JPH08175A - 良好な風味を長期間保持し得るコーヒー焙煎豆及びコーヒー挽き豆の製造方法 - Google Patents

良好な風味を長期間保持し得るコーヒー焙煎豆及びコーヒー挽き豆の製造方法

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JPH08175A
JPH08175A JP13895594A JP13895594A JPH08175A JP H08175 A JPH08175 A JP H08175A JP 13895594 A JP13895594 A JP 13895594A JP 13895594 A JP13895594 A JP 13895594A JP H08175 A JPH08175 A JP H08175A
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beans
roasted
coffee
minutes
roasting
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JP13895594A
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Kokichi Hibi
孝吉 日比
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Nagoya Seiraku Co Ltd
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Nagoya Seiraku Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 新鮮で良好な呈味、香味を有し、その風味を
長期間保持し得るコーヒー焙煎豆及びコーヒー挽き豆の
製造方法を提供する。 【構成】 焙煎後のコーヒー豆に直ちに約−30℃以下
約−60℃以上に冷却された空気をコーヒー豆1kg当
たり5m3 /分以上の風量で送風(ブラスト)し、3分
以内に−19℃以下に急速冷却し、ガス抜きせず包装す
る。焙煎後のコーヒー豆に直ちに約−30℃以下約−6
0℃以上に冷却された空気をコーヒー豆1kg当たり5
3 /分以上の風量で吹き付け(ブラスト)、3分以内
に−19℃以下に急速冷却した後、+20℃以下の温度
で粉砕後、ガス抜きせずに包装する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた保存性を有し、
呈味及び香りの優れたコーヒー焙煎豆及び挽き豆の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、コーヒー焙煎豆又はコーヒー挽き
豆は、以下のa.〜e.の各工程を経て製造されてい
る。 a.焙煎 バッチ式あるいは連続式焙煎機でコーヒー生豆を焙煎す
る。焙煎終了時のコーヒー豆の温度は、200℃程度と
なる。 b.冷却 焙煎後のコーヒー豆を約6分間の風冷により、常温(2
5℃程度)に冷却する。 c.粉砕 コーヒー挽き豆を得たい場合には、グラインダーにて粉
砕する。 d.ガス抜き 気密性のあるサイロにて、12時間から4日間保存し炭
酸ガスを抜く。 e.包装 c.にて得たコーヒー挽き豆またはd.にてガス抜きさ
れたコーヒー煎り豆または挽き豆を、好ましくは気密性
のある容器に包装する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらのコーヒー煎り
豆、挽き豆では、煎りたてで挽きたての、いわゆる出来
たてのコーヒー抽出液の風味は、保存時間と共に変化
し、次第に独特のフレッシュさが失われる。コーヒー抽
出液の風味(呈味と香味)は、焙煎によって生ずる多く
の化学成分によるものであって、風味の変化は焙煎後の
コーヒー中の成分の散逸と化学変化によるものである。
即ち、揮発性成分は時間と共に失われ、また保存中に多
くの成分に酸化などの化学変化が起こるためである。
【0004】このため販売用の容器では窒素ガス置換や
