JPH08174609A - 射出成形機の速度制御方法 - Google Patents

射出成形機の速度制御方法

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JPH08174609A
JPH08174609A JP31723394A JP31723394A JPH08174609A JP H08174609 A JPH08174609 A JP H08174609A JP 31723394 A JP31723394 A JP 31723394A JP 31723394 A JP31723394 A JP 31723394A JP H08174609 A JPH08174609 A JP H08174609A
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JP
Japan
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injection
pressure
speed
switching
screw
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JP31723394A
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English (en)
Inventor
Kiyoshi Hashimoto
潔 橋本
Toyoaki Ueno
豊明 上野
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Ube Corp
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Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 射出充填工程におけるチェック弁の閉り特性
のばらつきによる悪影響を最小限に抑制して、成形品品
質の安定化を図った射出成形機の速度制御方法を提供す
るものである。 【構成】 位置検出器と圧力検出器や樹脂温度センサを
介して検出した射出スクリュ位置や射出圧力や樹脂温度
を入力して充填工程を複数段の射出速度で速度制御を実
施する射出制御装置を備えた射出成形機において、あら
かじめ充填工程の任意点に設定したチェック弁判定圧力
J に射出圧力が達した時、その射出スクリュ位置と基
準ショットにおける射出スクリュ位置の差異分△S
1 (または△S 2 )を演算記憶しておき、判定圧力PJ
を設定した以降における各々の速度変更切替において基
準変更切替位置mn 、mn+1 、mn+2 、‥‥に修正を加
えて位置切替によって速度切替を行うものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、射出成形機の速度制御
方法に係り、特に射出時のチェック弁の閉り特性のばら
つきの悪影響を最小限に抑制するように配慮した射出成
形機の速度制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、溶融樹脂の射出成形においては、
図6に示すように、横軸を射出スクリュの位置Sまたは
時間tとし、縦軸を射出スクリュの前進速度Vまたは圧
力Pとし、高速で金型キャビティ内へ溶融した樹脂を充
填する充填工程S1 と、溶融樹脂の充填後に金型キャビ
ティ内樹脂に圧力を加えて成形する保圧工程S2 によっ
て射出制御され、多くの場合、充填工程S1 は油圧回路
の圧力調整弁を高圧に設定し、射出開始からの経過時間
または射出スクリュの前進位置を基準に速度を複数段に
変化させるように流量制御弁の開度を時間経過ととも
に、あるいは射出スクリュのストローク位置に応じて変
化させるように設定し、該流量制御弁の調整により射出
シリンダのピストン、すなわち、射出スクリュの射出速
度を制御し、キャビティ内の樹脂が空気を巻き込まない
程度に高速で溶融樹脂をキャビティ内へ充填するものと
