JPH08173022A - 魚類の目抜き装置、目抜き方法及び眼窩 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 冷凍魚に対しても凍結状態のまま適用可能
で、眼窩摘出操作時に頭部を確実に固定でき、短時間で
摘出処理が可能な魚類の目抜き装置、目抜き方法及び、
冷凍された魚類から得られた眼窩を提供する。 【構成】 本発明の魚類の目抜き装置は、魚類頭部２１
の縦割りの一片をその眼窩部位が上面となるようにして
載置できるプレート部材３と該魚類のアゴ部及び首切断
面を各々固定できる固定部材５を有する魚固定機構を有
し、且つ魚固定機構に配置された魚類の眼窩部位に対し
垂直に移動可能で、且つ回転可能な円筒状のコアー刃を
有するドリル機構を有する。前記プレート部材３上に眼
窩部位が上面となるように冷凍状態の魚類頭部２１の縦
割り一片を載置し、そのアゴ部及び首切断面を各々固定
し、回転する円筒状のコアー刃を上方から下降させて、
冷凍状態の眼窩部位を切り抜く。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、マグロ、カツオ等の魚
類、特に冷凍魚類の目抜きに適した装置、その目抜き方
法、及び得られた眼窩に関する。

【０００２】

【従来の技術】マグロ、カツオ等の頭部の眼窩部位に
は、ＤＨＡ（即ち、ドコサヘキサン酸）を豊富に含んだ
眼窩脂肪が存在している。近年、そのＤＨＡの生理的・
薬理的機能に注目がなされており、これらの魚類の眼窩
脂肪を摘出し、付加価値の高いＤＨＡを利用する試みが
行われている。しかしながら、その眼窩部分の摘出作業
の困難なことから、マグロ、カツオ等の頭部の大部分は
ペットフードの材料等に用いられているのが現状であ
る。

【０００３】マグロ、カツオ等の魚類から眼窩部分を摘
出するのに手作業で行うと効率が悪いことから、眼窩部
分の摘出装置が、従来、特開平６−１５３７７４号公
報、特開平５−２５２８６１号公報等により提案されて
いる。

【０００４】前記特開平６−１５３７７４号公報には、
予め必要な肉部が取り除かれた魚類の頭部を凹状の支持
ブロック上に遊泳姿勢の状態で載置し、その魚類の頭部
口先側を把持し、頭部の一側方から摘出抜刀を回転させ
ながら眼窩部位を摘出すること、その際、摘出抜刀の押
圧により頭部のずれを防止するために摘出抜刀側とは反
対側の魚類の頭側面を姿勢保持機構により保持させるこ
とが示されている。

【０００５】前記特開平５−２５２８６１号公報には、
魚類の眼球の淵に添うような曲がり角度を持つナイフを
カム溝に添って上下させることによって、ナイフの刃先
を眼球の淵に添って移動させて眼球及びその付属機関を
眼窩より摘出することができる装置が示されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】前記特開平６−１５３
７７４号公報の摘出装置を用いた魚類の頭部の固定方法
は、その円錐状の頭部をそのまま遊泳姿勢となるように
凹状支持ブロック上に垂直に載置し、頭部口先側と、摘
出抜刀側の反対の頭側面を固定しているだけであるの
で、マグロやカツオ等の大きな魚類だと、眼窩部分を摘
出するための回転する摘出抜刀については径の大きなも
のが使用されるために、その回転モーメントが大きく作
用し、その固定が安定性に欠けるきらいがあった。特
に、冷凍されたマグロやカツオ等の頭部の固定には、回
転モーメントがさらに強くなるので、このような装置で
は、頭部が装置から脱落する危険があった。

【０００７】前記特開平５−２５２８６１号公報に記載
の眼球の縁に添う曲がり角度を持つナイフを持つ眼窩摘
出装置は、生の状態の魚類に対して適用されるものであ
り、該公報に記載の装置では、冷凍されたマグロやカツ
オ等の頭部に対して適用した場合、そのナイフが強度的
に耐えることができない。

【０００８】保冷方法の発達により冷凍魚が多く出回っ
ているが、前記従来の眼窩摘出装置では、冷凍魚に対し
て適用することができず、予め解凍して適用するか或い
は未冷凍のものを使用せざるを得なかった。そのため、
解凍に時間がかかり、解凍のための広い場所も必要であ
った。さらに、前記従来の眼窩摘出装置で処理して得ら
れた眼窩は、解凍されたもの或いは未冷凍状態であるの
で、鮮度を落とさないために再冷凍するかすぐ加工しな
ければならなかった。