真空包装が行われ、流通期間の延長が図られているが、
それでも常温下の条件ではコーヒーの香味の変化が進行
し、この変化が速い挽き豆の場合は数週間〜数カ月間で
かなりの劣化を来す。これらの変化を防ぐ方法としては
低温で保管することが有効であることが知られている
(出典:MICHAEL SIVETZ著、COFFEE USER'S GUIDE、196
3年COFFEE PUBLICATIONS社出版)。
【0005】しかしこの方法では、出来たての香味の維
持には限界があり、例えば5℃では25℃での劣化速度
の1/3程度になるに過ぎないため、出来たてのコーヒ
ーの風味を長期間保持することは困難であった。また、
焙煎直後の余熱で香味成分が散逸したり、余熱による2
次焙煎が進行し焙煎むらが生じるといった問題や、煎り
豆の粉砕工程での発熱による香味成分が散逸するといっ
た問題があった。2次焙煎を防止する方法として、従来
技術のうち焙煎後、直ちに水を噴霧する方法があるが、
この方法は噴霧した水が水蒸気になり、水蒸気と一緒に
コーヒーのアロマ、香気まで散逸するといった欠点があ
る。
【0006】また、従来技術のうち−19℃以下による
冷却手段を用いるものとしては、例えば米国特許 50646
76のように液体窒素等の不活性液化ガスの冷媒を用いて
焙煎豆を急速に冷却する方法が公知である。しかし、こ
れらの方法は高価で経済的でないばかりでなく、適用さ
せたコーヒー豆は冷却後に水分が豆の表面に吸着されや
すいなどの欠点を有し、ブリューにした場合のコーヒー
の風味は必ずしも十分でない。
【0007】また、米国特許 2046158のようにコーヒー
豆を粉砕する時に、液体窒素などの不活性ガスを用いて
豆を凍結させ、香味物質の変化や散逸を防ぐことが示さ
れているがこの方法も風味改善の点でそれ程の効果は得
られない。以上のことを背景として、本発明は、焙煎直
後の余熱による影響を受けず、優れた保存性を有し、風
味良好な煎り豆、挽き豆の製造方法を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者等は鋭
意研究の結果、上記の目的を解決するための方法とし
て、 (1) 焙煎後のコーヒー豆に直ちに約−30℃以下約
−60℃以上に冷却された空気を吹き付け、3分以内に
−19℃以下に急速冷却し、ガス抜きせず包装すること
を特徴とするコーヒー焙煎豆の製造方法。 (2) 焙煎後のコーヒー豆に直ちに約−30℃以下約
−60℃以上に冷却された空気を吹き付け、3分以内に
−19℃以下に急速冷却した後、約+20℃下の温度で
粉砕後、ガス抜きせずに包装することを特徴とするコー
ヒー挽き豆の製造方法。 (3) 連続焙煎機で焙煎したコーヒー豆に直ちに例え
ばトンネルフリーザー、スパイラルフリーザーを用いて
約−30℃以下約−60℃以上に冷却された空気を連続
的に吹き付け、3分以内に−19℃以下に急速冷却し、
ガス抜きせず包装することを特徴とするコーヒー焙煎豆
の製造方法。 (4) 連続式焙煎機で焙煎したコーヒー豆に直ちに例
えばトンネルフリーザー、スパイラルフリーザーを用い
て−約30℃以下約−60℃以上に冷却された空気を連
続的に吹き付け、3分以内に−19℃以下に急速冷却し
た後、+20℃以下の温度で粉砕後、ガス抜きせずに包
装することを特徴とするコーヒー挽き豆の製造方法。
【0009】を開発したものである。なお、焙煎された
コーヒー豆に吹き付ける際の空気の風量は、コーヒー豆
1kg当たり5m3 /分以上であることが好ましい。コ
ーヒーの冷却は通常冷却箱と呼ばれる装置により、焙煎
後の豆をこの装置に入れ、攪拌しながら空気冷却を行
う。工業的な冷却箱は60kgバッチの焙煎であれば1
00〜120m3 /分程度、120kgバッチの焙煎で
あれば150〜200m3 /分、すなわち豆1kgに対
して1.5〜2m3 の室温の空気で、5〜6分間で室温
までの冷却を行っている。
【0010】本発明による冷却は通常の冷凍機によっ
て、空気を約−30℃以下約−60℃以上に冷却し、送