し、溶融樹脂がキャビティに充填された後は流量制御弁
を比較的小さい開度に固定し、圧力調整弁により油圧を
調整する保圧工程S2 とし、この保圧工程S2 は時間経
過に応じてキャビティ内に充填された溶融樹脂に所定の
圧力を加え得るように圧力調整弁の開度を変化させ、キ
ャビティ内で溶融樹脂が冷却されることにより樹脂が収
縮し、製品の形状や寸法がキャビティ形状の寸法に対し
て誤差を生じさせることのないように防止するとともに
製品内部に大きな残留応力が生じないようにしている。
【0003】一般に充填工程における射出プロセス制御
は、前述したように射出スクリュの検出値があらかじめ
設定された射出速度位置に一致したことによって複数段
の射出速度の制御目標値を切替えていた。図7はこの場
合の実施例を示し、充填工程S1 において3段の速度設
定値V1 、V2 、V3 に切替制御した場合の射出速度V
ならびに圧力Pの変化の状況を示している。ところで、
射出に際して射出スクリュ前方の溶融樹脂が射出スクリ
ュ側へ逆流することを防止するチェック弁の動作は毎シ
ョット同じタイミングで作動するわけではなく微妙に異
なっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように充填工程に
おける複数段の射出速度の変更切替は、これまで稀には
時間切替を行った例もあるが、大半は射出スクリュがあ
らかじめ設定された位置に到達した時に切替える位置切
替をすべての変更切替点で実施していた。この場合チェ
ック弁の閉りが遅れた時には、チェック弁の閉りが早い
時に比べて、同じスクリュ位置における金型キャビティ
内への樹脂の充填量は逆流が多く起る分だけ少なくな
る。したがって、充填工程から保圧工程へ移行するV−
P切替点では、一般にあらかじめ設定した圧力切替を実
施しているので、チェック弁の閉りが遅れた場合のショ
ットでは、V−P切替が行われる射出スクリュ位置(以
後、V−P切替位置という)はスクリュ前進限側に近く
なる。このようにして、充填工程の最終段の設定速度で
制御される領域が長くなる。図7から、チェック弁の閉
りの早いショットAの最終段射出領域SA に比べて、チ
ェック弁の閉りの遅いショットBの最終段射出領域SB
が大きいことがわかる。
【0005】特に、ナイロンのように溶融粘度が低く、
しかも溶融粘度の温度依存性が強い樹脂材料を成形する
と、他の樹脂材料よりもさらに大きくチェック弁の閉り
特性がショット毎にばらつき、その結果としてV−P切
替位置もばらつき、最終段の設定速度で制御される領域
のばらつき幅が大きくなり最終段射出時間のばらつき幅
も大きくなる。図8は、従来の位置切替における最終段
射出速度時間がチェック弁の閉りのばらつきに起因して
ショット毎にばらついている状況を示している。このよ
うに、チェック弁の閉りが遅いショットでは、射出時間
が長くなり射出時間が長くなった分だけ金型キャビティ
内の樹脂は多く冷却されることになり、金型キャビティ
内の流動抵抗が大きくなって、キャビティ内への充填量
が不足し軽量の不良成形品が生じていた。
【0006】また、射出充填中の溶融樹脂の粘度は樹脂
温度が異なると大きく変化し、それに起因してスクリュ
ノズル部を流れる粘弾性流体である溶融樹脂の流動挙動
が異なり、チェック弁の閉り特性のばらつきを誘発し、
他の射出条件をたとえ同一に保持しても常に同一の品質
を有する成形品が得られないという問題があった。以上
のように、従来はショット毎に異なるチェック弁の閉り
特性のばらつきがキャビティ内樹脂充填量不同を招き、
成形品重量のばらつきやそれに伴う成形品質のばらつき
を惹起していた。
【0007】
【課題を解決するための手段】以上のような課題を解決
するために、本発明においては、第1の発明では、射出
スクリュ位置を検出する位置検出器と樹脂圧力を検出す
る圧力検出器とスクリュノズル部に配設される樹脂温度
センサとを備え、前記位置検出器を介して検出した射出
ストロークの時間微分値を算出する速度演算器もしくは