【０００９】そこで、本発明は、冷凍魚に対しても凍結
状態のまま適用可能で、眼窩摘出操作時において魚類の
頭部を確実に固定でき、短時間でその摘出処理が可能
で、処理して得られる眼窩部位は再凍結の必要がなくそ
のまま冷凍品とすることができ、量産体制が可能な魚類
の目抜き装置、目抜き方法及び、冷凍された魚類から得
られた眼窩を提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】前記した問題点を解決す
るために、本発明の魚類の目抜き装置は、魚類頭部の縦
割りの一片をその眼窩部位が上面となるようにして載置
できるプレート部材と該魚類のアゴ部及び首切断面を各
々固定できる固定部材を有する魚固定機構、及び前記魚
固定機構に配置された魚類の眼窩部位に対して垂直に移
動可能で且つ回転可能な円筒状のコアー刃を有するドリ
ル機構が包含されることを特徴とする。また本発明の魚
類の目抜き方法は、魚類頭部の縦割りの一片をその眼窩
部位が上面となるようにして載置し、該魚類の一片のア
ゴ部及び首切断面を各々固定し、次いで、前記眼窩部位
に対して回転する円筒状のコアー刃を上方から下降させ
て、該眼窩部位を切り抜くことを特徴とする。

【００１１】本発明の魚類の目抜き装置及び方法は、従
来、眼窩部位を摘出処理することが困難であった冷凍さ
れた魚類頭部に対して、好適に適用できる特徴を有す
る。

【００１２】また、本発明の魚類の眼窩は、冷凍された
魚類頭部から冷凍状態のまま、前記本発明の魚類の目抜
き方法により摘出されて得られた魚類の眼窩であること
に特徴を有する。

【００１３】

【作用】本発明の魚類の目抜き装置及び方法によれば、
魚類頭部の縦割りの一片の両端を確実に固定し、その眼
窩部位の上方から、回転する円筒状のコアー刃を下降さ
せて眼窩部位を切り抜いているので、冷凍状態の魚類で
あっても、円筒状のコアー刃の回転モーメントに耐え、
確実に固定された状態で摘出処理が短時間で簡単にしか
も正確にできる。また本発明によれば、冷凍状態の魚類
頭部から眼窩部位を冷凍状態のままで摘出できる。

【００１４】

【実施例】図１及び図２に基づいて本発明の実施例を説
明する。図１は本発明の魚類の目抜き装置の側面図であ
る。図２は魚固定プレート３の上面図である。本発明の
魚類の目抜き装置は、魚類頭部を確実に固定するための
魚固定機構及び眼窩部位を摘出するためのドリル機構と
から構成されている。

【００１５】最初に魚固定機構を説明する。図１におい
て１は機台であり、魚類の目抜き装置全体を支持してい
る。機台１の上面には魚類頭部２１を載置するため魚固
定プレート３が水平乃至傾斜角をもって固設されてい
る。魚固定プレート３の一端（好ましくは下方に位置す
る一端）に魚係止壁９が立設されており、その魚係止壁
９の内側には、魚類頭部２１の切断面を突き刺し固定す
るための一個以上のフォーク１０が突設されている。魚
固定プレート３の他端（好ましくは上方に位置する一端
内側）には、魚類頭部２１のアゴ部分を固定することが
できる内部に窪みを有する固定金具５が魚係止壁９方向
にスライド可能に設けられている。

【００１６】この固定金具５のスライドによる位置調整
は、固定金具５に取付けられた固定金具調整ロッド６の
軸方向の移動位置を調整することによって、固定金具５
が魚固定プレート３に設けられたスライド孔２０（図２
に示す）等のガイドに添い、魚類頭部２１の口部に対し
適切な位置に固定することができる。固定金具調整ロッ
ド６の移動操作は、機台１に支持されたエアーシリンダ
８と、前記固定金具調整ロッド６とを接続するレバー７
の操作によって行うことができる。

【００１７】魚固定プレート３には、魚類頭部２１を載
置して固定したときに、その眼窩部位に相当する部分よ
り大きめの大きさの、摘出した眼窩部位を落下させるた
めの落下穴４が設けられている。魚固定プレート３の下
方には落下する眼窩部位を受け止め搬送するためのシュ
ート２が機台１に固定されている。１１は魚固定プレー
ト３及びその周辺を洗浄するためのスプレー孔及び囲い
を有する洗浄装置である。

【００１８】次にドリル機構を説明する。図１におい
て、１４はエアーを動力源とするエアードリルであっ
て、その先端に回転可能な円筒状のコアー刃を有するホ
ルソー１５が取り付けられている。エアードリル１４は
ドリルホルダー１３によって水平位置が調整可能に、ド
リルホルダースライド金具１２に固定して取り付けられ
ている。さらに前記ドリルホルダースライド金具１２
は、機台１上に固定されているドリル吊り下げ用ロッド
１７にスライド可能に支持固定されると同時に、該ドリ
ル吊り下げ用ロッド１７の先端に固定されるスプリング
１６によって吊り下げられているので、エアードリル１
４は上下に大きくスムーズに移動することができる。ま
た、ホルソー１５に近接して、ホルソー１５を洗浄する
ための洗浄ノズル２２が設けられている。