風機により、焙煎豆1kg当たり5m3 /分以上の風量
を吹き込む方法である。通常の冷凍機では空気を−60
℃以下に冷却することは困難であり、本発明では−60
℃以下の空気を吹き込む特殊な設備は必要としない。
【0011】かくして得られた製品は香味、呈味の劣化
が大きく遅延する。またこのようにして冷却した煎り豆
から、挽き豆を得るについては、まことに驚くべきこと
には、粉砕を室温に近い約20℃以下で行えば凍結粉砕
などの工程をとらなくても香味の劣化が遅く、従来の製
造法に大幅に優る製品が得られることを見出し、発明を
完成した。
【0012】さらに本発明の製法によって得られた製品
を、ガス抜きを行わずに気密性を有する容器に包装し約
−19℃以下の低温下に保管すれば、出来たての香味を
飛躍的に持続させることができる。
【0013】
【実施例】以下に本発明の実施例について説明する。本
実施例の焙煎は通常用いられる焙煎機であれば特定する
必要はないが、より合理的には連続式焙煎機が用いられ
る。例えばプロバット社製連続焙煎機、RC型を用い
て、常法によって焙煎したコーヒー豆を直ちにトンネル
フリーザー、スパイラルフリーザーなどの冷凍設備に連
続的に導き、急速に冷却する。
【0014】また、プロバット社製バッチ式ドラム焙煎
機R750R型を用いて、常法によって焙煎したコーヒ
ー豆を直ちにブラストフリーザーなどの冷凍設備によっ
て急速に冷却する。この段階で約200℃あった煎り豆
は1.5〜3分で、−20℃〜−23℃になる。
【0015】煎り豆で出荷する場合は、ガス抜きせずに
ボッシュ社製“アロマフィンバルブ”装置付き全自動タ
テ型包装機などによって小分け包装を行う。挽き豆の製
造には、低温の煎り豆を、冷風を導いて品温を室温に近
い+20℃以下に保てるように追加設備を施した日本グ
ラニューレーター社製架砕式グラインダー、プロバット
社製水冷式ロールグラインダーなどの粉砕機を用いて粉
砕した後、ガス抜きせずにゼネラルパッカー社製ガス置
換包装機などによって小分け包装を行う。
【0016】かくして得られた製品は−20℃程度の低
温に保管することが好ましい。−10℃から常温での保
管には、特に挽き豆の場合は、ガス抜きをしていないの
で、ボッシュ社製包装機による“アロマフィンバルブ”
付きの容器などガスによる膨脹を避ける事の出来る容器
を使用することが好ましい。
【0017】次に実験例を挙げてさらに詳細に技術内容
を述べる。 (実験例1)新鮮なコーヒーは、香りが高く、コーヒー
の粉に熱湯を注ぐと、粉全体が大きく膨脹し、山のよう
に盛り上がりを見せる。古いコーヒーは、湯を注いだ時
の膨らみはなく、香気も少ない。
【0018】湯を注いだ時の膨らみはコーヒー豆に含ま
れる炭酸ガスに起因し、香気の一部は炭酸ガスと共に散
逸する。炭酸ガスを多く含んだコーヒー程、呈味、香味
が優れていることを確認するため、以下の実験を行っ
た。 試料の作成 コーヒー生豆、コロンビアスプレモ、3kgを富士珈機
製熱風ドラム式焙煎機で日本電色社製の色差計ND10
01 DPによる色調のL値が23になるまで焙煎し、
約200℃の豆を、 a)風冷4分、(この時豆の品温は26℃になる。) b)風冷4分後テスト用ブラストフリーザーで、1.5
分間に−21℃に冷却それぞれを約18℃に保ったラッ
キーコーヒーマシン社製ボンマックコーヒーカッターB
M−650で粉砕し、PET/PE/Al/PEの複合
フィルムの容器に分注した。各サンプルを、37℃、2
5℃、5℃、−20℃の恒温庫内に保存した。 炭酸ガス保持量の測定 炭酸ガス保持量を次の通り定義する。 (炭酸ガス保持量)=(トータルガス量)−(ガス散逸
量) トータルガス量:コーヒー挽き豆10gを詰めて37℃
で保存し、30日経過時の袋の体積。
【0019】今回のテストでは20〜25日程度で平衡
に達することがわかったので、30日経過時の体積をト
ータルガス量とした。 ガス散逸量:コ−ヒ−挽き豆10gを詰めて任意の環境
下、任意の日数保管したときの袋の体積。
【0020】ガス量の測定は、量に応じて10〜30m