射出スクリュの射出速度検出器とを装備し、かつ、充填
工程を複数段の異なる射出速度で射出スクリュの射出速
度制御を行う射出成形機において、チェック弁閉り判定
圧力をあらかじめ充填工程の任意点に設定するととも
に、充填開始後射出圧力が該判定圧力に達した時の射出
スクリュ位置とあらかじめ設定した基準ショットにおけ
る該判定圧力到達時の射出スクリュ位置との差異を演算
記憶しておき、前記複数段の射出速度の変更切替点のう
ち、該判定圧力に達する前の切替は各々あらかじめ設定
した射出スクリュの基準変更切替位置で速度切替を行
い、該判定圧力に達した後の切替に際しては各々あらか
じめ設定した射出スクリュの基準変更切替位置に前記差
異分を増減して修正した射出スクリュ位置による位置切
替によって速度切替を行うとともに、前記樹脂温度セン
サによって計測される射出中の樹脂温度と同一位置にお
ける前記基準ショットの樹脂温度との高低差に応じて前
記チェック弁閉り判定圧力に修正を加えることとした。
また、第2の発明では、第1の発明において、チェック
弁閉り判定圧力の樹脂温度高低差による修正量はあらか
じめ実施されたCAEシミュレーションによる金型内流
動解析結果に基づいて設定することにした。
【0008】
【作用】本発明においては、複数段の射出速度の変更切
替点における速度切替は、すべてあらかじめ設定した基
準変更切替位置による位置切替によって行うものである
が、充填工程の任意点にチェック弁閉り判定圧力を設定
し、充填開始後に射出圧力が判定圧力に達した時の射出
スクリュ位置とあらかじめ設定した基準ショットにおけ
る判定圧力時の射出スクリュ位置の差異を演算記憶して
おく。この判定圧力は樹脂温度が同一位置における基準
ショットの樹脂温度と異なる時、その温度差に応じて修
正を加える。そして、射出中樹脂圧力がこの判定圧力に
達した後の速度切替は前記差異分だけ、前記の基準変更
切替位置を修正した位置で各段の速度切替を実施する。
したがって、チェック弁の閉りの遅いショットは全体的
に速度切替位置が差異分だけ遅れ、逆にチェック弁閉り
の早いショットは各速度切替位置とも差異分だけ早くな
り、結局、チェック弁閉りの遅速に関係なく、最終段射
出時間はほぼ一定となり、キャビティ内充填量は一定に
保持されるから、毎ショットとも成形品品質が安定す
る。
【0009】
【実施例】以下図面に基づいて本発明の実施例の詳細に
ついて説明する。図1〜図5は本発明の実施例に係り、
図1は射出成形機における射出制御装置の構成図、図2
は射出プロセス制御を示す特性曲線図、図3は樹脂温度
のデータを示す線図、図4および図5はそれぞれCAE
シミュレーション手法による解析データを示すCRT表
示画面図である。
【0010】図1において、射出成形機100は、ホッ
パ1を備えた加熱シリンダ2内に射出スクリュ(スクリ
ュ)3が回転自在かつ前後進可能に配置されており、ス
クリュ3の後端部にはスクリュ3と連結された連接ロッ
ド4がフレーム7を貫通し、フレーム7の後端に固設さ
れた油圧モータ6によって連接ロッド4およびスクリュ
3が回転される。また、フレーム7は左右一対の射出シ
リンダ5のピストンロッド5bと連結され、ピストン5
aの作動によりピストンロッド5b、フレーム7、連接
ロッド4および射出スクリュ3は一体となって往復動で
きるよう構成され、射出スクリュ3の位置は、フレーム
7に連結されたレバー7aの動きをスクリュ位置検出器
30によって測定される。一方、射出シリンダ5は油圧
源10およびこれに接続する油圧ユニット20と配管で
接続されるとともに、圧力検出器40によりその作動油
圧が測定される。加熱シリンダ2の先端のノズル2aは
金型9のノズル口へ押圧され、キャビティ9aへ加熱シ
リンダ2内部の溶融樹脂を供給するよう構成される。射
出制御装置50には、速度演算部50aと微分器50b
と圧力演算部50cとスクリュノズル部に配設された樹
脂温度測定用の温度センサ60の検出温度が入力される
温度補正演算部が内蔵され、スクリュ3の位置情報と射