【００１９】本発明におけるホルソー１５には、例え
ば、コンクリート用、鉄骨用等の穴開けに使用されるコ
アードリルを使用することができ、その場合には、セン
タードリルは魚類の眼窩を傷つけるので取り外して使用
する。コアードリルは魚類の眼窩の大きさに応じて適宜
その径の大きさを変更して使用することが望ましい。

【００２０】１８は機台１に固定された電磁弁であり、
電気的信号が与えられることによって、魚類頭部２１の
固定のためのエアシリンダー８や眼窩部位の摘出処理を
行うエアードリル１４へのエアーの供給のオンオフを行
っている。１９はエアーを調整するためのレギュレター
であり、該レギュレター１９で圧力、流量の調整された
エアーが動力源としてエアシリンダ８やエアードリル１
４へ供給される。

【００２１】次に、前記した魚類の目抜き装置を使用し
た魚類の目抜き方法（眼窩摘出方法）を説明する。冷凍
魚類、例えば、冷凍マグロ、冷凍カツオ等の切断された
頭部を用意する。この頭部を縦（左右）に切断し、眼窩
１個づつ有する左右２枚の半頭部を得る。得られた眼窩
一個を有する一枚の半頭部を魚固定プレート３にその眼
窩部位が上面となるように載置し、横切断面が魚係止壁
９の内側のフォーク１０に突き刺さるように固定する。
次いで、エアーシリンダ８を作動させて固定金具５を魚
類頭部２１方向へスライドさせ、固定金具５の凹部が魚
類頭部２１のアゴ部に嵌合するように、魚類頭部２１を
固定する。次いで、エアードリル１４へのエアーの供給
によりホルソー１５の回転刃を回転させ、ドリルホルダ
ースライド金具１２をスライド下降させることによっ
て、ホルソー１５を魚類頭部２１の眼窩部位に押圧させ
ながら円柱状に切り抜き、下方へ落下させる。落下され
た眼窩部位はシュート２で受け止められ、搬出される。

【００２２】上記魚類の目抜き方法は、冷凍魚類を例に
して説明したが、生の魚類頭部に対しても本発明の装置
が適用できることはいうまでもない。

【００２３】

【発明の効果】本発明によれば、眼窩部位の摘出処理時
において、冷凍状態の魚類であっても固定された状態の
魚類頭部の縦割り一片が円筒状のコアー刃の回転モーメ
ントに耐え、摘出処理が短時間に簡単に正確にでき、量
産体制が可能である。

【００２４】冷凍魚類を原料とした場合、冷凍状態のま
ま眼窩部位の摘出処理ができるので、得られる眼窩部分
は再凍結の必要がなくそのまま冷凍品とすることがで
き、鮮度保持に有利で、鮮度の高い製品を製造すること
が可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の魚類の目抜き装置の側面図である。

【図２】本発明の魚類の目抜き装置に使用される魚固定
プレートの上面図である。

【符号の説明】

１ 機台 ２ シュート ３ 魚固定プレート ４ 落下穴 ５ 固定金具 ６ 固定金具調整ロッド ７ レバー ８ エアーシリンダ ９ 魚係止壁 １０ フォーク １１ 洗浄装置 １２ ドリルホルダースライド金具 １３ ドリルホルダー １４ エアードリル １５ ホルソー １６ スプリング １７ ドリルホルダースライド金具 １８ 電磁弁 １９ レギュレター ２０ スライド孔 ２１ 魚類頭部 ２２ 洗浄ノズル

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 （１）魚類頭部の縦割りの一片をその眼
   窩部位が上面となるようにして載置できるプレート部材
   と該魚類のアゴ部及び首切断面を各々固定できる固定部
   材を有する魚固定機構及び、 （２）前記魚固定機構に配置された魚類の眼窩部位に対
   して垂直に移動可能で、且つ回転可能な円筒状のコアー
   刃を有するドリル機構、が包含されることを特徴とする
   魚類の目抜き装置。
2. 【請求項２】 （１）魚類頭部の縦割りの一片をその眼
   窩部位が上面となるようにして載置し、該魚類の一片の
   アゴ部及び首切断面を各々固定し、 （２）前記眼窩部位に対して回転する円筒状のコアー刃
   を上方から下降させて、該眼窩部位を切り抜くことを特
   徴とする魚類の目抜き方法。
3. 【請求項３】 前記魚類頭部は冷凍されたものであるこ
   とを特徴とする請求項２記載の魚類の目抜き方法。
4. 【請求項４】 請求項２又は３記載の方法により得られ
   た魚類の眼窩。