lのシリンジを用いて水面下に被検体を沈め体積を測定
することでなされた。 官能試験 各恒温庫に保管した炭酸ガス保持量のわかったサンプル
にて官能試験を行った。
【0021】方法:熱湯100mlあたり8gの挽き豆
をカリタ式ペ−パ−ドリッパ−にて抽出したコ−ヒ−を
用い、16人のパネラ−により下記評価により採点し、
平均点を官能試験評価点とした。 +2:焙煎したての風味が維持されている。
【0022】 +1:良好 0:僅かに劣化が感じられる。 −1:劣化している。 −2:甚だしく劣化している。
【0023】炭酸ガス保持量と官能試験を行った64例
について相関関係を求めた結果、図1のように相関係数
は0.972と両者の間に極めて密接な関連があること
がわかった。この結果から、コーヒー豆の炭酸ガス保持
量が香味劣化の指標となることが確認された。すなわ
ち、炭酸ガス保持量が多いほど、良好な風味を持つこと
が確認された。
【0024】但し、炭酸ガス発生量は焙煎度合にも大き
く関係しており、深く焙煎するほど炭酸ガスは多く発生
する。今回、相関関係のあった母集団は同じ豆、同じ焙
煎度合のサンプルにより行った結果をもとに解析したも
のである。 (実験例2)コロンビアスプレモ豆3Kgを富士珈機製
ロースターによって日本電色社製の色差計ND1001
DPによる色調のL値が23になるまで焙煎し、約2
00℃の豆を、直ちにブラストフリーザーで3.0分間
に−20℃に冷却し、煎り豆を得た。 実施例1 煎り豆を+20℃の環境下でラッキーコーヒーマシン社
製ボンマックコーヒーカッターBM−650で粉砕し、
ガス抜きせずに直ちにPET/PE/Al/PEの複合
容器に分注し、シールドパックした。 比較例1 煎り豆を20℃の環境下でラッキーコーヒーマシン社製
ボンマックコーヒーカッターBM−650で粉砕し、2
4時間、20℃の環境下に放置しガス抜きした後、PE
T/PE/Al/PEの複合容器に分注し、シールドパ
ックした。 比較例2 コロンビアスプレモ豆3Kgを富士珈機製ロースターに
よって日本電色社製の色差計ND1001 DPによる
色調のL値が23になるまで焙煎し、約200℃の豆
を、6分間で27℃に風冷し、煎り豆を得た。
【0025】煎り豆を20℃の環境下でラッキーコーヒ
ーマシン社製ボンマックコーヒーカッターBM−650
で粉砕し、ガス抜きせずに直ちにPET/PE/Al/
PEの複合容器に分注し、シールドパックした。実施例
1、比較例1,2のそれぞれのサンプルを37℃、25
℃、5℃、−18℃の恒温庫に保存した。
【0026】実施例1、比較例1,2の挽き豆を、熱湯
100mlあたり8gの割合でカリタ式ペーパードリッ
パーにて抽出したコーヒーを用い、20人のパネラーに
より得られた結果をF検定、最小有意差検定により有意
差を求めた。評価方法として、各パネラーに3種の挽き
豆より抽出したコーヒーを、 +2:焙煎したての風味が維持されている。
【0027】 +1:良好 0:僅かに劣化が感じられる。 −1:劣化している。 −2:甚だしく劣化している。
【0028】の採点基準により採点した。結果を表1、
2に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】 − :有意差なし * :95%の有意水準 **:99%の有意水準 表1は、パネラー20人の官能試験の評価点の平均を示
す。表2は実施例1と比較例1,2との有意差を示す。
【0032】表1,2に示すように、実施例1が比較例
1,2より風味が優れていることがわかる。官能試験の
評価点の平均はすべての保存条件、経時日数で実施例1
が比較例1,2より高得点を得ている。F検定、最小有
意差検定の結果からも、殆どの条件で95〜99%の有
意水準を得ている。
【0033】つまり、コーヒー焙煎豆を焙煎後3分以内
に−19℃以下に冷却し、室温に近い+20℃以下の温
度で粉砕した挽き豆をガス抜きせずに密閉の容器に入れ
ることにより、優れた風味を持つとともに、風味を維持
させることが出来る。 (実験例3)サントスNo.2豆3Kgを富士珈機製ロ