出シリンダ圧の圧力情報が入力され、速度指令および圧
力指令が出力される。
【0011】射出成形機100の作動について説明する
と、油圧モータ6によって射出スクリュ3を回転するこ
とによりホッパ1から加熱シリンダ2内に樹脂材料が供
給され、加熱シリンダ2とスクリュ3によって形成され
る溝空間を通過する間に樹脂材料は加熱されて溶融し、
スクリュ3前方に蓄えられる。それとともに、スクリュ
3は徐々に後退し、スクリュ3が所定の位置に達すると
油圧モータ6は停止されて計量工程が終了する。次に、
射出シリンダ5近傍に設置されたサーボ弁(図示せず)
を制御して射出シリンダ5に作動油を送り、スクリュ3
を前進させ金型9のキャビティ9a内へ溶融樹脂を射出
する。射出プロセスの初期の段階ではスクリュ3の前進
によってスクリュ3前方の溶融樹脂の一部はスクリュ溝
を介して逆流するが、その後はチェック弁8がチェック
シート8aに着座して逆流を防止する。チェック弁8が
チェックシート8aに着座する動作は、スクリュ3の前
進とそれに伴なうスクリュ前方の溶融樹脂の逆流による
チェック弁前後の圧力差に関係し、そのタイミングはシ
ョット毎にばらつく。射出プロセス(充填工程)ではス
クリュ3の射出速度を制御し、保圧プロセス(保圧工
程)では射出シリンダの油圧力、樹脂圧力、金型内圧力
のいずれか(図1の実施例では射出シリンダ圧を採用す
る)の圧力を制御する。
【0012】本発明においては、図2に示すように、充
填工程における複数段の射出速度(図2の実施例では第
1段速度設定値V1 、第2段速度設定値V2 、第3段速
度設定値V3 、最終段速度設定値V4 の4段階)の各々
の射出速度の変更切替を次の手順によって行う。まず、
従来の速度制御方法と同様に、複数段の射出速度の変更
切替は、あらかじめ想定した基準ショット(最も正常な
射出状態と思われる切替操作手順を示すショット)にお
ける設定された射出スクリュ3の位置に実際の射出スク
リュ3が到達した時に速度切替を実施する、いわゆる位
置切替を行うものである。しかしながら、図2に示すよ
うに、基準ショットの想定カーブMに対して、充填開始
直後のチェック弁8の閉り動作のばらつきにより閉り動
作に遅速が生じ、それぞれカーブAやカーブBのように
ショット毎に少しずつずれた状態となる。そこで、基準
ショットで設定した基準変更切替位置m1 、m2
3 、m4 で位置切替を実施せず、充填工程の任意点に
チェック弁閉り判定圧力PJ (図2の実施例では、基準
変更切替位置m1 と基準変更切替位置m2 との間)を設
定し、射出圧力Pが判定圧力PJ に達した時に計測され
た射出スクリュ3の位置と基準ショットの想定カーブM
が判定圧力PJ に達した時の射出スクリュ位置との差異
を演算したうえ記憶しておき、チェック弁閉り判定圧力
J に達した以降における各々の基準変更切替位置
n 、mn+1 、mn+2 、‥‥をそれぞれこの差異分だけ
修正し、それぞれ修正された修正切替位置で速度切替を
実施する。
【0013】以上のような操作により速度切替を行うこ
とにより、例えばチェック弁8の閉りの遅いショットB
では、判定圧力到達時の差異△S1 だけ、次々に基準シ
ョット想定カーブMより遅れていくことになり、V−P
切替点SC においても、基準変更切替位置m4 より差異
分△S1 だけ遅れた位置でV−P切替が実施されるか
ら、最終段射出速度領域SB はほぼ基準ショットの最終
段射出速度領域SM と等しくなる。逆に、チェック弁閉
りの早いショットAでは差異分△S2 だけ早くV−P切
替が起り、最終段射出速度領域SA はやはりSM にほぼ
等しくなる。以上のように、最終段設定速度が同じであ
るから、最終段射出速度領域SM 、SA 、SB がほぼ同
じであれば最終段射出時間tfは、チェック弁8の閉り
特性のばらつきに左右されずにほぼ同じ値となる。以上
のように速度切替を実施することによって、充填工程初
期にチェック弁の閉り動作が遅れたショットBやチェッ
ク弁閉りの早いショットAにおいても、基準ショットM
