに至る総上糸量を一定にするように構成し
てもよい。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すもので、第１図はミシンの
概略斜視図、第２図はミシンのアーム部と頭部内に組込
まれた内部機構の側面図、第３図は前記内部機構の正面
図、第４図は第３図IV−IV線断面図、第５図は第２図Ｖ
−Ｖ線断面図、第６図・第７図は総上糸量を一定にする
ときの天秤とガイド部材との相対移動を説明する図、第
８図は前記ミシンの各機構の動作を示すタイムチャー
ト、第９図は変形例に係る糸量調節装置を説明する図で
ある。Ｍ……ミシン、10……針棒、12……縫針、14……上糸、
16……糸駒、28……ミシン主軸、34……天秤クランク、
36……リンク式天秤装置、38・138……天秤、38a・138a
……糸保持部、40……天秤支え、50・150……プリテン
ション装置、52・152……糸量調節装置、54……軸部
材、56……ガイド部材、58……クランプ部材、60……可
動輪、66……カム、66a……カム面、68……レバー。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】糸保持部が形成された天秤を有し、最大糸
取上位置に向う糸取上運動とその最大糸取上位置から離
間する糸弛緩運動とをミシン主軸に同期して行う天秤機
構と、前記最大糸取上位置の前後の所定の運動範囲内に天秤の
糸保持部が位置する期間、糸供給源から天秤の糸保持部
への糸の供給を許容し、それ以外の期間、糸供給を禁止
する糸通過制御手段とを含むミシンにおいて、前記ミシン主軸に作動的に連結され且つ天秤の糸保持部
に向かう糸がその糸保持部よりも糸弛緩側において折り
返し的に係合するガイド部材を備え、天秤の糸保持部が
前記所定の運動範囲を定める両限界位置の一方の限界位
置から最大糸取上位置に向う間に、ガイド部材を糸保持
部と同距離糸取上方向へ移動させることにより天秤によ
り取上げられる量の糸を供給し、最大糸取上位置から他
方の限界位置に向う間に、ガイド部材を糸保持部と同距
離糸弛緩方向へ移動させることにより天秤により弛緩さ
れる量の糸を吸収確保する糸量調節装置を設けたことを
特徴とする自動糸調子制御可能なミシン。
【請求項２】前記天秤は４節リンク式天秤であることを
特徴とする特許請求の範囲第１項記載の自動糸調子制御
可能なミシン。