ースターによって日本電色社製の色差計ND1001
DPによる色調のL値が22になるまで焙煎し、約20
0℃の豆を、実施例、比較例の下記条件で冷却した。 比較例3 煎り豆を直ちにテスト用ブラストフリーザーで1.2分
間に10℃に冷却した。 比較例4 煎り豆を直ちにテスト用ブラストフリーザーで1.5分
間に5℃に冷却した。 比較例5 煎り豆を直ちにテスト用ブラストフリーザーで2.0分
間に0℃に冷却した。 比較例6 煎り豆を直ちにテスト用ブラストフリーザーで2.2分
間に−5℃に冷却した。 比較例7 煎り豆を直ちにテスト用ブラストフリーザーで2.2分
間に−9℃に冷却した。 比較例8 煎り豆を直ちにテスト用ブラストフリーザーで2.4分
間に−14℃に冷却した。 実施例2 煎り豆を直ちにテスト用ブラストフリーザーで2.6分
間に−19℃に冷却した。 実施例3 煎り豆を直ちにテスト用ブラストフリーザーで2.5分
間に−22℃に冷却した。 実施例4 煎り豆を直ちにテスト用ブラストフリーザーで2.6分
間に−25℃に冷却した。 実施例5 煎り豆を直ちにテスト用ブラストフリーザーで2.6分
間に−28℃に冷却した。
【0034】それぞれを約18℃に保ったラッキーコー
ヒーマシン社製ボンマックコーヒーカッターBM−65
0で粉砕し、PET/PE/Al/PEの複合フィルム
の容器に分注し、10mmHg減圧下にてシ−ルドパッ
クし、実験例1、の方法でトータルガス量の測定を行
った。
【0035】結果は図2に示した通り、−19℃を臨界
点として、トータルガス量に顕著な差があることがわか
った。−19℃に冷却することにより、従来方法に比べ
25%から30%の差があり、この差が風味に顕著な差
をもたらす。 (実験例4)サントスNo.2豆3Kgを富士珈機製ロ
ースターによって日本電色社製の色差計ND1001
DPによる色調のL値が22になるまで焙煎し、約20
0℃の豆を、実施例、比較例の下記条件で直ちに冷却し
た。 比較例9 煎り豆を直ちにテスト用ブラストフリーザーで6.2分
間に−21℃に冷却した。 比較例10 煎り豆を直ちにテスト用ブラストフリーザーで5.4分
間に−20℃に冷却した。 比較例11 煎り豆を直ちにテスト用ブラストフリーザーで4.8分
間に−21℃に冷却した。 比較例12 煎り豆を直ちにテスト用ブラストフリーザーで4.0分
間に−25℃に冷却した。 比較例13 煎り豆を直ちにテスト用ブラストフリーザーで3.5分
間に−19℃に冷却した。 実施例6 煎り豆を直ちにテスト用ブラストフリーザーで3.0分
間に−24℃に冷却した。 実施例7 煎り豆を直ちにテスト用ブラストフリーザーで2.5分
間に−19℃に冷却した。 実施例8 煎り豆を直ちにテスト用ブラストフリーザーで2.0分
間に−22℃に冷却した。 実施例9 煎り豆を直ちにテスト用ブラストフリーザーで1.6分
間に−25℃に冷却した。
【0036】それぞれ得られた煎り豆を約18℃に保っ
たラッキーコーヒーマシン社製ボンマックコーヒーカッ
ターBM−650で粉砕し、PET/PE/Al/PE
の複合フィルムの容器に分注し、10mmHg減圧下に
てシ−ルドパックし、実験例1、の方法でトータルガ
ス量の測定を行った。
【0037】結果は図3に示した通り、3分を臨界点と
して、トータルガス量に顕著な差があることがわかっ
た。図2、図3から、本発明の範囲内のものは、比較例
のものとはトータルガス量に顕著な差があることがわか
る。すなわち焙煎後の煎り豆に直ちに冷風を吹き込み、
3分間以内に−19℃以下に冷却することにより、優れ
た呈味、香味のコーヒー煎り豆、挽き豆が得られること
がわかる。 (実験例5)コロンビアスプレモ豆3kgを富士珈機製
ロースターによって日本電色社製の色差計ND1001
DPによる色調のL値が25になるまで焙煎し、約2
00℃の豆を、実施例、比較例の下記の条件で冷却し
た。 比較例14 焙煎後の約200°Cのコーヒー豆を、φ483mm×
200mmのサイズを有し外面が50mmの断熱材で被
覆されたステンレス製の冷却箱に投入し、該冷却箱内に
25g/秒の噴霧量で液体窒素を豆に均等に噴霧した。