と同時に、最終段射出速度領域ならびに最終段射出時間
がほぼ一定に保たれ、その結果、金型キャビティ9a内
へ充填される樹脂量が毎ショット一定に保持されるので
成形品品質が安定する。
【0014】一方、溶融樹脂の流動挙動は粘度によって
大きく変化し、粘度のばらつきに起因してチェック弁特
性も変化するので、金型キャビティ内へ充填される樹脂
供給タイミングにばらつきが生じて成形品品質が一定の
水準に保持されず安定しないという問題もあった。そこ
で、本発明では、チェック弁閉り特性に変化を与える溶
融樹脂粘度に大きな影響を与える樹脂温度を考慮し、樹
脂温度の差異に基づくチェック弁閉り特性のばらつきを
排除するため、基準ショットにおける同一位置における
樹脂温度TS に比較して当該ショットにおける樹脂温度
Tとの差異△Tを考慮して、チェック弁閉り判定圧力P
J に修正を加えて、温度差異△Tに起因するチェック弁
閉り特性の変化を補正するようにした。具体的には、ス
クリュノズル部の温度センサ60で計測される温度検出
値を射出制御装置50の温度補正演算部へ入力し、あら
かじめ設定した修正幅に基づいてチェック弁閉り判定圧
力PJ を修正する。一般には、当該ショットのスクリュ
ノズル部の樹脂温度Tが基準ショットの樹脂温度TS
り高い時(温度差異△Tがプラスの時)、チェック弁閉
り判定圧力PJ を下げ、低い場合にはチェック弁閉り判
定圧力PJ を上げるような修正を加える。溶融樹脂は粘
性とともに弾性を有する粘弾性流体であり、溶融樹脂の
粘度は、樹脂の種類や温度、剪断速度によって変化す
る。図3は、ポリプロピレン樹脂の溶融粘度の温度依存
性(溶融温度と溶融粘度との関係)を示したもので、剪
断速度とともに温度条件の変化によっても溶融樹脂の粘
度が変化していることがわかる。このような実験を多数
繰り返した結果、樹脂種類によって多少異なるが、溶融
樹脂の温度が5℃高くなると、溶融粘度は5〜10%低
下することがわかった。したがって、チェック弁閉り判
定圧力PJ が30kg/cm2 の時における5℃の樹脂
温度上昇時にはチェック弁閉り判定圧力1.5〜3kg
/cm2 の低下で修正することになる。
【0015】これらの温度変化に伴うチェック弁閉り判
定圧力の修正幅の精度を向上するためには、実際のノズ
ル形状寸法、金型キャビティ形状を考慮した溶融樹脂の
流路を想定した射出成形に関するCAEシミュレーショ
ン手法による流動挙動解析手法を応用することができ
る。
【0016】この流動挙動解析手法(MOLDFLOW
解析ソフト)は、樹脂の圧力、温度、剪断速度、剪断応
力、冷却時間、充填パターンなどを予測するためのもの
で、金型キャビティの形状などをコンピュータへ入力
し、MOLDFLOW解析ソフトのデータベースに登録
された適切な樹脂データを使用して、実際の金型キャビ
ティ内の流動挙動を予測する。射出成形では、金型温度
が溶融樹脂よりはるかに低く、型内流動の時々刻々の温
度変化と位置による温度差が発生する。また、樹脂の流
量も流路断面積が一定でなく位置によって異なるため一
定でなく、これに伴って剪断速度も変化する。これらの
条件にさらに成形品の複雑さという条件を付加した条件
を、すべて人力による計算によって算出することは到底
不可能で、モデル単純化による概略計算に付随する精度
の悪化を招来する。CAEによる上述の手法では、膨大
な情報量を短時間に処理し、かつ、精度の高い結果を得
ることができる計算プログラムから構築されている。
【0017】成形品がビデオハーフ(ビデオテープの函
体)をMOLDFLOW解析ソフトを使用してCAEシ
ミュレーションする場合のメッシュ分割状況を示したも
のを図4に示し、図5は充填完了時の等圧線図を示した
ものである。これらの解析データのほか、フローフロン
ト温度分布や充填完了時の樹脂温度分布、剪断応力分
布、剪断速度分布、キャビティ側金型温度分布、金型表
裏温度差分布、樹脂最高温度分布、樹脂最高温度位置分
布、樹脂固化時間分布などの解析データを得ることがで
きる。このような解析データの中から、本発明(第2の