このとき、2.5分間の噴霧で、−20℃の煎り豆を得
た。 比較例15 風冷5分間で26℃の煎り豆を得た。 実施例10 焙煎後の約200°Cのコーヒー豆を、φ483mm×
200mmのサイズを有し外面が50mmの断熱材で被
覆されたステンレス製の冷却箱に投入し、5馬力の冷凍
機で−30℃の空気をつくり、20m3 /分の風量で該
冷却箱内の約200℃の豆に吹き付けた。このとき、
2.5分間で−20℃の煎り豆を得た。
【0038】このように得られた煎り豆を18℃の環境
下でラッキーコーヒーマシン社製ボンマックコーヒーカ
ッターBM−650で粉砕し、ガス抜きせずに直ちにP
ET/PE/Al/PEの複合フィルムに分注し、−1
8℃、5℃、25℃、37℃の恒温庫に保存した。
【0039】実施例10、比較例14,15の挽き豆
を、熱湯100ml当たり8gの割合でカリタ式ペーパ
ードリッパーにて抽出したコーヒーを用い、20人のパ
ネラーにより得られた結果をF検定、最小有意差検定に
より有意差を求めた。評価方法として、各パネラーに3
種の挽き豆より抽出したコーヒーを +2:焙煎したての風味が維持されている。
【0040】 +1:良好 0:僅かに劣化が感じられる。 −1:劣化している。 −2:甚だしく劣化している。
【0041】の採点基準により採点した。結果を表3、
4に示す。
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】 − :有意差なし * :95%の有意水準 **:99%の有意水準 表3は、パネラー20人の官能試験の評価点の平均を示
す。表4は実施例10と比較例14,15の有意差を示
す。表3,4に示すように、実施例10が比較例14,
15より風味が優れていることがわかる。
【0045】液体窒素を用いた比較例14は、−18℃
に保管した場合は実施例10との風味の差は少ないが、
25℃、37℃に保管した場合、従来の風冷の冷却より
評価点は劣る。この理由として、200℃の豆に−19
6℃という超低温の液を噴霧することにある。比較例1
4で得た豆の表面は白く霜が着いた状態になる。これは
200℃の高温の状態の豆に−196℃の超低温の液を
噴霧することにより高温の豆から発散する水蒸気、外気
の水分が豆表面に付着したことが主たる理由である。水
分はコーヒーの劣化を促進させることは一般に知られて
いる。実験例5からも同様なことがいえ、特に25℃、
37℃の温度に保管すると劣化の促進が早い。
【0046】本発明によるコーヒー挽き豆は、上述に示
すように保存に対する劣化が従来方法より遅く、煎りた
ての風味を長期間維持することが出来る。 ( 実験例6) 実施例11 毎分1kgの焙煎が出来る連続式焙煎テスト機(自家
製、時間焙煎能力60kg)でジャマイカ産ブルーマウ
ンテンNo.1豆を日本電色社製の色差計ND1001
DPによる色調のL値が27になるまで焙煎し、約1
85℃のコーヒー豆を、幅500mm、長さ2000m
mのネット状のベルトコンベアーを施した5馬力の冷凍
機を備えたテスト用トンネルフリーザー(自家製)に連
続的に導いた。
【0047】このとき、空気温度:−35℃、空気の風
量:5m3 /分、コンベアー速度:1m/分の設定で−
24℃の焙煎豆を2.0分間で得た。得られた煎り豆を
+18℃の環境下でラッキーコーヒーマシン社製ボンマ
ックコーヒーカッターBM−650で粉砕し、ガス抜き
せずに直ちにPET/PE/Al/PEの複合フィルム
に分注し、5℃、25℃、37℃の恒温庫に保存した。 比較例16 実施例11の連続式焙煎機で同様に処理した185℃の
コーヒー豆を実施例11と同一なトンネルフリーザーで
空気温度:−20℃、空気の風量:5m3 /分、コンベ
アー速度:1m/分の設定で−12℃の焙煎豆を2.0
分間で得た。得られた煎り豆を実施例11と同様な条件
で粉砕し、密閉容器に分注し、5℃、25℃、37℃の
恒温庫に保存した。 実施例12 富士珈機社製15kgバッチロースター(時間焙煎能
力、60kg)でジャマイカ産ブルーマウンテンNo.
1豆、15kgを日本電色社製の色差計ND1001
DPによる色調のL値が27になるまで焙煎し、約18
5℃の豆に、30馬力の冷凍機でつくった−30℃、1
00m3 /分の空気を吹き付けた。このとき、2.2分
間で−20℃の煎り豆を得た。得られた煎り豆を実施例
11と同様な条件で粉砕し、密閉容器に分注し、5℃、
25℃、37℃の恒温庫に保存した。 比較例17 実施例12と同様に焙煎した185℃のコーヒー豆に3
0馬力の冷凍機でつくった−15℃の空気を100m3
/分の風量で吹き付けた。このとき、2.2分間で−5
℃の煎り豆を得た。得られた煎り豆を実施例11と同様
な条件で粉砕し、密閉容器に分注し、5℃、25℃、3
7℃の恒温庫に保存した。
【0048】実施例11、12、比較例16,17の挽
き豆を、熱湯100ml当たり8gの割合でカリタ式ペ
ーパードリッパーにて抽出したコーヒーを用い、20人
のパネラーで官能試験を行った。評価方法として、各パ
ネラーに4種の挽き豆より抽出したコーヒーを +2:焙煎したての風味が維持されている。
【0049】 +1:良好 0:僅かに劣化が感じられる。 −1:劣化している。 −2:甚だしく劣化している。
【0050】の採点基準により採点した。結果を表5に
示す。
【0051】
【表5】
【0052】表5に示した通り、実施例11,12は全
ての条件で比較例16,17より官能試験の評価点が優
れている。 (実験例7) 実施例13 毎分1kgの焙煎が出来る連続式焙煎テスト機(自家製
製、時間焙煎能力60kg)でコロンビアスプレモ豆を
日本電色社製の色差計ND1001 DPによる色調の
L値が19になるまで焙煎し約215℃のコーヒー豆
を、幅500mm、長さ2000mmのネット状のベル
トコンベアーを施した5馬力の冷凍機を備えたテスト用
トンネルフリーザー(自家製)に連続的に導いた。この
とき、空気温度:−35℃、空気の風量:5m3 /分、
コンベアー速度:0.8m/分の設定で−25℃の焙煎
豆を2.5分間で得た。
【0053】得られた煎り豆をガス抜きせずに直ちにP
ET/PE/Al/PEの複合フィルムに分注し、5
℃、25℃、37℃の恒温庫に保存した。 比較例18 実施例11の連続式焙煎機で同様に処理した215℃の
コーヒー豆を実施例11と同一なトンネルフリーザーで
空気温度:−25℃、空気の風量:3m3 /分、コンベ
アー速度:0.5m/分の設定で−15℃の煎り豆を
4.0分間で得た。
【0054】得られた煎り豆を実施例13と同様な条件
で密閉容器に分注し、5℃、25℃、37℃の恒温庫に
保存した。 実施例14 富士珈機社製15kgバッチロースター(時間焙煎能
力、60kg)でコロンビアスプレモ豆、15kgを日
本電色社製の色差計ND1001 DPによる色調のL
値が19になるまで焙煎し約215℃の豆に、30馬力
の冷凍機でつくった−32℃の空気を100m3 /分の
風量で吹き付けた。このとき、2.5分間で−20℃の
煎り豆を得た。得られた煎り豆を実施例13と同様な条
件で密閉容器に分注し、5℃、25℃、37℃の恒温庫
に保存した。
【0055】実施例13、14、比較例18の煎り豆
を、官能試験を行う30分以内に18°Cの環境下でラ
ッキーコーヒーマシン社製ボンマックコーヒーカッター
BM−650で粉砕し、熱湯100ml当たり8gの割
合でカリタ式ペーパードリッパーにて抽出したコーヒー
を用い、20人のパネラーで官能試験を行った。
【0056】評価方法として、各パネラーに3種の挽き
豆より抽出したコーヒーを +2:焙煎したての風味が維持されている。 +1:良好 0:僅かに劣化が感じられる。
【0057】 −1:劣化している。 −2:甚だしく劣化している。 の採点基準により採点した。結果を表6に示す。
【0058】
【表6】
【0059】表6に示した通り、実施例13,14は全
ての条件で比較例18より官能試験の評価点が優れてい
る。実験例6,7の結果より、本発明の製造方法は煎り
豆、挽き豆にかかわらず優れた保存性を有し、良好な風
味を持ったコーヒーを得ることが出来る。
【0060】上述の実験例の結果から、焙煎後、−30
℃以下−60°C以上の空気で3分以内に−19℃以下
に冷却することにより、従来の製法に比べ呈味、香味が
優れることがわかった。本発明の冷却は、通常の冷凍機
で空気を−30℃以下−60℃以上に冷却し、送風機に
より、バッチ式、連続式の焙煎機に関わらず焙煎豆1K