発明)では、金型キャビティ内への溶融樹脂の流動挙動
時の流動抵抗を、実際に操業される樹脂温度毎に測定し
て温度差異が流動抵抗に及ぼす変化量を把握して、前述
したチェック弁閉り判定圧力PJ の修正幅を決定するよ
うにした。
【0018】このようにして、第1の発明や第2の発明
とも、樹脂温度の変化をも考慮したチェック弁閉り特性
のばらつきを極力防止し、ショット毎の成形品重量のば
らつきやそれに伴う成形品品質のばらつきを防止するこ
とができる。
【0019】つまり、本発明(第1の発明および第2の
発明)の意図するところは、充填工程初期に作動するチ
ェック弁8の閉り動作が遅れたり、あるいは逆に早くな
って作動しても、チェック弁閉り判定圧力PJ を設定し
た以降における基準速度切替位置mn では、その途中に
設けたチェック弁閉り判定圧力PJ に到達した時の射出
スクリュ位置と基準ショットにおける射出スクリュ位置
との差異分を演算記憶して、後続の基準変更切替位置m
n 、mn+1 、mn+2 、‥‥ではこの差異分だけ修正して
位置切替することによって、ショット毎の射出第1速射
出時間が異なっても、それ以降の射出時間、殊に最終段
射出時間をほぼ一定とすることによって、キャビティ充
填量を一定に保持しようとするものであり、ショット毎
にばらつきのあるチェック弁閉止タイミングの違いを最
終段射出時間へ反映させないようにした。すなわち、射
出第1速の初期のチェック弁閉り動作が早いか遅いか
を、判定圧力PJ 時の射出スクリュの位置で判断しよう
とするものであり、射出圧力が判定圧力PJ に達した時
に射出スクリュ位置が射出成形機の後退側にあるショッ
トはチェック弁閉りの早いショットであり、射出スクリ
ュ位置が前進側にある場合はチェック弁閉りの遅いショ
ットであることを示し、生じた差異分だけ以後の基準変
更切替位置を修正して他の射出時間、とりわけ、最終段
射出時間を一定にしようとするものである。種々のテス
トの結果、すべての速度切替を位置切替とする図5に見
られるショット毎の最終段射出時間のばらつきは、本発
明の方法を実施することにより、非常に少なくなり、変
動幅は運転初期を除いて約20%程度に小さくなった。
本発明の方法は、特にナイロンのような溶融粘度の温度
依存性の強い樹脂材料では、従来の制御方法では、チェ
ック弁の閉りのばらつきによって最終段射出時間がばら
つき、この結果として同じV−P切替圧力PC で圧力制
御に移行し、保圧工程に入っても最終段射出時間の長い
ショットの場合には、金型内溶融樹脂の温度が低下して
粘度が高くなり流動抵抗が増大するので充填に支障があ
り、このV−P切替時の全金型充填量を一定に保つこと
ができず、成形品品質が安定しないという難点を解消す
るもので、V−P切替点である基準変更切替位置m4
も差異分△S1 だけ遅らせたり、差異分△S2 だけ早め
たりすることによって最終段射出時間がほぼ一定するこ
とは既述したとおりであり、成形品が安定する。
【0020】なお、図2に示す本発明の実施例では、V
−P切替点SC である基準速度切替位置m4 も前記差異
分を修正した位置切替としているが、V−P切替点SC
では従来技術(図7に例示)のようにV−P切替圧力設
定値PC による圧力切替とすることもできる(ただし、
判定圧力PJ 以外にV−P切替圧力PC を別途に設定し
なければならず、制御も複雑となり煩わしいので、あま
り望ましいものではない)。
【0021】
【発明の効果】以上述べたように、本発明においては、
すべての射出速度切替をあらかじめ設定した位置切替と
する従来の射出プロセス制御に見られるショット毎にば
らつく最終段射出速度領域の長さや時間の不同を極力排
除し、チェック弁の閉り特性のばらつきが起ってもショ
ット毎の成形品重量のばらつきやそれに起因する成形品
品質のばらつきを防止できるようになった。したがっ
て、成形品品質が安定し、信頼性の高い運転を継続する
ことができ、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る射出成形機の射出制御装