g当たり5m3/分以上の風量を吹き込むことが望まし
い。
【0061】また、本発明の示す温度、時間の範囲を満
たすためには、連続式焙煎機の使用が好ましい。バッチ
式の焙煎機の場合、一度に冷却するコーヒー豆の量が多
いので冷風の風量を増大すれば、本発明の範囲内での冷
却、優れた保存性、風味を得ることは可能である。しか
し、約200℃の品温の多量な豆の熱を瞬時に負荷出来
る能力の大きい冷凍機が必要となり効率よく冷却するた
めには、連続焙煎機が望ましい。実施例11、13は連
続式焙煎機を用い、連続的に時間当たり60kgの焙煎
豆の製造を行った例である。実施例12、14はバッチ
式焙煎機で同様に時間当たり約60kgの焙煎豆の製造
を行った例である。バッチ式の場合、連続式の約20倍
の風量を必要とする。
【0062】また、例えば液体窒素のような超低温の物
質を用いても、本発明と同様に3分以内に−19℃に冷
却することができるが、試験したところ、コーヒー豆1
kgに対して1.25kgを要することがわかった。従
って、工業的な規模で行う場合、例えば100kgのコ
ーヒー豆を冷却するためには実に125kg要すること
になり、0.6kg/秒以上の噴霧量を要し、ランニン
グコストが高いと共に、実験例6に示す通り、優れた保
存性を有することが出来ない。
【0063】また、本発明の製法で得た焙煎豆を用い
て、粉砕時の温度を様々に変えて得られた挽き豆の比較
を併せて行った。その結果粉砕時の品温は20℃以下で
あれば大差ないことがわかった。さらに、液体窒素に
て、煎り豆を凍結粉砕した物と比較を行ったが、香味の
差が殆どないことが確認された。
【0064】本発明で得られた煎り豆、挽き豆は従来方
法に比べて呈味、香味は優れていると同時に焙煎して1
週間、挽いて3日、抽出して30分と呼ばれるように呈
味、香味の変化が顕著で、劣化しやすいコーヒーの変化
を防ぐことも出来る。
【0065】
【発明の効果】焙煎後のコーヒー豆に直ちに約−30℃
以下約−60℃以上に冷却された空気を吹き付け、3分
以内に−19℃以下に急速冷却し、ガス抜きせず包装す
ることによりコーヒー煎り豆の呈味及び香味の劣化を防
止できる。
【0066】また、焙煎後のコーヒー煎り豆を3分以内
に−19℃に急速冷却した後、+20℃以下の温度で粉
砕し、ガス抜きせずに包装することにより、コーヒー挽
き豆の新鮮な呈味及び香味の劣化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】炭酸ガス保持量と官能試験評価点との関係を表
すグラフである。
【図2】冷却温度とトータルガス量との関係を表すグラ
フである。
【図3】冷却時間とトータルガス量との関係を表すグラ
フである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焙煎後のコーヒー豆に直ちに約−30℃
    以下約−60℃以上に冷却された空気を吹き付け、3分
    以内に−19℃以下に急速冷却し、ガス抜きせずに包装
    することを特徴とするコーヒー焙煎豆の製造方法。
  2. 【請求項2】 焙煎後のコーヒー豆に直ちに約−30℃
    以下約−60℃以上に冷却された空気を吹き付け、3分
    以内に−19℃以下に急速冷却した後、約+20℃以下
    の温度で粉砕後、ガス抜きせずに包装することを特徴と
    するコーヒー挽き豆の製造方法。
  3. 【請求項3】 連続焙煎機で焙煎したコーヒーに直ちに
    約−30℃以下約−60℃以上に冷却された空気を吹き
    付け、3分以内に−19℃以下に急速冷却し、ガス抜き
    せずに包装することを特徴とするコーヒー焙煎豆の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 連続式焙煎機で焙煎したコーヒー豆に直
    ちに約−30℃以下約−60℃以上に冷却された空気を
    吹き付け、3分以内に−19℃以下に急速冷却した後、
    約+20℃以下の温度で粉砕後、ガス抜きせずに包装す
    ることを特徴とするコーヒー挽き豆の製造方法。
JP13895594A 1994-06-21 1994-06-21 良好な風味を長期間保持し得るコーヒー焙煎豆及びコーヒー挽き豆の製造方法 Pending JPH08175A (ja)

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