置の構成図である。
【図2】本発明の実施例に係る射出プロセス制御を示す
特性曲線図である。
【図3】本発明の実施例に係る樹脂溶融粘度の温度依存
性を示すデータ線図である。
【図4】本発明の実施例に係るCAEシミュレーション
・メッシュ分割状況を示すCRT表示画面図である。
【図5】本発明の実施例に係るCAEシミュレーション
の解析結果の1例を示すCRT表示画面図である。
【図6】従来の射出制御における実施例を示すグラフで
ある。
【図7】従来の射出プロセス制御を示す特性曲線図であ
る。
【図8】従来の射出プロセス制御における最終段射出時
間のデータを示す説明図である。
【符号の説明】
1 ホッパ 2 加熱シリンダ 3 射出スクリュ(スクリュ) 4 連接ロッド 5 射出シリンダ 5a ピストン 5b ピストンロッド 6 油圧モータ 7 フレーム 8 チェック弁 8a チェックシート 9 金型 9a キャビティ 10 油圧源 20 油圧ユニット 30 スクリュ位置検出器 40 圧力検出器 50 射出制御装置 50a 速度演算部 50b 微分器 50c 圧力演算部 60 温度センサ 100 射出成形機 A チェック弁の閉りの早いショット B チェック弁の閉りの遅いショット M 基準ショット P 圧力 PC V−P切替圧力設定値 Pk 保圧設定値 PJ チェック弁閉り判定圧力 V 射出速度 V1 第1段速度設定値(射出第1速) V2 第2段速度設定値(射出第2速) V3 第3段速度設定値(射出第3速) V4 最終段速度設定値(射出第4速) S 位置 S1 充填工程 S2 保圧工程 SA チェック弁の閉りの早いショットにおける最終段
射出領域 SB チェック弁の閉りの遅いショットにおける最終段
射出領域 SM 基準ショットにおける最終段射出領域 m1 基準変更切替位置 m2 基準変更切替位置 m3 基準変更切替位置 m4 基準変更切替位置(V−P切替点) mn チェック弁閉り判定圧力設定以降の基準速度切替
位置 t 時間 tf 最終段射出時間 N ショット数

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 射出スクリュ位置を検出する位置検出器
    と樹脂圧力を検出する圧力検出器とスクリュノズル部に
    配設される樹脂温度センサとを備え、前記位置検出器を
    介して検出した射出ストロークの時間微分値を算出する
    速度演算器もしくは射出スクリュの射出速度検出器とを
    装備し、かつ、充填工程を複数段の異なる射出速度で射
    出スクリュの射出速度制御を行う射出成形機において、
    チェック弁閉り判定圧力をあらかじめ充填工程の任意点
    に設定するとともに、充填開始後射出圧力が該判定圧力
    に達した時の射出スクリュ位置とあらかじめ設定した基
    準ショットにおける該判定圧力到達時の射出スクリュ位
    置との差異を演算記憶しておき、前記複数段の射出速度
    の変更切替点のうち、該判定圧力に達する前の切替は各
    々あらかじめ設定した射出スクリュの基準変更切替位置
    で速度切替を行い、該判定圧力に達した後の切替に際し
    ては各々あらかじめ設定した射出スクリュの基準変更切
    替位置に前記差異分を増減して修正した射出スクリュ位
    置による位置切替によって速度切替を行うとともに、前
    記樹脂温度センサによって計測される射出中の樹脂温度
    と同一位置における前記基準ショットの樹脂温度との高
    低差に応じて前記チェック弁閉り判定圧力に修正を加え
    る射出成形機の速度制御方法。
  2. 【請求項2】 チェック弁閉り判定圧力の樹脂温度高低
    差による修正量はあらかじめ実施されたCAEシミュレ
    ーションによる金型内流動解析結果に基づいて設定する
    請求項1記載の射出成形機の速度制御方法。
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